JP3870496B2 - スライスベース剥離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスライスベース剥離装置に係り、特に種類の異なる複数本のインゴットをワイヤソーで多数枚同時切断して得られたウェーハをスライスベースから1枚ずつ剥離するスライスベース剥離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インゴットの切断装置の一つとしてワイヤソーがある。ワイヤソーは、高速走行するワイヤ列にインゴットを押し付け、その接触部にスラリを供給することにより、ワイヤによる一種のラッピング作用によってインゴットを多数枚のウェーハに切断する。
【0003】
このワイヤソーでは、通常、一回の切断に対しては、一本のインゴットを切断するが、近年、その切断効率を上げるために、マルチ切断と呼ばれる、多数本のインゴットを同時に切断する切断方法が採用されるようになっている。
マルチ切断は、図4に示すように、マウンティングプレートMに複数のインゴットIa、Ib、Ic(図では3本)を直列して接着し、そのマウンティングプレートMをワイヤソーに装着することによって、複数本のインゴットIa、Ib、Icを同時に切断する。このマルチ切断によれば、複数本のインゴットを一度にまとめて切断することができるため、効率的にインゴットを切断することができる。
【0004】
ところで、ワイヤソーでは、図4に示すように、切断されるウェーハが全てスライスベースSa、Sb、Scに接着された状態で切り出されるため、これをスライスベースSa、Sb、Scから剥離して、枚葉化する必要がある。
従来、このワイヤソーで切断されたウェーハをスライスベースから剥離する方法としては、スライスベースに接着されているウェーハを熱水中に浸漬させ、熱軟化による自然剥離によってウェーハを一度に全部剥離する方法と、ウェーハをパッドで吸着し、そのパッドの揺動動作によってウェーハを一枚ずつ剥離する方法がある。そして、この剥離方法は、マルチ切断で切断されたウェーハをスライスベースから剥離する場合も同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したマルチ切断では、種類の異なるインゴットを同時に切断することができるが、この場合、切断したウェーハは、その種類ごとに枚葉化して回収する必要がある。
しかしながら、前記従来の剥離方法では、一度にすべてのウェーハが剥離されてしまうため、又は、一枚ずつ連続的に剥離されてしまうため、各種類ごとに回収することができず、種類の異なるウェーハが混入してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、種類の異なる複数のインゴットを切断機で多数枚同時に切断して得られたウェーハを各種類ごとにスライスベースから剥離することができるスライスベース剥離装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、直列して配置された種類の異なる複数のインゴットを切断機で多数枚同時に切断して得られたウェーハを、そのウェーハが保持されているスライスベースから一枚ずつ剥離するスライスベース剥離装置において、熱水が貯留される熱水槽と、前記熱水槽内に設置され、剥離対象のウェーハが取り付けられる取付台と、前記ウェーハの一方側の端面を吸着保持する吸着パッドと、前記取付台と平行に配設されたガイドレールと、前記ガイドレール上を移動して、前記吸着パッドを前記取付台に沿って移動させる移動手段と、前記移動手段に設けられ、前記吸着パッドを揺動させる揺動手段と、種類の異なるウェーハの間に挿入される仕切板と、前記ウェーハ間に挿入された仕切板を検出するセンサと、からなることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、熱水槽に貯留された熱水中にスライスベースが浸漬されることにより、スライスベースとウェーハとの接着部は熱軟化する。一方、スライスベースに接着された複数のウェーハのうち、一方側端部に位置したウェーハは、その端面を吸着パッドに吸着保持される。そして、揺動手段によって吸着パッドに揺動が与えられ、これにより、ウェーハはスライスベースから剥離する。一枚目のウェーハの剥離が終了すると、移動手段により吸着パッドが移動し、同様の作業で二枚目以降のウェーハを剥離する。ここで、通常ならば、順次ウェーハが剥離されてゆく結果、種類の異なるウェーハも連続的に剥離されてしまうが、本発明においては、種類の異なるウェーハの間に仕切板が挿入されているため、これをセンサで検出することにより、剥離するウェーハの種類が変わることを認識することができる。したがって、ここで、たとえば、隔離したウェーハを回収するカセット等を交換することにより、種類の異なるウェーハを混入させることなく回収することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るスライスベース剥離装置の好ましい実施の形態について詳説する。
なお、本実施の形態のスライスベース剥離装置で剥離するウェーハは、図4に示すように、種類の異なる3本のインゴットIa、Ib、Icをワイヤソーでマルチ切断したウェーハWa、Wb、Wcを対象とする。このウェーハWa、Wb、Wcは、おのおのスライスベースSa、Sb、Scを介してマウンティングプレートMに接着保持されており、このマウンティングプレートMに保持された状態でワイヤソーから搬送されてくる。
【0010】
図1、図2は、それぞれ本発明に係るスライスベース剥離装置の第1の実施の形態の平面図と正面図である。
同図に示すように、前記スライスベース剥離装置10は、熱水槽12、剥離装置14及び仕切装置16を主要装置として構成されている。以下、各装置ごとに分けて、その構成を説明する。
【0011】
前記熱水槽12は、上部が開口された長方形状の箱型に形成されており、その内部に熱水が貯留されている。剥離対象であるウェーハWa〜Wcは、この熱水槽12内に設けられた取付台18上に取り付けられる。
なお、ウェーハWa〜Wcを取付台18に取り付ける方法は次の通りである。すなわち、ウェーハWa〜Wcが接着されたマウンティングプレートMを取付台18上の所定の位置に載置し、その載置したマウンティングプレートMを図示しないロック手段で固定する。これにより、各ウェーハWa、Wb、Wcは、そのスライスベースSa、Sb、Scとの接着部分を前記熱水槽12内に貯留された熱水中に浸漬される。
【0012】
次に、前記剥離装置14の構成について説明する。剥離装置14は、前記熱水槽12に沿って配設されたベース20を有している(図1中下側)。ベース20上には一対のガイドレール22、22が敷設されており、該ガイドレール22、22上を二つのスライダ24、26がスライド自在に支持されている。
この二つのスライダ24、26のうち図1中左側に位置するスライダ24は、ガイドレール22に沿って配設された送りネジ28にナット部材30を介して螺合されている。この送りネジ28には送りモータ32が連結されており、この送りモータ32を駆動するこにより、前記スライダ24はガイドレール22上を移動する。
【0013】
一方、図1中右側に位置するスライダ26は、手動でガイドレール22上を移動し、図示しないロック手段によって任意の位置に固定される。このスライダ26には、アーム34を介して受板36が設けられており、該受板36は、前記熱水槽12内にセットされたウェーハWcの後面に添うように配置される。これは、最後に剥離するウェーハWcが、何らかの原因によって後述する吸着パッドによって剥離する前にスライスベースSから剥離してしまった場合に、その剥離したウェーハWcが後方に倒れるのを防止するためのものである。ウェーハWcが後方に倒れた場合は、この受板32によって倒れたウェーハWcを支えることによって、ウェーハWcが回収できなくなるのを防止する。
【0014】
一方、図1中左側に位置するスライダ24には、ウェーハWa〜WcをスライスベースSa〜Scから剥離するための剥離機構が設けられている。この剥離機構は吸着パッドを用いてウェーハWa〜WcをスライスベースSa〜Scから一枚ずつ剥離する。その構成は、次の通りである。
前記スライダ24上には軸受38が設けられており、該軸受38にはシャフト40が回動自在に支持されている。このシャフト40の基端部には、揺動用モータ42のスピンドルが連結されており、この揺動用モータ42を駆動することにより、前記シャフト40が回動する。
【0015】
前記シャフト40にはコラム44が立設されており、該コラム44の先端部には昇降用モータ46が設置されている。この昇降用モータ46のスピンドルには、アーム48の基端部が固着されており、この昇降用モータ46を駆動することにより前記アーム48は垂直方向に揺動する。
前記アーム48の先端部にはシリンダ50が設置されており、該シリンダ50のロッド先端部には吸着パッド52が固着されている。吸着パッド52は、前記シリンダ50に駆動されることにより、その軸線に沿って進退移動する。また、この吸着パッド52には、図示しないバキュームポンプが連結されており、このバキュームポンプを駆動することによりウェーハを吸着保持する。
【0016】
なお、以上の構成により、前記吸着パッド52は、前記揺動用モータ42を駆動することによりウェーハに沿って揺動し、前記昇降用モータ46を駆動することにより昇降移動する。そして、前記吸着パッド52でウェーハWa〜Wcの端面を吸着保持した状態で、吸着パッド52に揺動を与えることにより、ウェーハWa〜WcをスライスベースSa〜Scから剥離する。
【0017】
前記吸着パッド52の上方には、吸着パッド52で剥離したウェーハWa〜Wcを受け取る受取パッド54が配置されている。この受取パッド54は、アーム56の先端部にシリンダ58を介して設置されており、該シリンダ58を駆動することにより、その軸線に沿って進退移動する。また、この受取パッド54には、図示しないバキュームポンプが連結されており、このバキュームポンプを駆動することによりウェーハを吸着保持する。
【0018】
前記受取パッド54が設けられたアーム56は、その基端部をシャフト60に連結されており、該シャフト60は、前記スライダ24に立設された支持板24Aに軸受62を介して回動自在に支持されている。このシャフト60には、アーム揺動用モータ64のスピンドルが連結されており、該アーム揺動用モータ64を駆動することにより、前記アーム56は、90°の範囲で図1中左側に揺動する。
【0019】
剥離機構は、以上のように構成される。そして、この剥離機構によれば、ウェーハWa〜Wcは、その端面中央部を吸着パッド52に吸着され、この状態で吸着パッド52により揺動が与えられることによってスライスベースSa〜Scから剥離される。剥離されたウェーハは、吸着パッド52によって上方へ運ばれ、受取パッド54に受け渡されたのち、該受取パッド54が90°前方へ倒れることによって図示しない搬送装置に受け渡される。なお、この作用については、後にさらに詳述する。
【0020】
次に、仕切装置16の構成について説明する。図1に示すように、仕切装置16は、前記熱水槽12を挟んで剥離装置14の対称位置に設置されており、前記剥離装置14と同様に熱水槽12に沿って配設されたベース64を有している。このベース64上には一対のガイドレール66、66が敷設されており、該ガイドレール66、66上を三つのスライダ68、70、72がスライド自在に支持されている。
【0021】
前記三つのスライダ68、70、72のうち図1中左側に位置するスライダ68(以下、「走行スライダ」という。)は、前記剥離装置14のスライダ24と連結バー74を介して連結されている。したがって、この走行スライダ68は、前記スライダ24が移動すると、これに伴って移動する。
前記走行スライダ68と連結する連結バー74には、図2に示すように、ほぼ矩形状に形成された倒止板76が設けられている。この倒止板76は、熱水槽12内にセットされたウェーハWaの正面に位置して、ウェーハWaの剥離中にウェーハWaが前方(図1中左方向)に倒れるのを防止する。
【0022】
なお、図2に示すように、この倒止板76には、U字状の切り欠き76aが形成されており、この切り欠き76aを通って前記吸着パッド52が上下動できるようにされている。
また、この倒止板76の上部には、倒止板76の上部を90°折り曲げて形成した曲部が形成されており、該曲部にはウェーハWaが一枚通れるだけのスリット76bが形成されている。このスリット76bは、前記吸着パッド52で剥離したウェーハWaを上方に引き上げる際に、ウェーハWaが二枚同時に引き上げられるのを防止する役割を果たし、次のように作用する。
【0023】
すなわち、何らかの原因によりウェーハWaが2枚同時に剥離された場合、その剥離された二枚のウェーハは、互いにくっつき合ってしまい、ウェーハを引き上げる際に、二枚同時に引き上げられてしまう。しかし、上記のように引き上げたウェーハをスリット76bに通すことによって、二枚同時に引き上げられたような場合であっても、一緒に引き上げられたウェーハは、スリット76bを通過できず、結果として、1枚のみを取り出すことができる。
【0024】
なお、スリット76bを通過できず落下したウェーハは、前方又は後方に倒れることになるが、前方に倒れた場合であっても倒止板76が設置されているので、次の剥離作業時に回収され、回収不能になるようなことはない。
また、図示しないが、前記倒止板76には、ウェーハWaと対向する面にタッチセンサが設けられており、このタッチセンサがウェーハWaと接触することによって吸着パッド52で剥離するウェーハの位置が確認される。
【0025】
走行スライダ68は、以上のように剥離装置14のスライダ24に伴って移動するが、図1中中央に位置するスライダ70(以下、「第1スライダ」という。)と、右側に位置するスライダ72(以下、「第2スライダ」という。)は、ともに手動でガイドレール66上を移動する。
この第1スライダ70と第2スライダ72には、それぞれ第1シリンダ78と第2シリンダ80が設けられており、各シリンダのロッドは、熱水槽12内に設置されたウェーハWa〜Wcと直交するように伸縮する。そして、この第1シリンダ78と第2シリンダ80のロッド先端部には、それぞれ矩形状に形成された第1仕切板82と第2仕切板84が設けられており、各仕切板は、各シリンダのロッドを伸張させることにより、熱水槽12内に設置されたウェーハWa〜Wc間に挿入される。
【0026】
したがって、この第1仕切板82と第2仕切板84を各ロットの境目、すなわち、ウェーハWaとウェーハWbの間及びウェーハWbとウェーハWcの間に設置すれば、各ロット間を仕切ることができる。
ところで、前記ウェーハ間に第1仕切板82及び第2仕切板84が挿入された場合、ウェーハを連続して剥離してゆくためには、その挿入した仕切板の存在を検出する必要がある。このため、第1仕切板82と第2仕切板84の存在を次のようにして検出する。
【0027】
前記第1仕切板82及び第2仕切板84には、それぞれ図示しない被検出子が設けられている。一方、前記倒止板76には、この仕切板に設置された被検出子を検出するためのセンサ86が設けられている。図2に示すように、前記第1仕切板82及び第2仕切板84は、ウェーハ間に挿入されると、その挿入された直前のウェーハが剥離されるまで、そのウェーハに隠れた状態にある。したがって、この状態では被検出子がセンサ86に検出されることはない。一方、その挿入された直前のウェーハが剥離されると、被検出子を遮るものがなくなくなるため、被検出子がセンサ86によって検出され、これによって、仕切板の存在が確認される。
【0028】
前記センサ86の検出信号は、スライスベース剥離装置10を駆動する制御装置88に出力され、制御装置88はその検出信号に基づいてスライスベース剥離装置10を駆動制御する。
前記のごとく構成された本発明に係るスライスベース剥離装置の第1の実施の形態の作用は次の通りである。
【0029】
まず、オペレータがワイヤソーでマルチ切断されたウェーハWa、Wb、Wcを熱水槽12内にセットする。
次に、オペレータは、仕切装置16に設けられている第1スライダ70を手で動かし、ウェーハWaとウェーハWbとの間に第1仕切板82を移動させる。第1仕切板82を移動させたのち、第1シリンダ78を駆動して、その第1仕切板82をウェーハWaとウェーハWbとの間に挿入する。そして、挿入後、更に第1スライダ70を前方(図1中左方向)に移動して、第1仕切板82をウェーハWaの端面に当接させる。
【0030】
同様の手順で、オペレータは、ウェーハWbとウェーハWcとの間に第2仕切板84を挿入し、ウェーハWbの端面に第2仕切板84を当接させる。
次に、オペレータは、剥離装置14に設けられているスライダ26を手で動かし、受板36をウェーハWcの端面に当接させる。
以上によりオペレータによる初期設定作業は終了し、この後、スライスベース剥離装置10の運転が開始される。なお、上記のように、第1仕切板82と第2仕切板84をウェーハの端面に当接させるのは、終端のウェーハが自然に剥離されて後方に倒れるのを防止するためである。
【0031】
まず、送りモータ32が駆動され、スライダ24がガイドレール22上を図中右方向に向かって移動する。スライダ24は、倒止板76に設けられたタッチセンサ(図示せず)がウェーハWaの端面に接触すると停止し、これにより、吸着パッド52がウェーハWaの端面に当接する。
前記スライダ24の移動が停止すると、吸着パッド52に連結された図示しないバキュームポンプが駆動され、これによって、ウェーハWaの端面が吸着パッド52に吸着保持される。そして、この状態で吸着パッド52に揺動が与えられる。すなわち、揺動用モータ42が駆動されてコラム44が揺動し、この結果、吸着パッド52が揺動駆動される。
【0032】
ここで、前記熱水槽12内に設置されているウェーハWaは、そのスライスベースSaとの接触部分を熱水中に浸漬されることにより、熱軟化しているため、複数回揺動が与えられるとスライスベースSaから剥離する。したがって、前記揺動用モータ42は、吸着パッド52に所定回数揺動を与えると、その駆動が停止される。
【0033】
スライスベースSaから剥離されたウェーハWaは、吸着パッド52に吸着された状態にあるので、この状態で吸着パッド52が上昇し、受取パッド138の位置まで移動する。すなわち、昇降用モータ46が駆動されてアーム48が上方に回転し、吸着パッド52が受取パッド54と互いに対向し合う位置で停止する。そして、その剥離したウェーハWaが受取パッド54に受け渡される。
【0034】
ウェーハWaの受け渡しは、まず、受取パッド54がシリンダ58に駆動されて、吸着パッド52に向かって所定量移動する。これにより、受取パッド54がウェーハWaに密着する。
受取パッド54がウェーハWaに密着すると、受取パッド54に連結されているバキュームポンプ(図示せず)が駆動され、ウェーハWaが受取パッド54に吸着される。そして、この受取パッド54にウェーハWaが吸着されると、吸着パッド52の吸着が解除され、これにより、ウェーハWaが受取パッド54に完全に受け渡される。
【0035】
なお、ウェーハWaが受取パッド54に受け渡されると、吸着パッド52はシリンダ50によってウェーハWaから所定量退避する。そして、その後、アーム48が下降して、元の剥離位置に復帰する。
ウェーハWaが受取パッド54に受け渡されると、アーム揺動用モータ56が駆動され、アーム56が前方(図1中左方向)に向けて90°回転する。この結果、受取パッド54に保持されたウェーハWaも前方に向けて90°倒れる形で回転するが、このウェーハWaが90°回転した先には、ウェーハWaを次工程に搬送する搬送台車(図示せず)が位置しており、ウェーハWaは、この搬送台車に受け渡されて、次工程に搬送されてゆく。
【0036】
なお、ウェーハWaを搬送台車に受け渡したアーム56は、再び揺動用モータ64に駆動されて、元の直立状態に復帰する。
以上の工程で1枚目のウェーハWaの剥離作業が終了し、以下同様の手順で2枚目以降の剥離作業を行う。
ところで、熱水槽12内にセットされている種類がWaのウェーハ(インゴットIaから切り出されたウェーハ)は、その数が限られているので、上記のように順次剥離してゆくことにより、全てスライスベースSaから剥離される。そして、種類がWaのウェーハWaが全て剥離されると、その種類がWaのウェーハとWbのウェーハとの間に設置されていた第1仕切板82が倒止板76の前面に現れる。
【0037】
ここで、前述したように、前記第1仕切板82には、図示しない被検出子が設置されており、第1仕切板82が倒止板76の前面に現れると、その倒止板76に設けられたセンサ86によって、前記被検出子が検出される。
センサ86は、前記被検出子を検出すると、その検出信号を制御装置88に出力し、制御装置88は、この検出信号を入力することにより、種類がWaのウェーハが全て剥離されたことを認識する。そして、次のようにスライスベース剥離装置10を制御する。
【0038】
すなわち、まず、制御装置88は、剥離装置14に停止信号を出力し、吸着パッド52による剥離作業を一時停止させる。
次いで、制御装置88は、次工程の制御部に種類がWaのウェーハが全て剥離されたことを信号として出力する。ここで、例えば次工程が洗浄工程である場合は、その洗浄装置の制御部に、種類がWaのウェーハの剥離が全て完了したことを信号として出力する。この信号を入力した洗浄装置の制御部は、洗浄後のウェーハを回収するカセットを交換する等して、種類が異なるウェーハが混入するのを防止する。
【0039】
また、たとえば、次工程が回収工程である場合も同様に、回収するカセットを交換したり、次に回収されるウェーハとの間に仕切板を挿入したりして、それ以降に回収されるウェーハの種類が異なるものであることが認識できるように対策を講じる。
なお、次工程におけるこれらの準備作業は、自動で処理してもよいし、オペレータが手動で行ってもよい。
【0040】
そして、これらの次工程における準備ができたところで、制御装置88は、次の種類がWbであるウェーハの剥離作業を開始する。
すなわち、まず、制御装置88は、オペレータ又は次工程から剥離作業再開の信号を入力することによって、第1シリンダ78を駆動し、第1仕切板82をウェーハWbの前方から退避させる。そして、剥離装置14に駆動信号を出力して、種類がWbのウェーハの剥離を開始する。なお、剥離方法は、前述した種類がWaのウェーハと同じなので、その説明は省略する。
【0041】
この種類がWbのウェーハを剥離する場合も同様に、第2仕切板84をセンサ86で検出することにより、そのすべてのウェーハWbが剥離されたことを認識することができる。したがって、制御装置88は、センサ86の検出信号を入力した後は、前記同様の手順でそれ以降の処理を進めてゆく。
なお、ウェーハWbの前方から退避させた第1仕切板82は、退避後、スライダ24と共に移動する走行スライダ68に押されて図中右方向に移動する(第1スライダ70が走行スライダ68に押されることによって移動する)。第2仕切板82も同様であり、その走行スライダ68に押されて移動する第1スライダ70に押されて図中右方向に移動する。この結果、全てのウェーハWa〜Wcの剥離が終了すると、第1仕切板82と第2仕切板84は共に図1中右方向に移動する。
【0042】
全てのウェーハWa〜WcがスライスベースSa〜Scから剥離されると剥離装置14のスライダ24は図中左方向に移動し、剥離開始前の位置に復帰する。
オペレータは、熱水槽12内に残ったスライスベースSa〜Scを取り除き、次に剥離するウェーハがある場合は、それをセットし、同様の手順でそのウェーハの剥離作業を行う。
【0043】
このように本実施の形態のスライスベース剥離装置によれば、マルチ切断された種類の異なるウェーハWa、Wb、Wcを互いに混入させることなく剥離することができる。
図3は、本発明に係るスライスベース剥離装置の第2の実施の形態の構成を示す平面図である。
【0044】
同図に示すように、第2の実施の形態のスライスベース剥離装置100では、剥離装置と仕切装置が一体化されている。なお、上述した第1の実施の形態のスライスベース剥離装置10と同一又は類似の部材については、図中同一符号を付してその説明は省略する。
ベース20上に配設された一対のガイドレール22、22上には、二つの吸着パッド52を移動させるスライダ24と受板36を移動させるスライダ26の他、第1スライダ102と第2スライダ104が、それぞれスライド自在に支持されている。
【0045】
この第1スライダ102と第2スライダ104には、それぞれ第1シリンダ106と第2シリンダ108が設けられており、各シリンダのロッドは、熱水槽12内に設置されたウェーハWa〜Wcと直交するように伸縮する。
前記第1シリンダ106と第2シリンダ108のロッド先端部には、それぞれ連結部材110、112を介して第1仕切板114と第2仕切板116が設けられており、各仕切板は、各シリンダのロッドを伸張させることにより、それぞれ熱水槽12内に設置されたウェーハWa〜Wc間に挿入される。したがって、この第1仕切板114と第2仕切板116を各ロットの境目、すなわち、ウェーハWaとウェーハWbの間、及び、ウェーハWbとウェーハWcの間に設置すれば、各ロット間を仕切ることができる。
【0046】
ここで、上記のように各ロット間に第1仕切板114と第2仕切板116を挿入した場合、ウェーハを連続して処理するためには、上述した第1の実施の形態と同様に、その挿入した仕切板の存在を何らかの手段で検出することが必要になる。
そこで、第2の実施の形態のスライスベース剥離装置100では、次のように、第1仕切板114と第2仕切板116の存在を検出する。
【0047】
前記第1スライダ102には、支持部材118を介して第1タッチセンサ120が設けられている。一方、前記スライダ24には、この第1タッチセンサ120に当接するセンサドグ122が設けられている。
ここで、前記第1タッチセンサ120とセンサドグ122は、共に吸着パッド52によってウェーハWaが全て剥離されたときに接触するように設定する。この設定は、前記第1仕切板114と第1シリンダ106とを連結する連結部材110の長さを調整することにより行い、次のように設定する。すなわち、吸着パッド52からセンサドグ122の先端までの長さL1 と、第1仕切板114から第1タッチセンサ120の先端までの長さL1 が等しくなるように、連結部材110の長さを設定する。
【0048】
この結果、吸着パッド52によってウェーハWaが全て剥離されると、センサドグ122が第1タッチセンサ120に当接して第1タッチセンサ120が作動する。制御装置88は、この第1タッチセンサ120の作動信号を入力することにより、ロットの境目を認識する。そして、その後、第1シリンダ106を駆動して第1仕切板114を退避させる。
【0049】
なお、第1仕切板114が退避すると、吸着パッド52はウェーハWbの剥離作業を開始するが、この際、スライダ24は、第1スライダ102を押しながらガイドレール22上を移動する。
前記第2仕切板116も同様の機構でその存在を検出する。すなわち、前記第2スライダ104には、支持部材124を介して第2タッチセンサ126が設けられており、前記第1スライダ102には、この第2タッチセンサ126に当接するセンサドグ128が設けられている。
【0050】
ここで、前記第2タッチセンサ126とセンサドグ128は、共に吸着パッド52によってウェーハWbが全て剥離されたときに接触するように設定する。この設定は、上述した第1仕切板114を検出する場合と同様に、前記第2仕切板116と第2シリンダ108とを連結する連結部材112の長さを調整することにより行う。すなわち、第1仕切板114からセンサドグ128の先端までの長さL2 と、第2仕切板116から第2タッチセンサ126の先端までの長さL2 が等しくなるように、連結部材112の長さを設定する。
【0051】
この結果、吸着パッド52によってウェーハWbが全て剥離されると、センサドグ128が第2タッチセンサ126に当接して第2タッチセンサ126が作動する。制御装置88は、この第2タッチセンサ126の作動信号を入力することにより、ロットの境目を認識する。そして、その後、第2シリンダ108を駆動して第2仕切板116を退避させる。
【0052】
なお、第2仕切板116が退避すると、吸着パッド52はウェーハWcの剥離作業を開始するが、この際、スライダ24は、第1仕切板114の場合と同様に、第1スライダ102と第2スライダ104を押しながらガイドレール22上を移動する。
第1仕切板114と第2仕切板116は、以上のようにして、その存在を検出される。なお、全てのウェーハWa〜Wcが剥離されたことの検出は、次の機構で行う。
【0053】
前記受板36が設けられたスライダ26には、支持部材130を介して第3タッチセンサ132が設けられており、前記第2スライダ104には、この第3タッチセンサ132に当接するセンサドグ134が設けられている。
ここで、前記第3タッチセンサ132とセンサドグ134は、共に吸着パッド52によってウェーハWcが全て剥離されたときに接触するように設定する。この設定は、上述した第1仕切板114を検出する場合と同様に、前記受板36とスライダ26とを連結するアーム34の横方向の長さを調整することにより行う。すなわち、第2仕切板116からセンサドグ134の先端までの長さL3 と、受板36から第3タッチセンサ132の先端までの長さL3 が等しくなるように、アーム34の横方向の長さを設定する。
【0054】
この結果、吸着パッド52によってウェーハWcが全て剥離されると、センサドグ134が第3タッチセンサ132に当接して第3タッチセンサ132が作動する。制御装置88は、この第3タッチセンサ132の作動信号を入力することにより、全てのウェーハWa〜Wcが剥離されたことを認識する。
前記のごとく構成された本発明に係るスライスベース剥離装置の第2の実施の形態の作用は次の通りである。
【0055】
まず、オペレータがワイヤソーでマルチ切断されたウェーハWa、Wb、Wcを熱水槽12内にセットする。
次に、オペレータは、第1スライダ102を手で動かし、ウェーハWaとウェーハWbとの間に第1仕切板114を位置させる。そして、第1シリンダ106を駆動して、そのウェーハWaとウェーハWbとの間に第1仕切板114を挿入する。挿入後、更に第1スライダ102を前方(図1中左方向)に移動して、第1仕切板114をウェーハWaの端面に当接させる。
【0056】
同様の手順で、オペレータは、ウェーハWbとウェーハWcとの間に第2仕切板116を挿入し、ウェーハWbの端面に第2仕切板116を当接させる。
次に、オペレータは、スライダ26を手で動かし、受板36をウェーハWcの端面に当接させる。
以上によりオペレータによる初期設定作業は終了し、この後、スライスベース剥離装置100の運転が開始される。なお、このスライスベース剥離装置100による剥離動作は、上述した第1の実施の形態のスライスベース剥離装置10と同じなので、ここではその説明は省略する。
【0057】
スライスベースSaに接着されているウェーハWaは、吸着パッド52が図中右方向に移動してゆくことによって、順次スライスベースSaから剥離されてゆく。そして、ウェーハWaが全てスライスベースSaから剥離されると、これと同時に、スライダ24に設けられているセンサドグ122が第1スライダ102に設けられている第1タッチセンサ120に当接する。
【0058】
前記センサドグ122が第1タッチセンサ120に当接すると、第1タッチセンサ120が作動し、その作動信号が制御装置88に出力される。制御装置88は、この作動信号を入力することにより、種類がWaのウェーハが全てスライスベースSaから剥離されたことを認識する。そして、次のようにスライスベース剥離装置10を制御する。
【0059】
すなわち、まず、制御装置88は、送りモータ32の駆動を停止し、吸着パッド52による剥離作業を一時停止させる。次いで、次工程の制御部に種類がWaのウェーハが全て剥離されたことを信号として出力する。
一方、次工程からは剥離作業再開の信号が出力されるので、制御装置88は、この信号を入力することにより、第1シリンダ106を駆動して、第1仕切板114をウェーハWbの前方から退避させる。そして、送りモータ32に駆動信号を出力して、種類がWbのウェーハの剥離を開始させる。
【0060】
この種類がWbのウェーハを剥離する場合も、上記と同様の方法、すなわち、第2タッチセンサ126がセンサドグ128に押圧されて作動したことを検出することにより、すべてのウェーハWbがスライスベースSbから剥離されたことを検出する。制御装置88は、この第2タッチセンサ126の作動信号を入力した後は、上記と同様の手順でそれ以降の処理を進めてゆく。
【0061】
なお、前記ウェーハWbの剥離中、第1スライダ102は、スライダ24に押されて図中右方向に移動する。第2スライダ104も同様であり、前記ウェーハWcの剥離中、第2スライダ104は、第1スライダ102とともにスライダ24に押されて図中右方向に移動する。
最後のウェーハWcがスライスベースScから剥離されると、これと同時に、第2スライダ104に設けられているセンサドグ134が第3タッチセンサ132に当接する。第3タッチセンサ132は、このセンサドグ134が当接することにより作動するので、制御装置88は、この第3タッチセンサ132の作動信号を入力することにより、全てのウェーハWa〜Wcが剥離されたことを認識する。そして、剥離作業を終了させる。
【0062】
オペレータは、熱水槽12内に残ったスライスベースSa〜Scを取り除き、次に剥離するウェーハがある場合は、それをセットし、同様の手順でそのウェーハの剥離作業を行う。
このように、第2の実施の形態のスライスベース剥離装置100も、前述した第1の実施の形態のスライスベース剥離装置10と同様の効果を得ることができる。すなわち、マルチ切断された種類の異なるウェーハWa、Wb、Wcを互いに混入させることなく剥離することができる。
【0063】
なお、この第2の実施の形態のスライスベース剥離装置100の場合、剥離装置と仕切装置が一体化されているので、装置全体をコンパクトにまとめることができる。
なお、上述した第1及び第2の実施の形態では、3種類の異なるウェーハWa〜Wcを剥離する場合について説明したが、4種類の異なるウェーハを剥離する場合は、仕切板の数を3枚とし、2種類の異なるウェーハを剥離する場合は、仕切板の数を1枚とすれば、同様に適用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種類の異なる複数のインゴットを同時に切断して得られたウェーハを剥離する場合であっても、互いの種類を混入させることなく剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスライスベース剥離装置の第1の実施の形態の平面図
【図2】本発明に係るスライスベース剥離装置の第1の実施の形態の正面図
【図3】本発明に係るスライスベース剥離装置の第2の実施の形態の平面図
【図4】マルチ切断による切断方法を説明する説明図
【符号の説明】
10、100…スライスベース剥離装置
12…熱水槽
24…スライダ
36…受板
52…吸着パッド
54…受取パッド
82、114…第1仕切板
84、116…第2仕切板
Wa〜Wc…ウェーハ
Sa〜Sc…スライスベース
M…マウンティングプレート
Claims (2)
- 直列して配置された種類の異なる複数のインゴットを切断機で多数枚同時に切断して得られたウェーハを、そのウェーハが保持されているスライスベースから一枚ずつ剥離するスライスベース剥離装置において、
熱水が貯留される熱水槽と、
前記熱水槽内に設置され、剥離対象のウェーハが取り付けられる取付台と、
前記ウェーハの一方側の端面を吸着保持する吸着パッドと、
前記取付台と平行に配設されたガイドレールと、
前記ガイドレール上を移動して、前記吸着パッドを前記取付台に沿って移動させる移動手段と、
前記移動手段に設けられ、前記吸着パッドを揺動させる揺動手段と、
種類の異なるウェーハの間に挿入される仕切板と、
前記ウェーハ間に挿入された仕切板を検出するセンサと、
からなることを特徴とするスライスベース剥離装置。 - 前記センサから出力される検出信号に基づいて前記仕切板を前記ウェーハの間から退避させる退避手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のスライスベース剥離装置。
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