JP3867902B2 - 酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。更に詳しくは、ポリアリーレンスルフィドの重合後に行う酸化架橋反応工程において、生産性に優れ、溶融時の発生ガス量を著しく低減できる、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気、電子部品、自動車部品等の成型品の他、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
【0003】
ポリアリーレンスルフィドの製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)等の有機極性溶媒中で、硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム等のスルフィド化剤と、p−ジクロルベンゼン等のポリハロ芳香族化合物とを反応する方法が挙げられる。通常、射出成形用途では、上記反応により得られた粗ポリアリーレンスルフィドは、水洗により副生した塩を除去、次いで、酸化架橋反応させて高粘度化することで、所望の機械的特性や成形加工性を具備する最終製品となる。
【0004】
かかるポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応は、従来よりバッチ方式により行われており、例えば特開昭62−205127号公報には、攪拌翼を具備しない容器回転式加熱装置を用いて、未架橋のポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応を行うことにより、酸化架橋反応時のポリフェニレンスルフィド粒子の凝集を抑止できる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記容器回転式加熱装置は、攪拌翼を具備する一般のバッチ方式酸化架橋方法に比べ、ポリアリーレンスルフィド粒子に余計な剪断力が加わらず、粒子の凝集という問題を回避できるという利点を有し実用性の高い方法であるものの、加熱装置の構造的な問題から酸素含有気体の給排気量を高められず、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの生産性に著しく劣る他、得られるポリアリーレンスルフィド中のガス成分の除去が不十分となるものであった。ここで、ガス成分とは、ポリアリーレンスルフィドの製造工程において、ポリアリーレンスルフィド中に含まれる揮発性物質や、熱分解等により低分子量化した成分をいい、この除去が不十分である場合、成形時にガス成分による成形加工時の金型の腐食や、ガスベント詰まり(成型時の排気ラインにタール状物質が付着し閉塞する現象)等を引き起こすものであった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ポリアリーレンスルフィドを重合した後、所望の溶融粘度までポリアリーレンスルフィドを酸化架橋させる際、生産性に優れ、かつ、同時にポリアリーレンスルフィド中のガス成分の除去を効果的に行うことができる、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、反応槽内に設けた中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体とを有する反応装置を用い、前記反応槽内において前記横型加熱体の回転によりポリアリーレンスルフィドを加熱攪拌しつつ、前記気体導入口から導入した加熱された酸素含有気体を前記横型加熱体の下方から前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込むことにより、ポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応が促進され生産性が向上すると共に、ポリアリーレンスルフィド中のガス成分を効率的に除去できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、樹脂供給口、気体導入口、樹脂排出口、及び気体排出口を設けた反応槽と、前記反応槽内に設けた中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体とを有する反応装置を用い、前記反応槽内において前記横型加熱体の回転によりポリアリーレンスルフィドを加熱攪拌しつつ、加熱された酸素含有気体を前記横型加熱体の下方から前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込むことにより前記ポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応を行うことを特徴とする酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する反応装置は、樹脂供給口、気体導入口、樹脂排出口、及び気体排出口を設けた反応槽と、前記反応槽内に設けた中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体とを有する反応装置である。
【0010】
ここで、中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体とは、反応槽内のポリアリーレンスルフィドを加熱すると共に、中心軸を回転軸とする回転運動によってポリアリーレンスルフィドを攪拌する機能を有するものである。また、該横型加熱体は、中心軸が水平方向の所謂横型であることから、酸素含有気体に対するポリアリーレンスルフィドの接触面積が拡大し、酸化架橋反応を効率的に行うことができる。
また、気体導入口からは、ポリアリーレンスルフィドを酸化架橋するため加熱された酸素含有気体が反応槽内に導入される。本発明は、加熱された酸素含有気体を前記横型加熱体の下方から前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込むことを特徴としている。そのため、例えば、該反応槽は、網目構造、多孔構造等の通気構造を有する通気性仕切板で上部空室と下部空室に区画され、前記上部空室内には前記気体排出口が設けられ、かつ、前記下部空室内に前記気体導入口を設けられていることが好ましい。よって、この場合、前記上部空室内において前記ポリアリーレンスルフィドを前記横型加熱体で加熱攪拌しつつ、前記気体導入口から導入した加熱された酸素含有気体を前記下部空室から前記通気性仕切板を通して前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込んだ後前記気体排出口から排出することにより酸化架橋反応を行うことができる。
このような給排気手段を用いてポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応を行うことにより、酸化架橋が効率的に進行すると共に、ガス成分除去の効果が顕著なものとなる。尚、前記通気性仕切板に設けられた通気構造は、前記した通り、網目構造、多孔構造等であるが、かかる通気構造は、該通気性仕切板の全面に亘って設けられていることが、酸素含有気体の給排気量を飛躍的に高められる他、酸素含有気体とポリアリーレンスルフィドとの接触が均一なものとなる点から好ましい。
【0011】
気体排出口は、特にその位置が特定されるものではないが、反応槽の上方、望ましくは上部空室の上部に位置していることが望ましい。これにより、ポリアリーレンスルフィドの飛散微粉末の排出を良好に抑制できる他、ガス成分除去の効果も良好なものとなる。
【0012】
本発明の製造方法は、ポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応をかかる反応装置を用いて行うものであり、生産方式はバッチ方式又は連続方式の何れでもよいが、後者の連続方式であることが酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの生産性が飛躍的に向上する点から好ましい。
ここで、連続方式とは、具体的には、樹脂供給口から、ポリアリーレンスルフィドを、連続的に反応槽内に供給すると共に、酸化架橋反応を行い乍ら、樹脂排出口から該酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドを連続的に取り出す方法である。従来、ポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応の工程を連続的に行うことは全く実用できておらず、この点において、連続方式が可能となった点は特筆すべき点である。
【0013】
このような連続方式の製造を行う場合には、反応装置の反応槽内に、横型加熱体により攪拌され樹脂排出口に向かって押し出されるポリアリーレンスルフィドが堰き止められる溢流堰を具備すること、具体的には、前記上部空室内に樹脂排出口の近傍において該溢流堰を設けていることが好ましい。反応槽内で酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドは、最終的に該溢流堰から溢流し樹脂排出口から取り出すことができる。
【0014】
かかる反応装置としては、具体的には図1に示すものが好ましい。以下、図1に従い具体的に説明する。
【0015】
図1は、反応装置の縦断側面図であり、1は反応装置本体、2は樹脂供給口、3は反応槽、4は中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体、5は気体導入口、6は樹脂排出口、7は気体排出口である。ポリアリーレンスルフィドは樹脂供給口2から反応槽3内に導入される。反応槽3は、トラフ状の通気性仕切板8によって上部空室9と下部空室10とに区画されており、前記横型加熱体4は、該上部空室9内に配設されている。前記横型加熱体4は支持体15等により回転軸16に連結され、該回転軸はモータ等の動力源により駆動され、前記横型加熱体4を回転させる。
一方、気体導入口5からは連続的に加熱された酸素含有気体が反応槽3内に供給される。具体的には、気体導入口5から導入された加熱された酸素含有気体は、下部空室10と通気性仕切板8を通して上部空室9内に導入される。
よって、反応槽3内に導入されたポリアリーレンスルフィドは、トラフ状の通気性仕切板8によって支持され、尚かつ、前記上部空室9において前記横型加熱体4の回転により適度な剪断を受け攪拌されると共に、通気性仕切板8を通して気体導入口5から導入される加熱された新しい酸素含有気体と常時接触される。
ここで、下部空室10は、図1に示すように複数の下部空室に区画されていること、具体的には、2〜5の下部空室に区画されていることが望ましい。
尚、前記通気性仕切板8は、ポリアリーレンスルフィドが上部空室9内から下部空室10へ落下せず、且つ、少なくとも槽底部より気体が導入可能な構造を有するものである。通気性仕切板8の通気構造は、前記した通り網目構造や多孔構造により確保できるが、特に網目構造を有するものが好ましい。また、気体排出口7には、バグフィルターを備え、間欠的な振動などによりフィルターの目詰まりを防止する機能を備えたものが好ましい。
【0016】
上部空室9内のポリアリーレンスルフィドは、前記横型加熱体によって攪拌されるに伴って、樹脂排出口6に向かって移動し、溢流堰11によって堰き止められる。溢流堰11から溢流するポリアリーレンスルフィドは、所望の粘度まで酸化架橋されており、該ロータリーフィーダー13を介して樹脂排出口6から取り出される。
【0017】
尚、上部空室9内のポリアリーレンスルフィドは前記横型加熱体4により加熱されるが、前記横型加熱体4は、中空管であって、内部に熱媒体を通じることにより加熱作用を発現する構造を有することが、ポリアリーレンスルフィドを均一に加熱できる点から望ましい。
【0018】
また、該反応装置は、中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体を1本のみ有する単軸型であっても、2本有する双軸型であってもよい。
【0019】
該反応装置は、前記横型加熱体4や酸素含有気体によりポリアリーレンスルフィドが加熱されることを特徴とするが、ポリアリーレンスルフィドの温度を均一に保持する点から更に反応槽3の外部に加熱ジャケット14を配設していることが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法は、以上詳述した反応装置に、ポリアリーレンスルフィドを導入、反応槽内で酸素含有気体と接触させると共に、加熱攪拌を行うものである。
【0021】
ここで、反応装置に導入されるポリアリーレンスルフィドは、p−ジクロルベンゼンに代表されるジハロ芳香族化合物と、硫化ナトリウム、硫化カリウム及び水硫化ナトリウムに代表されるスルフィド化剤とを常法により合成したものであり、未だ酸化架橋処理を施していないものである。尚、ポリアリーレンスルフィドの合成においては、適宜目的に応じてジハロ芳香族化合物と共に、トリクロロベンゼンなどのトリハロ芳香族化合物や、ジクロロ安息香酸、ジクロロアニリンなどの官能基含有ジハロ芳香族化合物を適宜併用してもよい。
【0022】
このような加熱攪拌に供されるポリアリーレンスルフィドについて、更に詳述すれば、ジハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒中で反応させ、得られた粗生成物を、脱溶剤、水洗、更に所望により熱水洗した後、乾燥したポリアリーレンスルフィドの粉体、又は、該粉体を更に圧縮、粉砕して得られる凝集粒子として用いることができる。また、ポリアリーレンスルフィドの粉体又は凝集粒子を溶融混練したペレット状物として使用することも可能である。
【0023】
これらの中でも特にポリアリーレンスルフィドの粉体、凝集粒子、或いは、これらの混合物として用いることが、ポリアリーレンスルフィドへの熱伝導を良好に維持し乍らも酸素含有ガスとの接触面積が広がって酸化架橋が均一に行うことでき好ましい。また、特に凝集粒子を単独で使用した場合、或いは、前記混合物において凝集粒子の存在割合が多いときは、反応槽内により多くのポリアリーレンスルフィドを導入できて滞留時間を多く確保できる他、粉体の飛散によるバグフィルターの目詰まりや収率の低下を防止できる。
【0024】
このような観点から、前記凝集粒子又は前記混合物は、日本工業規格 Z 8801の目開き0.3mmの試験用ふるいを通過する部分の含有量が、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは30重量%以下となるものであることが好ましい。
【0025】
また、反応装置に導入されるポリアリーレンスルフィドは、酸化架橋処理が未だなされていないものであり、その溶融粘度は、300℃において、2〜200Pa・sの範囲であることが好ましい。かかる範囲にある場合、熱酸化架橋反応後のポリアリーレンスルフィドの成形時の流動性が良好なものとなる。
【0026】
反応装置の反応槽に導入する方法は、特に制限されないが、ロータリーフィーダー、振動式フィダーなどの定量フィーダーにより行うことができる。
【0027】
また、ポリアリーレンスルフィドはそのまま供給してもよいが、供給前に予め加熱しておくほうがより好ましく、その場合、樹脂温度が100〜150℃の範囲となる様加熱することが好ましい。
【0028】
このようにして反応槽内に導入されたポリアリーレンスルフィドは、次いで、上部空室内で前記横型加熱体により加熱、攪拌されると共に、反応槽の下方から加熱された酸素含有気体が吹き込まれ、酸化架橋される。ここで、酸素含有気体は、酸素、空気、及びこれらと窒素等の不活性ガスとの混合気体が挙げられる。
【0029】
加熱された酸素含有気体の反応槽への導入量は、具体的にはポリアリーレンスルフィド1kg当たり10〜100L/分となる速度であることが好ましい。かかる割合は、従来法に比べて相当高い速度であると同時に、ポリアリーレンスルフィドが流動状態とならない程度の導入量であり、その結果、酸素架橋反応が促進されて生産性が高まる他、ポリアリーレンスルフィド粉末の飛散によるロスも著しく低減される。更に、ガス成分の除去効果が良好となって、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの品質も著しく高まる。
【0030】
次に、酸化架橋反応する際の温度条件としては、反応槽内のポリアリーレンスルフィドを、該ポリアリーレンスルフィドの融点よりも20℃〜100℃低い温度範囲に加熱することにより行うことが好ましい。このような温度条件とすることで、ポリアリーレンスルフィド粉体、凝集物の融着を防止できるともに、酸化架橋反応が良好に進行し、生産性が格段に向上する。酸化架橋反応の温度条件をかかる範囲に調節するためには、反応槽内に吹き込む酸素含有気体の温度を該温度範囲にすること、及び、前記横型加熱体の加熱温度を該温度範囲にすることにより行うことができる。また、前記横型加熱体の加熱温度の調整は、中空管加熱体を用い、該中空管内に通じる熱媒体の温度を調節すればよい。更に、反応槽外部に取り付けられた加熱ジャケットにより加熱を行うことも望ましい。
【0031】
また、本発明においては、反応槽内の全領域に亘って常時新鮮な酸素含有気体が反応槽の下方からポリアリーレンスルフィドに対して吹き込まれるため、前記横型加熱体による攪拌動力も、酸素含有気体の吹き込みが全くない状態に比べ1/3〜1/5に低減できる。よって、上部空室内のポリアリーレンスルフィドに対して無理な剪断力を掛けることなく、均一攪拌が可能である。故に、前記横型加熱体の回転数を過度に上げる必要がなく、回転数1〜20rpmの範囲で、攪拌することができる。
【0032】
上記の様にして加熱攪拌され、かつ同時に加熱された酸素含有気体と接触されたポリアリーレンスルフィドは、上部空室内で酸化架橋が進行し増粘する。最終的なポリアリーレンスルフィドの粘度は、用途により相違するものであるが、300℃における溶融粘度が、導入前のポリアリーレンスルフィドの値に対し、2〜40倍となる範囲であることが好ましく、具体的には、30Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。
【0033】
最終的に、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドは、樹脂排出口から取り出すことができる。
【0034】
本発明においては、前記した特定構造の反応装置内でポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応を行うことにより、酸化架橋反応を連続的に行うという従来にない方法を実現することができる。
【0035】
このようにして得られた架橋されたポリアリーレンスルフィドは、特に射出成型用途において有用であり、用途に応じて強度や耐熱性、寸法安定性等の性能を付与するために各種充填材を適宜配合することができる。充填材としては、特に制限されるものではないが、繊維状充填材、無機充填材等が挙げられる。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム等の繊維、ウォラストナイト等の天然繊維等が使用出来る。又、無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタルパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等が使用出来る。
【0036】
また、成形加工の際に添加剤として本発明の目的を逸脱しない範囲で少量の、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤等を含有させてもよい。
【0037】
更に、同様に下記の如き合成樹脂及びエラストマーを混合して使用出来る。合成樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等が挙げられ、エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0038】
本発明の製造方法で得られる架橋されたポリアリーレンスルフィドは、例えば、コネクタ、プリント基板及び封止成形品等の電気部品、電子部品、ランプリフレクター及び各種電装品部品などの自動車部品、各種建築物、航空機及び自動車などの内装用材料、あるいはOA機器部品、カメラ部品及び時計部品などの精密部品等の射出成形若しくは圧縮成形、若しくはコンポジット、シート、パイプなどの押出成形、又は引抜成形などの各種成形加工用の材料として、或いは繊維若しくはフィルム用の材料として幅広く有用である。
【0039】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例により、具体的に説明する。尚、部及び%は、特にことわりのない限り、全て質量基準である。
【0040】
〔溶融粘度の測定方法〕
溶融粘度は、高化式フローテスターを用いて、300℃、剪断速度100sec-1、ノズル孔径0.5mm、長さ1.0mmで測定した。
【0041】
〔溶融時の発生ガス量の測定方法〕
溶融時の発生ガス量は、熱抽出ガスクロマトグラフィーを用い、溶融条件320℃、カラム温度50〜290℃の条件下に全発生ガス成分の定量を行った。尚、発生ガス量は標準物質の測定値から換算した。
【0042】
実施例1
溶融粘度18Pa・sで、日本工業規格 Z 8801の目開き0.3mmの試験用ふるいを通過する部分の含有量が15重量%であるポリフェニレンスルフィド8.0kgを、図1に示す反応装置(内容量16L)の樹脂供給口2から上部空室9内に導入した。
次いで、前記横型加熱体を回転数7rpmで回転を開始し、前記横型加熱体と側面に配設された加熱ジャケットに255℃の熱媒を循環させ、ヒーターで予め255℃に加熱した空気を400リットル/分の流量で気体導入口5より反応槽内に導入しながら、内容物を250℃まで30分で昇温させた。
【0043】
その後、内温250℃で5時間保持した後、初期仕込と同じポリフェニレンスルフィドを1.6kg/hr(即ち、滞留時間は5時間)で5時間連続して上部空室9内に供給した。排出される内容物を1時間毎にサンプリングし、溶融粘度を測定した結果、154〜171Pa・sの範囲で安定的に得られた。取り出されたポリフェニレンスルフィド全体の溶融粘度は、161Pa・sであった。5時間連続運転中のポリフェニレンスルフィドの総排出量は7.8kgであった。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融時の発生ガス量は、0.02重量%であった。その結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
実施例1と同様の操作で、内容物を250℃まで30分で昇温させた。その後、内温250℃で1時間保持した後、ポリフェニレンスルフィドの供給量を8.0kg/時間(即ち、滞留時間は1時間)で5時間連続して上部空室9内に供給した。排出される内容物を1時間毎にサンプリングし、溶融粘度を測定した結果、48〜57Pa・sの範囲で安定的に得られた。取り出されたポリフェニレンスルフィド全体の溶融粘度は、53Pa・sであった。5時間連続運転中のポリフェニレンスルフィドの総排出量は39.2kgであった。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融時の発生ガス量は0.03重量%であった。その結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
実施例1と同様の装置に、同様のポリフェニレンスルフィド8.0kgを仕込み、同様の操作で内容物を250℃まで30分で昇温させた。その後、内温250℃で5時間保持した後、全量取り出した。溶融粘度は158Pa・sで、収量は7.8kgであった。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融時の発生ガス量は0.02重量%であった。その結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
実施例1と同様のポリフェニレンスルフィド8.0kgを、特開昭62−205127号公報に記載の装置、即ち、気体導入装置及び熱媒循環式ジャケットを備えた内容量30リットルの容器回転型の二重円錐型加熱装置に仕込んだ。次いで、回転数3rpmで容器の回転を開始して、空気を2リットル/分の流量で容器内に導入しながらジャケットに255℃の熱媒を循環させ、内容物を250℃まで6時間かけて昇温させた。その後、内温250℃で3時間保持した後、全量取り出した。溶融粘度は160Pa・sで、収量は7.8kgであった。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融時の発生ガス量は0.12重量%であった。結果を表1に示す。
【0047】
比較例2
内温250℃で0.5時間保持した以外は、比較例1と同様の操作を行った。溶融粘度は55Pa・sで、収量は7.8kgであった。得られたポリフェニレンスルフィドの溶融時の発生ガス量は0.17重量%であった。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、生産性に優れ、かつ、ポリアリーレンスルフィド中のガス成分の除去を効果的に行うことができる、酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供できる。
従って、本発明により得られる酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドは、各種成形材料やフィルム、繊維、電器、電子部品、自動車用部品、コーティング等の材料として、幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で用いる反応装置の縦断正面図である。
【図2】図2は、本発明で用いる反応装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
1:反応装置本体
2:樹脂供給口
3:反応槽
4:中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体
5:気体導入口
6:樹脂排出口
7:気体排出口
8:トラフ状の通気性仕切板
9:上部空室
10:下部空室
11:溢流堰
12:ロータリーフィーダー
13:ロータリーフィーダー
14:加熱ジャケット
15:支持体
16:回転軸
Claims (4)
- 樹脂供給口、気体導入口、樹脂排出口、及び気体排出口を設けた反応槽と、前記反応槽内に設けた中心軸の周りを回動可能な螺旋形状の横型加熱体とを有する反応装置を用い、前記反応槽内において前記横型加熱体の回転によりポリアリーレンスルフィドを加熱攪拌しつつ、加熱された酸素含有気体を前記横型加熱体の下方から前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込むことにより前記ポリアリーレンスルフィドの酸化架橋反応を行うことを特徴とする酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記樹脂供給口から前記ポリアリーレンスルフィドを連続的に反応槽内に供給し、前記樹脂排出口から該酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドを連続的に取り出す請求項1記載の酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記反応槽を通気性仕切板で上部空室と下部空室に区画し、前記上部空室内に前記気体排出口を設けると共に前記下部空室内に前記気体導入口を設け、前記上部空室内において前記ポリアリーレンスルフィドを前記横型加熱体で加熱攪拌しつつ、前記気体導入口から導入した加熱された酸素含有気体を前記下部空室から前記通気性仕切板を通して前記ポリアリーレンスルフィドに吹き込んだ後前記気体排出口から排出する請求項1記載の酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 加熱された酸素含有気体を、ポリアリーレンスルフィド1kg当たり10〜100リットル/分の吹き込み速度で吹き込むことにより、前記ポリアリーレンスルフィドをその融点より20〜100℃低い温度に加熱する請求項1記載の酸化架橋されたポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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