JP3867737B2 - データ処理装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理装置および方法に関し、例えば、光ディスク等の記録媒体に記録されたデータの再生時において、アクセス速度を改善することなく、見かけ上の応答性を向上させるようにしたデータ処理装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン放送のような、映像信号および音声信号を記録再生するために、ハードディスク(HDD)や光ディスク等の記録媒体を利用することが考えられている。そのため、これらの記録媒体は、VTR(video tape recorder)に比べると、近年、大幅な応答性の改善がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、依然として、使用者の操作指示に瞬時に反応するような応答性を実現するのは困難な状況にある課題があった。
【0004】
また、高速再生等、非連続に記録媒体にアクセスする場合でも、指定時間内に読み出されないときが多く、違和感のある画像が送出されることがある課題があった。
【0005】
そこで、メカニカルな工夫によってアクセスタイムを短縮する方法が考えられるが、この場合、コストがかかる上に、本質的に質量のある物体の移動を伴っているので、その短縮には限界がある課題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、記録媒体そのもののアクセス速度の改善を行うことなく、見かけ上の応答性を改善することができるようにするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のデータ処理装置は、記録媒体から読み出すべきデータを指定する指定手段と、指定手段によって指定されたデータを記録媒体から読み出す読み出し手段と、読み出し手段によって読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をする補間手段と、読み出し手段によって読み出されたデータと補間手段によって補間されたデータのいずれかを切り換えて出力する切り換え手段とを備え、切り換え手段は、指定手段によって指定されたデータの読み出し手段による読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出し手段によって読み出されたデータと補間手段によって補間されたデータのいずれを出力するかを決定することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載のデータ処理方法は、記録媒体から読み出すべきデータを指定し、指定されたデータを記録媒体から読み出し、読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をし、読み出されたデータと補間されたデータのいずれかを切り換えて出力するとき、指定されたデータの読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出されたデータと補間されたデータのいずれを出力するかを決定することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載のデータ処理装置においては、指定手段が、記録媒体から読み出すべきデータを指定し、読み出し手段が、指定手段によって指定されたデータを記録媒体から読み出し、補間手段が、予測の元になるデータに対して補間処理をし、切り換え手段が、読み出し手段によって読み出されたデータと補間手段によって補間されたデータのいずれかを切り換えて出力する。そのとき、切り換え手段は、指定手段によって指定されたデータの読み出し手段による読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出し手段によって読み出されたデータと補間手段によって補間されたデータのいずれを出力するかを決定する。
【0010】
請求項4に記載のデータ処理方法においては、記録媒体から読み出すべきデータを指定し、指定されたデータを記録媒体から読み出し、読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をし、読み出されたデータと補間されたデータのいずれかを切り換えて出力するとき、指定されたデータの読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出されたデータと補間されたデータのいずれを出力するかを決定する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のデータ処理装置を適用した再生装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。記録媒体1は、光ディスクやハードディスクより構成することができるが、以下では、光ディスクであるのもとして説明する。
【0012】
ドライブ回路(この場合、光ディスクドライブ回路)2は、サーボ回路や光ピックアップ等により構成され、光ディスク1より読み出した信号を増幅し、検波するようになされている。また、後述するシステムコントローラ11からの制御信号に従って、必要なフレームのデータにアクセスし、出力するようになされている。また、要求されたデータを全て送出したか否かを示す所定のフラグ(読み出し完了フラグ)を出力するようになされている。
【0013】
映像信号伸張処理系3は、光ディスク1上に記録されたMPEG(Moving Picture Experts Group)等の圧縮方法で圧縮処理されたデータを伸張し、13.5メガヘルツ(MHz)、YUV等のベースバンド信号に変換するようになされている。また、伸張処理を施したデータを出力するとともに、1フレームに対応するデータを内蔵するバッファに記憶させるようになされている。そして、入力データがない場合、バッファの更新を行わず、最後に記憶したフレームを出力し続けるようになされている。
【0014】
動きベクトル検出系6は、映像信号伸張処理系3によって伸張された映像信号の隣合うフレーム間の動きベクトルを検出するようになされている。最も簡単な例は、1画面で1つの動きベクトルを検出することである。これは、各々のフレームで代表的な1つのベクトルの大きさと方向を演算することに相当する。
【0015】
補間ベクトル演算系7は、システムコントローラ11からの制御信号と動きベクトル検出系6からの動きベクトルに基づいて、補間ベクトルを演算するようになされている。即ち、入力された動きベクトルの各々の成分(例えば、大きさと方向)について所定の演算がなされ、補間ベクトルが求められる。例えば、再生状態が通常再生から逆2倍再生に変更された場合、動きベクトル検出系6において検出された動きベクトルの大きさを2倍にし、方向を180度回転させることにより、補間ベクトルが演算される。
【0016】
遅延補正回路4は、動きベクトル検出系6、補間ベクトル演算系7における遅延に対応して、信号出力のタイミングを補正するようになされている。
【0017】
補間回路8は、補間ベクトル演算系7から出力された補間ベクトルに基づいて、遅延回路4より出力される映像信号を補間するようになされている。例えば、1フレームにつき1つの動きベクトルを用いる場合、遅延補正回路4より出力される映像信号の各画素を動きベクトルに対応してシフトさせることにより補間を行うようになされている。遅延補正回路5は、補間回路8における遅延に対応して、信号出力のタイミングを補正するようになされている。
【0018】
読み出し状況検出回路10は、システムコントローラ11より供給される動作モードに関する情報と、ドライブ回路2から供給される情報(読み出し完了フラグ)に基づいて、所定の規定時間内に光ディスク1からデータが読み出されたか否かを判定し、判定結果に応じて、切り換え回路9に制御信号を供給するようになされている。即ち、光ディスク1からの読み出しが規定時間内に完了している場合、遅延補正回路5からの出力信号が切り換え回路9より出力されるように、切り換え回路9に対して制御信号を供給する。また、光ディスク1からの読み出しが規定時間内に完了していない場合、補間回路8からの出力信号が切り換え回路9より出力されるように、切り換え回路9に対して制御信号を供給するようになされている。
【0019】
切り換え回路9は、読み出し状況検出回路10からの制御信号に従って、遅延補正回路5より供給される映像信号と、補間回路8より供給される補間された映像信号のいずれかを選択的に出力するようになされている。
【0020】
システムコントローラ11は、使用者によりキーボード等によって入力された動作モードに応じて装置全体の制御を行うようになされている。また、光ディスク1より再生されるデータおよび送出すべき映像信号、システムのモード等に基づいて、適切な演算方法を補間ベクトル制御信号として補間ベクトル演算系7に供給するようになされている。
【0021】
次に、図2のフローチャートを参照して、その動作について説明する。最初に、ステップS1において、システムコントローラ11は、使用者によって入力された所定の動作モードに対応するキー操作から、指定された動作モードを決定する。次に、ステップS2において、決定された動作モードに従って、次に読み出すべきフレームNを算出する。
【0022】
ステップS3においては、ステップS2において算出された読み出しフレームNの再生を指示する制御信号をドライブ回路2に供給し、フレームNの読み出しを指令する。ドライブ回路2は、システムコントローラ11からの指令に従って、光ディスク1よりフレームNの読み出しを開始するとともに、読み出し完了フラグを「NO」に設定する。この読み出し完了フラグは、読み出し状況検出回路10に供給される。
【0023】
次に、ステップS4において、読み出し状況検出回路10により、ドライブ回路2より供給された読み出し完了フラグに基づいて、フレームNの読み出しが完了したか否かが判定される。読み出しが完了していないと判定された場合、ステップS7に進み、システムコントローラ11より供給される情報、例えば、現在の動作モードに関する情報やドライブ回路2に対する読み出し要求等の命令の供給状況などの情報に基づいて、システムコントローラ11がドライブ回路2に対して読み出し要求を行ったときから、所定の規定時間だけ経過したか否かが判定される。所定の規定時間だけ経過していないと判定された場合、ステップS4に戻り、ステップS4以降の処理が繰り返し実行される。
【0024】
一方、ステップS4において、読み出しが完了したと判定された場合、ステップS5に進み、システムコントローラ11の制御により、映像信号伸張処理系3による映像信号の伸張処理が開始されるとともに、動きベクトル検出系6による、動きベクトルの検出処理が開始される。
【0025】
次に、ステップS6において、読み出し状況検出回路10は、切り換え回路9に対し、遅延補正回路5からの出力信号を選択的に出力するように指令する制御信号を供給する。これにより、切り換え回路9は、遅延補正回路5からの出力信号を選択的に出力する。次に、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が繰り返し実行される。
【0026】
また、ステップS7において、規定時間が経過したと判定された場合、ステップS8に進み、現在の動作モードに応じて、補間ベクトル制御信号を演算する。
【0027】
ここで、補間ベクトルの計算方法について説明する。最初に、動画の動きベクトルは、短い時間では変化しないと仮定する。まず、予測の元になるフレームのフレーム番号をnとする。次に、mフレームからnフレームへの動きベクトルをV(m,n)と表す。そして、動きベクトルをX,Yの2成分で表す。従って、動きベクトルの成分表示は、V(m,n)={Xmn,Ymn}とすることができる。次に、予測したいフレームをkとする。
【0028】
nフレームから(n+1)フレームまでの1フレーム間の動きベクトルを予測する。短い時間では、動きベクトルは変化しないと仮定したので、フレームnからフレームn+1への動きベクトルV(n,n+1)の成分Xnn+1,Ynn+1は、次のようになる。
【0029】
Xnn+1=Xmn/(m−n)
Ynn+1=Ymn/(m−n)
【0030】
次に、予測したいフレームはkであるので、nからkへの動きベクトルV(n,k)の成分は、次のように予測することができる。
【0031】
Figure 0003867737
【0032】
従って、補間ベクトル演算系7の出力は、次のように表すことができる。
【0033】
V(n,k)={Xnk,Ynk}
【0034】
予測したいフレームkは、システムコントローラ11から与えられ、動きベクトルは動きベクトル検出系6から与えられる。このようにして演算された演算結果(補間ベクトル)は、補間回路8に供給される。
【0035】
次に、ステップS9において、補間回路8により、遅延補正回路4より供給された映像データに対して、補間ベクトル演算系7より供給された補間ベクトルに基づいた補間処理が実行される。次に、読み出し状況検出回路10は、切り換え回路9に対して、補間回路8からの出力信号を選択的に出力するように指令する。これにより、切り換え回路9は、補間回路8より供給された補間された映像データを選択的に出力する。
【0036】
図3は、停止モードから通常再生モードに移行するとき、各部より出力される信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。停止モードにおいて、使用者による操作ボタン等の操作により、通常再生モードが指定されたとき、システムコントローラ11は、光ディスク1に記録されている映像データの中の例えばN番目のフレームから順次、所定の時間間隔でフレームの読み出しを要求する読み出し要求をドライブ回路2に供給する。
【0037】
ドライブ回路2は、システムコントローラ11からの読み出し要求の供給を受けると、光ディスク1にアクセスし、要求されたフレームNの読み出しを開始するとともに、読み出し完了フラグの信号レベルをローにする。そして、光ディスク1からフレームNが読み出されると、読み出し完了フラグの信号レベルをハイにする。以下同様にして、フレームN以降のフレーム(フレームN+1,N+2,N+3,N+4,・・・)が順次、光ディスク1より読み出される。
【0038】
フレーム(N+1)の読み出しが行われているとき、映像信号伸張処理系3においては、フレームNの伸張処理が実行され、出力される。次に、フレーム(N+1)の伸張処理が施され、出力されるとともに、遅延補正回路5よりフレームNが出力される。遅延補正回路5から出力されたフレームNは、切り換え回路9を介して出力される。また、その間、フレーム(N+2)が光ディスク1より読み出される。
【0039】
次に、フレーム(N+3)の読み出しが開始され、映像信号伸張処理系3において、フレーム(N+2)の伸張処理が行われる。それと同時に、動きベクトル検出系6において、フレームNとフレーム(N+1)より動きベクトルV(N→N+1)が検出され、出力される。また、補間ベクトル演算系7においては、動作モードに応じて動きベクトルを補間して補間ベクトルが求められる。この場合、通常再生モードであるため、光ディスク1からの読み出しが規定時間内に完了しているので、動きベクトル検出系6によって検出された動きベクトルがそのまま補間ベクトルとして出力される。
【0040】
そして、補間回路8において、補間ベクトル演算系7によって演算された補間ベクトルに基づいて、遅延補正回路4より供給された映像データに対して、補間処理が施され、補間されたフレーム(N+1)1が出力される。一方、遅延補正回路5からは、映像信号伸張処理系によって伸張処理が施された映像信号が、補間回路8の出力に合わせて遅延して出力される。
【0041】
読み出し状況検出回路10は、動作モードと読み出し完了フラグの状態から、通常再生の場合、常に遅延補正回路5からの出力信号の出力を指示する制御信号を切り換え回路9に供給する。このように、切り換え回路9は、通常再生の場合、読み出し状況検出回路10からの制御信号に基づいて、遅延補正回路5からの出力信号を選択的に出力するように切り換えられているので、切り換え回路9からは、遅延補正回路5より出力されたフレーム(N+1)が出力される。
【0042】
以下同様にして、フレーム(N+2)以降のフレームが切り換え回路9より出力される。
【0043】
図4は、通常再生モードから逆転再生モードに動作モードが切り換えられたとき、各部より出力される信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。この例では、光ディスク1からの読み出しが、動作モードの変化時、2フレーム分の規定時間内に完了していない状態を示している。また、システムコントローラ11からのデータの読み出し要求は、読み出し状況に応じて変更される。例えば、この例の場合、フレーム(N+3)の読み出しに時間を要したため、光ディスク1へのフレーム(N+2)の読み出し要求がキャンセルされている。
【0044】
また、映像信号伸張処理系3の出力信号において、太枠で囲まれた部分は、システムコントローラ11が要求したフレームが出力されていない区間であることを示している。同様に、動きベクトル検出系6の出力信号においても、太枠で囲まれた区間は、正常な動きベクトルが演算されていないことを示している。
【0045】
補間ベクトル演算系7の出力信号において、太枠で囲まれた区間は、動きベクトル検出系6より出力された動きベクトルに補間演算が施されたことを示している。太枠の前半のフレームにおいては、フレーム(N+3)を予測するために、動きベクトルV(N+3→N+4)のベクトル成分を180度回転させ、その値を用いて、フレーム(N+4)からフレーム(N+3)を予測している。太枠の後半のフレームでは、フレーム(N+2)を予測するために、動きベクトルV(N+3→N+4)の方向を180度回転させ、さらに大きさを2倍にしている。
【0046】
このようにして、予測の元になるフレーム、予測したいフレームから、ベクトル成分の演算方法が決定される。
【0047】
そして、読み出し状況検出回路10においては、読み出し完了フラグの破線円で示した部分の状態が検出され、それに基づいて、切り換え回路9に対する制御信号が出力される。切り換え回路9の出力信号において、太枠で囲まれた区間は、補間された映像信号が出力されていることを示している。
【0048】
システムコントローラ11より、フレーム(N+4)の再生を指示する信号がドライブ回路2に供給された後、例えば、使用者により、操作ボタンが操作され、逆転再生モードに変更されたものとする。これにより、システムコントローラ11は、逆転再生を行うために、それ以降、ドライブ回路2に対してフレームの再生を逆に指定する。この例の場合、フレーム(N+3),(N+2),(N+1),Nのような順番で、再生するフレームを指定する。
【0049】
システムコントローラ11により、ドライブ回路2に対してフレーム(N+3)の再生が指令されたとき、光ピックアップは、逆方向への移動を行うが、そのとき、慣性力が働き、時間的なロスを生じる。そのため、フレーム(N+3)の読み出しが遅れる。
【0050】
システムコントローラ11より、ドライブ回路2に対してフレーム(N+2)の読み出しが指示されるべきときにおいても、まだ、フレーム(N+3)の読み出しが行われておらず、その後、フレーム(N+3)の読み出しが開始される。そして、映像信号伸張処理系3からは、フレーム(N+3)の代わりにバッファに記憶されている伸張処理が施されたフレーム(N+4)が出力される。フレーム(N+4)を出力したとき、光ディスク1よりフレーム(N+3)の読み出しが完了するので、次に、フレーム(N+3)の伸張処理が施され、出力される。このとき、光ディスク1からフレーム(N+1)の読み出しが完了しているので、次に、フレーム(N+1)の伸張処理が施された後、出力される。
【0051】
映像信号伸張処理系3よりフレーム(N+3)が出力されたとき、それ以前においては、映像信号伸張処理系3よりフレーム(N+4)が続けて出力されているため、動きベクトル検出系6においては、動きベクトルを検出することができない。そのため、補間ベクトル演算系7においては、直前に求めた動きベクトルV(N+3→N+4)を180度回転させて求めた補間ベクトルV1(N+3→N+4)を演算し、出力する。
【0052】
そして、補間回路8により、この補間ベクトルに基づいてフレーム(N+4)に対してシフト演算等による補間処理がなされ、補間結果としてのフレーム(N+3)1が切り換え回路9に供給される。このとき、切り換え回路9は、補間回路8からの出力を選択的に出力するように切り換えられているため、補間回路8の出力信号(フレーム(N+3)1)が切り換え回路9より出力される。
【0053】
映像信号伸張処理系3よりフレーム(N+1)が出力されたとき、それ以前においては、映像信号伸張処理系3よりフレーム(N+4)、フレーム(N+3)が出力されており、本来必要とされるフレーム(N+3)、フレーム(N+2)を得ることができないため、動きベクトル検出系6においては、必要とされる動きベクトルを検出することができない。そのため、補間ベクトル演算系7においては、先に求めた動きベクトルV(N+3→N+4)を2倍し、さらに180度回転させて求めた補間ベクトルV2(N+3→N+4)を演算し、出力する。
【0054】
そして、補間回路8により、この補間ベクトルに基づいてフレーム(N+4)に対してシフト演算等による補間処理がなされ、補間結果としてのフレーム(N+2)2が切り換え回路9に供給される。このとき、切り換え回路9は、補間回路8からの出力を選択的に出力するように切り換えられているため、補間回路8の出力信号(フレーム(N+2)2)が切り換え回路9より出力される。
【0055】
以上のようにして、再生モードが通常再生モードから逆転再生モードに移行し、データの読み取りが遅れた場合でも、補間処理によって得られた補間画像を出力し、表示することができるので、使用者は、あたかも逆転再生が瞬時に行われたかのように認識することができる。
【0056】
図5は、本発明を適用した再生装置の他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。この実施例においては、図1に示した実施例において、動きベクトル検出系6の代わりに、動きベクトルデータ抽出系21が設けられている。
【0057】
図5において、動きベクトルデータ抽出系21は、映像信号伸張処理系3より供給された伸張処理が施された映像信号から動きベクトルデータを抽出し、補間ベクトル演算系7に供給するようになされている。例えば、サブコードとして記録された動きベクトルデータや、MPEGではマクロブロック毎の動きベクトルデータを抽出するようになされている。そして、図1において必要であった遅延補正回路4を取り除くようにしている。これは、動きベクトルデータを抽出するのに時間を要しないためである。
【0058】
そして、補間ベクトル演算系7は、システムコントローラ11からの制御信号と、動きベクトルデータ抽出系21によって抽出された動きベクトルに基づいて、補間ベクトルを演算するようになされている。
【0059】
その他の構成および動作は、図1に示した実施の形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0060】
図1に示した実施の形態は、再生時に動きベクトルを検出する場合に用いられるものであるが、記録媒体(この場合、光ディスク)1にすでに、動きベクトルがサブコードやID信号として映像信号とは別に記録されている場合もある。あるいは、MPEGのような圧縮方法において、動きベクトルが帯域圧縮に利用され、圧縮映像信号と同時に記録されている場合もある。図5に示した実施の形態は、このように、動きベクトルが予め記録されていることを前提としている。
【0061】
このように予め記録されている動きベクトルデータを用いる場合、再生時に、動きベクトルを検出する必要がないので、回路を簡素化することができる。
【0062】
図6は、通常再生モードから高速再生モードに移行する場合の処理例を示す図である。この場合、通常再生モード(定常状態)から、過渡状態を経て、4倍速再生モード(高速再生モード)(定常状態)に移行するときの処理例を示している。
【0063】
高速再生においては、Iフレームを読み出す頻度を上げるため、光ディスク1を高速回転させる手法がある。ただし、ディスクが高速回転するまでの過渡状態では、Iフレームを読み出す頻度が少ないため、上述した方法により、補間処理を行い、見かけ上の応答性を上げることができる。そして、光ディスクが高速回転を始めたとき、Iフレームのみの再生を行い、高速再生を行う。
【0064】
図7は、GOP(Group of Picture)と倍速再生の関係を示す図である。例えば、4倍速再生の場合、Iフレームを読み出すことができた場合、それをそのまま出力する。そして、そのIフレームから4フレーム目のBフレームに対応する画像を生成する。この場合、隣接するPフレームからの予測は、1フレーム間の動きベクトルv1である。また、直前に送出したIフレームからの距離は、4フレームであるため、動きベクトルv1の値を4倍したものを使用し、画像I1を生成する。即ち、Iフレームを動きベクトル(v1×4)を用いて補正し、画像I1を生成する。
【0065】
次に、最初のIフレームから8フレーム目のBフレームに対応する画像を生成する。この場合、隣接するIフレームからの予測は、1フレーム間の動きベクトルv2であるが、そのIフレームは読み出せなかったため、以前に送出したIフレームを用いる。そのIフレームからの距離は8フレームであるため、動きベクトルの値を8倍して使用し、画像I2を生成する。即ち、Iフレームを動きベクトル(v2×8)を用いて補正し、画像I2を生成する。
【0066】
図8は、高速再生においては、動きベクトルの計算を新しいIフレームが読み出されたときのみ行うようにした例を示す図である。MPEGによって圧縮されたデータを高速再生する場合、MPEGシーケンスは間欠的にしか再生することができないため、動きベクトルの計算は、新しいIフレームが読み出されたときのみ行う。また、新しいIフレームが読み出されるまで、動きベクトルを保持する。
【0067】
従って、同図に示すように、通常再生の場合、動きベクトルの計算は、フレーム毎に行われるが、高速再生モードの場合、Iフレームが読み出されたときのみ行われる。従って、最初のBフレームと次のPフレームに対応する画像B1,P1は、最初のIフレームと動きベクトルv0を用いて生成される。ここで、動きベクトルv0は、最初のIフレームとその前のIフレームから計算された動きベクトルである。
【0068】
同様にして、次のPフレーム、Pフレーム、Bフレームに対応する画像P1,P1,B1は、2番目のIフレームと、動きベクトルv1に基づいて生成される。ここで、動きベクトルv1は、最初のIフレームと次のIフレームに基づいて計算された動きベクトルである。
【0069】
図9は、本発明のデータ処理装置を適用した再生装置のさらに他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。図9に示した実施の形態においては、図1および図5に示した実施の形態を組み合わせたものであり、動きベクトル検出系6と動きベクトルデータ抽出系21、および切り換え回路31を設けるようにし、切り換え回路31によって動きベクトル検出系6の出力信号と動きベクトルデータ抽出系21の出力信号を切り換えて補間ベクトル演算系7に供給するようになされている。
【0070】
補間ベクトル演算系7は、切り換え回路31を介して供給された動きベクトル検出系6および動きベクトルデータ抽出系21のいずれかより供給された動きベクトルと、システムコントローラ11より供給される制御信号に基づいて、補間ベクトルを演算する。システムコントローラ11は、読み出されたフレームに基づいて、切り換え回路31を制御するようになされている。
【0071】
例えば、MPEGの場合、Pフレーム,Bフレームでは、動きベクトルがマクロブロック単位で付加されているが、Iフレームでは、通常は付加されてない。そのため、読み出されたフレームに応じて、計算によって求めた動きベクトルと圧縮伸張用のベクトルを切り換えて使用する。
【0072】
図10は、高速再生において、計算した動きベクトルと、MPEG用のベクトルを切り換えて画像を生成する様子を示す図である。例えば、高速再生において、Iフレームを読み出すことができた場合、そのIフレームをそのまま出力する。そして、次のIフレームを読み出すことができたとき、そのIフレームをそのまま出力するとともに、前のIフレームとの間で動きベクトル(この例の場合、ベクトルv1)を計算する。
【0073】
そして、この例の場合、次の画像を出力するタイミングにおいて、読み出しが可能な画像がないので、先に読みだしたIフレームと動きベクトルv1を用いて出力すべき画像を生成する。次に、Pフレームを読み出したときは、MPEG用の動きベクトルを用いて、2番目に読み出したIフレームから画像を生成する。次に、Bフレームを読み出したときは、MPEG用のベクトルを用いて、先に読み出したPフレームと最後のIフレームとから画像を生成する。
【0074】
このように、計算によって求めた動きベクトルと、抽出した動きベクトルを切り換えて使用することにより、より効率的な再生を行うことができる。
【0075】
なお、上記各実施の形態においては、各々のフレームで1つの動きベクトルを用いることを前提にしているが、MPEGのように、マクロブロック単位で動きベクトルがある場合には、各々の動きベクトルについて補間ベクトルを計算し、ブロック単位に補間処理を行うようにすることも可能である。また、多数の動きベクトルの中から、代表するような動きベクトルを1つまたは複数選択し、それに基づいて補間処理を行うようにすることもできる。
【0076】
また、上記実施の形態においては、記録媒体を光ディスクであるものとして説明したが、ハードディスクやその他の記録媒体を用いることも可能である。
【0077】
【発明の効果】
請求項1に記載のデータ処理装置、および請求項4に記載のデータ処理方法によれば、記録媒体から読み出すべきデータを指定し、指定されたデータを記録媒体から読み出し、読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をし、読み出されたデータと補間されたデータのいずれかを切り換えて出力するとき、指定されたデータの読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出されたデータと補間されたデータのいずれを出力するかを決定するようにしたので、記録媒体へのアクセスタイムを短くすることなく、見かけ上の応答性を向上させることができる。これにより、装置の操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデータ処理装置を適用した再生装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の再生装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1の各部より通常再生時に出力される信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】図1の各部より逆転再生時に出力される信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明のデータ処理装置を適用した再生装置の他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図6】過渡状態と定常状態における再生方法を示す図である。
【図7】GOPと倍速再生の関係を示す図である。
【図8】動きベクトルの再計算をIフレームの読み出し時にのみ行う場合の例を示す図である。
【図9】本発明のデータ処理装置を適用した再生装置のさらに他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図10】計算した動きベクトルと、MPEG用のベクトルを切り換えて再生する方法を示す図である。
【符号の説明】
1 記録媒体, 2 ドライブ回路, 3 映像信号伸張処理系, 4,5 遅延補正回路, 6 動きベクトル検出系, 7 補間ベクトル演算系, 8 補間回路, 9 切り換え回路, 10 読み出し状況検出回路, 11 システムコントローラ, 21 動きベクトルデータ抽出系, 31 切り換え回路

Claims (6)

  1. 記録媒体から読み出すべきデータを指定する指定手段と、
    前記指定手段によって指定された前記データを前記記録媒体から読み出す読み出し手段と、
    前記読み出し手段によって読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をする補間手段と、
    前記読み出し手段によって読み出された前記データと前記補間手段によって補間されたデータのいずれかを切り換えて出力する切り換え手段と
    を備え、
    前記切り換え手段は、前記指定手段によって指定された前記データの前記読み出し手段による読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、前記読み出し手段によって読み出された前記データ前記補間手段によって補間されたデータのいずれを出力するかを決定する
    ことを特徴とするデータ処理装置。
  2. 前記読み出し手段によって読み出された所定のデータと前記予測の元になるデータとの間の動きベクトルに基づいて、前記予測の元になるデータと予測したいデータとの間の動きベクトルである補間ベクトルを演算する演算手段
    をさらに備え、
    前記補間手段は、前記演算手段によって演算された補間ベクトルに基づいて、前記予測の元になるデータに対して補間処理をする
    ことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
  3. 前記読み出し手段によって読み出された前記データ間の動きベクトルを検出する検出手段と、
    前記読み出し手段によって読み出された前記データ間の動きベクトルを抽出する抽出手段と
    前記演算手段は、前記検出手段によって検出された動きベクトルと前記抽出手段によって抽出された動きベクトルのいずれかに基づいて、補間ベクトルを演算する
    ことを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
  4. 記録媒体から読み出すべきデータを指定し、
    指定された前記データを前記記録媒体から読み出し、
    読み出された予測の元になるデータに対して補間処理をし、
    読み出された前記データと補間されたデータのいずれかを切り換えて出力するとき、
    指定された前記データの読み出しが所定の基準時間内に行われているか否かに基づいて、読み出された前記データと補間されたデータのいずれを出力するかを決定する
    ことを特徴とするデータ処理方法。
  5. 読み出された所定のデータと前記予測の元になるデータとの間の動きベクトルに基づいて、前記予測の元になるデータと予測したいデータとの間の動きベクトルである補間ベクトルを演算し、
    演算された補間ベクトルに基づいて、前記予測の元になるデータに対して補間処理をする
    ことを特徴とする請求項4に記載のデータ処理方法。
  6. 読み出された前記データ間の動きベクトルを検出し、
    読み出された前記データ間の動きベクトルを抽出し、
    検出された動きベクトルと抽出された動きベクトルのいずれかに基づいて、補間ベクトルを演算する
    ことを特徴とする請求項5に記載のデータ処理方法。
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