JP3867668B2 - 偏向電磁石、荷電粒子輸送路、および円形加速装置 - Google Patents

偏向電磁石、荷電粒子輸送路、および円形加速装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の荷電粒子ビームを偏向する偏向電磁石において、上記複数の荷電粒子ビームの通過領域における磁場の制御が容易な偏向電磁石の構成を示すものである。また、このような偏向電磁石を用いた荷電粒子輸送路、および上記偏向電磁石を用いた円形加速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
荷電粒子の利用に際しては、荷電粒子を所定の位置に導く必要がある。
この役割を担うのが荷電粒子輸送路であるが、上記荷電粒子輸送路では、各種の用途に応じて偏向電磁石が使用されることが多い。特に、複数の荷電粒子ビームよりなる幅の広い荷電粒子ビームを用いる場合には、当該ビーム幅に対応する幅の広い輸送路が必要になる。その場合、上記偏向電磁石は幅の広いものにする必要が生じると共に、この幅の広い領域に亘り磁場を制御して、所定の位置に必要なビームサイズでビームが輸送できるようにする必要がある。
【0003】
例えば、質量分離された高品質広幅パラレルリボンビームによりイオン注入を行うイオン注入装置においては、ビーム強度の均質化を実現するために、注入ビームはマルチポールと呼ばれる、直線状に配置された複数の小型の偏向電磁石のトンネル(電磁石トンネル)を通過する構成となっている(例えば、非特許文献1参照。)。このような装置ではマルチポールを構成する各偏向電磁石毎に、その通電電流をフィードバック制御し、荷電粒子が輸送される電磁石トンネル内の磁場を制御することによって、ビーム強度のばらつきが約3%以下である均質なビームを得ていた。
【0004】
また、幅広の偏向電磁石を利用した他の例にマイクロトロン加速装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この加速装置は、当該加速装置の両端部に一定磁場強度の大型の偏向電磁石を備え、電子を加速装置内で周回させるようにした周回型円形加速装置である。この装置では、電子は原則として1周回ごとに、電子加速機能を有する高周波加速空洞が設置された加速軌道を通過し、加速の都度に電子ビームのエネルギーが変化する。また、両端の大型偏向電磁石の磁場が一定であることから、上記加速軌道以外の軌道では、電子のエネルギーに応じて異なる周回軌道となるように設計されている。このように、マイクロトロン加速装置では、複数の周回軌道により荷電粒子(電子)輸送路が構成されるが、通常、上記大型偏向電磁石に入る前面に、所定のビーム集束力を得るために、逆方向の偏向特性を有する偏向電磁石を追加配置する。このビーム集束力の調整に際しては、ビームダイナミックスの要請により、追加偏向電磁石における各軌道毎のBL積(磁場強度のビーム進行方向の積分値)が同じである必要がある。但し、L(偏向電磁石における磁場の有効長さ)は、構成を簡単にするために通常一定に設計されるので、上記追加偏向電磁石は、複数の電子ビーム通過部分に亘って磁場強度が均一であることが必要となる。
【0005】
マイクロトロン加速装置の上記追加偏向電磁石には、従来、前述のイオン注入装置で使用しているマルチポール型の小型電磁石トンネルと同種のタイプの電磁石を使用していた。即ち、電子ビームの各軌道毎に、その位置に対応した場所に小型の偏向電磁石を設置し、各電磁石毎の通電量を制御することにより各軌道毎の磁場強度のばらつきを小さくするという制御を行っていた。
【0006】
【非特許文献1】
出川 通、外3名,「大面積用イオン注入装置の開発と応用」,第2回・応用加速器・関連技術研究シンポジウム(1999年12月1−3日,東京)(Proceedings of the Second Symposium on Accelerator and Related Technology for Application),シンポジウム組織委員会,p.33−p.36
【特許文献1】
特開2002−237400号公報(第5−7頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の円形加速装置やイオン注入装置に用いられる偏向電磁石では、前述のように、複数の荷電粒子ビームの通過領域の上下にそれぞれ複数の磁極を設け、複数の磁極にそれぞれ巻かれたコイルの励磁電流を各磁極毎に変化させることにより、各軌道毎の磁場を制御することが多かった。あるいは、複数の磁極のギャップ間距離を各軌道毎に変えることで制御することが行われていた。しかしながら、上記イオン注入装置の例に示すように、従来の偏向電磁石では側面にリターンヨークを備えた構成であるため、磁路はビーム進行方向に垂直な面内に形成される構成であった。このような構成において、電磁石を構成する鉄等の比透磁率は有限であり、磁極ギャップが同じでも、また各電磁石毎の通電量が同じでも、リターンヨークに近い部分の磁場が、遠い部分の磁場に比べて強くなるため、各コイル通電量を同じにしても、ビーム強度の均一化を図るために必要な各軌道毎の磁場の均一度は達成できない。これを改善するためには、通常、各コイルの励磁電流を制御することにより、磁場強度分布の均一化を図るが、リターンヨークが一体となっているため、ヨーク内の各磁極毎の磁束が互いに相関をもつことにより、ある磁極のコイル電流を変化させた場合には別の磁極の磁場分布も変わってしまい、磁場強度の制御が非常に難しくなるといった問題があった。このように、従来の構成の偏向電磁石を用い、複数の荷電粒子ビームが通過する領域の磁場の制御を行うには、調整箇所が多く、相互に作用し合うため、調整が複雑であるといった問題があった。
また、磁場ヒステリシス特性に起因する残留磁場により、磁場強度と電磁石コイル通電量との関係が一定せず、その都度再調整を要するため、ΔB/B=1×10−3以下にするのは大変な手間を要し、かなり困難な作業となるという問題があった。
特に、上記マイクロトロン加速装置の場合は、均一度±0.1%という厳しい精度要求があるため、従来の偏向電磁石で得られる磁場均一度ではこれに対応することが難しく、結果として荷電粒子ビームの軌道調整が困難であった。このことは、複数のビーム軌道をもつ円形加速装置の実現をも困難にするものであった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、複数の荷電粒子ビームの通過領域における磁場の制御が容易な偏向電磁石、及びこのような偏向電磁石を用い、所望の機能が容易に達成できる荷電粒子輸送路を提供するものである。また、偏向電磁石における磁場を高い均一度で均一にして、荷電粒子ビームの軌道調整が容易な円形加速装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏向電磁石は、複数の荷電粒子ビームを偏向させる偏向電磁石において、上記偏向電磁石の磁極は、上記複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の両側の面にそれぞれ設けられ、上記偏向電磁石のリターンヨークは、上記荷電粒子ビームの進行方向に対し垂直な面内に設けられると共に、上記複数の荷電粒子ビームが通過する複数の貫通穴を有し、上記複数の貫通穴は、少なくとも1つの貫通穴の穴断面積が他の貫通穴の穴断面積と異なっているものである。
【0010】
また、本発明の荷電粒子輸送路は、上記偏向電磁石と、上記偏向電磁石のリターンヨークにおける複数の貫通穴にそれぞれ配設され、荷電粒子を輸送する真空ダクトとを備えたものである。
【0011】
また、本発明の円形加速装置は、高周波加速空洞で加速された荷電粒子を、上記荷電粒子のエネルギーに応じて異なる複数のビーム軌道で周回する円形加速装置において、各ビーム軌道毎に、上記ビーム軌道を包含するように設けられた複数の真空ダクトに、上記構成の偏向電磁石を取り付け、上記偏向電磁石のリターンヨークにおける複数の貫通穴のそれぞれを上記複数の真空ダクトが通過するように構成したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1による荷電粒子輸送路における偏向電磁石の構成を示す斜視図である。図1において、偏向電磁石1は、複数の荷電粒子ビームが通過する領域の上側(複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の上側)に設けられた上側磁極10aとコイル11a、上記領域の下側(複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の下側)に設けられた下側磁極10bとコイル11b、及び荷電粒子の進行方向(矢印A方向と平行な方向)に対し垂直な面内に設けられたリターンヨーク12で構成されている。上記リターンヨーク12には複数の貫通穴13が設けられ、上記複数の貫通穴13に、荷電粒子を輸送する複数の真空ダクトを配設する。また、上記複数の貫通穴13は、少なくとも1つの貫通穴の穴断面積が他の貫通穴の穴断面積と異なっている。磁極10a、10bは複数のビーム通過領域の全体に亘って設けられ、複数のビーム通過領域の全体に亘ってコイル11a、11bが巻かれている。
【0013】
図2(a)は図1に示す偏向電磁石1を図1の矢印A方向より見た図、図2(b)は偏向電磁石1の貫通穴13中に真空ダクト2を配置した図である。荷電粒子は真空ダクト2中を輸送される。真空ダクト2は走行する荷電粒子ビームを包含する位置・大きさで設置する。貫通穴13は荷電粒子通過領域に設けられているが、その穴断面積は、複数の荷電粒子ビームの通過領域における磁場が所望の磁場分布となるように設計されており、本実施の形態では偏向電磁石1のビーム通過領域全体に 亘って磁場が均一となる様に設計されている。なお、真空ダクト2の中心位置は荷電粒子ビームの中心位置と一致させるが、貫通穴13の中心位置は、真空ダクト2が入るという条件のみ満たされていれば良く、貫通穴13の中心位置と荷電粒子ビームの中心位置とは一致させる必要はない。
【0014】
次に、複数の貫通穴13の穴断面積について述べる。
偏向電磁石の磁極間のギャップ長が同じ場合でも磁場分布が均一とならないメカニズムは以下の通りである。磁極ギャップ中で発生した磁力線はリターンヨーク中を戻る。リターンヨークがビーム通過領域の側面ではなく、荷電粒子の進行方向に対し垂直な面内に設けられていると、磁石全体の磁力線の分布は均一となり、磁極ギャップで発生する磁場強度はほぼ均一となるが、本実施の形態のようにリターンヨーク12に貫通穴13があると、貫通穴13中には磁力線は殆ど通らず、磁気抵抗が小さい鉄(磁石の材質として鉄を仮定)中を、貫通穴13を取り囲むように磁力線が回る。よってリターンヨーク12の鉄中の磁束密度に位置依存性が生じ、磁束密度が異なると透磁率が異なるので磁気抵抗にも位置依存性が生じる。よって磁石全体の磁力線の分布が変化し、磁極ギャップで発生する磁場強度にも場所依存性が生じる。
【0015】
図3(a)は貫通穴13の穴断面積を均一にした場合の、磁極ギャップで発生する磁場強度分布を計算した結果を示す図である。貫通穴の断面形状は長方形であり、垂直方向の穴径(貫通穴の高さ)を4.6cm、水平方向の穴径(貫通穴の幅)を8cmとした。各貫通穴(貫通穴番号1〜6)の中心位置は下記の表1に示すようにした。ここで、各貫通穴13の中心位置は概略荷電粒子が通過する位置にあわせる必要があり、任意の位置に選ぶことはできない。図3(a)において、横軸は水平方向位置(m)、縦軸は磁場強度(Tesla)、荷電粒子が通過する部分は、x=0mからx=1.2mの部分である。また、磁極ギャップには負極性の磁場を発生させている。図3(a)より、磁場の絶対値の最大値は0.01920(Tesla)、最小値は0.01912(Tesla)程度であり、不均一性は、(0.01920−0.01912)/0.01920/2=0.0021で、ΔB/B=±0.21%であり、荷電粒子が周回する型の円形加速装置で用いる為に十分とはいえない。
【0016】
【表1】
Figure 0003867668
【0017】
図3(b)は貫通穴13の断面積を貫通穴毎に変化させた場合の、磁極ギャップで発生する磁場強度分布を計算した結果を示す図である。貫通穴の断面形状は図3(a)の場合と同様、長方形であり、垂直方向の穴径(貫通穴の高さ)は4.6cm、水平方向の穴径(貫通穴の幅)は下記の表2に示すように各貫通穴(貫通穴番号1〜6)毎に変化させている。なお各貫通穴の中心位置、及び磁場の極性は図3(a)のものと同じである。図3(b)において、横軸は水平方向位置(m)、縦軸は磁場強度(Tesla)、荷電粒子が通過する部分は、x=0mからx=1.2mの部分である。図3(b)より、磁場の絶対値の最大値は0.019135(Tesla)、最小値は0.019118(Tesla)であり、不均一性は、(0.019135−0.019118)/0.019135/2=0.00044で、ΔB/B=±0.04%となる。図3(a)の結果と比較して、円形加速装置で用いるために十分な均一度(一般的な許容値:ΔB/B=±0.1%以下)を得ることができる。なお、各貫通穴の穴断面積(ここでは各貫通穴の幅)は、コンピュータシミュレーションによる磁場分布計算を繰り返し行うことにより、必要な均一度が得られる値が決定される。あるいは、磁場測定と試作を繰り返し行うことにより、必要な均一度が得られる値が決定される。また、磁場分布は鉄等の磁性体の透磁率が変化すると変わるので、透磁率をなるべく実際に使用する材質に近い値にして最適化を行うことが必要となる。
【0018】
【表2】
Figure 0003867668
【0019】
以上のように、本実施の形態による偏向電磁石は、従来の偏向電磁石のように、複数のビーム軌道に対応した場所毎に複数の小型の偏向電磁石を設置し。各偏向電磁石への通電量を制御することによって、各軌道毎の磁場を制御するのではなく、偏向電磁石の幾何学的形状により各軌道毎の磁場を制御する、即ちリターンヨークを荷電粒子ビームの進行方向に対し垂直な面内に設け、さらにリターンヨークに設ける複数の貫通穴の穴断面積をコンピュータシミュレーションによって設計することにより、所望の磁場分布が得られるようにしているので、簡単な構成で、容易に複数の荷電粒子ビームが輸送される部分の磁場を均一に発生させることが可能となる。
【0020】
なお、上記実施の形態1では貫通穴の断面積は長方形であったが、角部をR加工した略長方形であっても、また円形、楕円形、レーストラック形状等であっても同様な効果を得ることができる。
長方形、または略長方形の場合は、製作が容易な偏向電磁石を実現できる、貫通穴に通す真空ダクトの支持が容易になる等の効果がある。
【0021】
また、上記実施の形態では、偏向電磁石における磁極は、複数の真空ダクトの上下に、複数のビーム通過領域の全体に亘って一対設ける構成としたが、1つ以上のビーム軌道毎に、複数対、分割して設け、それぞれにコイルを別々に設ける構成としても良い。一対である場合は、上記効果に加え、製作が容易である効果がある。各ビーム軌道毎に個別に設ける場合は、形成される磁場をさらに微調整することができる効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図4、及び図5は、各々本発明の実施の形態2による円形加速装置を示す斜視図、及び平面構成図であり、荷電粒子として電子を加速するマイクロトロンである。本実施の形態においては、荷電粒子が大型偏向電磁石に入る前面に設けられた、逆方向の偏向特性を有する偏向電磁石に対して、実施の形態1と同様の構成の偏向電磁石を適用したものである。但し、これらの図では、当該偏向電磁石の詳細を示すことは困難なので、従来のマイクロトロン加速装置の構成との外見上の差異は現れていない。
【0023】
図4、5において、電子銃31で発生した電子は、輸送路32を通過して高周波加速空洞33に入射する。高周波加速空洞33に入射した電子は高周波加速空洞33で加速され、一対の偏向電磁石35、36で偏向されて、高周波加速空洞33を何回も通過する。上記一対の偏向電磁石35、36は、装置両端に設置された一対の第1偏向電磁石(大型偏向電磁石)35と、電子が第1偏向電磁石35に入る前面、即ち高周波加速空洞33と第1偏向電磁石35との間に設けられた一対の第2偏向電磁石36とで構成されている。一対の偏向電磁石35、36で偏向され、高周波加速空洞33に再度入射した電子は、高周波加速空洞33でさらに加速され、加速の都度に電子ビームのエネルギーが変化するので、加速軌道以外の軌道では、荷電粒子のエネルギーに応じて異なる周回軌道となる。第2偏向電磁石36は、第1偏向電磁石35と逆極性であり、電子を逆方向に偏向させて所定のビーム集束力を得るように磁場強度が調整されている。また、電子は高真空でないとガスとの散乱により失われてしまうので、真空ダクト34中を輸送されるが、この真空ダクト34は、各ビーム軌道毎に、ビーム軌道を包含するように設けられる。図4、5においては、電子は4つの周回軌道をとり、これら4つの周回軌道は、図に示すように、第2偏向電磁石36に接続される5本の真空ダクト34a〜34e内に形成される。
【0024】
本実施の形態による円形加速装置においては、上記第2偏向電磁石36に実施の形態1と同様の構成の偏向電磁石を適用する。即ち、実施の形態1における偏向電磁石1は第2偏向電磁石36に相当する。
【0025】
第2偏向電磁石36は、前述のように、所定のビーム集束力を得るために配置されており、ビーム起動毎の偏向角を一定にして周回できるようにするためには、各電子ビーム軌道毎のBL積(磁場強度のビーム進行方向の積分値)を同じにする必要がある。従って、この部分に実施の形態1の偏向電磁石を用いると、磁場強度の均一化が簡単になり、その結果、電子ビームの軌道がずれることが無く、電子ビームの軌道調整が容易な円形加速装置を提供することが可能となる。
【0026】
なお、上記実施の形態2ではマイクロトロン等の電子を加速する円形加速装置に対して、実施の形態1に示した偏向電磁石を適用したが、他の荷電粒子の円形加速装置に適用してもよく、偏向電磁石のビーム通過領域における磁場の制御が容易となる。
また、イオンビーム加工機における荷電粒子輸送路に対しても、実施の形態1に示した偏向電磁石を適用することにより、ビーム通過領域における磁場の制御が容易となり、均質なイオンビームが容易に得られるようになる。
また、その他、複数の荷電粒子ビームを偏向させる幅広の偏向電磁石を備えた種々の荷電粒子輸送路、加速装置、荷電粒子蓄積装置等において、実施の形態1と同様の構成の偏向電磁石を適用してもよく、簡単な構成により、上記偏向電磁石における磁場の制御が容易となり、ビーム調整等、所望の機能が達成できる、性能の優れた装置を得ることが可能となる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、複数の荷電粒子ビームを偏向させる偏向電磁石において、上記偏向電磁石の磁極は、上記複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の両側の面にそれぞれ設けられ、上記偏向電磁石のリターンヨークは、上記荷電粒子ビームの進行方向に対し垂直な面内に設けられると共に、上記複数の荷電粒子ビームが通過する複数の貫通穴を有し、上記複数の貫通穴は、少なくとも1つの貫通穴の穴断面積が他の貫通穴の穴断面積と異なっているので、簡単な構成の偏向電磁石により、複数の荷電粒子ビームの通過領域における磁場の制御が容易となる効果がある。
【0028】
また、この発明によれば、上記偏向電磁石と、上記偏向電磁石のリターンヨークにおける複数の貫通穴にそれぞれ配設され、荷電粒子を輸送する真空ダクトとにより荷電粒子輸送路を構成したので、磁場の制御が容易となるため、性能の優れた輸送路が容易に得られる効果がある。
【0029】
また、この発明によれば、高周波加速空洞で加速された荷電粒子を、上記荷電粒子のエネルギーに応じて異なる複数のビーム軌道で周回する円形加速装置において、各ビーム軌道毎に、上記ビーム軌道を包含するように設けられた複数の真空ダクトに、上記構成の偏向電磁石を取り付け、上記偏向電磁石のリターンヨークにおける複数の貫通穴のそれぞれを上記複数の真空ダクトが通過するように構成したので、偏向電磁石における磁場を高い精度で均一にでき、荷電粒子ビームの軌道調整が容易な円形加速装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による荷電粒子輸送路における偏向電磁石の構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わる偏向電磁石及び荷電粒子輸送路を図1の矢印A方向より見た図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係わる偏向電磁石において、貫通穴の穴断面積が均一な場合と変化させた場合とにおける磁場強度分布を計算した結果を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態2による円形加速装置を示す斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態2による円形加速装置を示す平面構成図である。
【符号の説明】
1 偏向電磁石、2,34,34a〜34e 真空ダクト、10a,10b 磁極、11a,11b コイル、12 リターンヨーク、13 貫通穴、31 電子銃、32 輸送路、33 高周波加速空洞、35 第1偏向電磁石、36 第2偏向電磁石。

Claims (6)

  1. 複数の荷電粒子ビームを偏向させる偏向電磁石において、上記偏向電磁石の磁極は、上記複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の両側の面にそれぞれ設けられ、上記偏向電磁石のリターンヨークは、上記荷電粒子ビームの進行方向に対し垂直な面内に設けられると共に、上記複数の荷電粒子ビームが通過する複数の貫通穴を有し、上記複数の貫通穴は、少なくとも1つの貫通穴の穴断面積が他の貫通穴の穴断面積と異なっていることを特徴とする偏向電磁石。
  2. 複数の貫通穴の断面形状が略長方形であり、各貫通穴の垂直方向の穴径が等しく、少なくとも1つの貫通穴の水平方向の穴径が他の貫通穴の水平方向の穴径と異なっていることを特徴とする請求項1記載の偏向電磁石。
  3. 磁極は複数の磁極で構成され、各磁極は各荷電粒子ビームの通過領域に対応して配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の偏向電磁石。
  4. 磁極は、複数の荷電粒子ビームの通過領域全体に亘って、複数の荷電粒子ビームが並ぶ面の両側の面に一対設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の偏向電磁石。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の偏向電磁石、および上記偏向電磁石のリターンヨークにおける複数の貫通穴にそれぞれ配設され、荷電粒子を輸送する真空ダクトを備えたことを特徴とする荷電粒子輸送路。
  6. 高周波加速空洞で加速された荷電粒子を、上記荷電粒子のエネルギーに応じて異なる複数のビーム軌道で周回する円形加速装置において、各ビーム軌道毎に、上記ビーム軌道を包含するように設けられ、上記荷電粒子を輸送する複数の真空ダクト、および上記複数の真空ダクトが、リターンヨークにおける複数の貫通穴のそれぞれを通過するように構成した請求項1ないし4のいずれかに記載の偏向電磁石を備えたことを特徴とする円形加速装置。
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