JP2013541817A - 改良された多極マグネット - Google Patents

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Abstract

荷電粒子のビームを偏向させるための多極マグネットであって、この多極マグネットは、極面内に配置された複数の強磁性体形磁極と、それぞれが磁化方向を有し、かつそれぞれが複数の強磁性体形磁極に起磁力を提供するように配置されて、磁極間のビームライン空間内の極面に沿って磁界を発生する複数の永久磁石と、複数の永久磁石の少なくとも1つから磁束を導くように構成された複数の強磁性体形磁束伝導部材と、を具備し、多極マグネットは偶数の強磁性体形磁極を有し、各磁極は極軸に沿って極面内で他の磁極に対して互いに正反対の位置に配置され、複数の永久磁石のそれぞれは、複数の磁極の少なくとも1つに関連付けられ、各永久磁石の磁化方向は対応する磁極の極軸に対して少なくとも45°の角度で極面に向けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は多極マグネットに関し、さらに具体的に言うと、これに限定されることはないが、永久磁石を含み、荷電粒子のビームを偏向、集束又は他の特性を変更するために好適な改良された多極マグネットに関する。
多極マグネットは、複数の磁極から構成され、とりわけ粒子加速器の中で荷電粒子ビームの偏向、集束又は他の特性を変更するために使用される。多極マグネットは、ビームの全体的な方向を変更するため、ビームをフォーカス又はデフォーカスするため、又はビーム内の収差を補正するために使用することができる。これらのタスクを実行するための多極マグネットの適合性は、現在の磁極の数によって大きく決定される。4つの磁極を有する4極マグネットは、例えば、荷電粒子のビームをフォーカス及びデフォーカスするために特に適している。現代の粒子加速器ビームラインでは、数百の多極マグネットを単一のビームラインに沿って使用することができる。提案された将来のビームラインでは、数千の多極マグネットが単一のビームラインに必要とされる可能性がある。
多極マグネット装置に使用されるマグネットは、強磁性体の磁極の周りに巻き付けられた電流伝送線から成る電磁石、又は生まれながらに磁化されている永久磁石とすることができる。
電磁石は、一般に、高価な電源を必要とし、また、電流伝送コイルで発生した熱を取り除く冷却手段を必要とすることがある。この冷却手段は、例えば、冷却水を循環することができる配管システム又は冷却された空気を循環する空気流システムを備えることができる。どのような冷却システムも、それぞれの多極マグネットに関連した付加的なセットアップ費用やランニング費用がかかり、また多極マグネットの周りに動作するための十分な空間も必要である。
対照的に、永久磁石形多極マグネットは、電源装置または冷却システムを必要としない。永久磁石形多極磁石の一例は、US−A−2002/0158736(Gottschalk S.C.)に記載されている。ゴットシャールク形多極マグネットは、複数の強磁性体形磁極と磁極間に可変磁界を生成するための磁極に対して移動可能な1つ又は複数の永久磁石とを備えている。
本発明の目的は、永久磁石を含み、従来技術の多極マグネットに対して利点がある改良された多極マグネットを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、荷電粒子のビームを偏向させるための多極マグネットが提供される。この多極マグネットは、
極面内に配置された複数の強磁性体形磁極と、
それぞれが磁化方向を有し、かつそれぞれが複数の強磁性体形磁極に起磁力を提供するように配置されて、磁極間のビームライン空間内の極面に沿って磁界を発生する複数の永久磁石と、
複数の永久磁石の少なくとも1つから磁束を導くように配置された複数の強磁性体形磁束伝導部材と、
を具備し、
多極マグネットは偶数の強磁性体形磁極を有し、各磁極は極軸に沿って極面内で他の磁極に対して互いに正反対の位置に配置され、複数の永久磁石のそれぞれは、それに関連した複数の磁極の少なくとも1つを有し、ここで各永久磁石の磁化方向は対応する磁極の極軸に対して少なくとも45°の角度で極面に向けられている。
好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して135°以下の角度で極面に向けられている。別の好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して75°の角度で極面に向けられている。別の代替の好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向が対応する磁極の極軸に対して少なくとも90°の角度で極面に向けられている。別の代替の実施形態では、各永久磁石の磁化方向が対応する磁極の極軸に対して120°の角度で極面に向けられている。
任意の上述した実施形態では、この多極マグネットは、電源又は冷却システムを必要とすることなく、高品質の磁界を発生することができ、かつ最小限の体積で構成することができる。このため、多極マグネットは、空間が特に限定されている場所(例えば、トンネルなどの遮蔽空間)又は周囲の空間への熱放散が減少するように制約されている場所であるビームライン内で使用するのに特に適している。電源が不要であることを考えると、多数のこれらの多極マグネットは、同様の数の電磁形多極マグネットと比較すると、かなり低コストで操作することができる。
好ましい実施形態では、複数の永久磁石及び複数の強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも1つが、ビームライン空間内の磁界の強度を変化させるように、複数の強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能である。この好ましい機構は、調整機能を有する多極マグネットを提供するため、ビームライン空間内の磁束密度は、複数の永久磁石及び複数の強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも1つの変位を制御することによってコントロールされる。
好ましいことに、各強磁性体形磁束伝導部材は、関連した強磁性体形磁極から間隔を空けて配置されて、複数の永久磁石のみが強磁性体形磁極に対して極面内で移動することができる。
別の好ましい実施形態では、各永久磁石は、関連した各強磁性体形磁束伝導部材と一緒に関連した強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能であり、各永久磁石とその関連した強磁性体形磁束伝導部材との間の相対的な移動が実質的に許容されないようにされる。さらに好ましいことに、複数の永久磁石及び複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、関連した磁極の極軸に対して45°の角度で指向された経路に沿った極面に沿って移動可能である。
1つの好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して45°よりも大きく135°よりも小さい角度で極面に向けられ、複数の永久磁石のそれぞれは複数の磁極の1つに関連付けられ、かつ
強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかは、2つの隣接した磁極の永久磁石の間に磁束を向ける強磁性体形ブリッジを含む。
本発明の第2の態様によれば、荷電粒子のビームを偏向するための多極マグネットが提供される。この多極マグネットは、
極面内に配置された複数の強磁性体形磁極と、
起磁力を複数の強磁性体形磁極のうちの少なくとも1つに与えて、磁極間のビームライン空間内の極面に沿って磁界を発生するように構成された複数の永久磁石と、
複数の永久磁石のなかの少なくとも1つからの磁束を指向するように構成された複数の強磁性体形磁束伝導部材と、
を具備し、
複数の永久磁石及び複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、複数の強磁性体形磁極に対して極面内で移動して、ビームライン空間内の磁界の強度を変化させることができる。
この多極マグネットは、その結果、外部電源や冷却システムを必要とせず、高品質で調節可能な磁界を生成することができ、かつ最小限の体積の中で構成することができる。このように、この多極マグネットは、空間が特に限定されている場所(例えば、トンネルなどの遮蔽空間)又は周囲の空間への熱放散が減少するように制約されている場所であるビームライン内で使用するのに特に適している。電源が不要であることを考えると、多数のこれらの多極マグネットは、同様の数の電磁形多極マグネットと比較すると、かなり低コストで操作することができる。
好ましいことに、各強磁性体形磁束伝導部材は、関連した強磁性体形磁極から間隔を空けて配置されており、複数の永久磁石のみが強磁性体形磁極に対して極面内で移動することができる。
別の好ましい実施形態では、各永久磁石は、関連した強磁性体形磁束伝導部材と一緒に関連した強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能であり、各永久磁石とその関連した強磁性体形磁束伝導部材との間の相対的な移動は実質的に許容されない。
特に好ましい実施形態では、多極マグネットは偶数の強磁性体形磁極を有し、各磁極は極軸に沿って極面内で他の磁極に対して互いに正反対の位置に配置される。好ましいことに、複数の永久磁石及び複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、関連した磁極の極軸に対して45°の角度で指向された経路に沿った極面に沿って移動することができる。
好ましい実施形態では、複数の永久磁石のそれぞれは磁化方向を有し、かつ各永久磁石はそれに関連した複数の磁極のなかの少なくとも1つを有し、ここで各永久磁石の磁化方向は対応する極の極軸に対して少なくとも45°の角度で極面に向けられている。
好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して135°以下の角度で極面に向けられている。別の好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して75°の角度で極面に向けられている。別の代替の好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向が対応する磁極の極軸に対して少なくとも90°の角度で極面に向けられている。別の代替の実施形態では、各永久磁石の磁化方向が対応する磁極の極軸に対して120°の角度で極面に向けられている。
任意の上述した実施形態では、この多極マグネットは、電源又は冷却システムを必要とすることなく、高品質の磁界を発生することができ、かつ最小限の体積で構成することができる。このため、多極マグネットは、空間が特に限定されている場所(例えば、トンネルなどの遮蔽空間)又は周囲の空間への熱放散が減少するように制約されている場所であるビームライン内で使用するのに特に適している。電源が不要であることを考えると、多数のこれらの多極マグネットは、同様の数の電磁形多極マグネットと比較すると、かなり低コストで操作することができる。
1つの好ましい実施形態では、各永久磁石の磁化方向は、関連した磁極の極軸に対して45°よりも大きく135°よりも小さい角度で極面に向けられ、複数の永久磁石のそれぞれは複数の磁極の1つに関連付けられ、かつ
強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかは、2つの隣接した磁極の永久磁石の間に磁束を向ける強磁性体形ブリッジを含む。
永久磁石が磁極から離れるにつれて、磁極を通ってビームライン空間に入る磁束は少なくなる。永久磁石が磁束伝導部材に接近していると、ビームライン空間内の磁束密度を減らすように作用する短絡をもたらす。このため、短絡を作ってビームライン空間内の磁束の強度を減らすために、磁束伝導部材を永久磁石に近付くように移動することができる。永久磁石と磁束伝導部材との相対的な移動はまた、ビームラインの空間内の磁束密度を減らすように作用するエアギャップを作ることができる。
1つの好ましい実施形態では、少なくとも幾つかの強磁性体形磁束伝導部材は、そこから磁束を導くための少なくとも1つの永久磁石に関連したキャップを備えている。
さらに別の又は代替の好ましい実施形態では、少なくとも幾つかの強磁性体形磁束伝導部材は、磁極と永久磁石とを取り囲む不連続シェルを備えている。
幾つかの好ましい実施形態では、強磁性体形磁極と強磁性体形磁束伝導部材との合計は、永久磁石の数よりも大きい。
さらに別の又は代替の好ましい実施形態では、多極マグネットは、4つの強磁性体形磁極と2つの永久磁石とを備えた4極子形マグネットであり、2つの永久磁石はそれぞれ2つの磁極に関連付けられて、そこに起磁力を与えている。
添付した図面を参照して、本発明を以後さらに説明する。
本発明の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの極面に沿った断面図である。 本発明の別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの極面に沿った断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの斜視図である。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの極面に沿った断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの極面に沿った断面図であり、磁束線も示されている。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの極面に沿った断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントの極面に沿った断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの4つの全てのクォードラントの極面に沿った断面図である。 本発明の実施形態による4磁極の4極子形マグネットの極面に沿った断面図であり、磁束線も示されている。 永久磁石の変位に関連した、図9の4極子形マグネットのビーム空間内の磁束密度の変化を示す勾配曲線である。 本発明のさらに別の実施例であり、4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントに沿った断面図である。 本発明のさらに別の実施例であり、4磁極の4極子形マグネットの単一クォードラントに沿った断面図である。 永久磁石及びブリッジの変位に関連した、図4の4極子形マグネットのビーム空間内の磁束密度の変化を示す勾配曲線である。
本発明は、全体的に、任意の数の磁極を有する多極マグネットに関するが、以下では、4極子形マグネットすなわち4個の磁極を有するマグネットに関連して説明する。しかしながら、技術を身に付けた読者は、本発明が4極子形マグネットに限定されないことは理解されよう。本発明の実施形態は、双極子、6極子及び8極子などの別の多極マグネットとして考えることができる。
本発明の実施形態による4磁極の4極子形マグネット10の断面図を図1に示す。この4極子形マグネット10は、各クォードラント10a、b、c、dが強磁性体形磁極12a、b、c、d及びポールルート(pole root)13a、b、c、dの形状で各磁極12a、b、c、dから延びる強磁性体形磁束伝導部材を有する4個のクォードラント10a、b、c、dから構成している。図1の断面図は、4極子形マグネット10の極面に沿って切り取られている。この極面は、4極子形マグネットが対称的(すなわち、このページに入る及びページから離れる)であり、また4極子形マグネット10の全ての磁極12a、b、c、dが存在する面として画定されている。極面の二次元を画定するx軸とy軸とを含む座標系が、図1に示されている。第3のz軸(図示せず)は、x軸及びY軸の両方に直交して(すなわち、このページに入る及びページから離れる方向に)延びている。
極面では、磁極12a及び12cは、第1の極軸100acに沿って互いに正反対の位置に配置され、一方、磁極12b及び12dは、第2の極軸100bdに沿って互いに反対側に配置されている。ここで、第1の極軸100acは、極面の中で第2の極軸100bdに直交している。極面の中で、4個の磁極12a、b、c、dは、第1又は第2の極軸100ac、bdの交点200を中心にして、その間のビームライン空間を画定している。動作に当たっては、電子又は陽電子などの荷電粒子のビームは、ビームライン空間を通って極面に対してほぼ垂直に、すなわち、z軸に対してほぼ平行に移動する。
可動永久磁石14abは、2つのポールルート13a及び13bの間に配置され、実質的に同一の可動永久磁石14cdは、2つのポールルート13c及び13dの間に配置されている。別の実施形態では、各永久磁石14ab及び14cdは、互いに独立に移動できる2つ以上の別個の永久磁石から構成することができる。さらに、他の永久磁石は、多極マグネット10の周りの他の位置に配置することができる。このため、永久磁石の数は、磁極の数に等しい又は等しくないことがある。
強磁性体形磁束伝導部材16abは、交差点200に対して磁極12a及び12bから半径方向外側に配置されている。同様に、強磁性体形磁束伝導部材16cdは、交差点200に対して磁極12c及び12dから半径方向外側に配置されている。強磁性体形磁束伝導部材16ab及び16cdは強磁性体の「キャップ」であり、以下でさらに詳細に説明する。別の実施形態では、磁束伝導部材16ab及び16cdは、それぞれ2つの別個のキャップ構成部品から構成することができる。
図1に示す実施形態では、クォードラント10a、b、c、dの各々は、他のクォードラント10a、b、c、dの各々と構造的に同一である。便宜上、以後、熟練した読者は、クォードラント10aに関連して説明した4極子形マグネット10の構造は、(特に明記しない限り)任意の4個のクォードラント10a、b、c、dに等しく適用可能であると理解することができると想定できる。ここで、同じ数字は、それぞれ関連するクォードラント10a、10b、10c及び10dを示す文字a、b、c及びdが付いた関連する機能に対して使用される。別の実施形態では、クォードラントは互いに全て同一でない可能性がある。実際に、本発明の実施形態による任意の一般的な多極マグネットでは、磁極、永久磁石及び強磁性体形磁束伝導部材が互いに異なっていても良い。
永久磁石14abは、クォードラント10a及び10bにわたって配置され、起磁力を(それぞれ、ポールルート13a及び13bを介して)強磁性体形磁極12a及び12bに与えて、極面に沿ってビームライン空間に延びる磁束を発生し、これにより、そこを通過する荷電粒子のビームを偏向又は集束する、又は場合によっては、ビームの1つ又は複数の特性を変更することができる。磁極12a及び12bは、ビームライン空間にわたって磁束密度に必要な空間変動を与えるように成形される。本発明の別の実施形態では、磁極の形状は、磁束の異なる分布を提供するために、図1の磁極12aと多少異なっていても良い。磁極12aは極面を横断する深さを有して、分布の程度は磁極12aの形状及び向きに大きく依存するが、極面を超えて分布する(すなわち、z成分を有する)磁束も発生する。図1に示す実施形態では、磁極12aは、x方向及びy方向の両方でポールルート13aから離れてビームライン空間に向かって延びている。
強磁性体形キャップ16abは、キャップ16abとポールルート13aが互いに接触しないように、ポールルート13aから離間している。キャップ16abは、永久磁石14abが発生した磁束を導くように構成されており、それ自体は磁極ではない。キャップ16abの目的は、永久磁石14abが発生した磁束を方向付けて、ビームライン空間内の磁束の強度を低減することである。キャップ16abが永久磁石14abに近ければそれだけ、ビームライン空間内の磁界の強度は弱くなる。
永久磁石14abは、方向18ab(これはy軸に平行であり、極軸100acに対して45°に配向されている)に沿って極面内で移動可能であり、永久磁石14abと磁極12a及び12b及びポールルート13a及び13bとの間、及び永久磁石14abとキャップ16abとの間の相対距離を変化させることができる。永久磁石14abは、第1の位置から第2の位置まで移動可能である。ここで、第1の位置は、永久磁石14abの(y軸にほぼ平行な)第1の面が、(図1に示すように)ポールルート13a及び13bのそれぞれの面と接触する位置であり、第2の位置は、永久磁石14abの(x軸にほぼ平行な)第2の面が、キャップ16abの面に接触する位置である。第1の位置では、永久磁石14abはキャップ16abと物理的に接触していない、また第2の位置では、永久磁石14abはポールルート13a及び13bと物理的に接触していない。しかしながら、第1及び第2の位置の両方において、永久磁石14abからの磁束はキャップ16ab、ポールルート13a及び13b、並びに磁極12a及び12bを透過する。永久磁石14abは、ポールルート13a及び13bの接触面と滑りばめを形成するため、第1及び第2の位置の間で移動が可能である。
方向18abに沿って永久磁石14abが移動すると、キャップ16ab、ポールルート13a及び13b、並びに磁極12a及び12b内の磁束の大きさが変化し、最終的に、ビームライン空間の全体にわたって磁束が変化することになる。このため、ビームライン空間内の磁界強度は、方向18abに沿って永久磁石14abを移動することによって調整することができる。方向18abに沿った永久磁石14abの変位に対する磁界強度の勾配の特徴は、磁極12a及び12b、ポールルート13a及び13b、永久磁石14ab並びにキャップ16abの各々の配置及び形状に依存することが見出されている。
ほぼ同様な方法で、永久磁石14cdは、ビームライン空間の全体にわたって磁界の大きさを変化させるために、キャップ16cd、ポールルート13c及び13d並びに磁極12c及び12dに対して移動可能である。図1に示す実施形態では、磁極12a及びポールルート13aは単一のボディを形成する、一方で、別の実施形態では、磁極12a及びポールルート13aを別個に形成して、ポールルート13aが磁極12aに対して移動可能にすることができる。さらに別の実施形態では、幾つかの又は全ての永久磁石14ab及び14cd、ポールルート13a、b、c、d並びにキャップ16ab、cdは、磁極13a、b、c、dに対して移動可能にして、ビームライン空間の全体にわたって磁束の大きさを変化するように構成することができる。
クォードラント10a及び10bは、磁束の第1の磁気回路を形成し、他方では、クォードラント10c及び10dは磁束の第2の磁気回路を形成する。クォードラント10aがクォードラント10bとペアリングすること及びクォードラント10cがクォードラント10dとペアリングすることにより、4極子形マグネット10は、極面内でx軸に沿って延びる場合よりも大きな範囲まで、極面内でy軸に沿って延在する。このため、図1の4極子形マグネット10は、極面に沿って切り取った断面内で全体的に長方形の外形を有する。別の実施形態では、磁極とクォードラントとの他のペアリング(又は、より一般的には、他の多極マグネット内の「セクタ」)が本発明の範囲の中で可能である。その結果、他の形状や構造が、極面の全体にわたって可能である。実際に、本発明は、適当な強度及び(必要に応じた)調整能力を有する多極マグネットを、従来技術における類似強度の多極マグネットと比較した場合比較的小さい体積で製造できるようにする。
本発明のさらに別の実施形態を、図2〜図9を参照して以下で説明する。これらの図面は、特に好適であることが判明している特定の構成及び形状の実施例を示している。便宜上、さらに別の実施形態を4極子形マグネットの単一クォードラントを参照して説明するが、説明した全ての機能は4極子形マグネットの対応するクォードラントに適用することができる。
図2は、本発明による4極子形マグネットの別の実施形態のクォードラント20aを示している。図1に示した実施形態と同様に、クォードラント20aは、ポールルート23aを用いて形成された又はそれに接続された固定の強磁性体形磁極22aと、ポールルート23aから垂直方向に離間した固定の強磁性体形キャップ26aと、並びに(y軸に平行な)方向28aに沿って磁極22a、ポールルート23a及びキャップ26aに対して移動可能な永久磁石24abの一部(それがクォードラント20bの中に延びているため)と、を備えている。この実施形態では、方向28aに沿って磁極22a、ポールルート23a及びキャップ26aに対して移動可能な付加的な強磁性体形磁束伝導部材27aが、クォードラント20a内に(及び他のクォードラントにも)存在する。永久磁石24ab及び磁束伝導部材27aは一緒に移動可能で、ポールルート23aに向かって移動するとき、ポールルート23aの2つの相補的な側部と締まりばめを形成する。永久磁石24abは、磁化の方向(すなわち、「磁化方向」)25abを有しており、それに沿って永久磁石24abの磁気モーメントが存在する。磁化方向は磁化軸25ab’に対して平行であり、図2に示すように、磁化軸25ab’は極軸100acと角度θ(=45°)を形成する。誤解を避けるために、角度θは、磁化軸25abと少なくとも一部がクォードラント20b内に存在する極軸100acとの両方が交差する想定線で範囲が定められている。同様に、クォードラント20b内の角度θは、磁化軸25abと少なくとも一部がクォードラント20a内に存在する極軸100bdとの両方が交差する想定線で範囲が定められている角度である。同様な意味合いで、クォードラント20c内の角度θは、磁化軸25cdと少なくとも一部がクォードラント20d内に存在する極軸100acとの両方が交差する想定線で範囲が定められている角度である。また、クォードラント20d内の角度θは、磁化軸25cdと少なくとも一部がクォードラント20c内に存在する極軸100bdとの両方が交差する想定線で範囲が定められている角度である。
図3は、さらに別のクォードラント30aを示している。このクォードラント30aは、ポールルート33aを用いて形成された又はそれに接続された固定の強磁性体形磁極32aと、磁極32a及びポールルート33aから離間したL字形のシェル部品の形状の固定した強磁性体形磁束伝導部材39aと、並びに(y軸に平行な)方向38aに沿って磁極32a及びシェル部品39aに対して移動可能な永久磁石34abの一部と、を備えている。全ての4つのクォードラント30a、b、c、dを一緒(図示せず)に考えると、シェル部品39a、b、c、dは極面内の磁極32a、b、c、dの周りに不連続なシェル39を形成する。シェル部品がそれぞれのポールルートの上側又は下側に延びるため、図1に示したキャップ16ab、cdを組み込むことを考えることができる。磁束伝導部材は、キャップ16ab、cd及びL字形のシェル部品を含むこと、又は図3に示すように一体形成することができる。
図1〜図2に示した実施形態のいずれにおいても、強磁性体形磁束伝導部材16a、26aは、永久磁石14ab、24abに加えて又はその代わりに移動して、ビームライン空間内の磁界強度の大きさを変化させることができる。磁束伝導部材16a、26a及び永久磁石14ab、24abの両方が移動する場合は、それらは相対移動が両者の間で可能なように互いに独立して移動することができるか、又は一緒に移動することができるが両者の間の相対移動は許容されない。
永久磁石の磁化方向を極軸に対して配向することができる方法の幾つかの実施例を例示する、本発明のさらに別の好ましい実施形態を図4〜図7に示す。
図4に、クォードラント40aを示す。このクォードラント40aは、強磁性体形磁極42a及び接続されたポールルート43aと、強磁性体形磁束伝導部材47abと、並びに極面に沿ってそれらの間に配置された永久磁石44aとを備えている。この実施形態では、クォードラント40aは単一の永久磁石44aを含み、同等のクォードラント40b、c、dは、それぞれ、ほぼ同一の永久磁石44b、c、dを備えている。永久磁石44aは、極面内で、永久磁石44aの磁化軸45a’が磁極42aの極軸100acに対して角度θ(=95°)を形成するように配向される。強磁性体形磁束伝導部材47abはクォードラント40a及び40bの両方にわたって延在し、両者の間で磁気「ブリッジ」を形成する。ブリッジ40a、bは、それぞれの永久磁石の間のギャップの中に配置される。各ブリッジ40a、bは、1つ又は複数の強磁性体形構成部品によって形成することができる。図4に示した実施形態では、永久磁石44a及びブリッジ47abは、磁極42a及びポールルート43aに対してブリッジ47abの(クォードラント40b内の)残りの部分及び永久磁石44bと一緒に移動することができる。
図5は、図4のクォードラント40aに類似したクォードラント50aを示しており、このクォードラント50aは、ポールルート53aと一緒に形成された又はそれに接続された強磁性体形磁極52aと、強磁性体形ブリッジ57aと、並びに極面に沿ってそれらの間に配置された永久磁石54aとを備えている。また一方で、極面では、永久磁石54aの磁化方向55aは、磁極42aの極軸100acとある角度を形成する。図5は、永久磁石54aが発生した磁束線300を示している。この磁束線は、磁束線が透過する強磁性体形磁極52a、ポールルート53a、及びブリッジ57a内の分布を例示している。別のクォードラント60aを図6に示す。このクォードラント60aは、強磁性体形磁極62a、強磁性体形ブリッジ67a、及び極面内のそれらの間に配置された永久磁石64aを備えている。永久磁石64aの磁化軸65a’は、極面内で極軸100acと共に角度θ(=120°)を形成する。さらに別のクォードラント70aを図7に示す。この場合もやはり、クォードラント70aは、強磁性体形磁極72a、強磁性体形ブリッジ77a、及び極面内のそれらの間に配置された永久磁石74aを備えている。この実施形態では、永久磁石74aの磁化軸75a’が、磁極内で極軸100acと角度θ(=75°)を形成する。
図4〜図7の実施形態では、磁極42a、52a、62a、72aはそれぞれポールルート43a、532a、632a、73aに接続されているが、永久磁石44a、54a、64a、74aの相対的な向きによりポールルート43a、53a、63a、73と磁極42a、52a、62a、72aとの間の区別が、図1〜図3の実施形態の磁極12a、22a、32aと比べるとあまり明確にされていない。
ブリッジ部分の動きにより、永久磁石の有無にかかわらず、ビームライン空間内の磁界の強さを低減させる効果を有するエアギャップが作られる。
好ましいことに、永久磁石及び/又は磁束伝導部材は、磁極及びポールルートに対して(ポールルートも移動できる可能性がある)移動可能である。特に好ましい実施形態では、磁束伝導部材(例えば、ブリッジ)及び永久磁石は一緒に移動可能であり、両者の間の相対的な動きは許容されない。好ましいことに、磁束伝導部材及び永久磁石の極面に沿った移動方向は、極軸に対して45°(すなわち、図4〜図7で示した実施形態におけるy軸に平行)である。任意の実施形態では、永久磁石及び/又は磁束伝導部材の移動は、多極マグネットに取り付けた1つ又は複数のモータで駆動することができる。別の実施形態では、可動部分は任意の適当な作動手段によって動かすことができ、例えば、水圧式又は空気圧式とすることができる。永久磁石及び/又は磁束伝導部材を移動するのに必要な力は、永久磁石の磁性強度及び磁化方向、磁極の相対的な向き、永久磁石及び磁束伝導部材、並びに永久磁石及び/又は磁束伝導部材の移動方向に依存する。
永久磁石の材料は、一般に、張力を受けた状態では機械的に貧弱であることが知られている。このため、本発明の永久磁石の機械的強度を向上させるために、1つ又は複数の鋼板を接着剤又は任意の他の適当な取り付け手段によって永久磁石に取り付けることができる。これにより、永久磁石が磁極に対して機械的に移動するときに、永久磁石が構造的に損傷される危険が最小にされる。取り付け手段は、さらに又はその代わりに、鋼板及び永久磁石の周りに巻き付けるストラップを含むことができる。
図8は、本発明による4磁極の4極子形マグネット80の別の実施形態の4個のクォードラント80a、b、c、dの完全な断面を示している。図8に示した実施形態は、以下の点を除いて、図1に示した実施形態に大部分は類似している、すなわち、図8の実施形態が、4つの別個のキャップ86a、b、c、dを含み、またさらに、磁極82a、b、c、dを囲むキャップ86a、b、c、dが付いた連続的なシェルを形成する4つのシェル部品89a、b、c、d(全て強磁性体形磁束伝導部材)を備えていることを除く。キャップ86a、b、c、dは磁極82a、b、c、dに対して移動可能であるが、シェル部品89a、b、c、dは移動可能ではない。シェル89a、b、c、dは、永久磁石84ab、84cdがポールルート93a、b、c、dの間から完全に外れる位置に移動される(場合によっては、キャップ86a、b、c、dと接触する)とき、永久磁石84ab、84cdからの磁束を効果的に「短絡」する。さらに、シェル89a、b、c、dは、4極子形マグネット80の外側の漂遊磁界の量を低減する効果がある。
図9は、4極子形マグネット90の同様の実施形態を示しており(キャップ又はシェル部品は示していない)、また磁束線300を示している。前述したように、永久磁石94ab及び94cdは、磁極92aと92bとの間、及び92cと92dとの間に磁束回路を生み出す起磁力を作る。対の磁極間の磁束回路は互いに分離されていないが、図9に示した線300に沿って流れて、回路は磁極92a、b、c、dの全てを接続し、ビームライン空間を通過する。
図10は、方向98に平行な、図9の永久磁石の移動に対するビームライン空間内の磁界強度の変化のプロットを示している。図10から分かるように、ビーム空間内の磁界強度は、予想されるように、永久磁石が磁極からさらに離れて移動すると低下する。しかしながら、本発明の構成が、好ましいことに、永久磁石が移動するにつれて、ビームライン空間内の磁界強度をスムーズにかつ着実に変化させることができることも、図10で見ることができる。本発明のさらに別の実施形態を、図11及び図12に示す。これらの図面は、それぞれ、4磁極形多極マグネットのクォードラント(それぞれ、11a及び120a)を示している。図11では、磁化軸115a’と極軸100acとの間の角度θは90°である。図12の実施形態では、磁化軸125a’と極軸100acとの間の角度θは135°である。これらの実施形態は両方とも、クォードラント110aと110bとの間及び120aと120bとの間で完成するブリッジ117ab及び127abを備えている。
図13は、方向48に平行な、図4の永久磁石の移動に対するビームライン空間内の磁界強度の変化のプロットを示している。図10のプロットとは対照的に、図13のプロット内の磁界強度は、磁極42aから永久磁石44aの初期の変位に応答してより急速に低下するが、下落率は永久磁石44aの絶対変位が増加するにつれて徐々に減少する。しかしながら、その間の磁界強度の変化は滑らかである。上記の実施形態では、多極マグネットは、従来技術の多極マグネットに比べて大きく調整可能な磁界を発生することができる。説明した構成及び形状の結果、本発明は、従来技術の多極マグネットに比べて体積が比較的小さい、高品質で調整可能な磁界を発生できる多極マグネットを製造する可能性を与える。多くの粒子加速器が存在するトンネルなどの限られた空間内で多極マグネットを使用することを考える場合、このことは特に重要である。本発明の特に好ましい実施形態では、極面に沿った多極マグネットの最大寸法は、390mmといった所定の寸法よりも小さい。本発明の特徴は、このサイズの多極マグネットが十分な強度の調整可能な磁界を発生可能にすることである。
本明細書の説明及びクレームの全体を通して、単語「強磁性体」及びその変形例は、用語「軟磁性」及び「透磁性」と同義であり、少なくとも10μという適度に高い透磁率を参照されたい。ここでμは、自由空間の透磁率である。本発明の目的に対して、1つの好適な強磁性体材料は鋼鉄であるが、他の適当な強磁性体材料も使用できる。
本明細書の説明及びクレームの全体を通して、用語「磁界強度」及び「磁界振幅」及びこれらの用語の変形例は、本出願の目的に対して、その空間分布のいかんを問わず、磁界密度とほぼ等価である。
本明細書の説明及びクレームの全体を通して、単語「備えている」及び「含む」及びそれらの変形例は、「含むがこれに限定されない」を意味し、他の部分、付加物、構成要素、完全体又はステップを除外することを意図しない(また除外しない)。本明細書の説明及びクレームの全体を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞を使用する場合、本明細書は、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形に加えて複数形も考慮すると理解すべきである。
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して説明した特徴、完全体、特性、化合物、化学的部分又はグループは、矛盾しない限り、本願で説明した任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用できると理解すべきである。この明細書(任意の添付したクレーム、要約書及び図面を含む)の中で開示した全ての機能、及び/又はそのように開示した任意の方法又はプロセスの全てのステップは、少なくとも幾つかのそのような機能及び/又はステップが互いに排他的になる組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、任意の前述した実施形態の詳細に限定されない。本発明は、この明細書(任意の添付したクレーム、要約書及び図面を含む)の中で開示した機能の任意の新規なもの又は任意の新規な組合せ、又はそのように開示した任意の方法又はプロセスの任意の新規なもの又は任意の新規な組合せにまで及ぶ。
読者の注意は、この出願に関連してこの明細書と同時に又はこの明細書の前に出願された、またこの明細書と一緒に公衆の検査に開かれている全ての書類及び文書に向けられている。全てのそのような書類及び文書の内容は、引用することによって明細書の一部をなすものとする。

Claims (27)

  1. 極面内に配置された複数の強磁性体形磁極と、
    それぞれが磁化方向を有し、かつそれぞれが前記複数の強磁性体形磁極に起磁力を提供する、前記磁極間のビームライン空間内の極面に沿って磁界を発生する複数の永久磁石と、
    前記複数の永久磁石の少なくとも1つから磁束を導く、複数の強磁性体形磁束伝導部材と、
    を具備し、
    前記多極マグネットは偶数の強磁性体形磁極を有し、各磁極は極軸に沿って前記極面内で別の磁極に対して正反対の位置に配置され、複数の永久磁石のそれぞれは、前記複数の磁極の少なくとも1つに関連付けられ、各永久磁石の磁化方向が対応する磁極の極軸に対して少なくとも45°の角度で前記極面に向けられる、荷電粒子のビームを偏向させる多極マグネット。
  2. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、対応する磁極の極軸に対して135°以下の角度で前記極面に向けられる、請求項1に記載の多極マグネット。
  3. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、対応する磁極の極軸に対して75°の角度で前記極面に向けられる、請求項1又は請求項2に記載の多極マグネット。
  4. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、対応する磁極の極軸に対して少なくとも90°の角度で前記極面に向けられる、請求項1又は請求項2に記載の多極マグネット。
  5. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、対応する磁極の極軸に対して120°の角度で前記極面に向けられる、請求項4に記載の多極マグネット。
  6. 前記複数の永久磁石及び前記複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、前記ビームライン空間内の磁界の強度を変化させるように、前記複数の強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の多極マグネット。
  7. 前記強磁性体形磁束伝導部材の各々が、関連した強磁性体形磁極から間隔を空けて配置されて、前記複数の永久磁石のみが前記強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能である、請求項6に記載の多極マグネット。
  8. 前記永久磁石の各々が、前記関連した前記強磁性体形磁束伝導部材の各々と一緒に前記関連した強磁性体形磁極に対して前記極面内で移動可能であり、前記永久磁石の各々とその関連した強磁性体形磁束伝導部材との間の相対的な移動が実質的に許容されない、請求項6に記載の多極マグネット。
  9. 前記複数の永久磁石及び前記複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、前記関連した磁極の極軸に対して45°の角度で指向された経路に沿った前記極面に沿って移動可能である、請求項6又は8に記載の多極マグネット。
  10. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、前記関連した磁極の極軸に対して45°よりも大きい角度で前記極面に向けられ、かつ前記複数の永久磁石のそれぞれは前記複数の磁極の1つに関連付けられ、
    前記強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかが、2つの隣接した磁極の永久磁石の間に磁束を向ける強磁性体形ブリッジを含む、請求項2又は、請求項2に依存する場合は請求項3〜9のいずれかに記載の多極マグネット。
  11. 極面内に配置された複数の強磁性体形磁極と、
    起磁力を前記複数の強磁性体形磁極のうちの少なくとも1つに与えて、前記磁極間のビームライン空間内の極面に沿って磁界を発生する配置された、複数の永久磁石と、
    前記複数の永久磁石のなかの少なくとも1つからの磁束を指向するように配置された、複数の強磁性体形磁束伝導部材と、
    を具備し、
    前記複数の永久磁石及び前記複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、前記複数の強磁性体形磁極に対して極面内で移動して、前記ビームライン空間内の磁界の強度を変化させることができる、荷電粒子のビームを偏向する多極マグネット。
  12. 前記強磁性体形磁束伝導部材の各々が、前記関連した強磁性体形磁極から間隔を空けて配置され、前記複数の永久磁石のみが前記強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能にした、請求項11に記載の多極マグネット。
  13. 前記永久磁石の各々が、前記関連した前記強磁性体形磁束伝導部材の各々と一緒に関連した前記強磁性体形磁極に対して極面内で移動可能であり、前記永久磁石の各々とその関連した前記強磁性体形磁束伝導部材との間の相対的な移動が実質的に許容されない、請求項11に記載の多極マグネット。
  14. 偶数の強磁性体形磁極を有し、前記磁極の各々が極軸に沿って極面内で他の磁極に対して互いに正反対の位置に配置される、請求項11又は13に記載の多極マグネット。
  15. 前記複数の永久磁石及び前記複数の強磁性体形磁束伝導部材のうちの少なくとも1つが、前記関連した磁極の極軸に対して45°の角度で指向された経路に沿った極面に沿って移動可能である、請求項14に記載の多極マグネット。
  16. 前記複数の永久磁石のそれぞれが磁化方向を有し、かつ前記永久磁石の各々がそれに関連した複数の磁極のなかの少なくとも1つを有し、ここで前記永久磁石の各々の磁化方向が関連した磁極の前記極軸に対して少なくとも45°の角度で前記極面に向けられる、請求項14又は15に記載の多極マグネット。
  17. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、前記関連した磁極の前記極軸に対して135°以下の角度で前記極面に向けられている、請求項16に記載の多極マグネット。
  18. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、前記関連した前記磁極の極軸に対して75°の角度で前記極面に向けられている、請求項16又は17に記載の多極マグネット。
  19. 前記永久磁石の各々の磁化方向が関連した磁極の前記極軸に対して少なくとも90°の角度で前記極面に向けられている、請求項16又は17に記載の多極マグネット。
  20. 前記永久磁石の各々の磁化方向が前記関連した磁極の前記極軸に対して120°の角度で前記極面に向けられている、請求項19に記載の多極マグネット。
  21. 前記永久磁石の各々の磁化方向が、前記関連した磁極の前記極軸に対して45°よりも大きい角度で前記極面に向けられ、前記複数の永久磁石のそれぞれが複数の磁極の1つに関連付けられ、かつ
    前記強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかが、2つの隣接した磁極の前記永久磁石の間に磁束を向ける強磁性体形ブリッジを含む、請求項17又は、請求項17に従属し、請求項18〜20のいずれかに記載の多極マグネット。
  22. 前記強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかが、そこから磁束を導くための前記少なくとも1つの永久磁石に関連したキャップを備える、請求項1〜21のいずれかに記載の多極マグネット。
  23. 強磁性体形磁束伝導部材の少なくとも幾つかが、前記磁極と前記永久磁石とを取り囲む不連続シェルを備える、請求項1〜22のいずれかに記載の多極マグネット。
  24. 強磁性体形磁極と強磁性体形磁束伝導部材との前記合計は、永久磁石の前記数よりも大きい、請求項1〜23のいずれかに記載の多極マグネット。
  25. 前記多極マグネットが、4つの強磁性体形磁極と2つの永久磁石とを備えた4極形マグネットであり、前記2つの永久磁石はそれぞれ2つの前記磁極に関連付けられて、そこに起磁力を与える、請求項1〜24のいずれかに記載の多極マグネット。
  26. 前記多極マグネットが、4つの強磁性体形磁極と4つの永久磁石とを備えた4極子形マグネットであり、前記永久磁石は、それぞれ前記磁極の1つに関連付けられて、そこに起磁力を与える、請求項1〜24のいずれかに記載の多極マグネット。
  27. 添付した図面を参照して実質的に上述した荷電粒子のビームを偏向させるための多極マグネット。
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