JP4338302B2 - 電磁石装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁極とヨークを含む電磁石装置、および、そのような電磁石装置を利用した荷電粒子の加速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の電磁石装置200の断面図である。電磁石装置200は、コイル211と、ヨーク212と、磁極213とからなる。参照符号を付さないコイルおよび磁極が、空間214に関してコイル211および磁極213に対称に配置されている。このような電磁石装置200を荷電粒子加速装置に採用すると、空間214に磁場を発生させることにより、空間214を通過する荷電粒子を偏向させることができる。すなわち、コイル211に流す電流を制御し空間214内の磁場を調整することにより、空間214を通る荷電粒子の運動を制御できる。
【0003】
荷電粒子の運動を正確に制御するためには、荷電粒子が運動する平面(軌道平面)内の磁場の大きさが均一である必要がある。ところが従来の電磁石装置200では軌道平面内の磁場の大きさは均一ではなかった。図11は、軌道平面上の磁場分布を示す図である。磁場分布は、空間214の中央(位置50)の磁束密度の大きさ(B0)に対する、他の位置の磁束密度の大きさ(B)の比として表されている。図11に示すように、磁場分布は均一でなく、ヨーク212(図10)の内側に近い方(位置0に近い方)が磁場が大きい。この理由は、図10の磁路aとbの長さに差があるからである。すなわち、一般に磁場の強度は磁路が短いほど大きいため、より短い磁路aの方が磁場の強度は大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
磁場の強度をできるだけ均一にするためには、磁極213(図10)の空間214(図10)側の面を非常に精密に加工し、または磁極に別の部品を付加することが必要になり、加工コストが高額になるという問題があった。図12は、磁極213の空間214側の面を加工した電磁石装置220の断面図を示す。磁極213の空間214側の面221は、傾斜している。一方、図13は、磁極213に磁性体であるシム231を貼り付けた電磁石装置230の断面図を示す。
【0005】
別の構造を有する電磁石装置も存在する。図14は、従来の別の電磁石装置240を示す。図14の(a)は電磁石装置240の断面図を、(b)は(a)のA−A’よりも上部分の磁路および磁場を模式的に示す。電磁石240は、PHYSICAL REVIEW SPECIAL TOPICS ACCELERATORS AND BEAMS, VOLUME 2 に記載された電磁石装置である。図14の(b)に示されるように、電磁石装置240によれば均一な大きさの磁場を得られるが、磁極213およびヨーク212の構造は複雑にならざるを得ない。そのため電磁石装置240製造時の加工が難しく、やはり設計コストおよび製造コストは高額である。
【0006】
本発明の目的は、均一な大きさの磁場を発生させ、かつ加工コストを含む製造コストを低減する電磁石装置およびそのような電磁石装置を用いた荷電粒子加速装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁石装置は、対向する2つの磁極と、対向する2つのヨーク腕部、および、該2つのヨーク腕部の各々を接続する少なくとも1つのヨーク基部とからなり、磁路を形成するヨークと、少なくとも一方の磁極とヨーク腕部との間に設けられた非磁性層と、磁極を励磁するコイルとから構成される電磁石装置であって、非磁性層に面する磁極およびヨーク腕部の少なくとも一方の形状を加工して、非磁性層の厚さを調節し、非磁性層の厚さが磁路の磁気抵抗の大きさを均一にするようヨーク基部からの距離に応じて変化する、電磁石装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0009】
非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて直線的に減少してもよい。
【0010】
非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の一方は、他方に対して傾斜してもよい。
【0011】
非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて階段状に減少してもよい。
【0012】
非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方は、階段状に形成されていてもよい。
【0013】
非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて曲線的に減少してもよい。
【0014】
非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方は、曲面であってもよい。
【0015】
非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて増加してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
まず、本発明の電磁石装置を用いた荷電粒子加速装置を説明し、その後、電磁石装置を説明する。
【0022】
図1は、本発明の荷電粒子加速装置100を示す。図1の(a)は、荷電粒子加速装置100の上面図を、図1の(b)は、(a)の長手方向に平行な平面による荷電粒子加速装置100の断面図を示す。図1の(a)を参照して、荷電粒子加速装置100は、電磁石装置10と、入射装置12と、高周波加速装置14と、真空ダクト16と、取出装置18とを含む。電磁石装置10は、荷電粒子を偏向するために設けられている。より具体的には、図1の(b)を参照して、荷電粒子は磁場の中を通過するように構成されている。電磁石装置10はコイル1に電流を流して磁場を発生させ、磁場内を通過した荷電粒子の進行方向を偏向させる。偏向は、ローレンツ力が荷電粒子に作用することに基づく。電磁石装置10の構造は後に詳述する。
【0023】
再び図1の(a)を参照して、入射装置12は、荷電粒子を生成し荷電粒子加速装置100に入射する。高周波加速装置14は、高周波加速空洞を備えており、高周波加速空洞内の荷電粒子にエネルギーを与えて荷電粒子を加速する。真空ダクト16は、荷電粒子を通過させる真空のダクトである。取出装置18は、加速された荷電粒子を装置外に取り出すための、周知の静電デフレクタ、磁気チャネルおよび偏向電磁石等である。電磁石装置10を除く他の構成、すなわち入射装置12、高周波加速装置14、真空ダクト16および取出装置18は、従来からの荷電粒子加速装置に用いられている周知の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
荷電粒子加速装置100では、図1の(a)において、入射装置12が入射した荷電粒子は電磁石装置10の発生する磁場により偏向される。例えば、高周波加速装置14で加速された荷電粒子の進行方向は、電磁石装置10により偏向されて16に入る。そして、真空ダクト16を進行してきた荷電粒子の進行方向は、次に電磁石装置10により偏向され、再び高周波加速装置14へ向けて運動する。このようにして荷電粒子は、電磁石装置10、高周波加速装置14および真空ダクト16を回りつづける。高周波加速装置14によりエネルギを与えられて加速した荷電粒子は、その軌道半径を次第に大きくしながら、取出装置18との距離を縮め、最終的に取出装置18により取り出される。
【0025】
次に、荷電粒子を偏向するために用いられる電磁石装置10を説明する。図2は、本発明の電磁石装置10の断面図を示す。電磁石装置10は、コイル1と、ヨーク基部20およびヨーク腕部21からなり磁路を形成するヨークと、非磁性層22と、磁極23とを有する。参照符号を付さないコイルおよび磁極が、磁場発生空間25に関してコイル1および磁極23と対称に配置されている。図示されるように、対向する1組の磁極の間には、磁場が発生する空間(磁場発生空間)25が存在する。以下では、主として参照符号を付した方のコイル1および磁極23を説明する。
【0026】
電磁石装置10の特徴は、磁極23とヨーク腕部21との間に磁気抵抗を調節するための非磁性層22を設け、非磁性層22に面する磁極23およびヨーク腕部21の少なくとも一方の形状を任意に加工して非磁性層22の厚さを調節することにある。磁極23の面23−1の加工精度が磁場に与える影響は、磁場発生空間25側の面23−2の加工精度が磁場に与える影響よりも小さい。したがって、非磁性層22に面する磁極23およびヨーク腕部21の形状を加工することにより、低い加工精度で均一な大きさの磁場を得ることができる。よって加工コストを低減できる。これは、磁極23の下面23−2(磁場発生空間25側の面)を非常に精密に加工しなければ、均一な大きさの磁場を得られないのとは対称的である。
【0027】
また電磁石装置10のさらなる特徴は、磁路の磁気抵抗の大きさを均一にするよう、ヨーク基部20からの距離に応じて非磁性層22の厚さを変化させることである。非磁性層22の厚さの変化とは、その厚さを減少すること、または増加させることである。この構造によれば、ヨーク腕部21の位置にかかわらず、磁路の磁気的な抵抗(磁性抵抗)をほぼ等しくすることができる。したがって、磁路長の差に起因する磁場強度の分布がなくなり、磁場強度を均一にできる。
【0028】
以下、電磁石装置10の各構成要素を説明する。コイル1は、電流を流すことにより磁極23を励磁する、すなわち起磁力を発生するために設けられている。コイル3に流れる電流を制御し、磁場発生空間25内の磁場を制御することにより、磁場発生空間25を通る荷電粒子の運動を制御できる。
【0029】
ヨーク基部20およびヨーク腕部21からなるヨークは、磁場発生空間25(図2)を荷電粒子が通過する際の平面(軌道平面)の磁場強度の調整、および、電磁石装置10外への磁場漏洩の抑制のために設けられている。ヨークは、コイル1の一部を取り囲むように配置されている。また、ヨークは、磁場を増大させ、磁路を形成する機能も有する。上述のように、荷電粒子加速装置100(図1)や蓄積リング等の高エネルギー物理装置に適用される電磁石装置10は、高磁場が必要だからである。なお本明細書では、ヨークをヨーク基部20およびヨーク腕部21とに分けている。しかし、これは説明の便宜のためであるので、厳密にどのように分けるかは特に問題ではない。本明細書では一例として図2に示すように分けている。
【0030】
ヨークの形状としては、図2に示す、いわゆるC型電磁石を構成するヨークだけでなく、他の形状であってもよい。図15は、電磁石装置におけるヨークの形状の例を示す図である。図15の(a)は、図2の電磁石装置10であり、いわゆるC型電磁石装置と呼ばれる。図15の(b)は、C型電磁石装置の別の例である。図15の(c)および(d)は、いわゆるH型電磁石装置の例である。ヨークを構成するヨーク基部20およびヨーク腕部21からなるヨークは、様々な形状を取りうることが理解される。なお、図15によれば、コイル1も様々に設けることが可能であることが理解される。
【0031】
再び図2を参照して、非磁性層22は、磁性体ではない層、例えば空気である。空気以外の、加工が必要である非磁性材料であってもよい。非磁性層22は、磁路の磁性抵抗を調整するために設けられている。非磁性層22は、ヨーク腕部21と磁極23の間に設けられ、磁極23の上面23−1と、その面に対向するヨーク腕部21の下面の形状に応じて加工され、その位置に挿入される。結果的に、非磁性層22は磁極23を支持するためにも機能する。上述のように、非磁性層22の厚さは、適宜加工された磁極23の上面23−1とヨーク腕部21の下面の形状に応じて規定される。例えば、非磁性層22の厚さは、ヨーク基部20に近いほど大きく、離れるほど小さくなるように設けられている。非磁性層22の厚さは、図2の断面図においては直線的に変化するように形成されている。具体的には、非磁性層22に接する磁極23の上面23−1は、ヨーク腕部21の下面(非磁性層22と接する面)に対して傾斜するように加工されている。非磁性層22部分の磁性抵抗は、非磁性層22の厚さが大きいほど大きくなるので、ヨークの比較的内側の方が、比較的外側よりも大きい。一方、ヨーク内の磁性抵抗はヨーク内の磁路が短いほど小さいので、比較的内側の方が、比較的外側よりも小さい。したがって、非磁性層22部分の厚さを調整することで、ヨークの比較的内側であっても比較的外側であっても磁路全体ではほぼ同じ磁性抵抗を持たせることができる。
【0032】
磁極23は、非磁性層22により支持されており、磁場発生空間25に磁場を発生するために設けられている。例えば、磁場は図2の上側の磁極23から下側の磁極へ向かう方向に発生する。1つの磁極1から出た磁束は磁場発生空間25を通って下側の磁極に入り、ヨークを通って元の上側の磁極23に戻る。
【0033】
次に、以上のように構成された電磁石装置10によれば、磁場強度がどの程度均一になるかを説明する。図3は、磁極23の上面23−1(図2)および下面23−2(図2)をそれぞれ加工した場合の磁場の大きさの均一度を示すグラフである。グラフの横軸は、磁場発生空間25(図2)の荷電粒子の軌道平面に対する磁極23の面23−1または23−2(図2)の勾配を示している。図3を参照して、例えば、磁極23の面23−1および23−2(図2)にそれぞれ1(mrad)の勾配を持たせた場合を考える。磁極23の上面23−1(図2)を加工したときの磁場均一度は約1.0075である。一方、磁極23の下面23−2(図2)を加工したときの磁場均一度は約0.975である。したがって、磁極23の上面23−1(図2)を加工した方が、より均一な大きさの磁場を得ることができる。
【0034】
引き続き図3を参照して、次は磁場均一度が1の状態を考える。磁場均一度を1にするためには、磁極23の上面23−1(図2)の磁極勾配は約2.25mradであることが必要である。磁極23の上面23−1(図2)を加工する場合は、仮に厳密に約2.25mradで加工できず多少勾配に誤差が生じても、磁場均一度には大きな影響は与えない。それはグラフの傾きが小さく(平坦に近く)、磁場均一度の変化量も小さいからである。一方、磁極23の下面23−2(図2)に関して、磁場均一度を1にするためには、磁極勾配は約0.5mradであることが必要である。この勾配は非常に微小であるから、加工するのは困難である。さらに磁極23の下面23−2(図2)を加工する場合には、加工時に誤差が生じると磁場均一度には大きな影響が生じる。それはグラフの傾きが大きく、磁場均一度の変化量が大きいからである。したがって、やはり磁極23の上面23−1(図2)を加工した方が、より均一な大きさの磁場を得られることが理解される。磁場均一度は磁極23の上面23−1(図2)の加工量に対してより鈍感であるといえる。その結果、磁極23の上面23−1(図2)を加工した本発明の電磁石装置10(図2)によれば、均一な大きさの磁場を得ることができ、かつ非常に高い加工精度でなくともよいので加工コストを低減できる。
【0035】
以下、図4〜図9を参照して、本発明の電磁石装置10の別の構成を説明する。先の説明では、非磁性層22(図2)に接する磁極23の上面23−1(図2)は、ヨーク腕部21(図2)が非磁性層22(図2)と接する面に対して傾斜するように加工されているとした。図4〜図9は、磁性抵抗および磁場強度をほぼ均一にできる磁極23の上面23−1(図2)の他の形状およびヨーク腕部21(図2)が非磁性層22(図2)と接する面の形状の例を示す。以下の説明は断面図についてであるが、立体的に見れば直線部分は平面として、曲線部分は曲面として捉えることができる。
【0036】
図4は、磁極23の上面40が曲面である場合の電磁石装置の断面図を示す。非磁性層22の厚さが直線的に減少する先の例に対し、曲線的に減少させてもよいことを表す。
【0037】
図5は、磁極23の上面50が階段状に加工されている場合の電磁石装置の断面図を示す。この例は、非磁性層22の厚さを連続的に減少させるのではなく、一定のステップごとに減少させてもよいことを表す。
【0038】
続く図6〜図8は、ヨーク腕部21が非磁性層22と接する面(ヨーク腕部21の下面)の形状を加工した例を説明する。磁極23に代えてヨーク腕部21の下面をヨーク基部20からの距離に応じて減少させても、磁性抵抗および磁場強度をほぼ均一にできる。
【0039】
図6は、ヨーク腕部21の下面60が直線的に加工されている場合の電磁石装置の断面図を示す。すなわち、これはヨーク腕部21の下面60を磁極23の上面に対して傾斜させた例である。
【0040】
図7は、ヨーク腕部21の下面70が曲面である場合の電磁石装置の断面図を示す。非磁性層22の厚さが直線的に減少する先の例に対し、曲線的に減少させてもよいことを表す。
【0041】
図8は、ヨーク腕部21の下面80が階段状に加工されている場合の電磁石装置の断面図を示す。この例は、非磁性層22の厚さを連続的に減少させるのではなく、一定のステップごとに減少させてもよいことを表す。
【0042】
上述の例は、いずれもC型電磁石装置(図15の(a)または(b))に対して適用可能である。一方、本発明は、H型電磁石装置(図15の(c)または(d))に対しても適用可能である。図16を参照して、その例を説明する。図16は、H型電磁石装置160の断面図を示す。図示されるように、磁極23の上面23−1は、両側のヨーク基部20から離れるほど、すなわち中央にいくほどヨーク腕部21の下面に近くなるように傾斜がつけられている。
【0043】
以上説明したように、磁極23の上面およびヨーク腕部21の下面に様々な加工を施して非磁性層22の厚さを変化させることにより、磁性抵抗および磁場強度をほぼ均一にできる。なお、磁極23の上面については図2、図4および図5のいずれかに示す磁極23の構造を、ヨーク腕部21の下面については図6〜図8に示すヨーク腕部21の構造を組み合わせて採用してもよい。
【0044】
次に図9は、磁極23の位置を調整するための位置調整部90を設けた電磁石装置を示す。位置調整部90は、磁極23とヨーク腕部21との間に設けられ、ヨーク腕部21に対する磁極の位置を変化させることができる。これにより、位置調整部90は、磁路の磁気抵抗の大きさを均一にするよう磁極の位置を調整し、ヨーク基部からの距離に応じてヨーク腕部と磁極との距離を減少させる、または増加させることができる。位置調整部90は、例えば油圧ジャッキである。これにより、電磁石装置が完成した後に磁場の均一性を得ることができない場合でも、磁極23の位置を調整して磁場均一度を向上できる。このとき磁場分布を計測すれば、微調整をしながら、磁場の大きさが均一になる磁極23の位置を特定できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電磁石装置よれば、非磁性層22に面する磁極23およびヨーク腕部21の少なくとも一方の形状を任意に加工して非磁性層22の厚さを調節するので、低い加工精度で均一な大きさの磁場を得ることができる。よって加工コストを低減できる。例えば、非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて変化する。より具体的には、非磁性層の厚さは、磁路の磁気抵抗の大きさを均一にするようヨーク基部からの距離に応じて減少し、または増加する。磁路の磁性抵抗をほぼ等しくすることができるので、磁場強度を均一にできる。
【0046】
例えば、非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて直線的に減少する。すなわち非磁性層に接する磁極の面、および、非磁性層に接するヨーク腕部の面の一方は、他方に対して傾斜している。また、非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて階段状に減少する。より具体的には、非磁性層に接する磁極の面、および、非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方は、階段状に形成されている。また、非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて曲線的に減少する。より具体的には、非磁性層に接する磁極の面、および、非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方が、曲面になるように形成されている。これらのように磁極またはヨーク腕部を加工することは、加工量に対して磁場強度の変動が小さくなるため、比較的低い精度の加工で精度の良い均一な大きさの磁場を得ることができる。これにより加工コストを低減できる。これらの構成によれば、いうまでもなく磁場強度も均一にできる。
【0047】
本発明の電磁石装置によれば、ヨーク基部からの距離に応じてヨーク腕部と磁極との距離を変化させるよう磁極の位置を調整する位置調整部を含むので、電磁石装置が完成した後に磁場の大きさが均一でない場合でも、磁極の位置を調整して磁場均一度を向上できる。このとき磁場分布を計測すれば、微調整をしながら、磁場の大きさが均一になる磁極の位置を特定できる。
【0048】
本発明の荷電粒子加速装置は、ヨーク基部からの距離に応じてヨーク腕部と磁極との距離が変化する電磁石装置を用いるので、電磁石装置が発生する磁場、より具体的には荷電粒子が運動する平面(軌道平面)内の磁場の大きさは均一である。これにより、荷電粒子の運動を正確に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の荷電粒子加速装置を示す図である。
【図2】 本発明の電磁石装置の断面図である。
【図3】 磁極23の上面および下面をそれぞれ加工した場合の磁場の大きさの均一度を示すグラフである。
【図4】 磁極の上面が曲面である場合の電磁石装置の断面図である。
【図5】 磁極23の上面50が階段状に加工されている場合の電磁石装置の断面図である。
【図6】 ヨーク腕部の下面が直線的に加工されている場合の電磁石装置の断面図である。
【図7】 ヨーク腕部の下面が曲面である場合の電磁石装置の断面図である。
【図8】 ヨーク腕部の下面が階段状に加工されている場合の電磁石装置の断面図である。
【図9】 磁極の位置を調整するための位置調整部を設けた電磁石装置を示す図である。
【図10】 従来の電磁石装置の断面図である。
【図11】 軌道平面上の磁場分布を示す図である。
【図12】 磁極の空間側の面を加工した電磁石装置の断面図である。
【図13】 磁極に磁性体であるシムを貼り付けた電磁石装置の断面図である。
【図14】 従来の別の電磁石装置を示す図である。
【図15】 電磁石装置におけるヨークの形状の例を示す図である。
【図16】 H型電磁石装置の断面図を示す。
【符号の説明】
1 コイル、 10 電磁石装置、 20 ヨーク基部、 21 ヨーク腕部、 22 非磁性層、 23 磁極、 25 磁場発生空間
Claims (8)
- 対向する2つの磁極と、
対向する2つのヨーク腕部、および、該2つのヨーク腕部の各々を接続する少なくとも1つのヨーク基部とからなり、磁路を形成するヨークと、
少なくとも一方の磁極とヨーク腕部との間に設けられた非磁性層と、
磁極を励磁するコイルと
から構成される電磁石装置において、
非磁性層に面する磁極およびヨーク腕部の少なくとも一方の形状を加工して、非磁性層の厚さを調節し、非磁性層の厚さが磁路の磁気抵抗の大きさを均一にするようヨーク基部からの距離に応じて変化する、電磁石装置。 - 非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて直線的に減少する、請求項1に記載の電磁石装置。
- 非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の一方は、他方に対して傾斜している、請求項2に記載の電磁石装置。
- 非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて階段状に減少する、請求項1に記載の電磁石装置。
- 非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方は、階段状に形成されている、請求項4に記載の電磁石装置。
- 非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて曲線的に減少する、請求項1に記載の電磁石装置。
- 非磁性層に接する磁極の面および非磁性層に接するヨーク腕部の面の少なくとも一方は、曲面である、請求項6に記載の電磁石装置。
- 非磁性層の厚さは、ヨーク基部からの距離に応じて増加する、請求項1に記載の電磁石装置。
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JP2002151298A (ja) | 2002-05-24 |
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