JP3863097B2 - ダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法 - Google Patents

ダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローカル入力端子に入力されたキャリア信号とIF入力端子に入力されたIF信号とを掛け算するダブルバランスド・ミキサの出力信号に含まれるキャリアリークを測定するダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5(b)に示す構造を有するダブルバランスド・ミキサ(Double Balanced Mixer 以下、DBMと略記する)1(この構造はダブルバランスド・ミキサの一例である)においては、図5(a)に示すように、ローカル入力端子に入力されたキャリア信号cとIF入力端子に入力されたIF信号bとを掛け算して、出力信号dとして出力する。
【0003】
この場合、一般のDBM1においては、図5(c)の位相ベクトル図に示すように、出力信号dに、この出力信号dの正規ベクトルの他に、キャリア信号cがこのDBM1を介して出力信号dにリークするキャリアリークが含まれる。このように、DBM1の出力信号dにキャリアリークが含まれると、このDBM1が組込まれた例えば直交変調器等の各種の回路や信号処理機器の出力信号において、大きなスプリアスが発生し、性能低下の要因となる。
【0004】
したがって、各種の回路や信号処理機器に組込まれる各DBM1におけるキャリアリークの大きさ及び位相θを予め測定して、把握しておくことは、回路設計上重要なことである。
【0005】
従来、図6(a)に示すネットワークアナライザ(NWA)2を用いて、このDBM1におけるキャリアリークの大きさLと基準位相(キャリア信号cの位相)からの角度を示す位相θを求めていた。すなわち、測定対象のDBM1のIF入力端子をこのDBM1の特性インピーダンス3で終端し、ネットワークアナライザ(NWA)2から、位相と周波数と振幅とが既知である試験信号としてのキャリア信号cをDBM1のRF入力端子に印加し、そのときのDBM1の出力信号dを取込んで、この出力信号dの大きさと位相とを測定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ネットワークアナライザ(NWA)2で、このDBM1におけるキャリアリークを測定する手法においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0007】
すなわち、DBM1のなかには、信号レベルが一定以上のキャリア信号cを入力する必要がある動作仕様を有するものもある。一般に、ネットワークアナライザ(NWA)2に入出力される信号の信号レベルは、DBM1を駆動するには、小さくて、ネットワークアナライザは、この小さい信号レベルの信号の特性を高い精度で測定する機能を有している。したがって、図6(b)に示すように、キャリア信号cの信号路に増幅器4を介在させる必要がある。
【0008】
しかし、このように信号路に増幅器4を介在させると、測定結果に対する増幅器4の増幅特性、位相特性の影響も無視できないので、測定、及び最終のキャリアリークの大きさLと位相θを求める演算処理が複雑化する。
【0009】
さらに、図7に示すように、測定対象のDBM1が、他のDBM5及び加算器6とともに、例えばIC回路のように一つの一体形成された直交変調器7に組込まれていた場合においては、測定対象のDBM1の出力信号を単独で取出すことができないので、ネットワークアナライザ(NWA)2を用いて、測定対象のDBM1単独のキャリアリークを測定することは不可能であった。
【0010】
また、ネットワークアナライザ(NWA)2は、本質的に、小さい信号レベルの信号の特性を高い精度で測定する機能を有するので、非常に高価である。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測定対象のDBMを直交変調器に組込み、この直交変調器全体の出力信号レベルを各DBMのIF入力端子に印加する直流電圧で制御することによって、ネットワークアナライザ(NWA)を用いることなく、簡単に高い精度で、かつたとえ直交変調器に組込まれたDBMであったとしても、測定対象のDBM単独のキャリアリークを測定できるダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明のダブルバランスド・ミキサ(DBM)のキャリアリーク測定方法においては、少なくとも一方が被測定DBM(ダブルバランスド・ミキサ)である第1のDBM及び第2のDBMにおけるそれぞれのRF出力端子を加算器に連結して加算信号を出力する直交変調器を準備する段階と、第1のDBMにキャリア信号を入力するとともに、前記第2のDBMに位相が90°遅れたキャリア信号を入力する段階と、これらキャリア信号を入力した段階で第1のDBMのIF入力端子に直流電圧を印加するとともに第2のDBMのIF入力端子に別の直流電圧を印加し、直交変調器の出力信号レベルが最低となるようなそれぞれの直流電圧IA、QAを求める段階と、第1のDBMにキャリア信号を入力するとともに、第2のDBMに位相が90°進んだキャリア信号を入力する段階と、これらキャリア信号を入力した段階で第1のDBMのIF入力端子に直流電圧を印加するとともに第2のDBMのIF入力端子に別の直流電圧を印加し、直交変調器の出力信号レベルが最低となるようなそれぞれの直流電圧IB、QBを求める段階と、直流電圧IA、QA、直流電圧IB、QB、並びに第1、第2のDBMのそれぞれの変換係数KI、KQから被測定DBMのキャリアリークのレベル及び位相を算出する段階とを備えている。
【0013】
また、別の発明は、上述したDBMのキャリアリーク測定方法において、第1、第2のDBMの各IF入力端子に印加することによって、加算器から出力される直交変調器全体の出力信号レベルが最小となる一対の直流電圧を一対の基準電圧とし、第1、第2のDBMのうちの一方のDBMのIF入力端子に印加する直流電圧を基準電圧から変化させたときの電圧変化量と直交変調器の出力信号レベルの変化量との比率を該当DBMの変換係数としている。
【0014】
さらに、別の発明は、上述したDBMのキャリアリーク測定方法において、第1、第2のDBMの各IF入力端子に直流電圧を印加し、前記加算器から出力される直交変調器全体の出力信号レベルが最小となるように直流電圧の一方を調節し、この状態で、他方のDBMのIF入力端子に印加する直流電圧を変化させたときの電圧変化量と、直交変調器の出力信号レベルの変化量との比率を他方のDBMの変換係数としている。
【0015】
さらに別の発明は、直交変調器は一つの回路素子として一体形成されている。
【0016】
このように構成されたDBMのキャリアリーク測定方法の測定原理を図1、図2を用いて説明する。
例えば、測定対象のDBM11と測定対象でないDBM12と加算器13とで構成される直交変調器14の各DBM11、12のIF入力端子に印加するI、Q信号の信号レベルを「0」に維持した状態で、各DBM11、12に対して互いに位相が90°異なるキャリア信号c1、c2を印加する。なお、各DBM11、12が全くキャリアリークを発生しない状態においては加算器13から信号は出力されない。
【0017】
しかし、一般的に、図2に示すように、DBM11からのこのDBM11に入力するキャリア信号c1の位相に対して位相θIだけ離れたキャリアリーク(大きさLI)が発生し、DBM12からのこのDBM12に入力するキャリア信号c2の位相に対して位相θQだけ離れたキャリアリーク(大きさLQ)が発生する。加算器13から出力される直交変調器14全体のキャリアリーク(大きさL0)は各キャリアリークLI、LQをベクトル合成したものである。
【0018】
この直交変調器14からキャリアリークL0が出力されないためには、このキャリアリークL0を打ち消すベクトル方向を持つ調整のための電圧Vを加算器13の出力に発生させればよい。この調整のための電圧Vを発生させるためには、DBM11、12のIF入力端子に対して、各キャリア信号c1、c2の入力位相(位相軸)に投影された直流電圧IDC、QDCを印加すればよい。
【0019】
ここで、直交変調器14から出力されるキャリアリークL0(出力信号)の大きさを示す信号レベルは簡単に測定できるので、キャリアリークL0の信号レベルが最小を示す直流電圧IDC、QDCを求めることは容易である。
【0020】
図2から理解できるように、キャリアリークL0を打ち消すために印加した直流電圧IDCは、各キャリアリークLI、LQをDBM11に入力するキャリア信号c1の位相(I相軸)に投影したI相成分を加算した値を打ち消す電圧である。
【0021】
また、キャリアリークL0を打ち消すために印加した直流電圧QDCは、各キャリアリークLI、LQをDBM12に入力するキャリア信号c2の位相(Q相軸)に投影したQ相成分を加算した値を打ち消す電圧である。
【0022】
したがって、直流電圧IDC、QDCと各キャリアリークLI、LQの大きさと位相θI、θQとの関係が求まる。
【0023】
次に、各DBM11、12に印加するキャリア信号c1、c2を切り換えて同様の関係を求めることによって、各キャリアリークLI、LQの大きさと位相θI、θQとが求まる。
【0024】
但し、各DBM11、12においては、IF入力端子に入力される電圧がそのまま出力端子に現れるのではなく、各DBM11、12に対応した変換係数KI、KQを乗算した値が現れる。したがって、前述した直流電圧IDC、QDCに変換係数KI、KQを乗算した値と各キャリアリークLI、LQの大きさと位相θI、θQとの関係を用いて各キャリアリークLI、LQの大きさと位相θI、θQとが求まる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係わるダブルバランスド・ミキサ(DBM)のキャリアリーク測定方法を図面を用いて説明する。
図3(a)は、図1で示した測定対象のDBM11と、このDBM11と同一仕様のDBM12と、加算器13とが組込まれた直交変調器14におけるDBM11のローカル入力端子にキャリア信号c1(=E cos(2πfC))を印加し、他方のDBM12のローカル入力端子にキャリア信号c2(=E sin(2πfC))を印加した状態Aを示す。したがって、この状態Aにおいては、各キャリア信号c1、c2は互いに位相が90°離れている。
【0026】
さらに、この状態Aにおいて、加算器13から出力される信号(キャリアリークL0)の信号レベルが最小となるような、すなわち、この信号(キャリアリークL0)を打ち消すベクトル方向の調整のための電圧Vを発生させるために、各DBM11、12のIF入力端子へ直流電圧IA、QAを印加している。
【0027】
この一対の直流電圧IA、QAの組合せを求める具体的手法は、各DBM11、12のIF入力端子へ印加する直流電圧ID、QDの組合せを順次変化させていって、加算器13の出力信号レベルが最小となる直流電圧ID、QDの組合せを検索すればよい。
【0028】
この状態Aにおいては、図3(b)、(c)に示すように、DBM11からのこのDBM11に入力されるキャリア信号c1の位相(I相軸)に対して位相θIだけ離れたキャリアリークLIが発生し、DBM12からのこのDBM12に入力されるキャリア信号c2の位相(Q相軸)に対して位相θQだけ離れたキャリアリークLQが発生する。加算器13から出力される直交変調器14全体のキャリアリークL0は各キャリアリークLI、LQをベクトル合成したものである。
【0029】
図3(b)において、このベクトル合成されたキャリアリークL0のDBM11に入力されるキャリア信号c1の相軸(I相軸)方向成分を打ち消すために、DBM11のIF入力端子へ印加する直流電圧IAのDBM11の出力端に現れるRF成分RFIAは、各キャリアリークLI、LQのDBM11に入力されるキャリア信号c1の位相(I相軸)方向成分を合算した値を打ち消す値であるので、(1)式で示すことができる。
【0030】
RFIA=[LI cos(θI)―LQ sin(θQ)]・(―1) …(1)
同様に、図3(c)において、このベクトル合成されたキャリアリークL0のDBM12に入力されるキャリア信号c2の位相(Q相軸)方向成分を打ち消すために、DBM12のIF入力端子へ印加する直流電圧QAのDBM12の出力端に現れるRF成分RFQAは、各キャリアリークLI、LQのDBM12に入力されるキャリア信号c2の位相(Q相軸)方向成分を合算した値を打ち消す値であるので、(2)式で示すことができる。
【0031】
RFQA=[LI sin(θI)+LQ cos(θQ)]・(―1) …(2)
しかしながら、直流電圧IA、IBで二つのキャリアリークLI、LQをまとめて打ち消しているので、この(1)、(2)式から二つのキャリアリークLI、LQを個別に求めることはできない。
【0032】
そこで、図4(a)に示すように、直交変調器14の各DBM11、12に入力するキャリア信号c1、c2を交換する。すなわち、直交変調器14におけるDBM11のローカル入力端子にキャリア信号c2(=E sin(2πfC))を印加し、他方のDBM12のRF入力端子にキャリア信号c1(=E cos(2πfC))を印加して、状態Bとする。したがって、この状態Bにおいても、各キャリア信号c1、c2は互いに位相が90°異なる。
【0033】
この状態Bの場合、各DBM11、12に入力されるキャリア信号の位相が状態Aに比較して、90°移動する。
【0034】
したがって、図4(b)において、ベクトル合成されたキャリアリークL0のDBM12に入力されるキャリア信号c2の位相(Q相軸)方向成分を打ち消すために、DBM12のIF入力端子へ印加する直流電圧QBによってDBM12の出力端に現れるRF成分RFQBは、各キャリアリークLI、LQのDBM12に入力されるキャリア信号c2の位相(Q相軸)方向成分を合算した値を打ち消す値であるので、(3)式で示すことができる。
【0035】
RFQB=[―LI sin(θI)+LQ cos(θQ)]・(―1) …(3)
同様に、図4(c)において、このベクトル合成されたキャリアリークL0のDBM11に入力されるキャリア信号c1の位相(I相軸)方向成分を打ち消すために、DBM11のIF入力端子へ印加する直流電圧IBによってDBM11の出力端に現れるRF成分RFIBは、各キャリアリークLI、LQのDBM11に入力されるキャリア信号c1の位相(I相軸)方向成分を合算した値を打ち消す値であるので、(4)式で示すことができる。
【0036】
RFIB=LI cos(θI)+LQ sin(θQ) …(4)
前述したように、各DBM11、12においては、IF入力端子に入力される電圧がそのまま出力端子にRF成分として現れるのではなく、各DBM11、12に対応した変換係数Kを乗算した値がRF成分として現れる。各DBM11、12の変換係数をKI、KQとすると、各RF成分と各直流電圧との関係は、(5)〜(8)式で示すことが可能である。
【0037】
RFIA=KI・IA …(5)
RFQA=KQ・QA …(6)
RFIB=KI・IB …(7)
RFQB=KQ・QB …(8)
以上の(5)〜(8)式を(1)〜(4)式へ代入して下記に示す(9)〜(12)式を得る。
【0038】
RFIA=KI・IA=[LI cos(θI)―LQ sin(θQ)]・(―1) …(9)
RFQA=KQ・QA=[LI sin(θI)+LQ cos(θQ)]・(―1) …(10)
RFQB=KQ・QB=[―LI sin(θI)+LQ cos(θQ)]・(―1) …(11)
RFIB=KI・IB=[LI cos(θI)+LQ sin(θQ)]・(―1) …(12)
(9)〜(12)式を変形して、下記に示す(13)〜(16)式を得る。
【0039】
I・IA+KI・IB=2LI cos(θI)・(―1) …(13)
Q・QA+KQ・QB=2LQ cos(θQ)・(―1) …(14)
I・IA―KI・IB=―2LQ sin(θQ)・(―1) …(15)
Q・QA―KQ・QB=2LI sin(θI)・(―1) …(16)
式(13)、(16)からDBM11のキャリアリークの大きさLIは(17)式で求まる。
I=(1/2)[KI 2(IA+IB2+KQ 2(QA―QB21/2…(17)
また、式(14)、(15)からDBM12のキャリアリークの大きさLQは(18)式で求まる。
【0040】
Q=(1/2)[KI 2(IA―IB2+KQ 2(QA+QB21/2…(18)
さらに、(13)式からDBM11のキャリアリークの位相θIは(19)式で求まる。
【0041】
θI=ACOS[―KI(IA+IB)/(2LI)] …(19)
同様に、(14)式からDBM12のキャリアリークの位相θQは(20)式で求まる。
【0042】
θQ=ACOS[―KQ(QA+QB)/(2LQ)] …(20)
または、(16)式からDBM11のキャリアリークの位相θIは(21)式で求まる。
【0043】
θI=ASIN[―KI(QA―QB)/(2LI)] …(21)
同様に、(15)式からDBM12のキャリアリークの位相θQは(22)式で求まる。
【0044】
θQ=ASIN[―KQ(IA―IB)/(―2LQ)] …(22)
このように、直交変換器14の加算器13から出力される直交変換器14全体としてのキャリアリークL0の信号レベルが最小となる各DBM11、12のIF入力端子に印加する2組の直流電圧の組合せ(IA、QA)、(IB、QB)、及び各DBM11、12の変換係数KI、KQが求まれば、各DBM11、12単独の各キャリアリークの大きさLI、LQ、及び位相θI、θQが一義的に求まる。
【0045】
次に、各DBM11、12の変換係数KI、KQの測定方法を説明する。この変換係数KI、KQの測定方法は下記の(a)(b)(c)で示す複数種類が考えられる。
【0046】
(a)簡易測定
精度を必要としない場合には、変換係数Kを測定したい一方のDBM11のIF入力端子に直流電圧を印加し、他方のDBM12のIF入力端子を接地する。そして、一方のDBM11のIF入力端子に印加する直流電圧DCの変化量と、このときに直交変換器14の加算器13から出力される出力信号の信号レベルVLの変化量との関係から、変換係数Kを算出する。
【0047】
この簡易測定においては、各DBM11、12が有する各キャリアリークが加算器13から出力される出力信号に含まれるので、変換係数KI、KQの高い測定精度を期待できない。
【0048】
(b)正規測定(その1)
測定対象でないDBM12のIF入力端子に、加算器13から出力される直交変調器全体の出力信号の信号レベルが最小となる直流電圧を探して印加する。この状態で、測定対象のDBM11のIF入力端子に印加する直流電圧を変化させたときの直交変調器14の出力信号の信号レベルの変化の割合を測定対象のDBM11の変換係数KIとする。
【0049】
具体的には、測定対象のDBM11のIF入力端子に印加する第1の電圧DC1に対する直交変調器14の第1の出力信号レベルVL1と、測定対象のDBM11のIF入力端子に印加する第2の電圧DC2に対する直交変調器14の第2の出力信号レベルVL2とを求めて、変換係数KIを(23)式で求める。
【0050】
I=(VL2―VL1)/(DC2―DC1) …(23)
このように、測定対象でないDBM12のIF入力端子に直交変調器全体の出力信号レベルが最小となる直流電圧を印加しているので、測定対象のDBM11の変換係数KIを測定する過程で、測定対象でないDBM12のキャリアリークの影響を最小限に抑制できる。その結果、前述した簡易測定に比較して変換係数Kの測定精度を向上できる。
【0051】
(c)正規測定(その2)
直交変調器14の加算器13から出力される直交変調器14全体の出力信号の信号レベルが最小となる各DBM11、12の各IF入力端子に印加する一対の直流電圧IA、QAを探してそれぞれ基準電圧として設定する。次に、変換係数Kを測定しようとするDBM11のIF入力端子に印加する直流電圧IDを基準電圧IAから変化させたときの直交変調器14の出力信号レベルの変化割合を測定対象のDBM11の変換係数KIとする。
【0052】
このように直交変調器14全体の出力信号レベルを最小とした状態で変換係数Kを測定しているので、各DBM11、12が有する各キャリアリークが加算器13から出力される出力信号にほとんど含まれないので、変換係数Kの測定精度を大幅に向上できる。
【0053】
このように各DBM11、12の変換係数KI、KQも高い精度で測定できるので、各DBM11、12単独のキャリアリークの大きさLI、LQ、及び位相θI、θQを高い精度で測定可能である。
【0054】
また、直交変調器14から出力される直交変調器全体の出力信号の信号レベルは簡単なレベル測定器で測定可能であり、各DBM11、12のIF入力端子に印加する直流電圧(IA、QA)、(IB、QB)も簡単な直流電圧源で実現できる。したがって、高価なネットワークアナライザ(NWA)2を使用することなく、各DBM11、12単独のキャリアリークの大きさLI、LQ、及び位相θI、θQを測定可能である。
【0055】
また、たとえ、測定対象のDBM11が一つのIC回路素子としての直交変調器14に組込まれていたとしても、測定対象のDBM11単独のキャリアリークの大きさLI及び位相θIを高い精度で測定可能できる。
【0056】
もちろん、直交変調器14に組込まれた両方のDBM11、12を測定対象のDBMと指定することも可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のダブルバランスド・ミキサ(DBM)のキャリアリーク測定方法においては、測定対象のDBMを直交変調器に組込み、この直交変調器全体の出力が最小値になるように各DBMのIF入力端子に印加する直流電圧の組合せを設定し、この直流電圧の組合せと各DBMのキャリアリークとの関係を用いて各DBMのキャリアリークの大きさ及び位相を算出している。
【0058】
したがって、ネットワークアナライザ(NWA)を用いることなく、簡単にかつ高い精度で、たとえ直交変調器に組込まれたDBMであったとしても、測定対象のDBM単独のキャリアリークを高い精度で測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法に用いる直交変調器を示す図
【図2】本発明のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法の測定原理を示す図
【図3】本発明の一実施形態のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法における状態Aを説明するための図
【図4】同実施形態のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法における状態Bを説明するための図
【図5】キャリアリークを説明するための図
【図6】従来のネットワークアナライザを用いたキャリアリーク測定方法を示す図
【図7】一般的な直交変調器の概略構成を示す図
【符号の説明】
1、5、11、12…DBM
2…ネットワークアナライザ
6、13…加算器
7、14…直交変調器

Claims (4)

  1. 少なくとも一方が被測定DBM(ダブルバランスド・ミキサ)である第1のDBM及び第2のDBMにおけるそれぞれのRF出力端子を加算器に連結して加算信号を出力する直交変調器を準備する段階と、
    前記第1のDBMにキャリア信号を入力するとともに、前記第2のDBMに位相が90°遅れたキャリア信号を入力する段階と、
    これらキャリア信号を入力した段階で前記第1のDBMのIF入力端子に直流電圧を印加するとともに前記第2のDBMのIF入力端子に別の直流電圧を印加し、前記直交変調器の出力信号レベルが最低となるようなそれぞれの直流電圧IA、QAを求める段階と、
    前記第1のDBMにキャリア信号を入力するとともに、前記第2のDBMに位相が90°進んだキャリア信号を入力する段階と、
    これらキャリア信号を入力した段階で前記第1のDBMのIF入力端子に直流電圧を印加するとともに前記第2のDBMのIF入力端子に別の直流電圧を印加し、前記直交変調器の出力信号レベルが最低となるようなそれぞれの直流電圧IB、QBを求める段階と、
    前記直流電圧IA、QA、前記直流電圧IB、QB、並びに前記第1、第2のDBMのそれぞれの変換係数KI、KQから前記被測定DBMのキャリアリークのレベル及び位相を算出する段階と
    を備えたことを特徴とするダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法。
  2. 前記第1、第2のDBMの各IF入力端子に印加することによって、前記加算器から出力される直交変調器全体の出力信号レベルが最小となる一対の直流電圧を一対の基準電圧とし、
    前記第1、第2のDBMのうちの一方のDBMのIF入力端子に印加する直流電圧を前記基準電圧から変化させたときの電圧変化量と直交変調器の出力信号レベルの変化量との比率を該当DBMの変換係数とする
    ことを特徴とする請求項1記載のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法。
  3. 前記第1、第2のDBMの各IF入力端子に直流電圧を印加し、前記加算器から出力される直交変調器全体の出力信号レベルが最小となるように前記直流電圧の一方を調節し、
    この状態で、他方のDBMのIF入力端子に印加する直流電圧を変化させたときの電圧変化量と、直交変調器の出力信号レベルの変化量との比率を前記他方のDBMの変換係数とする
    ことを特徴とする請求項1記載のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法。
  4. 前記直交変調器は一つの回路素子として一体形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のダブルバランスド・ミキサのキャリアリーク測定方法。
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