JP3862916B2 - 光ファイバプリフォーム母材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英管に挿入された石英製コアロッドと石英管とを熱溶着して、光ファイバの原材であるプリフォーム母材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、屈折率の高いコアとその外周の屈折率の低いクラッドとからなる光ファイバプリフォーム母材を延伸した後、線引きしたものである。
【0003】
光ファイバプリフォーム母材を製造する方法には、VAD法(気相軸付け法)やMCVD法(改良化学蒸着法)により形成したコアロッドにダミーロッドを接続し、ダミー管に連結した石英管にコアロッドを挿入後、ダミーロッドによりコアロッドを支持しつつ、カーボンヒータを内装した電気炉で石英管を周囲から加熱することにより、コアロッドと石英管とを熱溶着させるOver Jacketing法がある。この方法で太径の石英管を用いると、光ファイバの生産性が向上する大型な光ファイバプリフォーム母材が製造できる。
【0004】
しかし、コアロッド毎にダミーロッドを溶接して接続しなければならず操作が煩雑であるうえ、ダミーロッドを繰返して使用することができないという問題があった。
【0005】
さらに、太径の石英管への溶接が容易な細径のダミー管を用いると、石英管とダミー管との接合面近傍を加熱する際に、石英管とダミー管との外径の相違のためその隙間から外気が電気炉内へ侵入し、カーボンヒータを酸化して消耗させてしまう。また侵入した外気は、電気炉内の自然対流を発生させ炉内温度の低下を生じる結果、プリフォーム母材に径変動を生じたさせたり、コアロッドと石英管とを熱溶着した接合界面に気泡を発生させる。
【0006】
プリフォーム母材は、径変動や気泡の生じた部位近傍を切除した後、線引きに供さなくてはならず、歩留まりが悪いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためなされたもので、石英管に挿入されたコアロッドを簡便に支えつつ石英管とコアロッドとを熱溶着させ、径変動や気泡のない高品質な光ファイバプリフォーム母材を歩留まりよく製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の光ファイバプリフォーム母材の製造方法は、実施例に対応する図1を参照して説明すると、石英管1の下端にダミー管3を接続し、ダミー管3の外周を、断熱円筒6で取り囲みつつ、切り込溝5の設けられたコアロッド載置管4をダミー管3へ挿入してダミー管3の下端で支持し、石英管1へコアロッド2を挿入してコアロッド載置管4に載置後、電気炉11を相対的に移動させて石英管1を周囲から加熱することにより、コアロッド2と石英管1とを熱溶着させるというものである。このコアロッド載置管4を用いると、コアロッド2を載置することにより、コアロッド2を簡便に支えることができる。さらに、切り込溝5を経て、石英管1内に不活性ガスを流したり、石英管1内から脱気して減圧することができる。
【0009】
ダミー管3の外周を、断熱円筒6で取り囲むことが好ましい。断熱円筒6は、例えばカーボン断熱材からなっている。断熱円筒6により、コアロッド載置管4がコアロッド2に熱溶着してしまうことを防止できる。そのためコアロッド載置管4は繰り返し使用することができる。
【0010】
断熱円筒6の外径が石英管1の外径と同径であることが好ましい。同径であると石英管1とダミー管3との当接部位近傍を加熱する際に、電気炉11内に外気が侵入することを防止することができる。
【0011】
本発明のコアロッド載置管4は、電気炉11に貫通しており、外周を断熱円筒で取り囲まれたダミー管3を下端に接続した石英管1へ挿入されたコアロッド2を載置して支え、ダミー管3内で支持されているコアロッド載置管であって、図2に示すような切り込溝5を有している。切り込溝5は、コアロッド載置管4の両端に設けられていることが好ましい。切り込溝は、四角い溝、V字型の溝、U字型の溝のいずれであってもよく、円孔であってもよい。
【0012】
なお、図3に示すようにこの製造方法は、上側ダミー管を石英管上端の同軸上に当接し加熱により溶接後、電気炉を相対的に移動させて該石英管を周囲から加熱することにより該コアロッドと該石英管とを熱溶着させるものであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明を適用する光ファイバプリフォーム母材の製造方法の実施例の製造途中を示す断面図である。
【0014】
光ファイバプリフォーム母材は、具体的には以下のようにして製造される。
長さ1000mm、内径24mm、外径80mmの合成石英製の石英管1の下端に、長さ400mm、内径24mm、外径40mmの天然石英製の下側ダミー管3を同軸上に溶接する。長さ240mm、内径42mm、外径80mmでカーボン断熱材からなる断熱円筒6で、下側ダミー管3を取り囲む。
【0015】
通気管17を有する栓体15を下側ダミー管3の開放下端に押し込む。上下端の各々に四つの四角い切り込溝5(図2参照)の設けられた、長さ380mm、内径14mm、外径20mmのコアロッド載置管4を、下側ダミー管3に挿入し栓体15で支持する。バネ14を搭載している下側チャック16で、下側ダミー管3と栓体15とを把持して固定する。このバネ14により断熱円筒6は押し上げられ、同軸上の石英管1と密着する。
【0016】
VAD法で形成した長さ1010mm、外径21mmのコアロッド2を、石英管1の開放上端から挿入し、コアロッド載置管4上に載置する。
【0017】
環状のカーボンヒータ13が内装されておりアルゴンガスを内部へ導入している不活性ガス導入管12が側面に取り付けられた電気炉11に、石英管1を挿入する。アルゴンガスは石英管1と電気炉11との隙間から漏出するので、外気が電気炉11内へ侵入しない。
【0018】
図3に示すように、長さ700mm、内径24mm、外径40mmの天然石英製の上側ダミー管21を上側チャック22で把持しつつ、上側ダミー管21の下端と石英管1の上端とを同軸上に当接させる。次いで栓体15の通気管からヘリウムガスを流す。するとヘリウムガスは、通気管15からコアロッド載置管4の切り込溝5を経て下側ダミー管3内へ流れ込み、石英管1とコアロッド2との間を流れ、上側ダミー管21の開放上端から排出される。
【0019】
石英管1と上側ダミー管21との当接部位の外周近傍に電気炉11を移動する。電気炉11を2050℃に加熱する。石英管1と上側ダミー管21とは、当接部位近傍が軟化する。石英管1内や上側ダミー管21内はヘリウムガスが流れており、石英管1と上側ダミー管21とが完全に溶接されるまで当接した隙間からヘリウムガスが遺漏するため、SiO微粒子や不純物が侵入しない。完全に溶接されたら、ヘリウムガスの導入を停止する。
【0020】
次いで、図1に示すように上側ダミー管21の開放上端と、通気管17とから減圧する。すると、石英管1内の気体は、上側ダミー管21から排出されるとともに、コアロッド載置管4の切れ込溝5を経て栓体15の通気管17からも排出される。石英管1の内圧を100torrに維持する。同時に電気炉11を降下させる。すると、加熱された部分で石英管1は軟化する。石英管1内が減圧されているため中空が潰れ、石英管1は細径化し、コアロッド2と熱溶着する。
【0021】
石英管1の下端が加熱される際にも、石英管1の外径と断熱円筒6の外径とが同一であるため、電気炉11内に外気が侵入しない。石英管2の下端まで加熱されて熱溶着が完了すると、径変動や気泡のない光ファイバプリフォーム母材が得られる。
【0022】
コアロッド載置管4は、断熱円筒6により電気炉11からの熱が遮蔽されているので、コアロッド2と熱溶着しない。そのため栓体15を外すと、コアロッド載置管4を取り出すことができる。
【0023】
なお、図3に示すように電気炉11の上下端に、石英管1やダミー管3、21と電気炉11との隙間を覆う遮熱絞り具23、27、例えば、同一円周上に設けられた複数の軸26に支持されて巴状に重なっている遮熱板24を有し、遮熱板24を形成する外辺の湾曲25で石英管の外周を取り巻いているアイリス絞りが配置されていてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明のコアロッド載置管を用いた光ファイバプリフォーム母材の製造方法によれば、石英管に挿入されたコアロッドを簡便に支えつつ石英管とコアロッドとを熱溶着させることができる。コアロッド載置管は繰り返し使用することができる。さらに得られた光ファイバプリフォーム母材は、歩留まりがよく、気泡や径変動がない。この母材から高品質な光ファイバへと誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する光ファイバプリフォーム母材の製造方法の実施例の製造途中を示す断面図である。
【図2】本発明を適用するコアロッド載置管の実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明を適用する光ファイバプリフォーム母材の製造方法の別な実施例の製造途中を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1は石英管、2はコアロッド、3は下側ダミー管、4はコアロッド載置管、5は切り込溝、6は断熱円筒、11は電気炉、12は不活性ガス導入管、13はカーボンヒータ、14はばね、15は栓体、16は下側チャック、17は通気管、21は上側ダミー管、22は上側チャック、23は遮熱絞り具、24は遮熱板、25は湾曲、26は軸、27は遮熱絞り具である。

Claims (3)

  1. 石英管の下端にダミー管を接続し、前記ダミー管の外周を、断熱円筒で取り囲みつつ、切り込溝の設けられたコアロッド載置管を該ダミー管へ挿入して該ダミー管の下端で支持し、該石英管へコアロッドを挿入して該コアロッド載置管に載置後、電気炉を相対的に移動させて該石英管を周囲から加熱することにより、該コアロッドと該石英管とを熱溶着させる光ファイバプリフォーム母材の製造方法。
  2. 前記断熱円筒の外径が該石英管の外径と同径であることを特徴とする請求項に記載の光ファイバプリフォーム母材の製造方法。
  3. 電気炉に貫通しており、外周を断熱円筒で取り囲まれたダミー管を下端に接続した石英管へ挿入されたコアロッドを載置して支え、該ダミー管内で支持されているコアロッド載置管であって、切り込溝を有していることを特徴とするコアロッド載置管。
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