JP3862811B2 - 一缶二水路風呂給湯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯熱交換器と追い焚き熱交換器が一体化され、その一体化した熱交換器を共通のバーナーで加熱する一缶二水路風呂給湯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8には一缶二水路風呂給湯器のモデル例が示されている。この一缶二水路風呂給湯器(器具)はバーナー2と給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4を有しており、給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4は一体化され、バーナー2はその一体化された給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4を共通に加熱する構成となっている。
【0003】
上記給湯熱交換器3の入側には水供給源から水を導く給水通路13が接続され、給湯熱交換器3の出側には湯水を台所やシャワー等の給湯場所に導く給湯通路14が接続されている。また、追い焚き熱交換器4は循環ポンプ20が介設されている追い焚き循環通路24に組み込まれている。
【0004】
この種の一缶二水路風呂給湯器には、通常、制御装置40が設けられており、この制御装置40によって給湯運転や追い焚き運転等の器具運転動作が制御される。例えば、給湯通路14の先端側に設けられた台所やシャワー等の給湯栓(図示せず)が開栓されると、給湯通路14と給湯熱交換器3と給水通路13の湯水が流れ始める。そして、給水通路13に介設された水量センサ31によって検出される流量が予め定められた給湯運転作動流量(例えば、2.5リットル/min )以上になったときにバーナ ー2の燃焼を開始させ、予め定められた給湯設定 温度の湯が出湯されるようにバーナー2の燃焼能力を制御し、給湯熱交換器3の通水をバーナー2の燃焼火炎の熱により加熱し湯を作り出し該湯を給湯通路14を通して台所やシャワー等の所望の給湯場所に出湯する。給湯栓が閉められ、給湯熱交換器3の通水が停止すると、その通水停止を水量センサ31のセンサ出力により検出し、バーナー2の燃焼を停止して給湯運転を終了する。
【0005】
また、追い焚き運転を行うときには、循環ポンプ20を駆動させて浴槽22の湯水を追い焚き循環通路24を通して循環させると共にバーナー2の燃焼を開始させ、追い焚き熱交換器4の循環湯水をバーナー2の燃焼火炎の熱によって加熱して浴槽22の湯水の追い焚きを行う。そして、浴槽湯水の温度が予め定められた風呂の設定温度に達したときにバーナー2の燃焼を停止させると共に循環ポンプ20を停止して追い焚き運転を終了する。
【0006】
一缶二水路風呂給湯器は、一体化された給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4を共通のバーナー2を用いて加熱する方式であるので、別体に設けられた給湯熱交換器と追い焚き熱交換器をそれぞれ別個のバーナーを用いて燃焼加熱する方式に比べて、装置構成の簡易化が図れ、これに伴い、装置の小型化とコストの低減が図れることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一缶二水路風呂給湯器では、追い焚き熱交換器4を通る循環湯水を加熱する場合、つまり、追い焚き運転時には、バーナー2の燃焼火炎によって給湯熱交換器3の水管内の湯水を加熱し、該給湯熱交換器3内の湯水の熱によって追い焚き熱交換器4内の湯水を加熱する。このように、追い焚き運転時には追い焚き燃焼によって追い焚き熱交換器4内の湯水だけでなく給湯熱交換器3内の湯水も加熱されることから、次のような問題が生じる。
【0008】
例えば、給湯と追い焚きを共に行うときに追い焚き燃焼を優先させて行うと、追い焚きを行うときには、通常、できるだけ早く風呂が沸き上がるように予め定められた最大燃焼能力でバーナー2の燃焼を行うものであることから、その最大燃焼能力の燃焼熱で給湯熱交換器3の通水が加熱されることとなり、給湯熱交換器3の通水はかなり高温となり、給湯設定温度よりもかなり高温の湯が出湯してしまい、湯の利用者に高温出湯による不快感を与えるばかりでなく、その高温湯が湯の利用者の手や胸等の体に当たると火傷を負わせる等の問題が生じる。このため、通常、追い焚きと給湯が共に行われるときには、安全性の観点から、給湯を優先させてバーナー2の燃焼制御を行い上記高温出湯の問題を回避するようにしている。
【0009】
しかしながら、給湯運転が行われず追い焚き運転のみが行われる追い焚き単独運転中に、台所やシャワー等の給湯栓が僅かに開栓されて水量センサ31により検出される流量が給湯作動流量未満の微少流量である漏れ給湯時には、給湯が行われていると検知されないことから、給湯栓から湯が出湯しているのにも拘らず給湯優先の燃焼運転が行われず、追い焚きの高い燃焼能力で給湯熱交換器3の微少流量の通水が加熱されることになるから、燃焼火炎から受け取る単位流量当りの熱量は非常に多く給湯熱交換器3内の通水は沸騰に近い高温に加熱され、その高温湯が給湯通路14を介して出湯し続けてしまうので、その高温出湯によって給湯利用者に火傷を負わせてしまう等の危険を及ぼす虞がある。
【0010】
この追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した問題を回避する手段として、特開平5−302753号公報に示されるような手段が提案されている。この提案手段は、給湯熱交換器の出口側に出湯湯温を検出する給湯温度検出手段を設け、該給湯温度検出手段で検出される湯温が予め定めた所定の温度設定値THを越えたときに、バーナーの燃焼能力を予め定めた燃焼能力まで低下させるというものである。
【0011】
しかし、この提案手段では、給湯熱交換器3から流れ出る湯の温度が上記設定温度を越えたときにバーナー2の燃焼能力を低下するものの、バーナー2の燃焼は継続して行われるので、引き続き給湯熱交換器3の通水はバーナー2の燃焼熱によって加熱され、バーナー2の燃焼能力を低下しても給湯熱交換器3の通水は微少流量であることから給湯熱交換器3の通水が受け取る単位流量当りの熱量は多く、給湯熱交換器3から流れ出る湯の温度は中々下がらず高温のままであることから、給湯熱交換器3から高温の湯が出湯し続け、追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続の危険を回避することはできない。
【0012】
また、上記漏れ給湯が行われていない通常の追い焚き単独運転中には、給湯熱交換器3内に湯水は滞留しており、上記提案手段では、その給湯熱交換器3の滞留湯水は追い焚きの高燃焼能力の燃焼によって連続的に加熱されるので沸騰に近い高温になってしまう。このため、追い焚き単独運転中や追い焚き単独運転直後に、台所やシャワー等の給湯栓が開栓されると、追い焚き単独運転に起因した高温の湯が給湯熱交換器3から流れ出てしまう。上記提案手段では、給湯熱交換器から流れ出る湯温が温度設定値以上であるときにはバーナー燃焼能力を低下するが、給湯熱交換器3内には火傷等の危険がある非常に高温の湯が既に作られているので、その高温湯が給湯通路14を通って流れ出てしまい、上記同様に湯の利用者に火傷を負わせる等の問題が生じ、追い焚き単独運転に起因した高温出湯の問題を回避することはできない。
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、追い焚き単独運転に起因した高温出湯の問題と、追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題とを共に回避することが可能な一缶二水路風呂給湯器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、次のような構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段と、給湯熱交換器から流れ出る湯の温度を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出センサにより構成される流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器において、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われる追い焚き単独運転中に、上記流量検出手段が流水オフを検出し、上記流出湯温検出手段が検出する湯温給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温よりも予め定めた温度以上高い差分を検出したときには、上記流量検出手段によって検出できない微量の漏れ給湯が生じていることを示す漏れ給湯発生信号を出力する漏れ給湯検出部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0015】
第2の発明は、湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段と、給湯熱交換器から流れ出る湯の温度を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出センサにより構成される流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能と、オフ温度と該オフ温度よりも予め設定された温度分だけ高めの危険温度とが与えられ給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したとき、あるいは、上記流出湯温検出手段により検出される湯温が上記危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させる安全機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器であって、上記危険温度は、上記流量検出手段によって検出できない微量の漏れ給湯が生じているとき給湯熱交換器湯温検出手段で検出された給湯熱交換器内の湯温の湯水が上記流出湯温検出手段の位置に達するまでに上昇する湯温の差分に応じた温度だけ上記オフ温度よりも高めの温として与えられ、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われる追い焚き単独運転中に、上記流量検出手段が流水オフを検出し、上記流出湯温検出手段の検出温度が上記危険温度以上になったときにバーナ燃焼停止を行う漏れ給湯危険回避手段が設けられ、この漏れ給湯危険回避手段によってバーナ燃焼停止が行なわれたときには、漏れ給湯が生じていることを示す漏れ給湯発生信号を出力する漏れ給湯検出部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0016】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、オフ温度と該オフ温度よりも低めのオン温度とが予め与えられ、追い焚き単独運転中に給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させ、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オン温度以下に低下したときにはバーナ燃焼を再開させるオン・オフ燃焼制御部と;上記オン温度とオフ温度を下げ方向に可変設定するためのオン・オフ温度可変設定データが与えられ、漏れ給湯検出部により漏れ給湯発生信号が出力されたとき、あるいは、流量検出手段によって予め定められた給湯運転作動流量よりも少ない漏れ給湯流量が検出されたときに、上記オン・オフ温度可変設定データに従ってオン温度とオフ温度を可変設定する温度データ可変設定部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0017】
第4の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、オフ温度と該オフ温度よりも低めのオン温度とが予め与えられ、追い焚き単独運転中に給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させ、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オン温度以下に低下したときにはバーナ燃焼を再開させるオン・オフ燃焼制御部と;流出湯温検出手段が検出する湯温が予め定めた危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させる漏れ給湯危険回避手段と;上記オン温度とオフ温度を下げ方向に可変設定するためのオン・オフ温度可変設定データが与えられ、漏れ給湯回避手段によりバーナー燃焼が停止したときには上記オン・オフ温度可変設定データに従ってオン温度とオフ温度を可変設定する温度データ可変設定部と;が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0018】
第5の発明は、上記第4の発明の構成に加えて、流量検出手段により検出される流量が少なくなるに従って危険温度を連続的に又は段階的に下げ方向に可変設定するための危険温度可変設定データが与えられ、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出したときに、その検出漏れ給湯流量と、上記危険温度可変設定データとに基づいて危険温度を可変設定する危険温度可変設定部を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0019】
第6の発明は、上記第3又は第4又は第5の発明を構成する流量検出手段により検出される漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン温度とオフ温度を連続的に又は段階的に下げる方向に可変設定するためのデータによってオン・オフ温度可変設定データは構成されており、温度データ可変設定部は、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出しているときに、その検出漏れ給湯流量と、上記オン・オフ温度可変設定データとに基づきオン温度とオフ温度を可変設定する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0020】
第7の発明は、上記第3又は第4又は第5の発明を構成する漏れ給湯検出部から漏れ給湯発生信号が出力されたときに、流出湯温検出手段の検出温度に対する給湯熱交換器湯温検出手段の検出温度の差分に基づいて漏れ給湯流量を検出するための漏れ給湯流量検出データに基づき漏れ給湯流量を検出する漏れ給湯流量検出部が設けられ、上記漏れ給湯流量検出部又は流量検出手段により検出される漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン温度とオフ温度を連続的に又は段階的に下げる方向に可変設定するためのデータによってオン・オフ温度可変設定データは構成されており、温度データ可変設定部は、漏れ給湯検出部が漏れ給湯を検出しているとき、又は、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出しているときに、漏れ給湯流量と、上記オン・オフ温度可変設定データとに基づきオン温度とオフ温度を可変設定する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0021】
第8の発明は、湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器から流れ出る湯温を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器において、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われている追い焚き単独運転中に上記流量検出手段により検出される流量が予め定めた給湯運転作動流量よりも少ないときに、上記流出湯温検出手段が検出する湯温が予め定めた危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させて上記検出湯温が上記危険温度よりも低下するまで追い焚き燃焼を中断させる漏れ給湯危険回避手段を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0022】
上記構成の発明において、例えば、追い焚き単独運転中に、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が予め定められているオフ温度以上に上昇したときには、オン・オフ燃焼制御部はバーナー燃焼を停止し、給湯熱交換器内の滞留湯温がオフ温度以上に上昇するのを防止する。そして、バーナー燃焼停止により給湯熱交換器内の滞留湯温が低下して上記給湯熱交換器湯温検出手段の検出湯温が予め定められたオン温度以下に低下したときにはオン・オフ燃焼制御部はバーナー燃焼を再開させる。このように、追い焚き単独運転中にオン・オフ燃焼制御部によるオン・オフ燃焼を行うことによって、給湯熱交換器内の滞留湯温が火傷を負わせる等の危険な高温に上昇するのが回避され追い焚き単独運転に起因した高温出湯の問題を防止する。
【0023】
漏れ給湯が生じてない追い焚き単独運転中には、給湯熱交換器内に湯水が滞留していることから、給湯熱交換器の中央部から出口に渡る領域内の湯温はほぼ等しく、上記の如くオン・オフ燃焼制御を行った場合に、給湯熱交換器の中央部から出口に渡る領域内の湯温を高温出湯の虞がない湯温に制御することができ、この状態から給湯が開始されることになるので、高温出湯を確実に回避することが可能であるが、漏れ給湯が発生しているときには、給湯熱交換器の入口から給湯熱交換器の出口に至るまでに追い焚き燃焼によって漏れ給湯通水は加熱され、その微小な漏れ給湯流量の湯水が受け取る単位当りの熱量は非常に多いので、給湯熱交換器の出口の湯温は給湯熱交換器の中央部の湯温よりもかなり高く、上記漏れ給湯がないときのオン温度とオフ温度に基づいてオン・オフ燃焼を行っても、給湯熱交換器から火傷を負わせる等の危険な湯温の湯が流れ出てしまうことになる。
【0024】
そこで、追い焚き単独運転中に、漏れ給湯が発生しているときには給湯熱交換器湯温検出手段の検出温度よりも流出湯温検出手段の検出温度が高くなることに着目し、漏れ給湯検出部は、流出湯温検出手段の検出湯温に対する給湯熱交換器湯温検出手段の検出温度の差分に基づいて漏れ給湯を検出し、流量検出手段又は漏れ給湯検出部によって漏れ給湯が検出されたときには、オン温度とオフ温度を下げる方向に可変設定することによって、給湯熱交換器の中央部の湯温を下げることができる結果、給湯熱交換器の出口の湯温が下がり、漏れ給湯時にも確実に高温出湯が回避される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づき説明する。
【0026】
図7には第1の実施形態例の一缶二水路風呂給湯器のシステム構成が示されている。この一缶二水路風呂給湯器は出願人らが開発しているものであり、同図に示すように、燃焼室1を有し、この燃焼室1にはバーナー2が配設され、このバーナー2の上方には給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4が設けられている。これら給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4は一体化されて配設されている。すなわち、複数の共通のフィンプレート5に給湯側の管路を貫通装着して給湯熱交換器3と成し、同じくフィンプレート5に追い焚き側の管路を貫通装着して追い焚き熱交換器4と成しており、上記バーナー2は給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器4を共に加熱する構成になっている。
【0027】
上記バーナー2の下方側の燃焼室1は給気通路6に連通され、この給気通路6には燃焼ファン7が組み込まれており、燃焼ファン7の回転駆動により外部から給気通路6を介してバーナー2へ空気が送り込まれると共に、バーナー2の燃焼により生じた排気ガスがバーナー2の上方の燃焼室1に連通する排気通路9から外部へ排出される。
【0028】
上記バーナー2のガス導入口にはガスノズル19が対向配設され、このガスノズル19には燃料ガスを導入するためのガス供給通路8が接続されており、このガス供給通路8により導かれた燃料ガスはガスノズル19を介してバーナー2に供給される。また、上記ガス供給通路8には通路の開閉を行う電磁弁10,11a,11bと、ガスの供給量を開弁量により制御する比例弁12とが介設されている。
【0029】
前記給湯熱交換器3の入側には給水通路13の一端側が接続され、給湯熱交換器3の出側には給湯通路14の一端側が接続されており、上記給水通路13の他端側は外部配管を介して水供給源に接続され、前記給湯通路14の他端側は外部配管を介して台所等の所望の給湯場所に導かれている。また、上記給湯熱交換器3の入側の給水通路13と出側の給湯通路14を短絡する常時バイパス通路15とバイパス通路16が設けられており、上記バイパス通路16には該通路の通水流量を可変することが可能な全閉機能付き流量制御弁であるバイパス弁17が介設されている。
【0030】
前記追い焚き熱交換器4の入側には管路18の一端側が接続され、この管路18の他端側は循環ポンプ20の吐出口に接続されており、循環ポンプ20の吸入口には戻り管21の一端側が接続され、戻り管21の他端側は浴槽22に連接されている。また、追い焚き熱交換器4の出側には管路23の一端側が接続されており、この管路23の他端側は前記浴槽22に連接されている。上記戻り管21と循環ポンプ20と管路18と追い焚き熱交換器4と管路23により追い焚き循環通路24が構成される。
【0031】
上記追い焚き循環通路24の管路18と前記給湯通路14は湯張り通路25により連通されており、この湯張り通路25には通路の開閉を制御する注湯制御弁26と、浴槽22の水位を検出する水位センサ28とが設けられている。
【0032】
なお、図中に示す27は給湯熱交換器3のU字管に設けられ給湯熱交換器3内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段である給湯熱交湯温センサであり、30は燃焼室1内の風量を検出する風量センサであり、31は給水通路13に設けられて給湯熱交換器3の通水流量を間接的に検出する流量検出手段である水量センサであり、32は給水通路13の水の温度を検出する入水温度センサであり、33は給湯熱交換器3から流れ出る湯温を検出する流出湯温検出手段である流出湯温センサであり、34は給湯通路14に設けられて通水流量を制御する流量制御弁であり、35は給湯通路14に設けられて給湯が行われていることを水流により検出する給湯確認スイッチであり、36は追い焚き循環通路24の水流を検出する水流センサであり、37は追い焚き循環通路24の湯水を浴槽湯水の温度(風呂温度)として検出する風呂温度センサであり、38は出湯湯温を検出する出湯温度センサである。
【0033】
この一缶二水路風呂給湯器には制御装置40が設けられており、この制御装置40にはリモコン41が接続されている。このリモコン41には給湯温度を設定するための給湯温度設定手段や、浴槽22の風呂の温度を設定する風呂温度設定手段や、浴槽22の湯水の水位を設定する風呂水位設定手段等が設けられている。
【0034】
この実施形態例の一缶二水路風呂給湯器は上記のように構成されており、以下に、第1の実施形態例において特徴的な制御構成を説明する。
【0035】
この実施形態例において特徴的な制御装置40は、図1の実線に示すように、燃焼制御部42と漏れ給湯検出部43と追い焚き単独運転監視部44と温度データ可変設定部45とオン・オフ燃焼制御部46とデータ格納部47とを有して構成されている。
【0036】
上記燃焼制御部42には給湯運転や湯張り運転や追い焚き運転等の各種の器具運転のシーケンスプログラムが予め与えられており、燃焼制御部42は各種センサのセンサ出力信号やリモコン41の情報を取り込み、それら情報に基づき上記シーケンスプログラムに従って、給湯運転や、湯張り運転や、追い焚き運転等の各種の器具運転の動作を次のように制御する。
【0037】
例えば、台所等に導かれた給湯通路の給湯栓が開けられ、水供給源から給水通路13に水が流れ込んで水量センサ31が予め定めた給湯運転作動流量(例えば、2.5リットル/min)以上の流量を検出すると、器具は給湯運転を開始する 。まず 、燃焼ファン7の回転駆動を開始させ、電磁弁11a,11bの両方又 はどちらか一方と電磁弁10を開動作させガス供給通路8を通してバーナー2に燃料ガスを供給し、図示されていない点着火手段によりバーナー2の点着火を行い燃焼を開始させる。
【0038】
そして、給湯湯温が前記給湯温度設定手段に設定されている給湯設定温度となるように比例弁12の開弁量を制御して(バーナー2への供給ガス量を制御して)バーナー2の燃焼能力を制御し、給湯熱交換器3の通水をバーナー2の燃焼火炎により加熱して湯を作り出し、この湯を給湯通路14を通して給湯場所に供給する。
【0039】
湯の使用が終了して水栓が閉められると、給湯熱交換器3への通水が停止し、水量センサ31が給水通路13の通水を検知しなくなったときに、電磁弁10を閉じてバーナー2の燃焼を停止させる。その後、予め定められたポストパージ期間(例えば、5分間)が経過したときに、燃焼ファン7の回転駆動を停止して給湯運転を終了し次の給湯に備える。
【0040】
湯張り運転を行うときには、例えば、注湯制御弁26を開弁し、この注湯制御弁26の開弁動作により水供給源から給水通路13に水が流れ込んで水量センサ31が給湯運転作動流量以上の流量を検知すると、上記給湯運転と同様にバーナー2の燃焼を開始させる。
【0041】
このバーナー2の燃焼火炎により給湯熱交換器3で作り出された湯は給湯通路14と湯張り通路25を順に介して追い焚き循環通路24に送り込まれ、追い焚き循環通路24に流れ込んだ湯は戻り管21を通る経路と追い焚き熱交換器4を通る経路との2経路で浴槽22に落とし込まれる。そして、水位センサ28が検出する浴槽22の水位がリモコン41に設定されている設定水位に達したときに、注湯制御弁26を閉じ、電磁弁10を閉じてバーナー2の燃焼を停止させ、湯張り運転を終了する。
【0042】
追い焚き運転を行うときには、循環ポンプ20を駆動させて浴槽22内の湯水を追い焚き循環通路24を通して循環させると共に、バーナー2の燃焼を開始させ、バーナー2の燃焼火炎により追い焚き熱交換器4の循環湯水を加熱して追い焚きを行う。そして、風呂温度センサ37により検出される風呂温度が前記風呂温度設定手段により設定されている設定温度に達したときに、バーナー2の燃焼を停止させ、追い焚き運転を終了する。
【0043】
追い焚き単独運転監視部44は、上記燃焼制御部42の運転情報を取り込み、該情報に基づき、例えば、循環ポンプ20の駆動が検知されている、又は、水流センサ36が追い焚き循環通路24の通水を検知している状態で、水量センサ31が給湯運転作動流量以上の流量を検出していないとき(又は、給湯確認スイッチ35が通水を検知していないとき)には、器具が追い焚き単独運転をしていると検知し、それ以外のときには器具は追い焚き単独運転をしていないと検知する。
【0044】
データ格納部47は記憶装置により構成されており、このデータ格納部47には、オフ温度Toffと該オフ温度Toffよりも低めのオン温度Tonが予め定められて格納されている。追い焚き単独運転中や追い焚き単独運転直後に給湯が開始されたときに、給湯熱交湯温センサ27の配設位置の湯が流れ出て湯の利用者に当たった場合に火傷を負わせる等の危険がない給湯熱交換器3内の湯温(給湯熱交湯温センサ27の配設位置の湯温)の上限値よりも余裕温度だけ低めの湯温(例えば、65℃)が予め実験や演算等により求められオフ温度Toffとしてデータ 格納部44に格納される。また、上記オン温度Tonは、上記オフ温度Toffより も予め定めた温度(例えば、3℃)分だけ低下させた湯温である。
【0045】
オン・オフ燃焼制御部46は、追い焚き単独運転監視部44の監視情報を時々刻々と取り込み、この監視情報に基づき追い焚き単独運転が行われていると検知しているときに、給湯熱交湯温センサ27のセンサ出力を給湯熱交換器3内の湯温として時々刻々と取り込み、この取り込んだ給湯熱交湯温センサ27の検出湯温を前記データ格納部47のオフ温度Toffに比較する。そして、上記給湯熱交 湯温センサ27の検出湯温が上記オフ温度Toff以上であると判断したときに、 給湯熱交換器3の滞留湯水が火傷等の危険がある高温になったので給湯熱交換器3の滞留湯水の湯温を低下させるためにバーナー2の燃焼を停止させる必要があると判断し、電磁弁10を閉弁させバーナー2の燃焼を停止させる。
【0046】
このバーナー2の燃焼停止時に、オン・オフ燃焼制御部46はバーナー燃焼停止信号を燃焼制御部42に出力する。燃焼制御部42は上記バーナー燃焼停止信号を受け、バーナー2の燃焼停止が追い焚き単独運転に起因した高温出湯を回避するためになされたものであり、器具の異常ではないと判断し、循環ポンプ20の駆動等の追い焚きの器具運転動作を継続して行う。
【0047】
このバーナー2の燃焼停止中には、給湯熱交換器3の燃焼加熱が停止される上に、燃焼ファン7の継続駆動による給気通風と追い焚き熱交換器4の循環湯水とによって給湯熱交換器3の滞留湯の熱量が奪われて給湯熱交換器3の滞留湯温が低下し、追い焚き単独運転に起因した高温出湯を確実に防止することができる。
また、上記の如く、追い焚き熱交換器4の循環湯水は給湯熱交換器3の高温の熱量を奪っていくので、バーナー2の燃焼が停止しても、給湯熱交換器3の熱量によって加熱される。このことにより、追い焚き単独運転中にバーナー2の燃焼を中断しても風呂の沸き上がりが遅くなるという問題は殆ど生じない。
【0048】
また、オン・オフ燃焼制御部46は、追い焚き単独運転中のバーナー2の燃焼停止中にも引き続き給湯熱交湯温センサ27の検出湯温の取り込みを時々刻々と行い、この給湯熱交湯温センサ27の検出湯温を前記データ格納部47のオン温度Tonに比較し、給湯熱交湯温センサ27の検出湯温がオン温度Ton以下に低下したと判断したときに、給湯熱交換器3の滞留湯温が追い焚き単独運転に起因した高温出湯を回避できる湯温まで低下したのでバーナー2の燃焼を再開させてもよいと判断し、点着火手段(図示せず)を用いてバーナー2の点着火を行いバーナー2の燃焼を再開させる。
【0049】
上記のように、追い焚き単独運転中に、オン・オフ燃焼制御部46によるオン・オフ燃焼制御を行うことによって、給湯熱交換器3の滞留湯が高温出湯の危険がある高温に上昇するのが抑制され、追い焚き単独運転に起因した高温出湯を回避することができる。
【0050】
漏れ給湯検出部43は、前記追い焚き単独運転監視部44の監視情報を取り込み、該監視情報に基づき追い焚き単独運転中であると検知しているときに、水量センサ31が検出している流量と、給湯熱交湯温検出センサ27が検出した湯水温度と、流出湯温センサ33が検出した湯水温度とを時々刻々と取り込み、上記取り込んだ水量センサ31の検出流量が給湯運転作動流量(例えば、2.5リットル/ min)よりも少ない流量を検出したときには、給湯熱交換器3に漏れ給湯通水があると判断する。
【0051】
また、追い焚き単独運転中に、上記取り込んだ給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度と流出湯温センサ33の検出温度とを比較し、水量センサ31が流量を検出していないときに(流水オフを検出しているときに)、上記流出湯温センサ33の検出温度が給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度よりも予め定めた温度(例えば、3℃)以上高いときには、水量センサ31によって検出できない漏れ給湯(例えば、1.0リットル/ min未満の漏れ給湯)が生じていると判断する。
【0052】
それというのは、漏れ給湯がない追い焚き単独運転中には、給湯熱交換器3内に湯水が滞留しているので、流出湯温センサ33の検出温度は給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度とほぼ等しいが、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が生じているときには、給湯熱交換器3の漏れ給湯通水は給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置から給湯熱交換器3の出口に至るまでに追い焚き燃焼によって加熱され、その微量な漏れ給湯通水が受け取る単位流量当りの熱量は非常に多いので、流出湯温センサ33の検出温度は給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度よりもかなり高くなるから、流出湯温センサ33の検出湯温が給湯熱交湯温検出センサ27の検出湯温よりも高いときには漏れ給湯が発生していると判断することができるのである。
【0053】
漏れ給湯検出部43は、上記の如く、水量センサ31の検出流量によって、又は、流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分によって、漏れ給湯が発生していると判断したときには、漏れ給湯発生信号を温度データ可変設定部45に出力する。
【0054】
データ格納部47には漏れ給湯が発生したときにオン温度Tonとオフ温度Toffを下げ方向に可変設定するためのオン・オフ温度可変設定データが格納されて いる。上記オン・オフ温度可変設定データは、漏れ給湯がない追い焚き単独運転中のオン温度Ton、オフ温度Toffよりも予め定められた温度(例えば、18℃ )分だけ低めの温度がそれぞれ与えられているデータである。また、漏れ給湯時のオン温度Ton、オフ温度Toffを求めるための演算式によってオン・オフ温度 可変設定データを構成してもよい。
【0055】
上記漏れ給湯時のオン温度Tonとオフ温度Toffは、漏れ給湯による高温出湯 の虞がない給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯温の上限値よりも余裕温度だけ低めの温度がオフ温度Toffとして定められ、該オフ温度Toffよりも予め定められた温度だけ低めの温度がオン温度Tonとして定められる。
【0056】
温度データ可変設定部45は、上記漏れ給湯検出部43から漏れ給湯発生信号を受け取ると、上記データ格納部47のオン・オフ温度可変設定データに基づきオン温度Ton、オフ温度Toffを下方に可変設定する。
【0057】
オン・オフ燃焼制御部46は、前記漏れ給湯検出部43が漏れ給湯を検出している間、上記温度データ可変設定部45によって設定されたオン温度Ton、オフ温度Toffに基づいてオン・オフ燃焼制御を行う。
【0058】
このように、漏れ給湯が発生したときに、オン温度Tonとオフ温度Toffを下 げることによって、バーナー燃焼はオン・オフ燃焼制御部46によって即座に停止される。それというのは、漏れ給湯が発生していない追い焚き単独運転中にはオフ温度Toffが例えば65℃で、給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯 温はほぼオフ温度Toff(65℃)に制御されており、この状態で、漏れ給湯が 発生すると、上記の如く、オフ温度Toffが例えば18℃下げられるので、給湯 熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯温はその低下変更されたオフ温度Toff よりも高く、バーナー燃焼が停止されることになるからである。
【0059】
これに対して、本実施形態例に示した漏れ給湯検出部43を設けず、追い焚き単独運転中に流出湯温センサ33の検出温度が設定の温度よりも高くなったときにバーナー燃焼を停止させるものにあっては、漏れ給湯が発生してから該バーナー燃焼が停止されるまで(漏れ給湯が検出されるまで)に遅れ時間が生じる。それは、給湯熱交換器3の通水が給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置から給湯熱交換器3の出口に至るまでに要する時間は流量が少なくなるに従って多くかかることから、給湯運転作動流量未満の微少流量の漏れ給湯が発生してから給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯が給湯熱交換器3の出口に至るまでに加熱され上記設定温度以上の高温になって、その湯温が流出湯温センサ33により検出されるまでに時間が掛かるのである。つまり、漏れ給湯が発生してから漏れ給湯が検出されるまでに遅れ時間がある。
【0060】
このように、遅れ時間があるために、バーナー燃焼を停止したときには、既に、給湯熱交換器3の中央領域で沸騰に近い湯が作られており、その湯が出湯してしまうので、高温出湯を回避することができない。
【0061】
本実施形態例では、上記の如く、漏れ給湯が発生すると、即座に、その漏れ給湯を検出でき、バーナー燃焼を停止するので、給湯熱交換器3の漏れ給湯通水が高温出湯の虞がある高温に加熱されることがなく、漏れ給湯に起因した高温出湯を確実に回避することができる。
【0062】
この実施形態例によれば、追い焚き単独運転中に給湯熱交換器3内の滞留湯温がオフ温度Toff以上に上昇したときには燃焼を停止し、給湯熱交換器3内の滞 留湯温がオン温度Ton以下に低下したときにはバーナ燃焼を再開させるオン・オフ燃焼を行うので、給湯熱交換器3内の滞留湯の温度が高温出湯の虞がある高温に上昇するのを回避することができ、追い焚き単独運転中や追い焚き単独運転終了直後に給湯が行われても、給湯熱交換器3内の湯温は高温出湯の虞がある湯温よりも低めに抑えられていることから、追い焚き単独運転に起因した高温出湯を確実に回避することができ、高温出湯による火傷等の危険を防止することが可能である。
【0063】
また、上記の如く、追い焚き単独運転中に高温出湯を回避することができる湯温に給湯熱交換器3内の湯温を制御できるので、漏れ給湯の開始時にも、高温出湯による火傷等の危険を防止することが可能である。
【0064】
さらに、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が発生しているときには、給湯熱交換器3の出口の湯温が給湯熱交換器3の中央領域の湯温よりも高くなることに着目し、本実施形態例では、給湯熱交換器3から流れ出る湯温である流出湯温センサ33の検出温度が、給湯熱交換器3の中央領域の湯温である給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度よりも高いときには、漏れ給湯が発生していると判断する漏れ給湯検出部43を設けたので、水量センサ31によって漏れ給湯を検出できるのはもちろんのこと、水量センサ31によって検出できない非常に微量な漏れ給湯をも検出することができるという画期的な効果を得ることができる。
【0065】
さらに、上記の如く、追い焚き単独運転中に、漏れ給湯検出部43により漏れ給湯が検出されたときには、温度データ可変設定部45によってオン温度Tonとオフ温度Toffを下げ方向に可変設定するので、給湯熱交湯温検出センサ27の 配設位置の湯温が下がる結果、給湯熱交換器3から流れ出る漏れ給湯の湯温が高温出湯の虞がない湯温に抑えることができ、追い焚き中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を回避することができる。
【0066】
以下に、第2の実施形態例を説明する。この実施形態例では、前記第1の実施形態例の構成に加えて、図1の点線に示す漏れ給湯危険回避手段48を設けたことを特徴としている。なお、上記第1の実施形態例の構成と共通部分の重複説明は省略する。
【0067】
データ格納部47には、危険温度Tst(例えば、75℃)が格納されている。この危険温度Tstは湯の利用者に当たると火傷を負わせる等の危険がある給湯熱交換器3の出側の湯温(流出湯温センサ33の配設位置の湯温)であり、この湯温は予め実験や演算等により求められて危険温度Tstとしてデータ格納部47に格納される。
【0068】
上記危険温度Tstは、前記オフ温度Toffよりも高い温度となる。それという のは、給湯熱交換器3がバーナー燃焼により加熱されているときには、給湯熱交湯温センサ27の配設位置から流出湯温センサ33の配設位置まで流れた湯は上記給湯熱交換器3の熱を受け取って湯温が上昇する。この給湯熱交湯温センサ27の配設位置の湯温に対する流出湯温センサ33の配設位置の湯温の温度上昇分が考慮されて、前記オフ温度Toffやオン温度Tonや危険温度Tstが設定される ので、上記の如く、危険温度Tstはオフ温度Toffよりも高めの温度となる。
【0069】
漏れ給湯危険回避手段48は前記追い焚き単独運転監視部44の監視情報を時々刻々と取り込み、この監視情報に基づき追い焚き単独運転中であると検知しているときに、流出湯温センサ33のセンサ出力を給湯熱交換器3から流れ出る湯の温度として時々刻々と取り込み、その取り込んだ流出湯温センサ33の検出湯温を上記データ格納部47の危険温度Tstに比較し、追い焚き単独運転中に、上記流出湯温センサ33の検出湯温が上記危険温度Tst以上であると判断したときには、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が行われていると判断し、バーナー2の燃焼を継続して行ったのでは非常に高温の湯が出湯し続けて火傷を負わせる等の危険があると判断し、電磁弁10を閉弁し、バーナー2の燃焼を停止させる。
【0070】
このバーナー2の燃焼停止時に、漏れ給湯危険回避手段48は漏れ給湯危険回避手段作動信号を燃焼制御部42とオン・オフ燃焼制御部46に出力する。この漏れ給湯危険回避手段作動信号は上記流出湯温センサ33の検出湯温が危険温度Tstよりも低下するまで連続的に出力される。燃焼制御部42は上記漏れ給湯危険回避手段作動信号を受け、バーナー2の燃焼停止が前記追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続を回避するためになされたものであり、器具の異常ではないと判断し、循環ポンプ20の駆動等の追い焚きの器具運転動作を継続して行う。また、オン・オフ燃焼制御部46は漏れ給湯危険回避手段作動信号を受けている間、上記漏れ給湯危険回避手段48によるバーナー2の燃焼停止動作を優先させて上記オン・オフ燃焼動作を中断する。
【0071】
本実施形態例では、上記第1の実施形態例に加えて、漏れ給湯危険回避手段48を設けたので、漏れ給湯による高温出湯問題に対する防止手段を2重に設けることになり、より確実に漏れ給湯に起因した高温出湯の問題を回避することができる。
【0072】
また、上記の如く、漏れ給湯危険回避手段48によっても漏れ給湯を検出することができるので、漏れ給湯危険回避手段48によってバーナー燃焼が停止したときに、つまり、漏れ給湯を検出したときに、温度データ可変設定部45によってオン温度Tonとオフ温度Toffを、前記第1の実施形態例に示したように、下 方側へ可変設定してもよく、このように、漏れ給湯が発生したときにオン温度Tonとオフ温度Toffを下げ方向に可変設定することによって、風呂の沸き上がり 時間の短縮化を図りながら、漏れ給湯による高温出湯の問題を防止することができる。
【0073】
さらに、追い焚き単独運転中に、給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯温(ほぼオフ温度Toff)の湯が水量センサ31によって検出できる最下限の流 量の漏れ給湯流量でもって流れ、給湯熱交換器3の出側に至ったときに、流出湯温センサ33によって検出される湯温を上記危険温度Tstとして予め与えておけば、流出湯温センサ33の検出温度が上記危険温度Tst以上になったときに水量センサ31によって検出できない漏れ給湯が生じていると判断することができる。
【0074】
以下に、第3の実施形態例を説明する。この実施形態例が前記第1や第2の実施形態例と異なる特徴的なことは、追い焚き単独運転中に水量センサ31によって漏れ給湯流量が検出されているときに、その漏れ給湯流量に応じてオン温度Tonとオフ温度Toffを可変設定する構成にしたことであり、それ以外の構成は前 記第1や第2の実施形態例と同様であり、その共通部分の重複説明は省略する。
【0075】
ところで、図6には、追い焚き単独運転中の漏れ給湯時に給湯熱交換器3の入側(O点)から給湯熱交湯温センサ27の配設位置(α点)を通って出側(β点)に至るまでの通水湯温変化が漏れ給湯流量毎に示されている。図6に示す実線aは漏れ給湯流量が例えば0.5リットル/min のときのデータであり、実線bは上記実線aの漏れ給湯流量よりも多い、例えば、1.0リットル/min のときのデータであり、実線cは上記実線bの漏れ給湯流量よりも多い、例えば、1.5リットル/min のときのデータである 。
【0076】
この図6の各データから明らかなように、漏れ給湯流量が少なくなるに従って給湯熱交湯温センサ27の配設位置(α点)の湯温に対する給湯熱交換器3の出側(β点)の湯温の上昇分が多くなる。それというのは、漏れ給湯流量が少なくなるに従って給湯熱交湯温センサ27の配設位置から流出湯温センサ33の配設位置に至るまでに単位給湯流量が受け取るバーナー2の燃焼熱量が多くなるので、漏れ給湯流量が少なくなるに従って給湯熱交湯温センサ27の配設位置に対する給湯熱交換器3の出側の湯温上昇分が多くなるからである。
【0077】
このことから、給湯熱交湯温センサ27の配設位置の湯温が同じでも、漏れ給湯流量が少なくなるに従って給湯熱交換器3から流れ出る温度が高くなり、漏れ給湯流量が非常に少ないときには、前記オン・オフ燃焼制御によって給湯熱交湯温センサ27の配設位置の湯温を抑えても、この給湯熱交湯温センサ27の配設位置から流れ出た湯が給湯熱交換器3の出側に至るまでに高温出湯の虞がある高温に上昇してしまう場合が生じる。この実施形態例では、追い焚き単独運転中の漏れ給湯による危険をより確実に回避するために、漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン・オフ燃焼のオン温度Tonとオフ温度Toffを下げる方向に可変設定 し、給湯熱交換器3から流れ出る湯の温度を高温出湯の問題を確実に回避する温度に抑えることができる構成にした。
【0078】
本実施形態例では、温度データ可変設定部45は、図2に示すように、オン・オフ温度検出部50とサンプリング部51とを有して構成されている。上記サンプリング部51はサンプリング時間を設定するタイマ(図示せず)を内蔵しており、前記追い焚き単独運転監視部44の監視情報を取り込み、該取り込んだ情報に基づいて追い焚き単独運転が行われていると検知している間、予め定めたサンプリング時間間隔で水量センサ31により検出された流量を取り込み、このサンプリングした検出流量をオン・オフ温度検出部50に出力する。
【0079】
オン・オフ温度検出部50は、追い焚き単独運転中に、水量センサ31により漏れ給湯流量が検出されているときには、上記サンプリング部51から受け取った検出流量をデータ格納部47に格納されている次に示すオフ・オフ温度可変設定データに照らし合わせる。
【0080】
上記オフ・オン温度可変設定データは、オフ温度可変設定データとオン温度可変設定データとにより構成されている。オフ温度可変設定データは、追い焚き単独運転中の漏れ給湯時に漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオフ温度Toff を下げる方向に可変設定するためのデータであり、給湯熱交換器3から流れ出る湯の温度を、火傷等の危険がない温度に抑えることができるように追い焚き単独運転中のオン・オフ燃焼制御を行わせるためのオフ温度Toff を漏れ給湯流量に応じて予め実験や演算等により求め、その求めた湯温を漏れ給湯流量に連続的に又は段階的に対応させて図5の(a)の実線Aや図5の(b)の実線Cに示すようなグラフデータや、表データのデータ形式でオフ温度可変設定データとしてデータ格納部47に格納されている。
【0081】
前記オン温度可変設定データは追い焚き単独運転中の漏れ給湯時に漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン温度を下げる方向に可変設定するためのデータであり、上記オフ温度可変設定データのオフ温度よりも予め定めた温度だけ低い湯温がオン温度として漏れ給湯流量に連続的に又は段階的に対応させて与えられ、図5の(a)の実線Bや図5の(b)に示す実線Dに示すようなグラフデータや、表データのデータ形式でオン温度可変設定データとしてデータ格納部47に格納されている。
【0082】
前記オン・オフ温度検出部50は、サンプリング部51から受け取った水量センサ31の検出流量を、上記オフ温度可変設定データとオン温度可変設定データにそれぞれ照らし合わせ、上記検出流量に対応するオフ温度Toffとオン温度Tonをそれぞれ上記オフ温度可変設定データ、オン温度可変設定データから検出す る。このようにして得られたオフ温度Toffとオン温度Tonに基づいてオン・オ フ燃焼制御部46はオン・オフ燃焼制御を行う。
【0083】
この実施形態例によれば、温度データ可変設定部45を設け、オフ温度Toff とオン温度Tonを漏れ給湯流量に応じて可変設定するので、追い焚き単独運転中に漏れ給湯流量が非常に少なくても給湯熱交換器3から流れ出る湯温を火傷等の危険がない湯温に抑えることができる。このことから、追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した火傷等の危険をより確実に回避することができ、より一層安全性の高い器具を提供することができる。
【0084】
以下に、第4の実施形態例を説明する。この実施形態例において特徴的なことは、前記第3の実施形態例の構成に加えて、図3に示す漏れ給湯流量検出部52を設けたことであり、それ以外の構成は前記第3の実施形態例と同様であり、その共通部分の重複説明は省略する。
【0085】
前述したように、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が生じているときには、流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分は漏れ給湯流量に応じて異なる。このことに着目して、本実施形態例では、流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分に応じて漏れ給湯流量を検出する構成にした。
【0086】
データ格納部47には、図4に示す実線Fのような流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分ΔTと、漏れ給湯流量との関係が予め実験や演算等によって求められ流量検出データとして格納されている。
【0087】
漏れ給湯流量検出部52は、前記漏れ給湯検出部43によって、水量センサ31によって検出できない漏れ給湯の発生が検出されているときに、流出湯温センサ33の検出温度と、給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度とを取り込み、流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分ΔTを求め、該求めた差分ΔTを前記流量検出データに照らし合わせ、上記差分ΔTに対応した漏れ給湯流量を検出する。
【0088】
前記温度データ可変設定部45のオン・オフ温度検出部50は、水量センサ31によって検出できない漏れ給湯が生じているときには、上記漏れ給湯流量検出部52により検出された漏れ給湯流量に基づいて、オン温度Tonとオフ温度Toffの可変設定を行う。
【0089】
この実施形態例では、漏れ給湯流量検出部52によって、水量センサ31により検出できない漏れ給湯流量を検出することができるので、水量センサ31によって漏れ給湯流量が検出できるときにはもちろんのこと、水量センサ31により検出できない微量な漏れ給湯が生じているときにも、漏れ給湯流量に応じてオン温度Tonとオフ温度Toffを可変設定することができ、漏れ給湯に起因した高温 出湯を完璧に防止することができる。
【0090】
なお、この発明は上記各実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記各実施形態例では、給湯熱交換器3の湯温を給湯熱交湯温センサ27から直接的に検出していたが、上記給湯熱交換器3内の湯温は排気温度に基づき間接的に検出することが可能であることから、排気温度と給湯熱交換器3の湯温との関係データを予め実験や演算等により求めて与えておき、その関係データと排気温度によって給湯熱交換器3の湯温を間接的に検出する給湯熱交換器湯温検出手段を設けるようにしてもよい。より望ましくは、上記関係データと排気温度に基づき検出した給湯熱交換器湯温を、風呂温度センサ37により検出される追い焚き循環通路の湯温や、予め定まる追い焚き循環湯量や、給気温度を考慮して補正することによって、より正確な給湯熱交換器3の湯温を検出することが可能である。
【0091】
また、上記各実施形態例では、漏れ給湯検出部43は、流出湯温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分に基づいて漏れ給湯を検出していたが、次のようにして漏れ給湯を検出するようにしてもよい。例えば、追い焚き単独運転中に、流出湯温センサ33により検出できる最下限の流量(例えば、1リットル/min)近傍の漏れ給湯が生じているときに、流出湯 温センサ33の検出温度に対する給湯熱交湯温検出センサ27の検出温度の差分だけ、オフ温度Toffよりも高めの温度を流出湯温センサ33での危険温度Tstとして予め与えておき、追 い焚き単独運転中に、水量センサ31により流水オフが検出され、漏れ給湯危険回避手段48によってバーナー燃焼が停止されたときには、水量センサ31によって検出できない流量の漏れ給湯が生じていると判断し、漏れ給湯発生信号を出力するようにしてもよい。
【0092】
このように、流出湯温センサ33での危険温度Tstを給湯熱交湯温検出センサ27でのオフ温度Toffよりも高めに設定しておくと、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が生じていないときには、流出湯温センサ33の配設位置の湯温が上記危険温度に達するよりも、給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯温が上記オフ温度に達するほうが早いので、オン・オフ燃焼制御部46によってバーナ燃焼停止が行われるが、追い焚き単独運転中に漏れ給湯が生じているときには、前述したように、漏れ給湯通水は給湯熱交換器3で加熱されるので、給湯熱交湯温検出センサ27の配設位置の湯温が上記オフ温度に達するよりも、流出湯温センサ33の配設位置の湯温が上記危険温度に達するほうが早いことから、漏れ給湯危険回避手段48によってバーナ燃焼が停止されたときには、漏れ給湯が発生していると判断することができるからである。
【0093】
さらに、上記第3や第4の実施形態例では、オフ温度可変設定データとオン温度可変設定データは、グラフデータや表データにより構成されていたが、オフ温度可変設定データとオン温度可変設定データのうちの一方又は両方は、漏れ給湯流量をパラメータにしてオフ温度Toff、オン温度Tonを算出するための演算式 デ ータに より構成してもよい。このように、オフ温度可変設定データやオン温度 可変設定データが演算式データにより構成される場合には、オン・オフ温度 検出部50は、水量センサ31の検出流量と上記演算式データに基づいて、オフ温度Toff、 オン温度Tonを自動的に演算算出する。
【0094】
さらに、上記第3や第4の実施形態例では、オン温度可変設定データのオン温度Tonはオフ温度可変設定データのオフ温度Toffに基づいて定められたが、オ フ温度 Toffを用いずにオン温度Tonを求めてもよい。この場合には、給湯熱交湯温セ ンサ27の配設位置の湯温を高温給湯の虞がない湯温に抑えることがで きるようにオン・オフ燃焼制御のオン燃焼を行うための温度が実験や演算等により漏れ給湯流量に応じて求められ漏れ給湯流量に対応させてオン温度可変設定データとして与えられる。
【0095】
さらに、上記各実施形態例では、追い焚き単独運転中に、給湯熱交湯温センサ27の検出湯温に基づいたオン・オフ燃焼制御と、流出湯温センサ33の検出湯温に基づいたバーナー2の燃焼停止制御とを併用して行っていたが、上記オン・オフ燃焼制御を行わず流出湯温センサ33の検出湯温に基づいたバーナー2の燃焼停止制御のみを行ってもよい。この場合、追い焚き単独運転中にオン・オフ燃焼制御は行われないが、給湯熱交換器3から流れ出る温度が危険温度Tst、つまり、火傷を負わせる等の危険がある危険温度以上であると判断したときにはバーナー2の燃焼を停止することから、給湯熱交換器3の通水の燃焼加熱は停止し、給湯熱交換器3から流れ出る湯温は直ぐに低下するので、火傷を負わせる等の危険な高温湯が出湯し続けるという問題は回避することができ、追い焚き単独運転に起因した高温出湯の問題をほぼ回避することができる。
【0096】
さらに、図1の鎖線に示すように、前記各実施形態例の構成に加えて、危険温度可変設定部54を設けてもよい。この危険温度可変設定部54は、漏れ給湯が生じたことを漏れ給湯検出部43や漏れ給湯危険回避手段48によって検出されたときに、危険温度Tstを下げる方向に可変設定する構成を有している。もちろん、前記オン温度Tonとオフ温度Toffの可変設定と同様に、予め定めた温度分 だけ、危険温度Tstを下げてもよいし、水量センサ31や漏れ給湯流量検出部52により検出される漏れ給湯流量に応じて危険温度Tstを連続的に又は段階的に下げる方向に可変設定してもよい。このように、漏れ給湯時に危険温度Tstを可変設定する場合には、漏れ給湯が生じているときにはその下方変更された危険温度Tstに基づき漏れ給湯危険回避手段48は動作することになる。
【0097】
さらに、上記各実施形態例は図7に示す一缶二水路風呂給湯器を例にして説明したが、一缶二水路タイプで、給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段と、給湯熱交換器から流れ出る湯の温度を検出する流出湯温検出手段とが設けられ、給湯機能と追い焚き機能を備えている一缶二水路風呂給湯器であれば、この発明を適用することができる。例えば、図7に示す例では、常時バイパス通路15が設けられていたが、この常時バイパス通路15を省略した器具にも本発明は適用することができる。この場合、バイパス通路16の接続部よりも下流側に設けられた水量センサ31は給湯熱交換器3の通水流量を直接的に検出することができる。また、水量センサ31はバイパス通路16の接続部よりも下流側の給水通路13に設けられていたが、バイパス通路16の接続部よりも上流側の給水通路13に設けてもよい。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、流量検出手段により検出できない微量な漏れ給湯をも検出することができるという画期的な効果を得ることができる構成にしたので、流量検出手段により漏れ給湯流量が検出されるときにはもちろんのこと、その漏れ給湯流量よりも少ない微量な漏れ給湯が生じたときにも漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を防止することが可能となる。
【0099】
特に、流量検出手段により検出できない微量な漏れ給湯が発生した場合には、その微量な流量通水が給湯熱交換器でバーナー燃焼から受け取る熱量が非常に多いことから、高温出湯の防止手段を施さないと沸騰に近い非常に高温の湯が給湯され、湯の利用者に火傷を負わせる等の危険発生確率が高いので、本発明のように、流量検出手段によって検出できない微量な漏れ給湯をも確実に検出できることによって、漏れ給湯に起因した高温出湯を完璧に回避することが可能である。
【0100】
追い焚き単独運転中に、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する検出湯温に基づいたオン・オフ燃焼制御と、流出湯温検出手段が検出する検出湯温に基づいたバーナー燃焼停止制御とを併用する構成の発明にあっては、追い焚き単独運転中にオン・オフ燃焼制御を行って給湯熱交換器内の湯温が高温出湯の虞がない湯温に抑えることができるので、追い焚き単独運転中や追い焚き単独運転直後に給湯が行われた場合に、追い焚き単独運転に起因した高温出湯を確実に防止することができ、給湯利用者が追い焚き単独運転に起因した高温出湯により火傷を負ってしまうという重大な問題を確実に回避することができる。
【0101】
このことから、追い焚き単独運転中に給湯作動流量以下の微小流量の漏れ給湯が開始されたときにも、上記の如く、給湯熱交換器内の湯温は高温出湯を回避することができる湯温に抑えられていることから、上記同様に、高温出湯に起因した問題を防止することができる。その上、その漏れ給湯開始を即座に上記漏れ給湯検出部や流量検出手段によって検出することができ、漏れ給湯が開始された直後に、オン温度とオフ温度を下げる方向に可変設定することができるので、給湯熱交換器から流れ出る湯温が高温出湯の虞がない湯温となるように、給湯熱交換器湯温検出手段の配設位置の湯温を制御することができ、引き続き高温出湯を回避することができ、漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を確実に回避することができる。
【0102】
漏れ給湯危険回避手段が設けられ、追い焚き単独運転中の漏れ給湯によって給湯熱交換器から流れ出る湯温が設定の危険温度以上に上昇したときにはバーナの燃焼を停止させる構成を有したものにあっては、給湯熱交換器から流れ出る湯温が危険温度以上に上昇したときにはバーナー燃焼を停止させるので、給湯熱交換器の微少流量の通水はバーナー燃焼火炎によって加熱されることがなく、湯の利用者に火傷を負わせる等の危険がある危険温度以上の湯が給湯熱交換器から出湯し続けるのを防止することができ、追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を確実に回避することができる。
【0103】
また、上記漏れ給湯危険回避手段によってバーナー燃焼が停止されたときには、漏れ給湯が生じていると判断できるので、前記同様にオン・オフ燃焼のオン温度とオフ温度を下げる方向に可変設定したり、また、危険温度可変設定部によって危険温度を下げ方向に可変設定することによって、上記同様に、漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を確実に回避することができるという優れた効果を奏することができ、安全性の高い一缶二水路風呂給湯器を提供することができる。
【0104】
さらに、オフ温度とオン温度とを漏れ給湯流量に応じて可変設定する構成のものにあっては、追い焚き単独運転中の漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオフ温度とオン温度とを下げる方向に可変設定するので、オン・オフ燃焼制御によって給湯熱交換器から流れ出る湯温を高温出湯の虞がない温度に抑えることが容易となる。特に、漏れ給湯流量検出部を設けたものにあっては、流量検出手段によって検出できない微量な漏れ給湯流量を検出することができ、特に危険な微量な漏れ給湯時の高温出湯を防止することができ、より一層安全性の高い一缶二水路風呂給湯器を提供することができる。
【0105】
追い焚き単独運転中に、流出湯温検出手段に基づいたバーナー燃焼停止制御のみを行うものにあっては、給湯熱交換器から流れ出る湯温が危険温度以上に上昇したときにはバーナー燃焼を停止するので、火傷等の危険がある高温の湯が出湯し続けるのを回避することができ、追い焚き単独運転中の漏れ給湯に起因した高温出湯継続の問題を防止することができるのはもちろんのこと、上記の如く、給湯熱交換器から流れ出る湯温が危険温度以上に上昇したときにはバーナー燃焼を停止するので、給湯熱交換器の通水の燃焼加熱は停止され、給湯熱交換器から流れ出る湯温は直ぐに低下するので、追い焚き単独運転中や追い焚き単独運転直後に給湯が行われたときにの高温出湯の問題をほぼ回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る各実施形態例において特徴的な制御構成を示すブロック構成図である。
【図2】オン温度とオフ温度を漏れ給湯流量に応じて可変設定する温度データ可変設定部の制御構成例を示すブロック図である。
【図3】漏れ給湯流量検出部の構成例を示すブロック図である。
【図4】流出湯温検出手段の検出温度に対する給湯熱交換器湯温検出手段の検出温度の差分と、漏れ給湯流量との関係例を示すグラフである。
【図5】オン温度可変設定データとオフ温度可変設定データの一例を示すグラフである。
【図6】給湯熱交換器の位置と湯温の関係を漏れ給湯流量毎に示すグラフである。
【図7】上記各実施形態例の一缶二水路風呂給湯器を示すシステム構成図である。
【図8】一缶二水路風呂給湯器のモデル例を示す説明図である。
【符号の説明】
2 バーナー
3 給湯熱交換器
4 追い焚き熱交換器
14 給湯通路
27 給湯熱交湯温センサ
31 水量センサ
33 流出湯温センサ
43 漏れ給湯検出部
45 温度データ可変設定部
46 オン・オフ燃焼制御部
48 漏れ給湯危険回避手段
52 漏れ給湯流量検出部
54 危険温度可変設定部

Claims (8)

  1. 湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段と、給湯熱交換器から流れ出る湯の温度を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出センサにより構成される流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器において、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われる追い焚き単独運転中に、上記流量検出手段が流水オフを検出し、上記流出湯温検出手段が検出する湯温給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温よりも予め定めた温度以上高い差分を検出したときには、上記流量検出手段によって検出できない微量の漏れ給湯が生じていることを示す漏れ給湯発生信号を出力する漏れ給湯検出部が設けられていることを特徴とする一缶二水路風呂給湯器。
  2. 湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温検出手段と、給湯熱交換器から流れ出る湯の温度を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出センサにより構成される流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能と、オフ温度と該オフ温度よりも予め設定された温度分だけ高めの危険温度とが与えられ給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したとき、あるいは、上記流出湯温検出手段により検出される湯温が上記危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させる安全機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器であって、上記危険温度は、上記流量検出手段によって検出できない微量の漏れ給湯が生じているとき給湯熱交換器湯温検出手段で検出された給湯熱交換器内の湯温の湯水が上記流出湯温検出手段の位置に達するまでに上昇する湯温の差分に応じた温度だけ上記オフ温度よりも高めの温として与えられ、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われる追い焚き単独運転中に、上記流量検出手段が流水オフを検出し、上記流出湯温検出手段の検出温度が上記危険温度以上になったときにバーナ燃焼停止を行う漏れ給湯危険回避手段が設けられ、この漏れ給湯危険回避手段によってバーナ燃焼停止が行なわれたときには、漏れ給湯が生じていることを示す漏れ給湯発生信号を出力する漏れ給湯検出部が設けられていることを特徴とする一缶二水路風呂給湯器。
  3. オフ温度と該オフ温度よりも低めのオン温度とが予め与えられ、追い焚き単独運転中に給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させ、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オン温度以下に低下したときにはバーナ燃焼を再開させるオン・オフ燃焼制御部と;上記オン温度とオフ温度を下げ方向に可変設定するためのオン・オフ温度可変設定データが与えられ、漏れ給湯検出部により漏れ給湯発生信号が出力されたとき、あるいは、流量検出手段によって予め定められた給湯運転作動流量よりも少ない漏れ給湯流量が検出されたときに、上記オン・オフ温度可変設定データに従ってオン温度とオフ温度を可変設定する温度データ可変設定部と;を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の一缶二水路風呂給湯器。
  4. オフ温度と該オフ温度よりも低めのオン温度とが予め与えられ、追い焚き単独運転中に給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オフ温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させ、給湯熱交換器湯温検出手段が検出する湯温が上記オン温度以下に低下したときにはバーナ燃焼を再開させるオン・オフ燃焼制御部と;流出湯温検出手段が検出する湯温が予め定めた危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させる漏れ給湯危険回避手段と;上記オン温度とオフ温度を下げ方向に可変設定するためのオン・オフ温度可変設定データが与えられ、漏れ給湯回避手段によりバーナー燃焼が停止したときには上記オン・オフ温度可変設定データに従ってオン温度とオフ温度を可変設定する温度データ可変設定部と;が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の一缶二水路風呂給湯器。
  5. 流量検出手段により検出される流量が少なくなるに従って危険温度を連続的に又は段階的に下げ方向に可変設定するための危険温度可変設定データが与えられ、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出したときに、その検出漏れ給湯流量と、上記危険温度可変設定データとに基づいて危険温度を可変設定する危険温度可変設定部を設けたことを特徴とする請求項4記載の一缶二水路風呂給湯器。
  6. 流量検出手段により検出される漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン温度とオフ温度を連続的に又は段階的に下げる方向に可変設定するためのデータによってオン・オフ温度可変設定データは構成されており、温度データ可変設定部は、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出しているときに、その検出漏れ給湯流量と、上記オン・オフ温度可変設定データとに基づきオン温度とオフ温度を可変設定する構成としたことを特徴とする請求項3又は請求項4又は請求項5記載の一缶二水路風呂給湯器。
  7. 漏れ給湯検出部から漏れ給湯発生信号が出力されたときに、流出湯温検出手段の検出温度に対する給湯熱交換器湯温検出手段の検出温度の差分に基づいて漏れ給湯流量を検出するための漏れ給湯流量検出データに基づき漏れ給湯流量を検出する漏れ給湯流量検出部が設けられ、上記漏れ給湯流量検出部又は流量検出手段により検出される漏れ給湯流量が少なくなるに従ってオン温度とオフ温度を連続的に又は段階的に下げる方向に可変設定するためのデータによってオン・オフ温度可変設定データは構成されており、温度データ可変設定部は、漏れ給湯検出部が漏れ給湯を検出しているとき、又は、流量検出手段が漏れ給湯流量を検出しているときに、漏れ給湯流量と、上記オン・オフ温度可変設定データとに基づきオン温度とオフ温度を可変設定する構成としたことを特徴とする請求項3又は請求項4又は請求項5記載の一缶二水路風呂給湯器。
  8. 湯を作り出し該湯を給湯通路に供給する給湯熱交換器と、風呂の追い焚きを行う追い焚き熱交換器と、給湯熱交換器から流れ出る湯温を検出する流出湯温検出手段と、給湯熱交換器の通水流量を直接的に又は間接的に検出する流量検出手段とを有し、上記給湯熱交換器と追い焚き熱交換器は一体化され、これら給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とを共通に加熱するバーナが設けられており、上記給湯熱交換器で作り出した湯を給湯通路を通して供給する給湯機能と、風呂の追い焚きを行う追い焚き機能とを備えた一缶二水路風呂給湯器において、給湯が行われず追い焚き運転のみが行われている追い焚き単独運転中に上記流量検出手段により検出される流量が予め定めた給湯運転作動流量よりも少ないときに、上記流出湯温検出手段が検出する湯温が予め定めた危険温度以上に上昇したときにはバーナ燃焼を停止させて上記検出湯温が上記危険温度よりも低下するまで追い焚き燃焼を中断させる漏れ給湯危険回避手段を設けたことを特徴とする一缶二水路風呂給湯器。
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