JP3862116B2 - シリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハを用いた半導体ウェーハの鏡面研磨加工の良否評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在行われているシリコンウェーハの鏡面研磨加工工程、すなわち化学研磨から鏡面研磨を経て洗浄に至る工程の良否を、得られたシリコンウェーハによって評価する方法の主なものは次の通りである。
(1)化学研磨、鏡面研磨に起因する面だれ等を基準面、焦点面からの偏差量で評価する平坦度測定。
(2)鏡面研磨工程によって導入される傷で、集光ランプ下において目視により確認できる傷を評価する外観検査。
(3)鏡面研磨工程、洗浄工程を評価するものとして、OSF検査(鏡面研磨や超音波洗浄など機械的な原因で生じる傷等の欠陥を酸化熱処理によりOSFとして評価)、酸化膜耐圧測定(表面の傷、歪み、表面の汚染等の複合要素を評価)、パーティクル測定(研磨、洗浄中に付着するごみ等を評価)、ヘイズ測定(ウェーハに集光ランプを照射し、表面の曇りを評価)やマイクロラフネス測定(研磨、洗浄中のエッチングの影響によるミクロなうねりを評価)。
(4)洗浄工程を評価するものとして、表面清浄度の評価(ウェーハ表面の不純物汚染度を評価)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコンウェーハの平坦度、清浄度等を測定、評価するだけでは、酸化膜耐圧の劣化を引き起こす原因となるような鏡面研磨加工上の欠陥の有無を評価することは不可能である。特に、鏡面研磨工程(研磨後の洗浄を含む)でシリコンウェーハに形成された微小なスクラッチは、酸化膜耐圧を劣化させる一因となる欠陥であることがわかっているが、SC−1洗浄を行っても光散乱を起こさないため、その検出は極めて困難である。
【0004】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、従来から検出が困難とされている研磨キズ等の加工欠陥を簡易的に検出して評価する方法を確立し、酸化膜耐圧の向上に寄与することができるような半導体ウェーハ、特に、シリコンウェーハに対する研磨加工の良否評価方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るシリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法の第1は、鏡面研磨加工及び洗浄処理を施したエピタキシャルウェーハまたはFZ法によるシリコンウェーハを、HFで洗浄する第1工程と、SC−1洗浄液で洗浄する第2工程と、前記ウェーハの表面で検出されるLPD(Light Point Defects) の個数をパーティクルカウンタで測定する第3工程と、前記測定結果に基づいて鏡面研磨加工の良否を評価する第4工程とによって構成されていることを特徴とする。
従来から鏡面研磨加工直後にSC−1洗浄液を用いてシリコンウェーハを洗浄しているが、この洗浄のみではシリコンウェーハを鏡面研磨加工したときに形成された微小スクラッチが光散乱しないため、パーティクルカウンタで検出することができない。しかし、このシリコンウェーハを上記構成のようにHF洗浄すると表面の酸化物が除かれ、更にSC−1洗浄することにより前記微小スクラッチがエッチングされ拡大してピット化するため、パーティクルカウンタによる検出が可能となる。従って、パーティクルカウンタでLPDの個数をカウントすることにより加工欠陥の密度を把握し、鏡面研磨加工の良否を評価することができる。
【0006】
また、本発明に係るシリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法の第2は、鏡面研磨加工及び洗浄処理を施したCZ法によるシリコンウェーハに対し、その表面で検出されるLPDの個数をパーティクルカウンタで測定する第1工程と、前記ウェーハをHFで洗浄する第2工程と、SC−1洗浄液で洗浄する第3工程と、前記ウェーハの表面で検出されるLPDの個数をパーティクルカウンタで測定する第4工程と、第1工程及び第4工程で測定したLPD個数の差を算出する第5工程と、算出したLPD個数の差に基づいて鏡面研磨加工の良否を評価する第6工程とによって構成されていることを特徴とする。
CZ法による単結晶シリコンのインゴットをスライスして得られたシリコンウェーハには、単結晶育成の過程で発生したgrown−in欠陥が含まれており、鏡面研磨後のSC−1洗浄でCOP(Crystal Originated Particle )によるピットが発生している。そこで本方法は、第1工程でLPD個数すなわちCOPのピット数をカウントする。このシリコンウェーハをHF洗浄すると表面の酸化物が除かれ、更にSC−1洗浄することにより研磨による微小スクラッチがエッチングされて拡大するため、第4工程で測定したLPD個数は微小スクラッチによるピット数とCOPによるピット数の合計となる。従って、両者の差を求めることにより微小スクラッチによるピット数が明らかになり、その密度から鏡面研磨加工の良否を評価することができる。
【0007】
【発明の実施の形態および実施例】
次に、本発明に係るシリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法の実施例について図面を参照して説明する。
エピタキシャルウェーハまたはFZ法によるシリコンウェーハには、CZ法によるシリコンウェーハに見られるようなgrown−in欠陥、特にCOPがなく、HF洗浄とSC−1洗浄とによって鏡面研磨加工に起因する欠陥のみが検出されるという利点がある。そこで、本評価方法における評価手順は、図1に示すように、エピタキシャルウェーハまたはFZ法によるシリコンウェーハに、評価対象とした研磨加工ラインで鏡面研磨加工を施し、SC−1洗浄を行った上、評価対象シリコンウェーハとして使用する。まず、第1工程(S−1)で評価対象シリコンウェーハを10%のHFに5分以上浸漬して洗浄し、次いで第2工程(S−2)でSC−1洗浄液で約10分間洗浄する。前記HFは室温で、およびSC−1洗浄液は70℃〜80℃の温度とする。その後、第3工程(S−3)で評価対象シリコンウェーハの表面に発生しているLPDの個数をパーティクルカウンタでカウントする。この値が鏡面研磨加工に起因する欠陥数である。その後、第4工程(S−4)で前記欠陥数から算出した欠陥数とあらかじめ定めた許容欠陥数とを比較して鏡面研磨加工の良否を評価する。許容欠陥数は、要求されるウェーハ品質によって適宜定めても良いが、研磨加工装置毎の相対比較をするのであれば特定する必要はない。
【0008】
鏡面研磨加工工程の良否を評価する実験例として、評価の対象とした研磨加工ラインで直径6インチのエピタキシャルウェーハに鏡面研磨加工を施し、本発明の評価方法を適用してLPDの値すなわち鏡面研磨加工に起因する欠陥数を求めた。HFの濃度は10%とし、浸漬時間は5分、30分の2水準とした。また、HF洗浄後に行うSC−1洗浄の時間は1分、10分の2水準とした。なお、以下のパーティクルカウンタによるLPD測定では、0.12μm以上のピットを対象としたが、これに拘束されるものではない。
【0009】
評価対象エピタキシャルウェーハの表面をパーティクルカウンタで測定し、LPD数を求めた。そして、前記LPD数とあらかじめ定めた許容LPD数とを比較して鏡面研磨加工の良否を評価した。更に、LPDが認められた座標位置をSEM(走査型電子顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)で観察した。SEMによる観察は加速電圧5kVで行い、その欠陥についてAFMによる分析を行った。
【0010】
HF洗浄+SC−1洗浄後にパーティクルカウンタで検出された0.12μm以上のLPD個数を図2に示す。なお、HF洗浄のみでは、時間にかかわらずLPDは検出されない。HF洗浄時間を5分から30分に延長するとLPD個数は増加した。また、HF洗浄時間が同じであってもSC−1洗浄時間を1分から10分に延長するとLPD個数は増加している。これは、HF洗浄工程では研磨スクラッチあるいは研磨キズに起因するピット(以下HFピットという)を形成することはできるが、LPDとして検出可能なサイズには至らず、SC−1洗浄工程を経ることによってHFピットがエッチングされてLPDサイズが大きくなるからである。なお、SEM、AFMによる観察範囲はパーティクルカウンタによる観察範囲より著しく小さいが、パーティクルカウンタで検出されたHFピットをSEM、AFM等で観察すると、図3に示すように、HFピットの形状がCOPと異なった、線状をしていることが分かる。
【0011】
SEM観察によると、5μmを超える長さのHFピットは、HF洗浄時間の長さに関係なくSC−1洗浄時間を10分とした場合に観察された。このことは、HFピットのサイズ(長さ)に対してSC−1洗浄の影響が支配的であることを示している。すなわち、HFピットの密度の決定はHF洗浄時間に依存し、LPDとして検出可能なサイズの決定はSC−1洗浄時間に依存する。従って、本評価方法においては10%HFによる洗浄時間を5分以上30分以下とし、SC−1洗浄を10分程度行うことが望ましい。
【0012】
シリコンウェーハの鏡面研磨加工ラインの良否を評価する場合、上記のように評価対象ラインで研磨したエピタキシャルウェーハを用いず、CZ法によるシリコンウェーハを用いることもできるので、これについて第2実施例として説明する。CZ法によるシリコンウェーハを用いる場合、鏡面研磨加工直後のSC−1洗浄によって既に検出されてくるCOPの影響を除外するため、図4に示すように、鏡面研磨加工に引き続いてSC−1洗浄を行ったシリコンウェーハに、第1工程(S−1)でパーティクルカウンタによる1回目のLPD測定を行う。このときの測定値をLPD1とする。LPD1に含まれる数字は主としてCOPの個数で、ウェーハ表面に付着しているパーティクルも僅かではあるが含まれている。
【0013】
次いで、エピタキシャルウェーハの場合と同様に、第2工程(S−2)でHFによる洗浄および第3工程(S−3)でSC−1洗浄液による洗浄を行い、第4工程(S−4)でパーティクルカウンタによる2回目のLPD測定を行う。このときの測定値をLPD2とする。LPD2には、COP等とともに研磨加工工程で形成されたキズあるいは微小スクラッチに起因するピット状の欠陥数が含まれている。そして、第5工程(S−5)でLPD2からLPD1を差し引くと研磨加工に起因する欠陥数が求められる。その後、第6工程(S−6)で前記欠陥数とあらかじめ定めた許容欠陥数とを比較して鏡面研磨加工の良否を評価する。勿論、相対比較の場合は、許容欠陥数を定める必要はない。
【0014】
図5は、本発明を適用した結果の一例である。研磨加工A、B、及びCのいずれであっても、HF洗浄+SC−1洗浄を施さねばLPD数は、2×102 個程度の同一値を示したが、HF洗浄+SC−1洗浄を施すことにより研磨加工装置間の加工差が明らかになる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来から検出が困難とされていた半導体ウェーハ、特に、シリコンウェーハの鏡面研磨加工に起因する微小欠陥を簡易的に検出し、その結果に基づいて鏡面研磨加工工程の良否を評価することができるようになる。そして、評価結果に基づいて鏡面研磨加工工程の改善を行うことにより、シリコンウェーハの酸化膜耐圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の評価手順を示す工程図である。
【図2】検出したLPD個数をHF及びSC−1の洗浄条件別に示した図である。
【図3】LPDをAFMで観察した画像の一例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例の評価手順を示す工程図である。
【図5】HF洗浄+SC−1洗浄を施さない場合のときと、施した場合のときのLPD数を示す図である。
Claims (2)
- 鏡面研磨加工及び洗浄処理を施したエピタキシャルウェーハまたはFZ法によるシリコンウェーハを、HFで洗浄する第1工程と、SC−1洗浄液で洗浄する第2工程と、前記ウェーハの表面で検出されるLPD(Light Point Defects) の個数をパーティクルカウンタで測定する第3工程と、前記測定結果に基づいて鏡面研磨加工の良否を評価する第4工程とによって構成されていることを特徴とするシリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法。
- 鏡面研磨加工及び洗浄処理を施したCZ法によるシリコンウェーハに対し、その表面で検出されるLPDの個数をパーティクルカウンタで測定する第1工程と、前記ウェーハをHFで洗浄する第2工程と、SC−1洗浄液で洗浄する第3工程と、前記ウェーハの表面で検出されるLPDの個数をパーティクルカウンタで測定する第4工程と、第1工程及び第4工程で測定したLPD個数の差を算出する第5工程と、算出したLPD個数の差に基づいて鏡面研磨加工の良否を評価する第6工程とによって構成されていることを特徴とするシリコンウェーハを用いた半導体ウェーハ研磨加工の良否評価方法。
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