JP3861757B2 - 金属ベルトの周長修正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ベルトの周長を所望の長さに修正することができる金属ベルトの周長修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無断変速機には無端金属ベルトが用いられている。この無端金属ベルトは周長の管理が重要であるため、たとえば、特開平11−290971号公報および特開2001−105050号公報に開示されているような方法、装置を用いてその周長が調整される。
【0003】
まず、駆動ローラと、これに接近離間可能な従動ローラと、駆動ローラと従動ローラとの中間位置でこれらのローラの変位方向と直交する方向に変位可能な矯正ローラとの3つのローラに金属ベルトを掛ける。従動ローラには駆動ローラに対して離反する方向に力を作用させるための錘が取り付けてあり、金属ベルトは3つのローラによってこの錘の重さに応じた張力で引っ張られる。このときの駆動ローラと従動ローラとの軸間距離から金属ベルトの周長が実測される。
【0004】
次に、金属ベルトの周長の実測値と金属ベルトの周長の設計値との差から補正値を算出し、この補正値に応じて矯正ローラを、金属ベルトを伸ばす方向に変位させる。このとき、従動ローラは錘の重さに抗して駆動ローラに接近するが、この接近はある程度までで止まるようになっている。したがって、駆動ローラと従動ローラとの軸間距離が一定に保たれた状態で矯正ローラが金属ベルトを引き伸ばすことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような金属ベルトの周長修正装置にあっては、金属ベルトの周長を実測するための機構と、金属ベルトの周長を矯正するための機構とが別々になっているため、装置の構造が複雑になるという問題がある。
【0006】
また、金属ベルトの周長を矯正するとき、矯正ローラは従動ローラに取り付けられている錘の重さ分余分に力を加える必要があることから、矯正ローラの駆動装置には大型のものが必要になるという問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、構造がより単純化され、小型化が可能な金属ベルトの周長修正装置の提供を目的とする。
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置は、ベースに取り付けられモータによって駆動される駆動ローラと、当該ベース上を当該駆動ローラに対して接近離間自在にスライドするスライドベースと、当該スライドベースに取り付けられた従動ローラと、前記駆動ローラと当該従動ローラとに掛けられた金属ベルトに張力を与えるため前記スライドベースに前記従動ローラを前記駆動ローラから離間させる方向に荷重を与える錘と、を備え、前記金属ベルトの周長を修正するときにはスライドベース移動手段により当該錘で与える荷重と同じ方向に前記スライドベースを移動させ、前記錘の荷重と前記スライドベース移動手段とで一方向に前記金属ベルトを引き伸ばしている。
【0009】
前記金属ベルトの周長を修正するときには前記錘の荷重が掛けられているスライドベースを前記錘で与えられている荷重と同じ方向に移動させて前記駆動ローラと前記従動ローラとに掛けられた金属ベルトを伸ばすため、構造の単純化と、装置の小形化が実現できる。
【0010】
【発明の効果】
本発明の金属ベルトの周長修正装置によれば、金属ベルトの周長を修正するときには錘の荷重が掛けられているスライドベースを錘で与えられている荷重と同じ方向に移動させて駆動ローラと従動ローラとに掛けられた金属ベルトを伸ばすようにしたので、装置の構造を単純化することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作説明に供する図であり、それぞれの図において、aはその装置の側面図を、bはその装置の平面図をそれぞれ示す。
【0012】
本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の概略の構成を図1を参照しながら説明する。ベース10の前部には駆動ローラ12が取り付けられる。駆動ローラ12はモータとしてのスピンドルモータ14によって回転される。ベース10には従動ローラ用スライドベースガイド16が取り付けられる。従動ローラ用スライドベースガイド16上には、駆動ローラ12に対して接近離間自在にスライドするスライドベースとしての従動ローラ用スライドベース18が取り付けられる。従動ローラ用スライドベース18には従動ローラ20が取り付けられる。駆動ローラ12と従動ローラ20には周長が修正される金属ベルト30が掛けられる。従動ローラ用スライドベース18には従動ローラ20のスライド位置を検出するスライド位置検出センサとしての従動ローラ用スライド位置検出センサ42が取り付けられる。スライドベース18にはその一部に切り欠き部44を形成したブラケット46が取り付けられる。切り欠き部44の内部の前端面48には前端ストッパー50が、その後端面52には後端ストッパー54がそれぞれ設けてある。
【0013】
ベース10の後方には修正引っ張り部用スライドベースガイド56が取り付けられる。修正引っ張り部用スライドベースガイド56上には、駆動ローラ12に対して接近離間自在にスライドする修正引っ張り部用スライドベース58が取り付けられる。修正引っ張り部用スライドベース58にはボールネジナット用ハウジング60が取り付けられる。ボールネジナット用ハウジング60の両側面には、前端ストッパー50に当接する前端押圧ストッパー64と後端ストッパー54に当接する後端押圧ストッパー66とを備えたブラケット駆動用アーム62が取り付けられる。ボールネジナット用ハウジング60とブラケット駆動用アーム62とで修正引っ張り部は形成される。ボールネジナット用ハウジング60にはボールネジナット68が取り付けられる。ベース10の後方にはサーボモータ70が取り付けられ、このサーボモータ70によってボールネジ72が回転される。ボールネジ72はボールネジナット68に係合され、サーボモータ70が回転することによって結果的にはブラケット駆動用アーム62が前端ストッパー50方向にまたは後端ストッパー54方向に移動する。修正引っ張り部用スライドベース58にはブラケット駆動用アーム62のスライド位置を検出するブラケット駆動用スライド位置検出センサ74が取り付けられる。サーボモータ70はブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の検出値によって位置フィードバックを受けてボールネジ72を回転させる。サーボモータ70、ボールネジ72、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74、ボールネジナット用ハウジング60、ブラケット駆動用アーム62、ブラケット46によってスライドベース移動手段、駆動手段が形成される。
【0014】
ブラケット46の後端にはたとえば重さが80Kg程度の錘80が連結される。錘80は滑車82によって上下自在に支持される。錘80の荷重は、ブラケット46を介して従動ローラ用スライドベース18に伝達され、常に従動ローラ20を駆動ローラ12から離間させる方向に与えられる。したがって、金属ベルト30が駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けられ、ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64がブラケット46の前端ストッパー50に当接していなければ、ブラケット46はフリーの状態であるから、錘60の荷重は金属ベルト30に張力を与えることになる。
【0015】
また、金属ベルト30が駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けられ、ブラケット駆動用アーム62の後端押圧ストッパー66がブラケット46の後端ストッパー54に当接し、サーボモータ70によってブラケット駆動用アーム62がなおブラケット46の後端面52に向けて移動されるとき(金属ベルトの周長を修正するとき)には、金属ベルト30が強制的に伸ばされることになる。サーボモータ70によって金属ベルト30を引き伸ばそうとする力は、錘80が金属ベルト30に与える荷重と同じ方向である。金属ベルト30の周長を修正するときにも錘80の荷重を有効に使うことができるので、サーボモータ70の容量は錘80の荷重分だけ小さくすることができる。
【0016】
金属ベルト30が駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けられていない状態では、前端押圧ストッパー64が前端ストッパー50に当接するため、従動ローラ20の位置はブラケット駆動用アーム62の位置に依存する。ブラケット駆動用アーム62とブラケット46の後端部には、後端押圧ストッパー66が後端ストッパー54に当接したことを高精度に検出するための当接検出センサ76が取り付けられている。当接検出センサ76は、後端押圧ストッパー66が後端ストッパー54に当接したことを0.4μ程度の分解能で検出することができるセンサである。金属ベルト30の周長を修正するときには、当接検出センサ76によって前端押圧ストッパー64が前端ストッパー50に当接したことが検出されてから、金属ベルト30を与えられた寸法だけ伸ばすことになる。
【0017】
図4は、本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の制御系のブロック図である。
【0018】
従動ローラ用スライド位置検出センサ42は、従動ローラ用スライドベース18に取り付けられているセンサであり、従動ローラ20のスライド位置を検出する。
【0019】
ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74は、修正引っ張り部用スライドベース58に取り付けられているセンサであり、ブラケット駆動用アーム62のスライド位置を検出する。
【0020】
当接検出センサ76は、後端押圧ストッパー66が後端ストッパー54に当接したことを検出する。
【0021】
サーボモータ70は、ボールネジ72を回転させてブラケット駆動用アーム62を前端ストッパー50方向にまたは後端ストッパー54方向に移動させる。
【0022】
スピンドルモータ14は駆動ローラ12を回転させるモータである。駆動ローラ12と従動ローラ20とに金属ベルト30が掛けられていると、駆動ローラ12の回転によって金属ベルト30が回転される。
【0023】
制御部100は、測定手段、スライド位置演算手段、駆動手段として機能するものである。制御部100は、マスターとなる金属ベルト30の周長の設計値を記憶する設定値記憶手段としての設計値記憶部105を有している。設計値記憶部105に記憶させる設計値は、理論上の設計値でも良いが、本実施の形態では、マスターとなる金属ベルト30の周長を本装置で実測し、この実測値を設計値として記憶させている。理論上の設計値ではなく、マスターの実測値を記憶させるようにしたのは、温度変化などの環境変化に対して適切な修正作業が期待できるからである。
【0024】
制御部100が測定手段として機能するときには、錘80のみによって金属ベルト30に張力が与えられ、従動ローラ用スライド位置検出センサ42によって検出されたブラケット駆動用アーム62のスライド位置に基づいて金属ベルト30の周長を測定する。スライド位置演算手段として機能するときには、測定された金属ベルト30の周長の実測値と設計値記憶部105に記憶されている設計値との差を求め、その差から金属ベルト30の周長を設計値に修正するために必要となるブラケット駆動用アーム62のスライド位置を演算する。駆動手段として機能するときには、ブラケット駆動用アーム62が、演算されたスライド位置に達するまでサーボモータ70を駆動して金属ベルト30の周長を強制的に伸ばす。
【0025】
次に、図5および図6のフローチャートに基づいて本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作を詳細に説明する。この説明に際しては、図1〜図4および図7を参照しながら説明する。
【0026】
このフローチャートでは「金属ベルト掛け」、「金属ベルト周長測定」、「金属ベルト周長修正」の3つの段階を順番に説明する。各段階の概略の動作は次のとおりである。
【0027】
「金属ベルト掛け」を行うとき、すなわち、金属ベルト30を駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けるときには、従動ローラ用スライドベース18を駆動ローラ側に移動させて駆動ローラ12と従動ローラ20との間隔を縮める。「金属ベルト周長測定」をするとき、すなわち、金属ベルト30の周長を測定するときには、従動ローラ用スライドベース18をフリーにし、錘80の荷重だけが従動ローラ用スライドベース18にかかるようにして駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けられた金属ベルト30に張力を与える。「金属ベルト周長修正」をするとき、すなわち、金属ベルト30の周長を修正するときには、錘80の荷重が掛けられている従動ローラ用スライドベース18を錘80で与えられている荷重と同じ方向に移動させて駆動ローラ12と従動ローラ20とに掛けられた金属ベルト30の周長を伸ばす。
【0028】
図5に示すフローチャートのS1からS4のステップは、「金属ベルト掛け」の処理を行うステップである。「金属ベルト掛け」が行われるとき、ブラケット駆動用アーム62のスライド位置は図1に示す位置である。
【0029】
まず、制御部100は、金属ベルト掛けを行うためのブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値X0を入力してサーボモータ70を駆動する(S1)。このX0の値は、ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64を図1のようにブラケット46の前端ストッパー50に接触させ、ブラケット46を錘80の荷重に抗して駆動ローラ12側に移動させ、駆動ローラ12と従動ローラ20との間で金属ベルト30を容易に掛けることができるようにするための値である。制御部100は、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値を入力し、その値がX0に達しているか否かを判断する(S2)。その値がX0に達していなければ(S2:NO)、サーボモータ70を駆動しつづける。サーボモータ70が駆動されている間は、ブラケット駆動用アーム62が駆動ローラ12側に移動する。ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64がブラケット46の前端ストッパー50に接触した後は、ブラケット46が錘80の荷重に抗して駆動ローラ12側に移動する。この移動に伴って、従動ローラ20が駆動ローラ12に近づいていく。ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値がX0に達すると(S2:YES)、制御部100はサーボモータ70の駆動を停止する(S3)。停止したときの装置の状態は図1に示すとおりである。すなわち、従動ローラ20が駆動ローラ12に接近し、マスターとなる金属ベルト30または周長を修正する前の金属ベルト30が従動ローラ20と駆動ローラ12に容易に掛けることができるようになる(図1b参照)。したがって、作業者はこの状態の下で金属ベルトを掛けることになる(S4)。
【0030】
図5に示すフローチャートのS5からS10のステップは、「金属ベルト周長測定」の処理を行うステップである。「金属ベルト周長測定」が行われるとき、ブラケット駆動用アーム62のスライド位置は図2に示す位置である。
【0031】
制御部100は、金属ベルト周長測定を行うためのブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値X1を入力してサーボモータ70を駆動する(S5)。このX1の値は、ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64と後端押圧ストッパー66とが、図2のようにブラケット46の前端ストッパー50と後端ストッパー54のいずれにも接触せずに、錘80のみの荷重が従動ローラ20と駆動ローラ12とに掛けられた金属ベルト30にかかるようにするための値である。制御部100は、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値を入力し、その値がX1に達しているか否かを判断する(S6)。その値がX1に達していなければ(S6:NO)、サーボモータ70を駆動しつづける。サーボモータ70が駆動されている間は、ブラケット駆動用アーム62がサーボモータ70側に移動する。ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64がブラケット46の前端ストッパー50から離れた後は、ブラケット46が錘80の荷重で引っ張られ、錘80のみの荷重が従動ローラ20と駆動ローラ12とに掛けられた金属ベルト30にかかる。つまり、金属ベルト30は錘80の荷重で張られることになる。ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値がX1に達すると(S6:YES)、制御部100はサーボモータ70の駆動を停止する(S7)。停止したときの装置の状態は図2に示すとおりであり、金属ベルト30は従動ローラ20と駆動ローラ12との間で錘80によって張力が与えられる。
【0032】
次に、制御部100はスピンドルモータ14を回転させる(S8)。制御部100は従動ローラ用スライド位置検出センサ42の検出値YBを読み取る(S9)。
マスターとなる金属ベルト30の実測値を設計値とするときには、この検出値YBの値が設計値記憶部105に記憶されることになる。
【0033】
そして、制御部100は、金属ベルト30の周長を修正するための変位量ΔYを演算する。この変位量は、ブラケット駆動用アーム62の後端押圧ストッパー66がブラケット46の後端ストッパー54に接触してから金属ベルト30を引き伸ばす距離である。変位量ΔYは下記の式で求める。
【0034】
ΔY=(LZ−LM)/2+(YM−YB)
ここで、LZは製品として望ましい金属ベルト30の周長、LMはマスターとなる金属ベルト30の周長(設計値記憶部105に記憶されている設計値)、YMは図7に示すようにマスターとなる金属ベルト30を錘80の荷重のみで張っているときの従動ローラ用スライド位置検出センサ42の検出値、YBは図7に示すように周長修正前の金属ベルト30を錘80の荷重のみで張っているときの従動ローラ用スライド位置検出センサ42の検出値をそれぞれ示す(S10)。
【0035】
図5に示すフローチャートのS11から図6に示すフローチャートのS20のステップは、「金属ベルト周長修正」の処理を行うステップである。「金属ベルト周長修正」が行われるとき、ブラケット駆動用アーム62のスライド位置は図3に示す位置である。
【0036】
制御部100は、変位量ΔYを求めたら、この値ΔYを入力してサーボモータ70を駆動する(S11)。制御部100は、ブラケット駆動用アーム62の後端押圧ストッパー66がブラケット46の後端ストッパー54に接触したことを検出する当接検出センサ76がONするか否かを監視する(S12)。当接検出センサ76がONしていなければ(S12:NO)、サーボモータ70を駆動しつづける。サーボモータ70が駆動されている間は、ブラケット駆動用アーム62がサーボモータ70側に移動する。当接検出センサ76がONすると(S12:YES)、制御部100はサーボモータ70の駆動を停止する(S13)。制御部100は、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値XBを読み取る(S14)。制御部100は、値XBを読み取った後サーボモータ70を駆動する(S15)。
【0037】
制御部100は、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値を入力し、その値がXB+ΔYに達しているか否かを判断する(S16)。その値がXB+ΔYに達していなければ(S16:NO)、サーボモータ70を駆動しつづける。サーボモータ70が駆動されている間は、ブラケット駆動用アーム62がサーボモータ70側に移動し、ブラケット駆動用アーム62の後端押圧ストッパー66がブラケット46の後端ストッパー54を押し付ける。このため、図3に示すように、ブラケット46は錘80の荷重とサーボモータ70によって与えられる荷重とで引っ張られ、これらの荷重が従動ローラ20と駆動ローラ12とに掛けられた金属ベルト30にかかる。つまり、金属ベルト30はこれらの荷重によって強制的に引っ張られることになる。ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値がXB+ΔYに達すると(S16:YES)、制御部100はサーボモータ70の駆動を停止する(S17)。この状態では、金属ベルト30が従動ローラ20と駆動ローラ12との間で強制的に引っ張られているので、塑性変形を起こしてその周長が長くなる。
【0038】
制御部100は、図7のようにΔYだけ引き伸ばされている状態の金属ベルト30の長さYAを、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74で読み取る(S18)。そして、制御部100は、周長修正後の金属ベルト30の周長LAを下記の式で求める(S19)。
【0039】
LA=LM−2(YM−YA)
周長LAの演算が終わったら、制御部100はスピンドルモータ14を停止させる(S20)。
【0040】
制御部100は、周長修正後の金属ベルト30を外せるようにすために、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値X0を入力してサーボモータ70を駆動する(S21)。このX0の値は、ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64を図1のようにブラケット46の前端ストッパー50に接触させ、駆動ローラ12と従動ローラ20との間で金属ベルト30を容易に外すことができるようにするための値である。制御部100は、ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値を入力し、その値がX0に達しているか否かを判断する(S22)。その値がX0に達していなければ(S22:NO)、サーボモータ70を駆動しつづける。サーボモータ70が駆動されている間は、ブラケット駆動用アーム62が駆動ローラ12側に移動する。ブラケット駆動用アーム62の前端押圧ストッパー64がブラケット46の前端ストッパー50に接触した後は、ブラケット46が錘80の荷重に抗して駆動ローラ12側に移動する。この移動に伴って、従動ローラ20が駆動ローラ12に近づいていく。ブラケット駆動用スライド位置検出センサ74の値がX0に達すると(S22:YES)、制御部100はサーボモータ70の駆動を停止する(S23)。停止したときの装置の状態は図1に示すとおりである。すなわち、従動ローラ20が駆動ローラ12に接近し、周長修正後の金属ベルト30が従動ローラ20と駆動ローラ12とから容易に外すことができるようになる(図1b参照)。したがって、作業者はこの状態の下で金属ベルトを外すことになる(S24)。
【0041】
以上のように、本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置では、金属ベルト30を実測する場合の従動ローラ20のスライドを利用して周長の修正もすることができるようにしたので、金属ベルトの周長を実測するための機構と、金属ベルトの周長を矯正するための機構とを共通の機構で実現でき、装置の小型化が可能になる。また、金属ベルト30の周長を修正する場合、金属ベルトの周長を実測するために設けられている錘80の荷重を利用しながらサーボモータ70によって金属ベルト30を引っ張ることができるので、サーボモータ70単独で周長を修正する場合と比較すると、錘80の荷重分だけ容量を小さくすることができる。このことも装置の小型化につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作説明に供する図である。
【図2】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作説明に供する図である。
【図3】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作説明に供する図である。
【図4】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の制御系のブロック図である。
【図5】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明にかかる金属ベルトの周長修正装置の動作説明に供する図である。
【符号の説明】
10…ベース、
12…駆動ローラ、
14…スピンドルモータ、
16…従動ローラ用スライドベースガイド、
18…従動ローラ用スライドベース、
20…従動ローラ、
30…金属ベルト、
42…従動ローラ用スライド位置検出センサ、
44…切り欠き部、
46…ブラケット、
48…切り欠き部の内部の前端面、
50…前端ストッパー、
52…切り欠き部の内部の後端面、
54…後端ストッパー、
56…修正引っ張り部用スライドベースガイド、
58…修正引っ張り部用スライドベース、
60…ボールネジナット用ハウジング、
62…ブラケット駆動用アーム、
64…前端押圧ストッパー、
66…後端押圧ストッパー、
68…ボールネジナット、
70…サーボモータ、
72…ボールネジ、
74…ブラケット駆動用スライド位置検出センサ、
76…当接検出センサ、
80…錘、
82…滑車、
100…制御部、
105…設計値記憶部。
Claims (6)
- ベースに取り付けられモータによって駆動される駆動ローラと、
当該ベース上を当該駆動ローラに対して接近離間自在にスライドするスライドベースと、
当該スライドベースに取り付けられた従動ローラと、
前記駆動ローラと当該従動ローラとに掛けられた金属ベルトに張力を与えるため前記スライドベースに前記従動ローラを前記駆動ローラから離間させる方向に荷重を与える錘と、
前記金属ベルトの周長を修正するときには当該錘で与える荷重と同じ方向に前記スライドベースを移動させるスライドベース移動手段と、
を有し、
前記金属ベルトの周長を修正するときは、前記錘の荷重と前記スライドベース移動手段とで一方向に前記金属ベルトを引き伸ばすことを特徴とする金属ベルトの周長修正装置。 - 前記スライドベース移動手段は、
前記スライドベースと一体にスライド可能なブラケットと、
前記ブラケットに当接して前記スライドベースを強制的に移動させるブラケット駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の金属ベルトの周長修正装置。 - 前記ブラケットの一部に切り欠き部を有し、
前記ブラケット駆動手段は、前記切り欠き部に通されるブラケット駆動用アームを有し、
前記金属ベルトの周長を測定するときには前記切り欠き部内部で前記ブラケットと前記ブラケット駆動用アームとが非当接状態であり、前記金属ベルトの周長を修正するときには前記切り欠き部内部で前記ブラケットと前記ブラケット駆動用アームとが当接することを特徴とする請求項2に記載の金属ベルトの周長修正装置。 - 前記ブラケット駆動用アームが前記切り欠き部内部で前記ブラケットに当接したことを検出する当接検出センサを有し、
前記金属ベルトの周長を修正するときには、前記当接検出センサが前記当接を検出したときから、前記錘の荷重と前記ブラケット駆動手段とで前記金属ベルトを与えられた寸法だけ引き伸ばすことを特徴とする請求項3に記載の金属ベルトの周長修正装置。 - 前記スライドベース移動手段は、
前記金属ベルトを前記駆動ローラと前記従動ローラとに掛けるときには前記スライドベースを前記駆動ローラ側に移動させて前記駆動ローラと前記従動ローラとの間隔を縮め、前記金属ベルトの周長を測定するときには前記スライドベースをフリーにして前記錘の荷重だけが前記スライドベースにかかるようにして前記駆動ローラと当該従動ローラとに掛けられた金属ベルトに張力を与え、前記金属ベルトの周長を修正するときには前記錘の荷重が掛けられているスライドベースを前記錘で与えられている荷重と同じ方向に移動させて前記駆動ローラと前記従動ローラとに掛けられた金属ベルトを伸ばすことを特徴とする請求項1に記載の金属ベルトの周長修正装置。 - 前記スライドベース移動手段は、
前記従動ローラのスライド位置を検出するスライド位置検出センサと、
前記錘のみによって前記金属ベルトに張力が与えられているときの当該スライド位置に基づいて前記金属ベルトの周長を測定する測定手段と、
前記金属ベルトの周長の設計値を記憶する設計値記憶手段と、
測定された前記金属ベルトの実測値と当該設計値との差から前記金属ベルトの周長を修正するときの前記スライド位置を演算するスライド位置演算手段と、を有し、
前記ブラケット駆動手段は演算されたスライド位置まで前記スライドベースを駆動することを有することを特徴とする請求項4に記載の金属ベルトの周長修正装置。
Priority Applications (1)
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