JP3860302B2 - ステータ巻線方法及びステータ巻線装置 - Google Patents

ステータ巻線方法及びステータ巻線装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数個のティースと、これらティース間の接続を行うバックヨークとで形成されたステータコアの各ティースに巻線を捲回しコイルを形成するためのステータ巻線方法及びステータ巻線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、例えばインナーロータタイプのブラシレスDCモータに組込まれたステータ10を示す正面図である。ステータ10は、ステータコア11とコイル12とから構成されている。ステータコア11は、環状に形成されたバックヨーク11aと、このバックヨーク11aの内周側に延出された複数のティース11bとを備えている。また、コイル12は、ティース11bに巻線12Aを捲回することで形成されている。なお、図11中13はロータを示している。
【0003】
一方、図12はステータコア11を形成する抜き板11Aを示す平面図である。すなわち、ステータコア11は抜き板11Aを復数枚積層したものを環状に折り曲げて形成されている。
【0004】
なお、このようなステータコア11に巻線12Aを捲回する際には、図13の(a)に示すように、ステータコア11を環状に折り曲げる前の段階で行うことにより捲回作業が容易となる。このとき、ステータコア11を固定治具14に固定し、捲回作業を行うようにしていた。なお、図13中16は巻線12Aを連続的に供給するノズルを示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のステータコア巻線方法では、次のような問題があった。すなわち、ティース11bに巻線12Aを捲回しようとすると、図13中矢印P方向の力が加わる。このため、図13の(b)に示すようにステータコア11には矢印Q方向の力が加わり、固定治具14から外れてしまうことがあった。このため、捲回時にかかる力を弱くするために巻線12Aを細径化したり、一度に捲回するティース11bの数を減らす必要があった。このため、巻線ターン数や接続箇所の増加となり、工数増加や信頼性の低下を生じる虞があった。
【0006】
そこで本発明は、巻線を太径化してもステータコアが支持部から脱落しないようにすることができるステータ巻線方法及びステータコア巻線装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、複数個のティースと、これらティース間の接続を行うバックヨークとで形成されたステータコアの各ティースに巻線を捲回してコイルを形成するステータ巻線方法において、上記ステータコアをその軸方向への移動を規制するとともに、上記ステータコアを上記軸方向に交差する方向で、かつ、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を上記ステータコアの上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合することで、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制しながら上記巻線を捲回するようにした。
【0008】
請求項2に記載された発明は、複数個のティースと、これらティース間の接続を行うバックヨークとで形成されたステータコアの各ティースに巻線を捲回してコイルを形成するステータ巻線装置において、上記ステータコアをその軸方向への移動を規制して支持する第1支持部と、上記バックヨークの背面側に沿って形成されたベースに形成され、上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合し、上記ステータコアを上記軸方向に交差する方向で、かつ、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制して支持する第2支持部とを備えるようにした。
【0011】
上記手段を講じた結果、次のような作用が生じる。すなわち、請求項1に記載された発明では、ステータコアの上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合することで、巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制しながら巻線を捲回するようにしたので、ステータコアが位置ずれを起こすことがない。
【0012】
請求項2に記載された発明では、第1支持部によりステータコアをその軸方向への移動を規制して支持し、第2支持部によりステータコアを軸方向に交差する方向で、かつ、巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制して支持するようにしたので巻線捲回時の位置ずれの発生を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るステータコア20をステータ巻線装置30の固定治具40に取り付けた状態を示す断面図である。
ステータコア20は、帯状に形成されたバックヨーク21と、このバックヨーク21の内周側に延出された複数のティース22とを備えている。バックヨーク21のうちティース相互間はV字状の切り込みを有する折曲部23が形成されている。バックヨーク21の外周側のティース22に対向する位置には凹部21aが形成され、折曲部23の外周側には凹部23aが形成されている。なお、ステータコア20は図2に示すような抜き板20Aを複数枚積層して形成されている。なお、図1中24は巻線を示している。
【0017】
ステータ巻線装置30は、ステータコア20を支持する固定治具(第1及び第2の支持部)40と、巻線24を供給するとともにティース22への捲回を行う巻線機構50とを備えている。
【0018】
固定治具40は、バックヨーク21の外周側に沿うような円弧状に形成されたベース41と、バックヨーク21を抜き板20Aの積層方向から挟んで固定するクランプ(不図示)とを備え、ベース41には上述した凹部21a,23aにそれぞれ係合する凸部42a,42bが形成されている。
【0019】
巻線機構50は、巻線24を供給するノズル51と、このノズル51をティース22回りに移動し、かつ、所定の張力で巻線24がティース22に捲回されるように移動するノズル駆動機構52とを備えている。
【0020】
このように構成されたステータ巻線装置30では、固定治具40にステータコア20を取り付け、クランプにより抜き板20Aの積層方向に挟み込むとともにステータコア20の凹部21a,23aにベース41の凸部42a,42bを係合させて固定する。そして、巻線機構50のノズル51から巻線24を連続的に供給しながらノズル駆動機構52を旋回運動させる。これにより、巻線24がティース22に捲回されてゆく。
【0021】
このとき、例えば捲回方向が図1中矢印R方向であるときには、ステータコア20には図1中S方向に力が加わることとなる。しかし、凹部21a,23aにベース41の凸部42a,42bが係合しているので、ステータコア20が固定治具40から位置ずれを起こすことがない。
【0022】
したがって、ステータコア20及びステータ巻線装置30を用いることにより、ステータコア20に巻線24の捲回方向に大きな力が加わってもステータコア20が固定治具40から脱落しないので、巻線24を太径化し、かつ、複数のティース22に同時に巻線24を捲回させることができる。これにより巻線ターン数や接続箇所を減少させることができ、工数を低下させ、信頼性を高めることができる。
【0023】
また、ティース22に対応する部位に凹部41aが形成されているので、磁路の確保がしやすく、特性の影響が少ない。
図3の(a)〜(j)は、第1の実施の形態に係るステータコア20の変形例を示す図である。すなわち、図3の(a),(c),(e),(g),(i)は凹部21aの代わりにそれぞれ凹部21b,21c,21d,21e,21fを設けた例である。また、図3の(b),(d),(f),(h),(j)は凹部23aの代わりにそれぞれ凹部23b,23c,23d,23e,23fを設けた例である。このように構成した場合でも上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0024】
図4は本発明の第2の実施の形態に係るステータコア60を固定治具40に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図4において図1と同一機能部分には同一符号を付した。本第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態に係るステータコア20から凹部21aを除いた形状となっている。この場合でも上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0025】
なお、ステータコア60においても凹部23aの代わりに凹部23b,23c,23d,23e,23fのように形成してもよい。
図5は本発明の第3の実施の形態に係るステータコア61を固定治具40に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図5において図1と同一機能部分には同一符号を付した。本第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態に係るステータコア20から凹部23aを除いた形状となっている。この場合でも上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
なお、ステータコア61においても凹部21aの代わりに凹部21b,21c,21d,21e,21fのように形成してもよい。
図6は本発明の第4の実施の形態に係るステータコア70を固定治具80に取り付けた状態を示す断面図である。ステータコア70は、帯状に形成されたバックヨーク71と、このバックヨーク71の内周側に延出された複数のティース72とを備えている。バックヨーク71のうちティース相互間はV字状の切り込みを有する折曲部73が形成されている。バックヨーク71の外周側のティース72に対向する位置には凸部71aが形成され、折曲部73の外周側には凸部73aが形成されている。
【0027】
固定治具80は、バックヨーク71の外周側に沿うような円弧状に形成されたベース81と、バックヨーク71を抜き板の積層方向から挟んで固定するクランプ(不図示)とを備え、ベース81には上述した凸部71a,73aにそれぞれ係合する凹部82a,82bが形成されている。
【0028】
本第4の実施の形態においても上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図7の(a)〜(j)は、第4の実施の形態に係るステータコア70の変形例を示す図である。すなわち、図7の(a),(c),(e),(g),(i)は凸部71aの代わりにそれぞれ凸部71b,71c,71d,71e,71fを設けた例である。また、図7の(b),(d),(f),(h),(j)は凸部73aの代わりにそれぞれ凸部73b,73c,73d,73e,73fを設けた例である。このように構成した場合でも上述した第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
図8は本発明の第5の実施の形態に係るステータコア90を固定治具80に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図8において図6と同一機能部分には同一符号を付した。本第5の実施の形態では、上述した第4の実施の形態に係るステータコア70から凸部71aを除いた形状となっている。この場合でも上述した第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお、ステータコア90においても凸部73aの代わりに図7に示す凸部73b,73c,73d,73e,73fのように形成してもよい。
図9は本発明の第6の実施の形態に係るステータコア91を固定治具80に取り付けた状態を示す断面図である。なお、図9において図6と同一機能部分には同一符号を付した。本第6の実施の形態では、上述した第4の実施の形態に係るステータコア70から凸部73aを除いた形状となっている。この場合でも上述した第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
なお、ステータコア91においても凸部71aの代わりに図7に示す凸部71b,71c,71d,71e,71fのように形成してもよい。
図10は本発明の第7の実施の形態に係るステータコア100を固定治具110に取り付けた状態を示す断面図である。ステータコア100は、帯状に形成されたバックヨーク101と、このバックヨーク101の内周側に延出された複数のティース102とを備えている。バックヨーク101のうちティース相互間はV字状の切り込みを有する折曲部103が形成されている。バックヨーク101の外周側のティース102に対向する位置には凸部101aが形成され、折曲部103の外周側には凹部103aが形成されている。
【0032】
固定治具110は、バックヨーク101の外周側に沿うような円弧状に形成されたベース111と、バックヨーク101を抜き板の積層方向から挟んで固定するクランプ(不図示)とを備え、ベース111には上述した凸部101aに係合する凹部112a、凹部103aに係合する凸部112bが形成されている。
【0033】
本第7の実施の形態においても上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、ステータコアの上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合することで、巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制しながら巻線を捲回するようにしたので、ステータコアが位置ずれを起こすことがない。
【0035】
請求項2に記載された発明によれば、第1支持部によりステータコアをその軸方向への移動を規制して支持し、第2支持部によりステータコアを軸方向に交差する方向で、かつ、巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制して支持するようにしたので巻線捲回時の位置ずれの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図2】同ステータコアを構成する抜き板を示す平面図。
【図3】同ステータコアの変形例を示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図7】同ステータコアの変形例を示す図。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係るステータコアを固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【図11】従来のモータのステータを示す正面図。
【図12】従来のステータコアを構成する抜き板を示す図。
【図13】従来のステータコアを従来の固定治具に取り付けた状態を示す断面図。
【符号の説明】
20,60,61,90,91,100…ステータコア
21,71,101…バックヨーク
22,72,102…ティース
23,73,103…折曲部
24…巻線
30…ステータ巻線装置
40,80,110…固定治具

Claims (2)

  1. 複数個のティースと、これらティース間の接続を行うバックヨークとで形成されたステータコアの各ティースに巻線を捲回してコイルを形成するステータ巻線方法において、
    上記ステータコアをその軸方向への移動を規制するとともに、上記ステータコアを上記軸方向に交差する方向で、かつ、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を上記ステータコアの上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合することで、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制しながら上記巻線を捲回することを特徴とするステータ巻線方法。
  2. 複数個のティースと、これらティース間の接続を行うバックヨークとで形成されたステータコアの各ティースに巻線を捲回してコイルを形成するステータ巻線装置において、
    上記ステータコアをその軸方向への移動を規制して支持する第1支持部と、
    上記バックヨークの背面側に沿って備えられたベースに形成され、上記バックヨークの上記ティース間の中間位置に対応する部位に形成された係合部に係合し、上記ステータコアを上記軸方向に交差する方向で、かつ、上記巻線の捲回方向に沿った方向への移動を規制して支持する第2支持部とを備えていることを特徴とするステータ巻線装置。
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