JP3860018B2 - フラッシュ定着トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラッシュ定着トナーに関するもので、詳しく述べると本発明は、フラッシュ定着性が良好でかつ帯電性が安定しており、さらに経済的に安価なフラッシュ定着トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式における被印刷物への画像定着方式としては、従来、主としてヒートロール方式が使用されている。しかしながら、この方式は、トナーにより画像形成された紙等の被印刷物を加熱ロール間に通して、トナーを被印刷物に熱圧着させるものであるため、定着部で目詰まりを起こしたり、画像が押しつぶされるため解像度が低下する、被印刷物の種類が限られる等の問題を有するものである。
【0003】
これに対し、フラッシュ定着方式は、非接触定着法の一種であって、上記したようなヒートロール方式における問題はなく優れた定着方式であるが、キセノンフラッシュランプの光、特に赤外光をトナー中の成分が吸収することで溶融し定着するものであるため、赤外光の吸収能を有しないまたは弱い色剤を多く用いるカラートナーでは、定着不良が生じる。
【0004】
このような定着不良の問題を解決する方法として、特開昭63−161460号公報には、フラッシュ定着トナー中に波長800〜1100nmに光吸収ピークを有する赤外線吸収剤を分散配合することが提案されている。また、特開昭60−57858号公報、特開昭60−63546号公報、特開昭61−132959号公報には、800〜1100nmに光吸収ピークを有する特定の化合物をトナー組成物に対し1重量%〜10重量%添加することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭63−16146号公報において示されるトナーにおいては、赤外線吸収剤が結着樹脂中に分散した状態であるため、このような赤外線吸収剤の発熱作用によって結着樹脂を十分に溶解させるためには、必然的に添加量が多くなり、効率的でないのみならず経済的に不利なものとなる。また、赤外線吸収剤の帯電性によりトナーの帯電が不安定になり、かぶりを発生させることもある。
【0006】
また、特開昭60−57858号公報、特開昭60−63546号公報、特開昭61−132959号公報に示されるトナーにおいても、上記と同様に比較的添加量が多いことに加え、これらに示される化合物は可視領域の吸収は少ないとはいえ暗い色調を有した物質であって、赤外線吸収剤による色汚染が問題となりまたこれらの化合物の構造及び官能基等から、トナーの帯電性等への問題も生じるものであった。
【0007】
そこで本発明は、新規なフラッシュ定着トナーを提供することを目的とする。即ち、高い赤外線吸収能を有しフラッシュ定着性が良好で帯電的にも安定で、かつ経済的に安価なフラッシュ定着トナーを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、少なくとも、結着用樹脂、着色剤、ワックス成分および赤外線吸収剤からなるフラッシュ定着トナーであって、前記赤外線吸収剤が波長750〜1100nmに最大吸収波長を有しており、また前記赤外線吸収剤はワックス成分に溶融または分散しており、さらに前記赤外線吸収剤の添加量がトナー組成物全体の0.1重量%〜2重量%の範囲にあるフラッシュ定着トナーを最も主要な特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明では、トナー中のワックス成分が2μm以下である請求項1に記載のフラッシュ定着トナーを主要な特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明では、前記着色剤が黒色以外の着色剤である請求項1または請求項2に記載のフラッシュ定着トナーを主要な特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかのフラッシュ定着トナーにおいて、前記ワックス成分の融点が80〜130℃であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明では、少なくとも、結着用樹脂、着色剤、ワックス成分および赤外線吸収剤を含有するフラッシュ定着トナーの製造方法において、該トナー中に配合しようとする赤外線吸収剤をワックス成分の全量または一部に溶融または分散させた後、他のトナー成分と配合して所望濃度の赤外線吸収剤を含有するトナー組成物とし、得られたトナー組成物を溶融混練し、冷却後、粉砕するフラッシュ定着トナーの製造方法を最も主要な特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明では、前記ワックス成分の融点が80℃〜130℃である請求項5に記載のフラッシュ定着トナーの製造方法を特徴とする。
【0014】
このように本発明においては、フラッシュ定着トナーにおいて添加される赤外線吸収剤を、トナー粒子のマトリックスを構成するワックス成分に溶融または分散させた状態で配合したものである。フラッシュ定着においては、赤外線吸収剤部分で局部的に熱が発生するものであるため、マトリックス中において赤外線吸収剤がの分散状態によりその定着性が左右されるものである。トナーを溶融混練し、粉砕する場合、ワックス成分を含有している場合、ワックス成分を界面として割れることが多い。すなわちワックス成分中に赤外線吸収剤が溶融または分散している為、添加量を少なくしても充分な定着性が期待できるものである。さらに、赤外線吸収剤がマトリックス中の熱特性及び溶融粘度が一番低いワックス成分に存在するためフラッシュ照射時においてワックス成分がまず先行して溶融し、熱媒体としてフラッシュ光が届かなかったトナー粒子へ熱を伝達することにより部分的定着不良もない。また、このように添加量が少なくなるために、赤外線吸収剤の添加によるトナーの色調への影響がほとんどなく、経済的にも有利なものとなる。また、赤外線吸収剤がワックス成分中に存在しているため、赤外線吸収剤が帯電に悪影響を与えることもほとんどなく、トナー粒子として帯電的に安定するものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
本発明のフラッシュ定着トナーにおいて使用する結着用樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン系、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリルあるいはマレイン酸エステルとのスチレンを含む共重合体系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、フェノール系、炭化水素系、石油系等の樹脂が挙げられるが、好ましくは、ポリエステル樹脂、あるいはビスフェノールA/エピクロルヒドリン等のエポキシ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができるが、更に他の樹脂や添加剤を併用することもできる。
【0016】
また着色剤としては、従来公知のものがいずれも使用でき、例えば、カーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等の黒色着色剤、黄鉛、カドミウムエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、クロムエロー、ナフトールエロー、ハンザエロー、ピグメントエロー、ベンジジンエロー、パーマネントエロー、キノリンエローレーキ、アンスラピリミジンエロー等の黄色着色剤、パーマネントオレンジ、モリブデンオレンジ、バルカンファーストオレンジ、ベンジンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジ等の橙色着色剤、酸化鉄、アンバー、パーマネントブラウン等の褐色着色剤、ベンガラ、ローズベンガラ、アンチモン末、パーマネントレッド、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン、ライトファストレッドトーナー、パーマネントカーミン、ピラゾロンレッド、ボルドー、ヘリオボルドー、ローダミンレーキ、デュポンオイルレッド、チオインジゴレッド、チオインジゴマルーン、ウォッチングレッドストロンチウム等の赤色着色剤、コバルト紫、ファーストバイオレット、ジオキサンバイオレット、メチルバイオレットレーキ等の紫色着色剤、メチレンブルー、アニリンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルー、カルコオイルブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ウルトラマリンブルー、インダンスレンブルー、インジゴ等の青色着色剤、クロムグリーン、コバルトグリーン、ピグメントグリーンB、グリーンゴールド、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、ポリクロムブロム銅フタロシアニン等の緑色着色剤などの顔料または染料を例示することができ、これらの顔料または染料は単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。
【0017】
なお、本発明のフラッシュ定着トナーは、赤外線吸収剤の添加によるフラッシュ定着性の改良を図ったものであるため、特に、黒色以外の着色剤を用いたカラートナーの場合に効果が大きいものである。
【0018】
これらの着色剤は、特に限定されるものではないが、トナー組成物中において結着用樹脂100重量部に対し、3〜15重量部配合されるものであることが好ましい。
【0019】
本発明のフラッシュ定着トナーは、さらに赤外線吸収剤が添加されてなるものである。本発明において用いられる赤外線吸収剤としては、最大吸収波長が750〜1100nmのものが好ましく、より好ましくは800〜1100nmである。
【0020】
具体的には、シアニン化合物、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、Ni錯体化合物、フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、ナフタロシアニン化合物などが例示できる。
【0021】
このような赤外線吸収剤としては、市販に入手可能なものとして、例えば、日本化薬製のKayasorb IR−750、IRG−002、IRG−003、IRG−022、IRG−023、IR−820、CY−2、CY−4、CY−9、CY−10、CY−17、CY−20など、およびビス(1,2−ジフェニレセン−1,2−ジオクチル)ニッケルなどが例示できる。
【0022】
しかして本発明のフラッシュ定着トナーにおいては、この赤外線吸収剤はワックス成分中に溶融または分散した状態とされる。ワックス成分中に赤外線吸収剤が溶融または分散すると、熱特性及び溶融粘度が一番低いワックス成分に存在するためフラッシュ照射時においてワックス成分がまず先行して溶融し、熱媒体としてフラッシュ光が届かなかったトナー粒子へ熱を伝達することから、赤外線吸収剤の有する本来の能力を充分発現でき、わずかな添加量であっても定着性を向上させることができるものとなるためである。
【0023】
ワックス成分としては、ポリオレフィン系ワックスおよび天然ワックス等が用いら得る。ポリオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、あるいはオレフィンとその他の単量体、例えばビニルエステル類、ハロオレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸ないしその誘導体等、との共重合体などが挙げられるが、その重量平均分子量が1000〜45000程度のものであることが望ましい。また、天然ワックスとしては、カルバナロウ、モンタンロウ、天然パラフィン等が例示できる。より好ましくは融点が80℃〜130℃のワックス成分である方がより少ないフラッシュ光による赤外線吸収剤から発せられた熱で融解することが出来、定着性を向上させることができる。なお、フラッシュ定着は、ヒートロール定着とは異なり、キセノンフラッシュランプの照射光(主に波長800nm〜1100nmの近赤外光)を吸収発熱して定着するため、瞬時的に、300℃〜600℃程度の温度に達する。このため赤外線吸収剤を溶融または分散させるワックス成分の熱分解開始温度つまり耐熱温度が低いものであると、分解ガスによる定着画像におけるボイド(白抜け)の発生や定着unitのフィルターつまりの原因となる虞れがある。従ってワックス成分の耐熱温度は、230℃以上であることが好ましく、より好ましくは250℃以上、最も好ましくは300℃以上である。
【0024】
赤外線吸収剤をワックス成分に溶融または分散した状態とするには、他のトナー成分を混合し混練する際にワックス成分を溶融し赤外線吸収剤をワックス成分に溶融または分散する方法や、赤外線吸収剤自身が当該ワックスに溶解するものを用いる方法や、あるいは融解したワックス成分中に赤外線吸収剤を投入して分散させる方法がある。
【0025】
溶解または分散方法は特に限定はないが、ワックス成分を加熱後、赤外線吸収剤を投入しホモミキサー、ホモジナイザー等の高速剪断型分散機、ボールミル、コロイドミル、メディヤミル、等の連続あるいはバッチ式の湿式分散機を用いる方法等がある。
【0026】
赤外線吸収剤を溶解または分散したワックス成分は冷却後粉砕するか、噴霧冷却することによってサブμmから数μmとして他のトナーの構成成分を混合する。ワックス成分の粒径は1μm以下である方が他のトナーの構成成分と混合、混練後、粉砕してトナーを得る場合にワックス成分が脱落することも少なく、トナー粒子ごとにワックス成分が偏在することがなく、より効果がある。
【0027】
本発明のフラッシュ定着トナーにおいて、このような赤外線吸収剤の添加量は、トナー組成物全体の0.1重量%〜2重量%の割合とされる。すなわち、添加量が0.1重量%未満では、赤外線吸収剤がワックス成分に溶融または分散していても、充分な定着性を得ることが困難となる虞れが高く、一方、添加量が2重量%を越えると、定着性の面では何ら問題はないが、経済的に不利なものとなるばかりでなく、トナーの色調等に悪影響を及ぼす虞れが生じてくるためである。
【0028】
本発明のフラッシュ定着トナーには、さらに必要に応じて電荷制御剤、流動化剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0029】
電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルサクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリアジン、サリチル酸金属錯体等が例示できる。本発明のフラッシュ定着トナーにおいて使用される着色剤が黒色以外のものであるカラートナーの形態においては、荷電制御剤としては無色ないし淡色のものが好ましい。
【0030】
また、流動化剤としては、例えば、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニア、タルク等の無機微粒子、その他、ポリスチレンビーズ、(メタ)アクリル樹脂ビーズ等の有機微粒子などが用いられ得る。
【0031】
本発明のフラッシュ定着トナーの製法としては、ワックス成分中に赤外線吸収剤が溶融または分散した状態でトナー粒子が得られる限り、特に限定されるものではなく、前記したような結着用樹脂、着色剤、ワックス成分および赤外線吸収剤並びにその他必要に応じて配合される添加剤を、所定量づつ配合し、溶融混練後、冷却粉砕、分級してトナー粒子を得る溶融混練法、あるいは、結着樹脂を重合により形成する単量体中に、着色剤、赤外線吸収剤を溶解または分散させたワックス成分等を配合してなる重合性組成物を水性媒体中に懸濁させて前記単量体を重合することによりトナー粒子を得る懸濁重合法、その他、種々の公知の製法を採用することができる。
【0032】
このようにして得られる本発明に係るフラッシュ定着トナーは、電子写真法において目的とされる解像度等によっても左右されるが、平均粒径が例えば、5〜15μm、より好ましくは、5〜10μm程度のものとされる。
【0033】
本発明のフラッシュ定着トナーは、例えば、バーコード印刷、ラベル印刷、タグ印刷、カールソン方式、イオンフロー方式、トナージェット方式等のプリンターおよびコピー等、各種の用途に好適に使用できるものであり、特にカラー化した実施形態においても安価にて良好なフラッシュ定着性を発揮する製品を提供できるために、これらの用途における画像のカラー化の要望に容易に対応できるものである。
【0034】
(実施例)
以下本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。なお、以下において、「%」および「部」は特に断らない限り重量によるものである。
【0035】
実施例1
カルナウバワックス(融点84℃) 2部
赤外線吸収剤 0.5部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)を粉体混合機(ハイスピードミキサー、深江工業製)で充分混合した後、加熱溶融し、冷却後、卓上粉砕器で粗粉砕をし、粒度を1mm以下に揃えた溶融分散物Aを作成した。
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製) 4部
電荷制御剤(ボントロンE81、オリエント化学工業製) 2部
上記溶融分散物A 2.5部
上記のトナー組成物をラボプラストミル(東洋精機製)で溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経8.5μmの黒色粉体Aを得た。
【0036】
実施例2
カルナウバワックス 2部
赤外線吸収剤 0.2部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)を粉体混合機(ハイスピードミキサー、深江工業製)で充分混合した後、加熱溶融し、冷却後、卓上粉砕器で粗粉砕をし、粒度を0.5mm以下に揃えた溶融分散物Bを作成した。
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製) 4部
電荷制御剤(ボントロンE81、オリエント化学工業製) 2部
上記溶融分散物B 2.2部
上記のトナー組成物の内、帯電制御剤を除く成分をラボプラストミル(東洋精機製)で充分溶融混練した後、帯電制御剤を添加して更に溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経8.5μmの黒色粉体Bを得た。
【0037】
実施例3
カルナウバワックス 2部
赤外線吸収剤 1部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)を粉体混合機(ハイスピードミキサー、深江工業製)で充分混合した後、加熱溶融し、冷却後、卓上粉砕器で粗粉砕をし、粒度を0.5mm以下に揃えた溶融分散物Cを作成した。
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
フタロシアニンブルー(リオノールブルーES、東洋インキ製) 5部
電荷制御剤(ボントロンE81、オリエント化学工業製) 2部
上記溶融分散物C 3部
上記のトナー組成物の内、帯電制御剤を除く成分をラボプラストミル(東洋精機製)で充分溶融混練した後、帯電制御剤を添加して更に溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経8.5μmの青色粉体Cを得た。
【0038】
実施例4
低分子量ポリプロピレン(660P、三洋化成製融点145℃) 3部
赤外線吸収剤 1.5部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)を粉体混合機(ハイスピードミキサー、深江工業製)で充分混合した後、加熱溶融し、冷却後、卓上粉砕器で粗粉砕をし、粒度を0.5mm以下に揃えた溶融分散物Dを作成した。
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
フタロシアニンブルー(リオノールブルーES、東洋インキ製) 5部
電荷制御剤(ボントロンE81、オリエント化学工業製) 2部
上記溶融分散物D 4.5部
上記のトナー組成物の内、帯電制御剤を除く成分をラボプラストミル(東洋精機製)で充分溶融混練した後、帯電制御剤を添加して更に溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経8.5μmの青色粉体Dを得た。
【0039】
比較例
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製) 4部
電荷制御剤(ボントロンE81、オリエント化学工業製) 2部
カルナウバワックス 2部
赤外線吸収剤 0.5部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)上記のトナー組成物の内、帯電制御剤を除く成分をラボプラストミル(東洋精機製)で充分溶融混練した後、帯電制御剤を添加して更に溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経8.5μmの黒色粉体Eを得た。
【0040】
実施例1〜4及び比較例の粉体A〜E各100部に疎水性シリカR972(日本アエロジル製)0.4%を添加し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、トナーA〜Eを得た。
【0041】
このようにして得られたトナーA〜Eに対し、以下に示すような方法によって帯電量の推移、定着性に関して評価を行った。得られた帯電量推移の結果を図1に、ワックス粒径および定着性の結果を表1示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(性能評価)
・帯電量推移
トナー4部とアクリル変性シリコン樹脂被覆キャリア96部を金属容器に入れ、卓上ボールで混合し、時間を追ってサンプリングを実施し、ブローオフ法にてトナーの帯電量を測定した。
【0044】
・定着性試験
トナー4部、アクリル変性シリコン樹脂被覆キャリア96部からなる現像剤を、カスケード現像にてトナー付着量:0.6mg/cm2の未定着画像を作成した後キセノンフラッシュランプを用いフラッシュ定着させた。
【0045】
このフラッシュ定着画像を、スコッチメンディングテープ(3M製)を用いたテープ剥離試験に供し、テープ剥離後の画像残存率を定着度として評価した。
【0046】
テープ剥離後の画像残存率は、テープ剥離前後の画像濃度を測定し次式により算出した。
定着率(%)= (テープ剥離後の画像濃度/テープ剥離前の画像濃度)×100
【0047】
画像濃度は、マクベス反射濃度計RD514型(A division kollmorgen Corp製)を用い測定した。
【0048】
・ワックス粒径
トナーの切片を作成して、TEMで観察し、総数20個トナー中のワックスについて粒径を測定し、平均球換算径を算出し、ワックス粒径とした。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のフラッシュ定着トナーにおいては、添加された赤外線吸収剤がワックス成分中に溶融・分散されている為、攪拌時間によらず帯電量が安定しており、また、赤外線吸収剤が最も効率よくその効果を発現するために、同量の添加量でも従来のフラッシュ定着トナーと比べて非常に定着性が向上する。このように添加量を極めて少ないものとすることで赤外線吸収剤によるトナーの色調への影響が少なく、カラー化が容易といった効果が得られる。さらに一般的に赤外線吸収剤は非常に高価なものであるため、その添加量を低減することは、トナーの価格低減効果が大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例により得られた帯電量推移の結果を示す。
Claims (6)
- 少なくとも結着用樹脂、着色剤、ワックス成分および赤外線吸収剤からなるフラッシュ定着トナーであって、前記赤外線吸収剤が波長750〜1100nmに最大吸収波長を有し、前記赤外線吸収剤はワックス成分に溶融または分散され、前記赤外線吸収剤の添加量がトナー組成物全体の0.1重量%〜2重量%の範囲にあることを特徴とするフラッシュ定着トナー。
- トナー中のワックス成分の粒径が2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ定着トナー。
- 前記着色剤が黒色以外の着色剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラッシュ定着トナー。
- 前記ワックス成分は融点が80℃〜130℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフラッシュ定着トナー。
- 少なくとも結着用樹脂、着色剤、ワックス成分および赤外線吸収剤を含有するフラッシュ定着トナーの製造方法において、該トナー中に配合しようとする赤外線吸収剤をワックス成分の全量または一部に溶融または分散させた後、他のトナー成分と配合して所望濃度の赤外線吸収剤を含有するトナー組成物とし、得られたトナー組成物を溶融混練し、冷却後、粉砕することを特徴とするフラッシュ定着トナーの製造方法。
- 前記ワックス成分の融点が80℃〜130℃であることを特徴とする請求項5に記載のフラッシュ定着トナーの製造方法。
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