JP3713365B2 - フラッシュ定着トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラッシュ定着トナーに関するものである。詳しく述べると本発明は、フラッシュ定着性が良好でかつ経済的に安価なフラッシュ定着トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式における被印刷物への画像定着方式としては、従来主としてヒートロール方式が使用されている。しかしながら、この方式は、トナーにより画像形成された紙等の被印刷物を加熱ロール間に通して、トナーを被印刷物に熱圧着させるものであるため、定着部で目詰まりを起こしたり、画像が押しつぶされるため解像度が低下する、被印刷物の種類が限られる等の問題を有するものである。
【0003】
フラッシュ定着方式は、非接触定着法の一種であって、上記したようなヒートロール方式における問題はなく優れた定着方式であるが、キセノンフラッシュランプの光、特に赤外光をトナー中の成分が吸収することで溶融し定着するものであるため、赤外光の吸収能を有しないまたは弱い色剤を多く用いるカラートナーでは、定着不良が生じる。
【0004】
このような定着不良の問題を解決する方法として、特開昭63−161460号公報には、フラッシュ定着トナー中に波長800〜1100nmに光吸収ピークを有する赤外線吸収剤を分散配合することが提案されている。また、特開昭60−57858号公報、特開昭60−63546号公報、特開昭61−132959号公報には、800〜1100nmに光吸収ピークを有する特定の化合物をトナー組成物に対し1重量%〜10重量%添加することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭63−16146号公報において示されるトナーにおいては、赤外線吸
収剤が結着樹脂中に分散した状態であるため、このような赤外線吸収剤の発熱作用によって結着樹脂を十分に溶解させるためには、必然的に添加量が多くなり、効率的でないのみならず経済的に不利なものとなる。
【0006】
また、特開昭60−57858号公報、特開昭60−63546号公報、特開昭61−132959号公報に示されるトナーにおいても、上記と同様に比較的添加量が多いことに加え、これらに示される化合物は可視領域の吸収は少ないとはいえ暗い色調を有した物質であって、赤外線吸収剤による色汚染が問題となりまたこれらの化合物の構造及び官能基等から、トナーの帯電性等への問題も生じるものであった。
【0007】
したがって、本発明は、新規なフラッシュ定着トナーを提供することを課題とする。本発明はまた、高い赤外線吸収能を有しフラッシュ定着性が良好でかつ経済的に安価なフラッシュ定着トナーを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、下記により達成される。
【0009】
(1) 少なくとも、結着用樹脂、黒色以外の着色剤および赤外線吸収剤からなるフラッシュ定着トナーであって、前記赤外線吸収剤は、(a)シアニン化合物系あるいは(b)溶解性を向上させるために以下に示すような官能基を導入してなるフタロシアニン化合物系
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基またはナフチル基である。)であり、波長750〜964nmに最大吸収波長を有しており、前記結着用樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した場合において測定した濁度が10%以下となるものであって、また前記赤外線吸収剤は結着用樹脂に溶解しており、さらに前記赤外線吸収剤の添加量がトナー組成物全体の0.01重量%〜0.9重量%の範囲にあることを特徴とするフラッシュ定着トナー。
【0012】
【作用】
このように本発明においては、フラッシュ定着トナーにおいて添加される赤外線吸収剤を、トナー粒子のマトリックスを構成する結着用樹脂中に溶解させた状態で配合したものである。フラッシュ定着においては、赤外線吸収材の部分で局部的に熱が発生するものであるため、マトリックス中において赤外線吸収剤が溶解状態、つまり分子レベルで微分散されていると、添加量を少なくしても充分な定着性が期待できるものである。さらに、赤外線吸収剤がマトリックス中に均一に存在するためフラッシュ照射時における局部発熱が少なく、均一に発熱するため部分定着不良もない。また、このように添加量が少なくなるために、赤外線吸収剤の添加によるトナーの色調、帯電性への影響がほとんどなく、経済的にも有利なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
【0014】
本発明のフラッシュ定着トナーにおいて使用する結着用樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン系、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリルあるいはマレイン酸エステルとのスチレンを含む共重合体系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、フェノール系、炭化水素系、石油系等の樹脂が挙げられるが、好ましくは、ポリエステル樹脂、あるいはビスフェノールA/エピクロルヒドリン等のエポキシ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができるが、更に他の樹脂や添加剤を併用することもできる。
【0015】
また黒色以外の着色剤としては、従来公知のものがいずれも使用でき、例えば、黄鉛、カドミウムエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、クロムエロー、ナフトールエロー、ハンザエロー、ピグメントエロー、ベンジジンエロー、パーマネントエロー、キノリンエローレーキ、アンスラピリミジンエロー等の黄色着色剤、パーマネントオレンジ、モリブデンオレンジ、バルカンファーストオレンジ、ベンジンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジ等の橙色着色剤、酸化鉄、アンバー、パーマネントブラウン等の褐色着色剤、ベンガラ、ローズベンガラ、アンチモン末、パーマネントレッド、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン、ライトファストレッドトーナー、パーマネントカーミン、ピラゾロンレッド、ボルドー、ヘリオボルドー、ローダミンレーキ、デュポンオイルレッド、チオインジゴレッド、チオインジゴマルーン、ウォッチングレッドストロンチウム等の赤色着色剤、コバルト紫、ファーストバイオレット、ジオキサンバイオレット、メチルバイオレットレーキ等の紫色着色剤、メチレンブルー、アニリンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルー、カルコオイルブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ウルトラマリンブルー、インダンスレンブルー、インジゴ等の青色着色剤、クロムグリーン、コバルトグリーン、ピグメントグリーンB、グリーンゴールド、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、ポリクロムブロム銅フタロシアニン等の緑色着色剤などの顔料または染料を例示することができ、これらの顔料または染料は単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。
【0016】
なお、本発明のフラッシュ定着トナーは、赤外線吸収剤の添加によるフラッシュ定着性の改良を図ったものであるため、特に、黒色以外の着色剤を用いたカラートナーの場合に効果が大きいものである。
【0017】
これらの着色剤は、特に限定されるものではないが、トナー組成物中において結着用樹脂100重量部に対し、3〜15重量部配合されるものであることが好ましい。
【0018】
本発明のフラッシュ定着トナーは、さらに赤外線吸収剤が添加されてなるものである。本発明において用いられる赤外線吸収剤としては、最大吸収波長が750〜964nmのものが好ましく、より好ましくは800〜964nmである。しかして本発明のフラッシュ定着トナーにおいては、この赤外線吸収剤は結着用樹脂中に溶解した状態とされる。結着用樹脂中に赤外線吸収剤が溶解すると、結着用樹脂中に配合された赤外線吸収剤が分子レベルで分散することとなるため、赤外線吸収剤の有する本来の能力を充分発現でき、わずかな添加量であっても、フラッシュ定着時における発熱作用によって結着用樹脂を効果的に溶融することができるものとなるためである。
【0019】
赤外線吸収剤を結着用樹脂に溶解した状態とするには、赤外線吸収剤自身が当該樹脂に溶解するものを用いる方法や、あるいは赤外線吸収剤を溶解する樹脂等を相溶化剤として用いる方法がある。
【0020】
赤外線吸収剤の樹脂への溶解状態を評価する方法としては、赤外線吸収剤を含有する樹脂の濁度を測定する方法がある。なお、本明細書において示す濁度の値は、結着用樹脂(相溶化剤を添加する場合にはこれを含む。)100重量部に対し赤外線吸収剤0.1部を添加し、ラボプラストミルを用い120℃で10分間溶融混練した赤外線吸収剤を含む樹脂を0.3mmの厚さのフィルムに成形し、このフィルムを濁度計(ND−1000DP、日本電色工業製)で測定した値である。
【0021】
本発明においては、赤外線吸収剤を使用する結着用樹脂に添加した場合の濁度が10%以下、より好ましくは8%以下となるように、赤外線吸収剤を選択することが望まれる。濁度が10%を越える場合には、フラッシュ定着で充分な定着性を得るためには赤外線吸収剤の添加量を多くする必要があり、添加量が増加することによって、赤外線吸収剤のトナー色調、帯電性等への悪影響が生じる虞れがあり、またコスト的に非常に不利なものとなるためである。
【0022】
本発明において使用される赤外線吸収剤の具体例としては、(a)シアニン化合物系あるいは(b)溶解性を向上させるために以下に示すような官能基を導入してなるフタロシアニン化合物系を使用することができる。
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシル基、ナフチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基またはナフチル基である。)
なお、フラッシュ定着は、ヒートロール定着とは異なり、キセノンフラッシュランプの照射光(主に波長800nm〜964nmの近赤外光)を吸収発熱して定着するため、瞬時的に、300℃〜600℃程度の温度に達する。このため赤外線吸収剤の熱分解開始温度つまり耐熱温度が低いものであると、分解ガスによる定着画像におけるボイド(白抜け)の発生原因となる虞れがある。従って赤外線吸収剤の耐熱温度は、230℃以上であることが好ましく、より好ましくは250℃以上、最も好ましくは300℃以上である。
【0025】
本発明のフラッシュ定着トナーにおいて、このような赤外線吸収剤の添加量は、トナー組成物全体の0.01重量%〜0.9重量%の割合とされる。すなわち、添加量が0.01重量%未満では、赤外線吸収剤が結着用樹脂に溶解し分子レベルで分散していても、充分な定着性を得ることが困難となる虞れが高く、一方、添加量が0.9重量%を越えると、定着性の面では何ら問題はないが、経済的に不利なものとなるばかりでなく、トナーの色調、帯電性等に悪影響を及ぼす虞れが生じてくるためである。
【0026】
本発明のフラッシュ定着トナーには、さらに必要に応じてワックス成分、電荷制御剤、流動化剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0027】
ワックス成分としては、ポリオレフィン系ワックスおよび天然ワックス等が用いら得る。ポリオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、あるいはオレフィンとその他の単量体、例えばビニルエステル類、ハロオレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸ないしその誘導体等、との共重合体などが挙げられるが、その重量平均分子量が1000〜45000程度のものであることが望ましい。また、天然ワックスとしては、カルバナロウ、モンタンロウ、天然パラフィン等が例示できる。
【0028】
電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン、モノアゾ染料、亜鉛、ヘキサデシルサクシネート、ナフトエ酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド、ニトロフミン酸、N,N−テトラメチルジアミンベンゾフェノン、N,N−テトラメチルベンジジン、トリアジン、サリチル酸金属錯体等が例示できる。本発明のフラッシュ定着トナーにおいて使用される着色剤が黒色以外のものであるカラートナーの形態においては、荷電制御剤としては無色ないし淡色のものが好ましい。
【0029】
また、流動化剤としては、例えば、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、疎水性チタニア、疎水性ジルコニア、タルク等の無機微粒子、その他、ポリスチレンビーズ、(メタ)アクリル樹脂ビーズ等の有機微粒子などが用いられ得る。
【0030】
本発明のフラッシュ定着トナーの製法としては、結着用樹脂中に赤外線吸収剤が溶解した状態でトナー粒子が得られる限り、特に限定されるものではなく、前記したような結着用樹脂、着色剤および赤外線吸収剤並びにその他必要に応じて配合される添加剤を、所定量づつ配合し、溶融混練後、冷却粉砕、分級してトナー粒子を得る溶融混練法、あるいは、結着樹脂を重合により形成する単量体中に、着色剤、赤外線吸収剤等を配合してなる重合性組成物を水性媒体中に懸濁させて前記単量体を重合することによりトナー粒子を得る懸濁重合法、その他、種々の公知の製法を採用することができる。
【0031】
このようにして得られる本発明に係るフラッシュ定着トナーは、電子写真法において目的とされる解像度等によっても左右されるが、平均粒径が例えば、5〜15μm、より好ましくは、5〜10μm程度のものとされる。
【0032】
本発明のフラッシュ定着トナーは、例えば、バーコード印刷、ラベル印刷、タグ印刷、カールソン方式あるいはイオンフロー方式等のプリンターおよびコピー等の各種の用途に好適に使用できるものであり、特にカラー化した実施形態においても安価にて良好なフラッシュ定着性を発揮する製品を提供できるために、これらの用途における画像のカラー化の要望に容易に対応できるものである。
【0033】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。なお、以下において、「%」および「部」は特に断らない限り重量によるものである。
【0034】
実施例1
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
フタロシアニンブルー(リオノールブルーES、東洋インキ製) 5部
電荷制御剤(ボントロンE82、オリエント化学工業製) 1部
赤外線吸収剤 0.3部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)
上記のトナー組成物を粉体混合機(ハイスピードミキサー、深江工業製)で充分混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製)で溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、平均粒子経9.2μmの青色粉体を得た。
【0035】
この青色粉体100部に疎水性シリカR972(日本アエロジル製)0.4%を添加し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、トナー(1)を得た。
【0036】
このようにして得られたトナー(1)に対し、以下に示すような方法によって定着度、色調、画像上のカブリ、定着画像のボイドに関して評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0037】
また別途、上記トナー組成物における結着用樹脂に対する赤外線吸収剤の溶解性(濁度)、結着用樹脂に配合された状態での赤外線吸収剤の最大吸収スペクトル、赤外線吸収剤の耐熱性を、それぞれ以下に示すような方法によって測定した。得られた結果を表2に示す。
【0038】
実施例2
スチレンアクリル樹脂(TB−1000、三洋化成製) 80部
スチレンアクリル樹脂(ST−95、三洋化成製) 20部
赤色顔料(ライオネルレッドCP−A、東洋インキ製) 7部
電荷制御剤(ボントロンE82、オリエント化学工業製) 1部
赤外線吸収剤(Kayasorb CY−10、日本化薬製) 0.9部
上記のトナー組成物を用いて実施例1と同様にして、トナー(2)を得た。なお、このトナー(2)の平均粒子経は9.5μmであった。
【0039】
得られたトナー(2)についても実施例1と同様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。さらに使用した赤外線吸収剤に関し実施例1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0040】
実施例3
ポリエステル樹脂(タフトンNE1110、花王製) 100部
赤色顔料(ライオネルレッドCP−A、東洋インキ製) 5部
電荷制御剤(ボントロンE82、オリエント化学工業製) 1部
赤外線吸収剤 0.1部
(オクタキス(アリニノ)オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニン)
上記のトナー組成物を用いて実施例1と同様にして、トナー(3)を得た。なお、このトナー(3)の平均粒子経は8.4μmであった。
【0041】
得られたトナー(3)についても実施例1と同様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0042】
比較例1および2
実施例1および2におけるトナー組成物において、それぞれ赤外線吸収剤を添加しない組成とし、実施例1および2と同様の方法にて比較用トナー(C1)、(C2)を得た。
【0043】
この比較用トナー(C1)、(C2)は色調評価する際の色調標準トナーとして使用した。なお、その他の性能に関しては実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0044】
比較例3
実施例2において赤外線吸収剤をシアニン系化合物(Kayasorb CY−17、日本化薬製)3部とする以外は、実施例2と同様にして比較用トナー(3)を得た。得られたトナー(C3)についても実施例1と同様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。さらに使用した赤外線吸収剤に関し実施例1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0045】
比較例4
実施例1において赤外線吸収剤をニッケル錯体系化合物(ビス(1,2−ジフェニレセン−1,2−ジチオール)ニッケル)1部とする以外は実施例1と同様にして比較用トナー(C4)を得た。
【0046】
ラボプラストミルでの溶融混練物を観察した結果赤外線吸収剤の粒子が肉眼で確認できた。
【0047】
得られたトナー(C4)についても実施例1と同様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。さらに使用した赤外線吸収剤に関し実施例1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0048】
比較例5
比較用トナー3の赤外線吸収剤量を0.5部にする以外は比較用トナー(3)と同様にして比較用トナー(C5)を得た。得られたトナー(C5)についても実施例1と同様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(性能評価)
・定着度試験
トナー4部、アクリル変性シリコン樹脂被覆キャリア96部からなる現像剤を、市販の複写機(レオドライ7610、東芝製)にセットし、未定着画像を作成した後キセノンフラッシュランプを用いフラッシュ定着させた。
【0050】
このフラッシュ定着画像を、スコッチメンディングテープ(3M製)を用いたテープ剥離試験に供し、テープ剥離後の画像残存率を定着度として評価した。
【0051】
テープ剥離後の画像残存率は、テープ剥離前後の画像濃度を測定し次式により算出した。
【0052】
【数1】
【0053】
画像濃度は、マクベス反射濃度計RD514型(A division kollmorgen Corp製)を用い測定した。
【0054】
・色調評価
フラッシュ定着画像と色調標準トナー(比較用トナー(C1)、(C2))のオーブン定着画像との色調を肉眼にて比較し、赤外線吸収剤による色調への影響を調べた。なお、評価は次の4段階の基準によった。
【0055】
◎ 色調への影響が認められない。
【0056】
○ 色調への影響がわずかに認められるが問題ない。
【0057】
△ 色調への影響が認められる。
【0058】
× 色調への影響が大きく色調が明らかに変化している。
【0059】
・画像上のカブリ
白地画像部のトナーカブリを倍率20倍のルーペを用いて観察し評価した。なお、評価は次の3段階の基準によった。
【0060】
○ トナーカブリなし。
【0061】
△ トナーカブリあるが問題ないレベル。
【0062】
× トナーカブリが多く問題。
【0063】
・定着画像のボイド評価
定着画像のベタ部のボイド(白抜け)を顕微鏡(倍率100倍)で観察し評価した。なお、評価は次の3段階の基準によった。
【0064】
○ ボイドの発生が認められない。
【0065】
△ ボイドが若干認められる。
【0066】
× ボイドが多く認められる。
【0067】
− 未定着で評価不可。
【0068】
(特性評価)
・濁度(溶解性)
上記各実施例および比較例におけるそれぞれのトナー組成において使用される結着樹脂100部に対し使用される赤外線吸収剤0.1部を添加し、ラボプラストミルを用い120℃で10分間溶融混練した赤外線吸収剤を含む樹脂を0.3mmの厚さのフィルムに成形し、このフィルムを濁度計(ND−1000DP、日本電色工業製)で測定した。
【0069】
・最大吸収スペクトル
上記の濁度の測定に用いたフィルムを用い、分光光度計で最大吸収スペクトル(λmax)を測定した。
・耐熱性
使用した赤外線吸収剤の耐熱性を熱分析装置DTG−50H(島津製作所製)を用い、下記の方法で測定した。赤外線吸収剤を窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で昇温し、100℃の重量から5%重量減少温度をもって耐熱温度(熱分解開始温度)とした。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のフラッシュ定着トナーにおいては、添加された赤外線吸収剤が結着用樹脂に溶解された状態とされるために、赤外線吸収剤が最も効率よくその効果を発現するために、添加量が従来のフラッシュ定着トナーと比べて非常に低い0.9重量%以下という少量で済むものであり、このように添加量を極めて少ないものとすることで赤外線吸収剤によるトナーの色調汚染が低減する、赤外線吸収剤による帯電への影響が軽減されるといった効果が得られる。さらに一般的に赤外線吸収剤は非常に高価なものであるため、その添加量を低減することは、トナーの価格低減効果が大きいものである。
【0073】
さらに本発明において前記赤外線吸収剤が、前記結着用樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した場合において測定した濁度が10以下となるものであるため、より優れたフラッシュ定着性が期待できるものである。
【0074】
また、本発明において使用される赤外線吸収剤の耐熱温度が230℃以上であると、フラッシュ照射時の発熱で赤外線吸収剤の分解がなく、分解ガスによる定着画像におけるボイド(白抜け)の発生の虞れもなくなる。
Claims (1)
- 少なくとも、結着用樹脂、黒色以外の着色剤および赤外線吸収剤からなるフラッシュ定着トナーであって、前記赤外線吸収剤は、(a)シアニン化合物系あるいは(b)溶解性を向上させるために以下に示すような官能基を導入してなるフタロシアニン化合物系
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