JP3859977B2 - 成形機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型の天井クレーンでなどを使うことなく簡単に滑り部材を交換することができる成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機やダイカストマシン等の成形機(B)にあっては、機台(102)上にスライド鋼板(101b)を敷設し、移動ダイプレート(103)やテールストック(105)の下面に移動補助部材(101a)を配設し、移動ダイプレート(103)の移動やテールストック(105)の型開閉時の前後運動を円滑にするようにしている。長時間の使用によってこれらスライド鋼板(101b)や移動補助部材(101a)等の滑り部材(101)は次第に摩耗してくるので、精度維持のために定期的にスライド鋼板(101b)や移動補助部材(101a)などの滑り部材(101)を交換する必要がある。
【0003】
まず、スライド鋼板(101b)の交換について説明する。成形機(B)を分解することなくそのままの状態で移動ダイプレート(103)やテールストック(105)の上面に取り付けられている眼鏡ボルト(106)に天井クレーンのフック(図示せず)を引っ掛け、移動ダイプレート(103)とテールストック(105)とを1〜2mm吊り上げて、機台(102)から移動ダイプレート(103)とテールストック(105)とを若干浮かせ、新しいスライダ鋼板(101b)と交換することになる。この時、移動ダイプレート(103)とテールストック(105)とを前述のように1〜2mm以上吊り上げることになるが、吊り上げ過ぎるとダイバー(図示せず)が永久変形し、成形機(B)の精度が狂うことになる。したがって天井クレーン設備を使用する場合には、極めて慎重なクレーン操作が要求されることになる。
【0004】
また、天井クレーン設備がない場合、天井クレーン設備があったとしても成形機(B)が天井クレーン設備に比べて大き過ぎ、天井クレーン設備の使用が不可能な場合には油圧ジャッキ設備等を用意しなければならず、スライダ鋼板(101b)1つを交換する場合でもその作業は非常に大がかりなものとなっていた。
【0005】
これに対して移動ダイプレート(103)及びテールストック(105)の移動補助部材(101a)は、取付ボルト(104)にて移動ダイプレート(103)の下面に取り付けられているため、前述のような比較的簡易な交換方法すら採れず、成形機(B)の金型機構部分全体を分解しなければならず、オーバーホール時に交換が出来る程度であり、装置の精度維持に問題があった。
【0006】
【発明の課題】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、特別な設備を用いることなく移動ダイプレートやテールストックを機台からを若干浮き上がらせるだけで、簡単に移動補助部材やスライド鋼板などの滑り部材の交換ができる機構を開発することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
「請求項1」は、機台(2)上に敷設されたスライド板材(1b)の交換のための機構に関し、「スライド板材(1b)を介して機台(2)上に往復移動可能に設置された移動金型(3a)設置用の移動ダイプレート(3)と、移動ダイプレート(3)の往復作動機構(T)が取り付けられているテールストック(5)とをを有する成形機(A)において、
機台(2)に対して移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)を機台(2)から浮かせるためのジャッキ機構部(4)が移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)に設置されている」事を特徴とする。
【0008】
これによれば、天井クレーンや油圧ジャッキのような特別な装置を用いることなくジャッキ機構部(4)を利用して移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)を機台(2)から正確に僅かだけ浮き上がらせることが出来、装置精度を損なうことなくスライド板材(1b)の交換が可能となる。
【0009】
「請求項2」は、
移動ダイプレート(3)及び/又はテールストック(5)の下面に取り付けられた滑り板(1a)の交換機構に関し、「機台(2)上に敷設されたスライド板材(1b)の交換のための機構に関し、「スライド板材(1b)を介して機台(2)上に往復移動可能に設置された移動金型(3a)設置用の移動ダイプレート(3)と、移動ダイプレート(3)の往復作動機構(T)が取り付けられているテールストック(5)とをを有する成形機(A)において、
機台(2)に対して移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)の少なくともいずれか一方に移動ダイプレート(3)及び/又はテールストック(5)を機台(2)から浮かせるためのジャッキ機構部(4)が設置されており、
移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)の少なくともいずれか一方の下面に配設された滑り板(1a)を周囲から保持する押さえ板(13)が移動ダイプレート(3)及び/又はテールストック(5)の側面に取着されている」事を特徴とする。
【0010】
このようにすることにより、天井クレーンや油圧ジャッキのような特別な装置を用いることなく前述のようにジャッキ機構部(4)を使用する事で移動ダイプレート(3)及び/又はテールストック(5)を機台(2)から正確に僅かに浮かせることが出来る。ここで、移動ダイプレート(3)或いはテールストック(5)のいずれか一方だけにジャッキ機構部(4)と押さえ板(13)とが設置されているだけの場合は、ジャッキ機構部(4)と押さえ板(13)とが設置されている方だけの滑り板(1a)の交換が可能となるが、ジャッキ機構部(4)と押さえ板(13)とが移動ダイプレート(3)とテールストック(5)の両方に設置されている場合は滑り板(1a)とスライド板材(1b)両方の交換が可能となる。
【0011】
「請求項3」は、本発明における「ジャッキ機構部(4)」の一例に関し「請求項1又は2のいずれかに記載のジャッキ機構部(4)が移動ダイプレート(3)又は/及びテールストック(5)に螺装され、螺進させたときに機台(2)に当接して、移動ダイプレート(3)又は/及びテールストック(5)を機台(2)から浮かせるリフトネジ(4a)にて構成されている」事を特徴とする。このように「ジャッキ機構部(4)」がリフトネジ(4a)で構成されていると、リフトネジ(4a)を回すだけで移動ダイプレート(3)又は/及びテールストック(5)を確実に必要量だけ持ち上げることができ、移動補助部材(1)の交換時にタイバー(6)を痛めることがない。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図示実施に従って詳述する。図1は本を発明にかかる成形機(A)(ダイカストマシン(a1)あるいは大型の射出成形機)の金型機構部の一部切欠正面図である。機台(2)の上面には2枚のスライド板材(1b)が平行に敷設されており、その一端が機台(2)の一端にボルト(19)にて固定されている。スライド板材(1b)の他端には引張部材(7)が取り付けられており、引張部材(7)は機台(2)の他端に固着された張設ブロック(8)に螺着されている引張ボルト(9)に取り付けられ、引張力を付与された状態で機台(2)上に張設されている。(20)は張設ボルト、(21)は張設ナットで張設ブロック(8)とスライド板材(1b)の他端とを繋ぐ部材である。
【0013】
前記機台(2)の一端には固定ダイプレート(10)が立設されており、機台(2)の他端にはスライド板材(1b)上にテールストック(5)が滑り板(1a)を介して機台(2)上に僅かの距離であるが往復移動可能に設置されている。固定ダイプレート(10)とテールストック(5)との間にはタイバー(6)が架設されており、前記タイバー(6)に移動ダイプレート(3)が往復移動可能に設置されている。そして、移動ダイプレート(3)とテールストック(5)との間に往復作動機構(T)であるトグル機構(11)が設置されていて、移動ダイプレート(3)を往復運動させて型開・形閉及び型締めするようになっている。
【0014】
移動ダイプレート(3)とテールストック(5)の下面には例えばスライド板材(1b)との摺動面にジグザグ状の油溝(12)が刻設された滑り板(1a)が配設されており、移動ダイプレート(3)及びテールストック(5)の下部側面にボルト止めされた押さえ板(13)でその全周がホールドされて固定されている。押さえ板(13)の上には移動ダイプレート(3)の往復移動時にスライド板材(1b)の上面を擦って表面の清掃を行うゴム製と鋼製のスクレーパ(14)(15)が共締めに移動ダイプレート(3)の往復移動側側面に設置されている。
【0015】
移動ダイプレート(3)とテールストック(5)の側面(図中、紙面手前側と紙面裏側)には突起部(16)が突設されており、突起部(16)に穿設されたナット孔(17)にジャッキ機構部(4)を構成するリフトネジ(4a)が螺入されている。また、前記突起部(16)に対応してネジ受け部(18)が機台(2)に設けてあり、リフトネジ(4a)の下端が当接するようになっている。
【0016】
このように構成された成形機(A)の金型機構部において、固定ダイプレート(10)と移動ダイプレート(3)とに固定金型及(3b)及び移動金型(3a)を固着して型開閉及び型締めを行い、キャビティ(図示せず)内に溶湯を射出してダイカスティングを行う。この間、型開閉に伴い移動ダイプレート(3)はスライド板材(1b)上を多数回往復移動するので、移動ダイプレート(3)の下面にセットされている滑り板(1a)は潤滑されていても次第に摩耗していく。同様に滑り板(1a)程には摩耗しないとしてもスライド板材(1b)も次第に摩耗していく。
【0017】
滑り板(1a)は黄銅にて形成されているので、鋼板で形成されているスライド板材(1b)より早く摩耗するので、滑り板(1a)の交換はスライド板材(1b)より頻繁に行われることになる。特に、移動ダイプレート(3)は金型開閉のたびに往復移動するので、滑り板(1a)の摩耗は早い。移動ダイプレート(3)及び/又はテールストック(5)の滑り板(1a)の交換を行う場合、移動ダイプレート(3)とテールストック(5)のジャッキ機構部(4)を構成するリフトネジ(4a)を締め込んでいき、機台(2)のネジ受け部(18)に当接させる。そしてさらに締め込み、移動ダイプレート(3)とテールストック(5)を機台(2)からはわずかに(例えば、0.3〜0.4ミリ程度)持ち上げる。(勿論、交換する方だけを持ち上げるようにしてもよい。)
【0018】
この状態で取付ボルト(22)を外し、移動ダイプレート(3)/又はテールストック(5)に全周に取り付けられていた押さえ板(13)を外し、滑り板(1a)をフリーにする。そして、持ち上げられた移動ダイプレート(3)/又はテールストック(5)の下から摩耗した滑り板(1a)を引き出し、新しい滑り板(1a)を移動ダイプレート(3)/又はテールストック(5)の下に挿入する。続いて、押さえ板(13)を移動ダイプレート(3)の側面に再固定し、全周から滑り板(1a)を押さえ板(13)で保持する。然る後、リフトネジ(4a)を緩めて移動ダイプレート(3)/又はテールストック(5)をスライド板材(1b)に下ろし、更にリフトネジ(4a)を緩めてネジ受け部(18)から離間させる。この方法により滑り板の交換を行うことができる。
【0019】
テールストック(5)の動きは移動ダイプレート(3)に比べて小さいので、テールストック(5)の滑り板(1a)は移動ダイプレート(3)の滑り板(1a)ほど摩耗しないが、移動ダイプレート(3)同様ある程度の時間が経過すると交換される。
【0020】
次に、スライド板材(1b)の交換について説明する。前述同様、ジャッキ機構部(4)を使用して移動ダイプレート(3)とテールストック(5)を持ち上げ、移動ダイプレート(3)とテールストック(5)と機台(2)との間に前述のように若干の間隙を設け、続いてスライド板材(1b)の後端の引っ張りボルト(9)を緩め、スライド板材(1b)の張力を解消する。つぎに、スライド板材(1b)の前端の固定ボルト(19)を外し、スライド板材(1b)をフリーにした後、スライド板材(1b)の後端の取付ボルト(20)を外し、引張部材(7)からスライド板材(1b)の後端を外し、古いスライド板材(1b)を取り除く。
【0021】
次に、新しいスライド板材(1b)の後端を引張部材(7)にボルト固定するとともにその先端を機台(2)にボルト固定し、新しいスライド板材(1b)を機台(2)上に敷設する。然る後、引っ張りボルト(9)を締め込み新しいスライド板材(1b)を機台(2)上に張設する。最後に、ジャッキ機構部(4)のネジ(4)を緩め、移動ダイプレート(3)とテールストック(5)を下げてスライド板材(1b)の交換が終了する。
【0022】
なお、図3は樹脂用の射出成形機(a2)で、この場合は移動ダイプレート(3)に転動コロ(1c)が取り付けられており、転動コロ(1c)の摩耗は滑り板(1a)に比べて遙かに小さいので、この場合は主としてテールストック(5)の滑り板(1a)とスライド板材(1b)の交換が行われる事になる。
【0023】
【発明の効果】
以上本発明によれば、機台に対して移動ダイプレート及びテールストックを機台から浮かせるためのジャッキ機構部が移動ダイプレート及びテールストックに設置されているので、天井クレーンや油圧ジャッキのような特別な装置を用いることなく移動ダイプレート及びテールストックを機台から正確に僅かだけ浮き上がらせることが出来、装置精度を損なうことなくスライド板材の交換が可能となる。
【0024】
また、前記のジャッキ機構部に加えて、滑り板を周囲から保持する押さえ板が移動ダイプレート及び/又はテールストックの側面に取着されているので、移動ダイプレート及び/又はテールストックに下面に配設されている滑り板の交換を天井クレーンや油圧ジャッキのような特別な装置を用いることなく簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形機(ダイカストマシン)の金型機構部の部分断面図
【図2】図1の移動補助部材を取り外した時の部分断面図
【図3】本発明の成形機(樹脂用射出成形機)の金型機構部の部分断面図
【図4】本発明に使用した滑り板の底面図
【図5】図1のX−X断面図
【図6】図1のY−Y断面図
【図7】移動補助部材を取り外した時の図1のX−X断面図
【図8】従来の射出成形機のオーバーホールによる移動補助部材の交換時の部分切欠正面図
【符号の説明】
(A)成形機
(T) 往復作動機構
(1) 移動補助部材
(1a) 滑り板
(1b) スライド板材
(2) 機台
(3) 移動ダイプレート
(3a) 移動金型
(3b) 固定金型
(4) ジャッキ機構部
(5) テールストック

Claims (3)

  1. スライド板材を介して機台上に往復移動可能に設置された移動金型設置用の移動ダイプレートと、移動ダイプレートの往復作動機構が取り付けられているテールストックとを有する成形機において、
    機台に対して移動ダイプレート及びテールストックを機台から浮かせるためのジャッキ機構部が移動ダイプレート及びテールストックに設置されている事を特徴とする成形機。
  2. スライド板材を介して機台上に往復移動可能に設置された移動金型設置用の移動ダイプレートと、移動ダイプレートの往復作動機構が取り付けられているテールストックとを有する成形機において、
    機台に対して移動ダイプレート及びテールストックの少なくともいずれか一方に移動ダイプレート及び/又はテールストックを機台から浮かせるためのジャッキ機構部が設置されており、移動ダイプレート及びテールストックの少なくともいずれか一方の下面に配設された滑り板を周囲から保持する押さえ板が移動ダイプレート及び/又はテールストックの側面に取着されている事を特徴とする成形機。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のジャッキ機構部が移動ダイプレート又は/及びテールストックに螺装され、螺進させたときに機台に当接している移動ダイプレート又は/及びテールストックを機台から浮かせるネジにて構成されている事を特徴とする成形機。
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