JP3859965B2 - 合せガラス - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、着色、熱線や紫外線遮断膜、電波透過等各種の機能性超微粒子を適宜有する樹脂中間膜層を用いて合せ処理することでなる建築用窓材用、飛行機用窓材用、産業部材用合せガラスに関する。
【0002】
冷暖房効果を向上せしめるような優れた日射透過率、環境や人に優しくなる紫外線遮断等を有するとともに、比較的高いものから低いものまで幅広い可視光線透過率を有するものであり、AM電波、FM電波等の放送における受信障害あるいはゴ−スト現象等の電波障害を低減ができ、電波透過性能を必要とする無色から有色と各種色調の合せガラスとして使用可能な電波透過型熱線紫外線遮蔽ガラス等であって、建築用窓材としてはもちろん、自動車用窓材、例えばフロントウインドー、リヤウインドーあるいはサイドウインドーまたはサンルーフ等に、また飛行機用窓材、さらにはその他産業用部材等幅広く適用できる有用な機能性を有する合せガラス及びその製造方法を提供するものである。
【0003】
【従来技術】
近年、建築用ガラスにおけるクリアや着色、断熱や紫外線遮断および電波透過等の機能付与はもちろん、車輌用ガラスにおいても車内に通入する太陽輻射エネルギーを遮蔽し、車内の温度上昇、冷房負荷を低減させる目的から熱線遮蔽ガラス、さらに人的物的両面や環境に優しくするため紫外線遮蔽を付加したものが車輌用に採用されている。また最近は特に該車輌用ガラスにおいて、グリーン色調で充分な可視光透過率を有しながら高熱線紫外線遮蔽性能を持ちかつ各種電波の高透過性能が要求されるようになってきており、なかでも微粒子あるいは超微粒子を合せガラスの中間層に分散したようなものとしては次のようなものが知られている。
【0004】
例えば特開平2-22152 号公報には、短波長光線遮断性合せガラス用中間膜が記載されており、特定された一般式で表されるベンゾトリアゾール誘導体からなる群より運ばれる少なくとも1種の光吸収剤と、少なくとも90重量%が 250〜400nmの粒径範囲にある粒径分布の微粒子状無機物質とを含有する可塑化ポリビニルブチラール樹脂よりなり、400nm 以下の波長の光を実質的に遮断し、かつ450nm以上の波長の光を実質的に透過させるものが開示され、光吸収剤の含有量が0.4〜6 重量%であり、微粒子状無機物質の含有量が 2〜17重量%であることが開示されている。
【0005】
また例えば、特開平4-160041号公報には、自動車用窓ガラスが記載されており、透明板状部材間に平均粒径0.1 μm 以下の超微粒子とガラス成分との混合層を形成してなるものが記載され、透明板状部材間に2超微粒子とガラス成分とを挟み、ガラス成分によって透明板状部材同士を接着すること、あるいは透明板状部材間にプラスチツクの中間層(PVB)を設け、この中間層と各板状部材との間に夫々粒径0.1 μm 以下の超微粒子とガラス成分との混合層を形成してなること、あるいは平均粒径0.3 〜0.5 μm のスペーサ用微粒子を混合層中に混在させること等が開示されている。
【0006】
また例えば、特開平4-261842号公報には、合せガラスが記載されており、有機ガラスと、透明体と、有機ガラス及び透明体間に配設された中間膜と、を有する合せガラスであって、中間膜が、ビニルシランをグラフト変性したエチレンエチルアクリレート共重合樹脂を含有する樹脂組成物にて形成されているものが開示され、樹脂組成物が、ビニルシランをグラフト変性したエチレン・エチルアクリレート共重合樹脂100 重量部と二酸化ケイ素微粒子3 〜30重量部とを含有することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
前述したような、例えば特開平2-22152 号公報等に記載された短波長光線遮断性合せガラス用中間膜は、ポリビニルブチラール樹脂に添加される少なくとも90重量%が250 〜400nm の粒径範囲にある粒径分布の微粒子状無機物質が光散乱剤として400nm 以下の紫外線部分を散乱させるようにして光吸収剤の選択的吸収を促進し400nm 以下の波長の光を実質的に遮断するとともに、例えば450 〜700nmの波長範囲で光線透過率が70%以上等、450nm 以上の波長の光を実質的に透過させ透明性を保持し、しかも100Wの白色電球像の縁における観察で濁りが無く、黄色味を示す波長420nm における光線透過率も50%以上であって、良好な接着性を示すというものであるが、断熱性微粒子状無機物質の粒径が比較的大きいことはもちろんその添加量も例えば2 〜17重量%と多くすることが必要である。
【0008】
また、例えば特開平4-160041号公報に記載された自動車用窓ガラスは、透明板状部材間に平均粒径0.1 μm 以下の超微粒子と有機ケイ素あるいは有機ケイ素化合物のガラス成分との混合層を形成するようにし、合わせガラスのガラス同士あるいはプラスチツクの中間層であるポリビニルブチラール(PVB)とガラスを接合したというものであって、ヒータ用としてのデイフロスタ機能、冷暖房効率アップ用としての赤外線反射機能及び/またはシート抵抗が約500 Ω/口である電磁シールド機能を有することとなるというものであり、PVB やエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂膜(EVA) 等の中間膜のみで2枚のガラスを接合した通常の合せガラスの構成の中で断熱機能、紫外線遮断機能、電波透過機能あるいは無色乃至着色を同時に発現し得るようなものではないし、また通常の合せガラスと同等の接着力を得ることができるか危惧されるところであり、コスト的にもアップする要因があるものである。
【0009】
また、例えば特開平4-261842号公報に記載された合せガラスは、有機ガラスを使用するためのものであって、ビニルシランをグラフト変性したエチレン・エチルアクリレート共重合樹脂100 重量部に対し、粒径が0.1 〜400mμのコロイダルシリカや超微粒子シリカ等の二酸化ケイ素微粒子3 〜30重量部とを含有するようにし、粒径を400mμ以下とすることで可視光線の波長(400〜780nm)より短いため、中間膜を通過する光の散乱を防ぎ、その中間膜のくもり改善を効果的にしようとするものであるものの、そのくもり度(ヘイズ)はJIS K6714 に基づく測定で4%以下程度であり、必ずしも充分な自動車用窓ガラス、特にフロントガラスとは言い難いものである。
【0010】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、従来のこのような点に鑑みてなしたものであり、従来から使用されている合せガラス用中間膜層に影響を与えることなく、中間膜層に機能性超微粒子を適宜分散し含有せしめることで、断熱性能や紫外線遮断性能や電波透過性能等の機能特性を付与し、しかもクリア乃至着色の色調の制御および透視性の確保や反射性とぎらつき感の防止等をバランスよくもたらしめ、従来の合せガラスと変わらない品質を得るようにでき、特殊成分組成ガラスや特殊表面加工ガラスを必要とせず、かつ現在使用中の合せガラス製造ラインをそのままで合せガラス化処理作業で行うことができ、例えばガラスとガラス、ガラスとプラスチック、バイレイヤガラス等を安価にかつ容易にしかもガラスの大きさや形態に自由自在に対応し得て製造でき、建築用窓材はもちろん自動車用窓材、飛行機用窓材、ことに風防用ガラスにも充分適用でき、最近のニーズに最適なものとなる有用な機能的な合せガラスを提供するものである。
【0011】
すなわち、本発明の合せガラスは、少なくとも2枚の透明ガラス板状体の間に中間膜層を有する合せガラスにおいて、該中間膜層は、可塑剤を用いて成形してなる樹脂膜中に粒径が0.2μm以下の機能性超微粒子を混合割合が10.0wt%以下で分散せしめてなるものを加熱加圧により合わせ処理することで得られる熱線遮蔽性能と電波透過性とを有する建築用窓材用合せガラス、又は飛行機用窓材用合せガラスである。
【0012】
そして、前記機能性微粒子が導電性アンチモン含有錫酸化物および/または導電性錫含有インジウム酸化物であることが好ましい。
【0013】
又、前記中間膜を、該機能性超微粒子を分散していない中間膜に重ねるか、該機能性超微粒子を分散していない中間膜でサンドイッチ状に挟んだものとしてもよい。
【0016】
またさらに、本発明の合せガラスは、ガラス板状体の板厚が1.0〜12mmであり、膜厚0.2〜1.2mmの中間膜を用いて合せ処理してなることを特徴とする。
【0019】
ここで、前記したように、中間膜層の中に粒径が0.2 μm 以下の機能性超微粒子を分散せしめてなるものとしたのは、可視光域の散乱反射を抑制しながら、例えば日射透過率が65%以下等熱線遮蔽性能等超微粒子の機能特性を充分発揮しつつ、超低ヘーズ値、電波透過性能、透明性を確保するためと、超微粒子を含有せしめても従来の合せガラス用中間膜として例えば接着性、透明性、耐久性等の物性を維持し、通常の合せガラス製造ラインで通常作業で合せガラス化処理ができるようにするためである。好ましくは粒径が0.15μm 以下程度であり、より好ましくは約0.10〜0.001 μm 程度である。なお粒径分布の範囲については、例えば約0.03〜0.01μm 程度と均一化されていることがよい。
【0020】
また、中間膜層への機能性超微粒子の混合割合が10.0wt%以下であるとしたのは、可視光域の散乱反射を抑制しながら、例えば日射透過率が65%以下等熱線遮蔽性能等超微粒子の機能特性を充分発揮する量を確保し、さらに超低ヘーズ値、電波透過性能、透明性であるようにし、しかも超微粒子を含有せしめても従来の合せガラス用中間膜として例えば接着性、透明性、耐久性等の物性を維持し、通常の合せガラス製造ラインによる通常作業で合せガラス化処理ができるようにするためで、前記粒径とも深い関係にあり、10.0wt%を超えるようになると次第に上記要件を建築用窓材として実現し難くなるためである。ことに例えば建築用合せガラス向けとして可視光透過率Tvが35%以上の場合は無機顔料系超微粒子の混合割合が約10〜0.1 wt%程度必要であり、建築用としては約9〜0.01wt%程度、より好ましくは8〜0.05wt%程度である。いずれにしても合せガラスとしての性能保持とめざす機能性能との兼ね合いでその混合割合(含有量)は決定されるものである。
【0021】
さらに、中間膜が、ポリビニルブチラール系樹脂膜(PVB系) 、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂膜(EVA系) であるとしたのは、これらが合せガラス用中間膜として汎用性のものであるから好ましく、合せガラスとしての品質をニーズに整合し得るような中間膜層となるものであれば特に限定するものではない。具体的には可塑性PVB 〔積水化学工業社製、三菱モンサント社製等〕、EVA〔デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン〕、変性EVA 〔東ソー社製、メルセンG〕等である。なお、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合する。
【0022】
なお、中間膜として、本超微粒子入り中間膜と従来の中間膜とを、例えば両者を重ね合わせるあるいは本超微粒子入り中間膜を従来の中間膜でサンドイッチする等の構成とするものとしてもよい。
【0023】
またさらに、機能性超微粒子が、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W 、V 、Moの金属、酸化物、窒化物、硫化物あるいはSbやF のドープ物の各単独物、もしくはこれらの中から少なくとも2種以上を選択してなる複合物、またはさらに当該単独物もしくは複合物に有機樹脂を含む混合物または有機樹脂物を被覆した被膜物であるものとしたのは、各単独もしくは複合物、混合物、被膜物として断熱性能、紫外線遮蔽性能、着色性能、遮光性等を適宜発現し、建築用に求められる種々の機能性および性能を合せガラスとして発現せしめるためである。
【0024】
また機能性超微粒子としては、例えばSn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W 、V 等のほかMoなどの各種金属。例えばSnO2、TiO2、SiO2、ZrO2、ZnO 、Fe2O3 、Al2O3 、FeO 、Cr2O3 、Co2O3 、CeO2、In2O3 、NiO 、MnO 、CuO 等の各種酸化物。例えばTiN 、AlN 等の窒化物、あるいは窒素酸化物。例えばZnS 等の硫化物。例えば9wt%Sb2O3-SnO2(ATO) 〔住友大阪セメント社製〕、F-SnO2等のドープ物。さらに例えばSnO2-10wt%Sb2O3 、In2O3-5wt%SnO2(ITO) 〔三菱マテリアル社製〕等の複合物である。フッ素樹脂、PTFE、ルブロン〔ダイキン工業(株)〕、セフラルル−ブ〔セントラル硝子(株)〕、低分子量TFE などが挙げられ、またATO やITO は自動車用としてその要件を備え特に好ましいものである。
【0025】
さらに例えばCo2O3-Al2O3(TM3410、0.01〜0.02μm)、TiO2-NiO-Co2O3-ZnO(TM3320 、0.01〜0.02μm)、Fe2O3-ZnO-Cr2O3(TM3210、0.01〜0.02μm)〔それぞれ大日精化工業社製〕等の無機顔料超微粒子が挙げられ、また例えば具体的にはTiO2超微粒子としては IT-S-UD〔0.02μm 、出光石油化学社製〕、UF01〔0.018 μm、タイオキサイド・ケミカルズ社製〕等、Fe2O3 超微粒子としてはナノタイト〔超微粒子球形ヘマタイト、0.06μm 、昭和電工社製〕等が挙げられ、具体的に挙げていない超微粒子でも適宜必要に応じて求められる機能特性を合せガラスの品質を維持しつつ発揮することができるものであれば特に限定することなく使用できることは言うまでもない。
【0026】
またさらに、有機系紫外線吸収剤あるいは有機系熱線吸収剤については、有機系紫外線吸収剤としては例えば2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'- ジ・tert- ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert- ブチル-5'-メチルフェニル) -5- クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'- ジ・tert- ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'- ジ・tert- アミルフェニル) ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系誘導体、また例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-5- スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系誘導体、また2-エチルヘキシル-2- シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート、エチル-2- シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系誘導体などが挙げられる。具体的には例えばTINUVIN327〔チバガイギー社製〕等である。
【0027】
さらに有機系熱線吸収剤としては例えばNIR-AM1 〔帝国化学産業社製〕、ことに近赤外線吸収剤としてはSIR-114 、SIR-128 、SIR-130 、SIR-132 、SIR-169、SIR-103 、PA-1001 、PA-1005 〔三井東圧化学社製〕等が挙げられる。特に建築用に求められる合せガラスの品質を維持しつつ発揮するものであれば、限定することなく使用できることは言うまでもない。
またさらに、前記した構成でなる合せガラスは種々の建築用窓材等として使用
できることはもちろん、他の種々のガラス等に使用できるものである。
【0028】
さらに、PTFEなどのフッ素樹脂、シリコ−ンレジン、シリコ−ンゴムなどの有機樹脂の微粒子が挙げられ、これらはPVB 膜とガラスなどの透明板との接着強度を低減するために用いられる。すなわちATO 、ITO などの金属酸化物は規格以上の接着強度を付与するようなことが起こりうるために、パンメル値を適宜下げて調整し規格値内に下げるために、例えば前記ガラス表面へのプライマ−塗布、前記フッ素樹脂、シリコ−ンレジン、シリコ─ンゴム等の有機樹脂を被覆した被膜物などと同様の目的で用いる。
【0029】
また、一般にガラスアンテナ付きガラスのシート抵抗値としては、例えば20KΩ/口以上の抵抗値であって、特にアンテナと接触する際には、10M Ω/口以上の高抵抗値であることが好ましく、10M Ω/口未満のシート抵抗値では、積層体にする以前のガラス板の電波透過性に比し充分安定確実に1dB(絶対値として)以内の変動差内に収めることができないものであり、より充分安定確実に1dB以内の変動差内、例えば0.8 dB以内の変動差内とするためには15M Ω/口以上、さらに電波透過性能および光学特性ならびに物理的化学的特性を充分満足する好ましい積層体のシート抵抗値としては20M Ω/口以上10G Ω/口以下程度の範囲であり、より好ましいシート抵抗値としては22M Ω/口以上10G Ω/口以下程度の範囲である。
【0030】
該ガラス板状体とほぼ同等の電波透過性能を有する前記積層体と特に光学特性上で巧みに相互に絡ませ相乗効果をもたらしめるようにすることで、電波透過性能および熱線遮蔽性能を高めたことはもちろん、格段に優れた光学的機能を備える卓越した特に自動車用窓ガラスとして最適なものとしたものである。
【0031】
すなわち、自動車用窓ガラスとして、電波透過性能を前記ガラス板状体に限り無く近づけほぼ同等としかつ熱線遮蔽性能を日射透過率が65%以下と格段に高め居住性をさらに向上したなかで、運転者や搭乗者等が安全上等で必要である可視光透過率を65%以上とした透視性、例えば可視光透過率が70%以上等を確保し法規上もクリアできるようにでき、しかも運転者や搭乗者等における透視性低下、誤認あるいは目の疲労等の防止に必要である可視光反射率を従来の値よりさらに低減せしめることができ、最適な電波透過型熱線紫外線遮蔽合せガラスとなる。自動車用として好ましくは可視光透過率が68〜70%以上、可視光反射率が14%以下、しかも日射透過率が60%以下、刺激純度が15〜10%以下であり、建築用として好ましくは可視光透過率が30%以上、可視光反射率が20%以下、しかも日射透過率が65%以下、刺激純度が20%以下である。
【0032】
さらにまた、前記電波透過型熱線紫外線遮蔽の合せガラスは、例えばガラス板状体の周辺部の黒枠内で周縁端からある幅で全周部分または給電点部よりやや大きめの部分を除いて、あるいは該給電点部と同様にししかもモール(枠体)を一体成型または後付けする部分を除き、さらには該アンテナ導体部分の全部または一部を除いて超微粒子を含む機能性中間膜を採用する等、その構成は適宜自在になし得ることは言うまでもない。
【0033】
さらにまた、中間膜が熱線遮蔽性能を有してかつシート抵抗値を半導体膜乃至絶縁膜と高い値であることにより、AM電波、FM電波等の放送における受信障害あるいはTV映像でのゴ−スト現象等の電波障害などをより確実に発現しないようにすることができ、充分な電波透過性能を有するガラスを得て、環境に優しいものとすることができるものである。また例えば、ガラスアンテナ素子に前記高抵抗の熱線遮蔽性能を有する膜を直接積層した場合においても、電波受信性能の低下には影響を及ぼすことがないようにしたと言えるものとなるものである。
【0034】
また、前記したようにガラス板状体としては無機質ガラス、有機ガラスあるいはこれらの複合ガラス、特に所謂フロート法で製造された無機質で透明なクリア乃至着色ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、プライマ−や各種機能性膜等被覆膜付きガラスであって、好ましくは例えばグリーン系ガラスやブロンズ系ガラスであり、さらに例えばグレー系ガラスやブルー系ガラス等にも採用可能である。また合せガラスのほか複層ガラス、バイレヤ−ガラス等、さらに平板あるいは曲げ板等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでもない。また板厚としては例えば約1.0mm 程度以上約12mm程度以下であり、建築用としては約2.0mm 程度以上約10mm程度以下が好ましい。
【0035】
さらに、PVB 系またはEVA 系樹脂膜が、粒径が0.2 μm 以下の機能性超微粒子を可塑剤中に80.0wt%以下分散せしめて機能性超微粒子分散可塑剤とし、次いで該機能性超微粒子分散可塑剤をPVB 系またはEVA 系樹脂溶液中に、PVB 系またはEVA 系樹脂に対し機能性超微粒子分散可塑剤を50wt%以下少なくとも分散添加し、適宜その他の添加剤を加え、混合混練して膜用原料樹脂から得たこととしたのは、可塑剤溶液中に前記機能性超微粒子を分散せしめる方が分散し易く、粒径が0.2 μm 以下の機能性超微粒子の分散を充分均一化することができ、透明性が得られるためであり、その混合量が80.0wt%を超えると次第に分散が難しくなって均一化が確実でなくなり易くなるためであり、好ましくは20.0wt%程度以下、より好ましくは10.0wt%程度以下、さらに好ましくは5.0wt %以下0.5wt %以上程度であって、少なすぎても前記効果がなくなる。
【0036】
またPVB 系またはEVA 系樹脂に対し機能性超微粒子分散可塑剤の分散添加が50wt%を超えると、PVB 系またはEVA 系樹脂中での分散のみでなく、合せガラスの中間膜としての性能に支障をきたすようになり易いからであり、好ましくは45wt%程度以下、より好ましくは40wt%程度以下10wt%程度以上である。また、混合混練には通常のミキサー、バンバリーミキサーやブラベンダーミキサー、ニーダー等を用いる。
【0037】
さらにまた、可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート(DOP) 、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジトリデシルフタレート(DTDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP) などのフタル酸エステル、またトリクレシルホスフェート(TCP) 、トリオクチルホスフェート(TOP) などのリン酸エステル、またトリブチルシトレート、メチルアセチルリシノレート(MAR) などの脂肪酸エステル、またトリエチレングリコール・ジ-2- エチルブチレート(3GH) 、テトラエチレングリコール・ジヘキサノールなどのポリエーテルエステルなど、またさらにこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
さらに、前記PVB 系樹脂を溶解する溶剤としては、例えばエチルアルコ−ル、n-プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n-ブチルアルコ−ル、メチレンクロライド等が挙げられる。さらにまた、前記EVA 系樹脂を溶解する溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0039】
さらに、前記膜用原料樹脂の膜化としては、常法の型押出し法またはカレンダーロール法等である。中間膜の膜厚としては約0.2 〜1.2mm 程度、好ましくは約0.3 〜0.9mm 程度である。
【0040】
さらに、前記合せガラス化処理としては、オートクレーブ法、減圧下で常温から120 ℃まで昇温する中で80〜120 ℃の温度範囲で20〜30分間の加熱等であり、膜表面に均一な凹凸のしぼを設ける。なお、場合によって種々の簡易な合せガラス化処理を適宜適用できることは言うまでもない。
【0041】
【作用】
前述したとおり、本発明の合せガラスは、着色、熱線や紫外線遮断膜、電波透過等各種の機能性能を有する粒径が0.2 μm 以下である超微粒子を適宜分散含有せしめた樹脂中間膜層でもって合せ処理することでなる合せガラスとその製造方法としたことにより、従来から使用されている合せガラス用中間膜層に影響を与えることなく、断熱性能や紫外線遮断性能や電波透過性能等の機能特性を付与し、しかもクリア乃至着色の色調の制御およびヘーズ値が極めて低く優れた透視性の確保ならびに反射性とぎらつき感の防止等をバランスよくもたらしめ、例えば自動車用安全ガラスに係わるJIS R 3212の各試験等をクリアする等、従来の合せガラスと変わらない品質を得ることができ、特殊成分組成ガラスや特殊表面加工ガラスを必要とせず、かつ現在使用中の合せガラス製造ラインをそのままで合せガラス化処理と作業で行うことができ、安価にかつ容易にしかもガラスの大きさや形態に自由自在に対応し得て合せガラスを得ることができるものである。
【0042】
ひいては、冷暖房効果を高め居住性を向上せしめるような優れた日射透過率、環境や人に優しくなる紫外線遮断等を有するとともに、比較的高いものから低いものまで幅広い可視光線透過率を有するものとすることができ、AM電波、FM電波TV電波帯等の放送における受信障害などの低減をすることができ、通常のフロ−トガラス並の電波透過性能であることから、車輌用のテレビ、ラジオ、携帯電話等のためのガラスアンテナの受信性能を低下させることなく、あるいはゴ−スト現象等の電波障害を低減することができ、本来のガラスアンテナ性能を発揮させ、車輌内外での快適な環境を確保することができることとなり、電波透過性能を必要とする無色から有色と各種色調、はたまたガラスとガラス、ガラスと合成樹脂板、バイレヤ−等の合せガラスとして使用可能な電波透過型熱線紫外線遮蔽ガラス等となり、建築用窓材としてはもちろん、飛行機用窓材等幅広く適用でき、最近のニーズに最適なものとなる有用な機能性を有する合せガラスを提供するものである。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
20wt%ATO(導電性アンチモン含有錫酸化物) 超微粒子(粒径0.02μm 以下)分散含有DOP(ジオクチルフタレート) 10gと通常の DOP 130gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 485gに添加し、他の紫外線吸収剤等とともに3本ロールのミキサーにより約70℃で約15分間程度練り込み混合した。得られた製膜用原料樹脂を型押出機にて190 ℃前後で厚み約0.8mm 程度にフイルム化しロールに巻き取った。なお、フイルム表面には均一な凹凸のしぼを設けた。
【0045】
次に大きさ約300mmx300mm 、厚さ約2.3mm のクリアガラス基板(FL2.3) を2枚用意し、該基板と同じ大きさに前記フイルムを裁断し、調製した中間膜を該2枚のクリアガラス基板の間に挟み積層体とした。
次いで該積層体をゴム製の真空袋に入れ、袋内を脱気減圧し、約80〜110 ℃程度で約20〜30分程度保持した後一旦常温までにし、袋から取り出した積層体をオートクレーブ装置に入れ、圧力約10〜14kg/cm2 、温度約110 〜140 ℃程度で約20〜40分間程度の加圧加熱して合せガラス化処理をした。
【0046】
得られた合せガラスについて下記の測定および評価を行った。
〔光学特性〕:分光光度計(340 型自記、日立製作所製)で波長340 〜1800nmの間の透過率を測定し、JIS Z 8722及びJIS R 3106又はJIS Z 8701によって可視光透過率Tv(380〜780nm)、日射透過率Ts(340〜1800nm) 、刺激純度(%)、色調等を求めた。
〔くもり度〕:ヘーズ値H をJIS K6714 に準拠して行い求めた。建築用としては3%以下、自動車用としては1%以下を合格とした。
〔電波透過性〕:KEC 法測定(電界シールド効果測定器)によって、電波10〜1000MHzの範囲の反射損失値(dB)を通常の板厚3mm のクリアガラス(FL3t)単板品と対比。その差の絶対値(△dB)が2dB以内を合格とした。
〔接着性〕: −18±0.6 ℃の温度で16±4 時間放置し調整後、ハンマー打でのガラスの剥離での中間膜露出程度。少ないものを合格とした。
〔耐熱性〕: 100 ℃の煮沸水中にて2 時間程度煮沸した後、周辺10mmを除き、残りの部分での泡の発生、くもり、ガラスのひび割れ等の異常がないものを合格とした。
〔耐湿性〕: 50±2 ℃、相対湿度95±4 %の調整内に2週間静置した後、泡の発生、くもり、ガラスのひび割れ等の異常がないものを合格とした。
〔電気的特性〕:三菱油化製表面高抵抗計(HIRESTA HT-210)によって測定。
(シート抵抗値)(M Ω/口)。10M Ω/口以上合格。
〔なお、基本的にはJIS R 3212等安全ガラス、特に合せガラスの項に準拠。〕
その結果、可視光透過率Tvが約76.8%程度、日射透過率Tsが約58.6%程度、刺激純度Peが0.7 %程度で淡いグレー系のニュートラル色調、反射によるギラツキもなく、ヘーズ値Hが約0.3 %程度となり、充分優れた熱線遮蔽性等の光学特性、格段に高い表面抵抗率で通常単板ガラス並み、例えば80MHz(FMラジオ波帯) 、約520 〜1630KHz(AMラジオ波帯) 等特に通常単板ガラスと同等の電波透過性を示し、かつ充分安定な優れた接着性と耐熱性ならびに耐湿性を示しいずれも合格であり、通常の合せガラスと変わらない合せガラスを得ることができ、優れた居住性をもちかつ運転者や搭乗者あるいは環境に優しく安全性が高くしかもAM帯をはじめ各種電波を快適に受信ができ、建築用窓ガラスはもちろん自動車用窓ガラス、ことにアンテナ導体と同時に備える自動車用窓ガラスに対しても充分採用でき、期待に充分答えることができるものであった。
【0047】
なお、他に耐候性(例、サンシヤインウエザーメーターで約1000時間:可視光透過率がほぼ変化がないこと)等の種々の特性をも評価したところ、いずれも合格するものであった。
【0048】
実施例2
20wt%ATO(導電性アンチモン含有錫酸化物) 超微粒子(粒径0.02μm 以下)分散含有3GH(トリエチレングリコ−ル -ジ- 2- エチルブチレ−ト) 10gと通常の3GH 130 gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 485gに添加し、さらに接着調整剤としてトスパ−ル120(東芝シリコ−ン) を5g添加し、他の紫外線吸収剤等とともに3本ロールのミキサーにより約70℃で約15分間程度練り込み混合した。得られた製膜用原料樹脂を型押出機にて190 ℃前後で厚み約0.8mm 程度にフイルム化しロールに巻き取り、実施例1と同様にして表面には均一な凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に大きさ約300mmx300mm 、厚さ約2.0mm のクリアガラス基板(FL2) を用いて実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0049】
得られた合せガラスは、Tvが76.5%、Tsが58.5%、Hが0.4 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0050】
実施例3
20wt%ITO(導電性錫含有インジウム酸化物) 超微粒子(粒径0.1 μm 以下)分散含有BBP(ブチルベンジルフタレート) 10gと通常の BBP90gをPVB 樹脂 323gに添加し、実施例1と同様にして表面には均一な凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に大きさ約300mmx300mm 、厚さ約2.0mm のクリアガラス基板(FL2) を用いて実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0051】
得られた合せガラスは、Tvが76.3%、Tsが51.5%、Hが0.4 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。またパンメル値は7〜8程度であり、建築用合せガラスに適するものであった。
【0052】
実施例4
20wt%ITO(導電性錫含有インジウム酸化物) 超微粒子(粒径0.1 μm 以下)分散含有BBP(ブチルベンジルフタレート) 10gと通常の BBP90gをPVB 樹脂 323gに添加し、さらに接着調整剤としてトスパ−ル120(東芝シリコ−ン) を5g添加し、実施例1と同様にして表面には均一な凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に大きさ約300mmx300mm 、厚さ約2.0mm のクリアガラス基板(FL2) を用いて実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0053】
得られた合せガラスは、Tvが76.2%、Tsが51.6%、Hが0.4 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。またパンメル値は3〜4程度であり、自動車用合せガラスとして適するものであった。
【0054】
実施例5
実施例3の成分と量に対し、さらに有機系熱線吸収剤10g添加し、実施例1と同様にして表面均一凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に実施例2と同様のクリアガラス基板(FL2) を用いて実施例1と同様にして積層体とし、次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0055】
得られた合せガラスは、Tvが64.3%、Tsが32.8%、Hが0.4 %等、やや可視光透過率が下がるものの実施例1よりことに断熱性能が優れ、他は実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0056】
実施例6
20wt%ITO 超微粒子(粒径0.1 μm 以下)分散含有 DIDP(ジイソデシルフタレート)7gと通常のDIDP95gをPVB 樹脂 323gに添加し、実施例1と同様にして表面均一凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に同様の大きさと厚みのクリアガラスのうち1枚をグリーンガラス基板(NFL2)に替えて用い、実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0057】
得られた合せガラスは、Tvが73.3%、Tsが42.0%、Hが0.2 %等、実施例1より断熱性能にかなり優れるほか、実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0058】
実施例7
20wt%ITO 超微粒子(粒径0.1 μm 以下)分散含有 DIDP(ジイソデシルフタレート)7gと通常のDIDP95gをPVB 樹脂 323gに添加し、さらに接着調整剤としてトスパ−ル120(東芝シリコ−ン) を5g添加し、実施例1と同様にして表面均一凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に同様の大きさと厚みのクリアガラスのうち1枚をグリーンガラス基板(NFL2)に替えて用い、実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0059】
得られた合せガラスは、Tvが73.2%、Tsが42.1%、Hが0.2 %等、実施例1より断熱性能にかなり優れるほか、実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0060】
実施例8
実施例6と同様の成分と量で、実施例1と同様にして表面均一凹凸のしぼを設けた厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。
次に同様の大きさと厚みのクリアガラスのうち1枚をブルーガラス基板(BFL2)に替えて用い、実施例1と同様にして積層体とした。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0061】
得られた合せガラスは、Tvが76.0%、Tsが49.5%、Hが0.2 %等、実施例1より断熱性能がやや優れるほか、実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0062】
実施例9
実施例8と同様の厚み約0.8mm 程度の中間膜を用い、次に同様の大きさと厚みのクリアガラスのうち1枚をブロンズガラス基板(MFL2)に替えて用い、実施例1と同様にして積層体とし、次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0063】
得られた合せガラスは、Tvが75.1%、Tsが52.1%、Hが0.2 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0064】
実施例 10
実施例8と同様の厚み約0.8mm 程度の中間膜を用い、次に同様の大きさと厚みのクリアガラスのうち1枚をグレーガラス基板(GFL2)に替えて用い、実施例1と同様にして積層体とし、次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0065】
得られた合せガラスは、Tvが76.0%、Tsが54.5%、Hが0.2 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0066】
実施例 11
40wt%無機顔料超微粒子であるTM3410〔Co2O3-Al2O3 、粒径0.01〜 0.02 μm、大日精化工業社製〕分散含有DOP 20gと通常の TCP( トリクレシルホスフェート)120gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 480gに添加したものを実施例1と同様にして練り込み混合した。これを実施例1と同様にして厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0067】
得られた合せガラスは、Tvが73.8%、Tsが50.2%、Peが7.8 %の鮮やかなブルー系の色調であって、Hが0.2 %等、着色に係わる影響を除けば、ほぼ実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0068】
実施例 12
30wt%無機顔料超微粒子であるTM3320〔TiO2-NiO-Co2O3-ZnO、粒径0.01〜0.02μm 、大日精化工業社製〕分散含有DOP 30gと通常の MAR( メチルアセチルリシノレート)100gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 480gに添加したものを実施例1と同様にして練り込み混合した。これを実施例1と同様にして厚み約0.8mm程度の中間膜を得た。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0069】
得られた合せガラスは、Tvが77.8%、Tsが60.2%、Peが13.8%の鮮やかなグリーン系の色調であって、Hが0.2 %等、着色に係わる影響を除けば、実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0070】
実施例 13
30wt%無機顔料超微粒子であるTM3210〔Fe2O3-ZnO-Cr2O3 、粒径0.01〜0.02μm 、大日精化工業社製〕分散含有DOP 20gと通常の 3GH( トリエチレングリコール・ジ-2- エチルブチレート)150gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 480gに添加したものを実施例1と同様にして練り込み混合した。これを実施例1と同様にして厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0071】
得られた合せガラスは、Tvが67.8%、Tsが51.8%、Peがやや高めではあるが鮮やかなグリーン系の色調であって、Hが0.2 %等、可視光透過率がやや低下するなど着色に係わる影響を受けるものの、実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0072】
実施例 14
20wt%ATO 超微粒子分散メチルエチルケトン溶液10gと3GH(トリエチレングリコール・ジ-2- エチルブチレート)150gをPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 490gに添加し、接着調整剤、紫外線吸収剤などとともに3本ロ−ルのミキサ−により約80℃で約20mmHgに減圧しながら約1時間程度加熱練り込み混合した。これを実施例1と同様にして厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0073】
得られた合せガラスは、Tvが76.4%、Tsが51.6%、Hが0.4 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
【0074】
実施例 15
約100 ℃程度に加熱して水飴状になったPVB(ポリビニルブチラール) 樹脂 490gにATO 超微粒子2gを添加し、紫外線吸収剤などとともに3本ロ−ルのミキサ−により約80℃程度で約1時間程度加熱練り込み混合した。これを実施例1と同様にして厚み約0.8mm 程度の中間膜を得た。次いで実施例1と同様にして合せガラス化処理をした。
【0075】
得られた合せガラスは、Tvが77.5%、Tsが55.7%、Hが0.2 %等実施例1と同様に優れた光学特性ならびに電波透過性、品質等の各物性をバランスよく示す所期のものであった。
なお、パンメル値については、実施例1と2ならびに実施例5〜15においても実施例3と4のようにして適宜建築用として調整して用いることができることは言うまでもない。
【0076】
【発明の効果】
以上前述したように、本発明は粒径0.2 μm 以下の機能性超微粒子を中間膜層に分散含有する合せガラス及びその製造方法としたことにより、従来から使用されている合せガラス用中間膜層に大きな影響を与えることなく、断熱性能や紫外線遮断性能や電波透過性能等の機能特性を付与し、しかもクリア乃至着色の色調の制御およびヘーズ値が極めて低く優れた透視性の確保ならびに反射性とぎらつき感の防止等をバランスよくもたらしめ、従来の合せガラスと変わらない品質を得るようにでき、現在使用中の合せガラス製造ラインをそのままで合せガラス化処理と作業で行うことができ、安価にかつ容易にしかもガラスの大きさや形態に自由自在に対応し得て実施でき、ひいては冷暖房効果を高め居住性を向上せしめ、環境や人に優しく、幅広い透視性を得ることができ、AM電波、FM電波TV電波帯等を通常のフロ−トガラス並の電波透過性能として車輌用のテレビ、ラジオ、携帯電話等のためのガラスアンテナ性能を確保でき、本来のガラスアンテナ性能を発揮させ、建屋内外での快適な環境を確保することができることとなり、無色から有色と各種色調の合せガラスとして使用可能な電波透過型熱線紫外線遮蔽ガラス等となり、各種建築用窓材としてはもちろん、飛行機用窓材、その他産業用ガラス等幅広く適用でき、最近のニーズに最適なものとなる有用な機能性を有する合せガラスを提供することができる。
Claims (4)
- 少なくとも2枚の透明ガラス板状体の間に中間膜層を有する合せガラスにおいて、該中間膜層は、可塑剤を用いて成形してなる樹脂膜中に熱線遮蔽性能をもたらす粒径が0.2μm以下の機能性超微粒子を混合割合が10.0wt%以下で分散せしめてなるものを加熱加圧により合わせ処理してなる熱線遮蔽性能と電波透過性とを有することを特徴とする建築用窓材用合せガラス。
- 少なくとも2枚の透明ガラス板状体の間に中間膜層を有する合せガラスにおいて、該中間膜層は、可塑剤を用いて成形してなる樹脂膜中に熱線遮蔽性能をもたらす粒径が0.2μm以下の機能性超微粒子を混合割合が10.0wt%以下で分散せしめてなるものを加熱加圧により合わせ処理してなる熱線遮蔽性能と電波透過性とを有することを特徴とする飛行機用窓材用合せガラス。
- 機能性超微粒子が導電性アンチモン含有錫酸化物および/または導電性錫含有インジウム酸化物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合せガラス。
- 前記中間膜が、該機能性超微粒子を分散していない中間膜に重ねるか、該機能性超微粒子を分散していない中間膜でサンドイッチ状に挟んだものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の合せガラス。
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