JP3859814B2 - セルロース系消臭剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、多くの悪臭に対する良好且つ安全で安価な、第1鉄イオンを担持したセルロース系消臭剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業分野のみならず一般的な日常生活に於いても、悪臭に対する意識はますます深まってきている。これらの悪臭に対する消臭剤としては、第1鉄イオンを用いたものが多用されており、これをセルロース系繊維に担持させた報告も多い。ところで、第一鉄イオンは、使用雰囲気中の酸素により酸化され易く、安定に使用するのは困難であるという問題点があるため、アスコルビン酸等のオキシカルボン酸類をはじめとして種々の化合物を併用する安定化方法が多数提案されている(例えば、特開昭58−156539号公報、特開昭60−142856号公報、特開昭63−84554号公報、特開昭63−143068号公報、等)。しかしながらこれらの方法は、第1鉄イオンが比較的安定である酸性溶液でセルロース系繊維に塗布や含浸するものであり、セルロース系繊維が湿っている際には物質移動に時間がかかり、逆に、乾燥している際には比較的第1鉄溶液の吸収は速いが、結果的にセルロース系繊維を2度以上乾燥する必要がある等効率が悪く、また、溶液が酸性であると、セルロース系繊維の飽和含液率以上に第1鉄溶液を保持させる事が出来ず、第1鉄イオンを含有させる量に自ずと制限が出来てしまう等の欠点があった。
【0003】
一方、中性領域でセルロース系繊維に塗布あるいは含浸する報告もある(例えば、特開昭61−106162号公報、等)が、中性領域で生じた水酸化鉄フロックの為成分が内部まで達せず主に表面に付着するだけとなる為、乾燥後に脱落が生じやすく、かつ、担持や第1鉄イオンの安定化に必要なセルロースの表面積が減少しているためと思われるが、第1鉄イオンの安定性も悪化する。また、オキシカルボン酸類は、その多くが中性領域での安定性に欠け、分解しやすくなるので、これらを併用しても第1鉄イオンを安定化させる事は困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら欠点を解消するため、本発明者らは、酸化セルロースにpH6〜11、好ましくはpH8〜9で金属イオンを担持させる方法(特開平2−52660号公報)、あるいは、セルロース系粉末状物にキトサンを固定化した後pH5〜11、好ましくはpH8〜9で鉄イオンを固定化する方法(特開平4−193275号公報)をそれぞれ提案した。これらは、担持する金属種によって良好な消臭材料を得ることが出来るが、比較的高価な酸化セルロースを用いたり、操作が煩雑であるという欠点があった。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維を分散させた第一鉄化合物溶液を、アルカリ性物質を添加してpHを6.5〜7とし、湿式成型法で成型することにより、消臭機能の高い、かつ長期にわたり安定なセルロース系消臭剤が高収率で得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、第一鉄イオンを担持したセルロース系消臭剤の工業的に有利な製造方法を提供するものである。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維は、第一鉄化合物の水溶液に分散させる。本発明に用いられるセルロース繊維としては、天然の針葉樹溶解パルプである木材溶解パルプ、リンターパルプを挙げることができる。また、天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体とするが、他の消臭剤系と共存させたり成型物の強度を増す等の目的で天然の針葉樹溶解パルプやリンターパルプ以外のセルロース繊維、例えば酸化セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を添加することも可能である。これら天然の針葉樹溶解パルプやリンターパルプ以外のセルロース繊維は、価格、作業性等の観点から天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプに対して30重量%以下であることが好ましい。本発明において、天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維が第1鉄イオンと化学的に作用し、第1鉄イオンを雰囲気中酸素による酸化に対して非常に顕著な安定性を付与するため、長期間の空気中曝露に於いてもその消臭機能が持続し、消臭繊維としての能力を発揮する事が出来る。
【0007】
本発明に用いられる第1鉄化合物としては、第1鉄イオンに良好に解離するものであれば特に制限はないが、具体例としては、硫酸第1鉄、塩化第1鉄を始めとした無機化合物、ぎ酸第1鉄、酢酸第1鉄、アスコルビン酸第1鉄、クエン酸第1鉄、酒石酸第1鉄等の有機化合物を例示することができる。これら第一鉄化合物は、単独であっても二種以上を併用してもよい。
【0008】
第一鉄化合物の溶液は、0.1〜2モル/L程度が好ましく、セルロース繊維の分散濃度は、通常の抄紙条件程度で十分である。第一鉄イオンの量は、天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部が望ましい。第1鉄イオンがこの範囲より少ないと十分な消臭効果が得られ難く、一方、この範囲より多いとセルロース繊維への担持が非常に困難になり、また経済性も悪化するので好ましくない。
【0009】
天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維を分散させた液は、アルカリ性物質を添加することにより、pHを6.5〜7に調整する。この操作により、天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維への第1鉄イオン分の歩留まりは飛躍的に向上する。これは、系が酸性であると、第1鉄イオンの水溶性が極めて高いため、調整時に設備への付着、系外への流出等により歩留まりが低下するという、問題点を解決したものである。本発明に用いられるアルカリ性物質としては、特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ類やアンモニアといった一般的な無機アルカリ性物質を例示することができる。
【0010】
pHを調整された分散液は、湿式成型法で成型される。
成型されるセルロース系消臭剤の形状としては、消臭機能が維持できる範囲で様々な形状が可能であるが、例えば、シート状物、顆粒状物、抄紙した紙状物、不織布等が例示され、シート状物であれば例えば一般的な抄紙機を用いることにより、顆粒状物であれば例えば回転式造粒機を用いることにより成型することができる。
【0011】
本発明において、第一鉄化合物溶液、pH調整時、あるいは成型前に、必要に応じてオキシカルボン酸、オキソカルボン酸等を添加して第1鉄イオンを安定化させる事もできるが、オキシカルボン酸、オキソカルボン酸等は中性領域では安定性が十分ではなく、容易に分解、失活をするため、本発明においては、特に大きな効果を奏するものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1
硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調整し、これに離解したN−DPパルプ(針葉樹溶解パルプ)を乾燥重量で3.0kg添加し、よく混合した。その後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを6.5として調整物を得た。これを抄紙し、105℃で3時間乾燥し、第1鉄イオン含有シートを得た。
【0013】
実施例2
硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調整し、これに離解したリンターパルプを乾燥重量で3.0kg添加し、よく混合した。その後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを6.5として調整物を得た。これを抄紙し、105℃で3時間乾燥し、第1鉄イオン含有シートを得た。
【0014】
参考例1 硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調製し、これに離解したパウダー状パルプ(60メッシュ/インチ通過)を乾燥重量で3.0kg添加し、よく混合した。その後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを6.5として調製物を得た。これを脱水後、回転式造粒機で粒径3mmの顆粒状成型物とした後、105℃で3時間乾燥し、第1鉄イオン含有顆粒状物を得た。
【0015】
比較例1
硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調整し、これに離解したパルプを乾燥重量で3.0kg添加し、よく混合した。その後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを8.0として調整物を得た。これを抄紙し、105℃で3時間乾燥し、第1鉄イオン含有シートを得た。
【0016】
比較例2
硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調整し、これに離解した晒クラフトパルプを乾燥重量で3.0kg添加し、よく混合した。その後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを6.5として調整物を得た。これを抄紙し、105℃で3時間乾燥し、第1鉄イオン含有シートを得た。
【0017】
比較例3
パルプを乾燥重量で3.0kg十分に離解し、これを抄紙した後105℃で3時間乾燥し、パルプシートを得た。別に硫酸第1鉄0.5mol/lの水溶液を10l調整し、液中に前に得たパルプシートを浸積して1時間放置した後、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを7.0とした。第1鉄イオン含有パルプシートを液中より取り出し105℃で3時間乾燥してサンプルシートを得た。
【0018】
比較例4
パルプを乾燥重量で3.0kg十分に離解し、これを抄紙した後105℃で3時間乾燥し、パルプシートを得た。別に硫酸第1鉄5mol/lの水溶液を1lにアスコルビン酸0.1molを添加した水溶液を調整し、10%水酸化ナトリウムで約60分かけて徐々にpHを7.0として、中性第1鉄イオン水溶液を得た。パルプシート上に中性第1鉄イオン水溶液を均一に滴下した後、105℃で3時間乾燥してサンプルシートを得た。
【0019】
実施例、参考例、及び比較例で得られたシート等の外見を比較すると、実施例1,2、参考例1、比較例2は若干の着色はあるがシートの形状には問題なかった。一方、比較例1,3,4は極めて濃い酸化鉄の着色が斑に生じ、形状は実施例、参考例のシートに比べると凹凸が多く、特に比較例3,4のシートは他と比較して若干変形していた。また比較例1,3及び4は触ると手に鉄分と思われる一部着色した粉体が付着した。また、各シート等の消臭成分である鉄分の含有量をEDTAを用いたキレート滴定法で測定を行い比較した。その結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】
評価例 実施例1,2、参考例1及び比較例1〜4で得られたシート等を用いて、消臭成分としての第1鉄イオンの安定性を比較した。方法は一定日数放置する事による消臭能力の変化を調べる方法で行った。放置条件は送風式恒温装置内で各サンプルを同様にトレーに並べ、放置温度は30℃で行った。消臭試験は、1l三角フラスコ内に50ppmのトリメチルアミン(以下TMAと記す)を封入し、この中にサンプルを乾燥重量合計で1.0g加えて放置し、30分後に三角フラスコ内部のTMA濃度を測定した。TMA濃度の測定は検知管法で行った。結果を表2に示す。本発明の製造方法によって得られたシート等の安定性は非常に高く、表面に若干の変色があったものの30日を越える過酷な条件でも全く消臭効果の低下は見られなかった。また、比較例1は経時的な消臭効果の悪化は小さいものの初期の消臭能力が低く、比較例2は本発明品とほぼ同等の消臭効果を示した。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によると、安価にかつ簡便に、消臭機能が高く安定であるセルロース系消臭剤の工業的に有利な製造方法が提供される。
Claims (1)
- 天然の針葉樹溶解パルプ又はリンターパルプを主体としたセルロース繊維を分散した第1鉄化合物の水溶液に、アルカリ性物質を添加してpHを6.5〜7とし、湿式成型法で成型することを特徴とする、第1鉄イオンを担持したセルロース系消臭剤の製造方法。
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JP13055997A JP3859814B2 (ja) | 1997-05-06 | 1997-05-06 | セルロース系消臭剤の製造方法 |
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- 1997-05-06 JP JP13055997A patent/JP3859814B2/ja not_active Expired - Fee Related
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