JP3858771B2 - 排気浄化用の放電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は排気浄化用の放電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気ガスを排気浄化装置によって浄化するために、排気ガス中の成分を放電作用によって別の成分に転化するための排気浄化用の放電装置が特開2001−276561号公報に記載されている。この装置では排気通路上に設けられたハニカム構造体の上流側および下流側に網目状の電極を配置し、これら電極間にパルス状の高電圧を印加することによって、これら電極間で放電を行い、プラズマを発生させる。このようなプラズマでは放電によって放出された電子が電極間の排気ガス中の有害成分またはその他の成分と衝突し、電子と衝突した成分がイオンまたはラジカル(励起種)となる。これらプラズマによってイオン化またはラジカル化された排気ガス中の成分は非常に反応性が高く、有害成分は無害な形態または捕集され易い形態に転化せしめられる。無害な形態に転化せしめられた有害成分はそのまま排出され、捕集され易い形態に転化せしめられた有害成分は排気浄化装置によって捕集されて浄化される。こうして排気ガスの浄化が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように放電作用によって排気ガス中の成分を別の成分に転化させて排気ガスの浄化を行う場合、電極間を流れる排気ガス中の有害成分の転化率が高いほど排気ガスの浄化が促進される。したがって排気ガスの浄化を促進させるためには有害成分の転化率を高めればよく、このためには電極間を流れる排気ガスをより多く且つより均一にプラズマ化させることが必要である。この観点からみると、上述した特開2001−276561号公報に記載された排気浄化用の放電装置は電極間を流れる排気ガスをより多く且つより均一にプラズマ化させるのに最適化されておらず、改善の余地がある。したがって、電極間を流れる排気ガスをより多く且つより均一にプラズマ化させることによって排気ガス中の有害成分の転化率が高められた排気浄化用の放電装置が望まれている。
【0004】
よって、本発明の目的は排気ガス中の有害成分の転化率が高められた排気浄化用の放電装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、内燃機関から排出される排気ガスを排気浄化装置によって浄化するために、排気ガス中の成分を放電作用によって別の成分に転化するための排気浄化用の放電装置であって、排気ガスを通すために互いに平行に延びる複数の排気ガス通路を有する絶縁性の構造体を具備し、該構造体の端面のうち排気ガスを該構造体の排気ガス通路に流入させる側の端面と、排気ガスを該構造体の排気ガス通路から流出させる側の端面とに、それぞれこれら端面を覆うように広がる一対の電極が配置され、一方の電極がアノードとされ、他方の電極がカソードとされ、これら電極間に電圧が印加されたときに、これら電極間において構造体の排気ガス通路に沿って放電が行われるようになっており、上記電極が排気ガスを通すための複数の開口を有しており、カソードの方を向いたアノードの部分のうち開口を除いた部分の総面積が、アノードの方を向いたカソードの部分のうち開口を除いた部分の総面積よりも小さい排気浄化用の放電装置において、上記構造体の排気ガス通路が隔壁によって画成されており、上記開口を除いたカソードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成され、上記開口を除いたアノードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されている。
【0009】
第1の発明によれば、上記両電極の開口を除いた部分は隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンであるかまたはこのパターンの一部を排除したパターンであり、逆に言うと、両電極の開口は排気ガス通路の端部が織りなすパターンにほぼ一致するかまたはそのパターンを広げたパターンである。このため、これら電極が排気ガス通路を横断することはなく、排気抵抗とならない。
また、アノードの方を向いたカソードの部分のうち開口を除いた部分の面積が大きければ大きいほど両電極間で放電が起こりやすくなる。第1の発明によれば、開口を除いたカソードの部分が隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するため、カソードが排気抵抗とならない範囲内でアノードの方を向いたカソードの部分のうち開口を除いた部分の面積を最大とすることができ、このため両電極間での放電が起こりやすい。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、構造体は排気ガスの空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOXを保持すると共に排気ガスの空燃比がリッチのときに保持したNOXを離脱させて還元させるNOX触媒である。
放電作用によって別の成分に転化せしめられる排気ガス中の成分がNOXである場合、この排気ガス中のNOXは無害な形態(例えばN2)に転化せしめられるか、またはNOX触媒によって保持されにくい形態(例えばNO)から保持されやすい形態(例えばNO2)へと転化せしめられる。したがって、第4の発明では、排気ガス中のNOXが放電によって無害な形態に転化せしめられ、またはNOX触媒で保持されやすい形態に転化せしめられて排気ガス中の空燃比がリーンのときにNOX触媒により多くのNOXが保持されることから、排気ガスの浄化率が高くなる。
【0012】
第3の発明では、第1の発明において、構造体は三元触媒である。
両電極間での放電によって排気ガス中のHCやCOの一部はH2OやCO2に転化せしめられる。このため第6の発明では、放電装置と三元触媒とを組み合わせることにより排気ガスの浄化率、特にHCおよびCOの浄化率が高くなる。
【0013】
第4の発明では、内燃機関から排出される排気ガスを排気浄化装置によって浄化するために、排気ガス中の成分を放電作用によって別の成分に転化するための排気浄化用の放電装置であって、排気ガスを通すために互いに平行に延びる複数の排気ガス通路を有する予め定められた長さの構造体を具備し、該構造体が複数の構造体部分に分割され、各構造体部分の端面のうち排気ガスを該構造体部分の排気ガス通路に流入させる側の端面と、排気ガスを該構造体部分の排気ガス通路から流出させる側の端面とに、それぞれこれら端面を覆うように広がる一対の電極が配置され、一方の電極がアノードとされ、他方の電極がカソードとされ、これら電極間に電圧が印加されたときに、これら電極間において構造体部分の排気ガス通路に沿って放電が行われるようになっている排気浄化用の放電装置において、上記構造体部分の排気ガス通路が隔壁によって画成されており、上記開口を除いたカソードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成され、上記開口を除いたアノードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されている。
【0015】
第5の発明では、第4の発明において、隣り合う構造体部分間に配置される電極が一つである。
【0016】
第6の発明では、第1〜5のいずれか一つの発明において、上記電極が導電性セラミックスで形成されている。
【0018】
第7の発明では、第6の発明において、導電性セラミックスが炭化ケイ素セラミックスである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図3を参照して本発明の第一実施形態について説明する。なお、図1は本発明の放電装置1の概略図であり、図2は本発明の放電装置1を長手方向に沿って切断した断面図である。また、図3(A)は図2のラインI−Iから見た流入端面13の一部の図であり、図3(B)は、図2のラインII−IIから見たアノード31の下流当接面32の一部の図であり、図3(C)は図2のラインIII−IIIから見たカソード41の上流当接面42の一部の図である。なお、図2の矢印は排気ガスの流れを示す。
【0020】
図1および図2に示したように、第一実施形態の放電装置1は内燃機関の排気通路上に配置され、円柱状のハニカム構造体10と、アノード31と、カソード41とを具備する。ハニカム構造体10は、互いに平行をなして延びると共にハニカム構造体10を上流側から下流側まで貫通している複数の排気ガス通路11を具備し、これら排気ガス通路11と平行な軸線Lを有する。ハニカム構造体10はこれら排気ガス通路11が排気ガスの流れ方向と平行になるように配置され、排気ガスを排気ガス通路11に流入させる側の端面(以下、流入端面と称す)13と排気ガスを排気ガス通路11から流出させる側の端面(以下、流出端面と称す)14とを有する。本実施形態では、ハニカム構造体10の長手軸線Lと垂直な排気ガス通路11の断面形状、すなわち排気ガスの流れに対して垂直な排気ガス通路11の断面形状はハニカム構造体10の流入端面13から流出端面14までほぼ同一である。
【0021】
ハニカム構造体10の複数の排気ガス通路11は薄肉の隔壁12によって画成される。隔壁12はコージェライトやアルミナ等の絶縁性のセラミックス材料で形成され、ハニカム構造体10の流入端面13上に位置する隔壁12の端部である隔壁上流部分15とハニカム構造体10の流出端面14上に位置する隔壁12の端部である隔壁下流部分16との間で延びる。なお、隔壁上流部分15および隔壁下流部分16はそれぞれハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14から排気ガス通路11に対応する開口を除いた端面を示すものである。
【0022】
ハニカム構造体10の上流側にはハニカム構造体10の流入端面13と当接するようにアノード31が配置され、ハニカム構造体10の下流側にはハニカム構造体10の流出端面14と当接するようにカソード41が配置される。アノード31はハニカム構造体10の流入端面13を覆うように広がり且つその外形が流入端面13の外形とほぼ同一形状の電極である。一方、カソード41はハニカム構造体10の流出端面14を覆うように広がり且つその外形が流出端面14の外形とほぼ同一形状の電極である。アノード31はハニカム構造体10の流入端面13と対面する(すなわちカソード41の方を向いている)下流当接面32を有し、カソード41はハニカム構造体10の流出端面14と対面する(すなわちアノード31の方を向いている)上流当接面42を有する。これら電極31、41は排気ガスの流れ方向、すなわち軸線方向Lにおいて非常に薄く形成され、且つ導電性セラミックス、例えば炭化ケイ素(SiC)セラミックスによって形成される。
【0023】
これら電極31、41はそれぞれ導線を介して高圧電源50の正極および負極に接続される。高圧電源50によってアノード31とカソード41との間に高い電圧が印加されるとこれら両電極31、41間では放電が起こり、これら両電極31、41間を流れる排気ガス中に排気ガス通路11を介してプラズマが形成される。すなわち、高圧電源50の負極に接続されたカソード41から放電によって放出された電子が両電極31、41間を流れる排気ガス中の成分の一部と衝突し、これにより排気ガス中の成分の一部からイオンやラジカルが生成される。生成されたイオンやラジカルは非常に反応性が高く、結果的に排気ガス中の成分が別の成分へと転化せしめられる。この転化の例としては例えば、排気ガス中に含まれるNOの多くはNO2へと転化せしめられ、一部はN2やO2へと転化せしめられる。また、排気ガス中のSO2の多くはSO3へ、COの多くはCO2へと転化せしめられる。
【0024】
なお、上記プラズマは非平衡プラズマであるのが好ましい。非平衡プラズマとは、放電によるエネルギが電子のみに注入され且つ両電極31、41間を流れる排気ガスの成分(分子等)にはエネルギが注入されないため、電子のエネルギのみが高く、排気ガス中の各成分のエネルギは低いプラズマである。このため排気ガスの温度自体を昇温させることなく電子の温度(電子のエネルギ)のみが高温にされるので、効率よくプラズマを形成させることができる。したがって、本実施形態で用いられる高圧電源50は両電極31、41間に排気ガス通路11を介して非平衡プラズマを形成させることができるような電源であるのが好ましい。
【0025】
次に、図3を参照してハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14の形状、アノード31の下流当接面32の形状、およびカソード41の上流当接面42の形状について説明する。
【0026】
図3(A)に示したように、ハニカム構造体10の流入端面13は隔壁12の端部である隔壁上流部分15と排気ガス通路11に通じる複数の開口17とを有する。本実施形態では各開口17は正方形であり、縦横に整列して配置される。見方を変えると、隔壁上流部分15は平行に等間隔に配置された複数の隔壁平行部分18とこれら隔壁平行部分18に対して垂直に等間隔に配置された隔壁垂直部分19とから構成される。
【0027】
また、本実施形態では、上述したように排気ガス通路11が互いに平行に延びるため、ハニカム構造体10の軸線Lに対して垂直な方向の断面では隔壁12の形状は隔壁上流部分15の形状と同一であり、排気ガス通路11の開口の形状も上記開口17の形状と同一である。さらに、本実施形態ではハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14が対称形状であるため、流出端面14の形状は流入端面13の形状と同一であり、よって隔壁下流部分16の形状は隔壁上流部分15の形状と同一である。
【0028】
図3(B)に示したように、高圧電源50の負極に接続されるカソード41の上流当接面42の形状は上述したハニカム構造体10の流出端面14の形状と同一であり、流出端面14の隔壁下流部分16に対応する電極部分43と開口17に対応する電極開口44とを有する。本実施形態では各電極開口44は正方形であり、縦横に整列して配置される。見方を変えると、電極部分43は平行に等間隔に配置された複数の電極平行部分45とこれら電極平行部分45に対して垂直に等間隔に配置された隔壁垂直部分46とから構成され、これら電極平行部分45および電極垂直部分46の配列はそれぞれ隔壁平行部分18および隔壁垂直部分19の配列と一致する。すなわち、電極開口44を除いたカソード41の部分である電極部分43は隔壁12の流入端面13の隔壁上流部分15が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成される。また、カソード41の各電極平行部分45および電極垂直部分46の長手方向とは垂直な方向の厚さは隔壁12の隔壁平行部分18および隔壁垂直部分19の厚さと同一である。
【0029】
図3(C)に示したように、高圧電源50の正極に接続されるアノード31の下流当接面32の形状は、カソード41の上流当接面42の形状と同様であるが、アノード31の電極部分33はカソード41の電極部分43よりも面積が小さく、アノード31の電極開口34はカソード41の電極開口44よりも面積が大きい。すなわち、カソード41の方を向いたアノード31の部分のうち電極開口34を除いた電極部分33の総面積はアノード31の方を向いたカソード41の部分のうち電極開口44を除いた電極部分43の総面積よりも小さい。
【0030】
より詳細には、アノード31の電極開口34はカソード41の電極開口44が幾つか結合された形状であり、特に本実施形態では一方方向に整列した電極開口44が結合された長方形である。見方を変えると、アノード31の電極部分33はカソード41の電極平行部分45に対応する平行に等間隔に配置された複数の電極平行部分35のみを有し、カソード41の電極垂直部分46に対応する電極垂直部分36はほとんど配置されない。すなわち、電極開口34を除いたアノード31の部分である電極部分33は隔壁12の流入端面13が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成される。また、アノード31の各電極平行部分35の厚さはカソード41の各電極平行部分45の厚さよりも薄い。
【0031】
ところで、上述したように高圧電源の正極に接続されたアノードと高圧電源の負極に接続されたカソードとの間で放電を行う場合、カソードの方を向いたアノードの部分の総面積がアノードの方を向いたカソードの部分の総面積よりも小さいと、アノードで密度の高い負の電場が構成され、周囲雰囲気中における電離によるコロナ放電を飛び越えて直接周囲雰囲気の絶縁が破壊されるため、カソードからの電子の放出が起こりやすくなる。このためこれら電極をこのように構成した場合には電極間で放電が起きやすくなり、両電極間に存在する周囲雰囲気が放電によってプラズマ化されやすくなる。すなわち、カソードの方を向いたアノードの部分の総面積がアノードの方を向いたカソードの部分の総面積よりも小さいような二つの電極を用いてこれら電極間に高電圧を印加すると、電極間に存在する周囲雰囲気におけるプラズマ密度が高くなる。
【0032】
ここで本発明の排気浄化用の放電装置1では上述したように、アノード31の方を向いたカソード41の部分のうち電極開口44を除いた電極部分43の総面積はカソード41の方を向いたアノード31の部分のうち電極開口34を除いた電極部分33の総面積よりも大きい。このため本実施形態の放電装置1では、電極31、41間に高電圧を印加すると、カソード41の電極部分43の総面積がアノード31の電極部分33の総面積とほぼ同一である場合やまたはそれよりも小さい場合に比べて電極31、41間で放電が起きやすく、よってこれら電極31、41間を流れる排気ガスにおけるプラズマ密度が高い。排気ガスにおけるプラズマ密度が高いと排気ガス中の成分のうち反応性の高い成分が多くなり、結果的に放電による排気ガス中の成分が別の成分に転化する割合である転化率が高くなる。
【0033】
次に、本発明の利点について説明する。例えば、放電を行うために電極を向かい合わせて配置し、これら電極間には排気ガスのみが流れている状態、すなわちハニカム構造体を配置していない状態では、高圧電源の負極に接続された電極の面から正極に接続された電極に向かって均一に放出された電子が、正極に接続された電極に到達するまでに方向が僅かに変化し、この電極に到達するころには均一ではなくなってしまう。すなわち、この場合、高圧電圧の負極に接続された電極の各地点と正極に接続された電極の特定の一地点または複数の地点間で放電が行われる等、不均一な放電が行われてしまうことがある。このようにして不均一な放電が行われると、不均一にプラズマが生成され、これら電極間を流れる排気ガスのうち一部がプラズマ化されなくなってしまう。この場合、排気ガス中の成分の転化率は低下してしまう。
【0034】
これに対して本発明では、正極に接続されたアノード31と負極に接続されたカソード41とがハニカム構造体10の排気ガス通路11を介して通じているため、これら電極間での放電は排気ガス通路11に沿って行われる。これにより、カソード41からアノード31に向かって均一に放出された電子が、カソード41からアノード31へと向かう過程で方向が逸れてしまうことがなくなる。これにより両電極31、41間で均一に放電が行われるため、これら電極間を流れる排気ガスではほぼ均一に放電が行われる。したがって、両電極間を流れる排気ガスはこれら排気ガス全体に亘ってより均一にプラズマ化される。
【0035】
さらに、本発明の別の利点について説明する。従来では、アノードおよびカソードは銅(Cu)等の金属材料や白金(Pt)等の貴金属材料から形成されていた。ところが、これら電極はハニカム構造体と共に内燃機関の排気通路上に配置され、内燃機関の運転中には常に排気ガスに晒されることとなる。排気ガスは非常に高温・多湿であるばかりでなく、これら排気ガス中には硝酸や硫酸も存在する。このため銅等の金属材料で電極を形成した場合には長時間使用すると腐食が進行してしまい、結果的に電極の一部が断線してしまう。すなわち電極を銅等の金属材料で形成すると、電極の一部が断線して意図した放電を行えなくなってしまう。また、このような腐食の問題を回避するために電極を白金等の貴金属材料で形成すると、コストがかかってしまっていた。
【0036】
これに対して本発明では上述したようにアノード31およびカソード41は炭化ケイ素セラミックス(SiC)から製造される。この材料は導電性を有すると共に非常に耐食性に優れている。さらに、白金に比べて非常に安価である。したがって、電極材料に炭化ケイ素セラミックスを使用することで、上述した電極の一部が断線してしまう問題や放電装置の製造コストの問題を回避することができる。
【0037】
本実施例のように両電極31、41を炭化ケイ素セラミックス(SiC)から製造する場合、以下に示す方法で両電極31、41とを結合させるのが好ましい。まず図3に示した両電極31、41の形状をした炭化ケイ素セラミックス材を形成する。それをコージェライト等のセラミックスで形成されたハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14上にセラミックス接着剤等の耐熱性および耐防食性の接着剤で接着することにより、アノード31およびカソード41がハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14上に配置される。
【0038】
なお、両電極31、41が銅や白金で製造される方が好ましいと考えられる場合には、これら銅や白金を電極として用いてもよい。この場合、以下に示す方法のうちいずれかによって製造される。一つ目の方法としては、導電性材料(銅、白金等)のペーストを所望の電極のパターンとなるようにハニカム構造体10の隔壁上流部分15および隔壁下流部分16に塗布し、それを焼結する方法が挙げられる。二つ目の方法としては、導電性材料をハニカム構造体10の隔壁上流部分15および隔壁下流部分16に蒸着させる方法が挙げられる。この場合、蒸着した導電性材料が所望の電極のパターンとなるように予めマスキングして蒸着を行う。三つ目の方法としては、上述した炭化ケイ素セラミックスの場合と同様に導電性材料を予め電極のパターン形状に形成し、それを隔壁上流部分15および隔壁下流部分16上に接着させる方法が挙げられる。
【0039】
なお、上記実施形態では高圧電源50の正極に接続されたアノード31がハニカム構造体10の流入端面13上に配置され、高圧電源50の負極に接続されたカソード41がハニカム構造体10の流出端面14上に配置されているが、正極に接続されたアノード31を流出端面14上に配置し、負極に接続されたカソード41を流入端面13上に配置してもよい。より詳細には、アノードの電極部分の総面積がカソードの電極部分の総面積よりも小さければ、これら電極はハニカム構造体10の流入側および流出側のうちどちら側に配置されてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、カソード41の電極部分43が隔壁12の流入端面13が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成され且つアノード31の電極部分33が隔壁12の流入端面13および流出端面14が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されているが、これらカソード41の電極部分43およびアノード31の電極部分33が共に流入端面13および流出端面14が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されてもよい。
さらに、ハニカム構造体10の形状は円柱状でなくてもよく、角柱、楕円柱等、内燃機関の排気通路上に配置することができれば如何なる形状であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態ではアノード31とカソード41との間のプラズマが非平衡プラズマであるとしたが、熱プラズマであってもよい。なお、熱プラズマとは、放電によるエネルギが電子のみならず、両電極31、41間を流れる排気ガス中の成分(分子等)にも注入され、電子および排気ガス中の各成分のエネルギが高いプラズマをいう。
【0042】
さらに、アノード31の各電極平行部分35の厚さがカソード41の各電極平行部分45の厚さと同一かまたはそれよりも薄ければ、これら電極31、41の各電極平行部分35、45および電極垂直部分36、46の厚さは隔壁12の隔壁平行部分18および隔壁垂直部分19の厚さと同一でなく、これら部分18、19の厚さよりも厚くてもよいしまたは薄くてもよい。なお、カソード41の各電極平行部分45および電極垂直部分46の厚さが隔壁平行部分18および隔壁垂直部分19の厚さよりも厚い場合、カソード41の各電極平行部分45および電極垂直部分46が流入端面13の開口17に達するため、アノード31とカソード41との間で直線的に放電が行われるようになり、よってこれら電極31、41間で放電が起きやすくなる。
【0043】
次に第一実施形態の変更例について説明する。上述した実施形態ではハニカム構造体10の複数の開口17は正方形であった。しかしながら、これら開口17の形状は六角形でも三角形でもよく、この場合の例をそれぞれ図4〜図6に示す。なお、図4(A)〜(C)、図5(A)〜(C)および図6(A)〜(C)はそれぞれ図3(A)〜(C)と同様な図である。
【0044】
第一実施形態の第一変更例を図4に示す。図4(A)に示したように、ハニカム構造体10の流入端面60および流出端面61は隔壁の端部である隔壁部分64と六角形の開口65とを有し、六角形の開口65は各開口が六つの別の開口65に囲まれるように互いに整列されて配置される。また、図4(B)に示したように、高圧電源50の負極に接続されるカソード41の上流当接面62の形状は上述したハニカム構造体10の流出端面61の形状とほぼ同一であり、隔壁部分64に対応する電極部分66と開口65に対応する電極開口67とを有する。一方、図4(C)に示したように、高圧電源50の正極に接続されるアノード31の下流当接面63の形状はカソード41の上流当接面62の形状と同様であるが、上流当接面62の電極開口67の六角形の辺のうち一組の互いに対面する辺を画成する隔壁部分の一部が除かれた形状になっており、したがってアノード31の電極開口69は一定方向に六角形の開口を幾つか結合した形状となっている。
【0045】
第一実施形態の第二変更例を図5に示す。図5(A)に示したように、ハニカム構造体10の流入端面70および流出端面71は隔壁の端部である隔壁部分74と正三角形の開口75とを有し、正三角形の開口75は各開口が三つの別の開口75に囲まれるように互いに整列されて配置される。また、図5(B)に示したように、高圧電源50の負極に接続されるカソード41の上流当接面72の形状は上述したハニカム構造体10の流出端面71の形状とほぼ同一であり、隔壁部分74に対応する電極部分76と開口75に対応する電極開口77とを有する。一方、図5(C)に示したように、高圧電源50の正極に接続されるアノード31の下流当接面の形状はカソード41の上流当接面72の形状と同様であるが、電極部分の一部が除かれた形状になっており、これによりアノード31の電極開口79は一定方向に正三角形の開口を幾つか結合した形状となっている。特に、本実施形態では上流当接面72の電極部分78は互いに平行に延びる直線状になっている。
【0046】
第一実施形態の第三変更例を図6に示す。図6(A)および図6(B)は図3(A)および図3(B)と同一の図であり、ハニカム構造体10やアノード31の説明は省略する。一方、図6(C)に示したように、アノード31の下流当接面82の形状はカソード41の上流当接面42の形状と同様であるが、アノード31の電極開口84はカソード41の電極開口44と同様な開口を数個ほど結合した大きな正方形となっている。
【0047】
このように、これら三つの第一実施形態の変更例では、電極開口を除いたカソードの部分である電極部分は隔壁の流入端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成される。一方、電極開口を除いたアノードの部分である電極部分は隔壁の流入端面が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成される。また、カソードの方を向いたアノードの部分のうち電極開口を除いた電極部分の総面積はアノードの方を向いたカソードの部分のうち電極開口を除いた電極部分の総面積よりも小さい。
【0048】
次に、図7および図8を参照して第二実施形態について説明する。なお、図7は図1と同様な放電装置100の概略図であり、図8は本実施形態の放電装置100を長手方向に沿って切断した断面図である。なお、図8の矢印は排気ガスの流れの方向を示す。
【0049】
図7および図8に示したように、第二実施形態の放電装置100は内燃機関の排気通路上に配置され、複数のハニカム構造体部分110を有するハニカム構造体105と、少なくとも三つの電極121、131とを具備する。複数の電極のうち少なくとも一つは高圧電源150の正極に接続されたアノード121であり、残りは高圧電源50の負極に接続されたカソード131である。ハニカム構造体部分110はハニカム構造体105を排気ガスの流れ方向に複数に分割したものであり、各ハニカム構造体110は、排気ガスの流れ方向と平行に互いに平行をなしてハニカム構造体部分110を上流側から下流側まで貫通して延びる複数の排気ガス通路111を具備する。そしてこれらハニカム構造体部分110は排気ガス通路111がこれらハニカム構造体105の上流側から下流側まで貫通するように整列せしめられる。各ハニカム構造体部分110は排気ガスを排気ガス通路111に流入させる側の端面(以下、流入端面)113と、排気ガスを排気ガス通路111から流出させる側の端面(以下、流出端面)114とを有する。
【0050】
隣り合ったハニカム構造体部分110の間と、ハニカム構造体105の最上流に配置されたハニカム構造体部分110の流入端面113と、ハニカム構造体105の最下流に配置されたハニカム構造体部分110の流出端面114とにはそれぞれ高圧電源150の正極に接続されたアノード121と高圧電源50の負極に接続されたカソード131とのいずれか一方が配置される。特に、隣り合ったハニカム構造体部分110間に配置された電極121、131は、その電極121、131の上流側の面が該電極121、131の上流側に配置されたハニカム構造体部分110の流出端面114に当接し、その電極121、131の下流側の面がその電極121、131の下流側に配置されたハニカム構造体部分110の流入端面113に当接するように配置される。
【0051】
また、ハニカム構造体部分110を介して隣り合って配置される電極はその一方がアノード121、他方がカソード131とされる。すなわち各ハニカム構造体部分110がアノード121とカソード131とに挟持されるように配置される。したがって、本実施形態では排気浄化用の放電装置100は、アノード121とカソード131とが排気ガスの流れ方向に沿って交互に配置され、各アノード121とカソード131との間にハニカム構造体部分110が配置された構成となっている。
【0052】
本実施形態のハニカム構造体部分110の排気ガスの流れ方向に対して垂直な方向の断面形状は第一実施形態のハニカム構造体10の排気ガスの流れ方向に対して垂直な方向の断面形状と同一である。したがって、ハニカム構造体部分110の流入端面113および流出端面114における隔壁112の形状は、図3(A)に示した第一実施形態のハニカム構造体10の流入端面13および流出端面14における隔壁上流端面15の形状および隔壁下流端面16の形状と同様である。また、アノード121およびカソード131の形状は図1〜3に示した第一実施形態のアノード31およびカソード41の形状と同様である。
【0053】
ところで、放電を行う場合、これら電極121、131間には非常に高い電圧を印加する必要がある。通常、このような高電圧を発生させるために変圧器等が用いられる。ところが、変圧器等で高電圧を発生させる場合、昇圧(すなわち電圧を上げること)によるエネルギの損失が起きてしまう。昇圧によるエネルギの損失は非常に大きく、また昇圧させる電圧の大きさによって変わる。より詳細には、昇圧させる電圧が高ければ高いほど昇圧によるエネルギの損失も大きい。したがって、昇圧によるエネルギの損失を低減させるという観点からは、放電時に両電極間に印加する電圧が低い方が好ましい。
【0054】
一方、電極間に印加される電圧は放電時に電極間で流れる電荷量(または電流)に密接に関係している。すなわち、電極間に印加される電圧が高ければ高いほど放電時に電極間で流れる電荷量が多くなり、これにより電極間を流れる排気ガスのプラズマ密度が高くなる。プラズマ密度が高くなると排気ガス中の成分が別の成分に転化される割合である転化率が上昇し、より高い割合で排気ガス中の有害成分が無害な成分または捕集されやすい成分へと転化せしめられる。したがって、排気ガス中の成分の転化率を上げるという観点からは、放電時に両電極間に印加する電圧が高い方が好ましい。
【0055】
これに対して、放電時に電極間を流れる電荷量は電極間に印加される電圧だけでなく、電極間の距離にも依存する。すなわち、電極間に印加される電圧が同一である場合、電極間の距離が短ければ短いほど放電時に電極間で流れる電荷量は多くなり、逆に電極間の距離が長ければ長いほど放電時に電極間で流れる電荷量は少なくなる。したがって、電極間の距離を短くすれば、電極間に印加する電圧を小さくしても放電時に電極間で流れる電荷量が少なくなることはなく、したがって電極間に印加する電圧を小さくしたことによって排気ガス中の成分の転化率が低下してしまうこともない。
【0056】
ここで、第二実施形態の排気浄化用の放電装置100では、第一実施形態の放電装置1に比べてアノード121とカソード131との間の距離が短い。また、アノード121およびカソード131は高圧電源150に並列に接続される。したがって、各アノード121とカソード131との間に印加される電圧は高圧電源150の電圧に等しい。このため、高圧電源150の電圧を第一実施形態の高圧電源の電圧よりも低い値にしても、第二実施形態の放電装置100における排気ガスの有害成分の転化率を第一実施形態の放電装置1における転化率と同様な値とすることができる。逆に、第二実施形態における高圧電源150の電圧を第一実施形態の高圧電源50の電圧と同じ値にすると、電極間で流れる電荷量が多くなり、電極間を流れる排気ガスにおけるプラズマ密度が高くなる。これにより、第二実施形態の放電装置100における排気ガスの有害成分の転化率は第一実施形態の放電装置1における転化率よりも高い値となる。
【0057】
なお、図7および図8にはハニカム構造体を四つのハニカム構造体部分110に分割した例を示したが、ハニカム構造体を分割する数は幾つでもよい。特に、ハニカム構造体を分割する数が多いほど電極間の距離が短くなり、これにより電極間に同じ電圧を印加した場合にプラズマ密度が高くなるため、ハニカム構造体を分割する数が多いほど排気ガス中の有害成分の転化率が高くなる。
【0058】
また、各ハニカム構造体部分110の流入端面113および流出端面114上に電極121、131を配置し、隣り合う二つのハニカム構造体部分110間に空間または絶縁体を介挿してこれらハニカム構造体部分110を離間させて整列させてもよい。この場合、空間または絶縁体の両側に配置される電極の極は同一である。
【0059】
最後に、本発明に関する三つの実験の実験結果について説明する。第一の実験では、三つの実験体1〜3を用意した。実験体1〜3は全て直径が30mm、長さが50mmの円柱状のコージェライト製ハニカム構造体から製造されている。そして、これらハニカム構造体には排気ガス通路が設けられており、排気ガス通路の開口の形状は正方形である。また、開口の大きさは1平方センチメートル当たりの開口数が約30個となるような大きさである。そしてまず、このハニカム構造体にTiO2粉末をウォッシュコートし、その後450℃で約2時間焼成し、ハニカム構造体に触媒作用をもたせた。次いで、ハニカム構造体の排気ガスを流入させる側の端面および流出させる側の端面に電極として白金ペーストを塗布し、その後450℃で約1時間焼成した。このとき、実験体1および2では一方の電極のパターンを図3(B)のように格子状にし、他方の電極のパターンを図3(C)のように平行線のみから成る形状(以下、平行線状と称す)にした。実験体3では、両電極のパターンを図3(B)に示したように平行線状にした。
【0060】
そして、このように構成されたハニカム構造体を実験室用モデルガス評価装置にセットした。このとき実験体1では格子状の電極を電源の負極に接続し、平行線状の電極を電源の正極に接続した。実験体2では平行線状の電極を電源の負極に接続し、格子状の電極を電源の正極に接続した。実験体3では二つの格子状の電極をそれぞれ正極および負極に接続した。そしてこれら電極には電源から、電圧が50kV、パルス幅1μsのパルス電流を繰り返し周期200Hzで加え、その間にハニカム構造体の上流からNOが1000ppm、O2が10%、残りがN2であるモデル排気ガスを流し、排気ガス分析計を用いて実験体1〜3によるNOからNO2への転化率を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示したように、アノードが平行線状でカソードが格子状である実験体1におけるNOからNO2への転化率が一番高く、次いで両電極が格子状である実験体2における転化率が高く、アノードが格子状でカソードが平行線状である実験体3における転化率が一番低い。このことから、カソードの方を向いたアノードの面の面積がアノードの方を向いたカソードの面の面積よりも小さい場合の転化率が最も高く、逆にカソードの方を向いたアノードの面の面積がアノードの方を向いたカソードの面の面積よりも大きい場合の転化率が最も低いことが分かる。
【0063】
第二の実験では、三つの実験体4〜6を用意した。第二の実験で用いられるハニカム構造体は第一の実験で用いられた実験体1〜3のハニカム構造体と同様に形成されている。実験体4ではこのように形成されたハニカム構造体の排気ガスを流入させる側の端面および流出させる側の端面に厚さが5mmの炭化ケイ素セラミックス(SiC)製のハニカムを電極としてセラミックスボンドで接着した。実験体5では上記ハニカム構造体の両端面に厚さが0.2mmの銅(Cu)板を打ち抜いて形成した電極をセラミックボンドで接着した。実験体6では上記ハニカム構造体の両端面に電極として銀(Ag)ペーストを塗布し、その後450℃で約1時間焼成した。なお、これら実験体4〜6では一方の電極のパターンを図3(B)のように格子状とし、他方の電極のパターンを図3(C)のように平行線状とした。
【0064】
そして、このように構成されたハニカム構造体を実験室用モデルガス評価装置にセットした。次いで格子状の電極を電源の負極に接続し、平行線状の電極を電源の正極に接続して、第一の実験と同様に実験体4〜6によるNOからNO2への転化率を測定した。このあと、ハニカム構造体を管状炉内に配置し、この管状炉内にNOが1000ppm、SO2が50ppm、O2が10%、H2Oが10%、CO2が20%で残りがN2である混合ガスを流量5L/minで流しながら、ハニカム構造体を200℃で5時間、その後500℃で5時間、最後に1100℃で5時間保持して耐久試験を行った。この耐久試験後に再び上述した方法と同様な方法で実験体4〜6によるNOからNO2への転化率を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示したように、電極材料に炭化ケイ素セラミックスを用いた実験体4では、耐久試験前の転化率から耐久試験後の転化率への下がり幅が最も小さい。このことから、従来から電極材料として用いられている銀や銅を用いるよりも炭化ケイ素セラミックスを用いた方が電極の耐久性が向上することがわかる。
【0067】
第三の実験では、二つの実験体7、8を用意した。実験体8のハニカム構造体は第一の実験で用いられたハニカム構造体と同様に形成されている。これに対して実験体7では実験体8と同一のハニカム構造体を長手方向に四つのハニカム構造体部分に分割した。よって、各ハニカム構造体部分は直径が30mm、長さが12mmの円柱形状となる。そして、これらハニカム構造体部分の排気ガスを流入させる側の端面および流出させる側の端面に電極として白金ペーストを塗布し、その後450℃で約1時間焼成した。このとき、ハニカム構造体部分の一方の電極のパターンを図3(B)のように格子状にし、他方の電極のパターンを図3(C)のように平行線状にした。
【0068】
そして、実験体7では上述したように構成されたハニカム構造体部分を、格子状の電極同士および平行線状の電極同士が対面するように接着し、実験室用モデルガス評価装置にセットした。このとき、実験体7および8では格子状の電極を電源の負極に接続し、平行線のみの形状の電極を電源の正極に接続した。そしてこれら電極には電源から、電圧が20kV、パルス幅1μsのパルス電流を繰り返し周期200Hzで加え、その間にハニカム構造体の上流からNOが1000ppm、O2が10%、残りがN2であるモデル排気ガスを流し、排気ガス分析計を用いて実験体7および8によるNOからNO2への転化率を測定した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
表3に示したように、ハニカム構造体を四つのハニカム構造体部分に分割した実験体7における転化率の方が実験体8における転化率よりも高い。このことから、ハニカム構造体を分割して電極間の距離を短くした方がNOからNO2への転化率が高くなることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
第1〜第7の発明によれば、アノードとカソードとの間を流れる排気ガス中において発生するプラズマの密度が高くなるため、且つこの排気ガス全体に亘って均一にプラズマ化されるため、放電作用によって排気ガス中の成分が別の成分に転化する転化率が高くなる。
【0072】
第6および第7の発明によれば、電極の耐食性が向上することにより、内燃機関の排気ガスのように高温、多湿で且つ硝酸および硫酸のような強酸が存在する条件下で排気浄化装置用の放電装置の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態における排気浄化用の放電装置の概略図である。
【図2】図1の放電装置の断面図である。
【図3】第一実施形態におけるハニカム構造体および両電極のパターンを示す図である。
【図4】第一実施形態の第一変更例におけるハニカム構造体および両電極のパターンを示す図である。
【図5】第一実施形態の第二変更例におけるハニカム構造体および両電極のパターンを示す図である。
【図6】第一実施形態の第三変更例におけるハニカム構造体および両電極のパターンを示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態における排気浄化用の放電装置の概略図である。
【図8】図7の放電装置の断面図である。
【符号の説明】
1…放電装置
10…ハニカム構造体
11…排気ガス通路
12…隔壁
13…流入端面
14…流出端面
31…アノード
32…下流当接面
41…カソード
42…上流当接面
Claims (7)
- 内燃機関から排出される排気ガスを排気浄化装置によって浄化するために、排気ガス中の成分を放電作用によって別の成分に転化するための排気浄化用の放電装置であって、
排気ガスを通すために互いに平行に延びる複数の排気ガス通路を有する絶縁性の構造体を具備し、該構造体の端面のうち排気ガスを該構造体の排気ガス通路に流入させる側の端面と、排気ガスを該構造体の排気ガス通路から流出させる側の端面とに、それぞれこれら端面を覆うように広がる一対の電極が配置され、一方の電極がアノードとされ、他方の電極がカソードとされ、これら電極間に電圧が印加されたときに、これら電極間において構造体の排気ガス通路に沿って放電が行われるようになっており、
上記電極が排気ガスを通すための複数の開口を有しており、カソードの方を向いたアノードの部分のうち開口を除いた部分の総面積が、アノードの方を向いたカソードの部分のうち開口を除いた部分の総面積よりも小さい排気浄化用の放電装置において、
上記構造体の排気ガス通路が隔壁によって画成されており、上記開口を除いたカソードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成され、上記開口を除いたアノードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されていることを特徴とする排気浄化用の放電装置。 - 上記構造体は排気ガスの空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOXを保持すると共に排気ガスの空燃比がリッチのときに保持したNOXを離脱させて還元させるNOX触媒であることを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 上記構造体は三元触媒であることを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 内燃機関から排出される排気ガスを排気浄化装置によって浄化するために、排気ガス中の成分を放電作用によって別の成分に転化するための排気浄化用の放電装置であって、
排気ガスを通すために互いに平行に延びる複数の排気ガス通路を有する予め定められた長さの構造体を具備し、該構造体が複数の構造体部分に分割され、各構造体部分の端面のうち排気ガスを該構造体部分の排気ガス通路に流入させる側の端面と、排気ガスを該構造体部分の排気ガス通路から流出させる側の端面とに、それぞれこれら端面を覆うように広がる一対の電極が配置され、一方の電極がアノードとされ、他方の電極がカソードとされ、これら電極間に電圧が印加されたときに、これら電極間において構造体部分の排気ガス通路に沿って放電が行われるようになっている排気浄化用の放電装置において、
上記構造体部分の排気ガス通路が隔壁によって画成されており、上記開口を除いたカソードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンにほぼ一致するパターンで形成され、上記開口を除いたアノードの部分がこれら隔壁の端面が織りなすパターンの一部を排除したパターンで形成されていることを特徴とする排気浄化用の放電装置。 - 隣り合う構造体部分間に配置される電極が一つであることを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
- 上記電極が導電性セラミックスで形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気浄化用の放電装置。
- 上記導電性セラミックスが炭化ケイ素セラミックスであることを特徴とする請求項6に記載の排気浄化用の放電装置。
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