JP3857633B2 - 成形同時両面転写品の製造方法 - Google Patents

成形同時両面転写品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯通信機器や電子応用玩具の一部品や、炊飯器入力部、食料容器として使用される板状体等の加飾品を、射出成形品の表裏両面に成形と同時にそれぞれ加飾を行うことによって得る成形同時両面転写品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形品の片面に成形同時転写するのでは満足せず、射出成形品の両面に同時に転写フィルムの図柄を転写させ、表裏両面を同時に加飾させることが出来る種々の技術が開発されてきた。例えば特許文献1には、図5に示すように、固定側金型1と可動側金型2により構成されるキャビティ12内に2枚一対の長尺な転写フィルム10,11の必要部分を間欠的に供給し、かつ一方の転写フィルム10を固定側金型1に設けられたバキューム用スリット8及びバキューム用ホール9を介して吸引することによって転写フィルム10を固定側金型1の下面に吸着固定させ、更にスプルー3及びピンゲート6より溶融樹脂7をランナー4に向かって射出し、溶融樹脂7をランナー4とサイドゲート5の上方に設けられた一対の転写フィルム10,11間に浸入させることによってキャビティ12形状に合致した射出成形品7aを成形すると同時に、該射出成形品7aの表裏両面に一対の転写フィルム10,11より図柄10a,11aを転写する(図6参照)ことが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−99457号公報(第1−4頁、第1−5図)
【0004】
なお、従来の成形同時両面転写品の製造方法においては、2台の箔送り装置を用いて2枚一対の長尺な転写フィルム10,11の必要部分を間欠的に供給することが多いが、その場合、射出工程が終了した後の型開きに伴い、送り装置どうしの距離も離れる。このとき、大抵の場合、先ずいずれか一方の転写フィルムの基体シートと転写層との間でのみ剥離が起こって射出成形品7aは他方の転写フィルム一体となって残るため、型開きの後に、転写フィルムに残った射出成形品7aについて基体シートと転写層との間で剥離が行なわれる。なお、図5に示す金型の場合、2枚一対の転写フィルム10,11の供給方向は、図面に対して垂直な方向である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の成形同時両面転写品の製造方法では、表面用の転写フィルム10の初期剥離重さと裏面用の転写フィルム11の初期剥離重さとの関係について考慮されていないので、型開きの際、ある射出成形品7aについては先ず表面用の転写フィルム10の基体シートと転写層との間で剥離が起こって裏面用の転写フィルム11側に残り、また別の射出成形品7aについては先ず裏面用の転写フィルム11の基体シートと転写層との間で剥離が起こって表面用の転写フィルム10側に残るというように(図7参照)、剥離に規則性がない場合があった。このような剥離に規則性がないと、成形後、ロボットアーム26等で射出成形品7aを取り出す際に、あらかじめ設定した通りの動きで取り出し作業を行なうことができず、効率が悪い。
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を解決することにあって、型開きの際の一対の転写フィルムと射出成形品との剥離に規則性を付与し、ロボットアーム等による射出成形品の取り出し作業をあらかじめ設定した通りの動きで行なうことが出来る成形同時両面転写品の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、本発明は、複数の金型により構成されるキャビティ内に2枚一対の長尺な転写フィルムの必要部分を間欠的に供給し、該一対の転写フィルム間に溶融樹脂を射出することによってキャビティ形状に合致した射出成形品を成形すると同時に、該射出成形品の表裏両面に一対の転写フィルムにより加飾を施す成形同時両面転写品の製造方法において、表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さに差を持たせるように構成した。
【0008】
また、上記構成において、上記転写フィルムの基体シート側を剥離重さ計測装置の支持台に固定させた後に、転写フィルムの転写層に25.4mm幅のセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)の一端を貼り付け、他端をバネ秤に支持して、支持台とセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)とのなす角度が常に45度の角度を保ち、かつ、25mm/秒の速度でセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)を引っ張る際のバネ秤の重さ(剥離重さ)を測ったとき、上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差が、1.96×10−2 N以上であるようにした。
【0009】
また、上記各構成において、上記一対の転写フィルムのうち一方のみを型開き時に金型とともに可動させる成形同時両面転写品の製造方法であって、固定側の転写フィルムの初期剥離重さを可動定側の転写フィルムの初期剥離重さより重くするようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は転写フィルムの初期剥離重さの測り方を示す断面図、図2は転写フィルムからセロハン粘着テープを剥離している最中の状態を示す斜視図、図3は転写フィルムの一例を示す断面図、図4は本発明の成形同時両面転写品の製造方法において型開き後にロボットアームによって行なわれる射出成形品の取り出し作業の様子を示す断面図である。図中、7aは射出成形品、10および11は転写フィルム、10aおよび11aは図柄、13は支持台、14はセロハン粘着テープ、15は水平移動体、16は斜面板、17は蛇腹ベルト、18はギア、20はバネ秤、19はモーター、20aは引っ掛け部、21は基体シート、22は転写層、23は剥離層、24は絵柄層、25は接着層、26はロボットアームをそれぞれ示す。
【0011】
本発明の成形同時両面転写品の製造方法は、複数の金型により構成されるキャビティ内に2枚一対の長尺な転写フィルム10,11の必要部分を間欠的に供給し、該一対の転写フィルム10,11間に溶融樹脂を射出することによってキャビティ形状に合致した射出成形品7aを成形すると同時に、該射出成形品7aの表裏両面に一対の転写フィルム10,11により加飾を施すものであって、表面用の転写フィルム10の初期剥離重さと裏面用の転写フィルム11の初期剥離重さに差を持たせるものである。
【0012】
上記成形同時両面転写品の製造に用いる金型、フィルム送り装置等の装置としては、公知のものを用いることができる。
【0013】
上記表面用および裏面用の転写フィルム10,11は、いずれも基体シート21の片面に転写層22を設けたものである(図3参照)。
【0014】
基体シート21としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂や、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂ビニル樹脂、アクリル樹脂からなるものがある。基体シート21からの転写層22の剥離性が良い場合には、基体シート21上に転写層を直接設ければよい。基体シート21からの転写層22の剥離性を改善するためには、基体シート21上に転写層22を設ける前に、離型層を全面的に形成してもよい。離型層は、成形同時両面転写後に基体シート21を剥離した際に、基体シート21とともに転写層から離型するが、場合によっては層間離型を起こし、一部が転写層22の最外面に残存することもある。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、ポリエステル系離型剤、ウレタン樹脂系離型剤、エポキシ樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。また、電離放射線硬化樹脂等の硬化性樹脂系離型剤を用いてもよい。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。離型層の乾燥膜厚は、0.1〜2μmとするのが一般的である。
【0015】
上記表面用および裏面用の転写フィルム10,11の転写層22としては、たとえば、後述する剥離層23、絵柄層24、接着層25などがある。転写層22は、射出成形品に転移して加飾する層である。
【0016】
剥離層23は、基体シート21又は離型層上に全面的または部分的に形成される。剥離層は、成形同時両面転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート21または離型層から剥離して成形同時両面転写品の最外面となる層である。なお、剥離層23が層間剥離を起こす場合には、層間剥離した面が最外面となる。また、離型層が層間離型を起こしている場合には、転写層22の表面に残存している離型層が、成形同時両面転写品の最外面となる。剥離層23の材質としては、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層23に硬度が要求される場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層は、着色したものでも、未着色のものでもよい。剥離層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。剥離層の乾燥膜厚は、0.5〜10μmとするのが一般的である。
【0017】
絵柄層24は、剥離層の上に、通常は印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーをバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。印刷層は、表現したい絵柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。印刷層の乾燥膜厚は、1〜30μmとするのが一般的である。
【0018】
また、絵柄層24は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、絵柄層として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。部分的な金属薄膜層を形成する場合の一例としては、金属薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法がある。この場合によく用いられる溶剤は、水又は水溶液である。また、別の一例としては、全面的に金属薄膜を形成し、次に金属薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸又はアルカリでエッチングを行い、レジスト層を除去する方法がある。なお、金属薄膜層を設ける際に、他の転写層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。前アンカー層および後アンカー層の材質としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂樹脂などを使用するとよい。前アンカー層および後アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。金属薄膜層の膜厚は、10〜80nmとするのが一般的である。
【0019】
接着層25は、射出成形品の表面または裏面に上記の各層を接着するものである。接着層は、接着させたい部分に形成する。接着層25としては、射出成形品の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、射出成形品の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、射出成形品物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、射出成形品の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。接着層25の乾燥膜厚は、2〜10μmとするのが一般的である。
【0020】
本発明に係る表面用および裏面用の転写フィルム10,11の転写層22の構成は、いずれも上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、絵柄層24の材質として射出成形品との接着層性に優れたものを使用する場合には、接着層25を省略することができる。また、本発明に係る表面用および裏面用の転写フィルム10,11は、絵柄層24を有さないで、転写層22として表面保護層などの透明な層のみを有するものでもよい。さらに、表面用の転写フィルム10と裏面用の転写フィルム11とは同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0021】
本発明の成形同時両面転写品の製造方法は、表面用の転写フィルム10の初期剥離重さと裏面用の転写フィルム11の初期剥離重さに差を持たせることに特徴がある。このように構成することにより、型開きの際、先ず初期剥離重さの軽い方の転写フィルムで基体シート21と転写層22との間の剥離を起こすことが可能となる。したがって、型開きの際の一対の転写フィルム10,11と射出成形品7aとの剥離に規則性を付与し、射出成形品7aをロボットアーム26等の設定した通りの動きで取り出することが出来、効率がよい。
【0022】
「初期剥離重さ」とは、転写フィルムの基体シート21から転写層22が剥離し始める時の重さのことをいい、次のようにして測定することができる。すなわち、常温(25℃)で、前記転写フィルム10,11の基体シート21側を支持台13に固定させた後に、転写フィルム10.11の転写層に25.4mm幅のセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)14の一端を貼り付け、他端をバネ秤20に支持して、転写層とセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)14とのなす角度が常に45度の角度を保ち、かつ、25mm/秒の速度でセロハン粘着テープ14を引っ張る際のバネ秤20の重さを測定する(図1参照)。
【0023】
転写フィルム10,11の基体シート21側を支持台13に固定させるには、両面テープで接着などをするとよい。セロハン粘着テープ14の貼り付け幅として25.4mmがよいのは、貼り付け幅が25.4mmを超えるとセロハン粘着テープ14を剥離する際に剥離重さの目盛が一定の値を示しにくくなるためデータがとりにくくなり、セロハン粘着テープ14の幅が25.4mmより狭いと、転写層22に貼り付けるときに扱いにくく剥離重さの測定効率が阻害されるからである。なお、上記セロハン粘着テープ14は、例えば、8cm以上の長さの物を用い、引っ張り用に3cmを残して転写フィルム10,11に貼り付ける。
【0024】
前記角度45度を一定に保つとともに25mm/秒の速度を保つための装置としては、次のような剥離重さ計測装置がある。例えば、支持台13上に、支持台13上を移動可能とした水平移動体15を設置したものがある。水平移動体15には蛇腹ベルト17が取り付けられ、支持台13に固定されたモーター19のギア18と蛇腹ベルト13とをかみ合わせてギア18を回転させることによって被転写物載置台12上を水平移動体15が移動する。水平移動体15の上に45度の傾斜をなす斜面板16を設置したものである。斜面板16上には引掛け部20aを下にしてバネ秤20を固定する(図2参照)。セロハン粘着テープ14が剥がれるにしたがって、バネ秤20の位置を上昇させなければならないので、バネ秤20は、セロハン粘着テープ14の剥離する長さ分だけその位置を斜面板16の表面に沿って徐々に上に移動するように固定されている。このようにすることで、支持台13に接着している転写フィルム10,11とセロハン粘着テープ14とのなす角度が常に45度の角度に保たれ、かつ、25mm/秒の速度でセロハン粘着テープ14を引っ張る際の、基体シート21と転写層22との間の剥離重さを測定することが可能となる。なお、図2は転写フィルム10,11からセロハン粘着テープ14を剥離している最中の状態を示す。
【0025】
上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差は、1.96×10−2 N以上とするのが好ましい。初期剥離重さの差を設けても、それが1.96×10−2 N未満であると、意図した規則から外れる剥離が生じるおそれがある。
【0026】
また、上記一対の転写フィルムのうち一方のみが型開き時に金型とともに可動する場合、固定側の転写フィルムの初期剥離重さを可動側の転写フィルムの初期剥離重さより重くするのが好ましい。何故なら、こうすることにより、型開きの際、先ず可動側に配置した転写フィルムの基体シートと転写層との間で剥離が起こって射出成形品は固定側に残るため、次にロボットアーム等による取り出しがシステム的にしやすくなるからである。
【0027】
【実施例】
(実施例1) 厚み38μmのポリエステルフィルムからなる基体シートの一面に、アクリル系の紫外線硬化性樹脂インキを用いて剥離層を形成し、その上にアクリル系樹脂インキとアルミニウムの蒸着層を用いて絵柄層を形成し、蒸着層をパターニングするために水洗し、最後に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂インキを用いて接着層を形成して表面用の転写フィルムとした。この表面用の転写フィルムについて、前記したように基体シート側を剥離重さ計測装置の支持台に固定させた後に、転写フィルムの転写層に25.4mm幅のセロハン粘着テープ(JIS2152Z)の一端を貼り付け、他端をバネ秤に支持して、支持台とセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)とのなす角度が常に45度の角度を保ち、かつ、25mm/秒の速度でセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)を引っ張る際のバネ秤の重さ(剥離重さ)を測ったところ、基体シートと転写層との初期剥離重さは9.0×10−2 であった。
【0028】
また、厚み25μmのポリエステルフィルムからなる基体シートの一面に、アクリル系樹脂インキを用いて剥離層を形成し、その上にアクリル系樹脂インキを用いて絵柄層を形成し、最後に塩素化ポリプロピレン樹脂インキを用いて接着層を形成して裏面用の転写フィルムとした。この裏面用の転写フィルムについて、前記した剥離重さ計測装置により測定を行なったところ、基体シートと転写層との初期剥離重さは4.9×10−2 であり、上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差は、4.1×10−2 であった。
【0029】
以上のような両転写フィルムを一対として用い、その必要部分を固定型と可動型とにより構成されるキャビティ内に間欠的に供給し、該一対の転写フィルム間に溶融樹脂を射出することによってキャビティ形状に合致した射出成形品を成形すると同時に、該射出成形品の表裏両面に一対の転写フィルムにより加飾を施した。なお、金型内においては、表面用の転写フィルムを固定型側に、また裏面用の転写フィルムを可動型側に配置した。
【0030】
(実施例2) また、厚み38μmのポリエステルフィルムからなる基材フィルムの一面にアクリル系の紫外線硬化性樹脂インキを用いて剥離層を形成し、その上にアクリル系樹脂インキとアルミニウムの蒸着層を用いて絵柄層を形成し、蒸着層をパターニングするために水洗し、最後に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂インキを用いて接着層を形成して裏面用の転写フィルムとした以外、実施例1と同一とした。なお、この場合、裏面用の転写フィルムについて、前記した剥離重さ計測装置により測定を行なったところ、基体シートと転写層との初期剥離重さは7.8×10−2 であり、上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差は、1.2×10−2 であった。
【0031】
(比較例) また、比較例として、裏面用の転写フィルムを実施例1の表面用の転写フィルムとした以外、実施例1と同一とした。すなわち、この場合、上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差はない。
【0032】
上記実施例1に係る成形同時両面転写品の製造方法においては、表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さに差を充分に持たせたので、型開きの際、確実に、先ず初期剥離重さの軽い方の転写フィルムで基体シートと転写層との間で剥離が起きる。また、上記実施例2に係る成形同時両面転写品の製造方法においても、、開きの際、ほとんどの場合、先ず初期剥離重さの軽い方の転写フィルムで基体シートと転写層との間で剥離が起きる。つまり、取り出し作業を効率よく行なうことが出来た。これに対して、比較例に係る成形同時両面転写品の製造方法においては、表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さに差が充分ではないので、型開きの際、ある射出成形品については先ず表面用の転写フィルムの基体シートと転写層との間で剥離が起こって裏面用の転写フィルム側に残り、また別の射出成形品ついては先ず裏面用の転写フィルムの基体シートと転写層との間で剥離が起こって表面用の転写フィルム側に残るというように剥離に規則性がなく、取り出し作業を効率よく行なうことが出来なかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【0034】
すなわち、成形同時両面転写品の製造方法において、表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さに差を持たせたので、型開きの際、必ず、先ず初期剥離重さの軽い方の転写フィルムで基体シートと転写層との間で剥離が起きる。したがって、一対の転写フィルと射出成形品との剥離に規則性を付与し、成形後、ロボットで射出成形品を取り出す際に、設定した通りの動きで取り出し作業を行なうことが出来、効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写フィルムの初期剥離重さの測り方を示す断面図である。
【図2】転写フィルムからセロハン粘着テープを剥離している最中の状態を示す斜視図である。
【図3】転写フィルムの一例を示す断面図である。
【図4】本発明の成形同時両面転写品の製造方法において型開き後にロボットアームによって行なわれる射出成形品の取り出し作業の様子を示す断面図である。
【図5】成形同時両面転写工程における一対の転写フィルム間に溶融樹脂を射出開始した状態の一例を示す断面図である。
【図6】成形同時両面転写品の一例を示す断面図である。
【図7】従来技術の成形同時両面転写品の製造方法において型開き後にロボットアームによって行なわれる射出成形品の取り出し作業の様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固定側金型
2 可動側金型
3 スプルー
4 ランナー
5 サイドゲート
6 ピンゲート
7 溶融樹脂
7a 射出成形品
8 バキューム用スリット
9 バキューム用ホール
10 転写フィルム
11 転写フィルム
10a 図柄
11a 図柄
12 キャビティ
13 支持台
14 セロハン粘着テープ
15 水平移動体
16 斜面板
17 蛇腹ベルト
18 ギア
19 モーター
20 バネ秤
20a 引っ掛け部
21 基体シート
22 転写層
23 剥離層
24 絵柄層
25 接着層
26 ロボットアーム

Claims (3)

  1. 複数の金型により構成されるキャビティ内に2枚一対の長尺な転写フィルムの必要部分を間欠的に供給し、該一対の転写フィルム間に溶融樹脂を射出することによってキャビティ形状に合致した射出成形品を成形すると同時に、該射出成形品の表裏両面に一対の転写フィルムにより加飾を施す成形同時両面転写品の製造方法において、表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さに差を持たせることを特徴とする成形同時両面転写品の製造方法。
  2. 上記転写フィルムの基体シート側を剥離重さ計測装置の支持台に固定させた後に、転写フィルムの転写層に25.4mm幅のセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)の一端を貼り付け、他端をバネ秤に支持して、支持台とセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)とのなす角度が常に45度の角度を保ち、かつ、25mm/秒の速度でセロハン粘着テープ(JIS 2152Z)を引っ張る際のバネ秤の重さ(剥離重さ)を測ったとき、上記表面用の転写フィルムの初期剥離重さと裏面用の転写フィルムの初期剥離重さの差が、1.96×10−2 N以上である請求項1記載の成形同時両面転写品の製造方法。
  3. 上記一対の転写フィルムのうち一方のみを型開き時に金型とともに可動させる成形同時両面転写品の製造方法であって、固定側の転写フィルムの初期剥離重さを可動側の転写フィルムの初期剥離重さより重くした請求項1または請求項2のいずれかに記載の成形同時両面転写品の製造方法。
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