JP3855725B2 - 抵抗溶接用電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗溶接ガンの先端に取り付けられる電極のプレス加工による製造方法に関し、特に、電極先端の中央部の平滑度をプレス加工により高める抵抗溶接用電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、抵抗溶接用電極は外表面の平滑度、特に中央部のナゲット形成面の高い平滑度が要求されるため、電極用素材を機械加工により削り出して製作されていたが、高価であるという欠点があり、これを解決するために、特許第2855376号公報に記載されたプレス加工による抵抗溶接用電極の製造方法が提案されている。
【0003】
この特許第2855376号公報に記載された抵抗溶接用電極の製造方法は、図10に示すように、円柱状長棒を切断して得られる電極素材51の両端面57、58をプレス加工により端面矯正を行うと共にその一端中央にナゲット用突部59を形成した後、前記ナゲット用突部59が形成された側を絞り加工510を行うと共に他端面58にパンチガイド511を形成し、次にパンチをパンチガイド511に押圧してシャンク挿通用腔部512を形成するとともに電極全体の粗成形を行い、しかる後、プレスにより前記腔部512周面にテーパ513を付すとともに先端部の最終成形を行うようにしたものである。
【0004】
ところで、抵抗溶接、特にロボット等の自動機に溶接ガンを保持させて自動的にスポット溶接を行わせるような場合には、初めに溶接用電極の間に被溶接部材を挟んで電気抵抗を測定し、この測定値に基づき溶接電流値、通電時間ならびに加圧力等の溶接条件を設定して記憶させ、以後、この溶接条件に従って多数の打点をスポット溶接する。
したがって、この初期の溶接条件の精度が重要であり、この精度が狂うと以後の溶接の品質確保が困難になる。特に、上記電気抵抗には高い精度が要求されるが、この電気抵抗の測定には溶接用電極の中央部の凹凸が大きく影響し、この面が平滑であればあるほど測定精度が向上するため、溶接用電極の中央部の高い平滑度が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特許公報に記載の抵抗溶接用電極の製造方法では、電極素材51の両端面57、58をプレスにより加圧して端面矯正を行い、その一方の端面57の中央にナゲット用突部59を予め形成しただけのため、中央部の平滑度は十分とはいえない。ナゲット用突部59の形成は、ナゲット用突部59が形成された側を絞り加工510を行っても端面57が凹陥することがないだけである。
すなわち、上記従来技術は、抵抗溶接用電極の中央部の平滑度には何ら着眼することなく、単にプレス成形による抵抗溶接用電極の製造によりコストダウンを図るものである。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、プレス成形によって抵抗溶接用電極先端の中央部の平滑度を向上させることができる抵抗溶接用電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1に記載の抵抗溶接用電極の製造方法は、所要長さに切断された円柱状の電極用素材からプレス加工により先端面が略球面状の抵抗溶接用電極を製造する抵抗溶接用電極の製造方法であって、電極用素材の一方の端面の中央部を陥没状に成形しつつ、前記端面の外周部で前記中央部に連続する部分を略球面状に成形する第1プレス工程と、前記中央部をその表面を矯正しつつ突出させる第2プレス工程と、前記中央部を引込めて前記外周部と略平滑に連続する面に成形する第3プレス工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
よって、電極用素材の一方の端面の中央部を一旦陥没状に成形しつつ、外周部を球面状に成形して中央部に連続させ、次いで、陥没状に成形された中央部を逆に突出状に成形した後、その中央部を引込めて外周部と略平滑に連続する面に成形するようにしたので、端面中央部の顕微鏡的凹凸が陥没と突出の往復のプレス成形により矯正され、平滑な連続面が得られ、溶接条件の初期設定の精度向上が図れる。
【0009】
また、本発明に係る請求項2に記載の抵抗溶接用電極の製造方法は、前記第1プレス工程が、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、前記ダイスの凹部内に前記電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させた状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであることを特徴とする。
【0010】
よって、第1プレス工程では、球面状の底部にカウンタポンチを貫通した凹部を有するダイスの、該凹部に電極用素材を挿入し、該電極用素材をセンタポンチにて押圧する際に、前記カウンタポンチをダイスの凹部の底部より突出状態とすることにより、前記電極用素材の先端の中央部を陥没状に成形することができ、その成形後、センタポンチをダイスから離脱させるとともにカウンタポンチをさらに突出させることにより前記電極用素材をダイスの凹部から押し出すことができる。
【0011】
また、本発明に係る請求項3に記載の抵抗溶接用電極の製造方法は、前記第2プレス工程が、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、前記ダイスの凹部内に前記第1プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチを前記貫通孔内に陥没させた状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであり、前記第2プレス工程後、前記センタポンチを前記ダイスから離脱させるとともに、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより、前記電極用素材を前記凹部内から押し出すことを特徴とする
【0012】
よって、第2プレス工程では、球面状の底部にカウンタポンチを貫通した凹部を有するダイスの、該凹部に第1プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、該電極用素材をセンタポンチにて押圧する際に、前記カウンタポンチをダイスの凹部の底部より貫通孔内に陥没状態とすることにより、前記電極用素材の先端の中央部を突出状に成形することができ、その成形後、センタポンチをダイスから離脱させるとともにカウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより前記電極用素材をダイスの凹部から押し出すことができる。
【0013】
また、本発明に係る請求項4に記載の抵抗溶接用電極の製造方法は、前記第3プレス工程が、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、前記ダイスの凹部内に前記第2プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチの上端面を前記凹部の底部と同一面とした状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであり、前記第3プレス工程後、前記センタポンチを前記ダイスから離脱させるとともに、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより、前記電極用素材を前記凹部内から押し出すことを特徴とする。
【0014】
よって、第3プレス工程では、球面状の底部にカウンタポンチを貫通した凹部を有するダイスの、該凹部に第2プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、該電極用素材をセンタポンチにて押圧する際に、前記カウンタポンチの上端面をダイスの凹部の底部と同一面とすることにより、前記電極用素材の先端の中央部をその外周部と平滑に連続する面に成形することができ、その成形後、センタポンチをダイスから離脱させるとともにカウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより前記電極用素材をダイスの凹部から押し出すことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る抵抗溶接用電極の製造方法の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。ここで、図1は、電極成形治具を示した側部断面図であり、図2乃至図4は、抵抗溶接用電極の成形過程を示す拡大側部断面図である。
【0016】
(構成)
まず、本発明に係る抵抗溶接用電極の製造方法に用いる電極成形治具の構成について説明する。なお、この電極成形治具2は、電極成形の各プレス工程毎(本実施の形態では3工程)に若干の形状の相違を持って設定されるが、同一機能の構成要素は各工程共通の符号を付して説明する。
電極成形治具2は、図1に示すように、中央に電極を成形する凹部21を有するダイス20と、凹部21に挿入した電極用素材11をこのダイス20の上方から押圧するセンタポンチ30と、成形の終了した電極用素材11を下方から押圧してダイス20から脱型させるカウンタポンチ40とから構成されている。
【0017】
ダイス20は、略中央に、電極用素材11の外径より若干細径の内径を有し底面が球面状でその中央部に後述するカウンタポンチ40が貫通する貫通孔22が形成された凹部21を有するブロック状のものである。
【0018】
センタポンチ30は、ダイス20の上方に臨み、筒状のセンタポンチガイド31の内部に収納される軸部301と、その下端はセンタポンチガイド31の下端面から突出してダイス20の凹部21の開口より該凹部21内に挿入された電極用素材11の上面を押圧する押圧部302からなっている。
【0019】
押圧部302は、各プレス工程のセンタポンチ30によっては若干形状が異なっている。
すなわち、図2に示す第1プレス工程に使用するセンタポンチ30の軸部301の先端の押圧部302は、その外径は凹部21の開口の内径より若干小さく、該凹部21に密に嵌入するようになっており、下端面が平面状である。
図3に示す第2プレス工程に使用するセンタポンチ30の軸部301の先端の押圧部302は、その外径は凹部21の開口の内径より小さく、該押圧部302とセンタポンチガイド31との間にスリーブが挿入され、押圧部302の下端面がスリーブの下端より突出して電極用素材11の上面にシャンク用凹部14の凹陥部141を予備成形するようになっている。
【0020】
さらに、図4に示す第3プレス工程に使用するセンタポンチ30の軸部301の先端の押圧部302は、その外径は凹部21の開口の内径より小さく先細状のテーパとなり、電極用素材11の上面に深く圧入されてシャンク用凹部14の凹陥部141を最終成形するようになっている。
【0021】
カウンタポンチ40は、上端が前記ダイス20の貫通孔22から凹部21内に出没可能な細棒状の受圧部401と、受圧部401の下方で太径の鍔部402と、鍔部402の下面から下方に突出するプッシュロッド403とからなり、鍔部402により筒状のカウンタポンチガイド41内を案内されて、図示略のシリンダにより上下方向に摺動する。
鍔部402の上面で受圧部401の外周に、カウンタポンチ40が上昇して停止するときにクッションとなるコイルバネ42が嵌装されている。
【0022】
以上のように構成された電極成形治具2は、図示は省略したが、プレス機の上下のベッドに工程順に並べて取り付けられ、前工程のプレス工程で成形された電極用素材11を小型のロボットハンドで掴んで次のプレス工程の電極成形治具2に送るように配置される。
すなわち、プレス機の上方のベッドにセンタポンチ30とセンタポンチガイド31の上端が取り付けられ、下方のベッドにカウンタポンチガイド41の下面が取り付けられる。カウンタポンチ40下端のプッシュロッド403には、別に設けたシリンダ(図略)が接続され、このシリンダにより、カウンタポンチ40の上下摺動が行われる。
【0023】
(作用)
次に、上述したようにプレス機に配設された電極成形治具2を用いて抵抗溶接用電極を製造する方法について説明する。
まず、長尺の棒材を切断して電極用素材11を準備しておく。そして、この電極用素材11を図2に示す第1プレス工程のダイス20の凹部21に挿入する。
この第1プレス工程では、図略のシリンダを作動させて凹部21の底部の貫通孔22からカウンタポンチ40の受圧部401の上端を約0.3mm上方に突出させた状態にしておく。
なお、図2はダイス20とセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31が閉じた状態を示しているが、電極用素材11を挿入するときは上記両者は開いた状態としておく。(以下の工程も同じ。)
【0024】
凹部21は電極用素材11を第1プレス工程の外形形状に成形するように、その内形が形成されているので、電極用素材11は当初、凹部21の開口に僅か入る程度である。
この状態でプレス機を作動させてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20に向かって下降させると、センタポンチ30先端の押圧部302が電極用素材11の上面111を押圧しながら電極用素材11を徐々に凹部21内に圧入していく。
【0025】
凹部21は、その底面が球面状となっているため、電極用素材11の一方の端面である下面112の外周部で、図2(B)に示すように、中央に連続する部分を略球面状に成形して絞り加工面12を形成する。
このとき、凹部21の底部の貫通孔22からカウンタポンチ40の受圧部401が突出した状態となっているので、電極用素材11の一方の端面である下面112は、図2(B)に示すように、中央部13を陥没状131に形成することとなる。
中央部13を一旦、陥没状に形成すると、図6に示す切断しただけの状態の電極用素材11の下面112の顕微鏡的断面の凹凸部のうち、図7に示すように、下方に凸部となっていた部分が押し込まれ、凹部のみが残る。
【0026】
以上で第1プレス工程が終了し、図5に示すように、プレス機を開いてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20から上昇させ、さらに図略のシリンダを作動させてカウンタポンチ40をカウンタポンチガイド41に沿って上昇させることにより、カウンタポンチ40が凹部21内に突出し受圧部401が凹部21に圧入されている電極用素材11を上方へ押圧してダイス20外へ排出する。
排出された電極用素材11を小型ロボットにより掴んで次のプレス工程の電極成形治具2の凹部21に挿入する。
【0027】
次に、図3(A)に示す第2プレス工程では、凹部21が第1プレス工程を終了した電極用素材11の外形をさらに僅か絞り込むような内形に形成されているので、電極用素材11は凹部21の開口に僅か入る程度である。
この第2プレス工程では、シリンダを作動させて凹部21の底部の貫通孔22からカウンタポンチ40の受圧部401の上端を、第1プレス工程とは逆に、約0.3mm下方に凹ませておく
この状態でプレス機を作動させてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20に向かって下降させると、センタポンチ30先端の押圧部302が電極用素材11の上面111を押圧しながら電極用素材11を徐々に凹部21内に圧入していく。
【0028】
凹部21は、その底面が球面状となっているため、電極用素材11の一方の端面である下面112の外周部で、図3(B)に示すように、中央に連続する部分を第1プレス工程よりさらに絞った略球面状に成形して絞り加工面12を形成する。
このとき、凹部21の底部の貫通孔22にカウンタポンチ40の受圧部401が没入した状態となっているので、電極用素材11の一方の端面である下面112は、図3(B)に示すように、中央部13を突出状131に形成して矯正することとなる。
【0029】
中央部13を一旦、陥没状131に成形(第1プレス工程)し第2プレス工程で逆に突出状132に成形すると、図7に示す凹部のみが残っていた電極用素材11の下面112が、図8に示すように、下方に押し出され凹凸の少ない平滑な面となる。
また、電極用素材11の上面111には、シャンク用凹部14の予備加工として深さの浅い凹陥部141が形成される。
【0030】
以上で第2プレス工程が終了し、第1プレス工程と同様に図5に示すように、プレス機を開いてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20から上昇させ、さらに図略のシリンダを作動させてカウンタポンチ40をカウンタポンチガイド41に沿って上昇させることにより、カウンタポンチ40が凹部21内に突出し受圧部401が第2プレス工程を終了して凹部21に圧入されている電極用素材11を上方へ押圧してダイス20外へ排出する。
排出された電極用素材11を小型ロボットにより掴んで次のプレス工程の電極成形治具2の凹部21に挿入する。
【0031】
次に、図4(A)に示す第3工程では、凹部21が第2プレス工程を終了した電極用素材11の外形をさらに僅か絞り込むような内形に形成されているので、電極用素材11は凹部21の開口に僅か入る程度である。
この第3プレス工程では、凹部21の底部の貫通孔22に挿入されたカウンタポンチ40の受圧部401の上端を、シリンダを作動させて凹部21の底面と略同一となるように位置させておく。
【0032】
この状態でプレス機を作動させてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20に向かって下降させると、先端が第2プレス工程でシャンク用凹部14の予備として加工された凹陥部141より細くテーパ状に成形されたセンタポンチ30先端の押圧部302が電極用素材11の凹陥部141を押圧しながら電極用素材11を徐々に凹部21内に圧入していく。
【0033】
凹部21は、その底面が球面状となっているため、電極用素材11の一方の端面である下面112の外周部で、図4(B)に示すように、中央に連続する部分を第2プレス工程よりさらに絞った略球面状に成形し、その中央部13を引込めて外周部と略平滑に連続する絞り加工面12を形成する。
また、電極用素材11上部の凹陥部141をこれより細径の押圧部302で押圧するので、センタポンチ30が電極用素材11に挿入され、センタポンチ30の挿入により押し出された材料がセンタポンチ30とダイス20の間の空間に流入し、結果として第1プレス工程、第2プレス工程の電極用素材11より高さの高い電極用素材11が形成される。
【0034】
また、この電極用素材11の下面112は、カウンタポンチ40の受圧部401の半径40mm程度の僅かな円弧状に形成された先端がダイス20の凹部21の底面と同一面に保持されているため、図4(B)に示すように、第2工程で下方に突出状に形成された中央部13は再び上方に押圧され、図9に示すような電極用素材11の絞り加工面12から連続する僅かな円弧状の平滑な中央部13として成形される。
【0035】
以上で第3プレス工程が終了し、第1プレス工程、第2プレス工程と同様に図5に示すように、プレス機を開いてセンタポンチ30及びセンタポンチガイド31をダイス20から上昇させ、さらに図略のシリンダを作動させてカウンタポンチ40をカウンタポンチガイド41に沿って上昇させることにより、カウンタポンチ40が凹部21内に突出し受圧部401が第3プレス工程を終了して凹部21に圧入されている電極用素材11を上方へ押圧してダイス20外へ排出して抵抗溶接用電極の製造が完了する。
排出された電極用素材11を小型ロボットにより掴んで図略の完成品収納パレットに収容する。
【0036】
このように、電極用素材11をダイス20の凹部21に圧入し、センタポンチ30により押圧して電極用素材11をプレス成形するときに、その下面112の中央部13を、ダイス20の凹部21底部の貫通孔22に挿通したカウンタポンチ40の出没により、一旦陥没状131に成形し、次いで逆に突出状132に成形し、最終的に絞り加工面12と連続する平滑な球面状に成形するようにしたので、中央部13を微細な凹凸の少ない平滑な面に仕上げることができ、プレス成形によって安価に溶接条件初期設定時の電気抵抗値の精度が高い抵抗溶接用電極を製造することが可能となった。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、所要長さに切断された円柱状の電極用素材からプレス加工により先端面が略球面状の抵抗溶接用電極を製造する抵抗溶接用電極の製造方法であって、電極用素材の一方の端面の中央部を陥没状に成形しつつ、前記端面の外周部で前記中央部に連続する部分を略球面状に成形する第1プレス工程と、前記中央部をその表面を矯正しつつ突出させる第2プレス工程と、前記中央部を引込めて前記外周部と略平滑に連続する面に成形する第3プレス工程と、から構成したので、工程数を減らして安価に、平滑な中央部を有する抵抗溶接用電極を製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法に用いる電極成形治具を示した側部断面図である。
【図2】 (A)は、本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の成形の第1プレス工程を示す拡大側部断面図であり、(B)は、成形された抵抗溶接用電極の断面図である。
【図3】 (A)は、本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の成形の第2プレス工程を示す拡大側部断面図であり、(B)は、成形された抵抗溶接用電極の断面図である。
【図4】 (A)は、本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の成形の第3プレス工程を示す拡大側部断面図であり、(B)は、成形された抵抗溶接用電極の断面図である。
【図5】 本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の脱型状態を、第1プレス工程を代表して示した側部断面図である。
【図6】 電極用素材の切断した状態の拡大断面図である。
【図7】 本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の第1プレス工程終了時の拡大断面図である。
【図8】 本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の第2プレス工程終了時の拡大断面図である。
【図9】 本発明の一の実施の形態に係る抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の第3プレス工程終了時の拡大断面図である。
【図10】 従来のプレス成形による抵抗溶接用電極の製造方法を適用した抵抗溶接用電極の成形過程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 抵抗溶接用電極
11 電極用素材
12 絞り加工面
13 中央部
131 陥没状
132 突出状
133 平滑に連続する面
14 シャンク用凹部
2 電極成形治具
20 ダイス
30 センタポンチ
40 カウンタポンチ
Claims (4)
- 所要長さに切断された円柱状の電極用素材からプレス加工により先端面が略球面状の抵抗溶接用電極を製造する抵抗溶接用電極の製造方法であって、
電極用素材の一方の端面の中央部を陥没状に成形しつつ、前記端面の外周部で前記中央部に連続する部分を略球面状に成形する第1プレス工程と、
前記中央部をその表面を矯正しつつ突出させる第2プレス工程と、
前記中央部を引込めて前記外周部と略平滑に連続する面に成形する第3プレス工程と、
を備える抵抗溶接用電極の製造方法。 - 請求項1に記載の抵抗溶接用電極の製造方法において、
前記第1プレス工程は、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、
前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、
前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、
前記ダイスの凹部内に前記電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させた状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであり、
前記第1プレス工程後、前記センタポンチを前記ダイスから離脱させるとともに、前記カウンタポンチをさらに突出させることにより、前記電極用素材を前記凹部内から押し出すことを特徴とする抵抗溶接用電極の製造方法。 - 請求項1に記載の抵抗溶接用電極の製造方法において、
前記第2プレス工程は、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、
前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、
前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、
前記ダイスの凹部内に前記第1プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチを前記貫通孔内に陥没させた状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであり、
前記第2プレス工程後、前記センタポンチを前記ダイスから離脱させるとともに、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより、前記電極用素材を前記凹部内から押し出すことを特徴とする抵抗溶接用電極の製造方法。 - 請求項1に記載の抵抗溶接用電極の製造方法において、
前記第3プレス工程は、底面が球面状でその中央部に貫通孔が形成された凹部を有するダイスと、
前記凹部の開口より該凹部内に圧入可能なセンタポンチと、
前記貫通孔より前記凹部内に出没可能に設けられたカウンタポンチとを用い、
前記ダイスの凹部内に前記第2プレス工程を終了した電極用素材を挿入し、前記カウンタポンチの上端面を前記凹部の底部と同一面とした状態で、前記センタポンチを前記凹部内に圧入することにより、前記電極用素材を前記凹部の底部側に押圧するものであり、
前記第3プレス工程後、前記センタポンチを前記ダイスから離脱させるとともに、前記カウンタポンチを前記凹部内に突出させることにより、前記電極用素材を前記凹部内から押し出すことを特徴とする抵抗溶接用電極の製造方法。
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