JP3855289B2 - 回転機構 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車等の回転体とこの回転体を回転可能に軸支する保持軸を備えたモールドフレームとから成る回転機構に関する。
【0002】
近年、OA機器の普及に伴い、イメージスキャナー或いはプリンタ装置等の軽量化ニーズと低コスト化ニーズが高まってきている。本発明は、前記回転機構を合成樹脂で構成することで低コスト化と軽量化を実現すると共に、摺動部分(回転部分)を潤滑するための潤滑機能を内蔵させることによって該回転機構のメンテナンスフリー化を実現させたことを特徴とするものである。
【0003】
【従来の技術】
図5(a) と(b) は従来の回転機構の一構造例を示す図であって、(a) は樹脂モールド製の回転体をモールドフレーム側に設けられた金属製の保持軸で保持する構造を示し、(b) は樹脂モールド製の回転体をモールドフレーム側に設けられた樹脂モールド製の保持軸で保持する構造を示している。
【0004】
図5(a) に示す回転機構は、金属製の保持軸18を一体的にモールドした合成樹脂製のモールドフレーム1Aと、前記保持軸18によって回転可能に軸支された合成樹脂製のモールド回転体3X(以下回転体3Xと呼ぶ)と、該回転体3Xの脱落を防止するための押えリング4と、を具備する。この回転機構は、前記回転体3Xを図示のように保持軸18に係入させた後、前記押えリング4を保持軸18に圧入して該回転体3Xの脱落を防止するようになっている。なお、この回転体3Xは歯車であることから外周部分に歯車部3aを備えている。
【0005】
この回転機構は、回転体3Xが合成樹脂モールド製であり、一方これを軸支する保持軸18が金属製であるために回転部の滑りが比較的良い。このため、潤滑剤を回転部分に供給しなくても特に支障はない。しかしながら、本例のように回転体3Xが歯車である場合は歯車部3aを潤滑する必要があることから該歯車部3aを主体に定期的な注油を行う等のメンテナンスが必要である。
【0006】
なお、前記回転体3Xは例えばポリアセタール樹脂(POM)を用いて製作され、前記モールドフレーム1Aは例えばABS樹脂を用いて製作される。また、このモールドフレーム1Aと一体的に成形される前記保持軸18は例えばニッケルクロム鋼(比重は約8)等を用いて製作される。
【0007】
以上の説明から明らかなように、図5(a) に開示した回転機構は、保持軸18が金属製で比重が大きいために回転機構を軽量化することができないという問題点がある。また、この回転機構は、保持軸18を別工程で製作する必要があるために回転機構の低コスト化を実現することができない。
【0008】
次は図5(b) に開示した回転機構について説明する。
この回転機構は、回転体3Xを回転可能に軸支する保持軸部8がモールドフレーム1と同一材料を用いて製作されている点に特徴がある。
【0009】
保持軸部8がモールドフレーム1と同一材料である場合は、モールドフレーム1と保持軸部8が一体的に形成されることから保持軸部8のみを別工程で製作する必要がない。このため、図5(b) に示す回転機構の場合は保持軸18〔図1(a) 参照〕を金属で製作する場合に比して簡単且つ安価に回転機構を製作することができる。特にこの回転機構は保持軸部8がABS樹脂で構成されていることから保持軸18を金属で製作する場合に比して回転機構を軽量化することができる。因みにABS樹脂の比重は約1.3 〜1.4 である。
【0010】
しかしながら、図5(b) に開示した回転機構にも問題点がある。それは、回転体3Xとこれを回転可能に軸支する静止体(モールドフレーム1)がともに合成樹脂である場合は、潤滑剤の供給を充分に行わないと回転部分が回転時の摩擦熱によって焼結して回転不能になる危険性があるという点である。このため、図5(b) に開示した回転機構の場合は回転部分に対する潤滑剤の供給方法と回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑剤の供給方法を配慮する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から明らかなように、図5(a) に示す回転機構の場合は、工程数が増加する点と、回転機構を軽量化できない点と、回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑を配慮する必要があるという点に問題がある。また、図5(b) に示す回転機構の場合は、回転体3Xの回転部分に対する潤滑方法と、回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑方法を並行的に配慮しなければならないといった問題点がある。
【0012】
本発明は、これら従来の問題点を解決して軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を実現させた回転機構を提供することをその目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による回転機構は、図1(a) と(b) に示すように、合成樹脂製のモールドフレーム1と、該モールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支された合成樹脂製の回転体3と、を具備してなる回転機構において、前記モールドフレーム1は前記保持軸部8の外側に環状の凹部17と、該凹部17の外側に環状の凸部2とを有し、前記回転体3 は前記モールドフレームを係合させたときに、前記凸部2が間隙を有して係合する環状の凹部7を有し、前記回転体3の前記凹部17と前記モールドフレーム1の前記凸部2との間の前記間隙に潤滑剤80が貯蔵されることを構成上の特徴とする。なお、この隙間は、断面形状が屈折していてラビリンス効果を有することから以下これをラビリンス構造部10と呼ぶ。
【0014】
回転体3側に設けられた凹部7にモールドフレーム1側に設けられた凸部2を非接触で係入させることによって形成される前記ラビリンス構造部10は、断面形状が略コの字型に屈折していることから、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、回転体3が回転しているときは流体の流れに対して抵抗を与えるラビリンスシールとして作用する。
【0015】
なお、このラビリンス構造部10内に充填された潤滑剤80は、図1(b) に示すように、凹部7,17と凸部2間に形成される隙間から矢印A方向と矢印A’方向に流出して回転体3の歯車部3aと回転体3の回転部分(モールドフレーム1の保持軸部8と回転体3の軸嵌入孔13)を潤滑する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による回転機構の第1実施例を示す図であって、(a) は要部側断面図、(b) はその“イ”部分の拡大図である。図中、1はモールドフレーム、2はモールドフレーム1側に設けられた凸部、3は回転体、3aは回転体3の外周部分に形成された歯車部、4は押えリング、7は回転体3側に設けられた凹部、17はモールドフレーム1側に設けられた凹部、8はモールドフレーム1と同一材料を用いて該モールドフレーム1と一体的に形成された保持軸部、10は凹部7,17と凸部2によって形成される屈折した隙間によって構成されるラビリンス構造部、13は回転体3の回転中心O上に設けられた軸嵌入孔、80は潤滑剤、をそれぞれ示す。
【0017】
本発明による回転機構は、図1(a) と(b) に示すように、合成樹脂製のモールドフレーム1と、該モールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支された合成樹脂製の回転体3と、を具備してなる回転機構において、前記回転体3と前記モールドフレーム1を係合させたとき、これら回転体3とモールドフレーム1が対向する側の面に、潤滑剤80が貯蔵される隙間が形成されるようにしたことを構成上の特徴とするものである。なお、前記隙間は、断面形状が屈折していてラビリンス効果を有することからラビリンス構造部10と呼ばれるもので、この回転機構は該ラビリンス構造部10の中に貯蔵された潤滑剤80によって回転部分と歯車部3aを潤滑する。
【0018】
前記回転体3側に設けられた凹部7にモールドフレーム1側に設けられた凸部2を非接触で係入させることによって形成される断面形状が略コの字状の前記ラビリンス構造部10は、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、回転体3が回転しているときは流体の流れに対して抵抗を与えるラビリンスシールとして作用する。
【0019】
前記ラビリンス構造部10内に貯蔵されている潤滑剤80は、凸部2と凹部7との間に形成される狭小な隙間g〔図1(b) 参照〕から矢印A方向及び矢印A’方向に滲み出して回転体3の外周部分に形成されている歯車部3aと回転部分(軸嵌入孔13と保持軸部8間)を潤滑する。なお、潤滑剤80を滲み出させるために凸部2と凹部7間に形成される前記隙間gのサイズについては特定しないが、この隙間gのサイズはラビリンス構造部10内に充填される潤滑剤80の種類対応に決定される。因みに本実施例ではこの隙間が約0.5mm (500 μm )に設定されている。
【0020】
なお、前記潤滑剤80は、(1) 潤滑性が良いこと。(2) プラスチックに悪影響を与えないこと。(3) 適度の滲み出し性を有すること。等の条件を満足する必要があることから、本実施例では、ダウコーニング社(DOW CORNING社)製の「モリコートEM−30Lグリース」を用いている。
【0021】
図2(a) と(b) は構成部材の一形状例を示す図であって、(a) は回転体の正面図であり、(b) はモールドフレームの要部正面図である。
回転体3は図2(a) に示すように、回転中心O上に軸嵌入孔13が形成され、該軸嵌入孔13の外周部にラビリンス構造部10(図1参照)を構成する環状の凹部7が形成され、該凹部7の外周部分に歯車部3aが形成された歯車部材である。例えばポリアセタール樹脂等をモールド成形することによって製作されるこの回転体3は、以下に述べるモールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支される。
【0022】
モールドフレーム1は図2(b) に示すように、回転中心O上に前記回転体3を回転可能に軸支する保持軸部8が形成され、この保持軸部8の外側に前記ラビリンス構造部10を構成する環状の凹部17が形成され、さらにその外側に前記凹部7内にこれと非接触状態で係入する環状の凸部2が形成されたモールド製の部材である。このモールドフレーム1は、例えばABS樹脂等をモールド成形することによって製作される。
【0023】
図3(a) と(b) は本発明の第2実施例を示す図であって、(a) は正面図、(b) はその模式的側断面図である。
図3(a) と(b) に示すように、この第2実施例は、回転体3Aの回転運動に対応してラビリンス構造部10内の潤滑剤80を該モールド回転体3Aの外周方向に誘導する外周方向誘導溝11と、該潤滑剤80を該モールド回転体3Aの内周方向に誘導する内周方向誘導溝12と、を該回転体3Aの一方の側面に設けたことを特徴とするものである。
【0024】
前記外周方向誘導溝11は図3(a) に示すように一方向に傾斜しているが、これは回転体3Aの回転によって生じる遠心力によって必要以上の潤滑剤80が外周方向に流出するのを防止するためである。なお、回転体3Aが回転しているときの潤滑剤80の外周面方向への流出量は、回転体3Aが矢印R方向に回転することによって生じる遠心力と、回転体3Aが矢印R方向に回転することによって外周方向誘導溝11の中に入り込もうとする空気の量をバランスさせることによって制御されるが、この外周方向誘導溝11の傾斜角度を変化させるのも一方法である。
【0025】
また、内周方向誘導溝12も前記外周方向誘導溝11と同一方向に傾斜した形になっているが、これは回転体3Aが回転しているときは遠心力によって潤滑剤80が外周方向へ集中的に流出する傾向があるのでこれを防止するためである。即ちこの内周方向誘導溝12は、前記ラビリンス構造部10内に貯蔵されている潤滑剤80を内周方向誘導溝12の斜面ですくい取るようにしてこれを軸嵌入孔13側へ供給するのである。なお、回転体3Aが回転しているときの潤滑剤80の内周面方向への流出量は、例えば内周方向誘導溝12の傾斜角度を変化させる等によって制御することができる。
【0026】
図4(a) と(b) は本発明による回転機構の第3実施例を示す図であって、(a) は第3実施例に適用される回転体の模式的側断面図、(b) は構成部材の一形状例を示す模式的斜視図である。
【0027】
図4(a) に示すように、この第3実施例に開示した回転体3Bは、ラビリンス構造部10(図1参照)の一部である凹部7の中に潤滑剤80を注入するための潤滑剤注入孔15を有するとともに、内周面に雌ねじが形成された該潤滑剤注入孔15を開閉するための漏洩防止ねじ16を有する。この第3実施例は、回転機構のメンテナンスを容易化するために創案されたもので、回転体3Bの外側から凹部7内に潤滑剤80を注入するための潤滑剤注入孔15を備えていることから、この第3実施例を適用すると凹部7に潤滑剤80を注入したり補給したりするときに回転体3Bを取り外す必要がないのでメンテナンスが著しく容易化される。
【0028】
なお、この実施例では漏洩防止ねじ16と回転体3Bとを同一の材料を用いて製作しているが、これは回転体3Bが回転運動を行う際の動的バランスを考慮したためである。
【0029】
本発明によるこの回転機構は、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、該回転体3が回転しているときはラビリンスシールとして作用するラビリンス構造部10を内蔵していることから、この発明を適用することによって回転機構の軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を容易に実現することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるこの回転機構は、回転体が静止しているときは潤滑剤の貯蔵タンクとして作用し、該回転体が回転しているときはラビリンスシールとして作用するラビリンス構造部を内蔵していることから、この発明を適用することによって回転機構の軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による回転機構の第1実施例を示す図、
【図2】 構成部材の一形状例を示す図、
【図3】 本発明による回転機構の第2実施例を示す図、
【図4】 本発明による回転機構の第3実施例を示す図、
【図5】 従来の回転機構の一構造例を示す図、
【符号の説明】
1,1A モールドフレーム
2 凸部
3,3A,3B,3X 回転体
3a 歯車部
4 押えリング
7,17 凹部
8 保持軸部
10 ラビリンス構造部
11 外周方向誘導溝
12 内周方向誘導溝
13 軸嵌入孔
15 潤滑剤注入孔
16 漏洩防止ねじ
18 保持軸
80 潤滑剤
O 回転中心
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車等の回転体とこの回転体を回転可能に軸支する保持軸を備えたモールドフレームとから成る回転機構に関する。
【0002】
近年、OA機器の普及に伴い、イメージスキャナー或いはプリンタ装置等の軽量化ニーズと低コスト化ニーズが高まってきている。本発明は、前記回転機構を合成樹脂で構成することで低コスト化と軽量化を実現すると共に、摺動部分(回転部分)を潤滑するための潤滑機能を内蔵させることによって該回転機構のメンテナンスフリー化を実現させたことを特徴とするものである。
【0003】
【従来の技術】
図5(a) と(b) は従来の回転機構の一構造例を示す図であって、(a) は樹脂モールド製の回転体をモールドフレーム側に設けられた金属製の保持軸で保持する構造を示し、(b) は樹脂モールド製の回転体をモールドフレーム側に設けられた樹脂モールド製の保持軸で保持する構造を示している。
【0004】
図5(a) に示す回転機構は、金属製の保持軸18を一体的にモールドした合成樹脂製のモールドフレーム1Aと、前記保持軸18によって回転可能に軸支された合成樹脂製のモールド回転体3X(以下回転体3Xと呼ぶ)と、該回転体3Xの脱落を防止するための押えリング4と、を具備する。この回転機構は、前記回転体3Xを図示のように保持軸18に係入させた後、前記押えリング4を保持軸18に圧入して該回転体3Xの脱落を防止するようになっている。なお、この回転体3Xは歯車であることから外周部分に歯車部3aを備えている。
【0005】
この回転機構は、回転体3Xが合成樹脂モールド製であり、一方これを軸支する保持軸18が金属製であるために回転部の滑りが比較的良い。このため、潤滑剤を回転部分に供給しなくても特に支障はない。しかしながら、本例のように回転体3Xが歯車である場合は歯車部3aを潤滑する必要があることから該歯車部3aを主体に定期的な注油を行う等のメンテナンスが必要である。
【0006】
なお、前記回転体3Xは例えばポリアセタール樹脂(POM)を用いて製作され、前記モールドフレーム1Aは例えばABS樹脂を用いて製作される。また、このモールドフレーム1Aと一体的に成形される前記保持軸18は例えばニッケルクロム鋼(比重は約8)等を用いて製作される。
【0007】
以上の説明から明らかなように、図5(a) に開示した回転機構は、保持軸18が金属製で比重が大きいために回転機構を軽量化することができないという問題点がある。また、この回転機構は、保持軸18を別工程で製作する必要があるために回転機構の低コスト化を実現することができない。
【0008】
次は図5(b) に開示した回転機構について説明する。
この回転機構は、回転体3Xを回転可能に軸支する保持軸部8がモールドフレーム1と同一材料を用いて製作されている点に特徴がある。
【0009】
保持軸部8がモールドフレーム1と同一材料である場合は、モールドフレーム1と保持軸部8が一体的に形成されることから保持軸部8のみを別工程で製作する必要がない。このため、図5(b) に示す回転機構の場合は保持軸18〔図1(a) 参照〕を金属で製作する場合に比して簡単且つ安価に回転機構を製作することができる。特にこの回転機構は保持軸部8がABS樹脂で構成されていることから保持軸18を金属で製作する場合に比して回転機構を軽量化することができる。因みにABS樹脂の比重は約1.3 〜1.4 である。
【0010】
しかしながら、図5(b) に開示した回転機構にも問題点がある。それは、回転体3Xとこれを回転可能に軸支する静止体(モールドフレーム1)がともに合成樹脂である場合は、潤滑剤の供給を充分に行わないと回転部分が回転時の摩擦熱によって焼結して回転不能になる危険性があるという点である。このため、図5(b) に開示した回転機構の場合は回転部分に対する潤滑剤の供給方法と回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑剤の供給方法を配慮する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から明らかなように、図5(a) に示す回転機構の場合は、工程数が増加する点と、回転機構を軽量化できない点と、回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑を配慮する必要があるという点に問題がある。また、図5(b) に示す回転機構の場合は、回転体3Xの回転部分に対する潤滑方法と、回転体3Xの歯車部3aに対する潤滑方法を並行的に配慮しなければならないといった問題点がある。
【0012】
本発明は、これら従来の問題点を解決して軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を実現させた回転機構を提供することをその目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による回転機構は、図1(a) と(b) に示すように、合成樹脂製のモールドフレーム1と、該モールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支された合成樹脂製の回転体3と、を具備してなる回転機構において、前記モールドフレーム1は前記保持軸部8の外側に環状の凹部17と、該凹部17の外側に環状の凸部2とを有し、前記回転体3 は前記モールドフレームを係合させたときに、前記凸部2が間隙を有して係合する環状の凹部7を有し、前記回転体3の前記凹部17と前記モールドフレーム1の前記凸部2との間の前記間隙に潤滑剤80が貯蔵されることを構成上の特徴とする。なお、この隙間は、断面形状が屈折していてラビリンス効果を有することから以下これをラビリンス構造部10と呼ぶ。
【0014】
回転体3側に設けられた凹部7にモールドフレーム1側に設けられた凸部2を非接触で係入させることによって形成される前記ラビリンス構造部10は、断面形状が略コの字型に屈折していることから、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、回転体3が回転しているときは流体の流れに対して抵抗を与えるラビリンスシールとして作用する。
【0015】
なお、このラビリンス構造部10内に充填された潤滑剤80は、図1(b) に示すように、凹部7,17と凸部2間に形成される隙間から矢印A方向と矢印A’方向に流出して回転体3の歯車部3aと回転体3の回転部分(モールドフレーム1の保持軸部8と回転体3の軸嵌入孔13)を潤滑する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による回転機構の第1実施例を示す図であって、(a) は要部側断面図、(b) はその“イ”部分の拡大図である。図中、1はモールドフレーム、2はモールドフレーム1側に設けられた凸部、3は回転体、3aは回転体3の外周部分に形成された歯車部、4は押えリング、7は回転体3側に設けられた凹部、17はモールドフレーム1側に設けられた凹部、8はモールドフレーム1と同一材料を用いて該モールドフレーム1と一体的に形成された保持軸部、10は凹部7,17と凸部2によって形成される屈折した隙間によって構成されるラビリンス構造部、13は回転体3の回転中心O上に設けられた軸嵌入孔、80は潤滑剤、をそれぞれ示す。
【0017】
本発明による回転機構は、図1(a) と(b) に示すように、合成樹脂製のモールドフレーム1と、該モールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支された合成樹脂製の回転体3と、を具備してなる回転機構において、前記回転体3と前記モールドフレーム1を係合させたとき、これら回転体3とモールドフレーム1が対向する側の面に、潤滑剤80が貯蔵される隙間が形成されるようにしたことを構成上の特徴とするものである。なお、前記隙間は、断面形状が屈折していてラビリンス効果を有することからラビリンス構造部10と呼ばれるもので、この回転機構は該ラビリンス構造部10の中に貯蔵された潤滑剤80によって回転部分と歯車部3aを潤滑する。
【0018】
前記回転体3側に設けられた凹部7にモールドフレーム1側に設けられた凸部2を非接触で係入させることによって形成される断面形状が略コの字状の前記ラビリンス構造部10は、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、回転体3が回転しているときは流体の流れに対して抵抗を与えるラビリンスシールとして作用する。
【0019】
前記ラビリンス構造部10内に貯蔵されている潤滑剤80は、凸部2と凹部7との間に形成される狭小な隙間g〔図1(b) 参照〕から矢印A方向及び矢印A’方向に滲み出して回転体3の外周部分に形成されている歯車部3aと回転部分(軸嵌入孔13と保持軸部8間)を潤滑する。なお、潤滑剤80を滲み出させるために凸部2と凹部7間に形成される前記隙間gのサイズについては特定しないが、この隙間gのサイズはラビリンス構造部10内に充填される潤滑剤80の種類対応に決定される。因みに本実施例ではこの隙間が約0.5mm (500 μm )に設定されている。
【0020】
なお、前記潤滑剤80は、(1) 潤滑性が良いこと。(2) プラスチックに悪影響を与えないこと。(3) 適度の滲み出し性を有すること。等の条件を満足する必要があることから、本実施例では、ダウコーニング社(DOW CORNING社)製の「モリコートEM−30Lグリース」を用いている。
【0021】
図2(a) と(b) は構成部材の一形状例を示す図であって、(a) は回転体の正面図であり、(b) はモールドフレームの要部正面図である。
回転体3は図2(a) に示すように、回転中心O上に軸嵌入孔13が形成され、該軸嵌入孔13の外周部にラビリンス構造部10(図1参照)を構成する環状の凹部7が形成され、該凹部7の外周部分に歯車部3aが形成された歯車部材である。例えばポリアセタール樹脂等をモールド成形することによって製作されるこの回転体3は、以下に述べるモールドフレーム1の保持軸部8によって回転可能に軸支される。
【0022】
モールドフレーム1は図2(b) に示すように、回転中心O上に前記回転体3を回転可能に軸支する保持軸部8が形成され、この保持軸部8の外側に前記ラビリンス構造部10を構成する環状の凹部17が形成され、さらにその外側に前記凹部7内にこれと非接触状態で係入する環状の凸部2が形成されたモールド製の部材である。このモールドフレーム1は、例えばABS樹脂等をモールド成形することによって製作される。
【0023】
図3(a) と(b) は本発明の第2実施例を示す図であって、(a) は正面図、(b) はその模式的側断面図である。
図3(a) と(b) に示すように、この第2実施例は、回転体3Aの回転運動に対応してラビリンス構造部10内の潤滑剤80を該モールド回転体3Aの外周方向に誘導する外周方向誘導溝11と、該潤滑剤80を該モールド回転体3Aの内周方向に誘導する内周方向誘導溝12と、を該回転体3Aの一方の側面に設けたことを特徴とするものである。
【0024】
前記外周方向誘導溝11は図3(a) に示すように一方向に傾斜しているが、これは回転体3Aの回転によって生じる遠心力によって必要以上の潤滑剤80が外周方向に流出するのを防止するためである。なお、回転体3Aが回転しているときの潤滑剤80の外周面方向への流出量は、回転体3Aが矢印R方向に回転することによって生じる遠心力と、回転体3Aが矢印R方向に回転することによって外周方向誘導溝11の中に入り込もうとする空気の量をバランスさせることによって制御されるが、この外周方向誘導溝11の傾斜角度を変化させるのも一方法である。
【0025】
また、内周方向誘導溝12も前記外周方向誘導溝11と同一方向に傾斜した形になっているが、これは回転体3Aが回転しているときは遠心力によって潤滑剤80が外周方向へ集中的に流出する傾向があるのでこれを防止するためである。即ちこの内周方向誘導溝12は、前記ラビリンス構造部10内に貯蔵されている潤滑剤80を内周方向誘導溝12の斜面ですくい取るようにしてこれを軸嵌入孔13側へ供給するのである。なお、回転体3Aが回転しているときの潤滑剤80の内周面方向への流出量は、例えば内周方向誘導溝12の傾斜角度を変化させる等によって制御することができる。
【0026】
図4(a) と(b) は本発明による回転機構の第3実施例を示す図であって、(a) は第3実施例に適用される回転体の模式的側断面図、(b) は構成部材の一形状例を示す模式的斜視図である。
【0027】
図4(a) に示すように、この第3実施例に開示した回転体3Bは、ラビリンス構造部10(図1参照)の一部である凹部7の中に潤滑剤80を注入するための潤滑剤注入孔15を有するとともに、内周面に雌ねじが形成された該潤滑剤注入孔15を開閉するための漏洩防止ねじ16を有する。この第3実施例は、回転機構のメンテナンスを容易化するために創案されたもので、回転体3Bの外側から凹部7内に潤滑剤80を注入するための潤滑剤注入孔15を備えていることから、この第3実施例を適用すると凹部7に潤滑剤80を注入したり補給したりするときに回転体3Bを取り外す必要がないのでメンテナンスが著しく容易化される。
【0028】
なお、この実施例では漏洩防止ねじ16と回転体3Bとを同一の材料を用いて製作しているが、これは回転体3Bが回転運動を行う際の動的バランスを考慮したためである。
【0029】
本発明によるこの回転機構は、回転体3が静止しているときは潤滑剤80の貯蔵タンクとして作用し、該回転体3が回転しているときはラビリンスシールとして作用するラビリンス構造部10を内蔵していることから、この発明を適用することによって回転機構の軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を容易に実現することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるこの回転機構は、回転体が静止しているときは潤滑剤の貯蔵タンクとして作用し、該回転体が回転しているときはラビリンスシールとして作用するラビリンス構造部を内蔵していることから、この発明を適用することによって回転機構の軽量化と低コスト化とメンテナンスフリー化を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による回転機構の第1実施例を示す図、
【図2】 構成部材の一形状例を示す図、
【図3】 本発明による回転機構の第2実施例を示す図、
【図4】 本発明による回転機構の第3実施例を示す図、
【図5】 従来の回転機構の一構造例を示す図、
【符号の説明】
1,1A モールドフレーム
2 凸部
3,3A,3B,3X 回転体
3a 歯車部
4 押えリング
7,17 凹部
8 保持軸部
10 ラビリンス構造部
11 外周方向誘導溝
12 内周方向誘導溝
13 軸嵌入孔
15 潤滑剤注入孔
16 漏洩防止ねじ
18 保持軸
80 潤滑剤
O 回転中心
Claims (3)
- モールドフレームと、該モールドフレームの保持軸部によって回転可能に軸支された回転体と、を具備してなる回転機構において、
前記モールドフレームは前記保持軸部の外側に環状の凹部と、該凹部の外側に環状の凸部とを有し、前記回転体は前記モールドフレームを係合させたときに前記凸部が間隙を有して係合する環状の凹部を有し、前記回転体の前記凹部と前記モールドフレームの前記凸部との間の前記間隙に潤滑剤が貯蔵されることを特徴とする回転機構。 - 前記隙間に貯蔵された潤滑剤を回転体の外周方向に誘導する外周方向誘導溝と、該潤滑剤を回転体の内周方向に誘導する内周方向誘導溝と、を有してなることを特徴とする請求項1記載の回転機構。
- 前記隙間の中に潤滑剤を注入する潤滑剤注入孔と、該潤滑剤注入孔を開閉する潤滑剤漏洩防止手段と、を有してなることを特徴とする請求項1記載の回転機構。
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