JP3855135B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機に係り、特に、空気調和機、冷蔵庫等の冷凍機に用いるスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の圧縮機は、例えば特開平4−54296号公報に記載のように、軸受前後に生ずる圧力差によって高圧力の密閉容器底部に貯溜した潤滑油を軸受に供給し、軸受と軸の間のすき間を流れながら潤滑する。その際、圧力の降下が生じ、潤滑油に溶けていた冷媒がガスとなって発生することがある。このガスが気泡となって潤滑油中に混入し、軸受の負荷容量が低下し、荷重や回転によって、油膜の切れが発生し、延いては、焼き付が生じることがある。前記特開平4−54296号公報では前記気泡による油膜の切れ現象を発生させないために、この冷媒ガスを分離し、軸に設けたガス抜き溝で圧縮機構部の低圧力部に排出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術における軸受では、軸受内で発生した冷媒ガスの気泡は軸に設けたガス抜き溝で圧縮機構部の低圧力部に排出されるが、さらに、この溝により軸受に供給された潤滑油もこのガス抜き溝で圧縮機構部の低圧力部へ排出される。従って、この軸受に必要な潤滑油量が不足するため、軸受の負荷容量が低下し、荷重や回転によって、油膜の切れが発生し、延いては、焼き付けが生じることがある。
【0004】
本発明の目的は、軸受の負荷面に供給する潤滑油中への冷媒ガスの混入量を低減し、軸受の負荷容量を維持した圧縮機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、スクロール圧縮機に、軸受に供給される前の潤滑油を局所的に加熱する加熱手段と、この加熱手段の下流側に配置され潤滑油に混在する気泡を凝集させる凝集手段と、この凝集手段の下流側に配置され凝集した気泡を分離除去する手段とを設けた。本発明はまた、上記目的を達成するために、スクロール圧縮機に、軸受に供給される前の潤滑油の圧力を局所的に低下させる圧力低下手段と、この圧力低下手段の下流側に設けられ潤滑油に混在する気泡を凝集させる凝集手段と、凝集手段の下流側に配置され凝集した気泡を分離除去する手段とを設けた。
【0006】
潤滑油を局所的に加熱する加熱手段としては、潤滑油の貯溜部に設けられ通電により熱を発生するもの、潤滑油の貯溜部に設けられ電動機部の熱を利用して加熱するもの、などがある。
【0007】
局所的にあつりょくを低下させる圧力低下手段としては、潤滑油流路に絞りを設け、この絞りの下流側の圧力を低下させるもの、潤滑油内で板を回転させ、この板の後方の圧力を低下させるもの、潤滑油内で振動子を振動させ、振動子の近傍の圧力を周期的に低下させるもの、などがある。
【0008】
潤滑油に混在する気泡を凝集させる凝集手段としては、気泡を含む潤滑油を回転する潤滑油流路に通流し、気泡と潤滑油の密度の差を利用して遠心力により分離するものがある。
【0009】
凝集した気泡を分離除去する気泡分離手段としては、クランク軸の給油孔内に、クランク軸の回転軸線上に配置されて気泡を取り込むものがある。
【0010】
本発明の適用にあたっては、上記各手段を適宜組み合わせて用いることが望ましい。
【0011】
軸受等を潤滑し終わった潤滑油が下部の潤滑油貯溜部に戻る際や、下部の潤滑油貯溜部で高圧力の冷媒ガスに晒される事によって、潤滑油内に冷媒ガスが溶け込む。この冷媒ガスの濃度が大きい潤滑油を、局所的に加熱する機構部、または、局所的に負圧を発生させる機構を通過させ、この潤滑油の温度を上昇させたり、または、圧力降下させることにより、潤滑油内の冷媒や冷媒ガスを気泡として発生させる。発生した気泡と潤滑油の混合体である流体がクランク軸に形成された給油孔を通過する際に、この流体はクランク軸とともに回転され、流体に遠心力が作用する。流体に遠心力が作用すると、潤滑油と気泡の密度差のため、潤滑油は気泡を押しのけて給油孔の外周部を流れ、気泡は給油孔の中心軸線(クランク軸の回転軸線)付近に凝集しつつ流れる。中心軸線付近に凝集しつつ流れる気泡は、給油孔の中心線(クランク軸の回転軸線)上に配置された管に取り込まれて潤滑油から分離される。この結果、クランク軸の給油孔を経て軸受に供給される潤滑油の冷媒混入量が少なくなる。これにより、軸受の負荷面における潤滑油中の冷媒ガスによる気泡の混入量を少なくし、軸受の負荷容量の低下を防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図により説明する。図1は本発明の実施例であるスクロール圧縮機を示す断面図である。図1に示すスクロール圧縮機は、軸線を上下方向にして配置されたほぼ円筒状の密閉容器1と、該密閉容器1内の上部に設けられた圧縮機構部と、下部に配置された電動機部と、底部に設けられ潤滑油18を溜める貯溜部と、を含んで構成されている。密閉容器1内の圧縮機構部上方の空間は、圧縮機構部で圧縮された高圧流体の流路となっている。
【0013】
圧縮機構部は、密閉容器1に固定された上部フレーム4と、該上部フレーム4の上端面に固定された固定スクロール2と、上部フレーム4と固定スクロール2の間に挟持された旋回スクロール3と、旋回スクロール3に係合してその自転を阻止するオルダムリング5を主要構成要素としている。固定スクロール2の吸込み口6には外部の冷凍サイクルに接続する吸込みパイプ7が設けられている。
【0014】
固定スクロール2と旋回スクロール3とは、それぞれの台板面に垂直に植立された渦巻状ラップをそれぞれ互いに内側に向けて噛み合わせ、圧縮室8を形成している。旋回スクロール3の仮面に形成されたボス部には、クランク軸9の偏心部9aが旋回軸受10を介して回転自由に挿入されている。
【0015】
また、上部フレーム4の上面と旋回スクロール3の台板下面とによって囲まれる空間は中間圧力室11を形成し、旋回スクロール3の台板には、台板を貫通し、圧縮過程中の圧縮室8に該台板下方の空間を連通する連通孔3aが設けられて、前記中間圧力室11を固定スクロール2上方の密閉容器1内より低圧力にしている。上部フレーム4の外周部は、密閉容器1に溶接などで固定されており、固定スクロール2はボルト12により上部フレーム4上端面に締結されている。
【0016】
クランク軸9には電動機を構成するロータ13が焼きばめなどによって挿入されており、相手側ステータ14は密閉容器1に溶接などで固定されている。クランク軸9は、上部フレーム4に設けた主軸受15と、電動機部下方の貯溜部内で密閉容器1に固定された下部フレーム16に設けた副軸受17で支持されている。クランク軸9の下端は、副軸受17の密閉容器1底部の貯溜部に溜められた潤滑油18中に浸漬される位置にまで延びている。また、クランク軸9には、クランク軸9を軸方向に貫通し、上端がクランク軸9の上端に開口する潤滑油給油孔(以下給油孔という)9bが設けられており、この給油孔9bは、クランク軸9の上端の空所を介して旋回軸受10に連通する。さらに、給油孔9bの途中に分岐して、クランク軸9を半径方向に貫通し、主軸受15に連通する潤滑油導路(以下給油導路という)9cが設けられている。給油孔9bの下端、つまりクランク軸9の潤滑油18中に浸漬される端部の開口が潤滑油18を取り込む潤滑油吸入口となっている。また、クランク軸9の上端の前記空所は、前記中間圧力室11に図示されていない気体通路で連通され、前記中間圧力室11とほぼ同じ圧力になっている。
【0017】
この構成において、スクロール圧縮機の圧縮動作は以下のように行われる。電動機に通電されると、ロータ13の回転はクランク軸9を駆動し、旋回スクロール3はクランク軸9の偏心部9aの回転に駆動され、オルダムリング5の作用により自転することなく、偏心回転(公転)する。旋回スクロール3の偏心回転により、吸込みパイプ7を通して吸込まれた冷媒ガスは、固定スクロール2の吸込み口6から圧縮室8に吸入され、圧縮室8で徐々に圧縮され、吐出口19から密閉容器1の中の固定スクロール2上方の空所に放出される。固定スクロール2上方の空所に放出された高圧の冷媒ガスは、固定スクロール2及び上部フレーム4の周縁部に形成された冷媒ガス流路を経て電動機部にまで流入し、該電動機部を冷却して吐出しパイプ20から外部の冷凍サイクル(図示せず)へ供給される。
【0018】
次に、各軸受への潤滑油の供給方法を述べる。密閉容器1の底部に貯溜されている潤滑油18の液面には電動機部に流入した高圧冷媒の圧力が加わり、潤滑油18は、この圧力と中間圧力室11の圧力との圧力差によってクランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。吸いあげられた潤滑油18の一部が、給油導路9cを通って主軸受15に供給され、残りの潤滑油18はクランク軸9の偏心部9aに設けられた給油孔9bを通り、クランク軸9上端上方の空所を経て旋回軸受10に供給される。また、クランク軸9下部の副軸受17は、潤滑油の貯溜部内に位置していて溜った潤滑油に潤滑されている。
【0019】
つぎに、本発明の実施の形態を図1乃至図3を用いて説明する。図1はクランク軸9の偏心部9a側の端部に冷媒ガス分離機構21を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。冷媒ガス分離機構21は、クランク軸9の偏心部9aの上端部から給油導路9cの上流までの間の領域に設けられている。冷媒ガス分離機構21は、前記領域の間で給油孔9bを同心状に拡大して形成された取付け孔9d内に配置され、該取付け孔9dに嵌入されたスリーブ21fと、該スリーブ21fを貫通して給油孔9bと同軸上に同径に形成された給油孔21dと、スリーブ21fが取付け孔9dに嵌入されたとき前記給油導路9cと同軸、同径になるようにスリーブ21fに形成された給油孔21dと給油導路9cを連通する給油導路21cと、給油導路21c上流側の給油孔21dに形成された絞り21bと、給油孔21dに同心状に内装された冷媒ガス分離管21aと、を含んで構成されている。
【0020】
絞り21b以外の部分の給油孔21d及び給油導路21cの断面積を給油孔9b及び給油導路9cと同断面積としてある。冷媒ガス分離管21aは、上流端(図2で図上、下端)が給油導路21cが給油孔21dに交差する点と絞り21bの間にあり、下流端(図2で図上、上端)がクランク軸9の偏心部9aの上端面上部にある。
【0021】
図2は冷媒ガス分離機構21の断面図で図3は図2のI−I矢視断面図である。冷媒ガス分離管21aは、図3に示すように冷媒ガス分離機構21の中心に設けられた給油孔21dの中心に設けられ、図2に示すように上流端は絞り21bと給油導路21cの間に置かれ、下流端は旋回軸受10、クランク軸9上端面、及び旋回スクロール3下面で作られる空間に置かれる。但し、冷媒ガス分離管21aの上端は、旋回スクロール3には接触しないようにする。この実施の形態の冷媒ガス分離管21aはかなり長くなるので、冷媒ガス分離機構21の給油孔21d内の中心に固定させることはかなり困難であり、また中心からずれていると高速回転するために遠心力が作用して損傷する可能性がある。したがって、冷媒ガス分離の信頼性や強度的なことを考慮して、給油孔21dの中に冷媒ガス分離管21aを支持する構造が必要になることもある。
【0022】
つぎに、上述した図1乃至図3の構成における冷媒ガス分離機構21の作用及び効果について説明する。中間圧力室11は、旋回軸受10とクランク軸9の間の隙間、クランク軸9の偏心部9aの軸方向端面と旋回スクロール3の下面との間の空所、給油孔21d、給油孔9bを介して密閉容器1の底部の潤滑油18の貯溜部に連通されている。圧縮機が運転されて圧縮機構部から圧縮されて高圧になった冷媒ガスが吐出されると、この冷媒ガスは、電動機部を通って吐き出しパイプ20に導かれる。電動機部に流れ込んだ冷媒ガスの圧力は、密閉容器1の底部に貯溜されている潤滑油18の液面に加わる。
【0023】
密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、中間圧力室11の圧力と密閉容器1の高圧冷媒ガスが流れる部分(以下、単に密閉容器1という)の圧力、言い替えると潤滑油18の液面に加わる圧力との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられ、冷媒ガス分離機構21の絞り21bを通過する。絞り21bの下流で流路断面積が大きくなるので、この下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。
【0024】
この潤滑油と気泡が混合された流体にはクランク軸9の回転により遠心力が作用し、この流体に作用する遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、気泡は給油孔21dの中心に凝集される。その結果、気泡は、この給油孔21dの中心に設けた冷媒ガス分離管21aに集められ、冷媒ガスは気泡として潤滑油18から分離される。冷媒ガス分離管21aに集められた気泡は、同管内を上昇し、冷媒ガス分離管21aの末端から、クランク軸9の上端面上の空所に放出され、該空所から前記図示されていない気体通路を経て中間圧力室11に流入する。中間圧力室11に流入した気泡、つまり冷媒ガスは、前記連通孔3aを経て圧縮室8に取り込まれ、圧縮される。
【0025】
上記手順によって、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔21dを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。この作用により、各軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象が抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。
【0026】
なお、上記実施の形態の説明においては、絞り21bと冷媒ガス分離管21aの上流端開口の距離については触れていないが、工作面から考えるとスリーブ21fを長くしすぎるのも好ましくない。一方、気泡の分離の点からいうと、ある程度離れてないと遠心力による気泡の中心部への凝集が十分ではなくなる恐れがあるから、クランク軸9の定格回転数、給油孔9bの大きさなどをもとに予め適切な距離を選定しておくのがよい。
【0027】
本発明の第2の実施の形態を図4乃至図8を用いて説明する。図4はクランク軸9の偏心部9a側の端部に冷媒ガス分離機構29及び30を複数有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。本実施の形態は、前記図1〜3に示した冷媒ガス分離機構21を二つに分け、取付け孔9d下部に冷媒ガス分離機構29を、上部に冷媒ガス分離機構30を、それぞれ配置した形のものである。
【0028】
冷媒ガス分離機構29は、取付け孔9d下部(図上、下部、以下同じ)の給油導路9cの付近に設けられ、取付け孔9dに嵌入されるスリーブ29fと、スリーブ29fに給油孔9bと同軸上に同径に設けられた給油孔29dと、スリーブ29fが取付け孔9dに嵌入されたとき前記給油導路9cと同軸、同径になるようにスリーブ29fに形成されて給油孔29dと給油導路9cを連通する給油導路29cと、給油導路29cと給油孔29dが交差する点より上流側の給油孔29dに形成された絞り29bと、給油孔29dに同心状に内装された冷媒ガス分離管29aと、を含んで構成されている。
【0029】
また、絞り29b以外の部分の給油孔29d及び給油導路29cの断面積を給油孔9b及び給油導路9cと同断面積とし、冷媒ガス分離管29aの上流端を給油導路29cと給油孔29dが交差する点と絞り29bとの間に開口させ、下流端を給油導路29cと給油孔29dが交差する点より下流に開口させている。
【0030】
また、冷媒ガス分離機構30は、取付け孔9d上部(クランク軸9の偏心部9a側の端部)に設けられ、取付け孔9dに嵌入されるスリーブ30fと、スリーブ30fに給油孔9bと同軸上に同径に設けられた給油孔30dと、給油孔30dの上流端に形成された絞り30bと、給油孔29dに同心状に内装された冷媒ガス分離管30aと、を含んで構成されている。スリーブ30fが取付け孔9dに嵌入されたとき、スリーブ30fの上端面はクランク軸9の偏心部9a側の端面と一致する位置になっており、冷媒ガス分離管30aの下流端は、スリーブ30fの上端面より上方で開口し、上流端は絞り30bより下流側で開口している。また、絞り30b以外の給油孔30dの断面積を給油孔9bと同断面積としてある。
【0031】
スリーブ29fとスリーブ30fの間には、冷媒ガス分離機構29と冷媒ガス分離機構30を接続固定するアダプター31が嵌入されている。すなわち、取付け孔9dには、図上、下方から順に、スリーブ29f、アダプター31、スリーブ30fが互いに端面を接続して嵌入され、アダプター31にも、給油孔9bと同軸上に同断面積の給油孔31dが全長に亘って形成されている。
【0032】
図7は冷媒ガス分離機構29の断面図で、図8は図7のIII−III線矢視断面図である。冷媒ガス分離管(以下、分離管という)29aは、図8に示すように冷媒ガス分離機構(以下、分離機構という)29の中心に設けられた給油孔29dの中心に設けられ、図4に示すように、一端は絞り29bと給油導路29cの間に置かれ、他端は分離機構29の絞り29bのない端面に導出される。
【0033】
図5は冷媒ガス分離機構30の断面図、図6は図5のII−II線矢視断面図である。分離管30aは、図6に示すように分離機構30の中心に設けられた給油孔30dの中心に設けられる。図5に示すように、分離管30aの上流端は絞り30bの下流に置かれ、他端は旋回軸受10、クランク軸9、冷媒ガス分離機構30及び旋回スクロール3で作られる空間で開口するが、旋回スクロール3には接触しないようにする。
【0034】
つぎに、上述した図4乃至図8の構成における冷媒ガス分離機構29及び30の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18が、中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられ、冷媒ガス分離機構29の絞り29bを経て給油孔29dに流入する。絞り29bの下流で潤滑油流路の断面積が大きくなるので、この下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この潤滑油と気泡が混合された流体はクランク軸9の回転により回転され、流体に遠心力が作用する。この遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、気泡は給油孔29dの中心付近に凝集される。この給油孔29dの中心に設けた冷媒ガス分離管29aにより、凝集した気泡が集められ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。よって、冷媒ガスを分離した潤滑油18の一部が、潤滑導路9cを通って主軸受15に供給される。
【0035】
また、潤滑油18の残りの部分は、アダプター31を通過した後、冷媒ガス分離機構30の絞り30bを通過して給油孔30に流入する。絞り30bの下流で流路断面積が大きくなるので、この下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この潤滑油と気泡が混合された流体においても、分離機構29の場合と同様、気泡は給油孔30dの中心に凝集される。なお、冷媒ガス分離管29aの下流端からは、分離機構29で分離された気泡が出て来るが、この気泡は、給油孔31dの軸線上に放出されるので、ほぼそのまま軸線に沿って流れる。絞り30bの下流で給油孔30dの中心に凝集した気泡は、給油孔30dの中心に設けた冷媒ガス分離管30aにより集められ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。よって、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、旋回軸受10に供給される。この機構では、潤滑油18を分離機構29と分離機構30で2度分離する作用により、各軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなり、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象が抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。
【0036】
さらに、前述の実施の形態の分離管21aはかなり長くなるので、冷媒ガス分離機構21の給油孔21d内の中心に固定することはかなり困難であり、また中心からずれていると高速回転するために遠心力が作用して損傷する可能性がある。しかし、この実施形態の利点は、この冷媒ガス分離管29aと冷媒ガス分離管30aは、分離管21aに比べて短くなっているので前述の実施の形態よりも分離機構29及び分離機構30の給油孔29d及び30d内の中心に固定することが容易になる。部品としても分離機構29と分離機構30の長さ、及び、分離管29aと分離管30aの形状を同一にして、分離機構29には給油導路29cのみを追加加工するようにすれば、工程の縮小も可能であり、部品点数を押さえることも可能である。
【0037】
つぎに、本発明の第3の実施の形態を図9乃至図11を用いて説明する。図9はクランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部に冷媒ガス分離機構24を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。冷媒ガス分離機構24は、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部の潤滑油吸込み口を囲む様に、潤滑油18の貯溜部に浸漬されたカバー24fと、カバー24fに設けられ潤滑油18が自由に通過できる複数の孔24aと、同じくカバー24fに設けられた電流による加熱機構(図示せず)と、クランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられた冷媒ガス分離管37と、前記カバー24fを下部フレーム16に固定する固定手段44と、を含んで構成されている。カバー24fは底のある円筒形をしていて、内部に上方の開放端からクランク軸9の下端が挿し込まれた形になっている。加熱機構としては、通電されて熱を発生するコイルをカバー24fに巻きつけておく方法、カバー24f自体が通電されて発熱する導電体としておく方法などがある。本実施の形態では、後者の方法を採った。
【0038】
冷媒ガス分離管37の一端はクランク軸9の給油孔9bの潤滑油18の貯溜部に浸漬された吸込み口より下流に開口させ、他端は前述の実施の形態で説明した図1及び図2の冷媒ガス分離管21aの冷媒ガス吐出し口のように旋回軸受10、クランク軸9の偏心部9aの上端面、及び旋回スクロール3で作られる空間まで導かれるが、旋回スクロール3には接触しないようにする。
【0039】
図10は冷媒ガス分離機構24の断面図、図11は図10のIV−IV線矢視断面図である。分離管37は、図11に示すようにクランク軸9の給油孔9bの中心に設けられ、分離管37の吸込み口は、図10に示すように、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下流に置かれる。カバー24fは、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されており、潤滑油18は、カバー24fの壁面各部に設けられた孔24aを自由に通過できる。この分離機構24の加熱機構への電流は、密閉容器1内にある電動機に供給される電流を利用したり、または、密閉容器1の外部より供給する。
【0040】
つぎに、上述した図9乃至図11の構成における冷媒ガス分離機構24及び分離管37の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、前記じっしの形態の場合と同じく、中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。この際、潤滑油18は、カバー24fに形成された孔24aを通過する。圧縮機が運転されると、カバー24fに備えられた加熱機構に通電され、カバー24fの周辺及び孔24aを通過する潤滑油18が加熱される。この加熱により、潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この気泡は潤滑油と混合された流体の状態でクランク軸9の給油孔9aの吸込み口から吸込まれるが、クランク軸9の回転により該流体に作用する遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、気泡は給油孔9bの中心に凝集される。この給油孔9bの中心に凝集された気泡が給油孔9bの中心に設けられた冷媒ガス分離管37により集められ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。よって、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。この分離機構24の全体が密閉容器1の下部の潤滑油18の貯溜部に浸漬されていなくても上述と同様な機能を持たせることができる。
【0041】
つぎに、本発明の第4の実施の形態を図12を用いて説明する。本実施の形態は、上述の第3の実施の形態に、密閉容器1に付加されたセンサー28とセンサー28の信号により冷媒ガス分離機構24の加熱機構を制御する制御装置27を設けたものである。センサー28は、密閉容器1の雰囲気、容器内圧力、温度または振動等を検知し、軸受内の潤滑油18に溶け込んでいた冷媒ガスによる気泡の発生または発生の兆しがあったときに、制御装置27に所定の信号を送るものである。
【0042】
つぎに、上述した図12の構成における冷媒ガス分離機構24、センサー28及び制御装置27の作用及び効果について説明する。センサー28は、密閉容器1の雰囲気、容器内圧力、温度または振動等を検出する。検出値が予め設定されているしきい値を超えたとき、センサー28は軸受内の潤滑油18に溶け込んでいた冷媒ガスによる気泡の発生または発生の兆しがあると判定し、密閉容器1の外部に設けた制御装置27に所定の信号を送る。信号を受けた制御装置27は、冷媒ガス分離機構24の加熱機構に通電したり、加熱機構に供給する電流量または電圧を増加させたりする。これにより、密閉容器1の下部の潤滑油18の貯溜部に浸漬された冷媒ガス分離機構24付近及び孔24aを通過する潤滑油18はより加熱され、潤滑油18に溶け込んでいる冷媒ガスが気泡として発生する。この潤滑油と気泡が混合された流体はクランク軸9の給油孔9aの吸込み口から吸込まれ、前述のメカニズムにより、気泡は給油孔9bの中心に凝集される。この結果、前記第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
また、密閉容器1の外部に設けた制御装置27を、密閉容器1の内部に設置し、温度、圧力、雰囲気及び振動に関してその動作の信頼性を保つことにより、上述の場合と同様な機能を持たせることも可能である。
【0044】
つぎに、本発明の第5の実施の形態を図13乃至図15を用いて説明する。本実施の形態は、上述の第4の実施の形態のセンサー28の代わりに、上部フレーム4と主軸受15を貫通する孔を設け、その孔にセンサー28’を埋め込み、このセンサー28’と制御装置27により冷媒ガス分離機構24の加熱機構を制御するものである。図14はセンサー28’の断面図、図15は図14のV−V線矢視断面図である。センサー28’は上部フレーム4と主軸受15を半径方向(クランク軸9の軸線に垂直な方向)に一直線に貫通する孔に設置され、センサー28’の検出面(内径側先端面)は、図15及び図16に示すようにクランク軸9に対向する主軸受15の軸受面に、軸受面と段差が無いように処理され設置される。
【0045】
つぎに、上述した図13の構成におけるセンサー28’の作用及び効果について説明する。センサー28’は主軸受15の孔に設置されているので、軸受内の現象を第4の実施の形態のセンサー28よりも厳密にかつ迅速にモニターすることが可能である。軸受内の圧力、温度または振動等によりセンサー28’が、軸受内の潤滑油18に溶け込んでいた冷媒ガスによる気泡の発生または発生の兆しを前述の実施の形態より厳密に、しかも迅速に検出することが可能になり、軸受内の気泡発生または発生の兆しを厳密に、しかも迅速に抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。主軸受15が、軸受内の圧力、温度または振動等の状況を軸に対向する軸受面以外の面でも検出可能な、例えば、多孔質構造を含む材料で製作された軸受などであるならば、センサー28’は、主軸受15の軸に対向する軸受面に設置しなくても、主軸受15の軸に対向しない軸受面に設置しても、上述と同様な機能をセンサー28’に持たせることは可能である。
【0046】
つぎに、本発明の第6の実施の形態を図16乃至図18を用いて説明する。図16はクランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部より下方に潤滑油18の貯溜部に浸漬させた冷媒ガス分離機構42を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。冷媒ガス分離機構42は、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部の潤滑油吸込み口より下方に円盤状をなして配置されており、下部フレーム16に設けられた孔を通って電動機のステーター14の一部に接続された金属製の支柱で支持されている。潤滑油18の貯溜部に浸漬された冷媒ガス分離機構42には潤滑油18が自由に通過できる孔42aが図18に示すように断続した同心環状に設けられている。冷媒ガス分離機構42は、温度伝導性が良く、冷媒ガス、潤滑油及び冷媒ガスが溶け込んだ潤滑油に対し耐食性を持ち、触媒性を持たないもの、例えば、銅や前述の耐食性を持ち、触媒性を持たないものを表面に被覆した銅などで製作する。
【0047】
図17は冷媒ガス分離機構42の断面図、図18は図17のVI−VI線矢視断面図である。冷媒ガス分離機構42は、例えば、図18に示すように、半径の異なるリング状の複数個の板を、円周四ヶ所で接続したような形状になるように、扇型の孔42aを円盤の各所に開け、図17に示すように、円盤の一部と電動機のステーター14の一部が接続するようにする。冷媒ガス分離管37は、第3の実施の形態の図9乃至図11と同様に、クランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられる。
【0048】
つぎに、本実施例の作用及び効果について説明する。密閉容器1内の電動機のステーター14は、圧縮動作が行われている際、電流が通電されて、温度が上昇する。このステーター14の一部と接続された、熱伝導性の良い分離機構42は、ステーター14の熱を伝えられ、ステーター14の温度上昇と共に温度を上げていく。この分離機構42は、密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18に浸漬されているので、分離機構42の温度上昇と共に、密閉容器1の底部にある貯溜部の潤滑油18の温度は上昇し、温度上昇により、潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この潤滑油と気泡が混合された流体は分離機構42より上部にあるクランク軸9の給油孔9aの吸込み口から吸込まれ、前記各実施の形態の場合と同様のメカニズムにより、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができ、前記各実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。また、密閉容器1の底部にある貯溜部の潤滑油18へ、電動機のステーター14の熱を積極的に逃がすので、ステーター14を冷却する効果も有する。
【0049】
また、2種類以上の形状を記憶し、各種温度により形状を可逆的に変化させる性質を持った形状記憶合金等を冷媒ガス分離機構42のステーター14から熱を伝導する伝導路(支柱)の一部に使用して、ある温度以上になったら、伝導路の断面積を変化させたり、伝導路の長さを変化させることにより、熱の伝導量を制御して、密閉容器1の底部にある貯溜部の潤滑油18の温度を制御することも可能である。
【0050】
また、上述の形状記憶合金等を冷媒ガス分離機構42の貯溜部の潤滑油18に熱を伝達する部分に使用して、ある温度以上になったら、潤滑油18に熱を伝達する部分の表面積を変化させて、熱の伝達量を制御し、潤滑油18の温度を制御することも可能である。これにより、貯溜部の潤滑油18の温度を冷媒ガスの溶け込み濃度が小さくなる様に制御することが可能になり、軸受内の気泡発生または発生の兆しを抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。
【0051】
また、前述の第4の実施の形態の図12のセンサー28及び制御装置27、又は図13乃至図15のセンサー28’及び制御装置27と上述の形状記憶合金を使用した冷媒ガス分離機構42を組み合わせることにより、貯溜部の潤滑油18の温度を冷媒ガスの溶け込み濃度が小さくなる様に制御することが可能になる。このような制御により、軸受内の気泡発生または発生の兆しが正確にしかも迅速に抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。ただし、制御装置27は図12、又は図13乃至15では、分離機構24の加熱機構の制御を行うが、この実施の形態では、形状記憶合金を使用した分離機構の形状記憶合金の形状を、温度を介して制御する。
【0052】
本発明の第7の実施の形態を図19乃至図21を用いて説明する。図19は密閉容器1下部の潤滑油18の貯溜部に浸漬したクランク軸9の端部に冷媒ガス分離機構23を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図20は冷媒ガス分離機構23の断面図、図21は図20のVII−VII線矢視断面図である。冷媒ガス分離機構23は、潤滑油18の貯溜部に浸漬したクランク軸9の下端に設けられ、クランク軸9の下端を覆うように外側に嵌装された底付きのスリーブ23cと、スリーブ23cの外周に放射状に複数枚配置され、その面をクランク軸9の回転軸に平行させ半径方向に伸びた固定板23aと、前記スリーブ23cの外周壁底部に放射状に形成された給油口23bと、クランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられた冷媒ガス分離管37と、を含んで構成されている。
【0053】
分離機構23の潤滑油18を吸込む給油口23bの開口位置は、固定板23aの図形の重心(固定板23aのクランク軸9に平行な面の図形の重心)より下方で、かつクランク軸の回転方向に対して固定板23aの後方に設ける。
【0054】
つぎに、本実施の形態における冷媒ガス分離機構23及び冷媒ガス分離管37の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18が中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる際、クランク軸9の回転により、冷媒ガス分離機構23の固定板23aも潤滑油18内で共に回転する。この固定板23aの回転により、固定板23aの回りに潤滑油18の流れが発生し、回転方向に対して固定板の後方に負圧力が発生する。この負圧力の発生により、潤滑油18に溶け込んでいる冷媒ガスが気泡として発生する。この潤滑油と気泡が混合された流体は、回転方向に対して固定板23aの後方側面に設けた給油口23bより給油孔9bに吸込まれる。潤滑油に混合して給油孔9bに吸込まれ気泡は、クランク軸9の回転により流体に作用する遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、給油孔9bの中心に凝集される。給油孔9bの中心に凝集した気泡は、前記各実施の形態と同様のメカニズムで潤滑油18から分離される。よって、前記各実施の形態と同様の効果が得られる。
【0055】
冷媒ガス分離機構23の給油口23bを、固定板23aの図形重心より下方のスリーブ23c側面に設けたのは、固定板23aの後方で発生する気泡と潤滑油18の混合流体以外の気泡のない潤滑油18をできるだけ給油口23bから取り込まないようにするためである。また、給油口23bは冷媒ガス分離機構23の下部端面に設けても上述と同様な機能を有する。また、固定板23aの幅及び長さ(形状、寸法)は、圧縮機の効率に関係してくるので、電動機の回転数又は圧縮機の出力と潤滑油18に溶け込んだ冷媒ガスを気泡として発生するための負圧力発生能力の関係を参考に、選定する。
【0056】
また、固定板23aは、クランク軸9の側面に垂直方向に伸びた棒に代えても、同様な機能を有する。また、固定板23aは翼形状を有していても、同様な機能を有する。
【0057】
本発明の第8の実施の形態を図22乃至図24を用いて説明する。図22は密閉容器1下部の潤滑油18の貯溜部に浸漬したクランク軸9の端部に冷媒ガス分離機構36を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図23は冷媒ガス分離機構36の断面図、図24は図23のVIII−VIII線矢視断面図である。
【0058】
冷媒ガス分離機構36が前記第7の実施の形態の冷媒ガス分離機構23と異なるのは、固定板23aに代えて傾斜板36aを設けた点で、他の構成要素は第8の実施の形態と同じである。但しスリーブ23cをスリーブ36c、給油口23bを給油口36bと呼び変えてある。傾斜板36aは、その面がクランク軸9の回転軸に垂直な面(水平面)と所定の角度をなすようにスリーブ36cの側面に固定されている。傾斜板36aの面がクランク軸9の回転軸に垂直な面となす上記角度は、クランク軸9が回転している際、傾斜板36aが密閉容器1の上部方向に向かう反力を受ける角度とする。つまり、潤滑油18は傾斜板36aから下方に押しつけられる方向の力を受けることになる。
【0059】
つぎに、上述した図22乃至図24の構成における冷媒ガス分離機構36及び冷媒ガス分離管37の作用及び効果について説明する。圧縮機が運転されると、クランク軸9の回転により、潤滑油18内で冷媒ガス分離機構36の傾斜板36aもクランク軸9と共に回転する。この傾斜板36aの回転により、傾斜板36aの回りに潤滑油18の流れが発生し、回転方向に対して傾斜板の後方に負圧力が発生する。この負圧力の発生により、潤滑油18に溶け込んでいる冷媒ガスが気泡として発生する。この潤滑油と気泡が混合された流体は、密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18が中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、回転方向に対して傾斜板36aの後方側面に設けた給油口23bより吸込まれ、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。その際、クランク軸9の回転により流体に作用する遠心力と気泡と潤滑油の密度差により潤滑油18に混合していた気泡は、給油孔9bの中心に凝集される。凝集した気泡は、前記各実施の形態と同様のメカニズムにより、潤滑油18から分離され、その結果、前記各実施の形態と同様、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。
【0060】
さらに、傾斜板36aは、クランク軸9の回転時に、密閉容器1の上部方向に向かう方向の反力を受ける。この力は、起動時などの潤滑油18が十分に軸受へ供給されない時に、冷媒ガスの圧縮により圧縮室8で発生して主軸受15(軸方向の力を上部フレーム4に伝達する部分を含む)に加わるスラスト方向の力を打ち消す。すなわち、傾斜板36aには、主軸受15の軸方向荷重条件を緩和する効果がある。他の構成、作用及び効果は前記第7の実施の形態の場合と同じである。また、傾斜板36aは翼形状を有していても、同様な機能を有する。
【0061】
本発明の第9の実施の形態を図25乃至図29を用いて説明する。図25は密閉容器1下部の潤滑油18の貯溜部に浸漬したクランク軸9の端部に冷媒ガス分離機構33を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図26は可変板33aが水平面とある角度を有した時の冷媒ガス分離機構33の断面図、図27は図26のIX−IX線矢視断面図である。図28は潤滑油18が高温状態になり可変板33aが水平面に平行になった時の冷媒ガス分離機構33の断面図、図29は図28のX−X線矢視断面図である。
【0062】
冷媒ガス分離機構33が前記第8の実施の形態の冷媒ガス分離機構36と異なるのは、傾斜板36aに代えて、クランク軸9の回転軸に垂直な面とある角度を有したり、垂直な面に平行になる可変板33aを設けた点で、他の構成は、前記第8の実施の形態と同じである。但し、給油口36bを給油口33bに、スリーブ36cをスリーブ33cに、それぞれ呼び変える。可変板33aの面がクランク軸9の回転軸に垂直な面となす上記角度は、クランク軸9が所定の方向に回転している際、可変板33aが、潤滑油18からクランク軸9の軸線方向下向きの反力を受けることのない角度とする。
【0063】
貯溜部の潤滑油18が予め設定された温度(潤滑油18に溶け込んだ冷媒ガスが気泡として発生しやすい最低温度より高い温度を選定する)より高温になると、クランク軸9の回転軸に垂直な面(以下、水平面という)との角度を有する可変板33aは、水平面に平行な可変板33aに変化し、貯溜部の潤滑油18の温度が前記設定温度より低くなると、水平面に平行な可変板33aは、水平面との角度を有する可変板33aに可逆的に変化する。この可変板33aの角度を変化させる部分に2種類以上の形状を記憶し、各種温度により形状を可逆的に変化させる性質を持った形状記憶合金又はバイメタルを使用することにより、可変板33aの駆動は可能である。
【0064】
つぎに、上述した図26乃至図29の構成における冷媒ガス分離機構33及び冷媒ガス分離管37の作用及び効果について説明する。潤滑油18の温度が前記設定温度より低い状態では、潤滑油18に冷媒ガスの溶け込んでいる濃度は大きい傾向にある。潤滑油18の温度が前記設定温度より低い時、潤滑油18内の冷媒ガス分離機構33の可変板33aも、クランク軸9の回転とともに水平面とある角度をなして回転する。この可変板33aの回転により、可変板33aの回りに潤滑油18の流れが発生し、回転方向に対して可変板の後方に負圧力が発生する。この負圧力の発生により、潤滑油18に溶け込んでいる冷媒ガスが気泡として発生する。この潤滑油と気泡が混合された流体は、密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18が中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、回転方向に対して可変板33aの後方側面に設けた給油口33bより吸込まれる。給油口33bより潤滑油18に混合されて吸込まれた気泡は、前記各実施の形態の場合と同様のメカニズムにより潤滑油18から分離され、本実施の形態においても、前記各実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
【0065】
もし、可変板33aがクランク軸9の回転時に、密閉容器1の上部方向に向かう反力を受けるような角度を有していれば、この反力は起動時などの潤滑油18が十分に軸受へ供給されない時に、主軸受15に圧縮により発生するスラスト方向の力を打ち消す。可変板33aには、主軸受15の荷重条件を緩和する効果がある。冷媒ガス分離機構33の給油口33bを可変板33aの重心より下部側面に設けたのは、可変板33aの後方で発生する気泡と潤滑油18の混合流体以外の気泡のない潤滑油18をできるだけ給油口33bから取り込まないようにするためである。また、給油口33bは冷媒ガス分離機構33のスリーブ33cの底面に設けても上述と同様な機能を有する。また、可変板33aは翼形状を有していても、同様な機能を有する。
【0066】
潤滑油18の温度が高温になると、潤滑油18に冷媒ガスが溶け込んでいる濃度は小さくなる傾向にある。潤滑油18の温度が予め設定された温度より高くなると、可変板33aがクランク軸9の回転軸に垂直な面(水平面)に平行になるので、冷媒ガスを潤滑油18から分離する機能は低下するが、圧縮能力を下げていた可変板33aの抵抗が減少するので、圧縮機の効率は向上する。この実施の形態は、潤滑油18に多量に冷媒ガスが溶け込んでいる低温時には、圧縮機の効率を犠牲にして、積極的に冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離し、軸受での軸受性能を向上させ、潤滑油18に冷媒ガスが溶け込みにくい高温時には、冷媒ガスを気泡として潤滑油18から分離する機能を抑えて、圧縮機の効率を向上させるものである。また、可変板33aの幅及び長さ(形状、寸法)は、圧縮機の効率に関係してくるので、電動機の回転数又は圧縮機の出力と潤滑油18に溶け込んだ冷媒ガスを気泡として発生するための負圧力発生能力の関係を参考に、選定する。
【0067】
また、前述の第4の実施の形態の図12のセンサー28及び制御装置27、又は第5の実施の形態の図13乃至図15のセンサー28’及び制御装置27と、上述の形状記憶合金等を使用した冷媒ガス分離機構33を組み合わせることにより、貯溜部の潤滑油18の温度だけなく、その他の因子、例えば、雰囲気、圧力又は振動等をセンサー28で検出し、又は軸受内の隙間、温度、雰囲気、圧力又は振動等をセンサー28’で検出し、制御装置27で、冷媒ガス分離機構33の可変板33aの角度を制御して、冷媒ガスの溶け込み濃度が小さくすることが可能になる。この実施例の形態により、軸受内の気泡発生または発生の兆しを正確にしかも迅速に抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。ただし、制御装置27は図12、又は図13乃至15では、分離機構24の加熱機構の制御であったが、この実施の形態では、形状記憶合金の形状を制御することとなる。
【0068】
つぎに、本発明の第10の実施の形態を図30乃至図32を用いて説明する。図30は、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部を囲う冷媒ガス分離機構26を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図31は冷媒ガス分離機構26の断面図、図32は図31のXI−XI線矢視断面図である。
【0069】
冷媒ガス分離機構26は、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部(下端部)の潤滑油吸込み口を囲む様に、潤滑油18の貯溜部に浸漬し、密閉容器1に固定されて配置された円筒状のケーシング26cと、ケーシング26cの壁面に形成された開口である絞り26aと、ケーシング26cとクランク軸9の間をシールするシール26bと、クランク軸9の給油孔9bの中心に配置された冷媒ガス分離管37と、を含んで構成されている。クランク軸9の下端部はケーシング26cの上面を貫通してその中に挿入されており、クランク軸9がケーシング26cの上面を貫通している部分は、クランク軸9側面とケーシング26cの上面との間は、わずかの隙間を残してシール26bで塞がれていて、潤滑油18を流れにくくしている。ケーシング26cには、給油孔9bの断面積より小さい断面積の絞り26aが形成されている。
【0070】
冷媒ガス分離管37は、前述の第3の実施の形態の図9乃至図11と同様に、クランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられる。分離管37は、図32に示すようにクランク軸9の給油孔9bの中心に設けられ、分離管37の吸込み口は、図31に示すように、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下流に配置されている。つまり、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口はケーシング26c内に位置しており、密閉容器1底部に貯溜された潤滑油18は一旦ケーシング26c内に流入後、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口に導かれる。潤滑油18は、ケーシング26c内に流入するとき、クランク軸9側面とケーシング26c上面の間のシール26bの部分を流れず、ケーシング26cに設けられた絞り26aを通過する。
【0071】
つぎに、上述した図30乃至図32の構成の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。その際、潤滑油18はクランク軸9側面とのシール26bの部分を流れず、ケーシング26cの絞り26aを経てクランク軸9の給油孔9bに流入する。絞り26aの下流で流路断面積が大きくなるので、この下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この潤滑油と気泡が混合された流体はクランク軸9の給油孔9bの吸込み口から吸込まれ、給油孔9b内を上昇する。給油孔9b内を上昇する流体はクランク軸9の回転により回転され、遠心力が作用する。流体に作用する遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、流体中の気泡は給油孔9bの中心に凝集される。給油孔9bの中心に凝集した気泡は、この給油孔9bの中心に設けた冷媒ガス分離管37に取り込まれ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。
【0072】
したがって、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔9bを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。この作用により、各種軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象が抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。この冷媒ガス分離機構26は、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されていれば、密閉容器1以外に固定されていても、上記と同様な機能を有する。
【0073】
つぎに、本発明の第11の実施の形態を図33及び図34を用いて説明する。図33は可変絞り43を付加した冷媒ガス分離機構26の断面図、図34は図33のXII−XII線矢視断面図である。本実施の形態は、前述の図30乃至図32に示す第10の実施の形態の冷媒ガス分離機構26の絞り26aを可変絞り43と孔26dに代えたもので、他の構成要素は冷媒バス分離機構26と同じである。分離管37は、図34に示すようにクランク軸9の給油孔9bの中心に設けられ、図33に示すように分離管37の吸込み口はクランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下流に置かれる。ケーシング26cには絞り26aに代えて孔26dが形成され、孔26dに可変絞り43を付加したケーシング26cは、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されて、密閉容器1に固定される。潤滑油18はクランク軸9側面とのシール26bの部分を流れず、分離機構26に付加された可変絞り43を通過する。
【0074】
つぎに、上述した図33乃至図34の構成における可変絞り43を付加した冷媒ガス分離機構26及び分離管37の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、中間圧力室11の圧力と密閉容器1の圧力との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。その際、潤滑油18はクランク軸9側面とのシール26bの部分を流れず、ケーシング26cの可変絞り43を通過する。可変絞り43の下流で流路断面積が大きくなるので、この下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。さらに、可変絞り43は絞りの直径を変化させることができる(φd←→φd’)ので、可変絞り43により、上述の圧力降下の程度を制御することが可能となる。例えば、可変絞り43の直径を小さくすると、圧力降下は大きくなり、より多くの冷媒ガスの気泡を発生させ、可変絞り43の直径を大きくすると、圧力降下は小さくなるので、冷媒ガスの気泡の発生が抑えられる。つまり、可変絞り43によって冷媒ガスが溶け込んでいる潤滑油18から発生させる気泡量を制御することが可能になる。
【0075】
この潤滑油と気泡が混合された流体はクランク軸9の給油孔9bの吸込み口から吸込まれ、給油孔9b内を上昇する。給油孔9b内を上昇する流体(潤滑油と気泡が混合された流体)は、クランク軸9の回転により回転され、遠心力が作用する。流体に作用する前記遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、潤滑油に混合された気泡は上昇しつつ給油孔9bの中心に凝集される。給油孔9bの中心に凝集した気泡は、この給油孔9bの中心に設けた冷媒ガス分離管37に取り込まれ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。この結果、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔9bを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。以上の作用により、各軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象がさらに抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。この可変絞り43を付加した冷媒ガス分離機構26のケーシング26cはクランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されていれば、密閉容器1以外に固定されていても、上記と同様な機能を有する。
【0076】
この可変絞り43は、例えば2種類以上の形状を記憶し、各種温度により形状を可逆的に変化させる性質を持った形状記憶合金で使用すれば、潤滑油18の温度により、可変絞り43の直径を変化させることが可能である。
【0077】
また、前述の第4の実施の形態の図12のセンサー28及び制御装置27、又は図13乃至図15に示す第5の実施の形態のセンサー28’及び制御装置27と上述の形状記憶合金等を使用した可変絞り43を付加した冷媒ガス分離機構26を組み合わせることにより、貯溜部の潤滑油18の温度だけなく、その他の因子、例えば、雰囲気、圧力又は振動等をセンサー28で検出し、又は軸受内の隙間、温度、雰囲気、圧力又は振動等をセンサー28’で検出し、制御装置27で、冷媒ガス分離装置26の可変絞り43の直径を制御して、冷媒ガスの溶け込み濃度を制御することが可能になる。この実施例の形態により、軸受内の気泡発生または発生の兆しを正確にしかも迅速に抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。ただし、制御装置27は図12、又は図13乃至15では、分離機構24の加熱機構を制御するが、この実施の形態では、形状記憶合金の形状を制御する。
【0078】
つぎに、本発明の第12の実施の形態を図35乃至図37を用いて説明する。図35はクランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部を囲う冷媒ガス分離機構26及び冷媒ガス分離機構35を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図36は冷媒ガス分離機構26及び冷媒ガス分離機構35の断面図、図37は図36のXIII−XIII線矢視断面図である。本実施の形態は、前述の図30乃至図32で示した第10の実施の形態の冷媒ガス分離機構26のケーシング26cの内部に、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部(下端部)の潤滑油吸込み口を囲む様に、潤滑油18の貯溜部に浸漬し、密閉容器1に固定され、クランク軸9の側面との間を、シール35bで潤滑油18を流れにくくした、円筒状の冷媒ガス分離機構35を設けたもので、他の構成要素は、第10の実施の形態と同じである。
【0079】
冷媒ガス分離機構35には、冷媒ガス分離機構26のケーシング26cの絞り26aの断面積より小さい断面積の絞り35aが設けられている。冷媒ガス分離管37は、前述の図9乃至図11に示された第3の実施の形態と同様に、クランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられる。分離管37は、図37に示すようにクランク軸9の給油孔9bの中心に設けられ、分離管37の吸込み口は、図36に示すように、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下流に置かれる。冷媒ガス分離機構26のケーシング26cの内部にある冷媒ガス分離機構35は、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されて、密閉容器1に固定されている。クランク軸9下端に開口する給油孔9bの吸込み口は冷媒ガス分離機構35内に位置し、冷媒ガス分離機構35に流入する潤滑油18は、クランク軸9側面とのシール35bの部分を流れず、分離機構35に設けられた絞り35aを通過する。
【0080】
つぎに、上述した図35乃至図37の構成における冷媒ガス分離機構26、冷媒ガス分離機構35及び分離管37の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜され冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。その際、潤滑油18はクランク軸9側面とのシール26b及びシール35bの部分を流れず、冷媒ガス分離機構26の絞り26aと冷媒バス分離機構35の絞り35aを通過する。絞り26a及び絞り35aの下流で流路断面積が大きくなるので、これらの下流域では局所的に圧力降下が発生する。この際、この二度の圧力降下により潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスをより多く気泡として、より分離することが可能になる。この潤滑油と気泡が混合された流体はクランク軸9の給油孔9bの吸込み口から吸込まれ、給油孔9bの内部を上昇する。給油孔9bの内部を上昇する流体は、クランク軸9の回転により回転し、この回転により流体に遠心力が作用する。この遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、前記流体に混合している気泡は給油孔9bの中心に凝集される。給油孔9bの中心に凝集した気泡は、この給油孔9bの中心に設けた冷媒ガス分離管37に取り込まれ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。
【0081】
よって、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔9bを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。この作用により、各軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象が抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。この冷媒ガス分離機構35はクランク軸9の給油孔9bの吸込み口を囲み、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されていれば、密閉容器1以外に固定されていても、上記と同様な機能を有する。
【0082】
さらに、上述の実施の形態の絞り26a及び35aに、前述の図33及び図34に示されただい33の実施の形態の可変絞り43を付加することにより、冷媒ガスが溶け込んでいる潤滑油18から発生させる気泡量を制御し、冷媒ガスの分離性能をより向上させることが可能になる。また、前記第10〜12の実施の形態においては、ケーシング26に設けた絞り26aや絞り35a、孔26dは各1個であるが、複数に分けて配置してもよい。但し、合計された断面積の大きさは、絞り26aや絞り35a、孔26dが1個の場合の断面積の大きさを超えないようにするするのが望ましい。
【0083】
つぎに、本発明の第13の実施の形態を図38乃至図40を用いて説明する。図38はクランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部より下方に冷媒ガス分離機構38を有するスクロール圧縮機の縦断面図及び円部内を拡大した拡大図である。図39は冷媒ガス分離機構38の断面図、図40は図39のXIV−XIV線矢視断面図である。冷媒ガス分離機構38は、クランク軸9の潤滑油18の貯溜部に浸漬させた側の端部(下端部)に下向きに開口した潤滑油吸込み口の下方に配置され、密閉容器1底部上面に弾性体40を介し固定された円環状の振動子38aと、密閉容器1の外部に置かれ前記振動子38aを振動させる制御装置39と、振動子38a下方の密閉容器1に取り付けられ制御装置39から振動子38aへの信号線を密閉容器1内部に導く端子41と、前述の第3の実施の形態の図9乃至図11と同様にクランク軸9の給油孔9b内の中心に設けられた冷媒ガス分離管37と、を含んで構成される。振動子38aは潤滑油18の貯溜部に浸漬されている。分離管37は、図40に示すようにクランク軸9の給油孔9bの中心に設けられ、分離管37の吸込み口は、図39に示すように、クランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下流(図上、上方)に配置されている。
【0084】
つぎに、上述した図38乃至図40の構成における冷媒ガス分離機構38の作用及び効果について説明する。密閉容器1の底部に貯溜されている冷媒ガスの溶け込んだ潤滑油18は、中間圧力室11と密閉容器1との圧力差によって、クランク軸9の給油孔9bに吸い上げられる。その際、冷媒ガス分離機構38の振動子38aを制御装置39により振動させる。振動子38aは潤滑油18中に浸漬されているから、振動子周辺の潤滑油18では、振動子38aの振動により、圧力降下と圧力上昇が発生する。この圧力降下時に潤滑油18の中に溶け込んでいた冷媒ガスが気泡となる。この潤滑油と気泡が混合された流体は、前記圧力差により、クランク軸9の下端の給油孔9bの吸込み口から吸い込まれ、給油孔9b内を上昇する。給油孔9b内を上昇する流体は、クランク軸9の回転により回転され、流体には遠心力が作用する。この遠心力と気泡と潤滑油の密度差により、前記流体に混じっている気泡は、給油孔9bの吸込み口から上昇しつつ給油孔9bの中心に凝集される。給油孔9bの中心に凝集した気泡は、この給油孔9bの中心に設けた冷媒ガス分離管37にその吸込み口から取り込まれ、冷媒ガスを気泡として潤滑油18と分離することができる。
【0085】
これにより、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔9bを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。この作用により、各種軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がより小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象が抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。弾性体40は振動子38aと密閉容器1の底面の間に置かれ、振動子38aの振動が密閉容器1に伝わるのを防いでいる。この冷媒ガス分離機構38の振動子38aはクランク軸9の給油孔9bの吸込み口より下方の、潤滑油18の貯溜部内に浸漬されていれば、密閉容器1以外に弾性体40を介して固定されていても、上記と同様な機能を有する。また、振動子38aの振動方向は、本実施の形態のように垂直方向の振動に限られるものではなく、水平方向の振動でも、斜め上方向の振動でも、他の方向の振動でもよい。さらに、密閉容器1の外部に置かれた制御装置39は、温度、圧力、雰囲気及び振動に関して信頼性を保つことが可能ならば、密閉容器1内部への導入端子41を使用せず、密閉容器1の内部に置くことで上記実施の形態と同様な機能を行うことが可能であり、導入端子41を用いないことは、冷媒ガス分離機構38の振動子の制御の信頼性を向上する効果がある。
【0086】
つぎに、本発明の第14の実施の形態を図41を用いて説明する。図41は前述の図13乃至図15に示された第5の実施の形態のセンサー28’及び制御装置27を設け、制御装置27により前述の冷媒ガス分離機構38の振動子38aを制御するようにしたスクロール圧縮機の縦断面図である。制御装置27は制御信号を伝えるために振動子38aの制御装置39と信号線により接続されている。他の構成は、前記第13の実施の形態とおなじであり、説明は省略する。
【0087】
つぎに、上述した図41の構成におけるセンサー28’、制御装置27、冷媒ガス分離機構38の作用及び効果について説明する。前述の第5の実施の形態のセンサー28’及び制御装置27を上述の図38乃至図40に示した第13の実施の形態の冷媒ガス分離機構38と組み合わせることにより、軸受内の隙間、温度、雰囲気、圧力又は振動等をセンサー28’で検出し、制御装置27で、冷媒ガス分離装置38の振動子38aの振動を制御して、冷媒ガスの溶け込み濃度を小さくすることが可能になる。この実施の形態により、軸受内の気泡発生または発生の兆しを正確にしかも迅速に抑えられ、発泡による各軸受の軸受性能の低下を防止する効果があり、軸受の信頼性が向上する。ただし、制御装置27は図13乃至15では、分離機構24の加熱機構を制御するが、この実施の形態では、振動子38aの振動を制御する制御装置39に制御信号を送信して振動の振幅、振動数を制御する。また、第5の実施の形態のセンサー28’と制御装置27に代えて前述の第4の実施の形態の図12のセンサー28と制御装置27を用いて、密閉容器1内の温度、雰囲気、圧力又は振動等により冷媒ガス分離装置38の振動子の制御をしても、上述の実施の形態と同様な機能を持たせることが可能である。
【0088】
さらに、本発明の実施の形態として前述の図1乃至図41のそれぞれの実施の形態を複数個組み合わせた冷媒ガス分離機構も考えられる。これらの機構は、それぞれの冷媒ガス分離機構を単体で用いた実施の形態よりも、冷媒ガスを分離する性能を向上することが可能であり、分離された冷媒ガスは、給油孔9bの中心に設けられた冷媒ガス分離管21a、29a、30a又は37により、潤滑油18から分離される。よって、冷媒ガスを分離した潤滑油18が、潤滑導路9cや給油孔9bを通って主軸受15や旋回軸受10に供給される。この作用により、各種軸受に供給される潤滑油18の冷媒ガスの溶け込み濃度がさらに小さくなるので、軸受内で潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡する現象がより抑えられ、発泡による各種軸受の軸受性能の低下を防止する効果がある。
【0089】
以上述べた実施の形態のスクロール圧縮機を、各種空調機器または冷凍・冷蔵庫に用いることにより、それら機器の信頼性が向上するとともに性能が向上するという効果がある。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、各軸受内での潤滑油に溶け込んだ冷媒ガスの発泡現象を抑え、各種軸受摺動部における油切れ等のトライボロジー問題を解決でき、圧縮性能及び信頼性の高いスクロール圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のクランク軸に冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図2】図1の冷媒ガス分離機構の縦断面図である。
【図3】図2の冷媒ガス分離機構のI−I線矢視断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のクランク軸に冷媒ガス分離機構を複数有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図5】図4の冷媒ガス分離機構上部の縦断面図である。
【図6】図5の冷媒ガス分離機構のII−II線矢視断面図である。
【図7】図4の冷媒ガス分離機構下部の縦断面図である。
【図8】図7の冷媒ガス分離機構のIII−III線矢視断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の潤滑油吸込み口に冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図10】図9の冷媒ガス分離機構の縦断面図である。
【図11】図10の冷媒ガス分離機構のIV−IV線矢視断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の潤滑油吸込み口に冷媒ガス分離機構、センサー及び制御装置を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の潤滑油吸込み口に冷媒ガス分離機構、センサー及び制御装置を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図14】図13のセンサー取付け部の詳細を示す縦断面図である。
【図15】図14のV−V線矢視断面図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬させた冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図17】図16の一部を拡大して示す断面図である。
【図18】図17のVI−VI線矢視断面図である。
【図19】本発明の第7の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬したクランク軸の端部に板を付加した冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図20】図19の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図21】図20のVII−VII線矢視断面図である。
【図22】本発明の第8の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬したクランク軸の端部に傾斜板を付加した冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図23】図22の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図24】図23のVIII−VIII線矢視断面図である。
【図25】本発明の第9の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬したクランク軸の端部に可変板を付加した冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図26】図25の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図27】図26のIX−IX線矢視断面図である。
【図28】図25の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図29】図28のX−X線矢視断面図である。
【図30】本発明の第10の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬したクランク軸の端部に絞りを設けた冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図31】図30の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図32】図31のXI−XI線矢視断面図である。
【図33】本発明の第33の実施の形態の可変絞りを設けた冷媒ガス分離機構の縦断面図である。
【図34】図33のXII−XII線矢視断面図である。
【図35】本発明の第12の実施の形態の潤滑油貯溜部に浸漬したクランク軸の端部に絞りを設けた冷媒ガス分離機構を複数有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図36】図35の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図37】図36のXIII−XIII線矢視断面図である。
【図38】本発明の第13の実施の形態の潤滑油の貯溜部に浸漬させた振動子を設けた冷媒ガス分離機構を有するスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図39】図38の部分を拡大して示す縦断面図である。
【図40】図39のXIV−XIV線矢視断面図である。
【図41】本発明の第14の実施の形態のスクロール圧縮機の縦断面図である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 固定スクロール
3 旋回スクロール 3a 連通孔
4 上部フレーム 5 オルダムリング
6 吸込み口 7 吸込みパイプ
8 圧縮室 9 クランク軸
9a 偏心部 9b 給油孔
9c 給油導路 9d 取付け孔
10 旋回軸受 11 中間圧力室
12 ボルト 13 ロータ
14 ステータ 15 主軸受
16 下部フレーム 17 副軸受
18 潤滑油 19 吐出口
20 吐出しパイプ 21 冷媒ガス分離機構
21a 冷媒ガス分離管 21b 絞り
21c 給油導路 21d 給油孔
21f スリーブ 23 冷媒ガス分離機構
23a 固定板 23b 給油口
23c スリーブ 24 冷媒ガス分離機構
24a 孔 24f カバー
26 冷媒ガス分離機構 26a 絞り
26b シール 26c ケーシング
26d 孔 27 制御装置
28,28’ センサー 29 冷媒ガス分離機構
29a 冷媒ガス分離管 29b 絞り
29c 給油導路 29d 給油孔
29f スリーブ 30 冷媒ガス分離機構
30a 冷媒ガス分離管 30b 絞り
30d 給油孔 30f スリーブ
31 アダプター 31d 給油孔
32 冷媒ガス分離機構 33 冷媒ガス分離機構
33a 可変板 33b 給油口
33c スリーブ 35 冷媒ガス分離機構
35a 絞り 35b シール
36 冷媒ガス分離機構 36a 傾斜板
36b 給油口 36c スリーブ
37 冷媒ガス分離管 38 冷媒ガス分離機構
38a 振動子 39 制御装置
40 弾性体 41 接続端子
42 冷媒ガス分離機構 42a 孔
43 可変絞り 44 固定手段

Claims (25)

  1. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔に分岐して前記軸受に連通する潤滑油導路を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口と前記軸受に連通した潤滑油導路の間の潤滑油給油孔に、前記潤滑油給油孔断面積より小さい断面積を有する絞りを設け、前記絞りの低圧部と前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部を連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 潤滑油導路と前記圧縮機構部の低圧力部の間の潤滑油給油孔に、前記潤滑給油孔断面積より小さい断面積を有する絞りを設け、潤滑油給油孔の潤滑油吸入口と前記軸受に連通した潤滑油導路の間の潤滑油給油孔に設けた前記絞りの低圧部から潤滑油導路と前記圧縮機構部の低圧力部の間の潤滑油給油孔に設けた絞りの高圧部を連通し前記潤滑油給油孔内を通る管と、前記潤滑油導路と前記圧縮機構部の低圧力部の間の潤滑油給油孔に設けた絞りの低圧部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し前記潤滑油給油孔内を通る管を、それぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口より上流の潤滑油貯溜部の潤滑油内に、潤滑油吸入口を囲い、潤滑油が通過できる孔を有するヒータを設け、前記潤滑油給油孔の潤滑油吸入口の下流部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 該密閉容器内に圧力、温度、振動のいずれか一つ以上を検出するセンサーを有し、該センサーの出力に応じて前記ヒータの出力を制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口より上流の潤滑油貯溜部の潤滑油内に、前記電動機のステータ絶縁部から導いた熱伝導体を設け、前記潤滑油給油孔の潤滑油吸入口の下流部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 前記熱伝導体に形状記憶合金を用いたことを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  7. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口より上流の潤滑油貯溜部の潤滑油内の、前記クランク軸外部に前記クランク軸と同回転速度で回転する板、棒又は翼を設け、前記潤滑油給油孔の潤滑油吸入口の下流部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  8. 前記板、又は翼が前記クランク軸の回転軸に垂直な面に対し傾斜していることを特徴とする請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記板、又は翼が前記クランク軸の回転軸に垂直な面に対してなしている傾斜角度が可変であることを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記板、又は翼に形状記憶合金及びバイメタルを用いたことを特徴とする請求項9に記載のスクロール圧縮機。
  11. 潤滑油吸入口が前記板、又は翼の回転方向後方に開口していることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  12. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口より上流の潤滑油貯溜部の潤滑油内に、前記潤滑油吸入口の周囲に、潤滑油が通過できる潤滑油給油孔の断面積よりも小さい断面積の絞りを有する囲いを設け、前記潤滑油給油孔の潤滑油吸入口の下流部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  13. 前記絞りの断面積を可変にしたことを特徴とする請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  14. 前記断面席が可変である絞りに形状記憶合金を使用したことを特徴とする請求項13に記載のスクロール圧縮機。
  15. 囲いが複数層設けられ、前記の最外層の囲いの絞りの断面積が潤滑油給油孔の断面積よりも小さく、内側の囲いの絞りの断面積が外側の囲いの絞りの断面積より小さくなっていることを特徴とする請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  16. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、この底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜に通じる潤滑油給油孔を設け、該潤滑油給油孔の潤滑油吸入口より上流の潤滑油貯溜部の潤滑油内に潤滑油内で振動する振動子を設け、前記密閉容器外部に配置されて前記振動子の振動を制御する制御装置を設け、前記潤滑油給油孔の潤滑油吸入口の下流部から一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力に連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  17. 前記密閉容器内に軸受の隙間量、温度、圧力、振動のすくなくとも一つを検出するセンサーを有し、該センサーの出力に応じて前記振動子の振動を制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項16に記載のスクロール圧縮機。
  18. 潤滑油給油孔がクランク軸の回転中心線を中心線として形成されている断面円形の直線流路であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  19. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えてなり、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、前記密閉容器の底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を前記クランク軸を軸方向に全通して形成し、該潤滑油給油孔に分岐して前記軸受に給油する潤滑油導路を設け、前記他端を潤滑油吸入口とするとともにクランク軸の回転中心線が潤滑油給油孔の中心線であるスクロール圧縮機において、
    前記潤滑油導路の分岐点と前記潤滑油吸入口の間の前記潤滑油給油孔に、前記潤滑油給油孔断面積より小さい断面積を有する絞りを設け、前記絞りの低圧部と前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部を連通し、前記潤滑油給油孔内を通る管を、クランク軸回転軸線上に設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  20. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えてなり、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、前記密閉容器の底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を前記クランク軸を軸方向に全通して形成し、該潤滑油給油孔に分岐して前記軸受に給油する潤滑油導路を設け、前記他端を潤滑油吸入口とするとともにクランク軸の回転中心線が潤滑油給油孔の中心線であるスクロール圧縮機において、
    前記潤滑油導路分岐点の上流側の潤滑油給油孔に潤滑油の圧力を低下させる圧力低下手段を設け、該圧力低下手段と前記潤滑油導路分岐点の間の潤滑油給油孔に潤滑油中で凝集した気泡を分離して取り込む気泡分離手段を設け、前記圧力低下手段と前記気泡分離手段の間の潤滑油給油孔を潤滑油に混入した気泡を凝集させる凝集手段としたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  21. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に連結された圧縮機構部とを収納し、それぞれの台板上に直立する渦巻状のラップを設け、それぞれのラップを互いに噛み合わせて圧縮室を形成する固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達するクランク軸と、前記クランク軸を支持する軸受を具備するフレームと、前記フレームと前記旋回スクロールとの角度関係を保つ自転防止機構とを備えてなり、前記密閉容器内を前記圧縮機構部の吐出し圧力と同等の高圧力に保ち、前記密閉容器の底部に潤滑油を貯溜し、一端が前記圧縮機構部の低圧力の吸込圧力部に連通し、他端が高圧力の潤滑油貯溜部に通じる潤滑油給油孔を前記クランク軸を軸方向に全通して形成し、該潤滑油給油孔に分岐して前記軸受に給油する潤滑油導路を設け、前記他端を潤滑油吸入口とするとともにクランク軸の回転中心線が潤滑油給油孔の中心線であるスクロール圧縮機において、
    前記潤滑油貯溜部内に潤滑油の圧力を低下させる圧力低下手段を設け、前記潤滑油吸入口下流側の潤滑油給油孔内に潤滑油中で凝集した気泡を分離して取り込む気泡分離手段を設け、前記潤滑油吸入口と前記気泡分離手段の間の潤滑油給油孔を潤滑油に混入した気泡を凝集させる凝集手段としたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  22. 前記潤滑油貯溜部内に、前記圧力低下手段に代えて潤滑油を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする請求項21に記載のスクロール圧縮機。
  23. 前記潤滑油貯溜部内に、前記圧力低下手段に加えて潤滑油を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする請求項21に記載のスクロール圧縮機。
  24. 請求項1乃至23のいずれかに記載のスクロール圧縮機を用いたことを特徴とする空調機器。
  25. 請求項1乃至23のいずれかに記載のスクロール圧縮機を用いたことを特徴とする冷凍・冷蔵庫。
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