JP2010001763A - 圧縮機 - Google Patents

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重樹 岩波
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Abstract

【課題】スクロール圧縮機の副軸受と主軸受へ、強制給油される潤滑油を安定して、適量配分することが可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】シャフト4の主軸受部5に対応する部位における給油孔43に対し、主軸受部5と接触するシャフト4の外周部に給油溝43aを連通形成する。
シャフト4の副軸受部6に対応する部位における給油孔44に対し、副軸受部6と接触するシャフト4の外周部に給油溝44aを連通形成する。
給油溝43a、給油溝44aの断面面積を主軸受部5>副軸受部6とする。
例えば、主軸受部5側に対し、副軸受部6側を少なくとも、2:1から5:1以内としておく。
【選択図】図1

Description

本発明は圧縮機に関するものであり、特には、圧縮機の副軸受と主軸受へ、強制給油される潤滑油を安定して、適量配分することが可能な圧縮機に関するものである。
従来、圧縮機には、スクロール型がある。
かかるスクロール型では、モータ側先端に副軸受と、モータと圧縮機構部間に主軸受とを配置している。
各軸受にかかる荷重はスクロール固有の片持構造ゆえに、圧縮機構部側の荷重が大となるが、共にすべり軸受の為、潤滑が重要である。
例えば特許文献1では、各々の軸受へシャフト内の給油通路から、半径方向の通路を通じて、シャフトに設けられたスパイラル状の給油溝で軸受の潤滑を行っている。
しかしながら、副軸受側への給油量が増加すると、主軸受側の給油量が減少し、この分配の問題には言及されていない。
特開平8−261177号公報
また、特許文献2に見られる様に内部低圧構造の圧縮機にオイルセパレータを付与した横型圧縮機が公知である。
オイルセパレータによる差圧強制給油は構造上、圧縮機後方の貯油室からの給油の為、圧縮機構部の軸受側が上流側となりモータ先端の副軸受側軸受が最も給油側より遠方の下流となり、しかも副軸受側軸受は横型ゆえにモータ室の油面から離れた空間に配されることとなり、荷重負荷は小さいものの、潤滑環境は厳しいものであった。そこで圧縮機側より給油される供給量を主軸受とモータ軸受へ適量分配することが課題であった。
特開2004−218536号公報
いずれにしろ副軸受側流量と主軸受側流量の安定した分配が課題であり、特に近年の温暖化対応でのCO2冷媒を用いた圧縮機では荷重も大きく、潤滑環境も厳しいことより一層の重要な課題となってきた。
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであって、スクロール圧縮機の副軸受と主軸受へ、強制給油される潤滑油を安定して、適量配分することが可能な圧縮機を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、作動媒体を圧縮する圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を支持してなり、荷重大となる主軸受部(5)と、主軸受部(5)より荷重小となる副軸受部(6)とを有する圧縮機において、シャフト(4)内に軸方向に沿う給油通路(42)と、給油通路(42)から主軸受部(5)と副軸受部(6)とに、径方向にそれぞれ連通する給油孔(43、44)と、給油孔(43、44)と連通してシャフト(4)外周に沿って設けた給油溝(43a、44a)とを備え、副軸受部(6)側の給油孔(44)から給油溝(44a)に亘る流路抵抗が、主軸受部(5)側の給油孔(43)から給油溝(43a)に亘る流路抵抗に比較して大としたことを特徴とする。
これにより、軸受荷重が副軸受部(6)に比較して大きい主軸受部(5)側の給油溝(43a)に、潤滑油が流れやすくなり、同時に、比較的、軸受荷重の小さい副軸受部(6)側の給油溝(44a)に対しても、流量は少なくなるが、潤滑油を流すことができる。 このようにすることで、主軸受部(5)と副軸受部(6)とに、必要な量の潤滑油を給油することができる。
主軸受部(5)の軸受を潤滑した後、センタケーシング(21)の中央の孔内面とシャフト(4)の外周面との微小な隙間を通って低圧側油溜り(17)へと流下する。
一方、副軸受部(6)の軸受を潤滑した後、芯出し部材(15)の中央の孔内面とシャフト(4)の外周面との微小な隙間を通って低圧側油溜り(19)へと流下する。
請求項2に記載の発明では、作動媒体を圧縮する圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を支持してなり、荷重大となる主軸受部(5)と、主軸受部(5)より荷重小となる副軸受部(6)とを有する圧縮機において、シャフト(4)内に軸方向に沿う給油通路(42)と、給油通路(42)から主軸受部(5)と副軸受部(6)とに、径方向にそれぞれ連通する給油孔(43、44)と、給油孔(43、44)と連通して軸受側に設けた給油溝(43a、44a)とを備え、副軸受部(6)側の給油溝(44a)における流路抵抗が、主軸受部(5)側の給油溝(43a)における流路抵抗に比較して大としたことを特徴とする。
これにより、圧縮機の副軸受部(6)と主軸受部(5)へ、軸受側に設けた給油溝(43a、44a)に、強制給油される潤滑油を安定して、適量配分することが可能となる。
請求項3に記載の発明では、流路抵抗は、それぞれ、給油孔(43、44)から給油溝(43a、44a)に亘る流路の流路断面積に基づいて設定したことを特徴とする。
これにより、流路抵抗は、給油溝(43a、44a)の溝断面積を調整することで、自在に加減することができる。
請求項4に記載の発明では、主軸受部(5)側の給油孔(43)から給油溝(43a)に亘る流路と副軸受部(6)側の給油孔(44)から給油溝(44a)に亘る流路とにおける流路断面面積比を、少なくとも2:1から5:1以内としたことを特徴とする。
これにより、主軸受部(5)側流量が、副軸受部(6)側より逆転することもなく、副軸受部(6)側が枯渇することもなく、良好に潤滑油を主軸受部(5)側と副軸受部(6)側に分配給油することができる。
請求項5に記載の発明では、流路抵抗は、給油溝(43a、44a)の溝長さに基づいて設定したことを特徴とする。
これにより、流路抵抗は、給油溝(43a、44a)の溝長を調整することで、自在に加減することができる。
請求項6に記載の発明では、圧縮機構部(2)はスクロール型であることを特徴とする。
これにより、主軸受部(5)と副軸受部(6)の荷重比が大きく、より分配が重要となり、有効である。
請求項7に記載の発明では、作動媒体である冷媒が、二酸化炭素(CO2)であることを特徴とする。
これにより、潤滑が難しいCO2でより有効となる。
請求項8に記載の発明では、圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を略水平方向に支持してなる横型としたことを特徴とする。
これにより、副軸受部(6)側が、縦型の圧縮機のように、潤滑油中に浸漬されることなく、より確実に主軸受部(5)と副軸受部(6)とに潤滑油を分配することができる。
さらに請求項8に記載の発明では、圧縮機構部(2)と、圧縮機構部(2)を駆動する駆動部(3)と、圧縮機構部(2)及び駆動部(3)を収納する容器(1)と、圧縮機構部(2)の吐出側に設置され、作動媒体から分離された潤滑油を貯留する高圧側貯油室(29)とを備えていて、分離した潤滑油を吐出圧と吸入圧との差圧を用いて、前記容器(1)内を循環させる構成としたことを特徴とする。
これにより、分離した潤滑油を吐出圧と吸入圧との差圧を用いて、圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)側の給油通路(42)に送り込むことができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
図1に、第1実施形態のスクロール圧縮機100を示す。このスクロール圧縮機100は、外部の冷凍サイクル系からの冷媒を容器内の圧縮機構部2で圧縮すると共に、圧縮された冷媒から潤滑油(オイル)を分離して、冷媒を外部の冷凍サイクル系に戻すようにしたもので、運転に伴い、分離したオイルを圧縮機構部等の可動部に対し、常時供給し、回収する構成としている。
この圧縮機100では、作動媒体である冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いるようにしている。CO2冷媒を用いる場合、従来のフロン系冷媒と比較して効率上、より高圧化が必要であり、圧縮機構部2である旋回スクロールと固定スクロールとが摺動する箇所に対する押圧力は過大なものとなるが、後述のように、運転時、常時、オイルを供給・回収する構成としていることから、CO2を冷媒とすることを可能としている。
スクロール圧縮機100は、容器、好ましくは密閉型容器、としての外郭ハウジング1と、この外郭ハウジング1内に収容された圧縮機構部2、及び電動機部3とから構成されている。図1に示される密閉型スクロール圧縮機100は、横置き型の圧縮機であり、図において下面が設置面とされ、右側に圧縮機構部2が左側に電動機部3が配置され、両者は、主軸としてのシャフト4によって接続されている。そして電動機部3により圧縮機構部2が駆動されるようになっている。
外郭ハウジング1は、円筒状の本体ハウジング11、前部ハウジング12及び後部ハウジング13とから構成されている。これらのハウジング11、12、13が固着されて外郭ハウジング1内には密閉された空間が形成されるようになっている。本体ハウジング11には、圧縮機構部2の吸入室25に接続する吸入パイプ(図示せず)と、同じく圧縮機構部2の吐出室26に接続する吐出パイプ18とが設けられている。冷凍サイクルからの低圧の冷媒及び低温のオイル(潤滑油)とが混合したガスが吸入パイプから外郭ハウジング1内に流入するようになっている。
電動機部3は、主軸としてのシャフト4に固定される回転子31と、この回転子31の外周側に配置される固定子32とから構成されている。固定子32は、本体ハウジング11の内周面に焼嵌め又は圧入により固着されている。この電動機部3には、図示しない外部電源から電力が供給されるようになっており、これにより回転子31が回転駆動され、それとともにシャフト4も回転駆動するようになっている。
圧縮機構部2は、センタケーシング21、可動部材としての旋回スクロール22、固定スクロール23及び弁カバー24等を備えている。センタケーシング21は、本体ハウジング11の内周面に焼嵌め又は圧入により固着されている。センタケーシング21の中心部には、シャフト4を貫挿する孔が設けられており、この孔に軸受が嵌入されて、シャフト4を回転可能に軸支する主軸受部5となっている。一方、本体ハウジング11の電動機部側には、シャフト4を支持するための支持部材14が本体ハウジング12の内周面に固定されており、この支持部材14の中央部には、芯出し部材15が固着されている。芯出し部材15の中央部にもシャフト4を貫挿する孔が設けられ、この孔に軸受が嵌入されてシャフト4を回転可能に軸支する副軸受部6となっている。
旋回スクロール22は、略円形をした旋回スクロール端板部22aと、この端板部22aの片側に突出して形成され、円筒形状をしたボス部22cと、このボス部22cが形成されている端板部22aの他面側に突出して形成されている渦巻き形状をした旋回スクロール羽根部22bとからなる。ボス部22cには、軸受が圧入固定されていてシャフト4のクランク部41に回転自在に支持されている。なお、センタケーシング21の旋回スクロール側の端面には、図示しないオルダムカップリングが配置されており、旋回スクロール22の自転を防止している。これにより、旋回スクロール22は公転のみが許容されている。
旋回スクロール22に対して偏心した位置で対向して、回転方向に180度ずらして噛み合う固定スクロール23が設けられ、この固定スクロール23はボルト等によりセンタケーシング21に固定されている。固定スクロール23は、略円形をした固定スクロール端板部23aと、旋回スクロール羽根部22bと略同形状をした渦巻状の固定スクロール羽根部23bとからなり、この旋回スクロール羽根部22bと相対するように組み付けられる。旋回スクロール羽根部22bと固定スクロール羽根部23bとが噛み合うことによって、それらの渦巻状の羽根部22b、23b間に冷媒を取り込んで圧縮する三日月状の作動室(圧縮室)27が複数個形成されるが、2つのスクロール22、23の共通の中心部領域には、圧縮された冷媒の圧力が最も高くなる高圧作動室が1つだけ形成される。この固定スクロール端板部23aの略中央には、高圧作動室から圧縮された冷媒を吐出するための吐出口23cが形成されている。
固定スクロール23と旋回スクロール22の2つの渦巻状の羽根部23b、22bとがかみ合わされた外周側に位置して吸入室25が形成されている。吸入室25には吸入パイプ(図示せず)に接続していて、この吸入パイプが図示しない冷凍サイクルの低圧側と接続している。2つの渦巻状の羽根部23b、22bによって形成される作動室27のうちの最も外周側にある作動室が外周に向かって開いた時に、吸入室25から圧縮すべきCO2ガスが作動室に取り込まれるようになる。また、吸入室25は、センタケーシング21に設けられた連通孔21aによって、電動機部3が収容された密閉空間Sと連通している。
固定スクロール端板部23aの羽根部23bと反対側の略中央部には、凹状に窪んだ吐出室26が設けられていて、吐出室26は弁カバー24で覆われている。吐出室26は、吐出口23cを介して高圧作動室(圧縮室)27と連通している。吐出室26にはリード弁26aが設けられている。このリード弁26aは吐出室26側に開く構成とされており、吐出室26内の高圧冷媒が作動室27に逆流することを防止する弁である。吐出室26は、吐出管18の一端が径方向に接続されており、固定スクロール端板部23aには、該吐出管18の周囲に微小な断熱隙間Gが形成されるように径方向に円筒状空間部23fが設けられている。隙間Gは、単なる空間以外に断熱材を充填して断熱効果を向上させることもできる。
吐出管18の他端は、容器1の外部で円筒状の気液分離部28に接線方向に接続している。このようにして吐出室26は吐出管18によって遠心力によって気体と液体とを分離する気液分離部28に連通しており、圧縮された吐出ガスは吐出室26から気液分離部28に入り、ここで高圧冷媒ガスと高温のオイルとに分離され、高圧冷媒ガスは、図示しない冷凍サイクルの高圧側へと送られる。後部ハウジング13には、隔壁16によって仕切られた高圧側貯油室29が設けられていて、気液分離部28の下部と連通しており、気液分離部28で分離された高温のオイルが一時的に高圧側貯油室29に貯溜する。また、圧縮機構部2と隔壁16との間には、断熱空間S2が形成される。なお、隔壁16は溶接によって後部ハウジング13に固着されている。
一方、外郭ハウジング1内をセンタケーシング21によって仕切られた電動機部3が収容された密閉空間S内の下部には、低圧側油溜り17が形成されている。なお、冷媒ガスの吸入室25は、センタケーシング21に設けた連通孔21aによって低圧側油溜り17が形成されている低圧側の密閉空間Sと連通しており、オイルがミスト状に混入している吸入冷媒ガスの一部は密閉空間S内に流入している。また、支持部材14には、複数の開口14aが設けられていて、支持部材14の電動機部と反対であって、支持部材14と外郭ハウジング1とで囲まれる空間S′及び低圧側溜り17に連通するようになっている。また、吸入パイプ(図示せず)は、低圧側密閉空間Sに接続するように配設してもよい。
固定スクロール23及び旋回スクロール22には、高圧側貯油室29内のオイルを旋回スクロール22のボス部22c内の背圧空間22dへと導入する給油通路7が形成されている。本発明においては、固定スクロール23側の第1給油通路72と旋回スクロール22側の第2給油通路73とは、間欠的に連通するようになっているが、この間欠給油機構については、後に説明する。
給油通路7は、高圧側貯油室29を上流側として、パイプよりなる送油管71、固定スクロール端板部23aに形成された第1給油通路72及び旋回スクロール端板部22aに形成された第2給油通路73とより構成されている。第1給油通路72と第2給油通路73とは、旋回スクロール22の回転によって、間欠的に連通するようになっている(後述)。
送油管71は、容器1の外部に配置され、その一端は高圧側貯油室29の底部に接続し、他端は、第1給油通路72に接続している。なお、高圧側貯油室29の底部は、後部ハウジング13の一部である。送油管71の一端は、高圧側貯油室29の底面から突出量δだけ突出するように、その底部に連結されている。したがって、高圧側貯油室29の底面に堆積したオイル中の異物を送油管71が直接吸引するのを防止できる。
また、送油管71の内径d2は、間欠給油絞り部である固定スクロール側穴23eの径d1よりも大きい。これにより、オイル中の異物によって、比較的に長い経路の送油管71が詰まることが防止できる。送油管71の下流となり間欠給油絞り部の上流となる固定スクロール通路(第1給油通路72)内には、フィルタ75が設置され、微少絞りとなる間欠給油絞り部への異物流入を防止している。
ここで間欠給油機構について説明する。固定スクロール23の固定スクロール端板部23aに設けられる第1給油通路72の固定スクロール側穴23eが、旋回スクロール22に向けて開けられている。
この場合、固定スクロール側穴23eは間欠給油絞り部に相当するものである。
一方、旋回スクロール22の旋回スクロール端板部22aに設けられる第2給油通路73の旋回スクロール側穴22eが、固定スクロール23に向けて開けられている。
固定スクロール側穴23eと旋回スクロール側穴22eとは、旋回スクロール22の旋回によって、間欠的に連通されるようになっている。したがって、固定スクロール側穴23eと旋回スクロール側穴22eとで、間欠給油機構を構成している。
次に本発明の特徴である、電動機部3における回転子31のシャフト4について説明する。
かかるシャフト4内の軸方向の給油通路42には、回転子旋回スクロール22のボス部22c内の背圧空間22dに達したオイルが流入するが、シャフト4の主軸受部5に対応する部位には径方向の給油孔43が形成されている。かかる給油孔43に対し、主軸受部5と接触するシャフト4の外周部に給油溝43aが連通形成されている。
これにより、給油通路42内を流れるオイルの一部は、給油孔43を通って給油溝43aを介し、主軸受部5に供給され、主軸受部5の軸受を潤滑した後、センタケーシング21の中央の孔内面を通って低圧側油溜り17へと流下する。尚図示されていないが、給油溝43aと低圧側油溜り17は給油溝43aに比べ充分断面積の大きい通路で連通されている。
一方、シャフト4の副軸受部6に対応する部位にも、シャフト4内の給油通路42に連通する径方向の給油孔44が形成されている。かかる給油孔44に対し、副軸受部6と接触するシャフト4の外周部に給油溝44aが連通形成されている。
この場合、副軸受部6側の給油溝44aは、副軸受部6内で片側を閉塞し、他端側を低圧側密閉空間Sに連通させ、流路抵抗を形成できるように構成している。
これにより、給油通路42内を流れるオイルの一部は、給油孔44を通って給油溝44aを介し副軸受部6に供給され、副軸受部6の軸受を潤滑した後、低圧側油溜り17へと流下する。
ここで、前述した様に軸受荷重は主軸受部5側が副軸受部6側より大となっているため、発熱量が大きく、冷却のため、流量を多くとる必要があり、主軸受部5側の給油溝43aを、副軸受部6側の給油溝44aに比較して大きくすることにより、より主軸受部5側へ流れ易くしている。具体的には溝の断面面積を主軸受部5側>副軸受部6側とし、主軸受部5側の流量を多く確保しつつ、副軸受部6側の流量も少量となるが、同時に確保している。
なお、実際の荷重は主軸受部5側に対し、副軸受部6側は、1/5程度になり、理論上はその程度でよいことになるが、実際には溝の加工精度によるばらつきにより、副軸受部6側の流量は極度に低下するため、本例では面積比を主軸受部5側:副軸受部6側=3:1程度とした。少なくとも、2:1から5:1以内としておけば、主軸受部5側流量が、副軸受部6側より逆転することもなく、副軸受部6側が枯渇することもない。
また、主軸受部5側の給油溝43aと副軸受部6側の給油溝44aは、スクロール固有の荷重のかかり方が片持ちのため、ほぼ180°反対側に設けられている(図2、図3参照)。
本実施例ではシャフト4側に給油溝43a、44aを設けたが、軸受け側に設けてもよい。
この分配方法は流路抵抗に依存するため、分配後の抵抗が大きいと面積比によらない分配比となるため、副軸受部6側開口部と主軸受部5側開口部は、同一圧力空間且つ溝分配後下流の通路面積は必ず、分配溝面積より大としている。
本例では、主軸受部5側分配溝開口部は図示されない通路により、電動機室と溝面積以上の通路で連絡されている。また上流となる半径方向の貫通穴の断面積も、各々の溝断面積より大きく設定されている。上流、下流の通路面積は流路長や流路の曲がりによる抵抗等も加味し夫々、溝部断面積の2倍以上とし、余裕度を確保している。
次に上記のように構成された本発明のスクロール圧縮機100の動作、作用について説明する。
電動機部3に外部から電力が供給されると、回転子31が回転駆動し、それに伴いシャフト4が回転する。このシャフト4が回転することに伴いシャフト4の先端のクランク部41が所定の偏心量をもってシャフト4のまわりを回転し、クランク部41に連結された旋回スクロール22は旋回する。これにより、圧縮機構部2の作動が行われる。
圧縮機構部2の作動に伴う冷媒及びオイル(潤滑油)の流れは以下のように行われる。なお、本発明では、冷媒として好適には二酸化炭素(CO2)が使用される。
まず、圧縮機構部2の作動により、外部の冷凍サイクル系から吸入パイプを通って圧縮機構部2の吸入室25内に低圧の冷媒と低温のオイルの混合ガスが流入する。なお、吸入パイプから流入する冷媒は原則として気体である。この混合ガスは、圧縮機構部2の作動室27内に入り圧縮された後に吐出口23cから吐出室26内に吐出される。なお、吸入室25内の混合ガスの一部は、センタケーシング21の連通孔21aを通って低圧側密閉空間S内に流入する。
吐出室26内の圧縮された混合ガスは、吐出管18を通って気液分離部28に運ばれ、ここで高温の冷媒ガスと高温のオイルとに分離され、高温の冷媒ガスは外部の冷凍サイクル系に送られる。なお、吐出管18は断熱間隙Gが形成されるようにして固定スクロール23に設けた吐出室26に接続しているので、吐出管18を通過する高温の吐出冷媒による熱影響により、吸入冷媒が加熱されて圧縮効率が低下することを防止できる。
一方、高温のオイルは高圧側貯油室29に一時的に貯溜される。高圧側貯油室29は、後部ハウジング13の側壁面を一杯に使用して高圧側貯油室29の側壁としているので、容積を充分に確保することができ、潤滑に使用されるオイル不足を生じることがなくなる。
更に、圧縮機構部2、特に吐出室26をカバーする弁カバー24と、高圧側貯油室29を形成する隔壁16との間に断熱空間S2が形成されているので、高圧側貯油室29に貯留される高温オイルによる熱影響により、吸入冷媒が加熱されることもなく、圧縮効率の低下を防止できる。
その後、オイルは送油管71、第1給油通路72及び第2給油通路73よりなる給油通路7を通って背圧室22dに供給される。
送油管71は、容器外を通って高圧側貯油室29の底部に接続するようにしているので、高圧側貯油室29の高圧によって接続部が変形し、オイル漏れを起こすようなことはない。
また、送油管71の一端は、高圧側貯油室29の底面から突出するようにその底部に接続されているので、高圧側貯油室29の底部に堆積したオイル内の異物を直接吸引することが防止でき、給油通路7の異物による詰まりを回避できる。更には、送油管71の内径を間欠給油絞り部である、固定スクロール側穴23eの径より大きくすることで、送油管71の異物による詰まりを防止することができる。
給油通路7の途中において、固定スクロール側穴23eと旋回スクロール側穴22eとからなる間欠給油機構により、旋回スクロール22の回転により第1給油通路72と第2給油通路73とが間欠的に連通することで、高圧側貯油室29から背圧室22dに送られるオイルが流量制御又は背圧流量制御される。
背圧室22dに送給されたオイルは、シャフト4の給油通路42を通って、主軸受部5及び副軸受部6に供給され、それらの軸受を潤滑する。
その際、シャフト4内の軸方向の給油通路42において、シャフト4の主軸受部5に対応する部位には径方向の給油孔43が形成され、かかる給油孔43に対し、主軸受部5と接触するシャフト4の外周部に給油溝43aを連通形成しているため、給油通路42内を流れるオイルの一部は、給油孔43を通って給油溝43aを介し、主軸受部5に供給され、主軸受部5の軸受を潤滑した後、センタケーシング21の中央の孔内面とシャフト4の外周面との微小な隙間を通って低圧側油溜り17へと流下する。
一方、シャフト4の副軸受部6に対応する部位にも、シャフト4内の給油通路42に連通する径方向の給油孔44が形成され、かかる給油孔44に対し、副軸受部6と接触するシャフト4の外周部に給油溝44aを連通形成しているため、給油通路42内を流れるオイルの一部は、給油孔44を通って給油溝44aを介し副軸受部6に供給され、副軸受部6の軸受を潤滑した後、芯出し部材15の中央の孔内面とシャフト4の外周面との微小な隙間を通って低圧側油溜り17へと流下する。
ここで、シャフト4に対する軸受荷重は、実際上、主軸受部5側に対し、副軸受部6側は、1/5程度となっているため、給油溝43a、44aの断面面積を主軸受部5側>副軸受部6側とすることで、主軸受部5側の流量を多く確保しつつ、副軸受部6側の流量も少量となるが、同時に確保することができる。
なお、実際には給油溝43a、44aの加工精度によるばらつきにより、副軸受部6側の流量は極度に低下するため、本例では面積比を主軸受部5側:副軸受部6側=3:1程度とした。
このように、給油溝43a、44aの断面面積の面積比を、少なくとも、2:1から5:1以内としておけば、主軸受部5側流量が、副軸受部6側より逆転することもなく、副軸受部6側が枯渇することもなく、良好にオイルを主軸受部5側と副軸受部6側に分配給油することができる。
なお、かかる分配方法は流路抵抗に依存し、分配後の抵抗が大きいと面積比によらない分配比となるため、副軸受部6側開口部と主軸受部5側開口部は、同一圧力空間且つ溝分配後下流の通路面積は必ず、分配溝面積より大とした。
また上流となる半径方向の給油孔43、44の断面積も、各々の給油溝43a、44aの断面面積より大きく設定した。
さらに上流、下流の通路面積は流路長や流路の曲がりによる抵抗等も加味し夫々、溝部断面積の2倍以上としたことで、一層、好適にオイルを主軸受部5側と副軸受部6側に分配給油することができる。
そして、低圧側油溜り17に貯油されたオイルは、センタケーシング21に設けられた連通孔21aを通じて吸入室25に戻すことができる。
吸入室25に戻ったオイルは、旋回スクロール22と固定スクロール23の摺動面に供給され、作動室27で冷媒と共に圧縮され、再び気液分離部28によって冷媒から分離され、高圧貯油室29における耐圧容器14にオイルを貯油することができる。
尚、本実施形態では、給油溝の流路断面積によって分配比を設定したが、給油溝上流の給油孔の断面積によって分配を行なっても、同様の効果が得られる。当然その場合には給油溝の流路抵抗は給油孔の流路抵抗よりも小さく設定されるものである。
以上のように、本発明によれば、圧縮機の副軸受と主軸受へ、強制給油される潤滑油を安定して、適量配分することが可能な圧縮機を提供することができる。
本発明にかかる圧縮機のうち、スクロール型圧縮機の一例を示す、断面図である。 図1に示す、電動機部のシャフトのA−A線に沿って切断した切断矢視図である。 図1に示す、電動機部のシャフトのB−B線に沿って切断した切断矢視図である。
符号の説明
100 スクロール圧縮機
1 外郭ハウジング(容器)
11 本体ハウジング
12 前部ハウジング
13 後部ハウジング
14 支持部材
16 隔壁
17 低圧側油溜り
18 吐出管
2 圧縮機構部
21 センタケーシング
22 旋回スクロール
22a 旋回スクロール端板部
22b 旋回スクロール羽根部
22d 背圧室
22e 旋回スクロール側穴(間欠給油機構)
23 固定スクロール
23a 固定スクロール端板部
23b 固定スクロール羽根部
23e 固定スクロール側穴(間欠給油機構、間欠給油絞り部)
25 吸入室
26 吐出室
27 作動室(圧縮室)
28 気液分離部
29 高圧側貯油室
3 電動機部
31 回転子
32 固定子
4 シャフト
42 オイル通路
5 主軸受部
6 副軸受部
7 給油通路
71 送油管
71a 曲げ部
71b 放熱フィン
72 第1給油通路
73 第2給油通路
74 第3給油通路
75 フィルタ
S 密閉空間
S2 断熱空間
G 断熱隙間

Claims (9)

  1. 作動媒体を圧縮する圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を支持してなり、荷重大となる主軸受部(5)と、主軸受部(5)より荷重小となる副軸受部(6)とを有する圧縮機において、
    前記シャフト(4)内に軸方向に沿う給油通路(42)と、
    前記給油通路(42)から前記主軸受部(5)と副軸受部(6)とに、径方向にそれぞれ連通する給油孔(43、44)と、
    前記給油孔(43、44)と連通して前記シャフト(4)外周に沿って設けた給油溝(43a、44a)と、
    を備え、
    前記副軸受部(6)側の給油孔(44)から給油溝(44a)に亘る流路抵抗が、前記主軸受部(5)側の給油孔(43)から給油溝(43a)に亘る流路抵抗に比較して大としたことを特徴とする圧縮機。
  2. 作動媒体を圧縮する圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を支持してなり、荷重大となる主軸受部(5)と、主軸受部(5)より荷重小となる副軸受部(6)とを有する圧縮機において、
    前記シャフト(4)内に軸方向に沿う給油通路(42)と、
    前記給油通路(42)から前記主軸受部(5)と副軸受部(6)とに、径方向にそれぞれ連通する給油孔(43、44)と、
    前記給油孔(43、44)と連通して軸受側に設けた給油溝(43a、44a)と、
    を備え、
    前記副軸受部(6)側の給油溝(44a)における流路抵抗が、前記主軸受部(5)側の給油溝(43a)における流路抵抗に比較して大としたことを特徴とする圧縮機。
  3. 前記流路抵抗は、それぞれ、前記給油孔(43、44)から前記給油溝(43a、44a)に亘る流路の流路断面積に基づいて設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記主軸受部(5)側の給油孔(43)から給油溝(43a)に亘る流路と前記副軸受部(6)側の給油孔(44)から給油溝(44a)に亘る流路とにおける流路断面面積比を、少なくとも2:1から5:1以内としたことを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
  5. 前記流路抵抗は、給油溝(43a、44a)の溝長さに基づいて設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
  6. 前記圧縮機構部(2)がスクロール型であることを特徴とする請求項1乃至5記載のうち、いずれか1に記載の圧縮機。
  7. 作動媒体である冷媒が、二酸化炭素(CO2)であることを特徴とする請求項1乃至6記載のうちのいずれか1に記載の圧縮機。
  8. 前記圧縮機構部(2)におけるシャフト(4)を略水平方向に支持してなる横型としたことを特徴とする請求項1乃至7記載のうちのいずれ1に記載の圧縮機。
  9. 前記圧縮機構部(2)と、
    前記圧縮機構部(2)を駆動する駆動部(3)と、
    前記圧縮機構部(2)及び前記駆動部(3)を収納する容器(1)と、
    前記圧縮機構部(2)の吐出側に設置され、作動媒体から分離された潤滑油を貯留する高圧側貯油室(29)と、
    を備えていて、分離した潤滑油を吐出圧と吸入圧との差圧を用いて、前記容器(1)内を循環させる構成としたことを特徴とする請求項1乃至8記載のうち、いずれか1に記載の圧縮機。
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