JP3854793B2 - 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子を用いたメモリ Download PDF

Info

Publication number
JP3854793B2
JP3854793B2 JP2000303729A JP2000303729A JP3854793B2 JP 3854793 B2 JP3854793 B2 JP 3854793B2 JP 2000303729 A JP2000303729 A JP 2000303729A JP 2000303729 A JP2000303729 A JP 2000303729A JP 3854793 B2 JP3854793 B2 JP 3854793B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
memory cell
sense line
magnetic field
sense
memory
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000303729A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002117669A (ja
Inventor
昭雄 小金井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2000303729A priority Critical patent/JP3854793B2/ja
Publication of JP2002117669A publication Critical patent/JP2002117669A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3854793B2 publication Critical patent/JP3854793B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁化膜の磁気抵抗効果素子を用いたメモリに関する。
【0002】
【従来の技術】
ここ数年、コンピュータや電子機器に利用されるメモリの激しい技術開発競争が繰り広げられており、メモリの技術は日進月歩のスピードで進展している。また、その技術開発競争の中で、様々な新しいメモリデバイスが提案されている。近年、非磁性層を2つの強磁性層の間にはさみ込んだ磁気抵抗膜に巨大な磁気抵抗効果(Giant Magnet Registance)が発見され、この現象を利用した磁気センサや磁気メモリ(以降MRAM)が注目を集めている。磁気抵抗効果とは、保磁力が異なる強磁性層の組み合わせから成る磁気抵抗膜に対し磁界を印加すると、両磁性層の磁化の回転角度に依存した抵抗の変化が得られる現象のことである。このような磁気抵抗膜では、両磁性層の磁化の向きが逆方向となった場合には磁気抵抗膜の抵抗値は高くなり、両磁性層の磁化の向きが同一方向となった場合には磁気抵抗膜の抵抗値は低くなる。
【0003】
こうした磁気抵抗膜の近傍に導体線を配置することによって、その導体線に流れる電流によって発生する磁界である電流磁界により磁気抵抗膜への電気的な信号の記録が可能になり、磁気抵抗膜をメモリ素子すなわちメモリセルとして用いることができる。信号の再生は、磁気抵抗膜に電流を導通し、磁気抵抗膜の抵抗値を検出することにより「0」「1」を識別する絶対検出か、電流磁界を印加した際の抵抗変化を磁気抵抗膜に導通した電流を通じて検出することにより「0」「1」を識別する差動検出で行う。
【0004】
このようなメモリセルには、非磁性層をCu等の導体とするスピン依存性散乱素子と、非磁性層をAl、Si、Cu、Mg等の酸化物や窒素物の絶縁体とするスピントンネル素子とがある。スピントンネル素子としては、絶縁体として、フェルミ準位が他の磁性層に近いAlの酸化物(AlOX)が好適に用いられる。
【0005】
このうち、スピン依存性散乱素子は、素子の抵抗値が小さく、磁気抵抗比も8%程度と小さいため、MRAMには不向きである。一方、スピントンネル素子は、スピン依存性散乱素子と比べて素子の抵抗値が大きいため、MRAM向けとして用いられており、実用化に向けて開発が進められている。
【0006】
一般に、磁気抵抗膜に用いられる薄膜磁性材料の磁化方向は材料によって異なり、膜面の面内方向と垂直方向とに大別される。現在MRAMの薄膜磁性材料として主流をなすニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)といったフェロ強磁性材料は、主たる磁化方向が面内方向である面内磁化膜である。メモリ集積度を高めるために、面内磁化膜の微細化を行った場合には、反磁界が増加するため磁化方向の分散が生じる。それに対し、主たる磁化方向が垂直方向である垂直磁化膜は、微細化を行った場合に逆に反磁界が小さくなるため、面内磁化膜に対して磁化の方向を保ちやすいという利点を有する。
【0007】
また、メモリセルに面内磁化膜を用いた場合には、1軸異方性を維持するために情報を格納するメモリセルの形状を、磁化困難軸方向に比べて磁化容易軸方向を長くする必要がある。一方、メモリセルに垂直磁化膜を用いた場合には、そのようなメモリセルの形状についての制約がないので、平面的なメモリの集積度を高めることができる。
【0008】
以上述べたように、メモリセルに垂直磁化膜を用いた場合には、面内磁化膜を用いた場合に比べ、微細化を行った場合の磁化保存性が強く、メモリセルの形状が集積度を高めやすい形状にすることができるという利点がある。
【0009】
しかし、磁気抵抗膜の近傍に書込み線と呼ばれる導体線を配設する場合、メモリセルに面内磁化膜を用いた場合には、絶縁膜を介して書込み線を重畳する構造とすることができるが、メモリセルに垂直磁化膜を用いた場合には、磁化抵抗膜の膜面垂直方向に平行に磁界を印加することが必要となるため、書込み線をメモリセルの横に平面的に配置しなければならない。そのため、メモリセルに垂直磁化膜を用いた場合には、メモリの集積度を上げることができないという問題がある。
【0010】
図15は、垂直磁化膜を用いた従来のMRAMの構造を示す断面図である。図16は、図15の線分B−B’に沿ってMRAMを切断した場合の断面図である。図15、図16には、従来のMRAMと本発明のMRAMとの差異を明確にする上で説明に必要な部分だけが抜粋して記載されている。
【0011】
図15、図16に示すように、このMRAMは、基板1と、メモリセルc11〜c13、c21〜c23、c31〜c33と、導体ビア41〜43と、xセンス線210、220、230と、yセンス線110、120、130と、センス電流源801と、パルス電源803とを備えている。図15に示すように、メモリセルc21〜c23は、それぞれが第1の強磁性層11、21、31と、非磁性層12、22、32と、第2の強磁性層13、23、33とから構成される磁気抵抗膜である。メモリセルc11〜c13、c31〜c33も同様な構成の磁気抵抗膜である。また、図16に示すように、xセンス線はx軸に平行な線であり、yセンス線はy軸に平行な線である。このMRAMには、各構成要素を絶縁するための絶縁膜(不図示)も設けられている。
【0012】
このMRAMは、別体の書込み線を設けずに、隣接するメモリセルに接続されているセンス線を用いてメモリセルに磁界を印加するものである。このMRAMは、xセンス線210、220、230からメモリセルc11〜c13、c21〜c23、c31〜c33のいずれかを通り、yセンス線110、120、130のいずれかにセンス電流が流れるCPP(Current Perpendicular to the Plane)構造となっている。
【0013】
基板1には、Siウエハ、石英、SOI等平坦性の高いものが用いられる。SO基板の作製方法としては、ELTRAN法、SIMOX法が用いられる。なお、Siの結晶方位は(1、0、0)であることが望ましい。
【0014】
各メモリセルc11〜c13、c21〜c23、c31〜c33の両強磁性層の組み合わせは、軟磁性材料と硬磁性材料とから成る。ここで、軟磁性材料、硬磁性材料とは、2つの強磁性層間における保磁力の大小関係で定義されるものであり、保磁力が大きい方を硬磁性材料とし、保磁力が小さい方を軟磁性材料としている。軟磁性材料と硬磁性材料との積層順は、どちらが先であってもよい。軟磁性材料は、容易に磁化が反転するため再生層として機能する。硬磁性材料は、軟磁性材料と比べて磁化が反転しにくいため、メモリ層として機能する。各磁性層は、単一元素から成る単層であっても良いが、各種合金の多層構造となっていてもよい。強磁性層としては、遷移金属と希土類元素から成るフェリ磁性体であるGd−Fe、Gd−Co、Gd−FeCo等といった材料が用いられる。これら強磁性層の組成は、保磁力が異なるよう適宜調整され、膜厚は2〜100nmとなっている。
【0015】
非磁性層の膜厚は、0.5〜5nmである。非磁性層の膜厚が0.5nm以下であった場合には、垂直磁化膜の成膜方法によっては島状成長によるピンホール発生の恐れがあり、両強磁性層の相互作用により磁気抵抗が発現しない場合がある。非磁性層の膜厚が5nm以上であった場合には、両強磁性層間の間隔が電子の平均自由行程に対して広くなりすぎ、トンネリング確率が減るため磁気抵抗が小さくなってしまう。
【0016】
また、絶縁膜にはSiO2やSiN、Al23などの無機材料や、ノボラック樹脂などの有機材料が用いられる。絶縁膜の膜厚は、センス線や書込み線に印加される電力に対して必要な絶縁耐圧で決まり、5〜1000nmとなる。xセンス線210、220、230およびyセンス線110、120、130はAlやCu、Auなど導電性の高い材料が用いられる。xセンス線210、220、230およびyセンス線110、120、130の膜厚は、印加される電流や線幅等で決まり、100〜10000nmとなる。このようなMRAMの加工は、フォトリソグラフィーに代表される微細加工パターニング技術で容易に行うことができる。成膜工程としては、蒸着、スパッタリング、MBE等の各種方法が適用できる。
【0017】
また、このようなMRAMでは、xセンス線の上に積層する第1の強磁性層より下面の表面自由エネルギを調整し、より平坦性の高い界面構造を実現する目的でバッファ層が挿入されることがある。このバッファ層には、Ta、Cu、Cr等の各種金属が用いられ、バッファ層の膜厚が2nmよりも薄いと、成膜方法によっては、島状成長によってバッファ層の膜質が不均一になってしまうという問題があり、バッファ層の膜厚が10nmよりも厚い場合には、MRAMの生産性が低下してしまうという問題があるため、バッファ層の膜厚は2〜10nmであるのが望ましい。
【0018】
図16に示すように、各メモリセルc11〜c13、c21〜c23、c31〜c33は、交差するyセンス線110、120、130とxセンス線210、220、230とに接続されている単純マトリクス構造となっている。例えば、メモリセルc22は、xセンス線220とyセンス線120とに接続されている。センス電流源801とパルス電源803とは、メモリセルc22に対する記録動作と差動検出による再生動作を説明するために図中に示されている。なお、図16では、センス線の選択に用いられるデコーダ等の回路は省略されている。
【0019】
メモリセルc22から信号を読み出す場合、まず、センス電流源801からxセンス線220に電流を流す。その電流は、xセンス線220からメモリセルc22に流れ、yセンス線120へ流れる。そして、この電流を流した状態で、yセンス線110を導体線として、パルス電源803からyセンス線110に読み出し用のパルス電流を印加して磁界を発生させ、そのときのメモリセルc22の電圧の変化からメモリセルc22に記録されている内容が1であるか0であるかを判定する。図15の矢印は、yセンス線110によってパルス電流によって発生する磁界の方向を表している。
【0020】
また、メモリセルc22に信号を記録する場合には、読み出しの場合と同様に、まず、センス電流源801からxセンス線220に電流を流す。そして、この電流をxセンス線220、メモリセルc22、yセンス線120と流した状態で、パルス電源803からyセンス線110に、読み出し用のパルス電流より大きい書込み用のパルス電流を流して磁界を発生させることによって、メモリセルc22への記録が行われる。記録内容が0であるか1であるかは、そのときの磁界の向きによる。
【0021】
このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線110の下のメモリセルc11、c21、c31にも印加されるが、これらのメモリセルc11、c21、c31に印加される磁界の方向は面内方向となるため、この磁界によるメモリセルc11、c21、c31への誤記録は発生しない。また、その磁界は、yセンス線120の下のメモリセルc22以外のメモリセルにも印加されるが、メモリセルへの記録は、yセンス線110に流れるパルス電流による磁界とセンス電流による磁界との合成された磁界によって始めて可能となるので、yセンス線120の下のメモリセルのうちメモリセルc22だけが選択されて記録されるようになる。
【0022】
上述の説明では、メモリセルc22への情報の記録・再生にyセンス線110が用いられる場合を示したが、yセンス線130を用いても、メモリセルc22への同様の記録・再生が可能である。さらには、yセンス線110、130両方を用いてメモリセルc22への情報の記録・再生を行うことも可能である。なお、yセンス線110、130両方を用いた場合には、yセンス線110、130に流す電流の電流密度を約1/2に下げることができるため、メモリセルc22へ印加される磁界のメモリセルc22における面内均一性が向上する。
【0023】
また、センス電流源801が接続されるxセンス線をxセンス線210あるいはxセンス線230に変更すれば、メモリセルc12あるいはメモリセルc32について情報の記録・再生を行うことが可能となる。実際のMRAMでは、メモリセルc11〜c13、c21〜c23、c31〜c33のようなメモリセルが多数存在し、全てのメモリセルに対し同様な手法を用いて情報の記録・再生が可能である。
【0024】
上述したように、図15、図16に示すMRAMでは、導体線であるyセンス線110に流れるパルス電流により発生する磁界によって、メモリセルc22への情報の記録・再生が行われる。yセンス線110に流れるパルス電流によって発生する膜面垂直方向の磁界の強さは、図15に示すyセンス線110、120、130の中心軸B−B’上において最も強くなる。しかし、yセンス線110の厚さのため、メモリセルc22の配設位置は、中心軸B−B’からyセンス線110の厚さの1/2以上のオフセットを有しており、メモリセルc22が配設されている位置の膜面垂直方向の磁界の強さは、中心軸B−B’における磁界の強さよりも弱くなっている。つまり、メモリセルc22の配設位置が、膜面垂直方向の磁界が最も強い位置からずれているため、パルス電流によって発生する電流磁界の使用効率が低くなってしまうという問題があった。
【0025】
yセンス線110の厚さが薄く、前述のオフセットがほとんど無視できる場合には上述の問題は発生しないが、この場合には、yセンス線110に流れる電流密度が高くなり、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等によってyセンス線が破断してしまう恐れがある。また、MRAMのセル構造全体を微細化していく場合では、電流密度や寄生容量による配線遅延といった問題から配線の厚さ方向のスケーリングは困難となっている。したがって、最近では、yセンス線の線幅に対する厚さのアスペクト比は大きくなる傾向にあり、前述のオフセットによる電流磁界の利用効率の低下はますます強まる傾向にある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、垂直磁化膜を用いた従来のMRAMでは、導体線に流れる電流によって発生する磁界によって、メモリセルへの情報の記録が行われる。また、差動検出法においてはメモリセルからの情報の再生も電流磁界を利用することにより行われる。導体線に流れるパルス電流によって発生する膜面垂直方向の磁界の強さは、導体線の中心軸上において最も強くなる。しかし、導体線の厚さのため、メモリセルの配設位置は、その中心軸から導体線の厚さの1/2以上のオフセットを有しており、メモリセルが配設されている位置の磁界の強さは、その中心軸における磁界の強さよりも弱くなっている。つまり、従来のMRAMでは、メモリセルの配設位置が膜面垂直方向の磁界が最も強い位置からずれているため、パルス電流によって発生する電流磁界の使用効率が低くなってしまうという問題があった。
【0027】
本発明は、電流磁界の利用効率が高いMRAMを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、主たる磁化方向が膜面垂直方向である2つの強磁性層が非磁性層を挟むことによって構成される垂直磁化膜から成る磁気抵抗効果素子を含むメモリセルがマトリクス状に配され
モリセルの情報を読み出すためのセンス線を複数備え、
センス線に流れる電流によって発生する磁界によって前記メモリセルへの信号の記録が行われるメモリにおいて、
第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの情報を読み出すための第1のセンス線が前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの磁気抵抗効果素子の下部に配され、前記第1のメモリセル列に隣接して平行に配された第2のメモリセル列に含まれるメモリセルの情報を読み出すための第2のセンス線が、前記磁気抵抗効果素子の上部に配され、
前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの膜面に平行な当該メモリセルの磁気的な中心軸と前記膜面に平行な前記第2のセンス線の中心軸との前記膜面垂直方向のずれ量が前記第2のセンス線の厚さの1/2未満であり、前記第2のメモリセル列に含まれるメモリセルの膜面に平行な当該メモリセルの磁気的な中心軸と前記膜面に平行な前記第1のセンス線の中心軸との前記膜面垂直方向のずれ量が前記第1のセンス線の厚さの1/2未満であり、
前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルに情報の記録を行なう際に、記録を行なうメモリセルに電流を流し、且つ、前記第2のセンス線に、該第2のメモリセル列に含まれるメモリセルから情報を読み出すときの第1の電流よりも大きい第2の電流を流すことにより生じる磁界によって記録を行ない、
前記第2のメモリセル列に含まれるメモリセルに情報の記録を行なう際に、記録を行なうメモリセルに電流を流し、且つ、前記第1のセンス線に、該第1のメモリセル列に含まれるメモリセルから情報を読み出すときの第3の電流よりも大きい第4の電流を流すことにより生じる磁界によって記録を行なうことを特徴とする。
【0029】
本発明の磁気抵抗効果素子を用いたメモリでは、導体線に流れる電流によって発生する磁界が最も強い導体線の磁気的な中心軸にメモリセルを近づけて配置することによって、メモリセルに印加される磁界の強さを強くすることができるため、電流磁界の利用効率を向上させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態の磁気抵抗効果素子を用いたメモリ(MRAM)について図面を参照して詳細に説明する。なお、全図において同一の符号がつけられている構成要素はすべて同一のものを示す。
【0031】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態のMRAMについて説明する。図1は、本実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【0032】
本実施形態のMRAMでは、(1、0、0)のSiウエハの基板1の上に、xセンス線220が設けられている。さらに、xセンス線220の上に導体ビア42が設けられ、導体ビア42の上にメモリセルc22が設けられ、メモリセルc22の上にyセンス線120が設けられている。
【0033】
本実施形態のMRAMは、xセンス線220、導体ビア42、メモリセルc22、yセンス線120にセンス電流が流れるCPP構造となっている。また、本実施形態のMRAMでは、メモリセルc22の近傍に、メモリセルc22に電流磁界を印加するための導体線として、書込み線1110、1130が設けられている。
【0034】
メモリセルc22は、第1の強磁性層21と、非磁性層22と、第2の強磁性層23とから成る磁気抵抗膜である。第1の強磁性層21としてはGd25Fe75が用いられ、非磁性層22としてはAlOXが用いられ、第2の強磁性層23としてはGd26Fe74が用いられている。また、各層の膜厚は、第1の強磁性層21が20nmで、非磁性層22が2nmで、第2の強磁性層23が20nmとなっている。xセンス線220、yセンス線120、書込み線1110、1130、導体ビア42にはAlCuが用いられ、xセンス線の膜厚は50nmであり、yセンス線120および書込み線1110、1130の膜厚は1000nmであり、導体ビアの膜厚は680nmである。書込み線1110、1130の線幅は0.5μmであるのでアスペクト比αは2となる。
【0035】
また、本実施形態のMRAMには、電気的に絶縁されるべき各構成要素の間に、絶縁膜(不図示)が挿入されている。このような絶縁膜の材料としては、SiO2や、SiN、Al23などの無機材料や、ノボラック樹脂などの有機材料が用いられる。絶縁膜の膜厚は、センス線や書込み線に印加される電力に対して必要な絶縁耐圧で決まり5〜1000nmとなる。
【0036】
線分kは書込み線1110の中心軸である。線分mは、メモリセルc22の磁気的な中心軸である。メモリセルの磁気的な中心軸とは記録した情報を消去、再記録するうえで必要な磁界を最も少なくする位置にある軸を指す。なお、図1では、磁気的な中心軸mはメモリセルc22の非磁性層22の中央に図示されているが、実際には、メモリセルc22の磁性層の構成によりその位置は変化し、メモリセルc22の中央ではない場合もある。また、書込み線1110の中心軸kと、メモリセルc22の磁気的な中心軸mの間隔をずれ量δとする。なお、図中の矢印は、書込み線1110に流れる電流によって発生する磁界の向きである。
【0037】
図2は、図1の本実施形態のMRAMを線分kで切断した場合の断面図である。図2では、駆動回路等の周辺回路やセンス線の選択に用いられるデコーダ等の回路は省略されており、本発明の説明に必要な部分だけが抜粋されて記載されている。本実施形態のMRAMは、各メモリセルc12、c22、c32がそれぞれ交差するxセンス線210、220、230とyセンス線110、120、130とに接続される単純マトリクス構造となっている。センス電流源801、パルス電流源803は、いずれもメモリセルc22に対して情報の記録と差動検出による再生を行うためのものである。
【0038】
本実施形態のMRAMでは、メモリセルc22に記録された情報を読み出す場合には、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc22、yセンス線120へとセンス電流を流した状態で、書込み線1110に対し読み出し用のパルス電流を流して磁界を発生させ、磁界の向きによるセンス線電圧の変化を計測することによって、記録された情報が「0」であるか「1」であるかを判定する。
【0039】
また、メモリセルc22に情報を記録する場合には、読み出しの場合と同様にセンス電流源801からxセンス線220、メモリセルc22、yセンス線120へとセンス電流を流した状態で、書込み線1110に対し読み出し用のパルス電流よりもより大きな書込み用のパルス電流を流して磁界を発生させる。記録内容は印加される磁界の向きによる。このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線120の下に存在する他のメモリセルc12、c32にも印加されるが、各メモリセルに対する情報の記録は、そのパルス電流によって発生する磁界とセンス電流によって発生する磁界との合成磁界を各メモリセルに印加することによって始めて可能となるため、メモリセルc22だけに情報が記録される。
【0040】
本実施形態のMRAMでは、センス電流源801を接続するxセンス線を図2に示すxセンス線210あるいはxセンス線230に変更すれば、メモリセルc12あるいはメモリセルc32への情報の記録・再生を行うことができる。
【0041】
なお、図2では、メモリセルc12、c22、c32しか図示されていないが、実際には多数のメモリセルが、メモリセルc12、c22、c32とともにマトリクス状に配置されている。
【0042】
本実施形態のMRAMでは、書込み線1110の磁気的な中心軸上に書き込み対象となるメモリセルc22を近づけるように、書込み線1110もしくはメモリセルc22の配置を書込み線1110の厚さ方向にオフセットさせることによって、ずれ量δを書込み線1110の厚さの1/2未満とする。こうすることによって、磁界の強さが最も強い書込み線1110の磁気的な中心軸にメモリセルc22を近づけて配置することができ、メモリセルc22に印加される磁界の強さを強くすることができるため、本実施形態のMRAMでは、従来よりも電流磁界の利用効率を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態のMRAMでは、書込み線1110の線幅に対する厚さの比であるアスペクト比αを0.5より大きくし、望ましくは2以上10以下とする。図3に示すように、書込み線1110の線幅をaとし、書込み線1110のアスペクト比をαとすると、書込み線1110の厚さはαaとなる。また、書込み線1110の端面から、yセンス線120の中心までのX軸方向の距離は、書込み線幅と書込み線間の間隔との比であるライン・アンド・スペース比を1:1とするために1.5aであるとする。点Aは、yセンス線120の中心に位置する点である。点Bは、点Aから書込み線1110の厚さの半分(αa/2)だけ下の位置にある点である。点Bの磁界強度に対する点Aの磁界強度の比である磁界強度比をPとする。
【0044】
図4は、本実施形態のMRAMにおけるアスペクト比αと磁界強度比Pの変動の様子を示すグラフである。図4(a)に示すように、アスペクト比αの増加とともに磁界強度比Pは単調増加するが、その値は2で飽和する。また、図4(b)に示すように、アスペクト比αが2以上10以下である場合には、磁界強度比Pは、1.2〜1.8となる。また、図4(c)に示すように、αが0.5未満の場合にはPは5%も増加しない。したがって、α<0.5では、点Bにおける磁界強度と点Aにおける磁界強度にはほとんど違いがない。
【0045】
一方、本実施形態のMRAMでは、アスペクト比αが2未満である場合には、MRAMの作製工程が複雑になり、アスペクト比αが10より大きい場合にもその加工性が著しく低下する。したがって、本実施形態のMRAMでは、書込み線110の線幅に対する厚さのアスペクト比αを0.5より大きい値とし、望ましくは2≦α≦10とする。本実施形態のMRAMでは、アスペクト比αの値が大きければ大きいほど、書込み線1110とyセンス線120とのずれ量δを書込み線1110の厚さの1/2未満としたときの効果が大きくなる。
【0046】
なお、本実施形態のMRAMでは、メモリセルc22に電流磁界を印加する導体線として書込み線1110を用いたが、書込み線1130を用いてもよいし、書込み線1110と書込み線1130とを両方用いてもよいし、メモリセルc22に印加する電流磁界を図示しないメモリセルc22の近傍にある複数の導体線の合成磁界としてもよい。なお、メモリセルc22に磁界を印加するのは、隣接するメモリセルにセンス電流を供給するyセンス線であってもよい。本実施形態のMRAMでは、隣接するセンス線を用いてメモリセルに磁界を印加するとした方が、MRAMの集積度を向上させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態のMRAMについて説明する。図5は、本実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。本実施形態のMRAMは、隣接するyセンス線を用いてメモリセルの記録・再生を行うものである。そして、本実施形態のMRAMは、メモリセルが奇数列、偶数列に分割して成膜されたものである。各メモリセルの構造、材質、膜厚とxセンス線、yセンス線、導体ビアの材質、膜厚と、yセンス線の線幅、アスペクト比とは、第1の実施形態のMRAMと同じである。また、本実施形態のMRAMは、第1の実施形態のMRAMと同様に、センス電流がxセンス線から各メモリセルを通り、yセンス線に電流が流れるCPP構造となっている。図6の矢印は、yセンス線120に流れる電流によって発生する磁界の向きを示す。
【0048】
図6は、本実施形態のMRAMを線分A−A’で切断した場合の断面図である。図6では、駆動回路等の周辺回路は省略され、本発明の説明に必要な部分だけ抜粋して示されている。各メモリセルc11〜c15、c21〜c25、c31〜c35は、それぞれが交差するxセンス線およびyセンス線に接続する単純マトリクス構造となっている。センス電流源801とパルス電源803とは、メモリセルc23に対する記録動作と作動検出による再生動作を説明するために図中に示されている。なお、図6では、センス線の選択に用いられるデコーダ等の回路は省略されている。
【0049】
本実施形態のMRAMでは、メモリセルc23に記録された情報を読み出す場合には、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130へとセンス電流を流した状態で、隣接するyセンス線120に対し読み出し用のパルス電流を印加して磁界を発生させ、磁界の有無によるセンス線電圧の変化を計測することによって、記録された情報が「0」であるか「1」であるかを判定する。
【0050】
また、メモリセルc23に情報を記録する場合には、読み出しの場合と同様にセンス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130へとセンス電流を流した状態で、yセンス線120に対し読み出し用のパルス電流よりもより大きな書込み用のパルス電流を印加して磁界を発生させる。記録内容は印加される磁界の向きによる。このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線130の下に存在する他のメモリセルc13、c33にも印加されるが、各メモリセルに対する情報の記録はそのパルス電流によって発生する磁界とセンス電流によって発生する磁界との合成磁界を各メモリセルに印加することによって始めて可能となるため、メモリセルc23だけに情報が記録される。
【0051】
本実施形態のMRAMでは、センス電流源801を接続するxセンス線を図6に示すxセンス線210あるいはxセンス線230に変更すれば、メモリセルc13あるいはメモリセルc33への情報の記録・再生を行うことができる。また、メモリセルc12、c22、c32への情報の記録・再生を行う場合には、パルス電流を流すyセンス線を、yセンス線120からyセンス線110に変更する。上述のようにして、全てのメモリセルに対し同様な手法を用いて情報の記録・再生を行うことができる。
【0052】
図7は、本実施形態のMRAMの加工プロセスを示す断面図である。まず、図7(a)に示すように、基板P1の上にxセンス線P2、導体ビアP4を作製し、さらに、第1の強磁性層P5、非磁性層P6、第2の強磁性層P7からなる偶数番の磁気抵抗膜P8を作製する。次に、xセンス線P2が所望の形状となるように微細加工を施し、図面に向かって左から奇数番のメモリセルが設けられる領域を規定する微細加工を施し、同じマスクを使うセルフアライメントによって絶縁膜P11の成膜及び加工を行う。図7(b)には、絶縁膜P11の加工まで終了したときのMRAMが示されている。
【0053】
次に、図7(c)に示すように、yセンス線P10を作製する。そして、図7(d)に示すように、第1の強磁性層P5’、非磁性層P6’、第2の強磁性層P7’からなる磁気抵抗膜P8’、導体ビアP4’を作製する。そして、図面左から偶数番のメモリセルが設けられる領域を規定する微細加工を施し、同一マスクを使うセルフアライメントによって絶縁膜P11’の成膜及び加工を行う。図7(e)には、絶縁膜P11’の加工まで終了したときのMRAMが示されている。図7(f)に示すように、最後にxセンス線P3が作製され、本実施形態のMRAMが完成する。この加工プロセスでは、CMP等による平坦化プロセスや剥離を完全に行うための洗浄プロセス等も適宜導入される。
【0054】
以上述べたように、本実施形態のMRAMでは、各メモリセルに磁界を印加するための導体線を、別体の書込み線でなく隣接するメモリセルに接続されているyセンス線としている。こうすることによって、本実施形態のMRAMでは、別体の書込み線を設ける必要がなくなるため、メモリの集積度を向上させることができる。また、本実施形態のMRAMでは、上述の加工プロセスのように、隣接するメモリセル同士の配設位置に段差を付けて、メモリセルと導体線とのずれ量δを導体線の厚さの1/2未満としたが、図8に示すような2枚の基板を互いに貼り合わせることによって、隣接するメモリセル同士の配設位置に段差を付けてメモリセルと導体線とのずれ量δを導体線の厚さの1/2未満としてもよい。このような貼り合わせの精度がパターニングの精度を上回るレベルになれば、本実施形態のMRAMでは、リソグラフィーによるパターニングの解像度を上回る間隔でyセンス線を林立させることができるようになる。つまり、貼り合わせ法を用いたMRAMでは、より一層の集積度の向上が見込めるうえ、集積度が高まっただけ電流磁界の利用効率も高まり、消費電力の低減も見込める。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態のMRAMについて説明する。図9は、本実施形態のMRAM構造および加工プロセスは、第2の実施形態のMRAMの構造および加工プロセスと同じであり、各構成要素に用いられている材料も第2の実施形態のMRAMと同じである。
【0056】
本実施形態のMRAMでは、メモリセルc23への情報の記録・再生を行う場合にはyセンス線120だけにパルス電流を流していたのに対し、本実施形態のMRAMでは、yセンス線120およびyセンス線140の両方にパルス電流を流してメモリセルc23への情報の記録・再生を行う。こうすることによって、本実施形態のMRAMでは、yセンス線120、140への電流密度を約1/2とすることができるため、メモリセルに印加される磁界の面内均一性を向上させることができる。図中の矢印は、yセンス線120、140に流れるパルス電流によって発生する磁界の向きを表す。
【0057】
図10は、本実施形態のMRAMを線分A−A’に沿って切断した場合の断面図である。図10では、駆動回路等の周辺回路は省略され、説明に必要な部分だけ抜粋して記載されている。
【0058】
メモリセルc23に記録されている情報を読み出すには、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130にセンス電流を流した状態で、yセンス線120、140に対し読み出し用のパルス電流を同期印加して磁界を発生させ、磁界の有無によるセンス線電圧の変化からの記録されている情報が「0」であるか「1」であるかを判定する。
【0059】
メモリセルc23に情報を記録するには、読み出しの場合と同様に、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130にセンス電流を流した状態で、メモリセルc23に隣接するyセンス線120、140に対し、より大きな記録用のパルス電流を同期印加して磁界を発生させて、メモリセルc23への記録を行う。記録される情報が「0」であるか「1」であるかは、発生する磁界の向きによる。
【0060】
このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線120、140の下に存在する他のメモリセルc12、c22、c32、c14、c24、c34にも印加されるが、その磁界の方向は、面内方向であるため、それらのメモリセルへの誤記録は発生しない。さらに、このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線130の下に存在する他のメモリセルc13、c33にも印加されるが、各メモリセルに対する情報の記録は、そのパルス電流によって発生する磁界とセンス電流によって発生する磁界との合成磁界を各メモリセルに印加することによって始めて可能となるため、メモリセルc23だけに情報が記録される。本実施形態のMRAMでは、センス電流源801を接続するxセンス線を、図10に示すxセンス線210あるいはxセンス線230に変更すれば、メモリセルc13あるいはメモリセルc33への情報の記録・再生を行うことができる。また、メモリセルc12、c22、c32への情報の記録・再生を行う場合には、パルス電流を流すyセンス線を、yセンス線120、140からyセンス線110、130に変更する。上述のようにして、全てのメモリセルに対し同様な手法を用いて情報の記録・再生を行うことができる。
【0061】
以上述べたように、本実施形態のMRAMでは、導体線として、隣接する2本のyセンス線120、140という複数のyセンス線にパルス電流を流すことによって、メモリセルc23への記録・再生を行う。こうすることによって、本実施形態のMRAMでは、yセンス線120、140への電流密度を約1/2とすることができるため、メモリセルに印加される磁界のメモリセルの面内における均一性を向上させることができる。
【0062】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態のMRAMについて説明する。図11は、本実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。本実施形態のMRAMは、メモリセルを奇数列と偶数列とに分割して成膜が行われたものではなく、基板同士を貼り合わせることによって成膜が行われたものである。このMRAMは、図11に示す基板1に基づいて構成されているMRAMと第2基板2に基づいて構成されているMRAMとを2枚貼り合わせることによって形成されている。第2基板2は、(1、0、0)Siウエハである。各メモリセルの構造、材質、寸法やyセンス線の材質、寸法は、第1〜第3の実施形態のMRAMと同じである。
【0063】
図12は、本実施形態のMRAMが図11の線分C−C’に沿って画面奥のy方向に切断された場合の断面図である。本実施形態のMRAMでは、xセンス線が設けられておらず、メモリセル選択デバイスとしてMOSFETが形成されている。本実施形態のMRAMでは、このようなMOSFETを挿入することにより、メモリセルの選択動作を行うことができるアクティブマトリクス構造が可能になる。
【0064】
基板1は(1、0、0)p−Siウエハであり、50はn+ドープ領域であり、60はゲート電極、61はゲート酸化膜、62はソース電極、80は導体ビア、c70はメモリセルである。本実施形態のMRAMでは、ゲート電極60にセル選択信号を与えると、そのメモリセルに対してソース電極62、n+ドープ領域50、導体ビア80、メモリセルc70、yセンス線130の順でセンス電流が流れるようになっており、そのようにMOSFETを駆動することにより個々のメモリセルを選択することができる。
【0065】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態のMRAMについて説明する。図13は、本実施形態のMRAMの構造を示すブロック図である。本実施形態のMRAMは、第2の実施形態のMRAMの導体ビア42〜45の代わりに、メモリ選択デバイスとしてダイオード141〜145が設けられている。このダイオード141〜145のPN接合は、プラズマCVDで作製されている。本実施形態のMRAMでは、yセンス線とメモリセルとの間のオフセットのために生じた空間にダイオード141〜145を設けることによって、大きさを第2の実施形態のMRAMと同じ大きさとすることができる。また、本実施形態のMRAMの加工プロセスも、図7に示す加工プロセスとほぼ同じであり、デバイスの作製には、イオン注入等の半導体プロセスが用いられる。
【0066】
図14は、本実施形態のMRAMを図11の線分D−D’で切断した場合の断面図である。図14では、駆動回路等の周辺回路は省略され、説明に必要な部分だけ抜粋して記載されている。
【0067】
メモリセルc23に記録されている情報を読み出すには、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130にセンス電流を流した状態で、yセンス線120に対し読み出し用のパルス電流を印加して磁界を発生させ、磁界の有無によるセンス線電圧の変化から記録されている情報が「0」であるか「1」であるかを判定する。
【0068】
メモリセルc23に情報を記録するには、読み出しの場合と同様に、センス電流源801からxセンス線220、メモリセルc23、yセンス線130にセンス電流を流した状態で、メモリセルc23に隣接するyセンス線120に対し、より大きな記録用のパルス電流を印加して磁界を発生させて、メモリセルc23への記録を行う。記録される情報が「0」であるか「1」であるかは、発生する磁界の向きによる。
【0069】
このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線120の下に存在する他のメモリセルc12、c22、c32にも印加されるが、その磁界の方向が面内方向となっているため、メモリセルc12、c22、c32への誤記録は発生しない。さらに、このパルス電流によって発生する磁界は、yセンス線130の下に存在する他のメモリセルc13、c33にも印加されるが、各メモリセルに対する情報の記録は、そのパルス電流によって発生する磁界とセンス電流によって発生する磁界との合成磁界を各メモリセルに印加することによって始めて可能となるため、メモリセルc23だけに情報が記録される。
【0070】
本実施形態のMRAMでは、ダイオード141〜145を設けることによって、隣接するyセンス線に流す記録・再生用のパルス電流がメモリセルを介してセンス電流に流れこまないようにすることができるため、第2の実施形態のMRAMに比べて、センス電流のSN比を向上させることができる。
【0071】
なお、本実施形態のMRAMのように、メモリセルを奇数列と偶数列とに分割して成膜する方法を用いて作製されたMRAMである場合には、基板が片方にしかないため、電流規制デバイスとしてダイオードを用いることはできるが、メモリ選択デバイスとしてMOSFETを用いるのは適当ではない。また、第4の実施形態のMRAMのように、貼り合わせ法を用いて作製されたMRAMでは、両側に基板があるので、電流規制デバイスとしてダイオードを用いることもでき、メモリ選択デバイスとしてMOSFETを用いることもできる。
【0072】
また、第1〜第5の実施形態のMRAMに用いられる磁気抵抗膜の接合面積の大きさは、作製される際の加工プロセスやその用途に応じて適宜変更されるが、磁気抵抗膜の面積で規格化した抵抗率が10-5Ωcm2程度であるので、メモリセルを駆動するトランジスタのオン抵抗の値(数kΩ)に対し適合する1μm2以下が好適である。
【0073】
なお、第1〜第5の実施形態のMRAMにおいて、オフセット有り(δ=0)とした場合と、オフセット無し(δ=αa/2)とした場合とにおける、同じ大きさのセンス電流およびパルス電流を流した場合に発生する磁界の強度を表1に示す。(1)は第1の実施形態のMRAMにおける磁界の強度であり、(2)は第2の実施形態のMRAMにおける磁界の強度であり、(3)は第3の実施形態のMRAMにおける磁界の強度であり、(4)は第4の実施形態のMRAMにおける磁界の強度であり、(5)は第4の実施形態のMRAMと同じの構造のMRAMであって、yセンス線の厚さが2.5μmでアスペクト比α=5となっているMRAMの磁界の強度であり、(6)は第5の実施形態のMRAMにおける磁界の強度である。なお、表1において、比較例となっているのは、第1の実施形態のMRAMの構造と同じ構造のMRAMであって、書き込み線の線幅が1μmで厚さが0.5μmでアスペクト比が0.5のMRAMにおいて(δ=0)とした場合および(δ=αa/2)とした場合の、同じ大きさのセンス電流およびパルス電流を流した場合に発生する磁界の強度の値である。
【0074】
表1に示すように、第1〜第5の実施形態のMRAMでは、δ=0、つまりオフセットがある場合の磁界の強度がオフセットなしの場合の磁界の強度に比べて高くなっているのに対し、比較例のMRAMでは、δ=0での磁界の強度とδ=αa/2での磁界の強度は同じとなっている。この状態では本発明の効果が期待できないため、第1〜第5の実施形態のMRAMでは、アスペクト比α>0.5となっている。また、表1に示すように、(5)におけるオフセットなしの磁界強度に対するオフセット有りの磁界強度の比の方が(4)におけるオフセットなしの磁界強度に対するオフセット有りの磁界強度の比よりも大きい。このことは、アスペクト比αの値が大きいほど、本実施形態のMRAMが有する電流磁界の利用効率の向上の効果が有効になることを示している。
【0075】
【表1】
Figure 0003854793
【0076】
【発明の効果】
本発明のMRAMでは、メモリセル近傍に配置された導体線の磁気的な中心軸上に書き込み対象となるメモリセルを近づけるように導体線もしくはメモリセルの配置を導体線の厚さ方向にオフセットさせることによって、メモリセルと、メモリセル近傍に配置した導体線の厚さ方向のずれ量を導体線厚さの1/2未満とする。こうすることによって、導体線の発生する磁界が最も強い導体線の磁気的な中心軸にメモリセルを近づけて配置し、メモリセルに印加される磁界の強さを強くすることができるため、本発明のMRAMでは、従来よりも電流磁界の利用効率を向上させることができる。また、本発明によって消費電力の低い大容量のメモリを実現することができるため、モバイル端末やコンピュータ向けのメモリを安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のMRAMを図1の線分kで切断した場合の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のMRAMにおける磁界強度を求めるための断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のMRAMにおいてyセンス線のアスペクト比と点Aに対する点Bの磁界強度比を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のMRAMを図5の線分A−A’で切断した場合の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態のMRAMの加工プロセスを示す断面図である。
【図8】貼り合わせ法のMRAMの加工プロセスを示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態のMRAMを図9の線分A−A’で切断した場合の断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態のMRAMを図11の線分C−C’で切断した場合の断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態のMRAMの構造を示す断面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態のMRAMを図13の線分D−D’で切断した場合の断面図である。
【図15】従来のMRAMの構造を示す断面図である。
【図16】従来のMRAMを図15の線分B−B’で切断した場合の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第2基板
11、21、31 第1の強磁性層
12、22、32 非磁性層
13、23、33 第2の強磁性層
41、42、43、80 導体ビア
50 n+ドープ領域
60 ゲート電極
61 ゲート酸化膜
62 ソース電極
110、120、130、140、150 yセンス線
141〜145 ダイオード
210、220、230、320 xセンス線
801 センス電流源
802、803 パルス電源
1110、1130 書込み線
c11〜c15、c21〜c25、c31〜c35、c70 メモリセル
P1 基板
P2 xセンス線
P3 第2の基板
P4、P4’ 導体ビア
P5、P5’ 第1の強磁性層
P6、P6’ 非磁性層
P7、P7’ 第2の強磁性層
P8、P8’ 磁気抵抗膜
P10 yセンス線
P11、P11’ 絶縁膜

Claims (7)

  1. 主たる磁化方向が膜面垂直方向である2つの強磁性層が非磁性層を挟むことによって構成される垂直磁化膜から成る磁気抵抗効果素子を含むメモリセルがマトリクス状に配され
    モリセルの情報を読み出すためのセンス線を複数備え、
    センス線に流れる電流によって発生する磁界によって前記メモリセルへの信号の記録が行われるメモリにおいて、
    第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの情報を読み出すための第1のセンス線が前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの磁気抵抗効果素子の下部に配され、前記第1のメモリセル列に隣接して平行に配された第2のメモリセル列に含まれるメモリセルの情報を読み出すための第2のセンス線が、前記磁気抵抗効果素子の上部に配され、
    前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルの膜面に平行な当該メモリセルの磁気的な中心軸と前記膜面に平行な前記第2のセンス線の中心軸との前記膜面垂直方向のずれ量が前記第2のセンス線の厚さの1/2未満であり、前記第2のメモリセル列に含まれるメモリセルの膜面に平行な当該メモリセルの磁気的な中心軸と前記膜面に平行な前記第1のセンス線の中心軸との前記膜面垂直方向のずれ量が前記第1のセンス線の厚さの1/2未満であり、
    前記第1のメモリセル列に含まれるメモリセルに情報の記録を行なう際に、記録を行なうメモリセルに電流を流し、且つ、前記第2のセンス線に、該第2のメモリセル列に含まれるメモリセルから情報を読み出すときの第1の電流よりも大きい第2の電流を流すことにより生じる磁界によって記録を行ない、
    前記第2のメモリセル列に含まれるメモリセルに情報の記録を行なう際に、記録を行なうメモリセルに電流を流し、且つ、前記第1のセンス線に、該第1のメモリセル列に含まれるメモリセルから情報を読み出すときの第3の電流よりも大きい第4の電流を流すことにより生じる磁界によって記録を行なうことを特徴とするメモリ。
  2. 前記センス線の厚さと幅とのアスペクト比が0.5より大きい請求項1記載のメモリ。
  3. 前記センス線の厚さと幅とのアスペクト比が2以上10以下である請求項1記載のメモリ。
  4. 前記センス線に流れる電流によって発生する磁界によって前記メモリセルの信号再生が行われる請求項1からのいずれか1項記載のメモリ。
  5. 前記メモリセルに流れる電流方向を規制するデバイスとして、ダイオードが前記メモリセルに直列に接続されている請求項1からのいずれか1項記載のメモリ。
  6. 前記メモリセルを選択するデバイスとしてMOSFETが前記メモリセルに接続されている請求項1からのいずれか1項記載のメモリ。
  7. 前記メモリセルがスピントンネル膜である請求項1からのいずれか1項記載のメモリ。
JP2000303729A 2000-10-03 2000-10-03 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ Expired - Fee Related JP3854793B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000303729A JP3854793B2 (ja) 2000-10-03 2000-10-03 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000303729A JP3854793B2 (ja) 2000-10-03 2000-10-03 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002117669A JP2002117669A (ja) 2002-04-19
JP3854793B2 true JP3854793B2 (ja) 2006-12-06

Family

ID=18784888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000303729A Expired - Fee Related JP3854793B2 (ja) 2000-10-03 2000-10-03 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3854793B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6385083B1 (en) * 2001-08-01 2002-05-07 Hewlett-Packard Company MRAM device including offset conductors
JP2004119478A (ja) 2002-09-24 2004-04-15 Renesas Technology Corp 半導体記憶装置、不揮発性記憶装置および磁気記憶装置
JP6410004B1 (ja) * 2017-10-16 2018-10-24 Tdk株式会社 トンネル磁気抵抗効果素子、磁気メモリ、及び内蔵型メモリ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002117669A (ja) 2002-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6480411B1 (en) Magnetoresistance effect type memory, and method and device for reproducing information from the memory
JP5283922B2 (ja) 磁気メモリ
TW550639B (en) Semiconductor memory device and its manufacturing method
EP1096500B1 (en) Magnetization control method and information storage method
KR100579686B1 (ko) 자기 메모리 디바이스
TWI222230B (en) Magnetic memory
US7012832B1 (en) Magnetic memory cell with plural read transistors
JP3667244B2 (ja) 磁気抵抗素子、それを用いたメモリ素子、磁気ランダムアクセスメモリ及び磁気ランダムアクセスメモリの記録再生方法
JP3854839B2 (ja) 磁気抵抗素子を用いた不揮発固体メモリ
JP2005019464A (ja) 磁気ランダムアクセスメモリ、電子カードおよび電子装置
JP2004342241A (ja) 磁気ヘッドおよびそれを用いた磁気記録再生装置
JP2004071897A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置
TW200306026A (en) Solid-state magnetic element and solid-state magnetic element array
JP2004146688A (ja) 磁気抵抗効果素子、磁気メモリ、及び磁気ヘッド
JP4596230B2 (ja) 磁気メモリデバイスおよびその製造方法
JP2003332535A (ja) 半導体記憶装置
US8248847B2 (en) Information storage element and method for driving the same
JP2004146614A (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ装置
JP3854793B2 (ja) 磁気抵抗効果素子を用いたメモリ
JP2007095765A (ja) 多値記録スピン注入磁化反転素子およびこれを用いた装置
JP2003142753A (ja) 磁性膜の磁化反転方法、磁気抵抗効果膜及びそれを用いた磁気メモリ
JP2004022135A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置
KR20040047688A (ko) 자기 랜덤 액세스 메모리
JP2002280526A (ja) 磁気抵抗記憶素子
JPH113585A (ja) 磁性薄膜メモリ素子およびその記録再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060807

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20060807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090915

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100915

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100915

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110915

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110915

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120915

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120915

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130915

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees