JP3854057B2 - 眼鏡レンズの光学中心測定方法並びに眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法及び装置 - Google Patents

眼鏡レンズの光学中心測定方法並びに眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズの光学中心を求める眼鏡レンズの光学中心測定方法並びに眼鏡レンズの縁摺り加工の際に被加工レンズの回転中心軸となる治具としてあらかじめ被加工レンズに取り付けられるレンズホルダを被加工レンズに取り付けるレンズホルダ取付方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡は、未加工の眼鏡用レンズ(一般的には円形形状をなしたいわゆる丸レンズである)を、眼鏡フレームの枠形状に適合した形状に加工してこの眼鏡フレームにはめ込んで製作される。この眼鏡製作のためには、まず、装用者の眼の処方データ(度数、乱視度数、左右眼の距離その他の処方)や装用者が選定した眼鏡フレームの形状データ等から光学中心の位置等を定めるレイアウトを行う必要がある。このレイアウトは、基本的に、完成後の眼鏡を装用したとき、装用者の瞳孔中心が眼鏡レンズの光学中心(単焦点レンズの場合)又はアイポイント(多焦点レンズの場合)位置に一致するようにするために行われる。
【0003】
すなわち、一般的に、装用者が選定した眼鏡フレームを装用した場合、装用者の瞳孔中心がフレーム枠形状の幾何学的中心に一致することはむしろまれである。このため、未加工レンズを眼鏡フレーム枠形状に合う形状に加工する場合、その加工形状(フレーム形状)の幾何的学中心を単純にレンズの光学中心に一致させて加工すると、この加工後のレンズを眼鏡フレームに嵌めて完成した眼鏡を装用したときに、瞳孔中心がレンズの光学中心やアイポイントからずれてしまうからである。このため、光学中心を幾何学的中心からずらして光学中心が瞳孔中心に一致するようにする。
【0004】
レイアウトが決まると、このレイアウト条件や装用者の処方条件等を満たすとともに加工が可能な未加工レンズ(処方レンズ)が選定され、レンズ加工が行われる。この未加工レンズの加工は、未加工レンズの光学面にほぼ直交する所定の軸を中心にしてこの未加工レンズを回転しながらその縁を砥石又はカッタ等で削り取るレンズ加工装置によって行なわれる。このレンズ加工装置によって未加工レンズを加工する際には、レンズ回転の軸となる治具であるレンズホルダを予め未加工レンズに取り付けることが行われる。
【0005】
従来は、このレンズホルダ取付位置は、単焦点レンズの場合は光学中心とされていた。なお、累進多焦点レンズと多焦点レンズ(一般的には二重焦点レンズ)の場合はレンズのアイポイント位置とされていた。このため、選定した未加工レンズが処方を満たす光学特性(度数その他)を有するものであるか否か等の確認と同時にこの取付位置を求める意味でも光学中心位置を測定して求める必要があった。
【0006】
この未加工レンズの光学中心の測定は、レンズの度数やプリズム度数等の光学特性を測定するレンズメータを用いて行なっていた。すなわち、レンズメータによって光学中心に近いと思われる位置のプリズム値等を測定し、その測定値が0になる位置を捜すか、あるいは、測定プリズム値等を所定の計算式にいれて光学中心位置を算出すること等によって求めていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レンズメータによって目視等で光学中心に近いと思われる位置のプリズム値等を測定し、その測定プリズム値が0になる位置を捜すことは、非常に繁雑で困難であり、必ずしも正確な位置を求めることができない。また、測定プリズム値等を所定の計算式にいれて光学中心位置を算出する方法は、測定する場所によって精度が異なるという問題がある。すなわち、測定位置が真の光学中心位置に近い場合には誤差が少ないが、遠くなると誤差が大きくなる。
【0008】
また、近年、光学中心にレンズホルダを取り付ける方法では、フレーム形状によっては加工ができない場合のあることが分ってきた。すなわち、装用者の好みの多様化にともない、フレーム形状の縦方向のサイズが著しく小さいものもみられるようになってきた。縦方向寸法が所定以下の場合、レンズホルダを光学中心に取り付けると、レンズホルダの外周部がフレーム形状(加工すべき形状)からはみ出すという、加工干渉が生じてしまい、加工が不可能となる場合がある。
【0009】
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、正確な光学中心を能率的に求めることができるとともに、加工干渉のない取り付け位置を能率的に求めて取り付けることを可能にする眼鏡レンズの光学中心測定方法並びに眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
眼鏡レンズの光学中心を求める眼鏡レンズの光学中心測定方法において、
前記眼鏡レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータを用い、このレンズメータで眼鏡レンズの第1の位置における光学特性を測定するステップと、
前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて眼鏡レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置とするステップと、
前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置を光学中心位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置を算出するステップと、
前記第1光学中心算出位置と前記第2光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置を光学中心位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置から前記第2光学中心算出位置に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置を算出し、同様に両者間の距離が所定値以下である否かを判断して同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置と第n光学中心算出位置との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置を光学中心位置に決定することを特徴とする眼鏡レンズの光学中心測定方法である。
第2の手段は、
眼鏡レンズの縁摺り加工の際に被加工レンズの回転中心軸とされる治具としてあらかじめ被加工レンズに取り付けられるレンズホルダを被加工レンズに取り付けるレンズホルダ取付方法であって、
被加工レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータを用い、このレンズメータで被加工レンズの第1の位置における光学特性を測定するステップと、
前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて被加工レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置とするステップと、
前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置を光学中心位置に決定するとともに前記第1の位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置を算出するステップと、
前記第1光学中心算出位置と前記第2光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置を光学中心位置に決定するとともに前記第1光学中心算出位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置から前記第2光学中心算出位置に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置を算出し、同様に両者間の距離が所定値以下である否かを判断して同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置と第n光学中心算出位置との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置を光学中心に決定するとともに前記第(n−1)光学中心算出位置をレンズホルダの取付位置に決定するようにしたことを特徴とするレンズホルダ取付方法である。
第3の手段は、
前記決定した取付位置にレンズホルダを取り付けて加工すると仮定した場合に、被加工レンズの加工形状、レンズホルダのレンズ保持面形状を含む加工情報に基づいて加工が可能か否かを判断するステップを有すること特徴とする第2の手段にかかるレンズホルダ取付方法である。
第4の手段は、
前記第1の位置から取付位置の決定に至るまでに求められた各位置情報は、数値制御方式の加工装置の加工制御情報として用いることができるように送信可能に取り扱われることを特徴とする第2又は第3の手段にかかるレンズホルダ取付方法である。
第5の手段は、
眼鏡レンズの縁摺り加工の際に被加工レンズの回転中心軸とされる治具としてあらかじめ被加工レンズに取り付けられるレンズホルダを被加工レンズに取り付ける眼鏡レンズのレンズホルダ取付装置であって、
コンピュータと、
前記被加工レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータであって、前記コンピュータと必要な情報の交換が可能に接続されたレンズメータと、
前記レンズメータで測定する前記被加工レンズを載置して所定の制御情報によりその位置を所望の位置に移動し、その位置情報を計測して出力できる移動テーブルであって、前記コンピュータと必要な情報の交換が可能に接続された移動テーブルとを有し、
前記コンピュータは、前記レンズメータ及び移動テーブルに制御指令を出して前記被加工レンズの第1の位置の光学特性を測定する制御を行うステップと、
前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて被加工レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置とするステップと、
前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置を光学中心位置に決定するとともに前記第1の位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置を算出するステップと、
前記第1光学中心算出位置と前記第2光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置を光学中心位置に決定するとともに前記第1光学中心算出位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置から前記第2光学中心算出位置に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置を算出し、同様に両者間の距離が所定値以下である否かを判断して同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置と第n光学中心算出位置との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置を光学中心に決定するとともに前記第(n−1)光学中心算出位置をレンズホルダの取付位置に決定するステップとを有する情報処理を行う機能を有するものであることを特徴とするレンズホルダ取付装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズの光学中心測定方法及び眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法の説明図、図2は本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズのレンズホルダ取付装置の全体構成を示す図、図3はレンズメータによる測定の様子を示す図、図4及び図5はレンズブロッキンブ装置によってレンズホルダを未加工レンズに取付る様子を示す図である。以下、これらの図面を参照にしながら本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズの光学中心測定方法、眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法及び装置を説明する。
【0012】
図1に示されるように、実施の形態にかかる眼鏡レンズの光学中心測定方法及び眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法は、ステップS1〜S12よりなるが、これらのステップは、基本的に、移動テーブルたるX−Yテーブルによる未加工レンズの位置決め及び位置計測、レンズメータによる測定、並びにブロッキング装置によるブロッキング操作を伴うものである。それゆえ、まず、これら装置とコンピュータより構成される眼鏡レンズのレンズホルダ取付装置を説明し、次に、この装置を用いた眼鏡レンズの光学中心測定方法及び眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法を説明する。
【0013】
図2において、レンズメータ1、ブロッキング装置2、X−Yテーブル3は、コンピュータ4と情報交換可能に接続されており、コンピュータ4によって必要な動作制御や情報処理がなされるようになっている。レンズメータ1は、単焦点の未加工レンズ100の球面度数、乱視度数、乱視軸度、プリズム量等の光学特性を測定する公知の装置である。すなわち、図3に示されるように、コリメータレンズ11によって測定光を未加工レンズ(=被加工レンズ)100の測定位置Pに焦点を結ばせ、未加工レンズ100のを透過した光を図示しない計測光学系に導いて光学特性を求める。
【0014】
ブロッキング装置2は、図4及び図5に示されるように、レンズホルダ20を保持し、このレンズホルダ20を弾性シール20aを介して未加工レンズ100の表面に押し付けて取り付ける公知の装置である。この場合、未加工レンズ100は、X−Yテーブル3のレンズ保持部33によって保持され、レンズホルダ20の中心軸が未加工レンズ100の取り付け位置に正確に一致するように位置決めされてレンズ載置台21に載置され、しかる後、レンズホルダ20が取り付けられる。
【0015】
X−Yテーブル3は、コンピュータ4の指令により、レンズ保持部33に設けられたレンズ保持用の吸着装置33aで未加工レンズ100を吸着保持し、この未加工レンズ100の所定の位置がレンズメータ1やブロッキング装置2の測定位置や取付位置に正確に一致するように移動する位置制御を行なう。また、その位置情報をコンピュータ4に送る機能を有する。
【0016】
すなわち、上記レンズ保持部33は、Xテーブル31に取り付けられている。このXテーブル31はYテーブル32上に設けられた2本のレール31aの上をX方向に移動自在に取り付けられている。Xテーブル31は、このXテーブル31にねじ込まれているとともにYテーブル32に回転自在に取り付けられたネジ棒31bを駆動パルスモータ31cで回転駆動することにより、移動制御される。また、Yテーブル32は、基台34上に設けられた2本のレール32aの上をY方向に移動自在に取り付けられている。Yテーブル32は、このYテーブル32にねじ込まれているとともに基台34に回転自在に取り付けられたネジ棒32bを駆動パルスモータ32cで回転駆動することにより、移動制御される。なお、Xモータ31c及びYモータ32cは、コントローラ35を通じてコンピュータ4に接続されている。
【0017】
コンピュータ4は、レンズメータ1、ブロッキング装置2、X−Yテーブル3に必要な制御信号を送り、また、これら装置から送られる信号を処理してレンズ光学中心を求める計算処理やレンズホルダ取付位置の決定処理し、その結果に基づきさらに上記各装置に必要な制御を加える。コンピュータ4は具体的には、以下のステップを実行する制御を行なう。
【0018】
(ステップS1)
レンズメータによって未加工レンズ(被加工レンズ)100の第1の位置A0における光学特性を測定する。このステップは、まず、図示しない未加工レンズ供給装置から供給される未加工レンズ100を、X−Yテーブル3のレンズ保持部33の吸着装置33aで保持し、レンズメータ1の測定部に未加工レンズ100の第1の位置が位置するように位置決めする。しかる後、レンズメータ1に指令を送り、未加工レンズ100の球面度数、乱視度数、乱視軸度、プリズム量等の光学特性を測定させる。ここでは、上記第1の位置を幾何中心位置とする。
【0019】
(ステップS2)
コンピュータ4は、上記レンズメータ1によって求められた未加工レンズ100の球面度数、乱視度数、乱視軸度、プリズム量等の値を取り込んで、これらの値から光学中心位置を計算して求める。すなわち、測定位置の光学中心からの偏心量を計算で求める下記(1)にいれ、測定点である第1の位置から光学中心までの偏心量を計算値として求める。こうして求まった光学中心を第1光学中心算出位置A1とする。
【数1】
Figure 0003854057
【0020】
(ステップS3〜S4)
次に、コンピュータ4は、上記第1の位置A0と上記第1光学中心算出位置A1との距離(偏心量)を求める。次いで、この距離が所定値以下であるか否かの判断を行なう(ステップS3)。所定値以下である場合には、ステップS4に進んで上記第1光学中心算出位置A1を光学中心位置に決定するとともに上記第1の位置A0をレンズホルダの取付位置に仮決定する。ここで、所定値は、例えば、プリズム量で0.01mm以下とする。なお、この値は、眼鏡フレームにおける装用者の瞳孔位置とレンズの光学中心とをどの程度の精度で一致させて眼鏡レンズを眼鏡フレームに枠入れするかによって、適宜選定する。
【0021】
(ステップS5)
上記第1の位置A0と上記第1光学中心算出位置A1との距離(偏心量)が所定値を超えている場合には、ステップS5に進んで、レンズメータによる測定位置をA0からA1に変えてS1と同様のプリズム値等を求める。
【0022】
(ステップS6)
次に、ステップS2と同様にして、上記レンズメータ1によって求められた未加工レンズ100の位置A1における球面度数、乱視度数、乱視軸度、プリズム量等の値を取り込んで、これらの値から光学中心位置を計算して求め、求まった光学中心を第2光学中心算出位置A2とする。
【0023】
(ステップS7〜S8)
次に、ステップS3と同様にして、上記第1光学中心算出位置A1と上記第2光学中心算出位置A2との距離(偏心量)を求める。次いで、この距離が所定値以下であるか否かの判断を行なう(ステップS7)。所定値以下である場合には、ステップS8に進んで上記第2光学中心算出位置A2を光学中心位置に決定するとともに上記第1光学中心算出位置A1をレンズホルダの取付位置に仮決定する(S8)。
【0024】
(ステップS9)
上記第1光学中心算出位置A1と上記第2光学中心算出位置A2との距離(偏心量)が所定値を超えている場合には、上述のステップS5〜S7の処理と同様の処理を繰り返す。すなわち、第(n−1)光学中心算出位置An−1においてプリズム値等を求める。
【0025】
(ステップS10〜S12)
上記求めたプリズム値等を上述の(1)式にいれて、第n光学中心算出位置を計算して求める(ステップS10)。次に、ステップS3,S7と同様にして、上記第(n−1)光学中心算出位置An−1と上記第n光学中心算出位置Anとの距離(偏心量)を求める。次いで、この距離が所定値以下であるか否かの判断を行なう(ステップS11)。所定値以下である場合には、ステップS12に進んで上記第n光学中心算出位置Anを光学中心位置に決定するとともに上記第n−1光学中心算出位置An−1をレンズホルダの取付位置に仮決定する。一方、上記第(n−1)光学中心算出位置An−1と上記第n光学中心算出位置Anとの距離(偏心量)が所定値を超える場合には、ステップS9に戻って上記距離が所定値以下になるまで同様の処理を繰り返す。
【0026】
(ステップS13)
上述のステップS4、S8又はS12の処理が終了すると、ステップS13に進む。ステップS13においては、上記仮決定したブロッキング位置でレンズホルダをレンズにブロッキングした場合に、加工干渉が起きないか否かを判断する。すなわち、フレーム形状データ、処方データ及びレンズホルダの形状(直径)データ等を用い、上記ブロッキング位置でブロッキングした場合を想定し、加工干渉の有無を判断する。
【0027】
(ステップS14)
上記ステップS13で加工干渉があると判断された場合には、上記仮決定した位置の代わりに、それまでに位置計測をしてある位置A0〜An−1又はフレーム形状の幾何学的中心位置のなかから選んで仮のブロッキング位置としてS13に戻り、同様の判断して加工干渉がなくなるまで繰り返す。
【0028】
(ステップS15)
上記ステップS14で加工干渉がないと判断されると、ステップS15に進み、ブロッキングがなされる。すなわち、X−Yテーブルに保持された未加工レンズ100がブロッキング装置に移動され、ブロッキング装置2のブロッキング位置に上記未加工レンズの取付(ブロッキング)位置を一致させてブロッキングを行なう。なお、決定した光学中心位置やブロッキング位置等の位置情報は、レンズ加工の際に加工データの1つとして加工装置に送ることができるように処理がなされる。
【0029】
上述の方法によれば、レンズの光学中心と最終測定位置の距離が所定以下であるため、光学定数と光学中心位置とを正確にかつ能率よく求めることができる。また、ブロッキング位置は、取り付ける前にあらかじめ加工可能か否か判断し、加工干渉のないブロッキング位置を求めてからブロッキングするので、能率的なブロッキングができる。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、眼鏡レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータを用い、このレンズメータで眼鏡レンズの第1の位置における光学特性を測定するステップと、
前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて眼鏡レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置とするステップと、
前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置を光学中心位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置を算出するステップと、
前記第1光学中心算出位置と前記第2光学中心算出位置との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置を光学中心位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置から前記第2光学中心算出位置に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置を算出し、同様に両者間の距離が所定値以下である否かを判断して同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置と第n光学中心算出位置との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置を光学中心位置に決定することを特徴とするもので、これにより、正確な光学中心を能率的に求めることを可能にするとともに、レンズホルダの加工干渉のない取付位置を能率的に求めて取り付けることを可能にしているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズの光学中心測定方法及び眼鏡レンズのレンズホルダ取付方法の説明図である。
【図2】 本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズのレンズホルダ取付装置の全体構成を示す図である。
【図3】 レンズメータによる測定の様子を示す図である。
【図4】 レンズブロッキンブ装置によってレンズホルダを未加工レンズに取り付ける様子を示す図である。
【図5】 レンズブロッキンブ装置によってレンズホルダを未加工レンズに取り付ける様子を示す図である。
【符号の説明】
1…レンズメータ、2…ブロッキング装置、3…X−Yテーブル、4…コンピュータ、100…未加工レンズ。

Claims (3)

  1. 眼鏡レンズの縁摺り加工の際に被加工レンズの回転中心軸とされる治具としてあらかじめ被加工レンズに取り付けられるレンズホルダを被加工レンズに取り付けるレンズホルダ取付方法であって、
    前記被加工レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータを用い、このレンズメータで被加工レンズの第1の位置における光学特性を測定するステップと、
    前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて被加工レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置(A0)とするステップと、
    前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置(A0)との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置(A0)を光学中心位置に決定するとともに前記第1の位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置(A0)に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置(A1)を算出するステップと、
    前記第1光学中心算出位置(A0)と前記第2光学中心算出位置(A1)との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置(A1)を光学中心位置に決定するとともに前記第1光学中心算出位置(A0)をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置(A0)から前記第2光学中心算出位置(A1)に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置(A2)を算出するステップと、
    前記各ステップと同様に第(n−1)光学中心算出位置 (An-1) と第n光学中心算出位置 (An) との距離が所定値以下であるか否かの判断をして同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置(An-1)と第n光学中心算出位置(An)との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置(An)を光学中心に決定するとともに前記第(n−1)光学中心算出位置(An-1)をレンズホルダの取付位置に決定するステップと、
    前記仮決定したレンズホルダの取付位置でレンズホルダをレンズにブロッキングした場合に、加工干渉が起こらないか否かを判断し、加工干渉があると判断された場合には、前記仮決定したレンズホルダの取付位置の代わりに、それまでに位置計測してある光学中心算出位置 (An An-1) 又はフレーム形状の幾何学的中心位置のなかから選んで仮のブロッキング位置として前記と同様にして加工干渉の有無を判断するステップを加工干渉がなくなるまで繰り返し、加工干渉がないと判断された位置をブロッキング位置に決定するステップと、
    を有することを特徴とするレンズホルダ取付方法。
  2. 前記第1の位置から取付位置の決定に至るまでに求められた各位置情報は、数値制御方式の加工装置の加工制御情報として用いることができるように送信可能に取り扱われることを特徴とする請求項1記載のレンズホルダ取付方法。
  3. 眼鏡レンズの縁摺り加工の際に被加工レンズの回転中心軸とされる治具としてあらかじめ被加工レンズに取り付けられるレンズホルダを被加工レンズに取り付ける眼鏡レンズのレンズホルダ取付装置であって、
    コンピュータと、
    前記被加工レンズのプリズム値を含む光学特性を測定するレンズメータであって、前記コンピュータと必要な情報の交換が可能に接続されたレンズメータと、
    前記レンズメータで測定する前記被加工レンズを載置して所定の制御情報によりその位置を所望の位置に移動し、その位置情報を計測して出力できる移動テーブルであって、前記コンピュータと必要な情報の交換が可能に接続された移動テーブルとを有し、
    前記コンピュータは、
    前記レンズメータ及び移動テーブルに制御指令を出して前記被加工レンズの第1の位置の光学特性を測定する制御を行うステップと、
    前記第1の位置の光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて被加工レンズの光学中心位置を算出してその位置を第1光学中心算出位置(A0)とするステップと、
    前記第1の位置と前記第1光学中心算出位置(A0)との距離が所定値以下である場合には、前記第1光学中心算出位置(A0)を光学中心位置に決定するとともに前記第1の位置をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、その測定位置を前記第1の位置から前記第1光学中心算出位置(A0)に変えて光学特性を測定し、この光学特性の測定値から所定の関係式に基づいて第2光学中心算出位置(A1)を算出するステップと、
    前記第1光学中心算出位置(A0)と前記第2光学中心算出位置(A1)との距離が所定値以下である場合には、前記第2光学中心算出位置(A1)を光学中心位置に決定するとともに前記第1光学中心算出位置(A0)をレンズホルダの取付位置に決定し、そうでない場合には、前記レンズメータによって、さらにその測定位置を前記第1光学中心算出位置(A0)から前記第2光学中心算出位置(A1)に変えて光学特性を測定して第3光学中心算出位置(A2)を算出するステップと、
    前記各ステップと同様に第(n−1)光学中心算出位置 (An-1) と第n光学中心算出位置 (An) との距離が所定値以下であるか否かの判断をして同様のステップを繰り返し、第(n−1)光学中心算出位置(An-1)と第n光学中心算出位置(An)との距離が所定値以下になったときの第n光学中心算出位置(An)を光学中心に決定するとともに前記第(n−1)光学中心算出位置(An-1)をレンズホルダの取付位置に決定するステップと、
    前記仮決定したレンズホルダの取付位置でレンズホルダをレンズにブロッキングした場合に、加工干渉が起こらないか否かを判断し、加工干渉があると判断された場合には、前記仮決定したレンズホルダの取付位置の代わりに、それまでに位置計測してある光学中心算出位置 (An An-1) 又はフレーム形状の幾何学的中心位置のなかから選んで仮のブロッキング位置として前記と同様にして加工干渉の有無を判断するステップを加工干渉ががなくなるまで繰り返し、加工干渉がないと判断された位置をブロッキング位置に決定するステップと、
    を有する情報処理を行う機能を有するものであることを特徴とするレンズホルダ取付装置。
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