JP3853878B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリッド車両の制御装置に係り、特に、エンジン駆動用の補機類に電力供給する第1蓄電装置と、電動モータに電力供給する第2蓄電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両が、例えば特開平7−67208号公報等に記載されている。このようなハイブリッド車両において、エンジン始動用のスタータに電力を供給する低電圧(例えば12V)の第1蓄電装置と、電動モータに電力を供給する高電圧(例えば288V)の第2蓄電装置とを備えている場合があるが、第1蓄電装置の蓄電量が低下した場合には、第2蓄電装置から第1蓄電装置へ充電を行うことにより、エンジンを駆動可能な状態に保つことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるハイブリッド車両において、第2蓄電装置から第1蓄電装置への充電が無制限に許容されると、例えば第1蓄電装置がエアコンやヘッドライト等の各種の車載装置の電源としても用いられる場合、ヘッドライトの点灯等で第1蓄電装置の電力、更には第2蓄電装置の電力が無制限に消費され、エンジンを駆動できなくなる可能性が存在したのである。
【0004】
本発明は以上のような事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンと電動モータとを車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両において、可能な限りエンジンを駆動可能な状態に維持することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、(b) 前記エンジンを駆動するための補機類に電力供給する第1蓄電装置と、前記電動モータに電力供給する第2蓄電装置とを有する一方、(c) 第2蓄電装置から第1蓄電装置へ充電する充電手段を有するハイブリッド車両の制御装置において、(d) 前記充電手段は、前記第2蓄電装置から前記第1蓄電装置への充電を、第2蓄電装置の蓄電量に応じて変更するとともに、その第2蓄電装置の蓄電量が所定値以下であっても、前記エンジンを始動する要求がある場合はその第2蓄電装置からその第1蓄電装置へ充電することを特徴とする。
第2発明は、第1発明のハイブリッド車両の制御装置において、前記第2蓄電装置は、前記第1蓄電装置よりも高電圧の蓄電装置であることを特徴とする。
第3発明は、第1発明のハイブリッド車両の制御装置において、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間には、電圧を変換する電圧変換制御装置が設けられていることを特徴とする。
第4発明は、第1発明のハイブリッド車両の制御装置において、前記充電手段は、前記第1蓄電装置の蓄電量および前記第2蓄電装置の蓄電量を何れも考慮して、その第2蓄電装置から第1蓄電装置へ充電するものであることを特徴とする。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、第2蓄電装置から第1蓄電装置への充電が、第2蓄電装置の蓄電量に応じて変更されるため、例えば第2蓄電装置の蓄電量がエンジンを駆動するのに必要な電力量を十分に有する所定値以下である場合には充電を行わないようにすれば、ヘッドライトの点灯等で第1蓄電装置の電力が消費されても、エンジンの始動時に第2蓄電装置から電力供給を行うことによりエンジンを駆動することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明は、例えばクラッチ手段により動力伝達を接続、遮断することによって動力源を切り換える切換タイプや、遊星歯車装置などの合成分配機構によってエンジンおよび電動モータの出力を合成したり分配したりするミックスタイプ、電動モータまたはエンジンを補助的に使うアシストタイプなど、エンジンと電動モータとを車両走行時の動力源として備えている種々のタイプのハイブリッド車両に適用され得る。
【0008】
また、前記エンジンを駆動するための補機類には、エンジンを始動するために必要なスタータの他、イグナイタ、ディストリビュータ、インジェクタ、EFIコンピュータ等のエンジンの駆動状態を維持するために必要な各種の部品も含まれる。
【0009】
また、第1蓄電装置と第2蓄電装置との間には、例えばチョッパ回路などの、それらの間で電気エネルギーの授受を可能とする前記充電手段としての電圧変換装置などが設けられ、この電圧変換装置によれば、第1蓄電装置から第2蓄電装置へ充電を行うことも勿論可能である。
【0010】
また、前述の第2蓄電装置から第1蓄電装置への充電を、第2蓄電装置の蓄電量に応じて変更するという場合の、この変更には第2蓄電装置の蓄電量が所定値以下となった場合には充電を完全に禁止してしまうことや、第2蓄電装置の蓄電量に応じて充電量を徐々に低減していくことなど種々の態様が含まれる。
【0011】
また、第1蓄電装置は、例えば12V等の低電圧の電源で、エンジン駆動用の補機類だけでなく、エアコンやヘッドライト等の各種の車載装置の電源としても用いられる場合に、本発明は好適に適用される。
【0012】
また、始動スイッチがON操作された場合など、エンジンの始動要求があった場合には、充電手段により第1蓄電装置を充電してエンジンを始動できるようにするが、エンジンの始動要求はコンピュータなどによって行われるようになっていても良い。
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である制御装置を備えているハイブリッド車両のハイブリッド駆動装置10の骨子図である。
【0014】
図1において、このハイブリッド駆動装置10はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両用のもので、燃料の燃焼によって作動する内燃機関等のエンジン12と、電動モータおよび発電機としての機能を有するモータジェネレータ14と、シングルピニオン型の遊星歯車装置16と、自動変速機18とを車両の前後方向に沿って備えており、出力軸19から図示しないプロペラシャフトや差動装置などを介して左右の駆動輪(後輪)へ駆動力を伝達する。
【0015】
遊星歯車装置16は機械的に力を合成分配する合成分配機構で、モータジェネレータ14と共に電気式トルコン24を構成しており、そのリングギヤ16rは第1クラッチCE1 を介してエンジン12に連結され、サンギヤ16sはモータジェネレータ14のロータ軸14rに連結され、キャリア16cは自動変速機18の入力軸26に連結されている。また、サンギヤ16sおよびキャリア16cは第2クラッチCE2 によって連結されるようになっている。
【0016】
なお、エンジン12の出力は、回転変動やトルク変動を抑制するためのフライホイール28およびスプリング、ゴム等の弾性部材によるダンパ装置30を介して第1クラッチCE1 に伝達される。第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 は、何れも油圧アクチュエータによって係合、解放される摩擦式の多板クラッチである。
【0017】
自動変速機18は、前置式オーバードライブプラネタリギヤユニットから成る副変速機20と、単純連結3プラネタリギヤトレインから成る前進4段、後進1段の主変速機22とを組み合わせたものである。
【0018】
具体的には、副変速機20はシングルピニオン型の遊星歯車装置32と、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式のクラッチC0 、ブレーキB0 と、一方向クラッチF0 とを備えて構成されている。また、主変速機22は、3組のシングルピニオン型の遊星歯車装置34、36、38と、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式のクラッチC1 , C2 、ブレーキB1 ,B2 ,B3 ,B4 と、一方向クラッチF1 ,F2 とを備えて構成されている。そして、これらのクラッチC0 〜C2 、ブレーキB0 〜B4 の係合、解放制御により、図3に示すように前進5段、後進1段の変速段が成立させられる。なお、上記自動変速機18や電気式トルコン24は、中心線に対して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半分が省略されている。
【0019】
図2は、ハイブリッド駆動装置10の制御系統を説明するブロック線図で、機械的な結合関係は太い実線で示され、電気的な結合関係は細線で示されている。
【0020】
図2において、電気式トルコン24は前記モータジェネレータ14、遊星歯車装置16、第1クラッチCE1 、および第2クラッチCE2 によって構成されており、車両駆動手段44は駆動輪などである。
【0021】
エンジン12は、ハイブリッド制御用コントローラ40によって燃料噴射制御用アクチュエータ46、スロットル制御用アクチュエータ48、点火時期制御用アクチュエータ50、吸排気バルブ制御用アクチュエータ52がそれぞれ制御されることにより、その作動状態が制御される。
【0022】
モータジェネレータ14は、モータジェネレータ制御装置(インバータなど)54を介して高電圧の第2蓄電装置56に接続されるようになっており、そのモータジェネレータ制御装置54がハイブリッド制御用コントローラ40によって制御されることにより、第2蓄電装置56から電気エネルギーが供給されて所定のトルクで回転駆動される回転駆動状態と、回生制動(モータジェネレータ14自体の電気的な制動トルク)により発電機として機能する充電状態と、ロータ軸14rが自由回転することを許容する無負荷状態とに切り換えられる。
【0023】
また、第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 は、ハイブリッド制御用コントローラ40により電磁弁等のクラッチ制御用アクチュエータ58を介して油圧回路が切り換えられることにより、それぞれ係合、解放状態が切り換えられ、エンジン12とリングギヤ16rとの間、サンギヤ16sとキャリア16cとの間が、それぞれ接続、遮断される。
【0024】
また、電圧変換制御装置62は、例えばチョッパ回路であり、ハイブリッド制御用コントローラ40の制御の下に、第2蓄電装置56の放電出力をより低い電圧に変換して第1蓄電装置64側に供給したり、或いは第1蓄電装置64の放電出力をより高い電圧に変換して第2蓄電装置56側に供給する。第1蓄電装置64は、現在広く使用されているエンジン駆動車両の蓄電装置と同じ電圧、例えば12Vで、外部充電端子65を備えたものである。また、第2蓄電装置56は、車両駆動用の高電圧、例えば288Vの蓄電装置である。尚、電圧変換制御装置62は前記充電手段に対応している。
【0025】
また、補機類制御装置66は、切換えスイッチ55を介して第1蓄電装置64と電圧変換制御装置62とに接続されており、この切換えスイッチ55により、ハイブリッド制御用コントローラ40の制御の下に、補機類制御装置66と第1蓄電装置64とを接続する第1接続状態と、補機類制御装置66と電圧変換制御装置62とを接続する第2接続状態とに切り換えられる。第1接続状態では、第1蓄電装置64から補機類制御装置66を介して補機類67に電力が供給されることにより、その補機類67が駆動制御される。また、第2接続状態では、電圧変換制御装置62により低電圧に変換された第2蓄電装置56からの電力が補機類制御装置66を介して補機類67に直接供給されることにより、その補機類67が駆動制御される。
【0026】
補機類67は、エンジン12を始動するために必要なスタータ、エンジン12の駆動状態を維持するために必要なイグナイタ、ディストリビュータ、インジェクタ、EFIコンピュータ等の各種の部品の他、エアコンやヘッドライト等の各種の車載装置から構成されている。前記燃料噴射制御用アクチュエータ46、スロットル制御用アクチュエータ48、点火時期制御用アクチュエータ50、吸排気バルブ制御用アクチュエータ52などもこの補機類67に含まれ、第1蓄電装置64から電力供給される。
【0027】
自動変速機18は、運転者によってシフトレバー60が操作され、そのシフトレバー60に機械的に連結されたマニュアルシフトバルブなどの切換えアクチュエータ68によって油圧回路が切り換えられることにより、前進段(FWD)、ニュートラル(N)、後進段(REV)が切り換えられる。シフトレバー60は、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、「4」、「3」、「2」、「L」の計8つのシフトレンジを備えており、「R」レンジで上記後進段が成立させられ、「N」レンジでニュートラルが成立させられ、「D」レンジで前進段が成立させられる。
【0028】
また、それ等のシフトポジションSH を表す信号がシフトポジションスイッチ70からハイブリッド制御用コントローラ40に供給され、「D」レンジでは、変速用ソレノイドバルブなどの変速比制御用アクチュエータ72が制御されて油圧回路が切り換えられることにより、前記クラッチC0 〜C2 、ブレーキB0 〜B4 の係合、解放状態が切り換えられ、例えばアクセル操作量θACおよび車速Vをパラメータとして予め定められた変速マップなどの変速条件に従って前進5速の変速段が切り換えられる。
【0029】
図3のクラッチ、ブレーキ、一方向クラッチの欄の「○」は係合、「●」はシフトレバー60がエンジンブレーキレンジ、たとえば「3」、「2」、及び「L」レンジ等の低速レンジへ操作された場合に係合、そして、空欄は非係合を表している。
【0030】
また、前進変速段の変速比は1stから5thとなるに従って段階的に小さくなり、4thの変速比i4 =1であり、5thの変速比i5 は、副変速機20の遊星歯車装置32のギヤ比をρ(=サンギヤの歯数ZS /リングギヤの歯数ZR <1)とすると1/(1+ρ)となる。図3は各変速段の変速比の一例を示したものである。
【0031】
図3の作動表に示されているように、第2変速段(2nd)と第3変速段(3rd)との間の変速は、第2ブレーキB2 と第3ブレーキB3 との係合・解放状態を共に変えるクラッチツウクラッチ変速になる。この変速を円滑に行うために、上述した油圧回路には図4に示す回路が組み込まれている。
【0032】
図4において符号90は1−2シフトバルブを示し、また符号91は2−3シフトバルブを示し、さらに符号92は3−4シフトバルブを示している。これらのシフトバルブ90、91、92の各ポートの各変速段での連通状態は、それぞれのシフトバルブ90、91、92の下側に示している通りである。なお、その数字は各変速段を示す。
【0033】
その2−3シフトバルブ91のポートのうち第1変速段および第2変速段で入力ポート93に連通するブレーキポート94に、第3ブレーキB3 が油路95を介して接続されている。この油路にはオリフィス96が介装されており、そのオリフィス96と第3ブレーキB3 との間にダンパーバルブ97が接続されている。このダンパーバルブ97は、第3ブレーキB3 にライン圧が急激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を行うものである。
【0034】
また符号98はB−3コントロールバルブであって、第3ブレーキB3 の係合圧をこのB−3コントロールバルブ98によって直接制御するようになっている。すなわち、このB−3コントロールバルブ98は、スプール99とプランジャ100とこれらの間に介装したスプリング101とを備えており、スプール99によって開閉される入力ポート102に油路95が接続され、またこの入力ポート102に選択的に連通させられる出力ポート103が第3ブレーキB3 に接続されている。さらにこの出力ポート103は、スプール99の先端側に形成したフィードバックポート104に接続されている。
【0035】
一方、前記スプリング101を配置した箇所に開口するポート105には、2−3シフトバルブ91のポートのうち第3変速段以上の変速段でDレンジ圧を出力するポート106が油路107を介して連通させられている。また、プランジャ100の端部側に形成した制御ポート108には、リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0036】
したがって、B−3コントロールバルブ98は、スプリング101の弾性力とポート105に供給される油圧とによって調圧レベルが設定され、且つ制御ポート108に供給される信号圧が高いほどスプリング101による弾性力が大きくなるように構成されている。
【0037】
さらに、図4における符号109は、2−3タイミングバルブであって、この2−3タイミングバルブ109は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール110と第1のプランジャ111とこれらの間に配置したスプリング112とスプール110を挟んで第1のプランジャ111とは反対側に配置された第2のプランジャ113とを有している。
【0038】
この2−3タイミングバルブ109の中間部のポート114に油路115が接続され、また、この油路115は2−3シフトバルブ91のポートのうち第3変速段以上の変速段でブレーキポート94に連通させられるポート116に接続されている。
【0039】
さらに、この油路115は途中で分岐して、前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート117にオリフィスを介して接続されている。前記中間部のポート114に選択的に連通させられるポート118は油路119を介してソレノイドリレーバルブ120に接続されている。
【0040】
そして、第1のプランジャ111の端部に開口しているポートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、また第2のプランジャ113の端部に開口するポートに第2ブレーキB2 がオリフィスを介して接続されている。
【0041】
前記油路107は第2ブレーキB2 に対して油圧を供給・排出するためのものであって、その途中には小径オリフィス121とチェックボール付きオリフィス122とが介装されている。また、この油路107から分岐した油路123には、第2ブレーキB2 から排圧する場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス124が介装され、この油路123は以下に説明するオリフィスコントロールバルブ125に接続されている。
【0042】
オリフィスコントロールバルブ125は第2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブであって、そのスプール126によって開閉されるように中間部に形成したポート127には第2ブレーキB2 が接続されており、このポート127より図での下側に形成したポート128に前記油路123が接続されている。
【0043】
第2ブレーキB2 を接続してあるポート127より図での上側に形成したポート129は、ドレインポートに選択的に連通させられるポートであって、このポート129には、油路130を介して前記B−3コントロールバルブ98のポート131が接続されている。尚、このポート131は、第3ブレーキB3 を接続してある出力ポート103に選択的に連通させられるポートである。
【0044】
オリフィスコントロールバルブ125のポートのうちスプール126を押圧するスプリングとは反対側の端部に形成した制御ポート132が油路133を介して、3−4シフトバルブ92のポート134に接続されている。このポート134は、第3変速段以下の変速段で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、また、第4変速段以上の変速段で第4ソレノイドバルブSL4の信号圧を出力するポートである。これらのソレノイドバルブSL3、SL4は、前記変速比制御用アクチュエータ72の一構成要素である。
【0045】
さらに、このオリフィスコントロールバルブ125には、前記油路115から分岐した油路135が接続されており、この油路135を選択的にドレインポートに連通させるようになっている。
【0046】
なお、前記2−3シフトバルブ91において第2変速段以下の変速段でDレンジ圧を出力するポート136が、前記2−3タイミングバルブ109のうちスプリング112を配置した箇所に開口するポート137に油路138を介して接続されている。また、3−4シフトバルブ92のうち第3変速段以下の変速段で前記油路107に連通させられるポート139が油路140を介してソレノイドリレーバルブ120に接続されている。
【0047】
そして、図4において、符号141は第2ブレーキB2 用のアキュムレータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調圧されたアキュムレータコントロール圧が供給されている。このアキュムレータコントロール圧は、リニアソレノイドバルブSLNの出力圧が低いほど高い圧力になるように構成されている。したがって、第2ブレーキB2 の係合・解放の過渡的な油圧は、リニアソレノイドバルブSLNの信号圧が低いほど高い圧力で推移するようになっている。
【0048】
また、符号142はC−0エキゾーストバルブを示し、さらに符号143はクラッチC0 用のアキュムレータを示している。C−0エキゾーストバルブ142は2速レンジでの第2変速段のみにおいてエンジンブレーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させるように動作するものである。
【0049】
したがって、上述した油圧回路によれば、B−3コントロールバルブ98のポート131がドレインに連通していれば、第3ブレーキB3 の係合圧をB−3コントロ−ルバルブ98によって直接調圧することができ、また、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLUによって変えることができる。
【0050】
また、オリフィスコントロールバルブ125のスプール126が、図の左半分に示す位置にあれば、第2ブレーキB2 はこのオリフィスコントロールバルブ125を介して排圧が可能になり、したがって第2ブレーキB2 からのドレイン速度を制御することができる。
【0051】
さらに、第2変速段から第3変速段への変速は、第3ブレーキB3 を緩やかに解放すると共に第2ブレーキB2 を緩やかに係合する所謂クラッチツウクラッチ変速が行われるわけであるが、その変速に先立って入力軸26への入力トルクを予め推定し、その入力トルク推定値に基づいてリニアソレノイドバルブSLUにより駆動される第3ブレーキB3 の解放過渡油圧を制御することにより変速ショックを好適に軽減することができる。
【0052】
ハイブリッド制御用コントローラ40は、CPUやRAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、図2に示されるように、シフトポジションスイッチ70、アクセル操作量センサ74、ブレーキスイッチ76、ブレーキ踏力センサ78、始動スイッチ82、エンジン回転数センサ84からそれぞれ、シフトレバー60のシフトポジションSH 、アクセル操作量θAC、ブレーキのON,OFF、ブレーキ踏力、始動スイッチ82のON,OFF、エンジン回転数NE を表す信号が供給される他、エンジントルクTE 、モータトルクTM 、モータ回転数NM 、自動変速機18の入力軸回転数NI 、出力軸回転数(車速Vに対応)NO 、第1蓄電装置64の蓄電量SOC1 、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 等に関する情報が、種々の検出手段などから供給されるようになっている。エンジントルクTE はスロットル弁開度や燃料噴射量などから求められ、モータトルクTM はモータ電流などから求められ、蓄電量SOC1 、SOC2 は充電時のモータ電流や充電効率などから求められる。
【0053】
ハイブリッド制御用コントローラ40は、例えば本願出願人が先に出願した特願平7−294148号に記載されているように、図5に示すフローチャートに従って図6に示す8つの運転モードの1つを選択し、その選択したモードでエンジン12及び電気式トルコン24を作動させる。
【0054】
図5において、ステップS1では、制動力の要求があるか否かを、例えばブレーキがONか否か、シフトレバー60の操作レンジがLや2などのエンジンブレーキレンジ(低速変速段のみで変速制御を行うと共にエンジンブレーキや回生制動が作用するレンジ)で、且つアクセル操作量θACが0か否か、或いは単にアクセル操作量θACが0か否か、等によって判断する。
【0055】
この判断が肯定された場合にはステップS2を実行する。ステップS2では、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が予め定められた最大蓄電量B以上か否かを判断し、SOC2 ≧BであればステップS3でモード8を選択し、SOC2 <BであればステップS4でモード6を選択する。最大蓄電量Bは、第2蓄電装置56に電気エネルギーを充電することが許容される最大の蓄電量で、第2蓄電装置56の充放電効率などに基づいて例えば80%程度の値が設定される。
【0056】
上記ステップS3で選択されるモード8は、図6に示されるように第1クラッチCE1 を係合(ON)し、第2クラッチCE2 を係合(ON)し、モータジェネレータ14を無負荷状態とし、エンジン12を停止状態すなわちスロットル弁を閉じると共に燃料噴射量を0とするものであり、これによりエンジン12の引き擦り回転による制動力、すなわちエンジンブレーキが車両に作用させられ、運転者によるブレーキ操作が軽減されて運転操作が容易になる。また、モータジェネレータ14は無負荷状態とされ自由回転させられるため、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が過大となって充放電効率等の性能を損なうことが回避される。
【0057】
ステップS4で選択されるモード6は、図6から明らかなように第1クラッチCE1 を解放(OFF)し、第2クラッチCE2 を係合(ON)し、エンジン12を停止し、モータジェネレータ14を充電状態とするもので、車両の運動エネルギーでモータジェネレータ14が回転駆動されることにより、第2蓄電装置56を充電するとともに、その車両にエンジンブレーキのような回生制動力を作用させる。これにより、運転者によるブレーキ操作が軽減されて運転操作が容易になる。
【0058】
また、第1クラッチCE1 が解放されてエンジン12が遮断されているため、そのエンジン12の引き擦りによるエネルギー損失がないとともに、SOC2 <Bの場合に実行されるため、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が過大となって充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0059】
一方、ステップS1の判断が否定された場合、すなわち制動力の要求がない場合にはステップS5を実行し、エンジン発進が要求されているか否かを、例えばモード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両停止時か否か、すなわち車速V=0か否か等によって判断する。
【0060】
この判断が肯定された場合には、ステップS6を実行する。ステップS6ではアクセルがONか否か、すなわちアクセル操作量θACが略零の所定値より大きいか否かを判断し、アクセルONの場合にはステップS7でモード5を選択し、アクセルがONでなければステップS8でモード7を選択する。
【0061】
上記ステップS7で選択されるモード5は、図6から明らかなように第1クラッチCE1 を係合(ON)し、第2クラッチCE2 を解放(OFF)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14の回生制動トルクを制御することにより、車両を発進させるものである。
【0062】
具体的に説明すると、遊星歯車装置16のギヤ比をρE とすると、エンジントルクTE :遊星歯車装置16の出力トルク:モータトルクTM =1:(1+ρE ):ρE となるため、例えばギヤ比ρE を一般的な値である0.5程度とすると、エンジントルクTE の半分のトルクをモータジェネレータ14が分担することにより、エンジントルクTE の約1.5倍のトルクがキャリア16cから出力される。
【0063】
すなわち、モータジェネレータ14のトルクの(1+ρE )/ρE 倍の高トルク発進を行うことができるのである。また、モータ電流を遮断してモータジェネレータ14を無負荷状態とすれば、ロータ軸14rが逆回転させられるだけでキャリア16cからの出力は0となり、車両停止状態となる。
【0064】
すなわち、この場合の遊星歯車装置16は発進クラッチおよびトルク増幅装置として機能するのであり、モータトルク(回生制動トルク)TM を0から徐々に増大させて反力を大きくすることにより、エンジントルクTE の(1+ρE )倍の出力トルクで車両を滑らかに発進させることができるのである。
【0065】
ここで、本実施例では、エンジン12の最大トルクの略ρE 倍のトルク容量のモータジェネレータ、すなわち必要なトルクを確保しつつできるだけ小型で小容量のモータジェネレータ14が用いられており、装置が小型で且つ安価に構成される。
【0066】
また、本実施例ではモータトルクTM の増大に対応して、スロットル弁開度や燃料噴射量を増大させてエンジン12の出力を大きくするようになっており、反力の増大に伴うエンジン回転数NE の低下に起因するエンジンストール等を防止している。
【0067】
ステップS8で選択されるモード7は、図6から明らかなように第1クラッチCE1 を係合(ON)し、第2クラッチCE2 を解放(OFF)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を無負荷状態として電気的にニュートラルとするもので、モータジェネレータ14のロータ軸14rが逆方向へ自由回転させられることにより、自動変速機18の入力軸26に対する出力が零となる。これにより、モード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両停止時に一々エンジン12を停止させる必要がないとともに、前記モード5のエンジン発進が実質的に可能となる。
【0068】
一方、ステップS5の判断が否定された場合、すなわちエンジン発進の要求がない場合にはステップS9を実行し、要求出力Pdが予め設定された第1判定値P1以下か否かを判断する。要求出力Pdは、走行抵抗を含む車両の走行に必要な出力で、アクセル操作量θACやその変化速度、車速V(出力軸回転数NO )、自動変速機18の変速段などに基づいて、予め定められたデータマップや演算式などにより算出される。
【0069】
また、第1判定値P1はエンジン12のみを動力源として走行する中負荷領域とモータジェネレータ14のみを動力源として走行する低負荷領域の境界値であり、エンジン12による充電時を含めたエネルギー効率を考慮して、排出ガス量や燃料消費量などができるだけ少なくなるように実験等によって定められている。
【0070】
ステップS9の判断が肯定された場合、すなわち要求出力Pdが第1判定値P1以下の場合には、ステップS10で蓄電量SOC2 が予め設定された最低蓄電量A以上か否かを判断し、SOC2 ≧AであればステップS11でモード1を選択する。一方、SOC2 <AであればステップS12でモード3を選択する。
【0071】
最低蓄電量Aはモータジェネレータ14を動力源として走行する場合に第2蓄電装置56から電気エネルギーを取り出すことが許容される最低の蓄電量であり、第2蓄電装置56の充放電効率などに基づいて例えば70%程度の値が設定される。
【0072】
上記モード1は、前記図7から明らかなように第1クラッチCE1 を解放(OFF)し、第2クラッチCE2 を係合(ON)し、エンジン12を停止し、モータジェネレータ14を要求出力Pdで回転駆動させるもので、モータジェネレータ14のみを動力源として車両を走行させる。
【0073】
この場合も、第1クラッチCE1 が解放されてエンジン12が遮断されるため、前記モード6と同様に引き擦り損失が少なく、自動変速機18を適当に変速制御することにより効率の良いモータ駆動制御が可能である。
【0074】
また、このモード1は、要求出力Pdが第1判定値P1以下の低負荷領域で且つ第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が最低蓄電量A以上の場合に実行されるため、エンジン12を動力源として走行する場合よりもエネルギー効率が優れていて燃費や排出ガスを低減できるとともに、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が最低蓄電量Aより低下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0075】
ステップS12で選択されるモード3は、図6から明らかなように第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 を共に係合(ON)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を回生制動により充電状態とするもので、エンジン12の出力で車両を走行させながら、モータジェネレータ14によって発生した電気エネルギーを第2蓄電装置56に充電する。エンジン12は、要求出力Pd以上の出力で運転させられ、その要求出力Pdより大きい余裕動力分だけモータジェネレータ14で消費されるように、そのモータジェネレータ14の電流制御が行われる。
【0076】
一方、前記ステップS9の判断が否定された場合、すなわち要求出力Pdが第1判定値P1より大きい場合には、ステップS13において、要求出力Pdが第1判定値P1より大きく第2判定値P2より小さいか否か、すなわちP1<Pd<P2か否かを判断する。
【0077】
第2判定値P2は、エンジン12のみを動力源として走行する中負荷領域とエンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として走行する高負荷領域の境界値であり、エンジン12による充電時を含めたエネルギー効率を考慮して、排出ガス量や燃料消費量などができるだけ少なくなるように実験等によって予め定められている。
【0078】
そして、P1<Pd<P2であればステップS14でSOC2 ≧Aか否かを判断し、SOC2 ≧Aの場合にはステップS15でモード2を選択し、SOC2 <Aの場合には前記ステップS12でモード3を選択する。
【0079】
また、Pd≧P2であればステップS16でSOC2 ≧Aか否かを判断し、SOC2 ≧Aの場合にはステップS17でモード4を選択し、SOC2 <Aの場合にはステップS15でモード2を選択する。
【0080】
上記モード2は、前記図6から明らかなように第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 を共に係合(ON)し、エンジン12を要求出力Pdで運転し、モータジェネレータ14を無負荷状態とするもので、エンジン12のみを動力源として車両を走行させる。
【0081】
また、モード4は、第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 を共に係合(ON)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を回転駆動するもので、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として車両を高出力走行させる。
【0082】
このモード4は、要求出力Pdが第2判定値P2以上の高負荷領域で実行されるが、エンジン12およびモータジェネレータ14を併用しているため、エンジン12およびモータジェネレータ14の何れか一方のみを動力源として走行する場合に比較してエネルギー効率が著しく損なわれることがなく、燃費や排出ガスを低減できる。また、蓄電量SOC2 が最低蓄電量A以上の場合に実行されるため、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が最低蓄電量Aより低下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0083】
上記モード1〜4の運転条件についてまとめると、蓄電量SOC2 ≧Aであれば、Pd≦P1の低負荷領域ではステップS11でモード1を選択してモータジェネレータ14のみを動力源として走行し、P1<Pd<P2の中負荷領域ではステップS15でモード2を選択してエンジン12のみを動力源として走行し、P2≦Pdの高負荷領域ではステップS17でモード4を選択してエンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として走行する。
【0084】
また、SOC2 <Aの場合には、要求出力Pdが第2判定値P2より小さい中低負荷領域でステップS12のモード3を実行することにより第2蓄電装置56を充電するが、要求出力Pdが第2判定値P2以上の高負荷領域ではステップS15でモード2が選択され、充電を行うことなくエンジン12により高出力走行が行われる。
【0085】
ステップS15のモード2は、P1<Pd<P2の中負荷領域で且つSOC2 ≧Aの場合、或いはPd≧P2の高負荷領域で且つSOC2 <Aの場合に実行されるが、中負荷領域では一般にモータジェネレータ14よりもエンジン12の方がエネルギー効率が優れているため、モータジェネレータ14を動力源として走行する場合に比較して燃費や排出ガスを低減できる。
【0086】
また、高負荷領域では、モータジェネレータ14およびエンジン12を併用して走行するモード4が望ましいが、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が最低蓄電量Aより小さい場合には、上記モード2によるエンジン12のみを動力源とする運転が行われることにより、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が最低蓄電量Aよりも少なくなって充放電効率等の性能を損なうことが回避される。
【0087】
次に、本発明が適用された本実施例の特徴部分、すなわち、可能な限りエンジン12を駆動可能な状態に維持するための制御作動を、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0088】
図7において、ステップSA1では、ハイブリッド制御用コントローラ40により各種の入力信号が順次処理される。次にステップSA2では、第1蓄電装置64の蓄電量SOC1 が所定値α以上であるか否かが判断される。所定値αは、エンジン12を駆動するのに十分な電力量に設定される。この判断が否定された場合は、続くステップSA3において、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が所定値β以下であるか否かが判断される。所定値βも、エンジン12を駆動するのに十分な電力量に設定される。
【0089】
このステップSA3の判断が否定された場合は、ステップSA4において、ハイブリッド制御用コントローラ40の制御の下に、電圧変換制御装置62により第2蓄電装置56の放電出力がより低い電圧に変換されて第1蓄電装置64側に供給されることにより、第1蓄電装置64が充電される。
【0090】
一方、ステップSA3の判断が肯定された場合は、ステップSA5においてエンジン始動要求があるか否かが、例えば始動スイッチ84がONされたか否か、言い換えれば運転者が車両を動かす意思を有するか否か等によって判断される。始動スイッチ84には、イグニッションスイッチなどが好適に用いられる。尚、ハイブリッド制御用コントローラ40の判断でエンジン始動要求が為されても良い。
【0091】
このステップSA5の判断が肯定された場合は、ステップSA7において、上記ステップSA4と同様にして第1蓄電装置64が充電されると共に、スタータによりエンジン12を回転駆動してエンジン12の始動制御を行う。尚、第1蓄電装置64を充電することなく、切換えスイッチ55を第2接続状態に切り換えて、電圧変換制御装置62により低電圧に変換された第2蓄電装置56からの電力により補機類67(スタータ等)を直接駆動してエンジン12を始動することもできる。一方、この判断が否定された場合は、ステップSA6において、ハイブリッド制御用コントローラ40により第2蓄電装置56から第1蓄電装置64への充電が中止される。
【0092】
次にステップSA8では、エンジン12が始動したか否かがエンジン回転数センサ84からの信号に基づいて判断される。この判断が否定された場合は、ステップSA7が繰り返されてエンジン12が始動するまで第1蓄電装置64の充電が続行させられるが、この判断が肯定された場合は、ステップSA9において、図6のモード3またはモード5が実行されて、モータジェネレータ14の回生制動により発生する電力で第2蓄電装置56が充電させられる。尚、エンジン12の作動を維持するため、第1蓄電装置64に対する充電も継続される。
【0093】
上述のように本実施例によれば、第2蓄電装置56の蓄電量SOC2 が所定値β以下の場合には、エンジン12の始動要求がある場合を除いて第2蓄電装置56から第1蓄電装置64への充電が禁止されるため、ヘッドライトの点灯等で第1蓄電装置64の電力が消費されても、エンジン12の始動時に第2蓄電装置56から第1蓄電装置64へ充電を行うと共に切換えスイッチを55を第1接続状態に切り換えて第1蓄電装置64により補機類67(スタータ)を駆動したり、或いは第1蓄電装置64の充電は行わずに切換えスイッチ55を第2接続状態に切り換えて電圧変換装置62により低電圧に変換された第2蓄電装置56からの電力で補機類67(スタータ)を直接駆動することにより、エンジン12を始動することが可能となる。
【0094】
なお、ハイブリッド制御用コントローラ40による一連の信号処理のうち、図7のステップSA2,SA3,SA4,SA5,SA6を実行する部分は、前記電圧変換制御装置62と共に充電手段を構成している。また、そのうちのステップSA3は第2蓄電装置56の蓄電量判断手段として機能しており、ステップSA5はエンジン始動要求判断手段として機能しており、ステップSA6は充電中止手段として機能している。
【0095】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0096】
例えば、前述の実施例においては、後進1段および前進5段の変速段を有する自動変速機18が用いられていたが、図8に示されるように、前記副変速機20を省略して前記主変速機22のみから成る自動変速機80を採用し、図9に示されるように前進4段および後進1段で変速制御を行うようにすることも可能である。
【0097】
本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、その他種々の態様で適用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である制御装置を備えているハイブリッド車両のハイブリッド駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図3】図1の自動変速機の各変速段を成立させる係合要素の作動を説明する図である。
【図4】図1の自動変速機の油圧回路の一部を示す図である。
【図5】図1のハイブリッド駆動装置の基本的な作動を説明するフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートにおける各モード1〜8の作動状態を説明する図である。
【図7】本発明の特徴となる制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図8】図1の実施例とは異なる自動変速機を備えているハイブリッド駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図9】図8の自動変速機の各変速段を成立させる係合要素の作動を説明する図である。
【符号の説明】
12:エンジン
14:モータジェネレータ(電動モータ)
56:第2蓄電装置
64:第1蓄電装置
62:電圧変換制御装置(充電手段)
ステップSA2〜SA6:充電手段
Claims (4)
- 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、
前記エンジンを駆動するための補機類に電力供給する第1蓄電装置と、前記電動モータに電力供給する第2蓄電装置とを有する一方、
該第2蓄電装置から該第1蓄電装置へ充電する充電手段を有するハイブリッド車両の制御装置において、
前記充電手段は、前記第2蓄電装置から前記第1蓄電装置への充電を、該第2蓄電装置の蓄電量に応じて変更するとともに、該第2蓄電装置の蓄電量が所定値以下であっても、前記エンジンを始動する要求がある場合は該第2蓄電装置から該第1蓄電装置へ充電する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記第2蓄電装置は、前記第1蓄電装置よりも高電圧の蓄電装置である
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間には、電圧を変換する電圧変換制御装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記充電手段は、前記第1蓄電装置の蓄電量および前記第2蓄電装置の蓄電量を何れも考慮して、該第2蓄電装置から該第1蓄電装置へ充電するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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