しかし、図6(b)に示すような構成には、以下に掲げる問題があった。図6(b)の構成とは、具体的には、長孔24が穿設され、受口23が備えられた外側桝本体40と、長孔33が穿設され、差口32aが備えられた内側桝本体41とを具備している。そして、外側桝本体40の長孔24に内側桝本体41の差口32aを挿入し、内側桝本体41の長孔33に外側桝本体40の受口23を挿入する。このように構成することにより、長孔24及び長孔33の周方向の長さ分だけ受口23及び差口32aを回転させることができ、可動式とするものである。
しかし、この構成によれば、長孔24及び長孔33の周囲は、可動させなければならないことよりシーリングすることが困難であった。これにより、例えば内側桝本体41の外周面に浸透した排水等が、長孔24を通じて漏水する虞があった。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、流入口と流出口との相対角度を変えることができ、且つ水密性にも優れる排水マスの提供を課題とする。
本発明にかかる排水マスは、「上下端部側に開口部を備え下部側に水を導通することが可能な第一流路が内部に設けられた円筒体、及び、該円筒体の周壁より突設され、前記第一流路に対して外部より水を流入させることが可能な流入口を有する本体部材と、前記円筒体の下部側に回動可能に接続された略円筒状の接続部、該接続部の下側に設けられ前記第一流路から流れ込んだ前記水を略水平方向に導通可能な第二流路を内部に有する底容積部、該底容積部の上側に設けられ前記底容積部に対して略垂直な上方に前記水を導通可能な第三流路を内部に有する流出側筒体、及び、前記流入口と略同じ高さであって且つ略水平方向に突設され、前記第二流路及び前記第三流路から外部へと前記水を流出させることが可能な流出口を有する可動部材とを備えることを特徴とする」ものである。
ここで、「第一流路」と、「略水平方向に導通可能な第二流路」及び「略垂直な上方に前記水を導通可能な第三流路」との位置関係としては、略平行な垂直方向に設けられた第一流路と第三流路との底部が第二流路で接続されている(すなわち、第一流路、第二流路、及び第三流路で略コの字形の導水部が形成されている)状態を示す。また、「排水マス」とは、建物の屋根に設けられたルーフドレンなどを通じて雨水を集水する雨水マス、管路内に集水された雨水を地面内に散水させる雨水浸透マス、生活雑水や汚水を集水する汚水マス、二系統以上の排水管をまとめて合流させる会所マス、等が挙げられる。
従って、本発明の排水マスによれば、本体部材に対して回動可能に接続された接続部が可動部材に備えられているため、本体部材に対して可動部材を回動させることができる。具体的には、略円筒状の接続部の形状に沿って、当該円筒形状の周壁方向(円周方向)に回動させることができる。これにより、本体部材に具備されている流入口と、可動部材に具備されている流出口との水平方向の相対角度を自在に変化させることが可能となる。
また、本発明の排水マスによれば、前記接続部が略円筒状であるため、例えばOリング等の簡易なシーリング材を用いて、回動可能でありながら且つ簡単・確実にシーリングすることができる。
ところで、前述の可動式の排水マスとしては、図6に示すものの他に、流入口が設けられた部材と流出口が設けられた部材(本発明の「本体部材」と「可動部材」とに該当する部材)とを上下に積み重ねる方法なども考え得る。例えば、上下端部側が開放され、周壁に短円筒状の流入口が突設された円筒状の流入側部材と、上端側が開放され、周壁に短円筒状の流出口が突設された流出側部材とを上下に積み重ねた構成の排水マスを用いれば、施工現場において、流入側部材と流出側部材との相対角度を調整した上で互いに接続させることにより、流入口と流出口との相対角度を変化させることができる。この構成によれば、接続部の形状を略円筒形にできるので、Oリングなどでシーリングすることが可能となる。
しかし、上述の構成を用いた場合は、流出側部材と流入側部材とを上下に積み重ねる構成であるから、流入口に対して流出口の高さを低くする必要が生じた。つまり、流入口と流出口との高さを同じにすることができなかった。これにより、流出側の配管(敷地排水管等)の埋設深さを調整し、排水マスの流出口の位置に対応させて低い(深い)位置に埋設させる必要などが生じた。もしくは、流出側の配管の高さと排水マスの流出口の高さとの差分を埋め合わせるべく、別途の配管継手を継ぎ足して係合させる必要があったため、地面を掘削して各種配管部材を埋設させる作業が増大し、極めて不経済であった。特に、他の配管(汚水管やガス管等)が密集している場所での設置作業は、利用できる埋設面積が限られているため、別途の配管継手を埋設させるような充分な面積を確保することが難しく、よりコンパクトに配管同士(流入側の配管と流出側の配管)を継ぎ合わせることのできる排水マスが望まれていた。
これに対し、本発明の排水マスによれば、流入口と流出口との高さが同じであるため、上述のように、流出側の配管の埋設深さを調整したり、もしくは別途の配管継手を用いることなく配管同士を接続することができる。これにより、より簡易かつコンパクトに配管同士を継ぎ合わせることができ、極めて経済的である。
また、本発明の排水マスにおいて、「前記流出側筒体の側壁のうち、前記円筒体に隣接する部位は、前記円筒体の周壁に沿って湾曲して形成されている」ものとすることができる。
本発明の排水マスによれば、流出側筒体の側壁は、本体部材の円筒体の周壁に沿って湾曲して形成されている。これにより、湾曲させずに直線状に形成した場合に比べて、流出側筒体の奥行きの一部を稼いで広げることができる。従って、流出側筒体内部の第二流路の流路面積を広く確保できるので、第二流路の流路容積(排水容量)を増大させることが可能となり、排水マス内を流れる排水量の増大に対して容易に対応することができる。
一方、第二流路の流路容積を増大させることができる、ということは、換言すると、必要とされる排水容量が一定であれば、稼いだ奥行きの分だけ流出側筒体全体をコンパクトに形成できる、ということになる。具体的には、流出側筒体の第三流路の容積とは、本体部材の円筒体の周壁からの突出量(縦)×幅(横≒円筒体の管径)×高さで主に決定されるが、ここで、流出側筒体の奥行きの一部を稼いで排水量を増大させることができることにより、その分円筒体の周壁からの突出量を小さくしても、必要とされる排水量を維持することができるので、流出側筒体全体をコンパクトに形成できる。これにより、狭い場所での施工も容易であるから、作業者の負担を軽減すると共に、設置作業にかかる時間を短縮することができ経済的である。
また、本発明の排水マスにおいて、「少なくとも前記流入口または前記流出口の何れか一方は、複数設けられている」ものとすることができる。
ここで、「少なくとも前記流入口または前記流出口の何れか一方」とは、本体部材に設けられている流入口のみが複数(つまり、流出口は一つ)であっても良く、可動部材に設けられている流出口のみが複数(流入口が一つ)であっても良いことを示している。当然ながら、流出口と流入口との双方が複数設けられていても構わない。
従って、本発明の排水マスによれば、例えば本体部材に流入口が複数設けられている場合であれば、流出口に対して相対角度が90度、180度、及び270度等の方向から流入管が配設されているような時であっても、一つの排水マスを用いてこれら全ての流入管を集合させることができる。また、流出口が複数設けられていれば、排水経路が複数必要とされ(若しくは排水量を拡大する必要があって)流出管が多数配置されている場合であっても、一つの排水マスを用いてこれらの流出経路に排水を分路させることができる。従って、より多様な配管設計に柔軟に対応することができる。なお、「流入管」、「流出管」としては、例えば雨水排水管や汚水排水管等の敷地排水管が例示でき、これらのうち、排水マスに水を流入させる側の配管を「流入管」、排水マスから水を流出させる側の配管を「流出管」と称している。
一方、流入管や流出管を集合・分路させる方法としては、上述した構成の他に、流入口(または流出口)が一つのみ設けられた配管部材を上下に積み重ねて接続させる構成も考え得る。この構成によれば、積み重ねる配管部材の数を増やすことによって流入口(または流出口)を任意に変更できる。
しかし、この方法によれば流入口と流出口との高さが異なってしまうことに加え、多数の配管部材を積み重ねる必要があるため、排水マスの設置面積(または深さ)が広くなってしまうという問題があった。
これに対し、本発明の排水マスによれば、一つの排水マスを用いて多様な配管経路の対応することができるので、設置面積をコンパクトにすることができる。これにより、設置に要する作業量を軽減し、作業者の手間と負担を減らすことができる。さらに、部品点数を最小限に留めることができるから、極めて経済的である。
このように、本発明の排水マスによれば、本体部材と可動部材との接続部が略円筒状であるため、例えばOリング等の簡易なシーリング材を用いて、回動可能でありながら且つ簡単・確実にシーリングすることができる。これにより、水漏れし難く信頼性の高い排水マスを提供できる。また、Oリングのような簡易なシーリング材を適用できることにより、接着剤等を用いて接合する場合に比べて、排水マスの設置作業に係る作業量を軽減することができ、迅速な施工作業の提供に資する。
また、流入口と流出口との高さが略同じであることにより、流出側の配管の埋設深さを調整したり、もしくは別途の配管継手を用いるような必要がない。従って、簡易に配管同士を継ぎ合わせることができる。さらに、別途の配管継手を補充することなく、一つの排水マスを用いて流出管と流入管とを継ぐ事ができるから、狭い場所での施工も容易である。これにより、作業者の負担を軽減すると共に、設置作業にかかる時間を短縮することができ経済的である。
以下、本発明の実施形態である排水マスについて、図1乃至図4に基づき説明する。図1は本発明の排水マスの全体を示す図であり、図2は本体部材を示す図であり、図3は流出側筒体を示す図であり、図4は底容積部を示す図である。なお、図1乃至図4において、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は底面図を夫々示している。
本発明の排水マス1は、図1に示すように、本体部材2と、可動部材3とを有している。なお、排水マスには、汚水マス、雨水マスなどのマス部材があるが、本例では雨水を集水するのに使用される雨水マスとしての排水マス1を例示している。排水マス1の材質としては、硬質塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリブテン系樹脂等の合成樹脂や、銅、ステンレス鋼、鋳鉄、及び炭素鋼等の金属、またはコンクリート等が適宜使用されるが、本例においては硬質塩化ビニル系樹脂が適用されている。
本体部材2は、敷地内で集水された雨水を排水マス1へと流入させる流入管が接続される部材であり、詳細には図2に示すように、円筒体4と、流入口5とを有して構成されている。円筒体4は、上下端部側に開口部6,7が夫々備えられ、下端部側の開口部7に水を導水することが可能な第一流路8が設けられた略円筒形の部材である。
円筒体4の上部側には、排水マス1に滞留した泥やゴミ(詳細は後述する)を確認し、取り出すためのメンテナンス孔としての開口部6が設けられている。開口部6の内径は、本例では約φ150mmであるが、排水マス1を埋設する深さに応じてその他φ125mm、φ200mm、またはφ300mmなど適宜のサイズが選択される。円筒体4の下部側には、第一流路8内を流れる水が導水される開口部7が設けられている。さらに、可動部材3の接続部9(後述する)を嵌合させる被接続部10が形成されており、可動部材3を回動自在に接続させることができる。また、円筒体4の周壁には、第一流路8に対して外部より水を流入させることが可能な流入口5が突設されている。流入口5を設ける個数としては、設置される場所における配管経路設計に応じて適宜選択され、一つであっても良いし複数であっても良いが、図1乃至図3では流入口5が一つのものを例示している。すなわち、本体部材2は、円筒体4と流入口5とで略T字型(所謂チーズ配管)形状を呈している。
可動部材3は、図3及び図4に示すように、流出側部材12と、底容積部材13との二つの部材で構成されている。流出側部材12は、詳細には図3に示すように、本体部材2に対して接続される接続部9と、接続部9の下側に設けられ、底容積部材13に係合される被係合部14、円筒体4に隣接して設けられ、底容積部材13に対して略垂直な上方に水を導通可能な第三流路15を内部に有する流出側筒体16と、流入口5と略同じ高さ(図1一点鎖線部参照)であって、且つ略水平方向に突設されており、第二流路17(後述する)及び第三流路15から外部へと水を流出させることが可能な流出口18とを有して構成されている。なお、底容積部材13が、本発明の「底容積部」に相当する。
接続部9は、略円筒状をしており、円筒体4の被接続部10に対して回動可能に接続される。接続部9には、シール部材を嵌装させるシール溝19が形成されており、該シール溝19にOリング等を挿入して被接続部10に接続させることによって、簡易且つ確実に漏水を防ぐことができる。被係合部14は、底容積部材13に対して接着係合される係合部位である。
流出側筒体16は、円筒体4に隣接して設けられ、第三流路15を内部に有する筒体である。なお、流出側筒体16の側壁のうち、円筒体4に隣接する側壁20は、図3(a)に示すように、円筒体4の周壁に沿って湾曲した形状(図1(b)参照)をしている。これにより、流出側筒体16の奥行きの一部が拡大され、図3(a)斜線部に示す部位21の分だけ容積(排水量)が増大する。
一方、排水マス1に必要とされる排水量は、設置される地域毎に一定の規格値が定められている。仮に、二点鎖線円内に示すように、側壁20を直線状に形成した場合を考えると、流出側筒体16の容積は、(奥行きY)×(幅W)×(高さ(H:図3(b)参照))で求められる。これに対し、本発明では、側壁20を湾曲させることによって部位21の分だけ容積を増やすことができるので、その分突出量を減少させ(突出量X)ても所用の排水量を確保することができる。つまり、流出側筒体16の突出量を最適化して奥行きYよりも減少させる(奥行きX)ことができ、排水マス1全体を小型化することができる。
また、流出側部材12には、第三流路15から外部へと水を流出させることが可能な流出口18が、水平方向に突設されている。流出口18を設ける個数としては、流入口5と同様に一つであっても良いし複数であっても良いが、図1乃至図3では流出口18が一つのものを例示している。なお、図1乃至図3では、配管を差し込ませる受口タイプの流入口5及び流出口18を例示しているが、何れか一方(若しくは双方)が配管の内径に挿入する差口タイプであっても構わない。また、Oリング等のシール材が予め取り付けられた所謂ゴム輪の受口タイプを適宜に組み合わせるものであっても良い。
底容積部材13は、流出側部材12の被係合部14に係合させ、第一流路8を通じて接続部9から流れ込んだ水を略水平方向に導通可能な第二流路17を内部に有する部材である。詳細には図4に示すように、接続部9と流出側筒体16の径を重畳した奥行きPと、本体部材2の円筒体4の外径に略等しい横幅Q(図4(a)参照)とで形成される略四角形状の係合部22を有している(当然ながら、被係合部14の外径は係合部22の内径に略等しい形状である)。なお、係合部22と流出側部材12の被係合部とは、公知の接着剤によって互いに接合係合された状態で施工現場へと搬送される。
ところで、図1乃至図3では、流入口5及び流出口18が一つずつ形成された排水マス1を例示したが、図5(a),(b)に示すように、流入口5を複数設けた排水マス1とすることもできる。このように形成することで、より多様な配管経路設計に柔軟に対応することができる。
続いて、本実施形態の排水マス1の使用方法について説明する。まず、排水マス1を埋設する場所の地盤を、ショベルカーやスコップなど適宜の工具を用いて掘削する。本例の排水マス1は雨水マスとして使用されるものなので、設置場所としては、例えば家屋等の建造物に配設された雨どい設置箇所近傍の地盤中などが挙げられる。設置深さとしては、流入管及び流出管の設置深さに、底容積部材13の高さ(150mm等)を加えた深さで(つまり、流入口5及び流出口18の設置位置と、流入管及び流出管の設置位置とが同じになるように)掘削する。そして、掘削した設置箇所に砂または良質土等を敷き詰め、振動コンパクターで突き固める。
次に、本体部材2の被接続部10に可動部材3の接続部9を連結させる。具体的には、接続部9のシール溝19に公知のシール部材(Oリング等)をはめ込み、被接続部10に連結させる。このように構成することで、被接続部10と接続部9(本体部材2と可動部材3)とは、上下方向には容易には動かないよう連結できるが、接続部9の円周方向には比較的簡単に動かすことができる。つまり、本体部材2と可動部材3との間の水密性を保ちつつ、且つ本体部材2に対して可動部材3を回動可能な状態で連結することができる。なお、流出側部材12と底容積部13とは、バラバラの状態で施工現場に搬入して、施工時に接着係合させても良いが、本例のように、予め工場での出荷段階で接着係合させ、互いに一体化された可動部材3として施工現場に運び込まれる構成とした方が、施工段階での作業量を低減できるので、より便利である。こうして本体部材2と可動部材3とを連結することにより、第一流路8、第二流路17、及び第三流路15が一体化されて略U字状の流路U(図1(b)参照)を形成する。
そして、流入管の先端に、本体部材2の流入口5を挿入する。なお、流入管と流出口5との接合を確実なものとするために、接続部に接着剤やシーリング剤を塗布しても良い。また、流入管を流入口5に挿入した後に、本体部材2に可動部材3を連結する順序でも構わないが、設置場所はあまり広く掘削しない方が好ましいので、作業スペースが限られている。従って、連結作業の取り回しが面倒になりがちなので、本例のように、予め連結した後に流入管に取り付けたほうが簡便である。そして、排水マス1の傾きを調整して、流入口5と流出管との設置高さを揃える。
次に、本体部材2に対して可動部材3を回動させて相対角度を調整し、流出管と流出口18との取り付け位置を合わせる。この時、流入口5と流入管との取り付け部位と同様に、接続部に接着剤やシーリング剤を塗布しても良い。なお、予め流入管と流出管とが埋設された場合に限らず、排水マス1を設置した後に流出管(または/及び流入管)を取り付けても構わない。
そして、開口部6に土砂が混入しないように手当てをして(仮蓋などをして)、砂や良質土を被せて排水マス1を埋設する。土砂を被せた後は、木だこや突き棒などで突き固め、地盤を固める。続いて、仮蓋を外し、開口部6から円筒体4の内部にザル状のバスケットB(図1(b)参照)を設置する。バスケットBは、流入管内を流れる水に混入した落ち葉や泥を溜め、これらのゴミが流出管へと流れて詰まらせるのを防止する部材である。そして、塩ビやPET,鋳鉄等で構成された蓋を開口部6に嵌合させ、蓋の傾斜を地面の勾配に合わせて設置する。このようにして、排水マス1が設置される。なお、開口部6に嵌合された蓋は、着脱自在なものであることが望ましい。蓋を開け、バスケットBを取り出すことで、簡易に排水マス1内を清掃することができるからである。
以上のように、本例の排水マス1によれば、本体部材2に対して可動部材3を回動させることができるので、流入口5に対する流出口18の相対角度を自由に変更することができ、一つの部材を用いて多様な配管経路設計に容易に対応できる。また、設置条件によって流入管と流出管との相対角度が微妙に変わる場合(例えば、流入管と流出管との相対角度が45度で想定されている場合に、実際は48度であったような場合)であっても、別途の角度調整用継手を継ぎ足したり配管を押し曲げる必要が無く、可動部材3の回動角度を変更させるのみで簡易に対応することができる。従って、より精度の高い施工を簡易に行うことができる。
また、本例の排水マス1によれば、本体部材2と可動部材3との接続部9が略円筒状であるため、例えばOリング等の簡易なシーリング材を用いて、回動可能でありながら且つ簡単・確実にシーリングすることができる。これにより、水漏れし難く信頼性の高い排水マス1を提供できる。
さらに、本例の排水マス1によれば、流出側筒体16の側壁20が円筒体4の周壁に沿って湾曲して形成されているため、部位21の分だけ排水容量を稼ぐことができ、流出側筒体16の突出量を最適化して減少させることができる。これにより、排水マス1全体を小型化することができるので、狭い場所での施工に好適である。
また、本例の排水マス1において、図5(a),(b)に示す形態を採用すれば、流入管が多肢に分路されて合流するような場所にも好適に使用可能となる。これにより、より多様な配管経路設計に対して一つの排水マス1で簡易に対応可能となる。また、流入口が一つのみ設けられた本体部材を上下に積み重ねて多肢に対応させるような場合に比べ、一つの部材のみでコンパクトに多肢の流入管を合流させることができるから、設置場所に関する制限も少なく、掘り下げる作業も軽減することができる。従って、極めて簡便で経済的である。
さらに、本例の排水マス1によれば、可動部材3が、流出側部材12と底容積部材13との二つの部材で別体として構成されている。このため、可動部材3が射出成形のように金型を用いて形成された場合は、一体的に形成する場合に比べて金型の形をシンプルにすることができるので、より作製が容易で経済的である。また、工場での出荷段階において流出側部材12と底容積部材13とを接着させ、一体的に接合させた状態で施工現場(設置場所)へと搬入する構成なので、現場での作業時間が短縮でき、設置が簡便となる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態においては、流入口5が複数設けられた排水マス1を例示したが、この構成に限定されるものではなく、可動部材3に設けられた流出口18が多肢に分路するものであっても良く、流入口5と流出口18との双方が複数設けられているものであっても構わない。
また、上記実施形態においては、雨水マスとしての排水マス1を例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、底容積部材13に複数のスリットや孔などを開けて、当該孔を通じて管路内に集水された雨水を地面内に散水させる雨水浸透マスとして利用することも可能である。また、適宜なインバート部材を追加したり、底容積部材13の底部をインバート形状とすることによって、汚水マス(またはトラップマス)として利用することもできる。
また、上記実施形態において、図1(b)に示すように、底容積部材13の底部の形状をなだらかに形成しても良い(図1(b):斜線部S参照)。この構成によれば、流出口5から流入した水が流出口18へと流れ出る際に、泥やゴミ等などが底容積部材13の底部(特に、斜線部Sに示したような角部)に溜まりにくく、メンテナンスが容易となるため、より好適である。