JP3853253B2 - 遠心ローター上の容器内に貯えられた液体を排出する方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体成分の分離、精製、分析に係わる分野において、遠心ローターの回転中に遠心ローター上の容器内に貯えられた液体を排出する方法に関し、さらに詳しくは、遠心ローター上に配設された加圧用容器又は減圧用小容器に外部より液体を適時注入し、遠心ローター上の試料容器内を加圧あるいは減圧することによって、試料容器内の試料溶液を他の試料容器に圧出移送したり他の試料容器から吸引移送する際に、加圧用容器に貯えられた液体或いは減圧用小容器からの排出液の液溜め容器(以下、減圧用液溜め容器と云う)に貯えられた液体を自動的に排出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心ローターを用いて液体試料の分離、精製、分析等を実施する場合には、一般的には、その行程において遠心ローターを一旦停止させ遠心分離された成分を分取する等の用手操作を採用している。また、特許第1124173号の発明のように、遠心ローター上に配設された容器内の液体成分の分取、排出方法、及び特許第1135888号の液体成分の分離、混合装置と分離・混合・排出装置並びに登録実用新案第2147917号の考案のように、液体成分の分離、精製、分析用ローター等により、ローターの回転を停止させることなく、自動的に液体試料の分離、精製、分析等を可能にした技術が知られている。
【0003】
更に、特許第3263666号の発明のように、回転中の遠心ローター上の容器に外部より液体を注入して、容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器、或いは容器内の気圧を低下させるように構成した減圧用小容器と連通している遠心ローター上の試料容器内の液体試料を圧出(吸引)して遠心ローター上の他の容器に移送することを可能にした技術が知られている。
【0004】
上記従来の技術では、遠心ローター上の容器に液体を注入する方法については記載されているが、一連の操作が終了した後に、遠心ローター上の加圧用容器内、或いは減圧用液溜め容器内の液体を排出する方法に関しては全く考慮されていないない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題(遠心ローター上の加圧用容器内、或いは減圧用液溜め容器内の液体を排出することは容易ではない)を解決することを課題として研究開発されたもので、遠心ローターの回転中に、上記、遠心ローター上の容器に貯留した液体を容易かつ自動的に外部に排出させる方法の提供を目的とする。
さらに詳しくは、遠心ローター始動時には空であった遠心ローター上の加圧用容器又は減圧用小容器に液体を注入して(減圧用小容器に注入された液体は、減圧用小容器を通過し減圧用液溜め容器に流入する)、遠心ローター上の試料容器内を加圧又は減圧することによって、試料容器内の試料溶液を他の試料容器に移送するなど、一連の操作が終了した後に、遠心ローター上の加圧用容器内、又は減圧用液溜め容器内の液体を排出させて、遠心ローター上の容器(加圧用容器、減圧用液溜め容器)を遠心ローター始動時の空の状態に復帰させる方法の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0007】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、該延長部より反転して遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より流出させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0008】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0009】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、延長部より反転して、遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より流出させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2はそれぞれ第一、第二の実施の形態において、遠心ローターRの回転を停止させることなく、遠心ローターR上の所定の位置に配置した加圧用容器1に外部より液体を適時注入する装置、並びに、加圧用容器1に連通する液体排出パイプの連通態様の概略を示す説明図であって、外部の液体注入ポンプPU、遠心ローターR上の液体分配器DT、加圧用容器1等を示したものである。Mは遠心ローターRの回転モーター、Axは回転軸、REは遠心ローターの外縁であって、遠心ローターRの中心部上面に円筒状の液体分配器DTを設けると共に、液体注入ポンプPUの先端をこれに臨ませてある。
第一の実施の形態を示す図1ではパイプP3、反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1を示しており、第二の実施の形態を示す図2ではパイプP3、反転部Rf、パイプP4、遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex2を示したものである。
【0011】
液体分配器DTはパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を介して加圧用容器1に連通している。従って、遠心ローターRの回転中に外部の液体注入ポンプPUから液体を注入すると、液体は回転している液体分配器DTに入る。液体分配器DTと共に回転するこの液体は遠心力の働きで、遠心力方向への流路、即ちパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を通り加圧用容器1に流入する。加圧用容器1に液体が入ることによって、加圧用容器1内で気体(空気)の占める体積が減少し、気体が圧縮され、気体の唯一の排出通路であるパイプP5より圧出される。すなわち、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0012】
図1は加圧用容器1を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の加圧用容器1に貯留した液体を自動的に排出する方法の第一の実施の形態を示しており、加圧器として機能する加圧用容器1と該加圧用容器1の底部に連通するパイプP3、液体排出口Ex1の連通態様を示したものである。
【0013】
回転中のローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を経て加圧用容器1に入り、該加圧用容器1の底部より貯留し、パイプP1、パイプP3、パイプP5内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1は反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より低位(遠心力の方向)にあるため、加圧用容器1に貯留した液体は液体排出口Ex1を越えて流出することはない。
従って、加圧用容器1内の気体が圧縮され、加圧用容器1の内圧が上昇する。このようにして、加圧用容器1の内圧が上昇することによって、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0014】
図3は加圧用容器1を使用した遠心ローターR上の試料容器2内の試料溶液E1を該遠心ローターR上の他の試料容器3内に移送する方法の一つの形態を示しており、図1ならびに図2と同一遠心ローターR上に配設され、加圧器として機能する加圧用容器1と、試料溶液E1を収容した試料容器2、試料溶液E2を収容した試料容器3、ならびにパイプP5、パイプP52による上記各容器の連通態様を示したものである。
【0015】
加圧用容器1内の気体は連通管P5を経て試料容器2に圧出され、試料容器2と加圧用容器1は連通管P5のみを介して連通され、また試料容器2と試料容器3は連通管P52のみを介して連通されているので、試料容器2内の試料溶液E1は連通管P52のみを介して試料容器3に移送され、更に気体が試料容器3内に噴出し、試料溶液E1と試料溶液2の混合液を撹拌する(連通管P52が混合液の液中に開放されている場合)。
【0016】
一連の操作、すなわち、加圧用容器1への液体の注入、試料容器2内の加圧、試料溶液E1の移送、試料容器3内での試料溶液E1と試料溶液E2の混合、撹拌が完了した後、加圧用容器1への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図1)、パイプP3内の水位が反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は排液Wとして液体排出口Ex1より排出する。
【0017】
図2は加圧用容器1を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の加圧用容器1に貯留した液体を自動的に排出する方法の第二の実施の形態を示しており、加圧器として機能する加圧用容器1と該加圧用容器1の底部に連通するパイプP3、反転部Rf、パイプP4、液体排出口Ex2等の連通態様を示したものである。
【0018】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を経て加圧用容器1に入り、該加圧用容器1の底部より貯留し、パイプP1、パイプP3、パイプP5内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1は反遠心力の方向に設けられた反転部Rfより低位(遠心力の方向)にあるため、加圧用容器1に貯留した液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入することはなく、液体排出口Ex2より排出することはない。
従って、加圧用容器1内の気体が圧縮され、加圧用容器1の内圧が上昇する。このようにして、加圧用容器1の内圧が上昇することによって、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0019】
加圧用容器1内の気体は連通管P5を通り試料容器2に圧出され、試料容器2内の試料溶液E1を連通管P52を介して試料容器3に移送し、更に気体が試料容器3内に噴出し、試料溶液E1と試料溶液E2の混合液を撹拌する(連通管P52が混合液の液中に開放されている場合)。
【0020】
一連の操作、すなわち、加圧用容器1への液体の注入、試料容器2内の加圧、試料溶液E1の移送、試料容器3内での試料溶液E1と試料溶液E2の混合、撹拌が完了した後、加圧用容器1への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図2)、パイプP3内の水位が反転部Rfより高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入し、液体は遠心力の働きにより、排液Wとして液体排出口Ex2より排出する。
【0021】
図4、図5はそれぞれ第三、第四の実施の形態において、遠心ローターRの回転を停止させることなく、遠心ローターR上の所定の位置に配置された減圧用小容器21に外部より液体を適時注入する装置、並びに、減圧用小容器21に付随する減圧用液溜め容器11等に連通するパイプP11、パイプP12の連通態様の概略を示す説明図であって、外部の液体注入ポンプPU、遠心ローターR上の液体分配器DT、減圧用小容器21、減圧用液溜め容器11等を示したものである。Mは遠心ローターRの回転モーター、Axは回転軸、REはローターの外縁であって、遠心ローターRの中心部上面に円筒状の液体分配器DTを設けると共に、液体注入ポンプPUの先端をこれに臨ませてある。
第三の実施の形態を示す図4ではパイプP3、反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1を示しており、第四の実施の形態を示す図5ではパイプP3、反転部Rf、パイプP4、遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex2を示したものである。
【0022】
液体分配器DTはパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21、パイプP11、パイプP12を介して、減圧用液溜め容器11に連通している。従って、遠心ローターRの回転中に外部の液体注入ポンプPUから液体を注入すると、液体は回転している液体分配器DTに入る。液体分配器DTと共に回転する液体は遠心力の働きで、遠心力方向への流路、即ちパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に流入する。
【0023】
減圧用小容器21への液体流入パイプP1の内径が、該減圧用小容器21からの液体流出パイプP11、パイプP12の内径より小であるように設定してある。即ち、パイプP1内の液体の流通抵抗がパイプP11、P12内の液体の流通抵抗より大であるように設定してある。パイプP11、パイプP12内の液体にかかる遠心力の大きさがパイプP1内の液体にかかる遠心力の大きさより大であることも相俟って、減圧用小容器21内で陰圧を生じるため、減圧用小容器21は減圧器として機能する。
従って、減圧用小容器21に連通するパイプP7を介して、試料容器12内の気体は減圧用小容器21に吸引され(図6)、液体と共に減圧用液溜め容器11に運ばれ、気体はパイプP6を経て排出され、液体は該減圧用液溜め容器11の底部より貯留する。
【0024】
図4は減圧用小容器21を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の減圧用液溜め容器11に貯留した液体を自動的に排出する方法の第三の実施の形態を示しており、減圧器として機能する減圧用小容器21と、これに付随する減圧用液溜め容器11の底部に連通するパイプP3、液体排出口Ex1の連通態様を示したものである。
【0025】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に入り、該減圧用液溜め容器11の底部より貯留し、パイプP11、パイプP3、パイプP6内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1はの反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より低位(遠心力の方向)にあるため、減圧用液溜め容器11に貯留した液体は液体排出口Ex1を越えず、液体排出口Ex1より流出することはない。
【0026】
図6は減圧用小容器21を使用した遠心ローターR上の試料容器13内の液体を該遠心ローターR上の他の試料容器12内に移送する方法の一つの形態を示しており、図4ならびに図5と同一遠心ローターR上に配設された、減圧器として機能する減圧用小容器21と、試料溶液E11を収容した試料容器12、試料溶液E12を収容した試料容器13、ならびにパイプP7、P71による上記各容器の連通態様を示したものである。
【0027】
前述のように、減圧用小容器21の減圧器としての機能により、該減圧用小容器21の内圧が低下すると、試料容器12内の気体は連通管P7を通り減圧用小容器21に吸引され、液体と共にパイプP11、パイプP12、減圧用液溜め容器11に運ばれ、気体はパイプP6から排出される(図4、図6)。試料容器13内の試料溶液E12は連通管P71を介して試料容器12に移送され、試料溶液E11と混合される。更に試料容器13内の気体が試料容器12内に吸引され、試料溶液E11と試料溶液E12の混合液中に噴出してこれを撹拌する(連通管P71が混合液の液中に開放されている場合)。
【0028】
一連の操作、すなわち、減圧用小容器21への液体の注入、試料容器12内の減圧、試料溶液E12の移送、試料容器12内での試料溶液E12と試料溶液E11の混合、撹拌が完了した後、減圧用小容器21への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図4)、パイプP3内の水位は反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は排液Wとして液体排出口Ex1より排出する。
【0029】
図5は減圧用小容器21を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の減圧用液溜め容器11に貯留した液体を自動的に排出する方法の第四の実施の形態を示しており、減圧器として機能する減圧用小容器21と、これに付随する減圧用液溜め容器11の底部に連通するパイプP3、反転部Rf、パイプP4、液体排出口Ex2等の連通態様を示したものである。
【0030】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に入り、該減圧用液溜め容器11の底部より貯留し、パイプP11、パイプP3、パイプP6内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1はの反遠心力の方向に設けられた反転部Rfより低位(遠心力の方向)にあるため、減圧用液溜め容器11に貯留した液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入することはなく、液体排出口Ex2より排出することはない。
【0031】
前述のように、減圧用小容器21の減圧器としての機能により、該減圧用小容器21の内圧が低下すると、試料容器12内の気体は連通管P7を通り減圧用小容器21に吸引され、パイプP11、パイプP12、減圧用液溜め容器11を経てパイプP6から排出される(図5、図6)。試料容器13内の試料溶液E12は連通管P71を介して試料容器12に移送され試料溶液E11と混合される。更に気体が試料容器12内に吸引され、試料溶液E11と試料溶液E12の混合液中に噴出しこれを撹拌する(連通管P71が混合液の液中に開放されている場合)。
【0032】
第三の実施の形態で説明した操作と同様の一連の操作が完了した後、減圧用小容器21への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図5)、パイプP3内の水位は反転部Rfより高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入し、遠心力の働きにより、排液Wとして液体排出口Ex2より排出する。
【0033】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を達成でき且つ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計的な手段の変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、回転中のローターを停止させることなく、また、用手操作によることなく、試料の微生物汚染を完全に防止しながら、安全かつ自動的に、試料成分の分離、精製、分析等を行うことを可能にした遠心ローター上の試料容器内の試料溶液を該ローター上の他の試料容器内に移送する分野において、回転中にローターに配設された容器に液体を注入し、該容器内に液体を貯留させること、更に、これを自動的に排出し、繰り返しての操作を可能とする方法を提供しており、その応用範囲は広く、医学、薬学、生物学等の領域にわたるものであり、その効果の幾つかを次に示す。
【0035】
1)培養細胞の分離精製を自動的に微生物の汚染を防止しながら行なうことができる。
2)血液成分の分画を自動的に微生物の汚染を防止しながら行なうことができる。
3)有機溶媒を用いるDNA等の分離精製を自動的に微生物の汚染を防止しながら行うことができる。
4)加圧用容器、減圧用液溜めから自動的に液体の排出を可能としたことによって、上記1)、2)、3)の効果を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧用容器を使用した場合の第一の実施の形態の説明図である。
【図2】加圧用容器を使用した場合の第二の実施の形態の説明図である。
【図3】加圧用容器と試料容器との関係を示す説明図である。
【図4】減圧用小容器を使用した場合の第三の実施の形態の説明図である。
【図5】減圧用小容器を使用した場合の第四の実施の形態の説明図である。
【図6】減圧用小容器、減圧用液溜め容器と試料容器との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 加圧用容器
21 減圧用小容器
11 減圧用液溜め容器
4 液体受け
2、3、12、13 試料容器
Ex 液体排出口
Rf 液体排出パイプの反転部
E 試料溶液
L 水位
P パイプ
DT 液体分配器
W 排液
R 遠心ローター
PU ポンプ
RE ローターの外縁
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体成分の分離、精製、分析に係わる分野において、遠心ローターの回転中に遠心ローター上の容器内に貯えられた液体を排出する方法に関し、さらに詳しくは、遠心ローター上に配設された加圧用容器又は減圧用小容器に外部より液体を適時注入し、遠心ローター上の試料容器内を加圧あるいは減圧することによって、試料容器内の試料溶液を他の試料容器に圧出移送したり他の試料容器から吸引移送する際に、加圧用容器に貯えられた液体或いは減圧用小容器からの排出液の液溜め容器(以下、減圧用液溜め容器と云う)に貯えられた液体を自動的に排出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心ローターを用いて液体試料の分離、精製、分析等を実施する場合には、一般的には、その行程において遠心ローターを一旦停止させ遠心分離された成分を分取する等の用手操作を採用している。また、特許第1124173号の発明のように、遠心ローター上に配設された容器内の液体成分の分取、排出方法、及び特許第1135888号の液体成分の分離、混合装置と分離・混合・排出装置並びに登録実用新案第2147917号の考案のように、液体成分の分離、精製、分析用ローター等により、ローターの回転を停止させることなく、自動的に液体試料の分離、精製、分析等を可能にした技術が知られている。
【0003】
更に、特許第3263666号の発明のように、回転中の遠心ローター上の容器に外部より液体を注入して、容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器、或いは容器内の気圧を低下させるように構成した減圧用小容器と連通している遠心ローター上の試料容器内の液体試料を圧出(吸引)して遠心ローター上の他の容器に移送することを可能にした技術が知られている。
【0004】
上記従来の技術では、遠心ローター上の容器に液体を注入する方法については記載されているが、一連の操作が終了した後に、遠心ローター上の加圧用容器内、或いは減圧用液溜め容器内の液体を排出する方法に関しては全く考慮されていないない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題(遠心ローター上の加圧用容器内、或いは減圧用液溜め容器内の液体を排出することは容易ではない)を解決することを課題として研究開発されたもので、遠心ローターの回転中に、上記、遠心ローター上の容器に貯留した液体を容易かつ自動的に外部に排出させる方法の提供を目的とする。
さらに詳しくは、遠心ローター始動時には空であった遠心ローター上の加圧用容器又は減圧用小容器に液体を注入して(減圧用小容器に注入された液体は、減圧用小容器を通過し減圧用液溜め容器に流入する)、遠心ローター上の試料容器内を加圧又は減圧することによって、試料容器内の試料溶液を他の試料容器に移送するなど、一連の操作が終了した後に、遠心ローター上の加圧用容器内、又は減圧用液溜め容器内の液体を排出させて、遠心ローター上の容器(加圧用容器、減圧用液溜め容器)を遠心ローター始動時の空の状態に復帰させる方法の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0007】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、該延長部より反転して遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より流出させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0008】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0009】
また、上記課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、延長部より反転して、遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より流出させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2はそれぞれ第一、第二の実施の形態において、遠心ローターRの回転を停止させることなく、遠心ローターR上の所定の位置に配置した加圧用容器1に外部より液体を適時注入する装置、並びに、加圧用容器1に連通する液体排出パイプの連通態様の概略を示す説明図であって、外部の液体注入ポンプPU、遠心ローターR上の液体分配器DT、加圧用容器1等を示したものである。Mは遠心ローターRの回転モーター、Axは回転軸、REは遠心ローターの外縁であって、遠心ローターRの中心部上面に円筒状の液体分配器DTを設けると共に、液体注入ポンプPUの先端をこれに臨ませてある。
第一の実施の形態を示す図1ではパイプP3、反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1を示しており、第二の実施の形態を示す図2ではパイプP3、反転部Rf、パイプP4、遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex2を示したものである。
【0011】
液体分配器DTはパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を介して加圧用容器1に連通している。従って、遠心ローターRの回転中に外部の液体注入ポンプPUから液体を注入すると、液体は回転している液体分配器DTに入る。液体分配器DTと共に回転するこの液体は遠心力の働きで、遠心力方向への流路、即ちパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を通り加圧用容器1に流入する。加圧用容器1に液体が入ることによって、加圧用容器1内で気体(空気)の占める体積が減少し、気体が圧縮され、気体の唯一の排出通路であるパイプP5より圧出される。すなわち、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0012】
図1は加圧用容器1を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の加圧用容器1に貯留した液体を自動的に排出する方法の第一の実施の形態を示しており、加圧器として機能する加圧用容器1と該加圧用容器1の底部に連通するパイプP3、液体排出口Ex1の連通態様を示したものである。
【0013】
回転中のローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を経て加圧用容器1に入り、該加圧用容器1の底部より貯留し、パイプP1、パイプP3、パイプP5内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1は反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より低位(遠心力の方向)にあるため、加圧用容器1に貯留した液体は液体排出口Ex1を越えて流出することはない。
従って、加圧用容器1内の気体が圧縮され、加圧用容器1の内圧が上昇する。このようにして、加圧用容器1の内圧が上昇することによって、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0014】
図3は加圧用容器1を使用した遠心ローターR上の試料容器2内の試料溶液E1を該遠心ローターR上の他の試料容器3内に移送する方法の一つの形態を示しており、図1ならびに図2と同一遠心ローターR上に配設され、加圧器として機能する加圧用容器1と、試料溶液E1を収容した試料容器2、試料溶液E2を収容した試料容器3、ならびにパイプP5、パイプP52による上記各容器の連通態様を示したものである。
【0015】
加圧用容器1内の気体は連通管P5を経て試料容器2に圧出され、試料容器2と加圧用容器1は連通管P5のみを介して連通され、また試料容器2と試料容器3は連通管P52のみを介して連通されているので、試料容器2内の試料溶液E1は連通管P52のみを介して試料容器3に移送され、更に気体が試料容器3内に噴出し、試料溶液E1と試料溶液2の混合液を撹拌する(連通管P52が混合液の液中に開放されている場合)。
【0016】
一連の操作、すなわち、加圧用容器1への液体の注入、試料容器2内の加圧、試料溶液E1の移送、試料容器3内での試料溶液E1と試料溶液E2の混合、撹拌が完了した後、加圧用容器1への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図1)、パイプP3内の水位が反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は排液Wとして液体排出口Ex1より排出する。
【0017】
図2は加圧用容器1を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の加圧用容器1に貯留した液体を自動的に排出する方法の第二の実施の形態を示しており、加圧器として機能する加圧用容器1と該加圧用容器1の底部に連通するパイプP3、反転部Rf、パイプP4、液体排出口Ex2等の連通態様を示したものである。
【0018】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、パイプP2を経て加圧用容器1に入り、該加圧用容器1の底部より貯留し、パイプP1、パイプP3、パイプP5内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1は反遠心力の方向に設けられた反転部Rfより低位(遠心力の方向)にあるため、加圧用容器1に貯留した液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入することはなく、液体排出口Ex2より排出することはない。
従って、加圧用容器1内の気体が圧縮され、加圧用容器1の内圧が上昇する。このようにして、加圧用容器1の内圧が上昇することによって、加圧用容器1は加圧器として機能する。
【0019】
加圧用容器1内の気体は連通管P5を通り試料容器2に圧出され、試料容器2内の試料溶液E1を連通管P52を介して試料容器3に移送し、更に気体が試料容器3内に噴出し、試料溶液E1と試料溶液E2の混合液を撹拌する(連通管P52が混合液の液中に開放されている場合)。
【0020】
一連の操作、すなわち、加圧用容器1への液体の注入、試料容器2内の加圧、試料溶液E1の移送、試料容器3内での試料溶液E1と試料溶液E2の混合、撹拌が完了した後、加圧用容器1への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図2)、パイプP3内の水位が反転部Rfより高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入し、液体は遠心力の働きにより、排液Wとして液体排出口Ex2より排出する。
【0021】
図4、図5はそれぞれ第三、第四の実施の形態において、遠心ローターRの回転を停止させることなく、遠心ローターR上の所定の位置に配置された減圧用小容器21に外部より液体を適時注入する装置、並びに、減圧用小容器21に付随する減圧用液溜め容器11等に連通するパイプP11、パイプP12の連通態様の概略を示す説明図であって、外部の液体注入ポンプPU、遠心ローターR上の液体分配器DT、減圧用小容器21、減圧用液溜め容器11等を示したものである。Mは遠心ローターRの回転モーター、Axは回転軸、REはローターの外縁であって、遠心ローターRの中心部上面に円筒状の液体分配器DTを設けると共に、液体注入ポンプPUの先端をこれに臨ませてある。
第三の実施の形態を示す図4ではパイプP3、反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1を示しており、第四の実施の形態を示す図5ではパイプP3、反転部Rf、パイプP4、遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex2を示したものである。
【0022】
液体分配器DTはパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21、パイプP11、パイプP12を介して、減圧用液溜め容器11に連通している。従って、遠心ローターRの回転中に外部の液体注入ポンプPUから液体を注入すると、液体は回転している液体分配器DTに入る。液体分配器DTと共に回転する液体は遠心力の働きで、遠心力方向への流路、即ちパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に流入する。
【0023】
減圧用小容器21への液体流入パイプP1の内径が、該減圧用小容器21からの液体流出パイプP11、パイプP12の内径より小であるように設定してある。即ち、パイプP1内の液体の流通抵抗がパイプP11、P12内の液体の流通抵抗より大であるように設定してある。パイプP11、パイプP12内の液体にかかる遠心力の大きさがパイプP1内の液体にかかる遠心力の大きさより大であることも相俟って、減圧用小容器21内で陰圧を生じるため、減圧用小容器21は減圧器として機能する。
従って、減圧用小容器21に連通するパイプP7を介して、試料容器12内の気体は減圧用小容器21に吸引され(図6)、液体と共に減圧用液溜め容器11に運ばれ、気体はパイプP6を経て排出され、液体は該減圧用液溜め容器11の底部より貯留する。
【0024】
図4は減圧用小容器21を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の減圧用液溜め容器11に貯留した液体を自動的に排出する方法の第三の実施の形態を示しており、減圧器として機能する減圧用小容器21と、これに付随する減圧用液溜め容器11の底部に連通するパイプP3、液体排出口Ex1の連通態様を示したものである。
【0025】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に入り、該減圧用液溜め容器11の底部より貯留し、パイプP11、パイプP3、パイプP6内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1はの反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より低位(遠心力の方向)にあるため、減圧用液溜め容器11に貯留した液体は液体排出口Ex1を越えず、液体排出口Ex1より流出することはない。
【0026】
図6は減圧用小容器21を使用した遠心ローターR上の試料容器13内の液体を該遠心ローターR上の他の試料容器12内に移送する方法の一つの形態を示しており、図4ならびに図5と同一遠心ローターR上に配設された、減圧器として機能する減圧用小容器21と、試料溶液E11を収容した試料容器12、試料溶液E12を収容した試料容器13、ならびにパイプP7、P71による上記各容器の連通態様を示したものである。
【0027】
前述のように、減圧用小容器21の減圧器としての機能により、該減圧用小容器21の内圧が低下すると、試料容器12内の気体は連通管P7を通り減圧用小容器21に吸引され、液体と共にパイプP11、パイプP12、減圧用液溜め容器11に運ばれ、気体はパイプP6から排出される(図4、図6)。試料容器13内の試料溶液E12は連通管P71を介して試料容器12に移送され、試料溶液E11と混合される。更に試料容器13内の気体が試料容器12内に吸引され、試料溶液E11と試料溶液E12の混合液中に噴出してこれを撹拌する(連通管P71が混合液の液中に開放されている場合)。
【0028】
一連の操作、すなわち、減圧用小容器21への液体の注入、試料容器12内の減圧、試料溶液E12の移送、試料容器12内での試料溶液E12と試料溶液E11の混合、撹拌が完了した後、減圧用小容器21への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図4)、パイプP3内の水位は反遠心力の方向に設けられた液体排出口Ex1より高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は排液Wとして液体排出口Ex1より排出する。
【0029】
図5は減圧用小容器21を使用した本発明に係わる遠心ローターR上の上述の減圧用液溜め容器11に貯留した液体を自動的に排出する方法の第四の実施の形態を示しており、減圧器として機能する減圧用小容器21と、これに付随する減圧用液溜め容器11の底部に連通するパイプP3、反転部Rf、パイプP4、液体排出口Ex2等の連通態様を示したものである。
【0030】
回転中の遠心ローターR上の液体分配器DTに液体を注入すると、その液体はパイプP、液体受け4、パイプP1、減圧用小容器21を通過し、パイプP11、パイプP12を経て、減圧用液溜め容器11に入り、該減圧用液溜め容器11の底部より貯留し、パイプP11、パイプP3、パイプP6内の液体は水位L1まで満たされる。
この際、パイプP3内の水位L1はの反遠心力の方向に設けられた反転部Rfより低位(遠心力の方向)にあるため、減圧用液溜め容器11に貯留した液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入することはなく、液体排出口Ex2より排出することはない。
【0031】
前述のように、減圧用小容器21の減圧器としての機能により、該減圧用小容器21の内圧が低下すると、試料容器12内の気体は連通管P7を通り減圧用小容器21に吸引され、パイプP11、パイプP12、減圧用液溜め容器11を経てパイプP6から排出される(図5、図6)。試料容器13内の試料溶液E12は連通管P71を介して試料容器12に移送され試料溶液E11と混合される。更に気体が試料容器12内に吸引され、試料溶液E11と試料溶液E12の混合液中に噴出しこれを撹拌する(連通管P71が混合液の液中に開放されている場合)。
【0032】
第三の実施の形態で説明した操作と同様の一連の操作が完了した後、減圧用小容器21への液体の注入を停止し、遠心ローターRの回転数を低減させると、水面がL2のように放物線状に変化し(図5)、パイプP3内の水位は反転部Rfより高位(反遠心力の方向)に達するため、液体は反転部Rfを越えてパイプP4へ流入し、遠心力の働きにより、排液Wとして液体排出口Ex2より排出する。
【0033】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を達成でき且つ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計的な手段の変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、回転中のローターを停止させることなく、また、用手操作によることなく、試料の微生物汚染を完全に防止しながら、安全かつ自動的に、試料成分の分離、精製、分析等を行うことを可能にした遠心ローター上の試料容器内の試料溶液を該ローター上の他の試料容器内に移送する分野において、回転中にローターに配設された容器に液体を注入し、該容器内に液体を貯留させること、更に、これを自動的に排出し、繰り返しての操作を可能とする方法を提供しており、その応用範囲は広く、医学、薬学、生物学等の領域にわたるものであり、その効果の幾つかを次に示す。
【0035】
1)培養細胞の分離精製を自動的に微生物の汚染を防止しながら行なうことができる。
2)血液成分の分画を自動的に微生物の汚染を防止しながら行なうことができる。
3)有機溶媒を用いるDNA等の分離精製を自動的に微生物の汚染を防止しながら行うことができる。
4)加圧用容器、減圧用液溜めから自動的に液体の排出を可能としたことによって、上記1)、2)、3)の効果を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧用容器を使用した場合の第一の実施の形態の説明図である。
【図2】加圧用容器を使用した場合の第二の実施の形態の説明図である。
【図3】加圧用容器と試料容器との関係を示す説明図である。
【図4】減圧用小容器を使用した場合の第三の実施の形態の説明図である。
【図5】減圧用小容器を使用した場合の第四の実施の形態の説明図である。
【図6】減圧用小容器、減圧用液溜め容器と試料容器との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 加圧用容器
21 減圧用小容器
11 減圧用液溜め容器
4 液体受け
2、3、12、13 試料容器
Ex 液体排出口
Rf 液体排出パイプの反転部
E 試料溶液
L 水位
P パイプ
DT 液体分配器
W 排液
R 遠心ローター
PU ポンプ
RE ローターの外縁
Claims (4)
- 回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法。
- 回転中の遠心ローター上の加圧用容器に外部より液体を注入することにより、該加圧用容器に連通させた試料容器内の気圧を上昇させるように構成した加圧用容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを加圧用容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、該延長部より反転して遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の加圧用容器に液体を貯留させて、試料容器内を加圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、加圧用容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より排出させて、遠心ローター上の加圧用容器内に貯えられた液体を排出する方法。
- 回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長配設して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を上記液体排出口より横溢させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法。
- 回転中の遠心ローター上の減圧用小容器に外部より液体を注入することにより、該減圧用小容器に連通させた試料容器内の気圧を下降させるように構成した減圧用小容器に連通する減圧用液溜め容器の底部(遠心力の方向)から、液体排出パイプを減圧用液溜め容器の下部に設け、該液体排出パイプを遠心ローターの回転中に形成される液体排出パイプ内の液面(水位)を越える(反遠心力の方向)位置まで延長し、更に、延長部より反転して、遠心力の方向に延長して、その先端に液体排出口を設け、回転中の遠心ローター上の減圧用液溜め容器に液体を貯留させて、試料容器内を減圧することによって、試料溶液を他の試料容器に移送、混合、撹拌した後に、液体の注入を停止するとともに、遠心ローターの回転数を低減させ、液体排出パイプ内の水位を上昇(反遠心力の方向)させることにより、減圧用液溜め容器内の液体を液体排出パイプの反転部を経て上記液体排出口より流出させて、遠心ローター上の減圧用液溜め容器内に貯えられた液体を排出する方法。
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