JP3853003B2 - βゼオライト触媒の再生法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ポリマー原料や有機中間原料等として有用なアルキルベンゼンの製造方法における触媒の再生法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族炭化水素のアルキル化および/またはトランスアルキル化のための殆どの工業的方法は、塩化アルミニウム、三フッ化珪素、フッ化水素酸、液体および固体の燐酸、硫酸等のフリーデル・クラフツ型触媒を用いている。これらの物質は、装置に対する腐食性が高く、操作上大きな問題となる。フリーデル・クラフツ型触媒の代替として、非腐食性固体触媒の研究が多年に亘り進められており、種々のゼオライト触媒が提案されている。
それらの中で、反応条件が比較的温和であるのは、液相または気液混相での反応例であり、多くのアルキル化反応用ゼオライト触媒、アルキル化プロセスが提案されている。
【0003】
しかし、ゼオライトを触媒とする種々の方法においては、ある程度の触媒の活性劣化は避けられないものであり、これらの方法を工業的に実施しようとする場合、過剰量の触媒を用いたとしても、一定期間運転後の触媒の再生は必要不可欠であると言わざるを得ない。したがって、触媒活性、すなわち、生産性を向上するための方法、活性維持時間を延長させる方法、また、触媒の再生方法について種々の方法が提案されている。例えば、βゼオライトを触媒とすることにより、活性・生産性の向上、活性維持時間の延長が図られているのも一つの方向であるといえる。
【0004】
一方、触媒の再生方法に関しては、一定期間の運転の後に、触媒の焼成再生を実施する方法が一般的である。しかし、焼成再生を実施する際には、反応器より触媒を回収することが必要であり、また、回収される触媒上のオイル成分を除去する必要があり、また、別途再生設備が必要となるなど工業的に実施する上で不利な点を有している。
【0005】
特公平5ー49652号公報では、触媒床の不活性部分を連続的に取り出し、酸素の存在下、400〜500℃、8〜24時間で再生し、連続的に再活性化触媒を触媒床に加える移動床におけるベンゼンのアルキル化方法を開示している。しかし、移動床におけるアルキル化方法では、連続的に触媒の再生が可能であるが、やはり装置は複雑であり、簡便な方法とは言えない。
【0006】
また、本発明者らの検討によれば、ゼオライト触媒、特にβゼオライトにおいては、焼成再生を繰り返すことにより、徐々に賦活率(活性回復率)が低下することが明らかとなった。すなわち、βゼオライトにあっては、焼成工程により触媒活性が徐々に低下してしまうのである。したがって、焼成による触媒の再生法をβゼオライトに適用することは不利と言わざるを得ない。
【0007】
焼成再生法以外では、例えば、特開平2−96539号公報で開示された、パラフィン類および種々の極性の他の生成物を交互に、かつ、連続的な流れで通過させることにより、半連続的に循環して行う再生方法があるが、当該明細書によれば、C10〜C14オレフィンを原料とする界面活性剤範囲の直鎖モノアルキルベンゼンの製造に関する方法であり、用いられる触媒は、直径50Å以上の巨大孔が高い割合で存在するものであり、ゼオライト触媒への適用は疑わしく、事実、当該明細書にはゼオライトβを触媒とする記載はない。
【0008】
米国特許5,118,897号公報で開示された再活性化方法では、β型をも含むゼオライト触媒の再活性化について記載されているが、当該明細書によれば、反応系からオレフィンを遮断し、かつ、水素を供給することが必要であり、ベンゼンの供給のみでは全く活性回復は観られないとの記載がある。すなわち、再生のためには水素供給設備が必要であり、工業的に有利な方法とは言えない。また、当該明細書実施例には、用いられたゼオライト触媒に関する記載、用いたベンゼンなどに関する記載がなく、その詳細は明らかにはされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性の低下した触媒を簡便な操作で、かつ、短時間で該触媒を完全に初期活性にまで再活性化することのできる方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、原料ベンゼンとして、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンを用いた液相または気液混相アルキル化反応において、長期に亘る反応により活性低下をきたしたβゼオライト触媒に、同様にシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンを用いた洗浄処理を施すことにより、当該βゼオライト触媒の再活性化が可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、原料ベンゼンとして、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンを用いた液相または気液混相アルキル化反応に用いられ、活性の低下したβゼオライト触媒を、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンで洗浄することを特徴とするβゼオライト触媒の再生法である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用されるアルキル化触媒はβゼオライトである。βゼオライトは米国特許3,308,069号公報に最初に記載された既知の合成結晶性アルミノ珪酸塩であり、同特許明細書中に記載されたその特性X線回折像により同定される。βゼオライトに含まれるX線回折の反射d値を示すと、下記のとおりである。βゼオライトは、芳香族アルキル化反応の触媒として、高い活性、選択性および耐劣化性触媒として特徴付けられるものである。
【0012】
βゼオライトの反射d値
11.4 ± 0.2 Å
7.4 ± 0.2 Å
6.7 ± 0.2 Å
4.25 ± 0.1 Å
3.97 ± 0.1 Å
3.0 ± 0.1 Å
2.2 ± 0.1 Å
【0013】
本発明に用いられるβゼオライトのSiO2 /Al2 3 比は5〜100の範囲である。好ましくは10〜80、より好ましくは15〜40の範囲である。
本発明において触媒として用いられるβゼオライトは、いわゆる酸型のβゼオライトである。イオン交換法により、ナトリウムイオンを水素イオンおよび/または多価カチオンによって置き換えたものである。もし、βゼオライトが充分な有機陽イオン/ナトリウムイオン比を有する際には、か焼されるだけでもよい。
【0014】
本発明におけるベンゼンのアルキル化反応は、固定床液相または固定床気液混層で、例えば、上昇流方式、気液下降並流方式等、あるいは攪拌槽スラリー方式で行われるベンゼンのエチレンによるエチル化反応である。アルキル化反応は発熱反応であり、触媒層には反応による発熱のために、温度プロファイルが観察される。運転時間の経過に伴い、触媒層温度プロファイルの変化、またはオレフィン転化率の変化、生成液の組成変化から触媒の活性劣化を推し量ることができる。アルキル化反応と並発するポリアルキルベンゼンの生成、ジフェニルアルカン類の生成、あるいは原料オレフィンの重合反応等により、ゼオライト細孔内に高分子量化合物あるいは炭素質物質が堆積し、触媒の活性は次第に低下するものと思われる。通常は、これらの高分子量物質あるいは炭素質物質を、触媒を焼成することにより取り除き、触媒を再活性化する方法が採られる。しかし、驚くべきことに本発明によれば、使用される触媒がβゼオライトであり、反応用原料および洗浄処理溶剤に用いられるベンゼン中のシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下である場合に限り、劣化触媒をベンゼンによる洗浄処理を実施するだけで、完全に初期活性まで再活性化させることが可能であった。
【0015】
本発明におけるベンゼン洗浄処理は、実質的にはアルキル化反応条件と同様な条件(温度・圧力)で、一方の原料であるオレフィンの供給を停止し、アルキル化反応器内で実施することが可能である。したがって、触媒を反応器から回収する必要も、触媒上のオイル成分を除去する必要もなく、アルキル化反応器に触媒は充填されたままで再生を行うことができる。また、ベンゼン洗浄処理に用いられるベンゼンも、アルキル化反応の原料であるベンゼンをそのまま供給する方法でかまわない。また、洗浄処理で供給され、反応器から排出されるベンゼンの処理も、通常のアルキル化反応での未反応ベンゼンと同様に行うことができ、何ら付随設備は必要としない。
【0016】
ただし、反応および洗浄処理に用いられるベンゼンの、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下である場合にのみ、劣化触媒の完全な再活性化が可能となる。
【0017】
本発明に用いられる反応原料として、また、洗浄処理の溶剤として用いられるベンゼンは、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であることが必要である。シクロペンタジエンは室温下では容易に二量化し、ジシクロペンタジエンとなる。これらの物質は、重合性が極めて高く、アルキル化反応条件下、およびベンゼン洗浄条件下において容易に重合し、かかる重合物は、触媒細孔内に堆積、触媒の活性低下を促進する。しかも、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの存在下で、活性劣化をきたしたβゼオライトは、本発明でいうベンゼン洗浄処理による再活性化法での活性回復率が低下してしまう。すなわち、本発明で規定されるシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下のベンゼンを用いたアルキル化反応において生成、触媒細孔内に堆積される高分子量物質と、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppmを越えるベンゼンを用いた反応中に生成、触媒細孔内に堆積される高分子量物質では、質が異なることを示唆するものであり、すなわち、前者は本発明のいうベンゼン洗浄処理にて容易に除去することが可能(完全な再活性化)であるが、後者はベンゼンでの洗浄処理では充分に除去され得ないものと思われる。
【0018】
したがって、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有率が5重量ppmを越えるベンゼンを、本発明の反応原料として用いる際には、アルキル化反応における触媒の活性劣化が促進されると同時に、本発明のいうベンゼン洗浄処理を行っても、触媒の完全な再活性化が達成されない。もちろん、ベンゼン洗浄処理に用いるベンゼンも、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下でなくてはならない。なぜならば、ベンゼン洗浄処理条件下においても、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンは重合し、触媒の活性低下原因となるためであり、再活性化効率が低下してしまうからである。
【0019】
通常、ベンゼンの純度に関しては、JIS−K2435に定められている。その中で不飽和炭化水素の含有量については、硫酸着色試験のみが規定されており、例えば、純ベンゼン特号では「標準比色液1番より暗くない。」と規定されている。本発明のベンゼン純度として規定されるシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量5重量ppm以下のベンゼンでは、硫酸着色試験の結果は、標準比色液1番より暗くなく、純ベンゼン特号と認められる。さらに、付け加えるならば、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が本発明で規定する5重量ppm以上であっても、例えば、20重量ppm程度であれば、硫酸着色試験では、純ベンゼン特号と認定されるレベルであるが、本願発明では、この中でも、ガスクロマトグラフ分析によって測定されたベンゼン中のシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエン値が、5重量ppm以下であるベンゼンが用いられる。
【0020】
本発明で反応原料、洗浄処理溶剤として用いられる、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンは、通常行われる蒸留分離、抽出あるいは吸着処理によって、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを原料ベンゼンから、本発明の範囲になるまで分離・除去することにより得られる。
【0021】
ところで、本発明の生成物の一種であるエチル化ベンゼン類は、アルキル転移反応を経て、全てエチルベンゼンに転換される。エチルベンゼンの主たる用途は、スチレンモノマーの原料であり、通常のプロセスでは、得られたエチルベンゼンを脱水素してスチレンを得る。この脱水素工程において、ベンゼンが副生される。この脱水素工程副生ベンゼンは、通常、前段のアルキル化工程に原料ベンゼンとして循環されている。ところが、脱水素工程では、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンも副生され易いのである。したがって、アルキル化プロセスに、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下のベンゼンを用いたとしても、リサイクルプロセス(アルキル化工程未反応ベンゼン、脱水素工程副生ベンゼンをリサイクルする)とする際には、ベンゼン中のシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの含有量が増加することが懸念される。したがって、本発明が工業的に実施される場合には、脱水素工程で副生するベンゼンの循環を行わないか、上記のように何らかの処理を施すことによって、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを除去することが必要となる。
【0022】
本発明のベンゼン洗浄処理が行われる温度は、完全に再活性化させるためには、200〜250℃の範囲で行われることが好ましい。かかる温度で少なくともベンゼンの一部が液相を維持できるような圧力が選ばれる。通常は、処理時の系内圧力は5〜50Kg/cm2 G、好ましくは13〜25Kg/cm2 Gの範囲である。
【0023】
本発明のベンゼン洗浄処理を行う方式は、前述のようにアルキル化反応の実施形態と同様に、固定床上昇流または下降流、あるいは攪拌槽スラリー方式で実施することができる。固定床上昇流液封方式の場合には、アルキル化反応を行っている状態からオレフィンの供給を停止するだけでよいし、固定床気液下降並流(トリクルベッド)方式の場合には、オレフィンを例えば、窒素等の不活性ガスに切り替え、気相を置換しながら実施することも可能である。
【0024】
本発明のベンゼン洗浄処理の際のベンゼン供給量は、触媒層が充分にベンゼンで濡れる条件が選ばれる。触媒重量基準空間速度で0.1〜20Hr-1の範囲、好ましくは0.5〜10Hr-1の範囲である。
本発明のベンゼン洗浄処理の処理時間は、触媒の劣化状態、例えば、アルキル化反応運転時間にもよるが、通常1〜24時間の範囲である。充分に初期活性まで賦活させるためには、少なくとも5時間以上処理されることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
【実施例1】
βゼオライト触媒の準備
PQコーポレーション製Na型βゼオライト粉末を、以下の要領でイオン交換を行った。Na型βゼオライト500gを0.15Nの硝酸水溶液4500g中に添加し、30℃の温度で3時間撹拌した。交換後、濾過、水洗し、その後、120℃で乾燥させた。得られた水素イオン型βゼオライトの組成分析を、X線マイクロアナライザー(EPMA)で行った。シリカ/アルミナ比は27であった。
得られた水素イオン型βゼオライトを、錠剤成型器により圧縮成型し、3mmφ*3mmLTab.の成型触媒として400gを得た。
【0026】
アルキル化反応実験
内径42.6mm、長さ1800mmで、下部に予熱層として反応器下部600mmに熱媒ジャケットを、反応器出口に冷却器、圧力制御弁を備えたステンレス製反応管に、上記ゼオライトβ触媒の成型体380gを充填した。触媒充填位置は下部より600mmから1300mmの位置であり、触媒層上下部には3mmφのステンレス製ディクソンパッキングを充填した。
反応器最下部(予熱層入口)よりベンゼンを2280g/Hrの供給速度で供給した。本実施例において原料として使用したベンゼンは、実質的にシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを含有しないベンゼンである。
【0027】
反応器出口圧力制御弁により反応器内を13.7kg/cm2 Gとし、系内を完全に液封状態とした。予熱層熱媒ジャケットに145℃の熱媒を循環し、触媒層入口液温度を122℃とした。その後、エチレンを10.18mol/Hrの供給速度で、ベンゼンと同様に反応器最下部より供給し、反応を開始した。触媒層最高到達温度は触媒層中間域で232℃に達したが、本反応条件下では一部蒸発が生じるため、それ以上の温度上昇は抑制され、触媒層上層もその温度を維持した。反応器出口に設けられた冷却器により冷却されるため、生成物は全て液成分として回収される。回収された液をガスクロマトグラフにより分析した。運転は1000時間継続して行った。
【0028】
反応開始後、5時間から1000時間での反応結果を表1に、触媒層温度プロファイルを図1に示す。1000時間経過時でも、エチレン転化率は99.78%を示した。本実施例では、必要量以上の触媒が充填されているため、活性劣化はエチレン転化率では明確には現れない。
しかし、本反応は発熱反応であり、図1に示したように触媒層温度プロファイルを観れば、触媒層入口近傍での温度低下は大きく、触媒層入り口から、活性低下が進行していることが判る。触媒層中央より上部では、一部未反応ベンゼンを主とする留分の蒸発が起こるため、触媒層上層の温度は一定値を示している。
【0029】
触媒の再活性化
1000時間の運転を行ったところで、エチレン供給を停止し、反応を中断した。その後、ベンゼン供給速度を1140g/Hrとした。反応器触媒層位置に熱媒循環ジャケットを取り付け、触媒層温度が230℃になるように熱媒を循環させた。出口の圧力は、反応時と同様に圧力制御弁で23Kg/cm2 Gに制御し、触媒のベンゼン洗浄処理を行った。洗浄処理は6時間実施した。
【0030】
アルキル化反応の再開
洗浄処理終了後、前述の反応条件で再度、同様にアルキル化反応を再開した。反応結果を表1に、再開後の触媒層温度プロファイルを図1に示す。エチレン転化率は100%に達した。しかも、触媒層温度プロファイルを測定したところ、フレッシュ触媒での反応開始時と全く同温度を示しており、活性劣化が進行していた触媒層入り口近傍の触媒も、完全に再活性化が行われていることを示す。
本実施例より、本発明によれば、βゼオライトを触媒としたアルキル化反応において、経時的に活性劣化した触媒にベンゼン洗浄処理を施すことによって、完全な再活性化が可能であることが判る。
【0031】
【表1】
Figure 0003853003
【0032】
【実施例2】
アルキル化反応実験
実施例1と同様の操作で水素イオン型βゼオライトを調製、成型した。得られた触媒成型体を粉砕、分級し、8〜12meshの成型触媒2.5gを得た。内径10.5mm、長さ500mmの熱媒ジャケット付きステンレス製反応管の中央部に、成型触媒を6倍体積量の20〜30meshの石英砂で均一に希釈しながら充填した。上部には、予熱層として3mmφのステンレス製ディクソンパッキングを充填した。反応管出口には、反応管と均圧となっている受液槽を設けている。室温下、圧力調整弁により、系内に18.5Kg/cm2 Gの一定圧力となるまでエチレンガスを張り込んだ。この反応方式では、消費されるエチレンに相当する量のエチレンが補充される。反応管上部より、ベンゼンを130ml/Hrの供給速度で供給した。なお、原料ベンゼンのシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの含有量は、2重量ppmであった。その後、熱媒を反応管ジャケットに循環させ、反応を開始した。触媒層の温度が190℃となるように、適宜、熱媒温度を調整し、40時間以降は熱媒温度170℃、触媒層最高到達温度192℃となった。100時間反応を継続した。反応結果を表2に示す。
【0033】
本反応方式(固定床トリクルベッド法)では、運転開始から徐々に触媒の活性が低下したが、60時間経過からは触媒活性は安定する傾向にあった。反応開始直後の生成液のエチル基/ベンゼン環モル比0.45から、100時間後には0.21となった。
【0034】
触媒の再活性化
100時間の運転終了後、熱媒温度を下げて触媒層内温度を60℃にまで冷却した。一旦、ベンゼンの供給を停止し、反応管内圧を落圧し、エチレンを除去し、さらに、窒素ガスで置換し、その後、系内を窒素加圧した。圧力は18.5Kg/cm2 Gとした。その後、再度ベンゼンを130ml/Hrの供給速度で、反応管上部より供給した。熱媒を反応管ジャケットに循環させ、触媒層温度を230℃とし、ベンゼン洗浄処理を開始した。なお、使用したベンゼンは、上記アルキル化反応に用いたベンゼンである。洗浄処理は8時間実施された。
【0035】
アルキル化反応の再開
洗浄処理終了後、前述の反応条件で再度、同様にアルキル化反応を再開した。反応結果を表2に示す。再反応開始直後には、生成液のエチル基/ベンゼン環モル比は0.45に達した。活性劣化が進行していた触媒の完全な再活性化が行われていることを示す。
本実施例より、本発明によれば、βゼオライトを触媒とした固定床トリクルベッド方式アルキル化反応においても、経時的に活性劣化した触媒にベンゼン洗浄処理を施すことによって、完全な再活性化が可能であることが判る。
【0036】
【表2】
Figure 0003853003
【0037】
【比較例1】
反応原料ベンゼンがシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを規定量以上含有する場合の再活性化の比較実験を行った。
アルキル化反応
反応原料としてジシクロペンタジエン20重量ppmを含むベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様に反応を実施した。反応は500時間継続して行った。反応結果を表3に、触媒層温度プロファイルを図2に示す。500時間で既に、エチレン転化率は98.7%に低下、触媒層入り口近傍の温度低下も、実施例1に比べて極めて大きい。すなわち、ジシクロペンタジエン20重量ppmを含むベンゼンをアルキル化反応原料に用いる場合には、触媒の活性劣化が促進されていることは明らかである。
【0038】
触媒の再活性化
500時間の運転を行ったところで、実施例1と同様の条件で、触媒のベンゼン洗浄処理による再活性化を試みた。洗浄処理実施に先立ち、ベンゼンは実施例1と同様に、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを含まないベンゼンに反応管内ベンゼンも含め、完全に切り替えられた。230℃到達後、洗浄処理を6時間行った。
【0039】
アルキル化反応の再開
洗浄処理終了後、同じ反応条件で再度、同様にアルキル化反応を再開した。ただし、原料として用いるベンゼンは、洗浄処理と同様にシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを含まないベンゼンである。再開後の反応結果を表3に、再開後の触媒層温度プロファイルを図2に示す。エチレン転化率は99.6%にまでしか回復せず、また、触媒層温度プロファイルを測定したところ、例えば、入り口から10cmでの温度は128℃、20cmでも148℃とフレッシュ触媒での反応開始時の該箇所での温度よりもはるかに低く、すなわち、触媒の再活性化が果たせていないことを示唆するものである。
本比較例から、本発明で規定する含有量以上であるジシクロペンタジエン20重量ppmを含有するベンゼンを反応原料とした場合、活性劣化の進行が著しく、また、本発明のいうベンゼン洗浄処理による再活性化方法を実施しても、完全に再活性化させることが不可能であることが判る。
【0040】
【表3】
Figure 0003853003
【0041】
【比較例2】
Y型ゼオライト触媒を比較検討した。
アルキル化反応実験
触媒としてHーY型ゼオライト〔LZY−82(リンデゼオライト製)〕の1/16インチ押し出し成型体を用いた。内径22、1mm、長さが800mmで下部に予熱層として反応器下部300mmに熱媒ジャケットを、反応器出口に冷却器、圧力制御弁を備えたステンレス製反応管に、上記Y型ゼオライト触媒の成型体55gを充填した。触媒充填位置は下部より300mmから550mmの位置であり、触媒層上下部には3mmφのステンレス製ディクソンパッキングを充填した。
【0042】
反応器最下部(予熱層入口)より、ベンゼンを320g/Hrの供給速度で供給した。本比較例において原料として使用したベンゼンは、実質的にシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを含有しないベンゼンである。
反応器内を13.7kg/cm2 Gとし、系内を完全に液封状態とした。予熱層熱媒ジャケットに155℃の熱媒を循環し、触媒層入口液温度を146℃とした。その後、エチレンを1.38mol/Hrの供給速度で、ベンゼンと同様に反応器最下部より供給し、反応を開始した。触媒層最高到達温度は触媒層最上部でも208℃に達したにすぎず、しかも、急激に温度は低下していき、活性劣化が急激に進行していることが窺われたため、反応は5時間で停止した。各時間ごとにサンプリングされた反応液を、ガスクロマトグラフにより分析した。反応結果を表4に、触媒層温度プロファイルを図3に示す。
【0043】
触媒の再活性化
5時間の運転を行ったところで、エチレン供給を停止し、反応を中断した。その後、ベンゼン供給速度を200g/Hrとした。反応器触媒層位置に熱媒循環ジャケットを取り付け、触媒層温度が230℃になるように熱媒を循環させた。出口の圧力は、反応時と同様に圧力制御弁で23Kg/cm2 Gに制御し、触媒のベンゼン洗浄処理を行った。洗浄処理は6時間実施した。
【0044】
アルキル化反応の再開
洗浄処理終了後、前述の反応条件で再度、同様にアルキル化反応を再開した。反応結果を表4に、再開後の触媒層温度プロファイルを図3に示す。反応再開直後の成績をみると、再生前よりさらに、活性は低下しており、全く触媒の再活性化が成されなかったことが示唆される。
【0045】
本比較例より、そもそも、Y型ゼオライトを触媒とした場合には、このような低ベンゼン/エチレンモル比条件下では、初期活性、選択性が低く、触媒の活性劣化も著しい。加えて、本発明のいうベンゼン洗浄処理による再活性化も、全く効果が観られない。すなわち、本発明のいうベンゼン洗浄処理による再活性化は、βゼオライトを触媒とする場合にのみ有効であることが判る。
【0046】
【表4】
Figure 0003853003
【0047】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、アルキル化反応の長期運転により徐々に活性劣化をきたしたβゼオライト触媒の再生を、反応器に充填したまま、一方の原料であるオレフィン(エチレン)の供給を遮断し、かつ、触媒層温度を200〜250℃に保つだけといった簡便な操作で、かつ、短時間で該触媒を完全に初期活性にまで再活性化することができる。これらのことは、工業的に実施する上で極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1でのアルキル化反応開始後、5時間経過時、1000時間経過時および1000時間運転後の触媒に、ベンゼン洗浄処理を施し、再度アルキル化反応を開始し、5時間経過時、それぞれの時間での触媒層温度プロファイル測定結果を示すグラフである。
【図2】比較例1でのアルキル化反応開始後、5時間経過時、500時間経過時および500時間運転後の触媒に、ベンゼン洗浄処理を施し、再度アルキル化反応を開始し、5時間経過時、それぞれの時間での触媒層温度プロファイル測定結果を示すグラフである。
【図3】比較例2でのアルキル化反応開始後、1時間経過時、5時間経過時および5時間運転後の触媒に、ベンゼン洗浄処理を施し、再度アルキル化反応を開始し、1時間経過時、それぞれの時間での触媒層温度プロファイル測定結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 原料ベンゼンとして、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンを用いた液相または気液混相アルキル化反応に用いられ、活性の低下したβゼオライト触媒を、シクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの合計の含有量が5重量ppm以下であるベンゼンで洗浄することを特徴とするβゼオライト触媒の再生法。
  2. ベンゼンのアルキル化反応がベンゼンのエチレンによる液相または気液混相エチル化反応であることを特徴とする請求項1に記載のβゼオライト触媒の再生法。
  3. 洗浄処理温度が200〜250℃の温度で、かつ、少なくとも一部が液相である条件下で行われることを特徴とする請求項1に記載のβゼオライト触媒の再生法。
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