JP3852819B2 - 仮囲い板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事現場などを囲んだ状態で設置する仮囲い板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から建築現場では、部外者の立入りや、通行人や隣接物に対する損傷を防止するために現場周囲に囲い板を仮設している。例えば、図10、図11に示すように、仮囲い板の本体部101は強度を確保し、軽量化及び低コスト化を図るため1ミリ強の薄鋼板製のものが使用されており、この仮囲い板の全表面102には防錆のため亜鉛メッキが施してある。仮囲い板の本体部101は、図11に示すようにその両端部に連結部103、104が形成してあり、さらに、フックボルト105がナット106で取付けてある。なお、図11において、フックボルト105や横パイプ150は説明を容易にするため90度回転して図示している。
【0003】
そして、仮囲いの設置は、まず、連結部103、104を重ね合わせて相互に連結させることにより複数の仮囲い板の本体部101を左右方向に連続させ、フックボルト105を横パイプ150に取付けて固定する。なお、横パイプ150は縦パイプ151に固定し、これらとパイプ152〜154とを組立て、地中に打ち込んだパイプ155に取り付けることで行う。なお、パイプ150〜155間の固定にはクランプが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
まず、本体部101は、前記した様に1ミリ程度の薄鋼板を使用しているため強度は十分であっても剛性が低いため、表面が波打ってしまい見栄えが悪い。また、風が強い日には風圧によって連結部103、104がめくれることがある。連結部103、104やフックボルト105のねじ先やナット106が本体部101の外側に飛び出しているため、仮囲いの外側の通路を狭くし、通行人の障害にもなる。さらには、本体部101には亜鉛メッキがしてあるため、リサイクル利用を困難にしている。また、仮囲い板の本体部101の設置は、その設置場所の表面形状に対応してこの本体部の設置レベルを調整しなければならないが、本体部の高さを調整すると、それに応じてフックボルト105の位置も変化し、高さレベルが違う横パイプ150に取り付ける作業が困難になる。
【0005】
そこで本発明の目的は従来の薄鋼板より板厚が厚くすることができ、軽量で、かつフックボルトの取付け部や両端の連結部が外側に飛び出さないで、さらに、フックボルトのレベル調整が簡単にできる仮囲い板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る仮囲い板の特徴は、本体部と取付金具とからなり、上記本体部は合成木材製のもので、縦長の矩形状の平板で、突条部と連結部とを具備するものであり、上記突条部は肉厚形状のものであって、上記本体の内側面に、かつこの本体部の上下方向に複数列形成してあり、上記突条部の外側面には上下方向に係止溝が形成してあり、上記連結部は上記本体部の両端部に形成してあり、隣接する本体部はこの連結部を介して連結されるものであり、上記取付金具の両端部近傍には、それぞれ係止爪が設けてあり、上記係止爪は、2列の上記突条部のそれぞれの係止溝に摺動可能に係止しているところにある。
【0007】
他の特徴は、上記取付金具は、上記突条部の列間隔方向に伸縮調整可能であるところにある。
【0008】
さらに他の特徴は、上記取付金具は、相互に重なる2枚の継手板体を備え、一方の上記継手板体にはねじ孔が形成してあり、この一方の継手板体の一端には他方の継手板体を摺動自在に案内するガイドが屈成してあり、上記他方の継手板体の一端には、長溝が形成してあり、上記一方の継手板体のねじ孔は、上記他方の継手板体を重ねたときに、上記長溝の一端部分に対応する位置に設けてあり、上記双方の継手板体は、上記長溝に挿入して上記ねじ孔にねじ込むねじによって相互に圧着されるところにある。
【0009】
(削除)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明は、図1に示すように本体部1と取付金具7とから構成されている。
【0011】
そこで、まず、本体部1の構成から説明する。本体部1は押し出し成形により一体成形されたプラスチック(合成木材を含む)製で縦長の矩形状の平板で、この本体部は、十分な強度と剛性を有する板厚に設定してあり、その外側面11は平坦面に形成してあり、その内側面12には複数列の突条部2、3を、さらに両端部には連結部4、5を具備している。
【0012】
突条部2、3は肉厚形状のものであって、本体部1の上下方向に複数列、図1では2列形成してあり、この突条部の外側面には上下方向に係止溝2a、3aが形成してある。この外側面とは取付金具7に当接していない面という意味であって、図1に示すように、左側の突条部2の左外側面、右側の突条部3の右外側面に係止溝2a、3aを形成するか、又はこの左側の突条部の右外側面、この右側の突条部の左外側面にこの係止溝を形成することが望ましい。
【0013】
本体部1の両端部には、この両端部から内側に向かって直角に屈成してある連結部4、5は十分な強度及び剛性を有する厚さに成形してあり、その一方側、つまり図1の左端部の連結部4は、図3に拡大して示すように、その外端面に凸部4aが上下方向に形成してあり、他方側、つまり右端部の連結部5の外端面には凹部5aが上下方向に形成してあり、この凸部と凹部とは相互に嵌合可能な外形形状を有し、そのため隣接する本体部1、1相互は、図1、3、4に示すように、この連結部4、5の凸部4aと凹部5aが嵌合し相互に密着した状態で横方向に連結されるものである。
【0014】
また、連結部4、5は隣接する連結部と連結した状態は、図4に示すように挟持金具6で挟持され、この連結部相互の横方向(図面左右方向)への移動を拘束する。挟持金具6の挟持面である内面には、図4、図5に示すように波状の係合部の凸部6a、6aが対向する位置関係で形成してあり、この挟持金具で挟持される連結部4、5の外側面には、図3、図4に示すように、この凸部に嵌合可能な被係合部である凹部4b、5bが形成してある。そのため、挟持金具6で連結部4、5が挟持された状態は、図4に示すように波状の凸部6a、6aと凹部4b、5bとが嵌合し、この連結部の板厚方向の相互移動が規制された状態で、この挟持金具による挟持状態が確保される。また、図4、図5に示すように挟持金具6に一体的に成形してある取っ手6bには透孔6cが形成してあり、この挟持金具を連結部4、5から取り外すときにはドライバー等をこの透孔に指し込み利用する。
【0015】
なお、挟持金具6の最も簡単な構造の実施例として、この挟持金具を弾性素材にて平面をほぼコ字状に成形し、その両挟持面は先端が次第に狭くなるテーパ状に形成して、この挟持金具の弾性力により連結部を挟持して、この連結部の横方向、つまり本体部の板面方向の移動を規制するものでもよい。
【0016】
次に、取付金具7の構造について図6の実施例を参照して説明すると、この金具は弾性質で剛性のある合成樹脂、鋼材等から選択された材料からなる一枚の長尺状のもので、この図面に示すように、その一側面の両端部近傍には係止爪701、702が所定間隔をもって設けてあり、この間隔とはこの係止爪が突条部2、3の係止溝2a、3aに係止し摺動可能な寸法である。そして、この取付金具70の両端部にはそれぞれ透孔703、704が設けてあり、フックボルト105がナット106で取付けることができる。しかし、このような構成の取付金具70は、一枚の板体からなるため係止爪701、702の間隔は、係止溝2a、3aに係合しかつ摺動可能な寸法になるように正確な加工精度が要求される。
【0017】
そこで次に、取付金具7の他の実施の態様を図7、図8を参照して説明すると、図6に示す実施例における係止爪701、702相互間の間隔を突条部2、3の係止溝2a、3aに係合できる寸法に容易に調整し、一致させることができるように、取付金具を伸縮調整可能としたものである。この構成は、同一幅の2枚の継手板体71、72を重ね合わせたもので(図7参照)、下方に位置する板体71の一端、つまり図面左端部には透孔71aが形成してあり、他端には断面形状を図8に示すようなガイド71b、71bが屈成してある。上方に位置する板体72は、その一端、つまり右端部に透孔72aを形成し、他端には長溝72bが形成してある。さらに、長溝72bの左端部分に対応する下方の継手板体71にはねじ孔71cが設けてある。透孔71a、72aはフックボルト105をナット106で取付けるためのものである。なお、透孔71a、72aにフックボルト105を取付けた状態が図1に示してあり、この図面では、フックボルト105や横パイプ150を、説明を容易にするため90度回転して図示している。このような取付金具7の係止爪701、702を係止溝2a、3aに係合させる作業は、図7に示すように、両継手板体71、72を重ね合わせて長溝72bとねじ孔71cにねじ8を緩くねじ込み、そこで両継手板体に形成してある係止爪701、702(図6の701、702と同一形状のもの)のそれぞれを、図1、図2に示すように突条部2、3の係止溝2a、3aに係合させ後で、ねじ8を強く締付けるものである。
【0018】
次に、本発明に係る仮囲み板を設置する作業について説明する。まず、図10、11に従来例として示したものと同様に、本発明に係る仮囲い板もパイプ150〜155によって工事現場に仮設される。そして、最終的には仮囲い板もフックボルト105によって横パイプ150に固定される。そこで、取付金具7の両係止爪701、702をそれぞれ本体部1の突条部2、3の係止溝2a、3aに係止し、本体部1を設置場所の表面の凹凸形状に対応するようにレベルを調整させながら、隣接する本体部相互の両端を連結部4、5を介して順次連結し、図4に示すようにこの連結部を挟持金具6で挟持する。また、工事現場等の状況に応じて、本体部1の長さを調整しなければならない場合がある。このような場合には、本体部1の上端部又は下端部を切断する。この切断作業は本体部1がプラスチチックを素材としているため、工事現場において鋸で容易に切断できる。その後、取付金具7の両端部の透孔71a、72aには、従来例と同じくフックボルト105をナット106で取付け、このフックボルトを横パイプ150に掛止する作業に着手するが、多くの場合現場においては横パイプ150の取付け位置が変更している場合がある。このような時は、取付金具7の係止爪701、702を、この係止爪が係合している突条部2、3の係止溝2a、3a内を上方又は下方に摺動させて、この取付金具に取付けてあるフックボルト105の取付位置を横パイプ150のレベルに調整した後で、このフックボルトをこの横パイプに掛止させる。
【0019】
本体部1の他の実施例を説明すると、この本体部は、前記した様にプラスチックを素材とするもので、その成形方法は前記した様に押し出し成形によるものであるが、この本体部には突条部2、3のような肉厚部とこの突条部以外の肉薄部とがあるため、押し出し成形時にこの肉薄部が設計通りの形状に成形できないことがあるため、この本体部1を押し出し成形による一体成形が困難になることがある。そのような場合には、図9に示すように本体部11と突条部21とをそれぞれ別部材として成形し、ダブテール型ジョイントにより両者を結合させるようにすればよい。
【0020】
なお、突条部2、3は2列に限らずそれ以上でもよい。又、突条部2、3は上下方向に一体連続した形状に限定されるものでなく、複数個に分割したものでもよい。
【0021】
【発明の効果】
本発明によると、本体部はプラスチック製であるので、従来の仮囲い板に比較して軽量であり、そのため組立て作業が簡単かつ敏速に行うことができ、かつフックボルトの取付け部や両端の連結部が外側に飛び出さないで通行人の障害になることが回避できる。さらに、連結部を挟持金具で挟持すると、風圧により連結部がめくりあがりすることが防止できる。特に、挟持金具の挟持面に係合部を設け、更に連結部に被係合部を設けると、この挟持金具によるこの連結部の挟持がより確実になる。また、取付金具を伸縮調整可能にすると、取付金具の取付け高さのレベルが簡単に調整することができるためフックボルトのレベル調整が簡単にできる。さらに、従来のような亜鉛メッキされた仮囲い板ではない。即ち、亜鉛メッキが不要であるためリサイクル利用が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 平面図である。
【図2】 図1のA部の拡大断面図である。
【図3】 図1のB部の拡大断面図である。
【図4】 連結部が挟持金具で挟持されている状態を示す拡大断面図である。
【図5】 挟持金具の平面図である。
【図6】 取付金具の断面図である。
【図7】 取付金具の他の実施例を示す正面図である。
【図8】 図7のa−a線断面図である。
【図9】 本体部と突条部の構造の他の実施例を示す拡大断面図である。
【図10】 従来例を示す斜視図である。
【図11】 従来例における仮囲い板の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 本体部
2,3 突条部
2a,3a 係止溝
4,5 連結部
4a 凸部
4b 被係合部(凹部)
5a 凹部
5b 被係合部(凹部)
6 挟持金具
6a 係合部(凸部)
7 取付金具
701,702 係止爪
71,72 継手板体
71b ガイド
71c ねじ孔
72b 長溝
8 ねじ
11 本体部
21 突条部
Claims (2)
- 本体部と取付金具とからなり、
上記本体部は合成木材製のもので、縦長の矩形状の平板で、突条部と連結部とを具備するものであり、
上記突条部は肉厚形状のものであって、上記本体の内側面に、かつこの本体部の上下方向に複数列形成してあり、
上記突条部の外側面には上下方向に係止溝が形成してあり、
上記連結部は上記本体部の両端部に形成してあり、隣接する本体部はこの連結部を介して連結されるものであり、
上記取付金具の両端部近傍には、それぞれ係止爪が設けてあり、
上記係止爪は、2列の上記突条部のそれぞれの係止溝に摺動可能に係止しており、
上記取付金具は、上記突条部の列間隔方向に伸縮調整可能である
ことを特徴とする仮囲い板。 - 請求項1において、上記取付金具は、相互に重なる2枚の継手板体を備え、
一方の上記継手板体にはねじ孔が形成してあり、この一方の継手板体の一端には他方の継手板体を摺動自在に案内するガイドが屈成してあり、
上記他方の継手板体の一端には、長溝が形成してあり、
上記一方の継手板体のねじ孔は、上記他方の継手板体を重ねたときに、上記長溝の一端部分に対応する位置に設けてあり、
上記双方の継手板体は、上記長溝に挿入して上記ねじ孔にねじ込むねじによって相互に圧着される
ことを特徴とする仮囲い板。
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