JP3852817B2 - 仮囲い板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事現場等を囲んで設置する仮囲い板に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設工事等は、部外者の立ち入りや、通行人や隣接物に対する損傷を防止するために、現場周囲に囲い板を仮設して行なわれる。従来例を図6及び図7に示す。仮囲い板101は、強度を確保すると共に軽量化及び低コスト化を図るため、薄鋼板製のものが使用されており、さらに、防錆のため表面に亜鉛メッキ等がなされている。仮囲い板101には、両端部にフランジ部103、104が形成してあり、また、フックボルト105がナット106で取り付けてある。なお、図7において、フックボルト150は、説明を容易にするため90度回転して示してある。
【0003】
仮囲いの設置は、まず、フランジ部103、104を重ね合わせるようにして複数の仮囲い板101を横方向に連結し、フックボルト105に横パイプ150を取り付けて固定する。そして、この横パイプ150に縦パイプ151を固定し、これらとパイプ152〜154とを組立て、地中に打ち込んだパイプ155に取り付けることで行なう。なお、パイプ間の固定にはクランプを使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の仮囲い板101には次の問題があった。すなわち、仮囲い板101は、軽量化のために1ミリ強の薄鋼板から形成されており、強度は十分であるが剛性が低いので、表面が波打ってしまい見栄えが極めて悪くなる。また、風が強い場合は、風圧によってフランジ部103、104がめくれあがってしまう。さらには、フランジ部103、104や、フックボルト105のねじ先やナット106が外側に飛び出しているので、仮囲いの外側の通路等を狭くし、通行人の障害にもなる。そして、防錆用の亜鉛メッキにより、リサイクル利用が困難であるという重大な問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決すべく、薄鋼板より板厚が厚く、かつ、フックボルトの取り付け部や両端フランジ部が外側面に飛び出さないように一体形成した合成木材製の仮囲い板を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の仮囲い板は、押出し形成により一体形成された合成木材製の本体部と突条部とフランジ部とからなる。この本体部は縦長矩形の平板であって、外側面は平坦な面となっている。この突条部は、この本体部の内側面上に、この本体部の縦方向に形成されている。そして、この突条部には複数の盲穴が形成され、この盲穴にはナットが挿着してある。このフランジ部は、本体部の両端部から内側に向けて屈設してある。このフランジ部の一方の外端面には、上下方向に凹溝が形成され、このフランジ部の他方の外端面には、上下方向にこの凹溝に嵌合可能な凸部が形成されている。
【0007】
そして前記突条部は、前記本体部から独立して形成され、この突条部には外側に盲穴が、内側に縦長の係合溝が形成してある。上記突条部は、工事現場において少なくとも上端部または下端部のいずれか一方を切り詰めて、その長さを上記本体部の縦長さに合わせると共に、上記盲穴の縦長方向位置を調整することができる。一方、本体部の内側面上には縦長の被係合部が一体形成してある。そして、この係合溝をこの被係合部に係合させることにより、この突条部をこの本体部に連結するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
(削除)
【0009】
請求項2の仮囲い板は、請求項1において、相互に連接された隣接するフランジ部に、弾性力を有するプラスチック又は合成木材のいずれかの1で形成され、かつ、コの字形の断面形状を有する係止部材を挟装する。そして、このフランジ部相互の横移動を拘束して使用することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1に、本発明の仮囲い板の全体形状を、そして、図2に仮囲い板を水平方向に切断した場合の拡大断面を示す。仮囲い板1は、押し出し形成により一体形成された合成木材製の本体部2と突条部3とフランジ部4、5とからなる。本体部2は、縦長矩形の平板であって、外側面2aは、平坦な面になっている。本体部2は、十分な強度及び剛性を有する板厚に設定してある。
【0011】
本体部2の内側面2b上には突条部3が2列、この本体部の縦方向に形成してある。突条部3には、3個の盲穴3aが形成されており、この盲穴にはそれぞれプラスチック製のナット6が挿入され、接着剤7によってこの盲穴の内面に固定されている。なお、ナット6には、仮囲い板1を設置するときにフックボルトを螺合する。
【0012】
フランジ部4、5は、本体部2の両端部から内側に向かって屈設してある。フランジ部4の一方の外端面4aには、凹溝4bが上下方向に形成されている。フランジ部5の他方の外端面5aには、凸部5bが上下方向に形成されている。フランジ部4、5は、十分な強度及び剛性を有する厚さに形成してある。フランジ部4の凹溝4bは、隣接する仮囲い板1のフランジ部5の凸部5bに嵌合可能な寸法形状に形成してある。フランジ部4及び5の外端面4a、5aは、本体部2の幅方向と直交する平面に形成してあり、隣接する仮囲い板1と相互に密接して連結される。
【0013】
相互に連結されたフランジ部4と5とには、弾性力を有するプラスチック製または合成木材製の係止部材8が挟装してあり、両フランジ部相互の横移動を拘束する。図3に挟装前の係止部材8の拡大断面を示す。係止部材8は、コの字型の断面形状を有しており、縦壁8aの内面8bが内側に傾斜するように形成してある。そして、横壁8cの外面に取っ手8dが一体形成してあり、この取っ手には穴8eが空けられている。
【0014】
図4に挟装状態の係止部材8の拡大断面を示す。係止部材8は、相互に連結されたフランジ部4の内面4cと、フランジ部5の内面5cを挟んで挟装してある。係止部材8の横壁8cの先端開口幅は、両フランジ部4、5の合計幅より小さくしてあり、かつ、この係止部材は弾力性を有しているので、この係止部材は、この両フランジ部を圧着し、横方向の相互移動を拘束する。なお、両フランジ部4、5は、凹溝4bと凸部5bとが嵌合しているので、内外方向の相互移動も拘束されている。
【0015】
以上に説明したように本発明を構成することにより、次の作用、効果が得られる。すなわち、本発明の仮囲い板は、合成木材であるため、メッキ等の防錆措置が不要であり、リサイクルが容易になる。また、合成木材の密度が小さいので本体部2の板厚を増しても重量が嵩まない。したがって、本体部2の強度のみならず剛性も高くできるので、本体部2の表面の波打ち等の変形を防止できる。フランジ部4、5は、十分な剛性を有していると共に、凹溝4bと凸部5bとが嵌合しており、かつ、係止部材8によって圧着されているので、強風時の風圧による捲れあがりや相互移動を確実に防止できる。
【0016】
また、本体部2の外側面2aは、突条部3やフランジ部4、5及びフックボルトのねじ先や取り付けナット6が突出せず平坦になっているので、仮囲い板1の外側の通路等を狭めたり通行人等の障害になることを防止できる。さらに、フックボルトの取り付け用のナット6は、本体部2と別部品となっているので、ナットのねじが損傷や磨耗した場合に交換が可能となる。さらに、係止部材8には、穴8eを空けた取っ手8dが一体形成してあるので、この穴に指等を引っ掛ければ、この取っ手を容易に取り外すことができる。
【0017】
さて、次に、突条部について他の発明の実施の形態を示す。図5に、突条部13の拡大断面を示す。この突条部13は、プラスチックあるいは合成木材からなり、本体部12とは別部品として製作し、ダブテール型ジョイントによりこの本体部に結合するものである。すなわち、本体部12の内面12b上には、雄型のダブテール型断面形状を有する縦長の被係合部12cを形成してある。一方、突条部13には、雌型のダブテール型断面形状を有する縦長の係合溝13cを形成してある。そして、被係合部12cを係合溝13cに挿入することにより、突条部13を本体部12に結合する。なお、突条部13には、前述した発明の実施の形態と同様に、フックボルトの取り付け用のナット6が、接着材7によって盲穴13aに装着してある。
【0018】
このように発明を構成すると、次の作用、効果が得られる。すなわち、図2に示す実施の形態において、本体部2の板厚に比べて突条部3の高さが大きくなると、この本体部と突条部とを、押し出し形成により一体形成することが困難になる。したがって、図5に示すように、突条部13を本体部12とは別部品として製作することにより、このような問題を解消できる。
【0019】
さらに、次の効果も得られる。図6に従来例として示したものと同様に、本発明の仮囲い板1もパイプ150〜155によって工事現場等に仮設される。そして、仮囲い板1は、ナット6に螺合したフックボルトによって横パイプ150に固定される。ところで、工事現場等の状況に応じて、横パイプ150の取り付け高さを変更したい場合がある。かかる場合、本発明のように突条部13を本体部12と別部品とし、長さを本体部12より長くしておけば、その上端部又は下端部を切断して本体部12に挿入することにより、フックボルトを螺合するナット6の高さ位置を調整できる。なお、突条部13はプラスチック又は合成木材製であるので、工事現場等においても鋸等で容易に切断できる。
【0020】
最後に、本発明について代替可能な材料、形状あるいは構造を示す。突条部3、13は2列に限らず、1列でも3列以上でもよい。また、突条部3、13は、その長さ方向に一体連続な形状に限らず、複数個に分割してもよい。ナット6は、プラスチック製に限らず、合成木材あるいはステンレス製等の発錆しない材料であればよい。本体部12と突条部13との結合は、ダブテール形状の被係合部12cと係合溝13cに限らず、相互に係合可能な形状であればよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように発明を構成することにより、仮囲い板の表面の波打等の変形や、風圧によるフランジ部もめくれあがりを防止でき、さらには、仮囲いの外側の通路等を狭めたり、通行人の障害になることを回避できる。そして、リサイクル利用が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 仮囲い板の全体外形図である。
【図2】 図1に示す線A−Aに沿った仮囲い板の拡大断面図である。
【図3】 図1に示す線B−Bに沿った挟装前の係止部の拡大断面図である。
【図4】 図1に示す線B−Bに沿った挟装後の係止部の拡大断面図である。
【図5】 本体部とは別部品である場合の突条部の拡大断面図である。
【図6】 従来の仮囲い板の設置全体図である。
【図7】 図6に示す線C−Cに沿った従来の仮囲い板の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 仮囲い板
2、12 本体部
3、13 突条部
4 フランジ部
5 フランジ部
6 ナット
7 接着剤
8 係止部材
Claims (2)
- 押出し形成により一体形成された合成木材製の本体部と突条部とフランジ部とからなり、
上記本体部は縦長矩形の平板であって、外側面は平坦な面となっており、
上記突条部は、上記本体部の内側面上に、この本体部から独立してこの本体部の縦方向に形成され、
上記突条部には、外側に複数の盲穴を、内側に縦長の係合溝が形成してあり、この盲穴の内面にはナットが挿着してあり、
上記フランジ部は、上記本体部の両端部から内側に向けて屈設してあり、
上記フランジ部の一方の外端面には、上下方向に凹溝が形成され、
上記フランジ部の他方の外端面には、上下方向に上記凹溝に嵌合可能な凸部が形成され、
上記突条部は、工事現場において少なくとも上端部または下端部のいずれか一方を切り詰めて、その長さを上記本体部の縦長さに合わせると共に、上記盲穴の縦長方向位置を調整するものであって、
上記本体部の内側面上には、縦長の被係合部が一体形成してあり、
上記係合溝を上記被係合部に係合させることにより、この突条部を上記本体部に連結するように構成してある
ことを特徴とする仮囲い板。 - 請求項1において、相互に連接された隣接する前記フランジ部に、弾性力を有するプラスチック又は合成木材のいずれかの1で形成され、かつ、コの字形の断面形状を有する係止部材を挟装し、このフランジ部相互の横移動を拘束して使用する
ことを特徴とする仮囲い板。
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