JP3852499B2 - 固体増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、通信およびレーダ等に用いるマイクロ波帯の固体増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の固体増幅器の構成を示すもので、図中、2は高出力段増幅器、8はドライバ段増幅器、9は可変減衰器、10はカップラ、11は検波器、12はレベル制御回路、13は入力端子、14は出力端子、15はドライバ段増幅器出力端子である。
【0003】
この増幅器は入力端子13から可変減衰器9、ドライバ段増幅器8、ドライバ段増幅器出力端子15、高出力段増幅器2およびカップラ10を順次縦続接続し、出力端子14より信号が出力される。また、カップラ10により高出力段増幅器2の出力信号の一部を検波器11、レベル制御回路12を介して可変減衰器9にフィードバックする構成のものである。
【0004】
次に作用について説明する。入力端子から入射した入力信号は、可変減衰器9を通り、ドライバ段増幅器8で増幅される。その信号はドライバ段増幅器出力端子15を経由し、さらに高出力段増幅器2で増幅され、カップラ10を介して大部分が出力端子に出力される。
また、カップラ10で結合された出力信号の一部は、検波器11に入力され、検波器11で検波された信号をレベル制御回路12に入力される。さらに検波信号に応じてレベル制御回路12から制御電圧を発生させたものを可変減衰器9にフィードバックし、高出力段増幅器2に過大な入力信号が入射しないようにしてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般にFETのブレークダウン電圧を超えるような過大な信号が高出力段増幅器2に入射した場合、FETが劣化する。FETの劣化を避けるために、従来の固体増幅器では、図5に示すように高出力段増幅器2の出力信号を検波し、そのレベルに応じて可変減衰器9の減衰量を適切なレベルに設定することにより、高出力段増幅器2に過大な入力信号が入射しないようにしてある。
【0006】
ところが、高出力段増幅器2の出力信号を検波し、可変減衰器9が動作するまでに数ミリ秒程度の時間がかかるため、その間は高出力段増幅器2に過大な信号が入射される。また、入力信号として短時間のパルス状の信号が入射した場合、フィードバック回路が動作しない場合がある。
これらの場合、高出力段増幅器2に過大な信号が入射し、高出力段増幅器2が劣化してしまう問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による固体増幅器は、ゲート幅の異なるFETをそれぞれ用いた2つの単位増幅器と、上記単位増幅器の入力端子間を接続した等電力分配回路と、出力端子間を接続した等電力合成回路とからなるバランス型増幅器をドライバ段増幅器として用いたものである。
【0008】
また、第2の発明による固体増幅器は、同一ゲート幅を有するFETをそれぞれ用いた2つの単位増幅器と、上記単位増幅器の入力端子間を接続した等電力分配回路と、出力端子間を接続した等電力合成回路と、上記一方の単位増幅器の入力側と等電力分配回路間に接続された減衰器と、上記他方の単位増幅器の出力側と等電力合成回路間に接続された減衰器とからなるバランス型増幅器をドライバ段増幅器として用いたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示す構成図であり、1はバランス型増幅器、2は高出力段増幅器、13は入力端子、14は出力端子、15はドライバ段増幅器出力端子である。この増幅器はバランス型増幅器1と高出力段増幅器2とを縦続接続した非常に簡単な構成のものである。
図2はドライバ段増幅器として使用しているバランス型増幅器1の構成を示すものであり、3、4はそれぞれ1ないし2段の単位増幅器、5aは等電力分配回路、5bは等電力合成回路である。
このバランス型増幅器1を構成する単位増幅器3と単位増幅器4には利得はほぼ同じでゲート幅の異なるFETを用いており、各単位増幅器3、4の入力端子間および出力端子間は5aは等電力分配回路、5bは等電力合成回路によりそれぞれ接続されている。
【0010】
図3は単位増幅器3、4の入力信号に対する利得特性を示すもので、aは単位増幅器3、bは単位増幅器4の特性である。なお、ここでは単位増幅器4に比べ、単位増幅器3のFETのゲート幅が広いものを用いた場合について示している。この図に示すように、入力信号が小さい場合はほぼ同じ利得を示すが、入力信号が増加するにしたがって単位増幅器4のほうが先に飽和するため、入力信号の小さいうちから利得の減少が現われる。
【0011】
図4はこれらの単位増幅器3、4を用いたバランス型増幅器1の入力端子13から入力する信号に対するドライバ段増幅器出力端子15の出力信号特性の一例である。図中、dはこの発明のバランス型増幅器1の入力信号に対する出力信号特性の一例である。また、cは比較のために単位増幅器3、4にゲート幅が同じFETを用いた場合についても示している。
【0012】
図3で示すように入力信号が増加するにつれ、単位増幅器3と単位増幅器4の利得差が増加するため、合成損失が増加する。従って、図4のdで示すように入力信号が増加しても、ドライバ段増幅器出力端子15の出力信号レベルがほぼ一定の出力信号のレベルに抑えることができる。この出力信号のレベルは、単位増幅器3、4に使用するFETのゲート幅に依存し、ゲート幅の差が大きいほど出力信号のレベルを小さく抑えることができる。これに対して、特性cのように同じゲート幅のFETを用いた場合には、入力信号の増加とともに徐々に出力信号が増加する特性を示す。
【0013】
従って、図4で示したようにこの発明に用いるバランス型増幅器1は、入力信号が増加してもドライバ段増幅器出力端子15の出力信号をほぼ一定に抑えることができるため、この増幅器を多段増幅器のドライバ段として用いることにより、高出力段増幅器2に入射する過大入力信号を抑えることができ、高出力段増幅器2の特性劣化を防ぐことができる利点がある。
また、フィードバック回路応答速度に依存することなく確実に過大入力信号を抑えることができるとともに、可変減衰器9、カップラ10、検波器11、レベル制御回路12等が不要になり、非常に簡単な回路構成であるため、固体増幅器を安価に構成できる利点もある。
【0014】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に用いるバランス型増幅器1の構成を示す図であり、6、7は、ぞれぞれ単位増幅器3の出力端子、単位増幅器4の入力端子に接続された減衰器である。
実施の形態1では、バランス型増幅器1を構成する単位増幅器3と4にはそれぞれゲート幅の異なるFETを用いた場合について示したが、この実施例では同じゲート幅のFETを用いており、減衰器6、7の減衰量はほぼ同じ値に選んでいる。
【0015】
このように単位増幅器3の出力端子に減衰器6を接続することにより、単位増幅器3の出力信号が減衰される。これに対して、単位増幅器4の入力端子に減衰器7を接続することにより、単位増幅器4の出力信号は減衰されることなく大きな値が得られる。したがって、減衰器6を含む単位増幅器3の特性と、減衰器7を含む単位増幅器4の入力信号に対する利得はほぼ図3と同じ特性を示す。
このように、単位増幅器3の出力端子に減衰器6、また単位増幅器4の入力端子に減衰器7を接続することにより、等価的に単位増幅器3、4に用いるFETのゲート幅が異なったものと等しくなる。
【0016】
したがって、この場合も実施の形態1で示したような効果が得られる。実施の形態1では、ゲート幅の異なるFETを用いるため、FETの入手性から設定出力信号レベルが制限される場合がある。
これに対して実施の形態2では、バランス型増幅器1の出力信号のレベルは減衰器6、7の減衰量で設定できるため、高出力段増幅器2に入射する入力信号のレベルの微調がより可能である。
【0017】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ゲート幅の異なるFETをそれぞれ用いた2つの単位増幅器と、上記単位増幅器の入力端子間を接続した等電力分配回路と、出力端子間を接続した等電力合成回路とからなるバランス型増幅器1を用いることにより、フィードバック回路の応答速度に関係なく常に高出力段増幅器2に入力される過大入力信号を抑えることができ、高出力段増幅器2を保護することができる。
【0018】
第2の発明によれば、高出力段増幅器に入射する過大入力信号のレベルの微調を行うことができるため、より確実に高出力段増幅器2を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による固体増幅器の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】 この発明による固体増幅器の実施の形態1に用いるバランス型増幅器の構成を示す図である。
【図3】 この発明による固体増幅器の実施の形態1に用いるバランス型増幅器を構成する単位増幅器の利得特性を示す図である。
【図4】 この発明による固体増幅器の実施の形態1に用いるバランス型増幅器の入力信号に対する出力信号特性を示す図である。
【図5】 この発明による固体増幅器の実施の形態2に用いるバランス型増幅器の構成を示す図である。
【図6】 従来の固体増幅器の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ドライバ段増幅器、2 高出力段増幅器、3 単位増幅器、4 単位増幅器、5a 等電力分配回路、5b 等電力合成回路、6 減衰器、7 減衰器、8 ドライバ段増幅器、9 可変減衰器、10 カップラ、11 検波器、12レベル制御回路、13 入力端子、14 出力端子、15 ドライバ段増幅器出力端子。
Claims (2)
- ドライバ段増幅器と、ドライバ段増幅器の出力段に接続された高出力段増幅器とからなる固体増幅器において、ゲート幅の異なるFETをそれぞれ用いた2つの単位増幅器と、上記単位増幅器の入力端子間を接続した等電力分配回路と、出力端子間を接続した等電力合成回路とからなり、上記高出力段増幅器に入射する過大入力信号を抑えるように動作するバランス型増幅器を上記ドライバ段増幅器として用いたことを特徴とする固体増幅器。
- ドライバ段増幅器と、ドライバ段増幅器の出力段に接続された高出力段増幅器とからなる固体増幅器において、同一ゲート幅を有するFETをそれぞれ用いた2つの単位増幅器と、上記単位増幅器の入力端子間を接続した等電力分配回路と、出力端子間を接続した等電力合成回路と、上記一方の単位増幅器の入力側と等電力分配回路間に接続された減衰器と、上記他方の単位増幅器の出力側と等電力合成回路間に接続された減衰器とからなり、上記高出力段増幅器に入射する過大入力信号を抑えるように動作するバランス型増幅器を上記ドライバ段増幅器として用いたことを特徴とする固体増幅器。
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