JP3852486B2 - ステージ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステージ駆動制御装置に係り、特にマスクステージと基板ステージとを同期してそれぞれ所定走査方向に移動させつつマスク上のパターンを感光基板に転写する、いわゆるスキャン型露光装置用として好適なステージ駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャン型露光装置は、基板ステージとマスクステージ(レチクルステージ)を逆方向又は同一方向に同時に加速し、加速終了後の各ステージの速度を同期させ、基板ステージ上の感光基板にレチクル上のパターンを投影光学系を介して転写する露光装置である。
【0003】
このスキャン型投影露光装置では、ウエハステージ、レチクルステージの位置をそれぞれ位置センサを用いて検出し、これらのステージを同時に駆動制御している。より具体的には、一方のステージ、例えばウエハステージのコントローラに速度指令を与え、ウエハステージの位置を検出する位置センサの出力をレチクルステージの制御系に与え、このレチクルステージの制御系がレチクルステージ座標系上での両ステージの位置誤差分をキャンセルすべく、レチクルステージを駆動制御することにより、両ステージが所定の位置関係を維持して同期制御がなされるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ステージの速度が高速になるのに伴って位置センサの計測時の時間遅れに起因する両ステージの同期ズレが問題となってきた。例えば、位置センサとしてレーザ干渉計を用いる装置においては、受光素子や回路(例えば、センサアンプのアナログ回路)の信号処理時間により数十μsecの時間遅れが実際のステージ移動位置と位置の計測結果との間に生ずる。この時間遅れの影響が全てのセンサで同一であれば同期制御に影響は与えない。しかし、現実には、時間遅れはセンサ毎に異なる(センサ間にバラツキがある)ことが殆どであり、このためレチクルステージとウエハステージとの間に同期ズレが生じ、これが露光不良の一因となるという不都合があった。ステージの速度が早い程、この同期ズレによる位置ずれも大きくなる。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の有する不都合に鑑みてなされたもので、その目的は、基板ステージとマスクステージとの同期ズレの発生を有効に防止することができるステージ駆動制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マスクを保持して所定の走査方向に移動可能なマスクステージと、感光基板を保持して前記走査方向に移動可能な基板ステージとを備えた露光装置に用いられる、ステージ駆動制御装置であって、位置又は速度の指令に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージの内の一方のステージを駆動制御する第1のステージ制御系と;前記一方のステージの位置を計測する第1の位置計測手段と;前記第1の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第1の時間遅れ補正手段と;他方のステージの位置を計測する第2の位置計測手段と;前記第2の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第2の時間遅れ補正手段と;前記一方のステージと他方のステージとが所定の位置関係になるように、時間遅れが補正された後の前記一方のステージの位置情報と時間遅れが補正された後の前記他方のステージの位置情報とに基づいて前記他方のステージを駆動制御する第2のステージ制御系とを有する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステージ駆動制御装置において、前記第1及び第2の時間遅れ補正手段の少なくとも一方は、予め測定した対応する位置計測手段の固有の遅れ時間と対応するステージの走査速度との積を計測された位置に加算して時間遅れを補正することを特徴とする。
【0008】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、露光のための走査中、第1のステージ制御系により位置又は速度の指令に基づいてマスクステージと基板ステージの内の一方のステージ、例えば基板ステージが駆動制御される。このとき、基板ステージの位置は第1の位置計測手段により計測され、第1の時間遅れ補正手段により第1の位置計測手段の計測の時間遅れが補正される。一方、マスクステージの位置は第2の位置計測手段により計測され、この第2の計測手段の計測の時間遅れが第2の時間遅れ補正手段により補正される。そして、第2のステージ制御系では基板ステージとマスクステージとが所定の位置関係になるように、時間遅れが補正された後の基板ステージの位置情報と時間遅れが補正された後のマスクステージの位置情報とに基づいてマスクステージを駆動制御する。
【0009】
これによれば、マスクステージ、基板ステージともにそれぞれの位置計測手段の計測の時間遅れが補正された位置情報に基づいて両ステージが所定の位置関係になるように制御されるので、位置計測の時間遅れにより両ステージ間に同期ズレが生じることがない。上記と反対に、第1のステージ制御系によりマスクステージを駆動制御し、第2のステージ制御系により基板ステージを駆動制御しても同様である。
【0010】
請求項2に記載の発明では請求項1に記載の第1及び第2の時間遅れ補正手段の少なくとも一方が、予め測定した対応する位置計測手段の固有の遅れ時間(計測の時間遅れ)Δtと対応するステージの走査速度vとの積を計測された位置に加算して時間遅れを補正する。これによれば、位置計測手段の固有の遅れ時間Δtの間にそのステージが進む距離(Δt×v)が測定値に加算されるので、結果的に正しい位置をリアルタイムに測定したのと同じことになって計測時間遅れによる悪影響は生じない。例えば、位置計測手段としてレーザ干渉計を使用する場合の計測の時間遅れは、数十μsecであるからこの間のステージの走査速度は一定と考えて良いので、非常に高精度に時間遅れが補正される。
【0011】
【実施例】
《第1実施例》
以下、本発明の一実施例を図1に基づいて説明する。
【0012】
図1には、スキャン型露光装置に適用された一実施例に係るステージ駆動制御装置10の構成が示されている。
【0013】
図1において、除振台12の上には、本体コラム14及びウエハ支持台16が載置され、本体コラム14の上には、レチクル支持台18が載置されている。
【0014】
ウエハ支持台16上には、基板ステージとしてのウエハステージ(WSTG)20が走査方向(図1におけるY方向)及びこれに直交するX方向(図1における紙面直交方向)に移動可能に設けられている。また、レチクル支持台18上にはマスクステージとしてのレチクルステージ(RSTG)22が走査方向に移動可能に設けられている。
【0015】
ウエハステージ20の上方には、投影光学系PLがその光軸を当該ウエハステージ20の移動面に直交する方向(図1におけるZ方向)に向けて配置され、本体コラム14に保持されている。ウエハステージ20上に感光基板としてのウエハWが載置され、レチクルステージ22上にマスクとしてのレチクルRが載置されている。レチクルのパターン面とウエハ表面とは、投影光学系PLに関して共役となるようにされている。
【0016】
ウエハステージ20の走査方向の一端(図1における左端)にウエハ・レーザ干渉計(Wレーザ干渉計)26用の移動鏡30が走査直交方向に延設されている。同様に、レチクルステージ22の走査方向の他端(図1における右端)には、レチクル・レーザ干渉計(Rレーザ干渉計)32用の移動鏡36が走査直交方向に延設されている。
【0017】
ステージ駆動制御装置10は、移動鏡30に向けてレーザ光を照射すると共にその反射光を受光してウエハステージ20の位置を検出する第1の位置計測手段としてのウエハ・レーザ干渉計(Wレーザ干渉計)26と、移動鏡36に向けてレーザ光を照射すると共にその反射光を受光してレチクルステージ22の位置を検出する第2の位置計測手段としてのレチクル・レーザ干渉計(Rレーザ干渉計)32と、第1のステージ制御系としてのウエハステージコントローラ40と、レチクルステージコントローラ42と、ウエハステージ用速度指令部(W速度指令部)46と、ウエハ・レーザ干渉計26の時間遅れを補正する第1の時間遅れ補正手段としての第1の遅れ補正部48と、レチクル・レーザ干渉計32の時間遅れを補正する第2の時間遅れ補正手段としての第2の遅れ補正部50と、演算回路52とを備えている。
【0018】
ウエハステージコントローラ40は、ウエハステージ用速度指令部46からの速度指令に基づいて図示しない駆動系を介してウエハステージ20の速度を制御する。
【0019】
第1の遅れ補正部48は、次式(1)に基づいてウエハ・レーザ干渉計26の位置計測の時間遅れを補正する。
【0020】
【数1】
WY’=WY+ΔtWY・vWY ………(1)
ここで、WY’:時間遅れ補正後のWステージの位置情報
WY :Wレーザ干渉計の計測値
ΔtWY:Wレーザ干渉計の遅れ時間
vWY :ウエハステージの走査速度
【0021】
同様に、第2遅れ補正部48は、次式(2)に基づいてレチクル・レーザ干渉計32の位置計測の時間遅れを補正する。
【0022】
【数2】
RY’=RY+ΔtRY・vRY ………(2)
ここで、RY’ :時間遅れ補正後のRステージの位置情報
RY :Rレーザ干渉計の計測値
ΔtRY :Rレーザ干渉計の遅れ時間
vRY :レチクルステージの走査速度
【0023】
ここで、Wレーザ干渉計26の遅れ時間ΔtWY、Rレーザ干渉計32の遅れ時間ΔtRYは、それぞれの干渉計に固有の値で、本実施例では予めそれぞれのレーザ干渉計の受光系、回路系の処理時間による時間遅れを電気計測器を用いて直接測定し、その測定結果が遅れ時間ΔtWY、ΔtRYとして図示しないメモリに格納されている。
【0024】
演算器52は、これら第1、第2の遅れ補正部48、50からの位置情報WY’、RY’を入力し、レチクルステージ座標系上での両ステージ20、22の位置誤差を次式(3)に基づいて演算する。
【0025】
【数3】
ErrRY=aWY’−RY’ ………(3)
ここで、ErrRY :レチクルステージ座標系上での両ステージの位置誤差
a :投影光学系PLの投影倍率の逆数
【0026】
レチクルステージコントローラ42は、演算器52と共に第2のステージ制御系を構成するもので、演算器52から出力される両ステージ20、22の位置誤差ErrRY を零にするように図示しない駆動系を介してレチクルステージ22を駆動制御する。
【0027】
以上のようにして構成されたステージ駆動制御装置10によれば、ウエハステージコントローラ40に速度指令(スキャンコマンド)が与えられウエハステージ20がY方向にスキャン動作を開始する。その結果、時事刻々変化するウエハステージ20の位置がWレーザ干渉計26により計測される。第1の遅れ補正部48は、式(1)によりWレーザ干渉計26の計測値WYを補正してWY’を求める。同様に、第2の遅れ補正部50によって式(2)に基づいてRY’が求められている。演算器52によって式(3)に基づいてErrRY が算出され、レチクルステージコントローラ42によってErrRY を零とするようにレチクルステージ22が駆動制御される。このようにして、レチクルRの投影像が常にウエハW上で静止するように、投影レンズPLの投影倍率比でレチクルステージ22とウエハステージ20が速度制御される。
【0028】
以上説明したように、本第1実施例によると、ウエハ・レーザ干渉計26、レチクル・レーザ干渉計32の計測の時間遅れが、第1、第2の遅れ補正部48、50によって補正されるので、ウエハステージ26、レチクルステージ32の走査速度(スキャン速度)が高速になっても両ステージ26、32に同期ズレが殆ど生ずることがない。
【0029】
《第2実施例》
次に、本発明の第2実施例を図2ないし図3に基づいて説明する。この第2実施例のステージ駆動制御装置では、レチクルステージ22、ウエハステージ20側ともに干渉計の配置が異なるものの、全体的な構成は第1実施例の装置10と同様である。そこで、以下の説明においては、第1実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるものとする。
【0030】
図2には、本第2実施例のレチクル・レーザ干渉計の配置を説明するためのレチクルステージ32の平面図が示されている。この図2において、レチクルステージ22のY方向の一端(図における右端)には、所定間隔を隔ててコーナキューブ型の反射要素から成る一対のY方向の移動鏡36Y1 、36Y2 が配置されている。また、X方向の一端(図における下端)にはX方向の移動鏡36XがY方向に延設されている。
【0031】
前記一対のY方向の移動鏡36Y1 、36Y2 には、Y軸用のレーザ干渉計32Y1 、32Y2 からレーザ光がY軸に平行に照射され、移動鏡36Y1 、36Y2 で反射されたレーザ光はそれぞれ反射ミラー60、62で反射されて戻されている。即ち、レーザ干渉計32Y1 、32Y2 はダブルパス干渉計であり、これによってレチクルステージ32の回転によるレーザビームの位置ずれが生じ難いようになっている。
【0032】
また、X方向の移動鏡36Xには、X軸用のレーザ干渉計32XからX軸に平行にレーザビームが照射され、レーザ干渉計32Xではこの移動鏡からの反射光を受光してレチクルステージ22のX方向位置を計測するようになっている。
【0033】
図3には、本第2実施例のウエハ・レーザ干渉計の配置を説明するためのウエハステージ20の平面図が示されている。この図3において、ウエハステージ20のY方向の一端(図における左端)にはY方向の移動鏡30YがX方向に延設され、また、X方向の一端(図における下端)にはX方向の移動鏡30XがY方向に延設されている。
【0034】
Y方向の移動鏡30Yには、一対のY軸用のレーザ干渉計26Y1 、26Y2 からY軸に平行な光路に沿って所定間隔でレーザ光がぞれぞれ照射され、レーザ干渉計26Y1 、26Y2 ではこの移動鏡30Yからの反射光を受光してウエハステージ20のY方向位置をそれぞれ計測するようになっている。また、X方向の移動鏡30Xには、一対のX軸用のレーザ干渉計26X1 、26X2 からX軸に平行な光路に沿って所定間隔でレーザ光がそれぞれ照射され、レーザ干渉計26X1 、26X2 ではこの移動鏡30Xからの反射光を受光してウエハステージ20のX方向位置をそれぞれ計測するようになっている。このように、本第2実施例では、X軸用、Y軸用として各一対のウエハ・レーザ干渉計が設けられ、これによりウエハステージ20のXY2次元方向位置に加え、回転方向の位置をも計測できるようになっている。
【0035】
本実施例のステージ駆動制御装置の構成の特徴を簡単に言えば、前述した図1において、Wレーザ干渉計26がウエハ側の4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 に置き換えられ、Rレーザ干渉計32がレチクル側の3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 に置き換えられ、これに対応して第1の遅れ補正部48によってウエハ側の4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 のそれぞれの計測の時間遅れが補正され、第2の遅れ補正部50によってレチクル側の3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 のそれぞれの計測の時間遅れが補正され、演算器52の計算が複雑になっているということである。
【0036】
これを更に詳述すると、第1の遅れ補正部48では次式(4)に従って4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 の時間遅れを補正する。
【0037】
【数4】
【0038】
ここで、WX1’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26X1 の位置情報
WX2’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26X2 の位置情報
WY1’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26Y1 の位置情報
WY2’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26Y2 の位置情報
WX1 :レーザ干渉計26X1 の計測値
WX2 :レーザ干渉計26X2 の計測値
WY1 :レーザ干渉計26Y1 の計測値
WY2 :レーザ干渉計26Y2 の計測値
ΔtWX1 :レーザ干渉計26X1 の遅れ時間
ΔtWX2 :レーザ干渉計26X2 の遅れ時間
ΔtWY1 :レーザ干渉計26Y1 の遅れ時間
ΔtWY2 :レーザ干渉計26Y2 の遅れ時間
vWX :ウエハステージの走査直交方向速度
vWY :ウエハステージの走査方向速度
【0039】
同様に、第2の遅れ補正部50では次式(5)に従って3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 の時間遅れを補正する。
【0040】
【数5】
【0041】
ここで、RX’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Xの位置情報
RL’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Y1 の位置情報
RR’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Y2 の位置情報
RX :レーザ干渉計32Xの計測値
RL :レーザ干渉計32Y1 の計測値
RR :レーザ干渉計32Y2 の計測値
ΔtRX:レーザ干渉計32Xの遅れ時間
ΔtRL:レーザ干渉計32Y1 の遅れ時間
ΔtRR:レーザ干渉計32Y2 の遅れ時間
vRX :レチクルステージの走査直交方向速度
vRY :レチクルステージの走査方向速度
【0042】
ここで、それぞれのレーザ干渉計の遅れ時間ΔtWX1 、ΔtWX2 、ΔtWY1 、ΔtWY2 、ΔtRX、ΔtRL、ΔtRRは、それぞれの干渉計に固有の値で、本実施例では予めそれぞれのレーザ干渉計の受光系、回路系の処理時間による時間遅れを電気計測器を用いて直接測定し、その測定結果が遅れ時間ΔtWX1 、ΔtWX2 、ΔtWY1 、ΔtWY2 、ΔtRX、ΔtRL、ΔtRRとして図示しないメモリに格納されている。
【0043】
演算器52は、第1の遅れ補正部48からの位置情報WX1’、WX2’、WY1’、WY2’と、第2の遅れ補正部50からの位置情報RX’、RL’、RR’を入力し、レチクル干渉計側座標上での両ステージ20、22の位置誤差ErrRX、ErrRL、ErrRRを次式(6)に基づいて演算する。
【0044】
【数6】
【0045】
但し、a11〜a34:レチクル座標とウエハ座標の関係を定める定数
b1 〜b3 :レチクル干渉計側座標とウエハ干渉計側座標のオフセットなお、a11〜a34を要素とするマトリックスは、座標変換マトリックスである。
【0046】
レチクルステージコントローラ42は、演算器52から出力される両ステージ20、22の位置誤差ErrRX、ErrRL、ErrRRを零にするように図示しない駆動系を介してレチクルステージ22を駆動制御する。その他の部分の構成は、第1実施例と同様である。
【0047】
以上のようにして構成された本第2実施例のステージ駆動制御装置によれば、ウエハステージコントローラ40に速度指令(スキャンコマンド)が与えられウエハステージ20がY方向にスキャン動作を開始する。ウエハステージ20の位置がレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 より計測される。第1の遅れ補正部48は、式(4)によりレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 の計測値WX1、WX2、WY1、WY2を補正してWX1’、WX2’、WY1’、WY2’を求める。ここで、ウエハX方向スキャン速度vWXは、通常ほとんど零であるが、ステージガイドに回転や直交度曲がりがあると生ずる。
【0048】
同様に、第2の遅れ補正部50によって式(5)に基づいてRX’、RL’、RR’が求められている。演算器52によって式(6)に基づいてErrRX、ErrRL、ErrRRが算出され、レチクルステージコントローラ42によってErrRX、ErrRL、ErrRRを零とするようにレチクルステージ22が駆動制御される。このようにして、レチクルRのパターンの投影像が常にウエハW上で静止するように、投影レンズPLの投影倍率比でレチクルステージ22とウエハステージ20の走査速度が制御される。
【0049】
以上説明した本第2実施例によると、第1実施例と同様に、ウエハステージ20、レチクルステージ22の走査速度(スキャン速度)が高速になっても両ステージ20、22に同期ズレが生ずるのを有効に防止することができる他、回転方向ズレ(例えばレーザ干渉計32Y1 、32Y2 間に遅れ誤差があると生じる)も補正することができるという利点もある。
【0050】
なお、上記第1、第2実施例では、レーザ干渉計の時間遅れを計測する方法として、直接電気計測器によって受光系・回路系の遅れを測定する場合について例示したが、走査(スキャン)速度を変えて露光を行い、できた像の位置ズレを計測することにより、各レーザ干渉計の時間遅れを間接的に計測しても良い。
【0051】
また、上記第1、第2実施例では、スキャンコマンドをウエハステージコントローラに与え、ウエハステージの位置情報をレチクルステージの閉ループ制御系に与え、レチクルステージがウエハステージを追従する構成のステージ制御装置について例示したが、本発明がこれに限定されるものではなく、反対に、スキャンコマンドをレチクルステージコントローラに与え、レチクルステージの位置情報をウエハステージの閉ループ制御系に与え、ウエハステージがレチクルステージを追従する構成にすることも可能である。
【0052】
更に、上記実施例では、ウエハステージの制御系を開ループの速度制御系から成るウエハステージコントローラ40により構成する場合を例示したが、例えば、第1の遅れ補正部48の出力をウエハステージコントローラ40にフィードバックし、このフィードバック信号の微分値とW速度指令部からの速度指令値との偏差を動作信号とするPID制御器等によりウエハステージコントローラ40を構成し、閉ループのウエハステージの速度制御系によってウエハステージを速度制御してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステージの位置計測の時間遅れに伴う基板ステージとマスクステージとの同期ズレの発生を有効に防止することができるという従来にない優れた効果がある。
【0054】
特に、請求項2に記載の発明ではステージの位置をリアルタイムに計測したのと同じ結果となって、位置計測の時間遅れを確実に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るステージ駆動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施例に係るレチクルステージの概略平面図である。
【図3】第2実施例に係るウエハステージの概略平面図である。
【符号の説明】
10 ステージ駆動制御装置
20 ウエハステージ(基板ステージ)
22 レチクルステージ(マスクステージ)
26 ウエハ・レーザ干渉計(第1の位置計測手段)
32 レチクル・レーザ干渉計(第2の位置計測手段)
40 ウエハステージコントローラ(第1のステージ制御系)
42 レチクルステージコントローラ(第2のステージ制御系の一部)
48 第1の遅れ補正部(第1の時間遅れ補正手段)
50 第2の遅れ補正部(第2の時間遅れ補正手段)
52 演算器(第2のステージ制御系の一部)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(感光基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステージ駆動制御装置に係り、特にマスクステージと基板ステージとを同期してそれぞれ所定走査方向に移動させつつマスク上のパターンを感光基板に転写する、いわゆるスキャン型露光装置用として好適なステージ駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャン型露光装置は、基板ステージとマスクステージ(レチクルステージ)を逆方向又は同一方向に同時に加速し、加速終了後の各ステージの速度を同期させ、基板ステージ上の感光基板にレチクル上のパターンを投影光学系を介して転写する露光装置である。
【0003】
このスキャン型投影露光装置では、ウエハステージ、レチクルステージの位置をそれぞれ位置センサを用いて検出し、これらのステージを同時に駆動制御している。より具体的には、一方のステージ、例えばウエハステージのコントローラに速度指令を与え、ウエハステージの位置を検出する位置センサの出力をレチクルステージの制御系に与え、このレチクルステージの制御系がレチクルステージ座標系上での両ステージの位置誤差分をキャンセルすべく、レチクルステージを駆動制御することにより、両ステージが所定の位置関係を維持して同期制御がなされるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ステージの速度が高速になるのに伴って位置センサの計測時の時間遅れに起因する両ステージの同期ズレが問題となってきた。例えば、位置センサとしてレーザ干渉計を用いる装置においては、受光素子や回路(例えば、センサアンプのアナログ回路)の信号処理時間により数十μsecの時間遅れが実際のステージ移動位置と位置の計測結果との間に生ずる。この時間遅れの影響が全てのセンサで同一であれば同期制御に影響は与えない。しかし、現実には、時間遅れはセンサ毎に異なる(センサ間にバラツキがある)ことが殆どであり、このためレチクルステージとウエハステージとの間に同期ズレが生じ、これが露光不良の一因となるという不都合があった。ステージの速度が早い程、この同期ズレによる位置ずれも大きくなる。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の有する不都合に鑑みてなされたもので、その目的は、基板ステージとマスクステージとの同期ズレの発生を有効に防止することができるステージ駆動制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マスクを保持して所定の走査方向に移動可能なマスクステージと、感光基板を保持して前記走査方向に移動可能な基板ステージとを備えた露光装置に用いられる、ステージ駆動制御装置であって、位置又は速度の指令に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージの内の一方のステージを駆動制御する第1のステージ制御系と;前記一方のステージの位置を計測する第1の位置計測手段と;前記第1の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第1の時間遅れ補正手段と;他方のステージの位置を計測する第2の位置計測手段と;前記第2の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第2の時間遅れ補正手段と;前記一方のステージと他方のステージとが所定の位置関係になるように、時間遅れが補正された後の前記一方のステージの位置情報と時間遅れが補正された後の前記他方のステージの位置情報とに基づいて前記他方のステージを駆動制御する第2のステージ制御系とを有する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステージ駆動制御装置において、前記第1及び第2の時間遅れ補正手段の少なくとも一方は、予め測定した対応する位置計測手段の固有の遅れ時間と対応するステージの走査速度との積を計測された位置に加算して時間遅れを補正することを特徴とする。
【0008】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、露光のための走査中、第1のステージ制御系により位置又は速度の指令に基づいてマスクステージと基板ステージの内の一方のステージ、例えば基板ステージが駆動制御される。このとき、基板ステージの位置は第1の位置計測手段により計測され、第1の時間遅れ補正手段により第1の位置計測手段の計測の時間遅れが補正される。一方、マスクステージの位置は第2の位置計測手段により計測され、この第2の計測手段の計測の時間遅れが第2の時間遅れ補正手段により補正される。そして、第2のステージ制御系では基板ステージとマスクステージとが所定の位置関係になるように、時間遅れが補正された後の基板ステージの位置情報と時間遅れが補正された後のマスクステージの位置情報とに基づいてマスクステージを駆動制御する。
【0009】
これによれば、マスクステージ、基板ステージともにそれぞれの位置計測手段の計測の時間遅れが補正された位置情報に基づいて両ステージが所定の位置関係になるように制御されるので、位置計測の時間遅れにより両ステージ間に同期ズレが生じることがない。上記と反対に、第1のステージ制御系によりマスクステージを駆動制御し、第2のステージ制御系により基板ステージを駆動制御しても同様である。
【0010】
請求項2に記載の発明では請求項1に記載の第1及び第2の時間遅れ補正手段の少なくとも一方が、予め測定した対応する位置計測手段の固有の遅れ時間(計測の時間遅れ)Δtと対応するステージの走査速度vとの積を計測された位置に加算して時間遅れを補正する。これによれば、位置計測手段の固有の遅れ時間Δtの間にそのステージが進む距離(Δt×v)が測定値に加算されるので、結果的に正しい位置をリアルタイムに測定したのと同じことになって計測時間遅れによる悪影響は生じない。例えば、位置計測手段としてレーザ干渉計を使用する場合の計測の時間遅れは、数十μsecであるからこの間のステージの走査速度は一定と考えて良いので、非常に高精度に時間遅れが補正される。
【0011】
【実施例】
《第1実施例》
以下、本発明の一実施例を図1に基づいて説明する。
【0012】
図1には、スキャン型露光装置に適用された一実施例に係るステージ駆動制御装置10の構成が示されている。
【0013】
図1において、除振台12の上には、本体コラム14及びウエハ支持台16が載置され、本体コラム14の上には、レチクル支持台18が載置されている。
【0014】
ウエハ支持台16上には、基板ステージとしてのウエハステージ(WSTG)20が走査方向(図1におけるY方向)及びこれに直交するX方向(図1における紙面直交方向)に移動可能に設けられている。また、レチクル支持台18上にはマスクステージとしてのレチクルステージ(RSTG)22が走査方向に移動可能に設けられている。
【0015】
ウエハステージ20の上方には、投影光学系PLがその光軸を当該ウエハステージ20の移動面に直交する方向(図1におけるZ方向)に向けて配置され、本体コラム14に保持されている。ウエハステージ20上に感光基板としてのウエハWが載置され、レチクルステージ22上にマスクとしてのレチクルRが載置されている。レチクルのパターン面とウエハ表面とは、投影光学系PLに関して共役となるようにされている。
【0016】
ウエハステージ20の走査方向の一端(図1における左端)にウエハ・レーザ干渉計(Wレーザ干渉計)26用の移動鏡30が走査直交方向に延設されている。同様に、レチクルステージ22の走査方向の他端(図1における右端)には、レチクル・レーザ干渉計(Rレーザ干渉計)32用の移動鏡36が走査直交方向に延設されている。
【0017】
ステージ駆動制御装置10は、移動鏡30に向けてレーザ光を照射すると共にその反射光を受光してウエハステージ20の位置を検出する第1の位置計測手段としてのウエハ・レーザ干渉計(Wレーザ干渉計)26と、移動鏡36に向けてレーザ光を照射すると共にその反射光を受光してレチクルステージ22の位置を検出する第2の位置計測手段としてのレチクル・レーザ干渉計(Rレーザ干渉計)32と、第1のステージ制御系としてのウエハステージコントローラ40と、レチクルステージコントローラ42と、ウエハステージ用速度指令部(W速度指令部)46と、ウエハ・レーザ干渉計26の時間遅れを補正する第1の時間遅れ補正手段としての第1の遅れ補正部48と、レチクル・レーザ干渉計32の時間遅れを補正する第2の時間遅れ補正手段としての第2の遅れ補正部50と、演算回路52とを備えている。
【0018】
ウエハステージコントローラ40は、ウエハステージ用速度指令部46からの速度指令に基づいて図示しない駆動系を介してウエハステージ20の速度を制御する。
【0019】
第1の遅れ補正部48は、次式(1)に基づいてウエハ・レーザ干渉計26の位置計測の時間遅れを補正する。
【0020】
【数1】
WY’=WY+ΔtWY・vWY ………(1)
ここで、WY’:時間遅れ補正後のWステージの位置情報
WY :Wレーザ干渉計の計測値
ΔtWY:Wレーザ干渉計の遅れ時間
vWY :ウエハステージの走査速度
【0021】
同様に、第2遅れ補正部48は、次式(2)に基づいてレチクル・レーザ干渉計32の位置計測の時間遅れを補正する。
【0022】
【数2】
RY’=RY+ΔtRY・vRY ………(2)
ここで、RY’ :時間遅れ補正後のRステージの位置情報
RY :Rレーザ干渉計の計測値
ΔtRY :Rレーザ干渉計の遅れ時間
vRY :レチクルステージの走査速度
【0023】
ここで、Wレーザ干渉計26の遅れ時間ΔtWY、Rレーザ干渉計32の遅れ時間ΔtRYは、それぞれの干渉計に固有の値で、本実施例では予めそれぞれのレーザ干渉計の受光系、回路系の処理時間による時間遅れを電気計測器を用いて直接測定し、その測定結果が遅れ時間ΔtWY、ΔtRYとして図示しないメモリに格納されている。
【0024】
演算器52は、これら第1、第2の遅れ補正部48、50からの位置情報WY’、RY’を入力し、レチクルステージ座標系上での両ステージ20、22の位置誤差を次式(3)に基づいて演算する。
【0025】
【数3】
ErrRY=aWY’−RY’ ………(3)
ここで、ErrRY :レチクルステージ座標系上での両ステージの位置誤差
a :投影光学系PLの投影倍率の逆数
【0026】
レチクルステージコントローラ42は、演算器52と共に第2のステージ制御系を構成するもので、演算器52から出力される両ステージ20、22の位置誤差ErrRY を零にするように図示しない駆動系を介してレチクルステージ22を駆動制御する。
【0027】
以上のようにして構成されたステージ駆動制御装置10によれば、ウエハステージコントローラ40に速度指令(スキャンコマンド)が与えられウエハステージ20がY方向にスキャン動作を開始する。その結果、時事刻々変化するウエハステージ20の位置がWレーザ干渉計26により計測される。第1の遅れ補正部48は、式(1)によりWレーザ干渉計26の計測値WYを補正してWY’を求める。同様に、第2の遅れ補正部50によって式(2)に基づいてRY’が求められている。演算器52によって式(3)に基づいてErrRY が算出され、レチクルステージコントローラ42によってErrRY を零とするようにレチクルステージ22が駆動制御される。このようにして、レチクルRの投影像が常にウエハW上で静止するように、投影レンズPLの投影倍率比でレチクルステージ22とウエハステージ20が速度制御される。
【0028】
以上説明したように、本第1実施例によると、ウエハ・レーザ干渉計26、レチクル・レーザ干渉計32の計測の時間遅れが、第1、第2の遅れ補正部48、50によって補正されるので、ウエハステージ26、レチクルステージ32の走査速度(スキャン速度)が高速になっても両ステージ26、32に同期ズレが殆ど生ずることがない。
【0029】
《第2実施例》
次に、本発明の第2実施例を図2ないし図3に基づいて説明する。この第2実施例のステージ駆動制御装置では、レチクルステージ22、ウエハステージ20側ともに干渉計の配置が異なるものの、全体的な構成は第1実施例の装置10と同様である。そこで、以下の説明においては、第1実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるものとする。
【0030】
図2には、本第2実施例のレチクル・レーザ干渉計の配置を説明するためのレチクルステージ32の平面図が示されている。この図2において、レチクルステージ22のY方向の一端(図における右端)には、所定間隔を隔ててコーナキューブ型の反射要素から成る一対のY方向の移動鏡36Y1 、36Y2 が配置されている。また、X方向の一端(図における下端)にはX方向の移動鏡36XがY方向に延設されている。
【0031】
前記一対のY方向の移動鏡36Y1 、36Y2 には、Y軸用のレーザ干渉計32Y1 、32Y2 からレーザ光がY軸に平行に照射され、移動鏡36Y1 、36Y2 で反射されたレーザ光はそれぞれ反射ミラー60、62で反射されて戻されている。即ち、レーザ干渉計32Y1 、32Y2 はダブルパス干渉計であり、これによってレチクルステージ32の回転によるレーザビームの位置ずれが生じ難いようになっている。
【0032】
また、X方向の移動鏡36Xには、X軸用のレーザ干渉計32XからX軸に平行にレーザビームが照射され、レーザ干渉計32Xではこの移動鏡からの反射光を受光してレチクルステージ22のX方向位置を計測するようになっている。
【0033】
図3には、本第2実施例のウエハ・レーザ干渉計の配置を説明するためのウエハステージ20の平面図が示されている。この図3において、ウエハステージ20のY方向の一端(図における左端)にはY方向の移動鏡30YがX方向に延設され、また、X方向の一端(図における下端)にはX方向の移動鏡30XがY方向に延設されている。
【0034】
Y方向の移動鏡30Yには、一対のY軸用のレーザ干渉計26Y1 、26Y2 からY軸に平行な光路に沿って所定間隔でレーザ光がぞれぞれ照射され、レーザ干渉計26Y1 、26Y2 ではこの移動鏡30Yからの反射光を受光してウエハステージ20のY方向位置をそれぞれ計測するようになっている。また、X方向の移動鏡30Xには、一対のX軸用のレーザ干渉計26X1 、26X2 からX軸に平行な光路に沿って所定間隔でレーザ光がそれぞれ照射され、レーザ干渉計26X1 、26X2 ではこの移動鏡30Xからの反射光を受光してウエハステージ20のX方向位置をそれぞれ計測するようになっている。このように、本第2実施例では、X軸用、Y軸用として各一対のウエハ・レーザ干渉計が設けられ、これによりウエハステージ20のXY2次元方向位置に加え、回転方向の位置をも計測できるようになっている。
【0035】
本実施例のステージ駆動制御装置の構成の特徴を簡単に言えば、前述した図1において、Wレーザ干渉計26がウエハ側の4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 に置き換えられ、Rレーザ干渉計32がレチクル側の3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 に置き換えられ、これに対応して第1の遅れ補正部48によってウエハ側の4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 のそれぞれの計測の時間遅れが補正され、第2の遅れ補正部50によってレチクル側の3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 のそれぞれの計測の時間遅れが補正され、演算器52の計算が複雑になっているということである。
【0036】
これを更に詳述すると、第1の遅れ補正部48では次式(4)に従って4つのレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 の時間遅れを補正する。
【0037】
【数4】
【0038】
ここで、WX1’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26X1 の位置情報
WX2’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26X2 の位置情報
WY1’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26Y1 の位置情報
WY2’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計26Y2 の位置情報
WX1 :レーザ干渉計26X1 の計測値
WX2 :レーザ干渉計26X2 の計測値
WY1 :レーザ干渉計26Y1 の計測値
WY2 :レーザ干渉計26Y2 の計測値
ΔtWX1 :レーザ干渉計26X1 の遅れ時間
ΔtWX2 :レーザ干渉計26X2 の遅れ時間
ΔtWY1 :レーザ干渉計26Y1 の遅れ時間
ΔtWY2 :レーザ干渉計26Y2 の遅れ時間
vWX :ウエハステージの走査直交方向速度
vWY :ウエハステージの走査方向速度
【0039】
同様に、第2の遅れ補正部50では次式(5)に従って3つのレーザ干渉計32X、32Y1 、32Y2 の時間遅れを補正する。
【0040】
【数5】
【0041】
ここで、RX’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Xの位置情報
RL’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Y1 の位置情報
RR’:時間遅れ補正後のレーザ干渉計32Y2 の位置情報
RX :レーザ干渉計32Xの計測値
RL :レーザ干渉計32Y1 の計測値
RR :レーザ干渉計32Y2 の計測値
ΔtRX:レーザ干渉計32Xの遅れ時間
ΔtRL:レーザ干渉計32Y1 の遅れ時間
ΔtRR:レーザ干渉計32Y2 の遅れ時間
vRX :レチクルステージの走査直交方向速度
vRY :レチクルステージの走査方向速度
【0042】
ここで、それぞれのレーザ干渉計の遅れ時間ΔtWX1 、ΔtWX2 、ΔtWY1 、ΔtWY2 、ΔtRX、ΔtRL、ΔtRRは、それぞれの干渉計に固有の値で、本実施例では予めそれぞれのレーザ干渉計の受光系、回路系の処理時間による時間遅れを電気計測器を用いて直接測定し、その測定結果が遅れ時間ΔtWX1 、ΔtWX2 、ΔtWY1 、ΔtWY2 、ΔtRX、ΔtRL、ΔtRRとして図示しないメモリに格納されている。
【0043】
演算器52は、第1の遅れ補正部48からの位置情報WX1’、WX2’、WY1’、WY2’と、第2の遅れ補正部50からの位置情報RX’、RL’、RR’を入力し、レチクル干渉計側座標上での両ステージ20、22の位置誤差ErrRX、ErrRL、ErrRRを次式(6)に基づいて演算する。
【0044】
【数6】
【0045】
但し、a11〜a34:レチクル座標とウエハ座標の関係を定める定数
b1 〜b3 :レチクル干渉計側座標とウエハ干渉計側座標のオフセットなお、a11〜a34を要素とするマトリックスは、座標変換マトリックスである。
【0046】
レチクルステージコントローラ42は、演算器52から出力される両ステージ20、22の位置誤差ErrRX、ErrRL、ErrRRを零にするように図示しない駆動系を介してレチクルステージ22を駆動制御する。その他の部分の構成は、第1実施例と同様である。
【0047】
以上のようにして構成された本第2実施例のステージ駆動制御装置によれば、ウエハステージコントローラ40に速度指令(スキャンコマンド)が与えられウエハステージ20がY方向にスキャン動作を開始する。ウエハステージ20の位置がレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 より計測される。第1の遅れ補正部48は、式(4)によりレーザ干渉計26X1 、26X2 、26Y1 、26Y2 の計測値WX1、WX2、WY1、WY2を補正してWX1’、WX2’、WY1’、WY2’を求める。ここで、ウエハX方向スキャン速度vWXは、通常ほとんど零であるが、ステージガイドに回転や直交度曲がりがあると生ずる。
【0048】
同様に、第2の遅れ補正部50によって式(5)に基づいてRX’、RL’、RR’が求められている。演算器52によって式(6)に基づいてErrRX、ErrRL、ErrRRが算出され、レチクルステージコントローラ42によってErrRX、ErrRL、ErrRRを零とするようにレチクルステージ22が駆動制御される。このようにして、レチクルRのパターンの投影像が常にウエハW上で静止するように、投影レンズPLの投影倍率比でレチクルステージ22とウエハステージ20の走査速度が制御される。
【0049】
以上説明した本第2実施例によると、第1実施例と同様に、ウエハステージ20、レチクルステージ22の走査速度(スキャン速度)が高速になっても両ステージ20、22に同期ズレが生ずるのを有効に防止することができる他、回転方向ズレ(例えばレーザ干渉計32Y1 、32Y2 間に遅れ誤差があると生じる)も補正することができるという利点もある。
【0050】
なお、上記第1、第2実施例では、レーザ干渉計の時間遅れを計測する方法として、直接電気計測器によって受光系・回路系の遅れを測定する場合について例示したが、走査(スキャン)速度を変えて露光を行い、できた像の位置ズレを計測することにより、各レーザ干渉計の時間遅れを間接的に計測しても良い。
【0051】
また、上記第1、第2実施例では、スキャンコマンドをウエハステージコントローラに与え、ウエハステージの位置情報をレチクルステージの閉ループ制御系に与え、レチクルステージがウエハステージを追従する構成のステージ制御装置について例示したが、本発明がこれに限定されるものではなく、反対に、スキャンコマンドをレチクルステージコントローラに与え、レチクルステージの位置情報をウエハステージの閉ループ制御系に与え、ウエハステージがレチクルステージを追従する構成にすることも可能である。
【0052】
更に、上記実施例では、ウエハステージの制御系を開ループの速度制御系から成るウエハステージコントローラ40により構成する場合を例示したが、例えば、第1の遅れ補正部48の出力をウエハステージコントローラ40にフィードバックし、このフィードバック信号の微分値とW速度指令部からの速度指令値との偏差を動作信号とするPID制御器等によりウエハステージコントローラ40を構成し、閉ループのウエハステージの速度制御系によってウエハステージを速度制御してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステージの位置計測の時間遅れに伴う基板ステージとマスクステージとの同期ズレの発生を有効に防止することができるという従来にない優れた効果がある。
【0054】
特に、請求項2に記載の発明ではステージの位置をリアルタイムに計測したのと同じ結果となって、位置計測の時間遅れを確実に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るステージ駆動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施例に係るレチクルステージの概略平面図である。
【図3】第2実施例に係るウエハステージの概略平面図である。
【符号の説明】
10 ステージ駆動制御装置
20 ウエハステージ(基板ステージ)
22 レチクルステージ(マスクステージ)
26 ウエハ・レーザ干渉計(第1の位置計測手段)
32 レチクル・レーザ干渉計(第2の位置計測手段)
40 ウエハステージコントローラ(第1のステージ制御系)
42 レチクルステージコントローラ(第2のステージ制御系の一部)
48 第1の遅れ補正部(第1の時間遅れ補正手段)
50 第2の遅れ補正部(第2の時間遅れ補正手段)
52 演算器(第2のステージ制御系の一部)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(感光基板)
Claims (2)
- マスクを保持して所定の走査方向に移動可能なマスクステージと、感光基板を保持して前記走査方向に移動可能な基板ステージとを備えた露光装置に用いられる、ステージ駆動制御装置であって、
位置又は速度の指令に基づいて前記マスクステージと前記基板ステージの内の一方のステージを駆動制御する第1のステージ制御系と;
前記一方のステージの位置を計測する第1の位置計測手段と;
前記第1の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第1の時間遅れ補正手段と;
他方のステージの位置を計測する第2の位置計測手段と;
前記第2の位置計測手段の計測の時間遅れを補正する第2の時間遅れ補正手段と;
前記一方のステージと他方のステージとが所定の位置関係になるように、時間遅れが補正された後の前記一方のステージの位置情報と時間遅れが補正された後の前記他方のステージの位置情報とに基づいて前記他方のステージを駆動制御する第2のステージ制御系とを有するステージ駆動制御装置。 - 前記第1及び第2の時間遅れ補正手段の少なくとも一方は、予め測定した対応する位置計測手段の固有の遅れ時間と対応するステージの走査速度との積を計測された位置に加算して時間遅れを補正することを特徴とする請求項1に記載のステージ駆動制御装置。
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