JP3851704B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は超音波を用いた体内の断層像を表示する、いわゆる超音波診断装置に関するものであり、特にスライス方向のビーム幅を細くすることによって画像のコントラスト分解能の改善を図った超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波パルスを体内に放射し、各組織からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波断層法と超音波ドップラ法の2つの技術開発により近年急速な進歩を遂げた。今日最も普及している電子走査型の超音波診断装置は、配列型の超音波トランスデューサを用い、これを電子的に高速度に制御し走査することによってリアルタイム表示を可能とした。図2はセクタ電子走査型超音波診断装置の従来例を示すブロック図である。超音波プローブにおいて走査方向に配列されている振動子の素子数はMとする。超音波を生体内(あるいは媒質内)に送信する場合には、まずレートパルス発生器1によって、超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスが出力される。このレートパルスはMチャンネルから構成される送信用遅延回路2に送られ、送信時の超音波ビームのアレイ方向集束距離(F0 )を決定する遅延時間τf と所定方向(θi )に超音波ビームを偏向するための遅延時間τs が与えられ、Mチャンネルの振動子駆動回路(パルサ)3に供給される。すなわちm番目の遅延回路において設定される遅延時間τ(m)はτf (m)+τs (m)であり、τf 及びτs は次式(1)に従って設定される。
τf (m)=d2 {(M−1)2 −(2m−M−1)2 }/8CF0
τs (m)=(m−1)dsinθi /C …(1)
ただし、dは振動子配列間隔、Cは生体内音速、F0 は焦点距離、θi は偏向角(セクタ角)である。このパルサ3では、超音波振動子7を駆動し超音波を発生するための駆動パルスが形成され、その駆動パルスのタイミングは送信用遅延回路2の出力によって決定される。パルサ3からの出力は同軸ケーブル5を介して超音波振動子7に供給されてこれを駆動し、超音波が発生する。超音波振動子7から生体内に放射された超音波の一部は臓器の境界面あるいは生体組織の音響散乱体にて反射され、再び超音波振動子7によって受信されると共に電気信号に変換される。この受信信号は同軸ケーブル5、プリアンプ8を介した後、A/D変換器13にてデジタル信号に変換され、送信時と同様に受信時の超音波ビームのアレイ方向集束距離を決定する遅延時間と超音波ビームの偏向角度を決定する遅延時間とを与えるためのMチャンネルの受信用遅延回路9を経て加算器10に送られる。この加算器10によってMチャンネルの受信用遅延回路9からの出力信号は加算合成され、対数変換器11、包絡線検波回路12にて対数圧縮、検波されたのち画像メモリ15に一旦ストアされる。ここでストアされた信号はテレビフォーマットで出力されテレビモニタ16において超音波断層像として表示される。
【0003】
一方、加算器10の出力は2つの直交位相検波回路に送られる。すなわち加算器7の出力はまずミキサー回路19−1、19−2に送られる。ここで基準信号発生器17は所定の周波数(f0 )を有する連続波をミキサー回路19−1およびπ/2移相器18に対して出力する。ミキサ回路19−1には基準信号発生器17から出力された連続波が直接入力され、ミキサ回路19−2にはπ/2移相器18により位相が90度シフトされた連続波が入力される。このミキサ19−1、19−2の出力はローパスフィルタ(LPF)20−1、20−2にて和の周波数成分が除去され差の周波数成分のみが抽出される。この差の周波数成分をもった信号はメモリ回路(図示しない)に一旦ストアされる。ドップラ信号を算出するためには同一部位を連続的に走査し、その時点毎の複数の信号を用いる必要がある。このときの複数の信号はメモリ回路にて一旦記憶され、所定のデータ数が揃った時点で演算器22によりドップラ信号の周波数分析が行なわれる。超音波血流イメージング法において表示される物理量はスペクトルの中心(すなわち流速度の平均値)とスペクトルの分散値(すなわち流速の乱れの状態)である。これらの計算も演算器22にて実施される。演算器22により算出された値は画像メモリ15にて一旦記憶され、テレビモニタ16によって表示される。なお前記演算器22からの出力は超音波断層像上においてカラーで表示される場合が一般的である。
【0004】
以上述べたような従来の超音波診断装置では、方位分解能を高めるために送信時あるいは受信時において超音波ビームを集束させる方法が採られている。特に電子走査型の配列型振動子を有する装置では、送受信信号の遅延時間制御による電子集束法が用いられるのが一般的である。ただし電子集束法においては、集束点から離れた場所(深さ)で集束ビームが拡散し分解能が低下するという問題点がある。この問題点を解決する方法としてダイナミック集束法がある。ダイナミック集束法は受信時において時間と共に集束点が連続的に深さ方向に移動するような遅延時間制御を行なう方法であり、反射信号は常に受信超音波ビームが集束された領域から得られる。
【0005】
ここで、図3を参照しながらダイナミック集束法における遅延時間制御の原理を説明する。アレイ振動子7からの距離0からr1までの反射信号が得られるまで(すなわち時間0から2r1/Cまで)は、焦点距離がf1となるように受信遅延時間が設定される。次に振動子7からの距離r1からr2までの反射信号が得られるまで(すなわち時間2r1/Cから2r2/Cまで)は焦点距離がf2となるように受信遅延時間が設定される。さらに振動子からの距離r2以上からの反射信号が得られる場合(すなわち時間2r2/C以上)は、焦点距離がf3になるように受信遅延時間が設定される。ただし、0≦f1≦r1,r1≦f2≦r2,r2≦f3である。またこの場合において集束に使用される振動子の幅(口径)Mdが常に一定であれば、集束点が近距離ほど集束強度が強くなり、深さ方向に広い範囲で一様なビーム幅を得ることが難しくなる。このため従来では、近距離に焦点を設定する場合には口径幅を小さくする方法が同時に用いられている。すなわち焦点f1にビームを集束させる場合の口径をD1とし、同様に焦点f2、焦点f3に集束させる場合の口径をそれぞれD2、D3とすればD1<D2<D3となる。以下では受信信号に対し、深さに伴って集束点と口径幅とを同時に変化させる方法を可変口径焦点法と称する。
【0006】
次に従来の超音波プローブについて述べる。図4は振動子を1次元に配列した超音波プローブの構造を示す斜視断面図である。すなわちこのプローブでは走査方向に複数個の振動子70が1次元方向に配列される。各々の振動子70は超音波を送受信する媒質(生体)側とその反対側のそれぞれに電極71が装着され、また生体側の電極上には整合層(インピーダンスマッチング層)72が設けられている。整合層72は生体と振動子70との音響的インピーダンス(密度と音速の積)の差を調整し、波数の少ない超音波パルスを生体内に入射させるためのものである。また、整合層72上にはシリコンゴムなどで構成された音響レンズ73が張り合わされている。この音響レンズ73は所定の距離に超音波ビームを集束させ、走査方向と直交するスライス方向のビーム幅を狭めるためのものである。これらの振動子70や整合層72あるいは音響レンズ73などは支持台(背面負荷材、バッキング材ともいう)74上に固定されている。このように振動子が1次元方向に配列されたプローブにおいては、電子的に、すなわち振動子口径および遅延時間の制御によって振動子配列方向(走査方向)のビーム幅を深さによらず一様に細く保つことができる。これに対しスライス方向においては音響レンズ73を用いたビーム集束法が採用されており、この場合には音響レンズ73の曲率半径が固定であるため集束点は1点に固定され、開口幅の制御も行なえない。したがってスライス方向においてはビーム幅を一様に細く保つことは不可能であった。この問題点を解決するものとして2次元アレイプローブがある。2次元アレイプローブを採用し、スライス方向においても走査方向と同様に電子的な集束点の制御を行なえば、深さ方向の広い範囲において細いビーム幅を得ることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、アレイ方向にM個、スライス方向にN個の振動子を配列した2次元アレイプローブと本体側の送受信回路との間の信号伝送において次のような問題点がある。すなわち2次元アレイプローブ内の各振動子の電極から得られる受信信号をそれぞれ独立したケーブルを介して本体側の送受信回路に対し伝送する場合には、信号線の数がN倍となりケーブルが太くなるため操作性が悪くなる。そこでプローブ内に切り替えスイッチを含む電子回路を内蔵し個々の信号をある程度合成した後にケーブルを介して本体側と接続することが考えられる。しかしながら、プローブ内に例えば電子スイッチを内蔵した場合にはスイッチングによるノイズが発生し、これが受信信号に混入してしまう。このようなスイッチングノイズによる影響は、振動子からの受信信号が微弱であるため無視できないものとなる。したがって初期の段階で受信信号に混入したスイッチングノイズが後の信号処理において増幅され、最終的には診断画像上に表示されてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、振動子がアレイ及びチャネル方向の2次元に配列された2次元アレイプローブと装置本体との間の信号伝送を担うケーブルの本数を従来(1次元アレイプローブ)程度としても、ノイズによる画質の劣化がなく操作性に優れた超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために本発明は次のように構成されている。すなわち本発明の超音波診断装置は、第一の方向及びこれと直交する第二の方向に二次元的に配列された複数個の超音波振動子から構成され、超音波ビームの送受信を行なうための超音波プローブと、この超音波プローブを駆動することにより所定方向に送信ビームを放射させるための駆動手段と、前記駆動手段による送信ビームの放射方向を変化させることによって前記第一の方向の走査を行なう第一走査手段と、前記送信ビームを前記第一の方向及びこれと直交する第二の方向において集束させるための第一集束手段と、前記放射方向から反射される受信ビームを前記超音波振動子によって受信し、且つ前記第一の方向の走査を行なう第二走査手段と、前記受信ビームを前記第一の方向及びこれと直交する第二の方向において集束させるための受信集束手段と、この受信集束手段によって集束された受信ビームを信号処理し、これを画像として表示する表示手段とを具備する超音波診断装置において、前記第二の方向における口径を制御するために前記第二の方向の超音波振動子のスイッチングを行うスイッチング手段と、一回目の送受信を行うことにより第一の受信信号を収集し、前記スイッチング手段によるスイッチングのタイミングを前記一回目の送受信と異ならせて二回目の送受信を行うことにより第二の受信信号を収集し、前記第一の受信信号と前記第二の受信信号とを前記スイッチング手段によるスイッチングノイズを含まないように組み合わせることによって一走査方向の受信信号を再構成する再構成手段とを具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は振動子の切り替え制御の仕方を異にして同一方向の超音波送受信あるいは受信を複数回行ない、このとき得られるそれぞれの受信信号に含まれるスイッチングノイズを互いに避けるようにして合成する。ところで超音波診断においては肋骨の間を介して体内に向け超音波を送受信しなければならない場合が多い。この場合は特にスライス方向の口径幅が肋骨間の幅によって制約を受ける。したがってスライス方向については電子集束法による効果が送受信回路の複雑さに比べて少ない。この点に着目した本実施形態に係る超音波診断装置によれば、スライス方向の口径幅の制御のみを行なった方法や簡単な可変口径焦点法でも同程度の性能(方位分解能)が得られ、しかも装置の回路構成を簡素にできる(以下、口径幅のみを受信信号の深さにともなって変化させるこの方法を可変口径法と称する)。すなわち本実施形態では可変口径法によって同一方向の超音波送受信あるいは受信を複数回行ない、このときの受信信号に含まれるスイッチングノイズを避け、しかも受信深さが深くなるにしたがって口径幅が増加するように合成して表示する。したがって、振動子が1次元に配列される超音波プローブと比較してN倍の振動子数を有する2次元アレイプローブにおいても、本実施形態ではプローブから装置本体に接続されるケーブルの本数は従来程度でよい。このため操作性に優れ、しかも可変口径法では回路構成が比較的簡単な2次元アレイシステムを実現できる。
(第1実施形態)図5は本発明の第1実施形態に係る可変口径法の原理を示す図である。この図では2次元アレイプローブのスライス方向に6個の振動子を配列した場合が示されており、アレイ方向については省略してある。また送信手段についても省略してある。アレイ振動子の前面には従来のプローブと同様に音響レンズ(図示しない)が取り付けられており、送信および受信時の集束点が決定される。受信時においては、まずスライス方向振動子7の中心部の振動子3と4(D1)が選択され、深さr1までの信号受信(すなわちt=0からt=r1/c(cは媒質中の音速)までの受信)に用いられる。つぎにt=r1/cからt=r2/cまでの間は振動子2、3、4、5の4本(D2)が用いられる。さらにt=r2/cからは全ての振動子1、2、3、4、5、6(D3)が用いられる。この場合の切り替え点r1、r2は合成されるビーム幅ができるだけ一様となるように設定される。
【0013】
以上のような可変口径法は従来より知られている技術であるが、t=r1/c、t=r2/cでの切り替え点でのノイズ対策が重要である。従来の可変口径焦点法においても同様な切り替え動作は行なわれていたが、その場合は本体回路内に複雑な可変利得アンプをアレイ方向の各チャネルに用いていた。これに対して2次元アレイにおける振動子切り替え動作はスペースに余裕のないプローブ内でしかも微弱な信号に対して行なわなくてはならない。そこで本実施形態では、例えば同一方向に2回の送受信を行ない、この時得られた信号から振動子切り替えノイズを避けながら合成する。
【0014】
図6はこのようなノイズ対策のための可変口径制御を行なう場合の送受信のタイムチャートである。例えば所定方向の走査において第1番目の送信パルスが例えば振動子2、3、4、5に同時に与えられた超音波が媒質(生体)に向け放射される。この時振動子は2、3、4、5(D2)が用いられて受信される。次に第2番目の送信用パルスが前記と同様に振動子2、3、4、5(D2)に同時に与えられ超音波が放射される。受信時においてはt=r1/cまでは振動子3、4(D1)が用いられ、それ以降は振動子1、2、3、4、5、6(D3)がスイッチング回路にて選択使用される。同一方向における2回の送受信によって得られた信号は本体回路内のラインメモリにいったん記憶された後に合成される。すなわち図6に示すように1番目の送受信によって得られ記憶された信号Aではr1からr2までの画像情報が採用され、一方2番目の送受信によって得られ記憶された信号Bでは原点からr1およびr2以降の画像情報が画像メモリに編集記憶される。
【0015】
したがって、t=r1/c、t=r2/cでの切り替え点でのノイズを含まない信号を得ることができる。
次に、図1の受信系ブロック図を参照して本実施形態に係る超音波診断装置の基本動作を説明する。振動子口径の選び方は左右の対称性をもたせる必要があるため振動子3と4、2と5、1と6をあらかじめ接続しておくことが望ましい。同一方向の走査(この走査方向は同図に示すアレイ方向ビームフォーミング用の受信遅延回路9によってコントロールされる)のうち最初の送信によって得られる反射信号は振動子7によって受信される。このとき電子スイッチ6−1と6−2が導通状態となり、振動子7−2〜7−5によって受信された各々の信号はプリアンプ6−1および6−2、電子スイッチ6’−1および6’−2を介し、さらに同軸ケーブル5を介して本体の受信回路に送られる。
【0016】
受信回路に送られてきた信号は、まずA/D変換器13によりデジタル信号に変換された後、アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与えられた後、アレイ方向の他のチャネル(Mチャンネル)からの信号と加算合成される。加算器10の出力は対数変換器11にて振幅方向の対数圧縮が施され、検波回路12において包絡線検波された後、ラインメモリ14−1にいったん記憶される。
【0017】
次に、同一方向に関する2番目の送信が行なわれる。このときの反射波はt=0からt=r1/cの間は電子スイッチ6’−1が導通状態となり、振動子2、3(D1)の信号のみがプリアンプ6を介して受信される。また、t=r1/c以降では全ての電子スイッチ6’が導通状態となり振動子1、2、3、4、5、6(D3)の信号がプリアンプ6を介して受信される。したがって2番目の受信信号ではt=r1/c近辺にスイッチ切り替えノイズが発生している。2番目の受信信号は1番目の受信信号と同様にプリアンプ6から出力された後、同軸ケーブル5、A/D変換器13、アレイ方向ビームフォーミング用の受信遅延回路9、加算器10、対数変換器11、さらには検波回路12介してラインメモリ14−2に送られ、ここでいったん蓄積される。
【0018】
この2つのラインメモリ14には1番目の受信信号および2番目の受信信号がデジタル信号としてストアされており、この中から前述した所定の深さの信号を選択し、画像メモリ15の所定のアドレスの1ライン分の記憶領域に格納する。
【0019】
すなわち前記画像メモリ15の0〜r1およびr2より深い部分の画像信号はラインメモリ14−2から転送され、また画像メモリ15のr1〜r2の画像信号はラインメモリ14−1から転送されて記憶される。この画像メモリ15の他のアドレスにはアレイ方向の走査によって得られる他の方向の受信信号が、同様のスライス方向の可変口径処理がなされて記憶されている。こうして画像メモリ15に記憶された1枚の画像情報は、テレビフォーマットに変換されて出力され、テレビモニタ16によって表示される。
【0020】
次に、本実施形態に係る超音波診断装置全体の構成について図7のブロック図を参照して説明する。超音波プローブにおいて走査方向に配列されている振動子数をM、スライス方向の配列振動子数は6本とする。超音波診断のモードには大きく分類してBモード(断層像)とDモード(ドップラ)がある。まずBモードについて述べる。超音波を媒質(生体)内に送信する場合には、まずレートパルス発生器1によって超音波パルスの繰り返し周波数を決定するレートパルスを出力する。このレートパルスはMチャンネルから構成される送信用遅延回路2に送られ、送信時の走査方向超音波ビームの焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決定する遅延時間τs が与えられた後、Mチャンネルの振動子駆動回路3に供給される。この振動子駆動回路3では前記超音波振動子を駆動し超音波を発生するための駆動パルスが形成され、その駆動パルスのタイミングは送信用遅延回路2の出力によって決定される。この振動子駆動回路3の出力はM本の同軸ケーブル5、さらにプローブ内の電子スイッチ機能を備えたプリアンプ6を介して振動子7を駆動し、超音波を角度θi の方向に発生させる。
【0021】
ところで、送信時におけるスライス方向の振動子数はあらかじめ決められているのが一般的であり、すでに述べたような受信信号のスライス方向可変口径処理がなされる間も送信の口径は固定されることが望ましい。たとえば送信信号が供給される振動子7は前記スライス方向振動子1から6のうち振動子2、3、4、5が選ばれる。送受信における振動子の他の選択方法については後述する。
【0022】
送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内のθi 方向に放射された超音波は、生体内にて反射され再び超音波振動子7によって受信される。この時、すでに述べたようにプローブ内に設けられ、スライス方向振動子のスイッチング機能を備えたプリアンプ6によってスライス方向の振動子2、3、4、5(D2)が選択される。この受信信号は前記同軸ケーブル5とアンプ(増幅器)8を介してA/D変換器13に送られデジタル信号に変換された後、アレイ方向ビームフォーミング用受信遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与えられる。この本体装置の入力端にある増幅器8において、その利得調整がダイナミックに行なわれ、隣接振動子間での振幅重み付けによってアレイ方向での可変口径処理が行なわれる。
【0023】
また前記アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9において受信時の集束点と受信方向θi (受信指向性)が決定される。ただし前記受信集束点を決定する遅延時間は受信時刻とともに変化し、これにともなって受信集束点も変化する。すなわち前記増幅器の利得と受信遅延回路の遅延時間の可変機能によりアレイ方向においてはいわゆる可変口径焦点法が実現される。受信遅延回路9の出力は加算器10においてアレイ方向の他のチャネル(Mチャネル)からの信号と加算合成され、この加算器出力は対数変換器11にて振幅方向の対数圧縮がなされ、検波回路12において包絡線検波された後ラインメモリ14−1にいったん記憶される。
【0024】
次にレートパルス発生器1によってレートパルスが出力される。このパルスはMチャネル送信用遅延回路2に送られ、再度、送信時の走査において焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決定する遅延時間τsiが与えられ、Mチャネルの振動子駆動回路3に供給される。この駆動回路3の出力はM本の同軸ケーブル5を介してプローブ内の電子スイッチ機能を備えたプリアンプ6を介して振動子を駆動し再度超音波を角度θi の方向に発生させる。この時も送信時に用いられるスライス方向の振動子数はθi 方向の最初のビーム送信時と変わらない。送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内のθi 方向に放射された超音波は生体内にて反射され再び超音波振動子によって受信される。この時プリアンプ6によって受信時刻t=0からt=r1/cまではスライス方向の振動子3と4(D1)が選択され、t=r1/c以降はスライス方向の全ての振動子1から6(D3)が選択され受信される。この受信信号は前記同軸ケーブル5を介して本体受信回路に送られる。この受信回路では前記と同様に増幅器8、A/D変換器13、受信遅延回路9を介し、加算器においてアレイ方向の他のチャネル(Mチャネル)からの信号と加算合成される。さらにこの加算器出力は対数変換器11、検波回路12を介しラインメモリ19−2に記憶される。
【0025】
アレイ方向において全く同様の送受指向性をもち、スライス方向においては受信口径の異なる2回の超音波送受信によって得られた各々の受信信号は、ラインメモリ14に記憶され、この受信信号は前述した所定の深さの信号を選択合成させて画像メモリ15の所定のアドレスの1ライン分に記憶させる。すなわち前記画像メモリ15の0〜r1およびr2より深い部分の画像信号をラインメモリ14−2から、また画像メモリ15のr1〜r2の画像信号をラインメモリ14−1から選択することにより、前記スイッチング切り替えノイズが混入しないように選択記憶する。
【0026】
つぎにレートパルス発生器1によって第3のレートパルスが出力され、このパルスは送信用遅延回路2に送られ、送信時の走査において焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi+1 を決定する遅延時間τsi+1が与えられ、Mチャンネルの振動子駆動回路に供給される。この駆動回路の出力は同軸ケーブル5、プリアンプ6を介して振動子7を駆動し、今度は超音波を角度θi+1 の方向に発生させる。この時も送信時に用いられるスライス方向の振動子数はθi 方向のビーム送信時と変わらない。送信時に選ばれた2次元配列振動子からの生体内のθi+1 方向に放射された超音波は、生体内にて反射され再び超音波振動子によって受信される。この時スライス方向振動子スイッチング機能を備えたプリアンプ6によってスライス方向の振動子2、3、4、5(D2)が選択されて受信が行われ、その信号は同軸ケーブル5、増幅器8、A/D変換器13、受信遅延回路9、加算器10、対数変換器11、検波回路12を介してラインメモリ14−1に記憶される。
【0027】
アレイ方向においては全く同様の送受指向性をもち、スライス方向においては受信口径の異なる2回の超音波受信によって得られ、ラインメモリに記憶されたそれぞれの受信信号は、前述した所定の深さの信号を選択し画像メモリの所定のアドレスの1ライン分に記憶させる。すなわち前記画像メモリ15の0〜r1およびr2より深い部分の画像信号をラインメモリ14−2から、また画像メモリ15のr1〜r2の画像信号をラインメモリ14−1から選択し、前記スイッチング切り替えノイズが混入しないように選択記憶する。
【0028】
さらに、同様にしてレートパルス発生器1によって第4のレートパルスが出力され、以下同様な動作が繰り返される。このように画像メモリ15の他のアドレスにはアレイ方向のθi ,θi+1 ,θi+2 ...の走査によって得られた受信信号が同様なスライス方向可変口径処理がなされて記憶されることになる。画像メモリ20に記憶された1枚の画像情報はテレビフォーマットに変換されて出力され、テレビモニタ21によって表示される。
【0029】
次にドップラモード(Dモード)では、基本的にはプリアンプ内の電子スイッチはすべて導通状態に固定(あるいは口径D2に固定)とし、走査中のスライス方向口径のスイッチングは行なわない。すなわち従来のように分割されていない場合と全く同様の動作を行なうこととし、複数走査の信号の合成は行なわない。これはBモードでは同一方向を短時間に2回程度送受信して得られる信号はほぼ同一であると仮定できるのに対して、ドップラ信号では生体の動きに敏感であるためこの仮定が成立しないためである。すなわちプローブ内電子スイッチはBモード時には同一方向(部位)を複数回送受信して行なう可変口径法を行なうが、ドップラモードの場合には従来の走査方法に切り替える。このようにして得られたドップラモード時の受信信号の加算器10の出力は2つの直交位相検波回路に送られる。すなわち加算器10の出力はまずミキサー回路19−1、19−2に送られる。また基準信号発生器17からは所定の周波数(f0 )を有する連続波は、移相器18にてその位相が90度シフトされてミキサ回路19−2に入力され、ミキサ19−1には基準信号発生器20の出力が直接入力される。このミキサ19−1、19−2の出力はローパスフィルタ20−1、20−2にて和の周波数成分が除去され、差の周波数成分のみが抽出される。この差の周波数をもった信号はいったんメモリ回路にストアされる。
【0030】
ドップラ信号を算出するためには同一部位を連続的に走査しそのときの複数の信号を用いる必要がある。このときの複数の信号をメモリにて一旦記憶し、所定のデータ数が揃った時点で演算器22にてドップラ信号の周波数分析を行なう。超音波血流イメージング法において表示される物理量はスペクトルの中心(すなわち流速度の平均値)とスペクトルの分散値(すなわち流速の乱れの状態)である。これらの計算も演算器22にて実施される。演算器22にて算出された値は画像メモリ15にて一旦記憶されテレビモニタ16によって表示される。
【0031】
次に図8を参照してプローブ内電子回路の具体例を説明する。ただしここではアレイ方向の1チャンネル部分について述べる。本体装置内からの第1の振動子駆動信号(振動子駆動回路の出力)は所定の遅延時間(この遅延時間はアレイ方向の送信集束点とセクタ偏向方向を決定する遅延時間)を有しており、ケーブル5を介してプローブ内のスライス方向6個の振動子のうち例えば4本(2、3、4、5)に共通接続される。ただしその途中にはダイオード53が駆動信号に対して順方向で設けられており、このダイオード53を通って駆動信号はスライス方向の各振動子7に供給され、超音波が生体内に放射される。一方、生体内から反射した超音波は同じ振動子7にて受信され、電子スイッチ54を介してプリアンプ55に送られる。このときまずスイッチ54−2と54−3が導通することによって振動子2、3、4、5からの受信信号が加算合成され、ケーブル5を介して本体内の前記ラインメモリに記憶される。
【0032】
次に、本体装置内からの第2の振動子駆動信号(第1の駆動信号と同じ遅延時間を有する)が、ケーブル5を介して前記と同様スライス方向4本の振動子(2、3、4、5)に共通して供給され、超音波が生体内に放射される。一方、生体内から反射した超音波は同じ振動子にて受信され、電子スイッチ54とプリアンプ55に送られる。このとき受信時刻t=0からt=r1/cまではスイッチ54−3のみが導通して振動子3と4からの受信信号がケーブル5を介して本体内の前記ラインメモリに記憶され、t=r1/c以降は全てスイッチが導通してスライス方向の全振動素子からの受信信号が加算合成されケーブル5を介して本体内の前記ラインメモリに記憶される。
【0033】
本体内の回路構成は図7において述べた通りである。次にプローブ内に設けられるプリアンプおよび電子スイッチについて述べる。2次元アレイ振動子を用いてプローブを構成した場合、振動子の1素子の面積が従来よりも小さくなり、これに伴って振動子の電気インピーダンスは高くなる。このため、同軸ケーブル5に対して直接接続するとケーブル容量の影響を受け易い。そこでプローブ内にブリアンプを設け、低インピーダンスで同軸ケーブル5と接続することが望ましい。
【0034】
ところで送信と受信の各々で専用のケーブルを設けた場合、ケーブル本数が2倍となり操作性に問題を生ずる。このため図9のプリアンプ回路6ではプローブ内で送受信回路が分離できるような回路構成となっている。このプリアンプ回路6では図9のようにアンプ55の入力端と出力端に保護用ダイオード51、52が設けられ、またこれらの回路と並列して送信駆動信号バイパス用のダイオード53が設置される。そして送信時には振動子を駆動する100ボルトから200ボルトのインパルス信号がケーブル5を介してプローブ内に送られ、この信号はダイオード53を通過して振動子7に送られてこれを駆動する。このときアンプ55は保護用ダイオード51、52によって高電圧破壊から保護される。
【0035】
一方、受信時においては振動子7によって受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音波信号のような微小信号に対しては導通状態となる前記保護用ダイオード51を通過して、当該超音波信号は電子スイッチ54を介してさらにアンプ55に供給される。さらに、このアンプ55にて低インピーダンス出力され、順方向の保護用ダイオード52を介して前記同軸ケーブル5に出力される。このとき振動子7からの受信信号はダイオード53によって送信バイパス経路からは遮断される。なお、振動子の切り替えは保護用ダイオード51とアンプ55の間に接続された電子スイッチ54を用いて行なうことができるが、前記保護用ダイオードのバイアス電圧の制御によれば電子スイッチがなくてもダイオード51がスイッチング機能を兼ね備えることが可能である。
【0036】
次に、図10を参照してプローブ内回路の他の構成例について述べる。この構成例では電子スイッチ54を初段に置くことによってアンプ55の数の低減を図るようにしている。電子スイッチ54に接続されるアンプ55の入力端と出力端には、保護用ダイオード51、52が設けられ、またこの回路と並列して送信駆動信号バイパス用のダイオード53が設置されている。この点については図8の構成例と同様であるが電子スイッチ54の出力端は共通接続されたのちアンプ55に接続されている。
【0037】
そして送信時には図8のものと同様、振動子駆動信号はケーブル5を介してプローブ内に送られる。この駆動信号はダイオード53を通過して振動子7に送られてこれを駆動する。このとき電子スイッチ54およびアンプ55は保護用ダイオード51、52によって高電圧破壊から保護される。
【0038】
一方、受信時においては振動子7によって受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音波信号のように微小信号に対しては導通状態になった前記保護用ダイオード51を通過し電子スイッチ54を介して加算合成され、アンプ55に送られる。この受信信号はアンプ55にて低インピーダンス出力され、順方向の保護用ダイオード52を介して前記同軸ケーブル5に出力される。このとき電子スイッチ54が高耐圧のものであれば保護用ダイオード51は必ずしも必要ではない。また前記保護用ダイオード51のバイアス電圧の制御によれば前記電子スイッチ54が無くてもダイオード51がスイッチング機能を兼ね備えることが可能であることは図8のものと同様である。
【0039】
次に図11を参照してプローブ内回路のさらに他の構成例について説明する。ここでは電子的高圧スイッチ56を初段に置くことによってアンプ55の数の低減を図る。アンプ55の入力端と出力端に保護用ダイオード51、52が接続され、またこれらの回路と並列して送信駆動信号バイパス用のダイオード53が接続されている。このアンプ55の前段に高圧スイッチ56が接続されている。すなわち前記高圧スイッチ56は振動子7からの各信号線に対応して接続され、その出力端は共通接続されたのちアンプ55に接続される。送信時には図10のものと同様に、振動子駆動信号がケーブル5を介してプローブ内に送られる。この駆動信号はダイオード53を通過し、さらに高圧スイッチ56を介して振動子7に送られてこれを駆動する。このときアンプ55は保護用ダイオード51、52によって高電圧破壊から保護される。
【0040】
一方、受信時においては振動子7によって受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音波信号のような微小信号に対しては導通状態となる前記保護ダイオード51を通過し、当該超音波信号はアンプ55にて加算合成される。合成された信号はアンプ55にて低インピーダンス出力され、順方向の保護用ダイオード52を介して前記同軸ケーブル5に出力される。
【0041】
なお、以上の説明において、振動子7−3、7−4に接続された信号線にも電子スイッチを設けているが、可変口径法の場合にはこの信号線は常に導通状態にあるためこのスイッチを介さず直接接続しても構わない。
【0042】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。図13は本発明の第2実施形態に係る簡単な可変口径焦点法の原理を示すタイムチャートである。例えば所定方向の走査において第1番目の送信パルスが例えば振動子2、3、4、5に同時に与えられ、超音波が媒質(生体)に向けて放射される。このとき振動子7は2、3、4、5(D2)が用いられて受信が行われる。次に第2番目の送信パルスが前記と同様に振動子7の2、3、4、5に同時に与えられ超音波が放射される。受信時においては、t=r2/cまでは振動子3、4(D1)が用いられ、それ以降は全ての振動子1、2、3、4、5、6(D3)がスイッチング回路にて選択使用される。これら同一方向に向けられた2回の送受信によって得られた信号は、本体回路内のRFラインメモリにいったん記憶された後に合成される。すなわち図13に示すように1番目の送受信によって得られ、RFラインメモリに記憶された信号を(a)、2番目の送受信によって得られた信号を(b)とすれば、0からrまでは(b)から振動子3、4の信号が得られ、r1からr2までは(b)から振動子3、4、また(a)−(b)から振動子2、3、4、5の信号が得られる。さらにr2以降では(a)から振動子2、3、4、5、また(b)−(a)から振動子1、6の受信信号が得られる。これらの信号に対して所定の遅延時間を与えて合成する。
【0043】
次に図14のブロック図を参照して本発明の基本動作を説明する。振動子口径の選び方は左右の対称性をもたせる必要があるため振動子3と4(TR−1)、2と5(TR−2)、1と6(TR−3)はあらかじめ接続しておくことが望ましい。同一方向の走査(この走査方向は同図に示すアレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9によってコントロールされる)のうち最初の送信によって得られる反射信号は振動子7によって受信される。この時、電子スイッチ6−1と6−2が導通状態になり、したがって振動子7−2〜7−5に受信された各々の信号がアンプ6−1、および6−2と電子スイッチ6’−1および6’−2を介し、さらに同軸ケーブル5を介して本体の受信回路に送られる。この受信回路においてはまず、本体側に入力した受信信号はA/D変換器13によってデジタル信号に変換された後、アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与えられた後、アレイ方向の他のチャンネル(Mチャンネル)からの信号と加算合成される。加算器10の出力はRFラインメモリ61−1にて位相情報も含めていったん記憶される。次に同一方向に向けて2番目の送信が行なわれ、このときの反射波はt=0からt=r2/cの間は電子スイッチ6’−1のみが導通状態となり振動子7−2、7−3の信号のみがプリアンプ6を介して受信される。一方、t=r2/c以降では全ての電子スイッチ6が導通状態となり振動子7の1、2、3、4、5、6の信号がプリアンプ6を介して受信される。したがって2番目の受信信号ではt=r2/c近辺にスイッチ切り替えノイズが発生している。2番目の受信信号は1番目の受信信号同様アンプ6を出力した後、同軸ケーブル5、A/D変換器13、受信遅延回路9、そして加算器10を介してRFラインメモリ61−2に記憶される。つぎにRF減算器62にて各区間(0−r1、r1−r2、r2−)でのRF信号の減算が行なわれ、0−r1区間ではTR−1を、r1−r2ではTR−1とTR−2を、またr2以降ではTR−1+TR−2とTR−3の信号を分離して得ることができる。これらの信号はスライス方向にビームを集束させるための遅延時間がスライス方向受信遅延回路63にて与えられ、加算器64にて合成された後、対数変換器11、検波回路12を介して画像メモリ15の1つのアドレスに記憶される。この画像メモリの他のアドレスにはアレイ方向の走査によって得られる他の方向の受信信号が、同様のスライス方向可変口径処理がなされて記憶されている。画像メモリ15に記憶された1枚の画像情報はテレビフォーマットによって出力されテレビモニタ16に表示される。
【0044】
次に、図15のブロック図を参照しながら本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置全体の構成を説明する。超音波プローブにおいて走査方向に配列されている振動子数をM、スライス方向の配列振動子数は6本とする。超音波診断のモードには大きく分類してBモード(断層像)とDモード(ドップラ)がある。まずBモードについて述べる。超音波を媒質(生体)内に送信する場合にはまずレートパルス発生器1によって超音波パルスの繰り返し周波数を決定するレートパルスを出力させる。このパルスはMチャンネルから構成される送信用遅延回路2に送られ、送信時の走査方向超音波ビームの焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決定する遅延時間τs が与えられ、Mチャンネルの振動子駆動回路3に供給される。この駆動回路では前記超音波振動子を駆動し超音波を発生するための駆動パルスが形成され、その駆動パルスのタイミングは送信用遅延回路2の出力によって決定される。この駆動回路3の出力はM本の同軸ケーブル5を介してプローブ内の電子スイッチ機能を備えたプリアンプ6を介して振動子7を駆動し、超音波を角度θi の方向に発生させる。
【0045】
ところで、送信時においてスライス方向の振動子数は一般にあらかじめ決められており、すでに述べたような受信信号のスライス方向可変口径処理がなされる間も送信の口径は固定されることが望ましい。たとえば送信信号が供給される振動子は前記スライス方向振動子7の1から6のうち振動子7の2、3、4、5が選ばれる。送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内のθi 方向に放射された超音波は生体内にて反射され、再び超音波振動子7によって受信される。この時、既に述べたようにプローブ内に設けられ、スライス方向振動子のスイッチング機能を備えたプリアンプ6によってスライス方向の振動子7の2、3、4、5が選択される。この受信信号は前記同軸ケーブル5を介して本体受信回路に送られる。この受信回路ではまずアンプ(増幅器)8を介しA/D変換器13にてデジタル化された後、受信遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与えられる。この本体装置の入力端の増幅器8において、その利得調整がダイナミックに行なわれ隣接振動子間での振動重み付けによってアレイ方向での可変口径が行なわれる。つぎに受信信号はA/D変換器13によってデジタル信号に変換された後、前記アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9において受信時の集束点と受信方向θi (受信指向性)が決定される。ただし、前記受信集束点を決定する遅延時間は受信時刻とともに変化し、これにともなって受信集束点も変化する。すなわち前記増幅器8の利得と受信遅延回路の遅延時間の可変機能によりアレイ方向においていわゆる可変口径焦点法が実現される。受信遅延回路9の出力は加算器10においてアレイ方向の他のチャンネル(Mチャンネル)からの信号と加算合成され、この加算器出力はRFラインメモリ61−1にいったん記憶される。
【0046】
次にレートパルス発生器1によってレートパルスが出力される。このパルスは送信用遅延回路2に送られ、再度送信時の走査において焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決定する遅延時間τsiが与えられ、振動子駆動回路3に供給される。この駆動回路3の出力は同軸ケーブル5、プリアンプ6を介して振動子7を駆動し、再度、超音波を角度θi の方向に発生させる。この時も送信時に用いられるスライス方向の振動子数はθi 方向の最初のビーム送信時と変わらない。送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内のθi 方向に放射された超音波は生体内にて反射され、再び超音波振動子によって受信される。この時スライス方向振動子スイッチング機能を備えたプリアンプ6によって受信時刻t=0からt=r2/cまではスライス方向の振動子7の3と4が選択され、t=r2/c以降はスライス方向の全ての振動子1から6が選択され、受信される。この受信信号は前記同軸ケーブル5、増幅器8、A/D変換器13、受信遅延回路9によって処理され、増幅器8の利得及び受信遅延回路9の遅延時間の可変機能によりアレイ方向においてはいわゆる可変口径焦点法が全く同様に行なわれる。この受信遅延回路9の出力は加算器10においてアレイ方向の他のチャンネル(Mチャンネル)からの信号と加算合成され、この加算器出力はRFラインメモリ61−2に記憶される。このRFラインメモリ61に記憶された受信信号はRF減算器62にて各区間(0−r1,r1−r2、r2−)でのRF信号の減算演算が行なわれ、0−r1区間ではTR−1を、r1−r2ではTr−1とTR−2そ、またr2以降ではTR−1+TR−2とTR−3の信号を分離して得ることができる。これらの信号はスライス方向にビームを集束させるための遅延時間がスライス方向受信遅延回路63によって与えられ、加算器64にて前記切り替えノイズが混入しないように合成された後、対数変換器11、検波器12を介して画像メモリ15の1つのアドレスに記憶される。
【0047】
次にレートパルス発生器1によって第3および第4のレートパルスが出力され、このパルスはMチャンネル送信用遅延回路2に送られ、送信時の走査において焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi+1 を決定する遅延時間τsi+1が与えられ、Mチャンネルの振動子駆動回路3に供給される。さらにその出力は同軸ケーブル5、プリアンプ6を介して振動子7を駆動し、今度は超音波を角度θi+1 の方向に発生させる。この時も送信時に用いられるスライス方向の振動子数はθi 方向のビーム送信時と変わらない。一方、受信信号はプリアンプ6、同軸ケーブル5、アンプ8、A/D変換器13、受信遅延回路9、加算器10、を介してRFラインメモリ61−1、61−2に記憶される。このRFラインメモリ61に記憶された受信信号は超音波ビーム偏向角θi の場合と同様な演算がなされて画像メモリ15の隣接したアドレスに記憶される。
【0048】
このように画像メモリ15の他のアドレスにはアレイ方向のθi ,θi+1 ,θi+2 ...の走査によって得られた受信信号が、同様のスライス方向可変口径処理がなされて記憶されている。画像メモリ15に記憶された1枚の画像情報はテレビフォーマットによって出力されテレビモニタ16によって表示される。
【0049】
一方、Dモードについては図7の場合と全く同様である。すなわちプリアンプ内の電子スイッチはすべて導通状態となり、可変口径焦点は行なわずに従来と全く同様の動作を行なう。なお可変口径焦点の場合のプローブ内電子回路は可変口径法の場合と同じであり、図8、図9、図10、図11の回路構成がそのまま適用可能である。
【0050】
なお、本発明は可変口径法、可変口径焦点法のいずれにおいても従来の1次元アレイの場合よりもフレーム数が半分以下に低下する(基本系では半分になる)が、近年では並列同時受信技術が実用化され、短時間あたりの送受信回路を等価的に2倍から4倍にすることが可能となってきた。本発明はこのような並列同時受信技術と組み合わせることによって従来と同様に毎秒30フレームの動画像を観測することが可能となる。なお本発明の説明に於いてセクタ走査装置を例に挙げて説明したが、走査方式としてはこれに限定されるものではなく、リニア走査、コンベックス走査、ラジアル走査等においても本発明は有効である。
【0051】
【発明の効果】
従来の超音波プローブと比較してN倍の振動子数を有する2次元アレイプローブにおいても、本発明を採用することによってプローブから装置本体に接続されるケーブルの本数は従来程度でよいため操作性に優れ、しかも可変口径法では回路構成が比較的簡単な2次元アレイシステムを実現することができる。さらに本発明と並列同時受信技術とを組み合わせることによって、フレーム数が低下することなく動画像を観測することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変口径法の受信系の構成を示すブロック図。
【図2】従来のセクタ走査型超音波診断装置の構成を示すブロック図。
【図3】可変口径焦点法(DVAF)の一般的な原理を示す図。
【図4】従来の超音波プローブの構成を示す斜視断面図。
【図5】可変口径法(DVA)の一般的な原理を示す図。
【図6】本発明の可変口径法の原理を示す図。
【図7】本発明の第1実施形態に係るセクタ走査型超音波診断装置の構成を示すブロック図。
【図8】本発明のプローブ内回路の構成を示す図。
【図9】本発明のプローブ内のブリアンプ回路の構成を示す図。
【図10】本発明のプローブ内回路の他の構成を示す図。
【図11】本発明のプローブ内回路のさらに他の構成を示す図。
【図12】本発明のプローブ内回路のさらに他の構成を示す図。
【図13】本発明の可変口径焦点法の原理を示す図。
【図14】本発明の可変口径焦点法の受信系の構成を示すブロック図。
【図15】本発明の第2実施形態に係るセクタ走査型超音波診断装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1…レートパルス発生器
2…送信用遅延回路
3…振動子駆動回路
4…受信回路
5…同軸ケーブル
6…プリアンプ
7…振動子
8…アンプ
9…受信用遅延回路
10…加算器
11…対数変換器
12…検波回路
13…A/D変換器
14…ラインメモリ
15…画像メモリ
16…TVモニタ
17…基準信号発生器
18…π/2移相器
19…ミキサ
20…LPF
22…演算器
51,52,53…ダイオード
54,55…電子スイッチ

Claims (4)

  1. 第一の方向及びこれと直交する第二の方向に二次元的に配列された複数個の超音波振動子から構成され、超音波ビームの送受信を行なうための超音波プローブと、この超音波プローブを駆動することにより所定方向に送信ビームを放射させるための駆動手段と、前記駆動手段による送信ビームの放射方向を変化させることによって前記第一の方向の走査を行なう第一走査手段と、前記送信ビームを前記第一の方向及びこれと直交する第二の方向において集束させるための第一集束手段と、前記放射方向から反射される受信ビームを前記超音波振動子によって受信し、且つ前記第一の方向の走査を行なう第二走査手段と、前記受信ビームを前記第一の方向及びこれと直交する第二の方向において集束させるための受信集束手段と、この受信集束手段によって集束された受信ビームを信号処理し、これを画像として表示する表示手段とを具備する超音波診断装置において、
    前記第二の方向における口径を制御するために前記第二の方向の超音波振動子のスイッチングを行うスイッチング手段と、
    一回目の送受信を行うことにより第一の受信信号を収集し、前記スイッチング手段によるスイッチングのタイミングを前記一回目の送受信と異ならせて二回目の送受信を行うことにより第二の受信信号を収集し、前記第一の受信信号と前記第二の受信信号とを前記スイッチング手段によるスイッチングノイズを含まないように組み合わせることによって一走査方向の受信信号を再構成する再構成手段を具備することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記第一の方向において同一方向の走査を複数回行ないながら超音波の受信を行ない、かつこの場合に、受信動作中における前記第二の方向の実効振動子数を増加させる実効振動子数増加手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記実効振動子数増加手段は、前記超音波プローブ内に内蔵される前記スイッチング手段から成ることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記第二の方向における超音波ビームの集束を前記超音波プローブに設けられる音響レンズによって行なうことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
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