JPH10305032A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JPH10305032A
JPH10305032A JP11819197A JP11819197A JPH10305032A JP H10305032 A JPH10305032 A JP H10305032A JP 11819197 A JP11819197 A JP 11819197A JP 11819197 A JP11819197 A JP 11819197A JP H10305032 A JPH10305032 A JP H10305032A
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signal
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Kinya Takamizawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は振動子がアレイ及びチャネル方向の2
次元に配列された2次元アレイプローブと装置本体との
間の信号伝送を担うケーブルの本数を従来(1次元アレ
イプローブ)程度としても、ノイズによる画質の劣化が
なく操作性に優れた超音波診断装置を提供することを目
的とする。 【解決手段】アレイ方向においては全く同様の送受指向
性をもちスライス方向においては受信口径の異なる2回
の超音波受信によって得られ、ラインメモリ14−1或
は14−2に記憶されたそれぞれの受信信号は画像メモ
リ15の所定のアドレスの1ライン分に記憶される。す
なわち前記画像メモリ15の0〜r1およびr2より深
い部分の画像信号をラインメモリ14−2から、また画
像メモリ15のr1〜r2の画像信号をラインメモリ1
4−1から選択し、スイッチング切り替えノイズが混入
しないように選択記憶する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は超音波を用いた体
内の断層像を表示する、いわゆる超音波診断装置に関す
るものであり、特にスライス方向のビーム幅を細くする
ことによって画像のコントラスト分解能の改善を図った
超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波パルスを体内に放射し、各組織か
らの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音
波断層法と超音波ドップラ法の2つの技術開発により近
年急速な進歩を遂げた。今日最も普及している電子走査
型の超音波診断装置は、配列型の超音波トランスデュー
サを用い、これを電子的に高速度に制御し走査すること
によってリアルタイム表示を可能とした。図2はセクタ
電子走査型超音波診断装置の従来例を示すブロック図で
ある。超音波プローブにおいて走査方向に配列されてい
る振動子の素子数はMとする。超音波を生体内(あるい
は媒質内)に送信する場合には、まずレートパルス発生
器1によって、超音波パルスの繰り返し周期を決定する
レートパルスが出力される。このレートパルスはMチャ
ンネルから構成される送信用遅延回路2に送られ、送信
時の超音波ビームのアレイ方向集束距離(F0 )を決定
する遅延時間τf と所定方向(θi )に超音波ビームを
偏向するための遅延時間τs が与えられ、Mチャンネル
の振動子駆動回路(パルサ)3に供給される。すなわち
m番目の遅延回路において設定される遅延時間τ(m)
はτf (m)+τs (m)であり、τf 及びτs は次式
(1)に従って設定される。 τf (m)=d2 {(M−1)2 −(2m−M−1)2 }/8CF0 τs (m)=(m−1)dsinθi /C …(1) ただし、dは振動子配列間隔、Cは生体内音速、F0
焦点距離、θi は偏向角(セクタ角)である。このパル
サ3では、超音波振動子7を駆動し超音波を発生するた
めの駆動パルスが形成され、その駆動パルスのタイミン
グは送信用遅延回路2の出力によって決定される。パル
サ3からの出力は同軸ケーブル5を介して超音波振動子
7に供給されてこれを駆動し、超音波が発生する。超音
波振動子7から生体内に放射された超音波の一部は臓器
の境界面あるいは生体組織の音響散乱体にて反射され、
再び超音波振動子7によって受信されると共に電気信号
に変換される。この受信信号は同軸ケーブル5、プリア
ンプ8を介した後、A/D変換器13にてデジタル信号
に変換され、送信時と同様に受信時の超音波ビームのア
レイ方向集束距離を決定する遅延時間と超音波ビームの
偏向角度を決定する遅延時間とを与えるためのMチャン
ネルの受信用遅延回路9を経て加算器10に送られる。
この加算器10によってMチャンネルの受信用遅延回路
9からの出力信号は加算合成され、対数変換器11、包
絡線検波回路12にて対数圧縮、検波されたのち画像メ
モリ15に一旦ストアされる。ここでストアされた信号
はテレビフォーマットで出力されテレビモニタ16にお
いて超音波断層像として表示される。
【0003】一方、加算器10の出力は2つの直交位相
検波回路に送られる。すなわち加算器7の出力はまずミ
キサー回路19−1、19−2に送られる。ここで基準
信号発生器17は所定の周波数(f0 )を有する連続波
をミキサー回路19−1およびπ/2移相器18に対し
て出力する。ミキサ回路19−1には基準信号発生器1
7から出力された連続波が直接入力され、ミキサ回路1
9−2にはπ/2移相器18により位相が90度シフト
された連続波が入力される。このミキサ19−1、19
−2の出力はローパスフィルタ(LPF)20−1、2
0−2にて和の周波数成分が除去され差の周波数成分の
みが抽出される。この差の周波数成分をもった信号はメ
モリ回路(図示しない)に一旦ストアされる。ドップラ
信号を算出するためには同一部位を連続的に走査し、そ
の時点毎の複数の信号を用いる必要がある。このときの
複数の信号はメモリ回路にて一旦記憶され、所定のデー
タ数が揃った時点で演算器22によりドップラ信号の周
波数分析が行なわれる。超音波血流イメージング法にお
いて表示される物理量はスペクトルの中心(すなわち流
速度の平均値)とスペクトルの分散値(すなわち流速の
乱れの状態)である。これらの計算も演算器22にて実
施される。演算器22により算出された値は画像メモリ
15にて一旦記憶され、テレビモニタ16によって表示
される。なお前記演算器22からの出力は超音波断層像
上においてカラーで表示される場合が一般的である。
【0004】以上述べたような従来の超音波診断装置で
は、方位分解能を高めるために送信時あるいは受信時に
おいて超音波ビームを集束させる方法が採られている。
特に電子走査型の配列型振動子を有する装置では、送受
信信号の遅延時間制御による電子集束法が用いられるの
が一般的である。ただし電子集束法においては、集束点
から離れた場所(深さ)で集束ビームが拡散し分解能が
低下するという問題点がある。この問題点を解決する方
法としてダイナミック集束法がある。ダイナミック集束
法は受信時において時間と共に集束点が連続的に深さ方
向に移動するような遅延時間制御を行なう方法であり、
反射信号は常に受信超音波ビームが集束された領域から
得られる。
【0005】ここで、図3を参照しながらダイナミック
集束法における遅延時間制御の原理を説明する。アレイ
振動子7からの距離0からr1までの反射信号が得られ
るまで(すなわち時間0から2r1/Cまで)は、焦点
距離がf1となるように受信遅延時間が設定される。次
に振動子7からの距離r1からr2までの反射信号が得
られるまで(すなわち時間2r1/Cから2r2/Cま
で)は焦点距離がf2となるように受信遅延時間が設定
される。さらに振動子からの距離r2以上からの反射信
号が得られる場合(すなわち時間2r2/C以上)は、
焦点距離がf3になるように受信遅延時間が設定され
る。ただし、0≦f1≦r1,r1≦f2≦r2,r2
≦f3である。またこの場合において集束に使用される
振動子の幅(口径)Mdが常に一定であれば、集束点が
近距離ほど集束強度が強くなり、深さ方向に広い範囲で
一様なビーム幅を得ることが難しくなる。このため従来
では、近距離に焦点を設定する場合には口径幅を小さく
する方法が同時に用いられている。すなわち焦点f1に
ビームを集束させる場合の口径をD1とし、同様に焦点
f2、焦点f3に集束させる場合の口径をそれぞれD
2、D3とすればD1<D2<D3となる。以下では受
信信号に対し、深さに伴って集束点と口径幅とを同時に
変化させる方法を可変口径焦点法と称する。
【0006】次に従来の超音波プローブについて述べ
る。図4は振動子を1次元に配列した超音波プローブの
構造を示す斜視断面図である。すなわちこのプローブで
は走査方向に複数個の振動子70が1次元方向に配列さ
れる。各々の振動子70は超音波を送受信する媒質(生
体)側とその反対側のそれぞれに電極71が装着され、
また生体側の電極上には整合層(インピーダンスマッチ
ング層)72が設けられている。整合層72は生体と振
動子70との音響的インピーダンス(密度と音速の積)
の差を調整し、波数の少ない超音波パルスを生体内に入
射させるためのものである。また、整合層72上にはシ
リコンゴムなどで構成された音響レンズ73が張り合わ
されている。この音響レンズ73は所定の距離に超音波
ビームを集束させ、走査方向と直交するスライス方向の
ビーム幅を狭めるためのものである。これらの振動子7
0や整合層72あるいは音響レンズ73などは支持台
(背面負荷材、バッキング材ともいう)74上に固定さ
れている。このように振動子が1次元方向に配列された
プローブにおいては、電子的に、すなわち振動子口径お
よび遅延時間の制御によって振動子配列方向(走査方
向)のビーム幅を深さによらず一様に細く保つことがで
きる。これに対しスライス方向においては音響レンズ7
3を用いたビーム集束法が採用されており、この場合に
は音響レンズ73の曲率半径が固定であるため集束点は
1点に固定され、開口幅の制御も行なえない。したがっ
てスライス方向においてはビーム幅を一様に細く保つこ
とは不可能であった。この問題点を解決するものとして
2次元アレイプローブがある。2次元アレイプローブを
採用し、スライス方向においても走査方向と同様に電子
的な集束点の制御を行なえば、深さ方向の広い範囲にお
いて細いビーム幅を得ることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここで、アレイ方向に
M個、スライス方向にN個の振動子を配列した2次元ア
レイプローブと本体側の送受信回路との間の信号伝送に
おいて次のような問題点がある。すなわち2次元アレイ
プローブ内の各振動子の電極から得られる受信信号をそ
れぞれ独立したケーブルを介して本体側の送受信回路に
対し伝送する場合には、信号線の数がN倍となりケーブ
ルが太くなるため操作性が悪くなる。そこでプローブ内
に切り替えスイッチを含む電子回路を内蔵し個々の信号
をある程度合成した後にケーブルを介して本体側と接続
することが考えられる。しかしながら、プローブ内に例
えば電子スイッチを内蔵した場合にはスイッチングによ
るノイズが発生し、これが受信信号に混入してしまう。
このようなスイッチングノイズによる影響は、振動子か
らの受信信号が微弱であるため無視できないものとな
る。したがって初期の段階で受信信号に混入したスイッ
チングノイズが後の信号処理において増幅され、最終的
には診断画像上に表示されてしまうという問題点があ
る。
【0008】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであり、振動子がアレイ及びチャネル方向の2次元に
配列された2次元アレイプローブと装置本体との間の信
号伝送を担うケーブルの本数を従来(1次元アレイプロ
ーブ)程度としても、ノイズによる画質の劣化がなく操
作性に優れた超音波診断装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために本発明は次のように構成されている。す
なわち本発明は振動子の切り替え制御の仕方を異にして
同一方向の超音波送受信あるいは受信を複数回行ない、
このとき得られるそれぞれの受信信号に含まれるスイッ
チングノイズを互いに避けるようにして合成する。
【0010】ところで超音波診断においては肋骨の間を
介して体内に向け超音波を送受信しなければならない場
合が多い。この場合は特にスライス方向の口径幅が肋骨
間の幅によって制約を受ける。したがってスライス方向
については電子集束法による効果が送受信回路の複雑さ
に比べて少ない。この点に着目した本発明の超音波診断
装置によれば、スライス方向の口径幅の制御のみを行な
った方法や簡単な可変口径焦点法でも同程度の性能(方
位分解能)が得られ、しかも装置の回路構成を簡素にで
きる(以下、口径幅のみを受信信号の深さにともなって
変化させるこの方法を可変口径法と称する)。すなわち
本発明では可変口径法によって同一方向の超音波送受信
あるいは受信を複数回行ない、このときの受信信号に含
まれるスイッチングノイズを避け、しかも受信深さが深
くなるにしたがって口径幅が増加するように合成して表
示する。
【0011】したがって、振動子が1次元に配列される
超音波プローブと比較してN倍の振動子数を有する2次
元アレイプローブにおいても、本発明を採用することに
よってプローブから装置本体に接続されるケーブルの本
数は従来程度でよい。このため操作性に優れ、しかも可
変口径法では回路構成が比較的簡単な2次元アレイシス
テムを実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。 (第1実施形態)図5は本発明の第1実施形態に係る可
変口径法の原理を示す図である。この図では2次元アレ
イプローブのスライス方向に6個の振動子を配列した場
合が示されており、アレイ方向については省略してあ
る。また送信手段についても省略してある。アレイ振動
子の前面には従来のプローブと同様に音響レンズ(図示
しない)が取り付けられており、送信および受信時の集
束点が決定される。受信時においては、まずスライス方
向振動子7の中心部の振動子3と4(D1)が選択さ
れ、深さr1までの信号受信(すなわちt=0からt=
r1/c(cは媒質中の音速)までの受信)に用いられ
る。つぎにt=r1/cからt=r2/cまでの間は振
動子2、3、4、5の4本(D2)が用いられる。さら
にt=r2/cからは全ての振動子1、2、3、4、
5、6(D3)が用いられる。この場合の切り替え点r
1、r2は合成されるビーム幅ができるだけ一様となる
ように設定される。
【0013】以上のような可変口径法は従来より知られ
ている技術であるが、t=r1/c、t=r2/cでの
切り替え点でのノイズ対策が重要である。従来の可変口
径焦点法においても同様な切り替え動作は行なわれてい
たが、その場合は本体回路内に複雑な可変利得アンプを
アレイ方向の各チャネルに用いていた。これに対して2
次元アレイにおける振動子切り替え動作はスペースに余
裕のないプローブ内でしかも微弱な信号に対して行なわ
なくてはならない。そこで本実施形態では、例えば同一
方向に2回の送受信を行ない、この時得られた信号から
振動子切り替えノイズを避けながら合成する。
【0014】図6はこのようなノイズ対策のための可変
口径制御を行なう場合の送受信のタイムチャートであ
る。例えば所定方向の走査において第1番目の送信パル
スが例えば振動子2、3、4、5に同時に与えられた超
音波が媒質(生体)に向け放射される。この時振動子は
2、3、4、5(D2)が用いられて受信される。次に
第2番目の送信用パルスが前記と同様に振動子2、3、
4、5(D2)に同時に与えられ超音波が放射される。
受信時においてはt=r1/cまでは振動子3、4(D
1)が用いられ、それ以降は振動子1、2、3、4、
5、6(D3)がスイッチング回路にて選択使用され
る。同一方向における2回の送受信によって得られた信
号は本体回路内のラインメモリにいったん記憶された後
に合成される。すなわち図6に示すように1番目の送受
信によって得られ記憶された信号Aではr1からr2ま
での画像情報が採用され、一方2番目の送受信によって
得られ記憶された信号Bでは原点からr1およびr2以
降の画像情報が画像メモリに編集記憶される。
【0015】したがって、t=r1/c、t=r2/c
での切り替え点でのノイズを含まない信号を得ることが
できる。次に、図1の受信系ブロック図を参照して本実
施形態に係る超音波診断装置の基本動作を説明する。振
動子口径の選び方は左右の対称性をもたせる必要がある
ため振動子3と4、2と5、1と6をあらかじめ接続し
ておくことが望ましい。同一方向の走査(この走査方向
は同図に示すアレイ方向ビームフォーミング用の受信遅
延回路9によってコントロールされる)のうち最初の送
信によって得られる反射信号は振動子7によって受信さ
れる。このとき電子スイッチ6−1と6−2が導通状態
となり、振動子7−2〜7−5によって受信された各々
の信号はプリアンプ6−1および6−2、電子スイッチ
6’−1および6’−2を介し、さらに同軸ケーブル5
を介して本体の受信回路に送られる。
【0016】受信回路に送られてきた信号は、まずA/
D変換器13によりデジタル信号に変換された後、アレ
イ方向ビームフォーミング用遅延回路9によってアレイ
方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与えら
れた後、アレイ方向の他のチャネル(Mチャンネル)か
らの信号と加算合成される。加算器10の出力は対数変
換器11にて振幅方向の対数圧縮が施され、検波回路1
2において包絡線検波された後、ラインメモリ14−1
にいったん記憶される。
【0017】次に、同一方向に関する2番目の送信が行
なわれる。このときの反射波はt=0からt=r1/c
の間は電子スイッチ6’−1が導通状態となり、振動子
2、3(D1)の信号のみがプリアンプ6を介して受信
される。また、t=r1/c以降では全ての電子スイッ
チ6’が導通状態となり振動子1、2、3、4、5、6
(D3)の信号がプリアンプ6を介して受信される。し
たがって2番目の受信信号ではt=r1/c近辺にスイ
ッチ切り替えノイズが発生している。2番目の受信信号
は1番目の受信信号と同様にプリアンプ6から出力され
た後、同軸ケーブル5、A/D変換器13、アレイ方向
ビームフォーミング用の受信遅延回路9、加算器10、
対数変換器11、さらには検波回路12介してラインメ
モリ14−2に送られ、ここでいったん蓄積される。
【0018】この2つのラインメモリ14には1番目の
受信信号および2番目の受信信号がデジタル信号として
ストアされており、この中から前述した所定の深さの信
号を選択し、画像メモリ15の所定のアドレスの1ライ
ン分の記憶領域に格納する。
【0019】すなわち前記画像メモリ15の0〜r1お
よびr2より深い部分の画像信号はラインメモリ14−
2から転送され、また画像メモリ15のr1〜r2の画
像信号はラインメモリ14−1から転送されて記憶され
る。この画像メモリ15の他のアドレスにはアレイ方向
の走査によって得られる他の方向の受信信号が、同様の
スライス方向の可変口径処理がなされて記憶されてい
る。こうして画像メモリ15に記憶された1枚の画像情
報は、テレビフォーマットに変換されて出力され、テレ
ビモニタ16によって表示される。
【0020】次に、本実施形態に係る超音波診断装置全
体の構成について図7のブロック図を参照して説明す
る。超音波プローブにおいて走査方向に配列されている
振動子数をM、スライス方向の配列振動子数は6本とす
る。超音波診断のモードには大きく分類してBモード
(断層像)とDモード(ドップラ)がある。まずBモー
ドについて述べる。超音波を媒質(生体)内に送信する
場合には、まずレートパルス発生器1によって超音波パ
ルスの繰り返し周波数を決定するレートパルスを出力す
る。このレートパルスはMチャンネルから構成される送
信用遅延回路2に送られ、送信時の走査方向超音波ビー
ムの焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向
角θi を決定する遅延時間τs が与えられた後、Mチャ
ンネルの振動子駆動回路3に供給される。この振動子駆
動回路3では前記超音波振動子を駆動し超音波を発生す
るための駆動パルスが形成され、その駆動パルスのタイ
ミングは送信用遅延回路2の出力によって決定される。
この振動子駆動回路3の出力はM本の同軸ケーブル5、
さらにプローブ内の電子スイッチ機能を備えたプリアン
プ6を介して振動子7を駆動し、超音波を角度θi の方
向に発生させる。
【0021】ところで、送信時におけるスライス方向の
振動子数はあらかじめ決められているのが一般的であ
り、すでに述べたような受信信号のスライス方向可変口
径処理がなされる間も送信の口径は固定されることが望
ましい。たとえば送信信号が供給される振動子7は前記
スライス方向振動子1から6のうち振動子2、3、4、
5が選ばれる。送受信における振動子の他の選択方法に
ついては後述する。
【0022】送信時に選ばれた2次元配列振動子から生
体内のθi 方向に放射された超音波は、生体内にて反射
され再び超音波振動子7によって受信される。この時、
すでに述べたようにプローブ内に設けられ、スライス方
向振動子のスイッチング機能を備えたプリアンプ6によ
ってスライス方向の振動子2、3、4、5(D2)が選
択される。この受信信号は前記同軸ケーブル5とアンプ
(増幅器)8を介してA/D変換器13に送られデジタ
ル信号に変換された後、アレイ方向ビームフォーミング
用受信遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビー
ム偏向に必要な遅延時間が与えられる。この本体装置の
入力端にある増幅器8において、その利得調整がダイナ
ミックに行なわれ、隣接振動子間での振幅重み付けによ
ってアレイ方向での可変口径処理が行なわれる。
【0023】また前記アレイ方向ビームフォーミング用
遅延回路9において受信時の集束点と受信方向θi (受
信指向性)が決定される。ただし前記受信集束点を決定
する遅延時間は受信時刻とともに変化し、これにともな
って受信集束点も変化する。すなわち前記増幅器の利得
と受信遅延回路の遅延時間の可変機能によりアレイ方向
においてはいわゆる可変口径焦点法が実現される。受信
遅延回路9の出力は加算器10においてアレイ方向の他
のチャネル(Mチャネル)からの信号と加算合成され、
この加算器出力は対数変換器11にて振幅方向の対数圧
縮がなされ、検波回路12において包絡線検波された後
ラインメモリ14−1にいったん記憶される。
【0024】次にレートパルス発生器1によってレート
パルスが出力される。このパルスはMチャネル送信用遅
延回路2に送られ、再度、送信時の走査において焦点距
離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決
定する遅延時間τsiが与えられ、Mチャネルの振動子駆
動回路3に供給される。この駆動回路3の出力はM本の
同軸ケーブル5を介してプローブ内の電子スイッチ機能
を備えたプリアンプ6を介して振動子を駆動し再度超音
波を角度θi の方向に発生させる。この時も送信時に用
いられるスライス方向の振動子数はθi 方向の最初のビ
ーム送信時と変わらない。送信時に選ばれた2次元配列
振動子から生体内のθi 方向に放射された超音波は生体
内にて反射され再び超音波振動子によって受信される。
この時プリアンプ6によって受信時刻t=0からt=r
1/cまではスライス方向の振動子3と4(D1)が選
択され、t=r1/c以降はスライス方向の全ての振動
子1から6(D3)が選択され受信される。この受信信
号は前記同軸ケーブル5を介して本体受信回路に送られ
る。この受信回路では前記と同様に増幅器8、A/D変
換器13、受信遅延回路9を介し、加算器においてアレ
イ方向の他のチャネル(Mチャネル)からの信号と加算
合成される。さらにこの加算器出力は対数変換器11、
検波回路12を介しラインメモリ19−2に記憶され
る。
【0025】アレイ方向において全く同様の送受指向性
をもち、スライス方向においては受信口径の異なる2回
の超音波送受信によって得られた各々の受信信号は、ラ
インメモリ14に記憶され、この受信信号は前述した所
定の深さの信号を選択合成させて画像メモリ15の所定
のアドレスの1ライン分に記憶させる。すなわち前記画
像メモリ15の0〜r1およびr2より深い部分の画像
信号をラインメモリ14−2から、また画像メモリ15
のr1〜r2の画像信号をラインメモリ14−1から選
択することにより、前記スイッチング切り替えノイズが
混入しないように選択記憶する。
【0026】つぎにレートパルス発生器1によって第3
のレートパルスが出力され、このパルスは送信用遅延回
路2に送られ、送信時の走査において焦点距離f0 を決
定する遅延時間τf とセクタ偏向角θi+1 を決定する遅
延時間τsi+1が与えられ、Mチャンネルの振動子駆動回
路に供給される。この駆動回路の出力は同軸ケーブル
5、プリアンプ6を介して振動子7を駆動し、今度は超
音波を角度θi+1 の方向に発生させる。この時も送信時
に用いられるスライス方向の振動子数はθi 方向のビー
ム送信時と変わらない。送信時に選ばれた2次元配列振
動子からの生体内のθi+1 方向に放射された超音波は、
生体内にて反射され再び超音波振動子によって受信され
る。この時スライス方向振動子スイッチング機能を備え
たプリアンプ6によってスライス方向の振動子2、3、
4、5(D2)が選択されて受信が行われ、その信号は
同軸ケーブル5、増幅器8、A/D変換器13、受信遅
延回路9、加算器10、対数変換器11、検波回路12
を介してラインメモリ14−1に記憶される。
【0027】アレイ方向においては全く同様の送受指向
性をもち、スライス方向においては受信口径の異なる2
回の超音波受信によって得られ、ラインメモリに記憶さ
れたそれぞれの受信信号は、前述した所定の深さの信号
を選択し画像メモリの所定のアドレスの1ライン分に記
憶させる。すなわち前記画像メモリ15の0〜r1およ
びr2より深い部分の画像信号をラインメモリ14−2
から、また画像メモリ15のr1〜r2の画像信号をラ
インメモリ14−1から選択し、前記スイッチング切り
替えノイズが混入しないように選択記憶する。
【0028】さらに、同様にしてレートパルス発生器1
によって第4のレートパルスが出力され、以下同様な動
作が繰り返される。このように画像メモリ15の他のア
ドレスにはアレイ方向のθi ,θi+1 ,θi+2 ...の
走査によって得られた受信信号が同様なスライス方向可
変口径処理がなされて記憶されることになる。画像メモ
リ20に記憶された1枚の画像情報はテレビフォーマッ
トに変換されて出力され、テレビモニタ21によって表
示される。
【0029】次にドップラモード(Dモード)では、基
本的にはプリアンプ内の電子スイッチはすべて導通状態
に固定(あるいは口径D2に固定)とし、走査中のスラ
イス方向口径のスイッチングは行なわない。すなわち従
来のように分割されていない場合と全く同様の動作を行
なうこととし、複数走査の信号の合成は行なわない。こ
れはBモードでは同一方向を短時間に2回程度送受信し
て得られる信号はほぼ同一であると仮定できるのに対し
て、ドップラ信号では生体の動きに敏感であるためこの
仮定が成立しないためである。すなわちプローブ内電子
スイッチはBモード時には同一方向(部位)を複数回送
受信して行なう可変口径法を行なうが、ドップラモード
の場合には従来の走査方法に切り替える。このようにし
て得られたドップラモード時の受信信号の加算器10の
出力は2つの直交位相検波回路に送られる。すなわち加
算器10の出力はまずミキサー回路19−1、19−2
に送られる。また基準信号発生器17からは所定の周波
数(f0 )を有する連続波は、移相器18にてその位相
が90度シフトされてミキサ回路19−2に入力され、
ミキサ19−1には基準信号発生器20の出力が直接入
力される。このミキサ19−1、19−2の出力はロー
パスフィルタ20−1、20−2にて和の周波数成分が
除去され、差の周波数成分のみが抽出される。この差の
周波数をもった信号はいったんメモリ回路にストアされ
る。
【0030】ドップラ信号を算出するためには同一部位
を連続的に走査しそのときの複数の信号を用いる必要が
ある。このときの複数の信号をメモリにて一旦記憶し、
所定のデータ数が揃った時点で演算器22にてドップラ
信号の周波数分析を行なう。超音波血流イメージング法
において表示される物理量はスペクトルの中心(すなわ
ち流速度の平均値)とスペクトルの分散値(すなわち流
速の乱れの状態)である。これらの計算も演算器22に
て実施される。演算器22にて算出された値は画像メモ
リ15にて一旦記憶されテレビモニタ16によって表示
される。
【0031】次に図8を参照してプローブ内電子回路の
具体例を説明する。ただしここではアレイ方向の1チャ
ンネル部分について述べる。本体装置内からの第1の振
動子駆動信号(振動子駆動回路の出力)は所定の遅延時
間(この遅延時間はアレイ方向の送信集束点とセクタ偏
向方向を決定する遅延時間)を有しており、ケーブル5
を介してプローブ内のスライス方向6個の振動子のうち
例えば4本(2、3、4、5)に共通接続される。ただ
しその途中にはダイオード53が駆動信号に対して順方
向で設けられており、このダイオード53を通って駆動
信号はスライス方向の各振動子7に供給され、超音波が
生体内に放射される。一方、生体内から反射した超音波
は同じ振動子7にて受信され、電子スイッチ54を介し
てプリアンプ55に送られる。このときまずスイッチ5
4−2と54−3が導通することによって振動子2、
3、4、5からの受信信号が加算合成され、ケーブル5
を介して本体内の前記ラインメモリに記憶される。
【0032】次に、本体装置内からの第2の振動子駆動
信号(第1の駆動信号と同じ遅延時間を有する)が、ケ
ーブル5を介して前記と同様スライス方向4本の振動子
(2、3、4、5)に共通して供給され、超音波が生体
内に放射される。一方、生体内から反射した超音波は同
じ振動子にて受信され、電子スイッチ54とプリアンプ
55に送られる。このとき受信時刻t=0からt=r1
/cまではスイッチ54−3のみが導通して振動子3と
4からの受信信号がケーブル5を介して本体内の前記ラ
インメモリに記憶され、t=r1/c以降は全てスイッ
チが導通してスライス方向の全振動素子からの受信信号
が加算合成されケーブル5を介して本体内の前記ライン
メモリに記憶される。
【0033】本体内の回路構成は図7において述べた通
りである。次にプローブ内に設けられるプリアンプおよ
び電子スイッチについて述べる。2次元アレイ振動子を
用いてプローブを構成した場合、振動子の1素子の面積
が従来よりも小さくなり、これに伴って振動子の電気イ
ンピーダンスは高くなる。このため、同軸ケーブル5に
対して直接接続するとケーブル容量の影響を受け易い。
そこでプローブ内にブリアンプを設け、低インピーダン
スで同軸ケーブル5と接続することが望ましい。
【0034】ところで送信と受信の各々で専用のケーブ
ルを設けた場合、ケーブル本数が2倍となり操作性に問
題を生ずる。このため図9のプリアンプ回路6ではプロ
ーブ内で送受信回路が分離できるような回路構成となっ
ている。このプリアンプ回路6では図9のようにアンプ
55の入力端と出力端に保護用ダイオード51、52が
設けられ、またこれらの回路と並列して送信駆動信号バ
イパス用のダイオード53が設置される。そして送信時
には振動子を駆動する100ボルトから200ボルトの
インパルス信号がケーブル5を介してプローブ内に送ら
れ、この信号はダイオード53を通過して振動子7に送
られてこれを駆動する。このときアンプ55は保護用ダ
イオード51、52によって高電圧破壊から保護され
る。
【0035】一方、受信時においては振動子7によって
受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音
波信号のような微小信号に対しては導通状態となる前記
保護用ダイオード51を通過して、当該超音波信号は電
子スイッチ54を介してさらにアンプ55に供給され
る。さらに、このアンプ55にて低インピーダンス出力
され、順方向の保護用ダイオード52を介して前記同軸
ケーブル5に出力される。このとき振動子7からの受信
信号はダイオード53によって送信バイパス経路からは
遮断される。なお、振動子の切り替えは保護用ダイオー
ド51とアンプ55の間に接続された電子スイッチ54
を用いて行なうことができるが、前記保護用ダイオード
のバイアス電圧の制御によれば電子スイッチがなくても
ダイオード51がスイッチング機能を兼ね備えることが
可能である。
【0036】次に、図10を参照してプローブ内回路の
他の構成例について述べる。この構成例では電子スイッ
チ54を初段に置くことによってアンプ55の数の低減
を図るようにしている。電子スイッチ54に接続される
アンプ55の入力端と出力端には、保護用ダイオード5
1、52が設けられ、またこの回路と並列して送信駆動
信号バイパス用のダイオード53が設置されている。こ
の点については図8の構成例と同様であるが電子スイッ
チ54の出力端は共通接続されたのちアンプ55に接続
されている。
【0037】そして送信時には図8のものと同様、振動
子駆動信号はケーブル5を介してプローブ内に送られ
る。この駆動信号はダイオード53を通過して振動子7
に送られてこれを駆動する。このとき電子スイッチ54
およびアンプ55は保護用ダイオード51、52によっ
て高電圧破壊から保護される。
【0038】一方、受信時においては振動子7によって
受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音
波信号のように微小信号に対しては導通状態になった前
記保護用ダイオード51を通過し電子スイッチ54を介
して加算合成され、アンプ55に送られる。この受信信
号はアンプ55にて低インピーダンス出力され、順方向
の保護用ダイオード52を介して前記同軸ケーブル5に
出力される。このとき電子スイッチ54が高耐圧のもの
であれば保護用ダイオード51は必ずしも必要ではな
い。また前記保護用ダイオード51のバイアス電圧の制
御によれば前記電子スイッチ54が無くてもダイオード
51がスイッチング機能を兼ね備えることが可能である
ことは図8のものと同様である。
【0039】次に図11を参照してプローブ内回路のさ
らに他の構成例について説明する。ここでは電子的高圧
スイッチ56を初段に置くことによってアンプ55の数
の低減を図る。アンプ55の入力端と出力端に保護用ダ
イオード51、52が接続され、またこれらの回路と並
列して送信駆動信号バイパス用のダイオード53が接続
されている。このアンプ55の前段に高圧スイッチ56
が接続されている。すなわち前記高圧スイッチ56は振
動子7からの各信号線に対応して接続され、その出力端
は共通接続されたのちアンプ55に接続される。送信時
には図10のものと同様に、振動子駆動信号がケーブル
5を介してプローブ内に送られる。この駆動信号はダイ
オード53を通過し、さらに高圧スイッチ56を介して
振動子7に送られてこれを駆動する。このときアンプ5
5は保護用ダイオード51、52によって高電圧破壊か
ら保護される。
【0040】一方、受信時においては振動子7によって
受信された受信信号にバイアス電圧が印加される。超音
波信号のような微小信号に対しては導通状態となる前記
保護ダイオード51を通過し、当該超音波信号はアンプ
55にて加算合成される。合成された信号はアンプ55
にて低インピーダンス出力され、順方向の保護用ダイオ
ード52を介して前記同軸ケーブル5に出力される。
【0041】なお、以上の説明において、振動子7−
3、7−4に接続された信号線にも電子スイッチを設け
ているが、可変口径法の場合にはこの信号線は常に導通
状態にあるためこのスイッチを介さず直接接続しても構
わない。
【0042】(第2実施形態)次に本発明の第2実施形
態を説明する。図13は本発明の第2実施形態に係る簡
単な可変口径焦点法の原理を示すタイムチャートであ
る。例えば所定方向の走査において第1番目の送信パル
スが例えば振動子2、3、4、5に同時に与えられ、超
音波が媒質(生体)に向けて放射される。このとき振動
子7は2、3、4、5(D2)が用いられて受信が行わ
れる。次に第2番目の送信パルスが前記と同様に振動子
7の2、3、4、5に同時に与えられ超音波が放射され
る。受信時においては、t=r2/cまでは振動子3、
4(D1)が用いられ、それ以降は全ての振動子1、
2、3、4、5、6(D3)がスイッチング回路にて選
択使用される。これら同一方向に向けられた2回の送受
信によって得られた信号は、本体回路内のRFラインメ
モリにいったん記憶された後に合成される。すなわち図
13に示すように1番目の送受信によって得られ、RF
ラインメモリに記憶された信号を(a)、2番目の送受
信によって得られた信号を(b)とすれば、0からrま
では(b)から振動子3、4の信号が得られ、r1から
r2までは(b)から振動子3、4、また(a)−
(b)から振動子2、3、4、5の信号が得られる。さ
らにr2以降では(a)から振動子2、3、4、5、ま
た(b)−(a)から振動子1、6の受信信号が得られ
る。これらの信号に対して所定の遅延時間を与えて合成
する。
【0043】次に図14のブロック図を参照して本発明
の基本動作を説明する。振動子口径の選び方は左右の対
称性をもたせる必要があるため振動子3と4(TR−
1)、2と5(TR−2)、1と6(TR−3)はあら
かじめ接続しておくことが望ましい。同一方向の走査
(この走査方向は同図に示すアレイ方向ビームフォーミ
ング用遅延回路9によってコントロールされる)のうち
最初の送信によって得られる反射信号は振動子7によっ
て受信される。この時、電子スイッチ6−1と6−2が
導通状態になり、したがって振動子7−2〜7−5に受
信された各々の信号がアンプ6−1、および6−2と電
子スイッチ6’−1および6’−2を介し、さらに同軸
ケーブル5を介して本体の受信回路に送られる。この受
信回路においてはまず、本体側に入力した受信信号はA
/D変換器13によってデジタル信号に変換された後、
アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9によってア
レイ方向の電子集束やビーム偏向に必要な遅延時間が与
えられた後、アレイ方向の他のチャンネル(Mチャンネ
ル)からの信号と加算合成される。加算器10の出力は
RFラインメモリ61−1にて位相情報も含めていった
ん記憶される。次に同一方向に向けて2番目の送信が行
なわれ、このときの反射波はt=0からt=r2/cの
間は電子スイッチ6’−1のみが導通状態となり振動子
7−2、7−3の信号のみがプリアンプ6を介して受信
される。一方、t=r2/c以降では全ての電子スイッ
チ6が導通状態となり振動子7の1、2、3、4、5、
6の信号がプリアンプ6を介して受信される。したがっ
て2番目の受信信号ではt=r2/c近辺にスイッチ切
り替えノイズが発生している。2番目の受信信号は1番
目の受信信号同様アンプ6を出力した後、同軸ケーブル
5、A/D変換器13、受信遅延回路9、そして加算器
10を介してRFラインメモリ61−2に記憶される。
つぎにRF減算器62にて各区間(0−r1、r1−r
2、r2−)でのRF信号の減算が行なわれ、0−r1
区間ではTR−1を、r1−r2ではTR−1とTR−
2を、またr2以降ではTR−1+TR−2とTR−3
の信号を分離して得ることができる。これらの信号はス
ライス方向にビームを集束させるための遅延時間がスラ
イス方向受信遅延回路63にて与えられ、加算器64に
て合成された後、対数変換器11、検波回路12を介し
て画像メモリ15の1つのアドレスに記憶される。この
画像メモリの他のアドレスにはアレイ方向の走査によっ
て得られる他の方向の受信信号が、同様のスライス方向
可変口径処理がなされて記憶されている。画像メモリ1
5に記憶された1枚の画像情報はテレビフォーマットに
よって出力されテレビモニタ16に表示される。
【0044】次に、図15のブロック図を参照しながら
本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置全体の構成
を説明する。超音波プローブにおいて走査方向に配列さ
れている振動子数をM、スライス方向の配列振動子数は
6本とする。超音波診断のモードには大きく分類してB
モード(断層像)とDモード(ドップラ)がある。まず
Bモードについて述べる。超音波を媒質(生体)内に送
信する場合にはまずレートパルス発生器1によって超音
波パルスの繰り返し周波数を決定するレートパルスを出
力させる。このパルスはMチャンネルから構成される送
信用遅延回路2に送られ、送信時の走査方向超音波ビー
ムの焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向
角θi を決定する遅延時間τs が与えられ、Mチャンネ
ルの振動子駆動回路3に供給される。この駆動回路では
前記超音波振動子を駆動し超音波を発生するための駆動
パルスが形成され、その駆動パルスのタイミングは送信
用遅延回路2の出力によって決定される。この駆動回路
3の出力はM本の同軸ケーブル5を介してプローブ内の
電子スイッチ機能を備えたプリアンプ6を介して振動子
7を駆動し、超音波を角度θi の方向に発生させる。
【0045】ところで、送信時においてスライス方向の
振動子数は一般にあらかじめ決められており、すでに述
べたような受信信号のスライス方向可変口径処理がなさ
れる間も送信の口径は固定されることが望ましい。たと
えば送信信号が供給される振動子は前記スライス方向振
動子7の1から6のうち振動子7の2、3、4、5が選
ばれる。送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内
のθi 方向に放射された超音波は生体内にて反射され、
再び超音波振動子7によって受信される。この時、既に
述べたようにプローブ内に設けられ、スライス方向振動
子のスイッチング機能を備えたプリアンプ6によってス
ライス方向の振動子7の2、3、4、5が選択される。
この受信信号は前記同軸ケーブル5を介して本体受信回
路に送られる。この受信回路ではまずアンプ(増幅器)
8を介しA/D変換器13にてデジタル化された後、受
信遅延回路9によってアレイ方向の電子集束やビーム偏
向に必要な遅延時間が与えられる。この本体装置の入力
端の増幅器8において、その利得調整がダイナミックに
行なわれ隣接振動子間での振動重み付けによってアレイ
方向での可変口径が行なわれる。つぎに受信信号はA/
D変換器13によってデジタル信号に変換された後、前
記アレイ方向ビームフォーミング用遅延回路9において
受信時の集束点と受信方向θi (受信指向性)が決定さ
れる。ただし、前記受信集束点を決定する遅延時間は受
信時刻とともに変化し、これにともなって受信集束点も
変化する。すなわち前記増幅器8の利得と受信遅延回路
の遅延時間の可変機能によりアレイ方向においていわゆ
る可変口径焦点法が実現される。受信遅延回路9の出力
は加算器10においてアレイ方向の他のチャンネル(M
チャンネル)からの信号と加算合成され、この加算器出
力はRFラインメモリ61−1にいったん記憶される。
【0046】次にレートパルス発生器1によってレート
パルスが出力される。このパルスは送信用遅延回路2に
送られ、再度送信時の走査において焦点距離f0 を決定
する遅延時間τf とセクタ偏向角θi を決定する遅延時
間τsiが与えられ、振動子駆動回路3に供給される。こ
の駆動回路3の出力は同軸ケーブル5、プリアンプ6を
介して振動子7を駆動し、再度、超音波を角度θi の方
向に発生させる。この時も送信時に用いられるスライス
方向の振動子数はθi 方向の最初のビーム送信時と変わ
らない。送信時に選ばれた2次元配列振動子から生体内
のθi 方向に放射された超音波は生体内にて反射され、
再び超音波振動子によって受信される。この時スライス
方向振動子スイッチング機能を備えたプリアンプ6によ
って受信時刻t=0からt=r2/cまではスライス方
向の振動子7の3と4が選択され、t=r2/c以降は
スライス方向の全ての振動子1から6が選択され、受信
される。この受信信号は前記同軸ケーブル5、増幅器
8、A/D変換器13、受信遅延回路9によって処理さ
れ、増幅器8の利得及び受信遅延回路9の遅延時間の可
変機能によりアレイ方向においてはいわゆる可変口径焦
点法が全く同様に行なわれる。この受信遅延回路9の出
力は加算器10においてアレイ方向の他のチャンネル
(Mチャンネル)からの信号と加算合成され、この加算
器出力はRFラインメモリ61−2に記憶される。この
RFラインメモリ61に記憶された受信信号はRF減算
器62にて各区間(0−r1,r1−r2、r2−)で
のRF信号の減算演算が行なわれ、0−r1区間ではT
R−1を、r1−r2ではTr−1とTR−2そ、また
r2以降ではTR−1+TR−2とTR−3の信号を分
離して得ることができる。これらの信号はスライス方向
にビームを集束させるための遅延時間がスライス方向受
信遅延回路63によって与えられ、加算器64にて前記
切り替えノイズが混入しないように合成された後、対数
変換器11、検波器12を介して画像メモリ15の1つ
のアドレスに記憶される。
【0047】次にレートパルス発生器1によって第3お
よび第4のレートパルスが出力され、このパルスはMチ
ャンネル送信用遅延回路2に送られ、送信時の走査にお
いて焦点距離f0 を決定する遅延時間τf とセクタ偏向
角θi+1 を決定する遅延時間τsi+1が与えられ、Mチャ
ンネルの振動子駆動回路3に供給される。さらにその出
力は同軸ケーブル5、プリアンプ6を介して振動子7を
駆動し、今度は超音波を角度θi+1 の方向に発生させ
る。この時も送信時に用いられるスライス方向の振動子
数はθi 方向のビーム送信時と変わらない。一方、受信
信号はプリアンプ6、同軸ケーブル5、アンプ8、A/
D変換器13、受信遅延回路9、加算器10、を介して
RFラインメモリ61−1、61−2に記憶される。こ
のRFラインメモリ61に記憶された受信信号は超音波
ビーム偏向角θi の場合と同様な演算がなされて画像メ
モリ15の隣接したアドレスに記憶される。
【0048】このように画像メモリ15の他のアドレス
にはアレイ方向のθi ,θi+1 ,θi+2 ...の走査に
よって得られた受信信号が、同様のスライス方向可変口
径処理がなされて記憶されている。画像メモリ15に記
憶された1枚の画像情報はテレビフォーマットによって
出力されテレビモニタ16によって表示される。
【0049】一方、Dモードについては図7の場合と全
く同様である。すなわちプリアンプ内の電子スイッチは
すべて導通状態となり、可変口径焦点は行なわずに従来
と全く同様の動作を行なう。なお可変口径焦点の場合の
プローブ内電子回路は可変口径法の場合と同じであり、
図8、図9、図10、図11の回路構成がそのまま適用
可能である。
【0050】なお、本発明は可変口径法、可変口径焦点
法のいずれにおいても従来の1次元アレイの場合よりも
フレーム数が半分以下に低下する(基本系では半分にな
る)が、近年では並列同時受信技術が実用化され、短時
間あたりの送受信回路を等価的に2倍から4倍にするこ
とが可能となってきた。本発明はこのような並列同時受
信技術と組み合わせることによって従来と同様に毎秒3
0フレームの動画像を観測することが可能となる。なお
本発明の説明に於いてセクタ走査装置を例に挙げて説明
したが、走査方式としてはこれに限定されるものではな
く、リニア走査、コンベックス走査、ラジアル走査等に
おいても本発明は有効である。
【0051】
【発明の効果】従来の超音波プローブと比較してN倍の
振動子数を有する2次元アレイプローブにおいても、本
発明を採用することによってプローブから装置本体に接
続されるケーブルの本数は従来程度でよいため操作性に
優れ、しかも可変口径法では回路構成が比較的簡単な2
次元アレイシステムを実現することができる。さらに本
発明と並列同時受信技術とを組み合わせることによっ
て、フレーム数が低下することなく動画像を観測するこ
とも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変口径法の受信系の構成を示すブロ
ック図。
【図2】従来のセクタ走査型超音波診断装置の構成を示
すブロック図。
【図3】可変口径焦点法(DVAF)の一般的な原理を
示す図。
【図4】従来の超音波プローブの構成を示す斜視断面
図。
【図5】可変口径法(DVA)の一般的な原理を示す
図。
【図6】本発明の可変口径法の原理を示す図。
【図7】本発明の第1実施形態に係るセクタ走査型超音
波診断装置の構成を示すブロック図。
【図8】本発明のプローブ内回路の構成を示す図。
【図9】本発明のプローブ内のブリアンプ回路の構成を
示す図。
【図10】本発明のプローブ内回路の他の構成を示す
図。
【図11】本発明のプローブ内回路のさらに他の構成を
示す図。
【図12】本発明のプローブ内回路のさらに他の構成を
示す図。
【図13】本発明の可変口径焦点法の原理を示す図。
【図14】本発明の可変口径焦点法の受信系の構成を示
すブロック図。
【図15】本発明の第2実施形態に係るセクタ走査型超
音波診断装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1…レートパルス発生器 2…送信用遅延回路 3…振動子駆動回路 4…受信回路 5…同軸ケーブル 6…プリアンプ 7…振動子 8…アンプ 9…受信用遅延回路 10…加算器 11…対数変換器 12…検波回路 13…A/D変換器 14…ラインメモリ 15…画像メモリ 16…TVモニタ 17…基準信号発生器 18…π/2移相器 19…ミキサ 20…LPF 22…演算器 51,52,53…ダイオード 54,55…電子スイッチ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の方向及びこれと直交する第二の方
    向に二次元的に配列された複数個の超音波振動子から構
    成され、超音波ビームの送受信を行なうための超音波プ
    ローブと、この超音波プローブを駆動することにより所
    定方向に送信ビームを放射させるための駆動手段と、前
    記駆動手段による送信ビームの放射方向を変化させるこ
    とによって前記第一の方向の走査を行なう第一走査手段
    と、前記送信ビームを前記第一の方向及びこれと直交す
    る第二の方向において集束させるための第一集束手段
    と、前記放射方向から反射される受信ビームを前記超音
    波振動子によって受信し、且つ前記第一の方向の走査を
    行なう第二走査手段と、前記受信ビームを前記第一の方
    向及びこれと直交する第二の方向において集束させるた
    めの受信集束手段と、この受信集束手段によって集束さ
    れた受信ビームを信号処理し、これを画像として表示す
    る表示手段とを具備する超音波診断装置において、 前記第二の方向のビームフォーミングにおいて前記超音
    波振動子の駆動を制御することにより、前記第一の方向
    における送受信方向を同じにして少なくとも二回以上の
    送受信を行ない、このとき得られる受信信号を組み合わ
    せることによって一走査方向の受信信号を再構成する再
    構成手段を具備することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 前記第一の方向において同一方向の走査
    を複数回行ないながら超音波の受信を行なう場合に、受
    信動作中における前記第二の方向の実効振動子数を増加
    させる実効振動子数増加手段をさらに具備することを特
    徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 前記実効振動子数増加手段は、前記超音
    波プローブ内に内蔵される振動子切り替え手段から成る
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 前記第二の方向における超音波ビームの
    集束を前記超音波プローブに設けられる音響レンズによ
    って行なうことを特徴とする請求項1に記載の超音波診
    断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001021072A1 (fr) * 1999-09-17 2001-03-29 Hitachi Medical Corporation Sonde a ultrasons et appareil de diagnostic a ultrasons la contenant
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JP2022183623A (ja) * 2021-05-31 2022-12-13 富士フイルムヘルスケア株式会社 超音波診断装置及びイメージ処理方法

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