JP3851586B2 - シールドコネクタとシールドコネクタの組立方法 - Google Patents

シールドコネクタとシールドコネクタの組立方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の接続等に使用されるシールドコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車は、前述した電子機器に信号や電力を供給するためにワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、電線に取り付けられるコネクタとを備えている。
【0003】
前述した自動車には、種々の電子機器が搭載される。このため、前記コネクタの端子金具に外部からノイズが侵入することを防止することが望まれている。また、前記コネクタの端子金具から外部へノイズが漏れることを防止することが望まれている。このため、前述したコネクタとして、例えば、特開2000−48912号公報に示されたシールド装置を用いることがある。
【0004】
前述した公報に記載されたシールド装置は、導電性の電子機器のシールドボックスに取り付けられる。シールド装置は、雌形のコネクタハウジング(以下雌ハウジングと呼ぶ)と、雄形のコネクタハウジング(以下雄ハウジングと呼ぶ)と、導電性の一対のシールドシェルと、を備えている。雌ハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり雄形の端子金具を収容する収容部を備えている。収容部は、端子金具に係止する係止部を備えている。雌ハウジングは、ボルトなどにより前述したシールドボックスに取り付けられる。
【0005】
雄ハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり雌形の端子金具を収容する収容部を備えている。収容部は、端子金具に係止する係止部を備えている。一対のシールドシェルは、導電性の金属からなる。一方のシールドシェルは、雌ハウジングの収容部を覆う。他方のシールドシェルは、雄ハウジングの収容部を覆う。
【0006】
前述した公報に記載されたシールド装置は、雌ハウジングをシールドボックスに取り付けて、この雌ハウジングの収容部を一方のシールドシェルで覆う。雄ハウジングの収容部を他方のシールドシェルで覆う。雌ハウジングに雄ハウジングを嵌合させる。こうして、前述したシールド装置を組み立てる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した公報に記載されたシールド装置では、雌ハウジングと雄ハウジングに端子金具を係止するための係止部を設ける必要があった。このため、前述したコネクタハウジングを成型するための金型の形状が複雑になって、前述した金型のコストが高騰する虞があった。このため、前述したシールド装置のコストも高騰する傾向であった。また、ランスに端子金具それぞれを係止する必要があり、組立にかかる手間が増加して、コストがより一層高騰する虞があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、コストの高騰を抑制できるシールドコネクタとシールドコネクタの組立方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のシールドコネクタは、電線が取り付けられる棒状の端子金具と、金属からなりかつ前記端子金具を収容する端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具と前記コネクタハウジングとを電気的に絶縁状態に保つ絶縁部材と、前記端子金具を前記コネクタハウジングに固定する固定部材と、を備え、相手側のコネクタと結合するシールドコネクタにおいて、前記コネクタハウジングは、相手側のコネクタが侵入する第1の室と前記電線を収容する第2の室とに前記端子収容室を区画する隔壁と、前記隔壁を貫通しかつ前記絶縁部材を通す貫通孔を備え、前記端子金具は、一端部が前記第1の室内に位置付けられ、他端部に前記電線が取り付けられるとともに、前記一端部の外面から凹の凹溝と、前記一端部から遠ざかるにしたがって前記他端部を段階的に大きくする段差部と、を備え、前記絶縁部材は、前記隔壁の前記第1の室側の一方の表面に重なる第1の部分と、前記第1の部分に連なりかつ前記貫通孔内に通される第2の部分と、前記第2の部分に接触しかつ前記隔壁の第2の室側の他方の表面に重なる第3の部分と、前記端子金具を通す通し部とを備え、前記絶縁部材が前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具が前記通し部に通されているとともに、前記固定部材が凹溝に係止して、前記固定部材と前記段差部とで前記第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟んでいることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明のシールドコネクタは、請求項1に記載のシールドコネクタにおいて、前記コネクタハウジングは前記端子収容室を複数備え、前記通し部の内面と、前記端子金具の前記通し部内に通された部分の外面とが互いに間隔をあけていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の本発明のシールドコネクタは、請求項1または請求項2に記載のシールドコネクタにおいて、前記絶縁部材は、前記第1の部分と第2の部分を有した第1の絶縁部材と、前記第1の絶縁部材と別体でかつ第3の部分を有した第2の絶縁部材とを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の本発明のシールドコネクタの組立方法は、電線が取り付けられる棒状の端子金具と、金属からなりかつ前記端子金具を収容する端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具と前記コネクタハウジングとを電気的に絶縁状態に保つ絶縁部材と、前記端子金具を前記コネクタハウジングに固定する固定部材と、を備え、相手側のコネクタと結合するシールドコネクタを組み立てる組立方法において、前記コネクタハウジングは、相手側のコネクタが侵入する第1の室と前記電線を収容する第2の室とに前記端子収容室を区画する隔壁と、前記隔壁を貫通しかつ前記絶縁部材を通す貫通孔を備え、前記端子金具は、一端部が前記第1の室内に位置付けられ、他端部に前記電線が取り付けられるとともに、前記一端部の外面から凹の凹溝と、前記一端部から遠ざかるにしたがって前記他端部を段階的に大きくする段差部と、を備え、前記絶縁部材は、前記隔壁の前記第1の室側の一方の表面に重なる第1の部分と、前記第1の部分に連なりかつ前記貫通孔内に通される第2の部分と、前記第2の部分に接触しかつ前記隔壁の第2の室側の他方の表面に重なる第3の部分と、前記端子金具を通す通し部とを備え、前記端子収容室に前記絶縁部材を挿入し、前記通し部に前記一端部から前記端子金具を挿入するとともに、前記凹溝に固定部材を係止して、前記固定部材と前記段差部とで前記第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟むことを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の本発明のシールドコネクタの組立方法は、請求項4に記載のシールドコネクタの組立方法において、前記コネクタハウジングは前記端子収容室を複数備え、前記通し部の内面と、前記端子金具の前記通し部内に通された部分の外面とが互いに間隔をあけていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の本発明のシールドコネクタの組立方法は、請求項4または請求項5に記載のシールドコネクタの組立方法において、前記絶縁部材は、前記第1の部分と第2の部分を有した第1の絶縁部材と、前記第1の絶縁部材と別体でかつ第3の部分を有した第2の絶縁部材とを備え、前記第1の絶縁部材を第1の室に挿入しかつ前記第2の絶縁部材を第2の室に挿入して、前記絶縁部材を端子収容室に挿入することを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載した本発明のシールドコネクタによれば、絶縁部材が端子収容室に収容される。端子金具が絶縁部材の通し部に通される。固定部材が、端子金具の凹溝に係止する。固定部材と端子金具の段差部で、絶縁部材の第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟んでいる。
【0016】
また、絶縁部材の第1の部分は、隔壁の一方の表面に重なる。第3の部分は、隔壁の他方の表面に重なるため、固定部材を凹溝に係止して、固定部材と段差部で第1ないし第3の部材を挟むと、端子収容室から絶縁部材と端子金具が抜けでない。このように、凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定できる。
【0017】
さらに、端子金具の凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定する。このように、コネクタハウジングと絶縁部材とを固定するためと、絶縁部材と端子金具とを固定するためとのそれぞれにボルトや係止部などを用いる場合と比較して部品点数を抑制できる。
【0018】
請求項2に記載した本発明のシールドコネクタによれば、絶縁部材の通し部の内面と端子金具の外面とが、互いに間隔をあけている。このため、これらの内面と外面とが相対する方向に沿って、コネクタハウジングと端子金具とが相対的に移動可能となっている。
【0019】
請求項3に記載した本発明のシールドコネクタによれば、絶縁部材は、第1の部分と第2の部分とを備えた第1の絶縁部材と、第3の部分を備えた第2の絶縁部材と、を備えている。このため、絶縁部材を端子収容室内に確実に挿入できる。
【0020】
請求項4に記載した本発明のシールドコネクタの組立方法によれば、絶縁部材を端子収容室に挿入して、凹溝に固定部材を係止して、固定部材と端子金具の段差部で、絶縁部材の第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟む。絶縁部材の第1の部分が隔壁の一方の表面に重なり、第3の部分が隔壁の他方の表面に重なるため、固定部材を凹溝に係止して、固定部材と段差部で第1ないし第3の部材を挟むと、端子収容室から絶縁部材と端子金具が抜けでない。このように、凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定できる。
【0021】
さらに、端子金具の凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定する。このように、コネクタハウジングと絶縁部材とを固定するためと、絶縁部材と端子金具とを固定するためとのそれぞれにボルトや係止部などを用いる場合と比較して部品点数を抑制できる。
【0022】
請求項5に記載した本発明のシールドコネクタの組立方法によれば、絶縁部材の通し部の内面と端子金具の外面とが、互いに間隔をあけている。このため、これらの内面と外面とが相対する方向に沿って、コネクタハウジングと端子金具とが相対的に移動可能となっている。
【0023】
請求項6に記載した本発明のシールドコネクタの組立方法によれば、絶縁部材は、第1の部分と第2の部分とを備えた第1の絶縁部材と、第3の部分を備えた第2の絶縁部材と、を備えている。このため、絶縁部材を端子収容室内に確実に挿入できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかるシールドコネクタを図1ないし図10を参照して説明する。図1及び図2などに示すシールドコネクタ1は、例えば、電気自動車やハイブリット車や燃料電池車などのモータ2に取り付けられて、相手側のコネクタ3と結合することにより、前記モータ2に電力などを供給する。なお、モータ2は、前述した自動車が走行する際の駆動源として用いられる。モータ2は、3相交流のACモータとなっている。
【0025】
相手側のコネクタ3は、コネクタハウジング4と、複数の図示しない端子金具とを備えている。コネクタハウジング4は、導電性の金属からなり箱状に形成されている。端子金具は、導電性の金属からなり前記コネクタハウジング4内に収容されている。図示例では、相手側のコネクタ3は、端子金具を3つ備えている。それぞれの端子金具は、コネクタハウジング4と電気的に絶縁状態に保たれている。複数の端子金具は、互いに電気的に絶縁状態に保たれている。また、端子金具には、電線5が取り付けられている。電線5は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。電線5は、電子機器としてのAC/DCコンバータと電気的に接続している。
【0026】
シールドコネクタ1は、図3及び図4に示すように、コネクタハウジング6と、複数の棒状の端子金具7と、第1の絶縁部材8と、この第1の絶縁部材8と別体の第2の絶縁部材9と、固定部材としてのCリング10とを備えている。コネクタハウジング6は、導電性の金属からなり筒状に形成されている。コネクタハウジング6は、電子機器としてのモータ2に取り付けられる。シールドコネクタ1と相手側のコネクタ3とが結合すると、コネクタハウジング6内に相手側のコネクタ3が侵入する。コネクタハウジング6は、端子収容室11を複数備えている。図示例では、コネクタハウジング6は、端子収容室11を3つ備えている。それぞれの端子収容室11は、一方向に沿って延びている。端子収容室11は、互いに並行である。
【0027】
それぞれの端子収容室11の長手方向の中央部には、隔壁12が設けられている。隔壁12により、端子収容室11は、第1の室13と第2の室14とに区画されている。第1の室13には、相手側のコネクタ3が侵入する。第1の室13は、断面丸形に形成されている。第2の室14は、端子金具7に取り付けられる電線15を収容する。複数の端子収容室11の第2の室14は、互いに連なっている。また、前記隔壁12には、端子収容室11の長手方向に沿って隔壁12を貫通した貫通孔16が設けられている。貫通孔16は、平面形状が丸形に形成されている。貫通孔16と、第1の室13とは、互いに同軸に配されている。貫通孔16の内径は、第1の室13の内径より小さい。
【0028】
端子金具7は、導電性の金属からなりかつ円柱状または円筒状に形成されている。図示例では、端子金具7は、3つ設けられている。端子金具7は、互いに同軸な小径部17と大径部18とを備えている。小径部17の外径は、大径部18の外径より勿論小さい。小径部17は、端子金具7の一端部7a寄りに配され、大径部18は、他端部7b寄りに配されている。端子金具7の一端部7aには、凹溝19が形成されている。凹溝19は、端子金具7の全周に亘って形成されている。凹溝19は、端子金具7の外面から凹である。凹溝19には、Cリング10が係止する。凹溝19は、小径部17に形成されている。
【0029】
端子金具7の他端部7bには、電線15が取り付けられる。即ち、大径部18に電線15が取り付けられる。電線15は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。電線15は、前述したモータ2と接続する。又、端子金具7の他端部7bには、小径部17と大径部18とが連なる箇所で段差部20が設けられている。段差部20は一端部7aから他端部7b側の端に向かうにしたがって、端子金具7の外径を段階的に大きくしている。段差部20の表面は、端子金具7の断面の径方向に沿っている。即ち、段差部20の表面は端子金具7の長手方向に直交(交差)している。また、小径部17は、本明細書に記した端子金具7の通し部31内に通された部分をなしている。
【0030】
端子金具7は、一端部7aが第1の室13内に位置付けられ、かつ他端部7bが第2の室14内に位置付けられて、端子収容室11内に収容される。端子金具7が端子収容室11内に収容されかつ凹溝19にCリング10が係止すると、第1の絶縁部材8の後述する円環部22と小径部23と第2の絶縁部材9の後述する円環部24を、段差部20とCリング10との間に挟む。
【0031】
第1の絶縁部材8は、3つ設けられている。第1の絶縁部材8は、絶縁性の合成樹脂からなる。第1の絶縁部材8は、円筒状の大径部21と、第1の部分としての円環状の円環部22と、第2の部分としての円筒状の小径部23とを一体に備えている。大径部21の内外径は、小径部23の内外径より大きい。大径部21の外径は、第1の室13の内径と等しい。円環部22の外径は、大径部21の内径と等しい。円環部22は、大径部21の内縁に連なっている。小径部23は、円環部22の内縁に連なっている。小径部23の外径は、貫通孔16の内径と等しい。小径部23の内径は、端子金具7の小径部17の外径より大きい。第1の絶縁部材8は、小径部23が貫通孔16内に通されかつ円環部22が隔壁12の第1の室13側の一方の表面12aに重なるとともに大径部21が第1の室13内に収容された格好で、端子収容室11内に収容される。
【0032】
第2の絶縁部材9は、絶縁性の合成樹脂からなる。第2の絶縁部材9は、3つの円環部24と、3つの円筒部25と、連結部26と、外周部27とを一体に備えている。円環部24の内径は、端子金具7の小径部17の外径より大きい。円筒部25は、円環部24の外縁に連なっている。円筒部25の内径は、第1の絶縁部材8の小径部23の外径と等しい。円筒部25は、内側に第1の絶縁部材8の小径部23を収容する。円筒部25の内面は、小径部23の外面と接触する。連結部26は、円筒部25を互いに連結する。連結部26は、隔壁12の第2の室14側の他方の表面12bと平行である。なお、円環部24と円筒部25と連結部26とは、本明細書に記した第3の部分をなしている。
【0033】
外周部27は、外形が第2の室14に沿った筒状に形成されている。外周部27は、連結部26の外縁に連なっている。前述した構成の第2の絶縁部材9は、円筒部25内に小径部23を収容しかつ連結部26が隔壁12の他方の表面12bに重なるとともに、外周部27が第2の室14内に収容された格好で、端子収容室11内に収容される。
【0034】
前述した構成によれば、第1及び第2の絶縁部材8,9は、端子金具7とコネクタハウジング6とを互いに電気的に絶縁状態に保つ。また、第1及び第2の絶縁部材8,9は、端子金具7同士を電気的に絶縁状態に保つ。なお、前述した第1の絶縁部材8と、第2の絶縁部材9とで、本明細書に記した絶縁部材30をなしている。第1の絶縁部材8の小径部17の内側と第2の絶縁部材9の円環部24の内側とで、本明細書に記した通し部31をなしている。
【0035】
Cリング10の平面形状は、C状に形成されている。Cリング10は、金属からなる。Cリング10の内縁は、図5などに示すように、凹溝19内に係止する。こうして、Cリング10は、端子金具7の一端部7aの外面に係止する。
【0036】
前述シールドコネクタ1を組み立てる際には、まず、図6に示すコネクタハウジング6に、図7に示すように、第2の絶縁部材9を取り付ける。このとき、円環部24は、貫通孔16と同軸になっているとともに連結部26が隔壁12の他方の表面12bに重なっている。
【0037】
そして、図8に示すように、第1の絶縁部材8を取り付ける。小径部23が貫通孔16内に収容され(接触し)かつ円環部22が隔壁12の一方の表面12aに重なり大径部21が第1の室13内に収容される。そして、図9に示すように、端子金具7を第2の室14から第1の室13側に向かって端子収容室11内に挿入する。このとき、一端部7aから端子金具7を端子収容室11内に挿入する。すると、通し部30即ち小径部23の内面23aと、小径部17の外面17aとが、互いに間隔をあけている。
【0038】
そして、図10に示すように、第1の室13内にCリング10を挿入して、該Cリング10を凹溝19に係止する。すると、第1の絶縁部材8の円環部22と小径部23と第2の絶縁部材9の円環部24とを、段差部20とCリング10との間に挟む。段差部20とCリング10との間に円環部22,24などを挟むので、Cリング10を凹溝19に係止することで、絶縁部材8,9が端子収容室11から抜け出ることを防止できる。このように、Cリング10を凹溝19に係止することで、コネクタハウジング6と端子金具7と絶縁部材8,9を固定できる。
【0039】
こうして、組み立てられたシールドコネクタ1は、相手側のコネクタ3と結合する。そして、シールドコネクタ1の端子金具7と相手側のコネクタ3の端子金具とが電気的に接続して、AC/DCコンバータとモータ2とを電気的に接続する。このとき、コネクタハウジング6,4が金属からなるので、シールドコネクタ1と相手側のコネクタ3は、主に、端子金具7などを流れる電力によって生じるノイズが外部に漏れることを防止する。勿論、シールドコネクタ1と相手側のコネクタ3は、端子金具7などに外部からのノイズが侵入することを防止する。
【0040】
また、小径部23の内径と円環部24の内径は、端子金具7の小径部17の外径より大きい。このため、小径部23と円環部24の内面23a,24aは、端子金具7の小径部17の外面17aと間隔をあけて相対している。このため、端子金具7の長手方向に直交(交差)する方向(内面23a,24aと外面17aとが相対する方向)に沿って、コネクタハウジング6と端子金具7とは相対的に移動可能となっている。
【0041】
本実施形態によれば、Cリング10と端子金具7の段差部20で、絶縁部材8,9の円環部22と小径部23と円環部24を挟む。第1の絶縁部材8の円環部22が隔壁12の一方の表面12aに重なり、第2の絶縁部材9の連結部26が隔壁12の他方の表面12bに重なる。このため、Cリング10を凹溝19に係止して、Cリング10と段差部20で絶縁部材8,9の円環部22と小径部23と円環部24を挟むと、端子収容室11から絶縁部材8,9と端子金具7が抜けでない。
【0042】
このように、凹溝19にCリング10を係止することで、コネクタハウジング6と絶縁部材8,9と端子金具7とを固定できる。したがって、端子金具7に凹溝19を形成することで、コネクタハウジング6と、絶縁部材8,9と、端子金具7とを固定できるので、これらを形成する際にかかる手間を抑制できる。さらに、組立にかかる手間(工数)を抑制できる。
【0043】
また、コネクタハウジング6と絶縁部材8,9と端子金具7とを固定するために、Cリング10を用いる。このように、コネクタハウジング6と絶縁部材8,9とを固定するためと、絶縁部材8,9と端子金具7とを固定するためとのそれぞれにボルトや係止部などを用いる場合と比較して、簡便な構成で互いに取り付けることができる。したがって、部品点数の増加を抑制でき、コストの高騰を抑制できる。
【0044】
小径部23と円環部24の内面23a,24aと端子金具7の小径部17の外面17aとが、互いに間隔をあけている。このため、端子金具7の長手方向に直交(交差)する方向(内面23a,24aと外面17aとが相対する方向)に、コネクタハウジング6と端子金具7とが相対的に移動可能となっている。このため、端子収容室11内の端子金具7間の間隔と、相手側のコネクタ3の端子金具間の間隔とがずれても、相手側のコネクタ3を結合する際に、相手側のコネクタ3の端子金具と接続する方向に端子金具7が移動する。このため、相手側のコネクタ3と結合した際に、端子金具7が相手側のコネクタ3の端子金具と確実に接続する。したがって、モータ2とAC/DCコンバータなどの電子機器同士を確実に接続できる。
【0045】
また、絶縁部材30は、第1の絶縁部材8と第2の絶縁部材9とに分割されている。このため、絶縁部材8,9を端子収容室11内に確実に挿入できる。したがって、コストの高騰を抑制できることにくわえ、確実に組み立てることができる。
【0046】
なお、前述した実施形態では、モータ2として3相交流のACモータを用いている。しかしながら、本発明では、他のモータを用いても良いことは勿論である。また、前述した実施形態では、モータ2とAC/DCコンバータとを接続している。しかしながら、本発明では、モータ2とAC/DCコンバータ以外の他の電子機器などを相互に接続しても良いことは勿論である。さらに、本発明では、固定部材としてCリング10を用いている。しかしながら、本発明では、Eリングなどの他の部材を用いても良いことは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、固定部材と端子金具の段差部で、絶縁部材の第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟む。絶縁部材の第1の部分が隔壁の一方の表面に重なり、第3の部分が隔壁の他方の表面に重なるため、固定部材を凹溝に係止して、固定部材と段差部で第1ないし第3の部分を挟むと、端子収容室から絶縁部材と端子金具が抜けでない。
【0048】
このように、凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定できる。したがって、端子金具に凹溝を形成することで、コネクタハウジングと、絶縁部材と、端子金具とを固定できるので、これらを形成する際にかかる手間を抑制できる。さらに、組立にかかる手間(工数)を抑制できる。したがって、コストの高騰を抑制できる。
【0049】
また、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定するために、固定部材を用いる。このように、コネクタハウジングと絶縁部材とを固定するためと、絶縁部材と端子金具とを固定するためとのそれぞれにボルトや係止部などを用いる場合と比較して、簡便な構成で前述した部品を互いに取り付けることができる。したがって、部品点数の増加を抑制でき、コストの高騰を抑制できる。
【0050】
請求項2に記載の本発明によれば、絶縁部材の通し部の内面と端子金具の外面とが、互いに間隔をあけている。このため、これらの内面と外面とが相対する方向に沿って、コネクタハウジングと端子金具とが相対的に移動可能となっている。このため、端子収容室を複数備えた場合に端子金具間の間隔と、相手側のコネクタの端子金具間の間隔とがずれても、相手側のコネクタを結合する際に、端子金具が移動する。このため、相手側のコネクタと結合した際に、端子金具が相手側のコネクタの端子金具と確実に接続する。
【0051】
請求項3に記載の本発明によれば、絶縁部材は、第1の部分と第2の部分とを備えた第1の絶縁部材と、第3の部分を備えた第2の絶縁部材と、を備えている。このため、絶縁部材を端子収容室内に確実に挿入できる。したがって、コストの高騰を抑制できることにくわえ、確実に組み立てることができる。
【0052】
請求項4に記載の本発明によれば、絶縁部材を端子収容室に挿入して、凹溝に固定部材を係止して、固定部材と端子金具の段差部で、絶縁部材の第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟む。絶縁部材の第1の部分が隔壁の一方の表面に重なり、第3の部分が隔壁の他方の表面に重なるため、固定部材を凹溝に係止して、固定部材と段差部で第1ないし第3の部材を挟むと、端子収容室から絶縁部材と端子金具が抜けでない。このように、凹溝に固定部材を係止することで、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定できる。
【0053】
したがって、端子金具に凹溝を形成することで、コネクタハウジングと、絶縁部材と、端子金具とを固定できるので、これらを形成する際にかかる手間を抑制できる。さらに、組立にかかる手間(工数)を抑制できる。したがって、コストの高騰を抑制できる。また、コネクタハウジングと絶縁部材と端子金具とを固定するために、固定部材を用いる。このように、コネクタハウジングと絶縁部材とを固定するためと、絶縁部材と端子金具とを固定するためとのそれぞれにボルトや係止部などを用いる場合と比較して、簡便な構成で前述した部品を互いに取り付けることができる。したがって、部品点数の増加を抑制でき、コストの高騰を抑制できる。
【0054】
請求項5に記載の本発明によれば、絶縁部材の通し部の内面と端子金具の外面とが、互いに間隔をあけている。このため、これらの内面と外面とが相対する方向に沿って、コネクタハウジングと端子金具とが相対的に移動可能となっている。このため、端子収容室を複数備えた場合に端子金具間の間隔と、相手側のコネクタの端子金具間の間隔とがずれても、相手側のコネクタを結合する際に、端子金具が移動する。このため、相手側のコネクタと結合した際に、端子金具が相手側のコネクタの端子金具と確実に接続する。
【0055】
請求項6に記載の本発明によれば、絶縁部材は、第1の部分と第2の部分とを備えた第1の絶縁部材と、第3の部分を備えた第2の絶縁部材と、を備えている。このため、絶縁部材を端子収容室内に確実に挿入できる。したがって、シールドコネクタのコストの高騰を抑制できることにくわえ、シールドコネクタを確実に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシールドコネクタが相手側のコネクタと結合した状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタが互いに分離した状態を示す側面図である。
【図3】図2に示されたシールドコネクタの一部を断面にして示す側面図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図4中のV部を拡大して示す断面図である。
【図6】図4に示されたシールドコネクタのコネクタハウジングの断面図である。
【図7】図6に示されたコネクタハウジングに第2の絶縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】図7に示されたコネクタハウジングに第1の絶縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたコネクタハウジングに端子金具を取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】図8に示されたコネクタハウジングに取り付けられた端子金具にCリングを係止した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シールドコネクタ
3 相手側のコネクタ
6 コネクタハウジング
7 端子金具
7a 一端部
7b 他端部
8 第1の絶縁部材
9 第2の絶縁部材
10 Cリング(固定部材)
11 端子収容室
12 隔壁
12a 一方の表面
12b 他方の表面
13 第1の室
14 第2の室
15 電線
16 貫通孔
17 小径部(通し部に通される部分)
17a 外面
19 凹溝
20 段差部
22 円環部(第1の部分)
23 小径部(第2の部分)
23a 内面
24 円環部(第3の部分)
24a 内面
25 円筒部(第3の部分)
26 連結部(第3の部分)
30 絶縁部材
31 通し部

Claims (6)

  1. 電線が取り付けられる棒状の端子金具と、金属からなりかつ前記端子金具を収容する端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具と前記コネクタハウジングとを電気的に絶縁状態に保つ絶縁部材と、前記端子金具を前記コネクタハウジングに固定する固定部材と、を備え、相手側のコネクタと結合するシールドコネクタにおいて、
    前記コネクタハウジングは、相手側のコネクタが侵入する第1の室と前記電線を収容する第2の室とに前記端子収容室を区画する隔壁と、前記隔壁を貫通しかつ前記絶縁部材を通す貫通孔を備え、
    前記端子金具は、一端部が前記第1の室内に位置付けられ、他端部に前記電線が取り付けられるとともに、前記一端部の外面から凹の凹溝と、前記一端部から遠ざかるにしたがって前記他端部を段階的に大きくする段差部と、を備え、
    前記絶縁部材は、前記隔壁の前記第1の室側の一方の表面に重なる第1の部分と、前記第1の部分に連なりかつ前記貫通孔内に通される第2の部分と、前記第2の部分に接触しかつ前記隔壁の第2の室側の他方の表面に重なる第3の部分と、前記端子金具を通す通し部とを備え、
    前記絶縁部材が前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具が前記通し部に通されているとともに、前記固定部材が凹溝に係止して、前記固定部材と前記段差部とで前記第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟んでいることを特徴とするシールドコネクタ。
  2. 前記コネクタハウジングは前記端子収容室を複数備え、
    前記通し部の内面と、前記端子金具の前記通し部内に通された部分の外面とが互いに間隔をあけていることを特徴とする請求項1記載のシールドコネクタ。
  3. 前記絶縁部材は、
    前記第1の部分と第2の部分を有した第1の絶縁部材と、
    前記第1の絶縁部材と別体でかつ第3の部分を有した第2の絶縁部材とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のシールドコネクタ。
  4. 電線が取り付けられる棒状の端子金具と、金属からなりかつ前記端子金具を収容する端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室内に収容されかつ前記端子金具と前記コネクタハウジングとを電気的に絶縁状態に保つ絶縁部材と、前記端子金具を前記コネクタハウジングに固定する固定部材と、を備え、相手側のコネクタと結合するシールドコネクタを組み立てる組立方法において、
    前記コネクタハウジングは、相手側のコネクタが侵入する第1の室と前記電線を収容する第2の室とに前記端子収容室を区画する隔壁と、前記隔壁を貫通しかつ前記絶縁部材を通す貫通孔を備え、
    前記端子金具は、一端部が前記第1の室内に位置付けられ、他端部に前記電線が取り付けられるとともに、前記一端部の外面から凹の凹溝と、前記一端部から遠ざかるにしたがって前記他端部を段階的に大きくする段差部と、を備え、
    前記絶縁部材は、前記隔壁の前記第1の室側の一方の表面に重なる第1の部分と、前記第1の部分に連なりかつ前記貫通孔内に通される第2の部分と、前記第2の部分に接触しかつ前記隔壁の第2の室側の他方の表面に重なる第3の部分と、前記端子金具を通す通し部とを備え、
    前記端子収容室に前記絶縁部材を挿入し、前記通し部に前記一端部から前記端子金具を挿入するとともに、前記凹溝に固定部材を係止して、前記固定部材と前記段差部とで前記第1の部分と第2の部分と第3の部分を挟むことを特徴とするシールドコネクタの組立方法。
  5. 前記コネクタハウジングは前記端子収容室を複数備え、
    前記通し部の内面と、前記端子金具の前記通し部内に通された部分の外面とが互いに間隔をあけていることを特徴とする請求項4記載のシールドコネクタの組立方法。
  6. 前記絶縁部材は、
    前記第1の部分と第2の部分を有した第1の絶縁部材と、
    前記第1の絶縁部材と別体でかつ第3の部分を有した第2の絶縁部材とを備え、
    前記第1の絶縁部材を第1の室に挿入しかつ前記第2の絶縁部材を第2の室に挿入して、前記絶縁部材を端子収容室に挿入することを特徴とする請求項4または請求項5記載のシールドコネクタの組立方法。
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