JP3851478B2 - 適応アレーアンテナ装置 - Google Patents

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  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)
  • Radio Transmission System (AREA)
  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無線通信システムに用いられる適応アレーアンテナ装置に関し、特に所望信号よりも大きな電力で到来する干渉波の除去に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの爆発的な移動通信の普及に伴って、限られた周波数帯においてできる限り多くの加入者の通信チャネルを確保することが必要になってきている。
そのため、移動通信では多数の加入者に対して、必要に応じて特定のチャネルを割り当てる方法(マルチチャネルアクセス方式とよぶ)を採用することが現在の主流になっている。
【0003】
セルラーシステムやPHSなどに代表される現在の移動通信システムでは、マルチチャネルアクセス方式として、主に時分割多重化(Time Division Multiple Access:TDMA)方式が採用されている。
さらに、TDMA右式においては、自律分散制御方式を用いることが提案されている。自律分散制御方式では、新たに設置された基地局は、他の基地局が通信していない時間を受信レベルなどの情報により監視することで、送信タイミングを決定する。
【0004】
このため、自律分散制御方式を適用したTDMAシステムにおいては、基地局における制御を簡易化するために、各基地局がそれぞれ、他の基地局の送信タイミングに関係なく送信を行うことがある。したがって、このような通信システムは、非同期TDMAシステムと呼ばれている。
【0005】
非同期TDMAシステムの技術については、例えば文献「赤岩,“無線回線制御技術”,電子情報通信学会誌,Vo1.78 No.2 pp.138−142,1995年2月」に開示されている。
非同期TDMAシステムでは、基地局間の同期をとる必要がないため、基地局の送信タイミングを容易に設定できる利点がある。しかしながら、1つの基地局が使用できる周波数帯域が限られているので、周辺の基地局から同一周波数の干渉波が到来するという問題がある。
【0006】
一方、隣接基地局からの干渉波の影響を低減する技術として適応アレーアンテナが知られている。この種の技術は、例えば文献1「Monzingo et al., “Introduction to Adaptive Array”, Jone Willy & Sons New York, 1980」に開示されている。
従来の適応アレーアンテナの構成例を図8に示す。適応アレーアンテナにおいては、図8のように複数のアンテナ素子をアレー状に配列して、アレーアンテナを構成する。そして、アレーアンテナの各ブランチ毎に入力された信号に対して、振幅・位相制御回路で決定された振幅と位相を重み付けすることにより、干渉波の方向にアレーアンテナの放射パターンのヌルを形成する。この放射パターンにより干渉波の影響を低減する。
【0007】
また、各ブランチの入力信号に重み付けする振幅・位相値を決定する際には、希望信号と相関の高い参照信号を基準信号発生装置を用いて発生し、この参照信号と出力信号との2乗誤差が最小になるように振幅及び位相値を制御する。
このような制御方法はMMSE(Minimum Mean Square Error)方式と呼ばれている。MMSE方式の制御では、所望信号の到来方向などの技術を必要とせず、所望信号に対する合成と、干渉除去とを同時に実現できる。このため、適応アレーアンテナの制御方式として広く用いられている。但し、MMSE方式では希望信号と相関の高い信号を生成する手段が必要である。
【0008】
ところで、TDMA方式を用いたディジタル移動通信においては、信号が一定間隔で周期的に送受信される。この信号はバーストと呼ばれる。各々のバーストには、受信側でビットパターンが既知のトレーニング信号を挿入することができる。振幅・位相値を決定するために必要とされる前記参照信号として、バーストに挿入されたトレーニング信号を利用することができる。この種の技術は、例えば文献2「Y. Ogawa,“An Adaptive Array System for High Speed Mobile Communications”, IEICE Trans. Commn., Vol. E75-B, No.5, pp.413-421, 1992」に開示されている。したがって、MMSE方式はTDMA方式に適している。
【0009】
一方、従来のMMSE制御では、参照信号のシンボルタイミングが出力信号のシンボルタイミングと一致していることが必要である。もしも、参照信号のシンボルタイミングと出力信号のシンボルタイミングとが一致しない場合には、参照信号と出力信号との2乗誤差が小さくなるように重み係数を制御することができない。すなわち、MMSE方式は、所望信号に対してキャリア及びシンボルの同期が完全に確立しているという前提のもとで動作するものである。
【0010】
しかし、一般の移動通信環境では、時々、所望信号よりも電力の大きい干渉波が到来する場合がある。このような環境下においては、所望信号が干渉信号に埋もれてしまうため所望信号の最適なシンボルタイミングを検出することが困難であり、MMSE方式の適用が困難になる。
また、適応アレーアンテナを実際にハードウエアとして実現する場合には、通信信号の振幅のダイナミックレンジを確保するために、受信機にAGC(Automatic Gain Control)増幅回路を設ける必要がある。
【0011】
この種の技術は、例えば文献3「T. Ohgane, et al., “A Implementation of a CMA Adaptive array for high speed GMSK transmission in mobile communications”, IEEE Trans. VT-42, No.3, pp.282-288, August 1993」に開示されている。
【0012】
AGC増幅回路の出力には、振幅が一定とされる位相成分を含んだ出力信号(a)と実際の振幅(b)とが得られる。AGC増幅回路から出力される2つの信号(a,b)を乗算することにより、指向性制御に必要な信号が得られる。
受信機にこのようなAGC増幅回路を用いる場合に、所望波のレベルが干渉波よりも低いと、AGC増幅回路は干渉波の電力に対応する信号を出力する。すなわち、AGC増幅回路の出力で検出される所望信号の電力は、干渉波が到来する場合と到来しない場合とでそれぞれ異なった値になる。そのため、所望波に対する参照信号のレベルについては、干渉波が到来する場合と到来しない場合とでそれぞれ異なった値を用いる必要がある。
【0013】
しかし、実際には干渉波の到来時に所望波の参照信号のレベルを決定することは困難である。したがって、干渉波が到来すると参照信号のレベルが所望波のレベルと一致しなくなり、従来のMMSE制御をそのまま適用すると、アルゴリズムの収束特性が大きく劣化する。
以上のように、所望信号よりも電力の大きい干渉信号が到来する環境下においては、従来のMMSE方式を用いた適応アレーアンテナは良好に動作しないといった問題が生じる。
【0014】
また、干渉波電力が所望波電力よりも大きな環境下において、信号の同期が比較的容易で、しかも干渉波を低減可能な手法が、文献4「J. J. Synk, A. V. Keerthi and A. Mathur,“Steady-state analysis of the multistage constant modulus array”, IEEE Trans. Signal Processing, 44, pp.948-962,(1996-4)」に開示されている。
【0015】
この手法を用いる場合の適応アレーアンテナの構成を図7に示す。この手法では、振幅・位相を制御するアルゴリズムとしてCMA(Constant Modulous Algorithm)を用いている。CMAでは、MMSE方式とは異なり参照信号を必要としないので、信号に対する到来タイミングに関係なく干渉波を低減できる。
【0016】
しかしながら、CMAでは複数の到来波が存在する場合には、各到来波の電力に応じて捕捉する1つの到来信号が決定される。一般的には、電力のもっとも大きい到来信号が捕捉される。
このため、干渉信号が所望信号の電力よりも大きい場合には、干渉信号を捕捉して所望信号を除去する。このようなCMAの特性を前記文献4の手法では積極的に利用している。
【0017】
すなわち、まず、出力された信号が干渉波かどうかを干渉信号判定器で判定する。出力された信号が所望波でない場合には、この出力信号を用いて干渉信号のレプリカを作成し、この干渉信号のレプリカを受信信号から差し引くことで、受信信号から干渉信号を除去する。これにより、所望信号成分が再生される。さらに、再度CMAのアルゴリズムを動作させることで、再生した所望信号成分に付加されている雑音を除去する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
文献4の構成を用いる場合には、原理的には、干渉波電力が所望波電力よりも大きな環境下においても、所望波を再生することが可能である。但し、実際には干渉信号判定器が所望信号の情報を必要とする。
例えば、TDMAシステムの場合には同期ビットなどを所望信号の情報として利用できる。しかしながら、干渉波の同期ビットと所望波の同期ビットとが同一である場合には、干渉信号判定器で干渉波と所望波とを区別をすることが困難になる。
【0019】
また、干渉波が複数到来する場合に全ての干渉波を除去するためには、CMAのアルゴリズムの演算を、到来する干渉波の数に比例した数だけ繰り返し実行する必要があるので、干渉波の数が多いと演算に時間がかかる。特に、CMAで振幅・位相値を求めるために要する時間は、MMSE方式などの他のアルゴリズムと比べて遅いことが知られているので、CMAの演算を繰り返し行う場合には、所望信号の再生にかなり長い時間を要することが予想される。
【0020】
また、文献4と同様の技術として、受信信号から干渉波のレプリカを生成し、このレプリカを入力信号から差し引くことで、所望波の再生を実現する手法がいくつか提案されているが、いずれも、到来する干渉波の数に比例した数の演算が必要になるので、到来する干渉波の数が多い場合には、短時間で所望信号を再生するのは困難である。
【0021】
本発明は、干渉波の電力が所望波よりも大きく、しかも干渉波が複数到来する環境下においても、干渉波の数に比例した演算を行うことなく効率的に干渉波を除去することが可能な適応アレーアンテナ装置を実現することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1は、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子のそれぞれの信号について個別に振幅及び位相の重み付けを行って信号を合成する重み付け合成回路と、前記重み付け合成回路の重み係数を決定する振幅・位相値制御部とを備える適応アレーアンテナ装置において、前記複数のアンテナ素子のいずれかの信号に対する重み係数を一定に拘束する拘束条件の下で前記重み付け合成回路の出力する信号を最小にするための第1の重み係数を決定する拘束条件付電力最小化処理部と、前記重み付け合成回路が出力する受信信号に基づいて周波数を制御する自動周波数制御部と、前記自動周波数制御部が出力する信号に基づいてクロック信号を再生するクロック再生回路と、所望波に対応付けられた参照信号を出力する参照信号発生部と、前記自動周波数制御部及びクロック再生回路によって同期が確立された信号に関し、前記重み付け合成回路が出力する信号と前記参照信号発生部が出力する参照信号との誤差を最小にするための第2の重み係数を決定する2乗誤差最小処理部と、前記複数のアンテナ素子のそれぞれの受信信号のレベルを検出する受信レベル監視部と、前記受信レベル監視部が検出した受信信号のレベルが所定の閾値を超えているときに、前記第1の重み係数をまず前記重み付け合成回路に与えた後に、前記第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与え、他の場合に、前記第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与える重み係数切替手段とを設けたことを特徴とする。
【0023】
例えば非同期TDMA通信システムの場合には、所望波と干渉波(他の基地局の信号など)とが同期していないので、所望波と同じタイムスロットに干渉波が現れる場合であっても、干渉波だけが現れるタイミングが存在する。したがって、受信信号から干渉波だけを分離することができ、干渉波の成分が最小になるようにアレーアンテナの指向性を制御することができる。
【0024】
請求項1では、干渉波の成分を最小にするために拘束条件付電力最小化処理部を設けてある。拘束条件付電力最小化処理部は、複数のアンテナ素子のいずれかの信号に対する重み係数を一定に拘束した状態で、重み付け合成回路の出力する信号を最小にするための第1の重み係数を決定する。拘束条件付電力最小化処理部の決定した第1の重み係数を重み付け合成回路に与えることにより、干渉波の成分が最小になるようにアレーアンテナの指向性が定まる。
【0025】
2乗誤差最小処理部は、前記自動周波数制御部及びクロック再生回路によって同期が確立された信号に関し、重み付け合成回路が出力する信号と参照信号発生部が出力する参照信号との誤差を最小にするための第2の重み係数を決定する。重み係数切替手段は、受信レベル監視部が検出した受信信号のレベルに基づいて、第1の重み係数及び第2の重み係数を選択的に重み付け合成回路に与える。すなわち、干渉波のレベルが大きい場合には、拘束条件付電力最小化処理部の決定した第1の重み係数を重み付け合成回路に与えることにより、干渉波の成分が最小になるようにアレーアンテナの指向パターンが定まる。
【0026】
その状態では干渉波の成分が低減されているので、2乗誤差最小処理部は、干渉波の影響を受けることなく参照信号と重み付け合成回路が出力する信号との誤差を最小にするような第2の重み係数を決定することができる。第2の重み係数を重み付け合成回路に与えることにより、干渉波の影響が少なくなり、しかも所望波を正しく受信できるようにアレーアンテナの指向パターンが定まる。
【0027】
このため、干渉波の電力が所望波よりも大きく、しかも干渉波が複数到来する環境下においても、干渉波の数に比例した演算を行うことなく効率的に干渉波を除去することが可能である。
請求項2は、請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、予め定めた時間の周期で繰り返し現れるタイムスロットに所望波が存在する場合に、所望波の繰り返し周期毎に各タイムスロットの受信信号のレベルをそれぞれ検出し、所望波の繰り返し周期の間の受信信号のレベル変化を予め定めた閾値と比較して干渉波の有無を識別することを特徴とする。
【0028】
所望波と干渉波とは同期していないので、所望波が現れる各タイムスロットには、干渉波の影響を受けるものと影響を受けないものとが存在する。干渉波の影響を受けるタイムスロットと影響を受けないタイムスロットとでは受信レベルが異なる。また、ある時点から新たに干渉波が現れた場合には、所望波が現れるタイムスロットの受信レベルが変化する。
【0029】
したがって、所望波の繰り返し周期の間の受信信号のレベル増大が著しく大きい場合には、干渉波が現れたとみなすことができる。
請求項3は、請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、所望波に対して干渉する信号が検出された場合に、所望波が現れるタイムスロットの前後に隣接するタイミングでそれぞれ現れる第1の信号及び第2の信号のレベルを検出し、第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方のレベルが所望波の受信信号のレベルよりも大きい場合には、前記第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方の信号成分に対して前記拘束条件付電力最小化処理部が処理を行うように制御し、前記拘束条件付電力最小化処理部が決定した第1の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする。
【0030】
請求項3では、第1の信号及び第2の信号は所望波が現れるタイムスロットの前後に隣接するタイミングでそれぞれ検出されるので、それらには所望波の成分は含まれず、干渉波成分のみに対応する。したがって、第1の信号又は第2の信号のレベルが所望波よりも大きい場合には干渉波の影響が大きいので、その影響を低減するために第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方に対して拘束条件付電力最小化処理部が処理を行うように制御する。
【0031】
請求項4は、請求項3の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、前記拘束条件付電力最小化処理部が決定した第1の重み係数を前記重み付け合成回路に与えた後で、所望波の現れるタイムスロットの受信信号に対して前記2乗誤差最小処理部が処理を行うように制御し、前記2乗誤差最小処理部が決定した第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする。
【0032】
前記拘束条件付電力最小化処理部が決定した第1の重み係数を重み付け合成回路に与えることにより、干渉波のレベルが低減されるようにアレーアンテナの指向パターンが定まる。その状態では、2乗誤差最小処理部は干渉波の影響を受けることなく第2の重み係数を決定することができる。
請求項5は、請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、所望波に対して干渉する信号が検出された場合に、所望波が現れるタイムスロットの前後に隣接するタイミングでそれぞれ現れる第1の信号及び第2の信号のレベルを検出し、第1の信号のレベル及び第2の信号のレベルが所望波の受信信号のレベルよりも小さい場合には、前記拘束条件付電力最小化処理部の動作を省略し、所望波の現れるタイムスロットの受信信号に対して前記2乗誤差最小処理部が処理を行うように制御し、前記2乗誤差最小処理部が決定した第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする。
【0033】
第1の信号のレベル及び第2の信号のレベルが所望波の受信信号のレベルよりも小さい場合には、干渉波の影響が小さいので、第1の重み係数を決定してアレーアンテナの指向パターンを変更しなくても2乗誤差最小処理部は干渉波の影響を受けることなく第2の重み係数を決定することができる。その場合には、拘束条件付電力最小化処理部の動作を省略することにより、アレーアンテナの指向パターン制御を完了するまでの所要時間が短縮される。
【0034】
請求項6は、請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、予め定めた時間の周期で繰り返し現れるタイムスロットにそれぞれ所望波が存在する場合に、最後に受信した所望波に対応する第1の受信信号レベルと1周期前に受信した所望波に対応する第2の受信信号レベルとをそれぞれ検出し、前記第1の受信信号レベルと第2の受信信号レベルとの差分が予め定めた閾値より大きい場合には、前記2乗誤差最小処理部に入力する参照信号の振幅を前記第2の受信信号レベルに合わせて制御することを特徴とする。
【0035】
干渉波の影響を受けている所望波のタイムスロットの受信レベルには、干渉波の成分も含まれている。したがって、受信レベルに合わせて参照信号の振幅を決定すると、所望波の振幅と参照信号の振幅とが一致しなくなる。
請求項6では、第1の受信信号レベルが第2の受信信号レベルと比べて所定以上大きい場合には、第1の受信信号レベルには比較的大きな干渉波の成分が含まれ、第2の受信信号レベルには干渉波が含まれていないとみなすことができる。そこで、1周期前に受信した所望波に対応する第2の受信信号レベルに合わせて参照信号の振幅を制御することにより、所望波の振幅と参照信号の振幅とを一致させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の適応アレーアンテナ装置の1つの実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。この形態は全ての請求項に対応する。なお、この形態の適応アレーアンテナ装置は、移動体通信などに用いられる非同期TDMA通信システムに採用することを想定して構成してある。
【0037】
図1はこの形態の適応アレーアンテナ装置の構成を示すブロック図である。図2は振幅・位相制御部の構成を示すブロック図である。図3は重み付け合成回路の構成を示すブロック図である。図4はこの形態の適応アレーアンテナ装置の動作を示すフローチャートである。図5及び図6は、それぞれ信号タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【0038】
この形態では、請求項1のアンテナ素子,重み付け合成回路,振幅・位相値制御部,拘束条件付電力最小化処理部,自動周波数制御部,クロック再生回路,参照信号発生部,2乗誤差最小処理部,受信レベル監視部及び重み係数切替手段は、それぞれアンテナ素子11,重み付け合成回路13,振幅・位相値制御部17,拘束条件付電力最小化処理部23,自動周波数制御部14,クロック再生回路15,参照信号発生部18,2乗誤差最小処理部24,受信レベル監視部16及び制御部25に対応している。
【0039】
図1に示す適応アレーアンテナ装置は、アンテナ素子11,カップラ12,重み付け合成回路13,自動周波数制御部14,クロック再生回路15,受信レベル監視部16,振幅・位相値制御部17及び参照信号発生部18を備えている。この適応アレーアンテナ装置には、N(2以上の任意の数)個のアンテナ素子11(1)〜11(N)が備わっている。これらのN個のアンテナ素子11(1)〜11(N)が1組のアレーアンテナを構成する。
【0040】
N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)のそれぞれに接続されたカップラ12は、各アンテナ素子11で受信される信号電力の一部分を通常の経路から分岐して取り出すために設けてある。なお、カップラ12の代わりに他の分岐手段を設けてもよい。
N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)のそれぞれで受信された信号SG(1)〜SG(N)は、カップラ12を通り重み付け合成回路13に入力される。重み付け合成回路13は、アンテナ素子11毎に個別に振幅及び位相値に対する重み付けを行い、各ブランチのアンテナ素子11の受信信号を合成し信号SG4として出力する。同様に、アンテナ素子11から送信する信号についても重み付け合成回路13においてブランチ毎に個別に振幅及び位相値に対する重み付けを行う。
【0041】
重み付け合成回路13における振幅及び位相値の重み付けによって、アレーアンテナの指向パターンが定まる。重み付け合成回路13が振幅及び位相値の重み付けに用いるブランチ毎の各重み係数は、振幅・位相値制御部17によって決定される。
自動周波数制御部14は、重み付け合成回路13が出力する信号SG4を入力して所望波の受信信号の周波数と同期した信号を生成する。クロック再生回路15は、自動周波数制御部14が出力する信号に基づいて、所望波のクロック信号を再生し、所望波とのタイミングの同期を確立する。同期を確立した所望波の受信信号が信号SG5としてクロック再生回路15から出力される。
【0042】
受信レベル監視部16は、それぞれのブランチのアンテナ素子11で受信された信号SG1(1)〜SG1(N)の受信レベルを監視する。参照信号発生部18は、希望波と相関の高い参照信号SG7を出力する。
図1の振幅・位相値制御部17は、図2に示すようにスイッチ21a,21b,信号抽出部22,拘束条件付電力最小化処理部23,2乗誤差最小処理部24及び制御部25を備えている。
【0043】
スイッチ21aは、各ブランチのカップラ12からそれぞれ入力される信号SG1を2種類の出力経路のいずれか一方に選択的に出力する。スイッチ21aの選択状態は制御部25によって制御される。スイッチ21aにより信号SG1は信号抽出部22及び2乗誤差最小処理部24のいずれか一方に入力される。
信号抽出部22は、受信レベル監視部16から出力される信号SG2に基づいて信号SG1の一部分の信号成分を抽出する。抽出された信号成分が、拘束条件付電力最小化処理部23に入力される。
【0044】
拘束条件付電力最小化処理部23は、一定の拘束条件の下で出力信号の電力を最小化するための重み係数を算出するための処理を行う。実際には、N個のアンテナ素子11の1つに対応する信号(SG1の1つ)の振幅・位相値の重み付けに用いる重み係数を一定値に拘束した状態で、合成された出力信号(SG4)の電力を最小化するための重み係数(第1の重み係数)を算出する。
【0045】
また、拘束条件付電力最小化処理部23に入力される信号は、信号抽出部22の働きによって干渉波のみを含む信号成分に限定される。
図6を参照して説明する。ここでは、当局に割り当てられたタイムスロットのスロット番号がXである場合を想定している。すなわち、スロット番号がXのタイムスロットを所望波が含まれる注目スロットとする。図6に示すように、受信した信号(SG1)に所望波が現れる注目スロットのタイミングで干渉波が現れる場合であっても、所望波と干渉波とが非同期なので、所望波のみが現れるタイミングが存在する。
【0046】
すなわち、注目スロット及び前方のスロットに干渉波が現れる場合には、注目スロットに隣接する前方のタイミングTCの期間には干渉波のみが現れている。また、注目スロット及び後方のスロットに干渉波が現れる場合には、注目スロットに隣接する後方のタイミングTDの期間には干渉波のみが現れている。更に、注目スロット及び前後のスロットに干渉波が現れる場合には、タイミングTC,TDのいずれの期間にも干渉波のみが現れている。
【0047】
そこで、図2の信号抽出部22は干渉波のみが現れるタイミングTC,TDの少なくとも一方の信号成分のみを抽出して拘束条件付電力最小化処理部23に与える。したがって、拘束条件付電力最小化処理部23は、干渉波のみに対して重み付け合成回路13で合成された出力信号が最小になるような重み係数を算出する。
【0048】
拘束条件付電力最小化処理部23が算出した重み係数は、スイッチ21bを通り、信号SG3として重み付け合成回路13に印加される。重み付け合成回路13は、図3に示すようにアレーアンテナのブランチ毎に振幅・位相値乗算器31で信号SG1に対して信号SG3の各重み係数を乗算し、N個のブランチの乗算結果を合成器32で合成した結果を信号SG4として出力する。
【0049】
拘束条件付電力最小化処理部23が算出した重み係数は、干渉波のみに対して信号SG4の電力を最小化するように処理した結果として得られるものであるため、この重み係数を重み付け合成回路13に与えると、アレーアンテナの特性は干渉波を低減するような指向パターンになる。
実際には、拘束条件付電力最小化処理部23によって得られた重み係数を用いることにより、到来する干渉波の数がアレーアンテナの自由度(アンテナ素子数−1)よりも大きい場合を除き、複数の干渉波が到来する場合であってもそれらを同時に除去することができる。
【0050】
2乗誤差最小処理部24は、信号SG5としてクロック再生回路15から入力される同期の確立された受信信号と、参照信号発生部18から出力される参照信号SG7との2乗誤差を最小にするのに必要な各ブランチの振幅・位相値の重み係数(第2の重み係数)を算出する。なお、2乗誤差最小処理部24の動作については従来の適応アレーアンテナの場合と同様である。
【0051】
2乗誤差最小処理部24が算出した重み係数は、スイッチ21bを通り、信号SG3として重み付け合成回路13に印加される。2乗誤差最小処理部24が算出した重み係数を用いてN系統のブランチの信号SG1を合成することにより、より品質の高い所望波の信号が信号SG4として得られるように、アレーアンテナの指向パターンが定まる。
【0052】
実際には、拘束条件付電力最小化処理部23が算出した重み係数(第1の重み係数)と2乗誤差最小処理部24が算出した重み係数(第2の重み係数)とのいずれか一方が、スイッチ21bで選択されて重み付け合成回路13に印加される。スイッチ21a,21bの選択状態は、制御部25によって制御される。
制御部25は、受信レベル監視部16が検出した信号SG1の受信レベルにしたがって、スイッチ21a,21b,拘束条件付電力最小化処理部23及び2乗誤差最小処理部24を制御する。
【0053】
図1に示す適応アレーアンテナ装置の全体の動作について、図4〜図6を参照して説明する。図4の動作は主に制御部25の制御によって実現する。この例では、受信信号に、図5に示すように順番に並んだM個のタイムスロットで構成されるフレームがフレーム周期Tmの間隔で繰り返し現れる場合を想定するとともに、スロット番号がXのタイムスロットが自局の通信に割り当てられ、現在はフレーム番号がGのフレームに含まれる各スロットの信号を受信できるタイミングにある場合を想定している。
【0054】
図4の最初のステップS10では、受信した信号SG1の注目スロットの受信レベルLA,LBを受信レベル監視部16を用いてそれぞれ検出する。図5の例では、フレーム番号がGのフレームに含まれるスロット番号がXのスロットの信号SG1(G,X)の受信レベル(例えば搬送波の振幅)をLAとする。また、前フレームの同じスロットの信号SG1(G−1,X)の受信レベルをLBとする。
【0055】
実際には、各フレームの信号は互いに異なるタイミングで現れるので、それぞれのフレームのタイミングで検出した受信レベルを記憶しておき、2つの受信レベルLA,LBを同時に参照できるようにしている。
ステップS11では、2つの受信レベルLA,LBの差分(LA−LB)を予め定めた閾値LKと比較する。閾値LKは正の値とする。((LA−LB)>LK)の場合には「干渉波あり」とみなしてステップS12に進み、そうでなければ「干渉波なし」とみなしてステップS23に進む。
【0056】
例えば、図6の省略記号の左側に示すように信号SG1の注目スロットXの成分が所望波のみの状態として観測された後に、干渉波が到来すると、後の(現在のフレームGの)注目スロットでは干渉波の影響によって受信レベルが直前のフレームG−1におけるスロットXにおける受信レベルに比べて増大するので、差分(LA−LB)が大きくなって「干渉波あり」が検出される。
ステップS12では、注目スロットに隣接するスロットの一部分の各タイミングTC,TDでそれぞれ受信レベルLC,LDを検出する。図5,図6に示すように、タイミングTCは、注目スロットに隣接する前スロット(スロット番号:X−1)のタイミングのうち、最後の数シンボルの信号が現れる期間に割り当ててある。また、タイミングTDは、注目スロットに隣接する後スロット(スロット番号:X+1)のタイミングのうち、最初の数シンボルの信号が現れる期間に割り当ててある。
【0057】
所望波が現れるスロットのタイミングと干渉波が現れるタイミンクとは非同期であり、図6に示すようにタイミングTC,TDには所望波が現れないので、所望波が干渉波の影響を受ける場合には、所望波のスロットに隣接するタイミングTC,TDで干渉波の成分のみを検出することができる。
ステップS13では、タイミングTCで検出した受信レベルLCと、1周期前(G−1)フレームにおける注目スロットの受信レベルLBとの差分(LC−LB)を閾値LKと比較する。また、ステップS14,S15ではタイミングTDで検出した受信レベルLDと、1周期前(G−1)フレームにおける注目スロットの受信レベルLBとの差分(LD−LB)を閾値LKと比較する。
【0058】
例えば、図6に示す(I)のように注目スロット及び前スロットに干渉波が現れる場合には、タイミングTCで干渉波のみを検出することができる。この場合には、ステップS13,S14を通ってステップS16に進む。ステップS16では、信号SG1のTCの期間の成分のみを抽出する。
また、図6に示す(II)のように注目スロット及び後スロットに干渉波が現れる場合には、タイミングTDで干渉波のみを検出することができる。この場合には、ステップS13,S15を通ってステップS17に進む。ステップS17では、信号SG1のTDの期間の成分のみを抽出する。
【0059】
また、図6に示す(III)のように注目スロット及び前後のスロットに干渉波が現れる場合には、タイミングTC,TDの両方で干渉波のみを検出することができる。この場合には、ステップS13,S14を通ってステップS18に進む。ステップS18では、信号SG1のTC,TDの期間の成分を抽出する。
【0060】
なお、ステップS15において「(LD−LB)>LK」でない場合には、対象とするスロットに干渉波が到来していないことを意味する。また、ステップS11の条件は満たしているので、干渉波の到来ではなく、環境変動などの影響により受信レベルが大きくなったと判断し、拘束条件付電力最小化の制御は行わずにステップS23に進む。
【0061】
ステップS19では、ステップS16,S17,S18のいずれかで抽出された信号SG1の成分を拘束条件付電力最小化処理部23に与えて、拘束条件付電力最小化処理部23の処理を開始する。つまり、拘束条件付電力最小化処理部23は干渉波のみの受信信号について、重み付け合成出力(SG4)の電力が最小になるような振幅・位相値の重み係数を求める。
【0062】
ステップS20では、拘束条件付電力最小化処理部23の処理の結果として得られた各ブランチの重み係数を信号SG3として重み付け合成回路13に与える。これにより、重み付け合成回路13は干渉波が減衰するように重み付け合成した結果を信号SG4として出力する。
ここで得られる信号SG4は、干渉波成分が除去されているので、所望波の信号成分と装置内などで発生する熱雑音の成分とで構成されている。しかし、信号SG4は所望波に対して同期が確立していない。
【0063】
そこで、ステップS21では信号SG4について自動周波数制御部14を用いて所望波に対する周波数の同期を確立する。また、クロック再生回路15を用いて所望波のクロックを再生し、所望波のタイミングと同期した信号SG5を生成する。
次に、同期が確立した信号から雑音成分などを除去して所望波の信号品質をさらに改善するために、2乗誤差最小処理部24を用いて重み係数を算出する。2乗誤差最小処理部24においては、所望波のタイミングに同期した信号SG5と参照信号SG7との2乗誤差が最小になるように処理を行う。
【0064】
参照信号SG7の振幅については、所望波と一致させる必要がある。しかしながら、所望波よりも高いレベルの干渉波が到来した場合には、実際の所望波の受信レベルを直接測定することができないため、参照信号のレベルを決定することは困難である。
この形態では、現在のフレームで検出した受信レベルLA(所望波+干渉波のレベル)と1周期前のフレームで検出した受信レベルLB(所望波のレベル)とを用いて、参照信号のレベルを決定する。すなわち、ステップS22では、参照信号SG7のレベルFを(LA・LB/LA)、つまりLB(1周期前の所望波のレベル)に定める。
【0065】
一方、ステップS11で「干渉波なし」とみなした場合には、拘束条件付電力最小化処理部23に関する処理は不要なので省略される。したがって、干渉波の影響が小さい場合には短時間でアレーアンテナの適応制御を完了することができる。
この場合には、ステップS23で同期を確立しステップS26に進む。ここでは信号SG1の注目スロットに干渉波が含まれていないと考えられるので、現在のフレームで検出した受信レベルLA(所望波のレベル)をそのまま参照信号のレベルFに定める。
【0066】
ステップS24では、参照信号発生部18が2乗誤差最小処理部24に与える参照信号SG7の振幅をステップS22又はS26で決定したレベルFに定めて2乗誤差最小処理部24の処理を開始する。
これにより、2乗誤差最小処理部24は所望波と同期が確立された受信出力信号SG5と参照信号SG7との2乗誤差が最小になるような各ブランチの重み係数を算出する。
【0067】
ステップS25では、2乗誤差最小処理部24が算出した重み係数を信号SG3として重み付け合成回路13に与える。これによって、品質の高い所望波が信号SG4に現れるようにアレーアンテナの指向パターンが決定される。
【0068】
この形態における本発明の効果を確認するために、次に示す計算機シミュレーションを実施した。シミュレーションの条件は次の通りである。
この例では、1個のスロット長を200分割したものをシンボルと呼ぶ時間単位で表している。すなわち、1スロットの長さは200シンボルである。所望波と干渉波との電力比を−10dBとし、所望波と雑音電力との比を20dBとした。
【0069】
また、干渉波は所望波よりも20シンボル早く到来するものとし、干渉波を抽出するタイミングTC,TDのシンボル数は15に定めた。また、アレーアンテナを構成するアンテナ素子11の素子数は4とした。また、所望波及び干渉波の到来方向を、それぞれ0度及び60度の方向に定めた。
以上の条件において、干渉抑圧効果の指標として平均最小2乗誤差(MSE)を調べた。MSEは、出力信号と理想的な所望信号との2乗誤差の平均値を示すものであり、この値が小さければ小さい程、出力信号が理想的な所望信号に近づいていることになり、MSEが小さければ小さい程、干渉波を抑圧し所望波に対する通信品質が高いことを意味する。
【0070】
このシミュレーションの結果、本発明の適応アレーアンテナ装置ではMSEは−25dBになり、従来例の適応アレーアンテナではMSEは−4dBになり、大きな違いが認められた。
すなわち、従来例の適応アレーアンテナの場合には、所望波に比べて干渉波のレベルが大きいため、所望波に対する同期を確立できず、干渉波を抑圧する能力を十分に発揮できなかった。
【0071】
一方、本発明の適応アレーアンテナ装置の場合には、拘束条件付電力最小化処理部23が求めた重み係数を用いて干渉波を低減するようにアレーアンテナの指向パターンを制御したうえで2乗誤差最小処理部24が処理を実行するため、干渉波を抑制した状態で所望波に対する同期を確立することができる。したがって、2乗誤差最小処理部24が求めた重み係数を用いてアレーアンテナの指向パターンを制御することにより、すぐれた干渉低減効果が実現される。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、拘束条件付電力最小化処理部が求めた重み係数を用いて干渉波を低減するようにアレーアンテナの指向パターンを制御したうえで2乗誤差最小処理部の処理を行うことができるので、所望波よりもレベルの高い干渉波が到来する環境下においても、良好な通信品質を確保することが可能である。しかも、到来する干渉波の数が多い場合であっても比較的短い時間でアレーアンテナの適応制御を完了できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の適応アレーアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】振幅・位相制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】重み付け合成回路の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態の適応アレーアンテナ装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】信号タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図6】信号タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図7】従来の適応アレーアンテナの構成例を示すブロック図である。
【図8】従来の適応アレーアンテナの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 アンテナ素子
12 カップラ
13 重み付け合成回路
14 自動周波数制御部
15 クロック再生回路
16 受信レベル監視部
17 振幅・位相値制御部
18 参照信号発生部
21a,21b スイッチ
22 信号抽出部
23 拘束条件付電力最小化処理部
24 2乗誤差最小処理部
25 制御部
31 振幅・位相値乗算器
32 合成器

Claims (5)

  1. 複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子のそれぞれの信号について個別に振幅及び位相の重み付けを行って信号を合成する重み付け合成回路と、前記重み付け合成回路の重み係数を決定する振幅・位相値制御部とを備える適応アレーアンテナ装置において、
    前記複数のアンテナ素子のいずれかの信号に対する重み係数を一定に拘束する拘束条件の下で前記重み付け合成回路の出力する信号を最小にするための第1の重み係数を決定する拘束条件付電力最小化処理部と、
    前記重み付け合成回路が出力する受信信号に基づいて周波数を制御する自動周波数制御部と、
    前記自動周波数制御部が出力する信号に基づいてクロック信号を再生するクロック再生回路と、
    所望波に対応付けられた参照信号を出力する参照信号発生部と、
    前記自動周波数制御部及びクロック再生回路によって同期が確立された信号と前記参照信号発生部が出力する参照信号との誤差を最小にするための第2の重み係数を決定する2乗誤差最小処理部と、
    前記複数のアンテナ素子のそれぞれの受信信号のレベルを検出する受信レベル監視部と、
    前記受信レベル監視部が検出した受信信号のレベルの変化量が所定の閾値を超えているときに、データ伝送にかかわる時間単位であるシンボルごとに、前記第1の重み係数をまず前記重み付け合成回路に与え、前記第1の重み係数を用いて合成された信号について前記自動周波数制御部および前記クロック再生回路によって再生されたクロック信号を用いて同期が確立された信号と前記参照信号との誤差を最小化するために、前記2乗誤差最小処理部で得られる前記第2の重み係数を改めて前記重み付け合成回路に与え、他の場合に、前記第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与える重み係数切替手段とを設け、
    前記重み係数切り替え手段は、予め定めた時間の周期で繰り返し現れるタイムスロットにそれぞれ所望波が存在する場合に、最後に受信した所望波に対応する第1の受信信号レベルと1周期前に受信した所望波に対応する第2の受信信号レベルとをそれぞれ検出し、前記第1の受信信号レベルと第2の受信信号レベルとの差分が予め定めた閾値より大きい場合には、前記2乗誤差最小処理部に入力する参照信号の振幅を前記第2の受信信号レベルに合わせて制御する
    を設けたことを特徴とする適応アレーアンテナ装置。
  2. 請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、予め定めた時間の周期で繰り返し現れるタイムスロットに所望波が存在する場合に、所望波の繰り返し周期毎に各タイムスロットの受信信号のレベルをそれぞれ検出し、所望波の繰り返し周期の間の受信信号のレベル変化を予め定めた閾値と比較して干渉波の有無を識別することを特徴とする適応アレーアンテナ装置。
  3. 請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、所望波に対して干渉する信号が検出された場合に、所望波が現れるタイムスロットの前後に隣接するタイミングでそれぞれ現れる第1の信号及び第2の信号のレベルを検出し、第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方のレベルが所望波の受信信号のレベルよりも大きい場合には、前記第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方の信号成分に対して前記拘束条件付電力最小化処理部が処理を行うように制御し、前記拘束条件付電力最小化処理部が決定した第1の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする適応アレーアンテナ装置。
  4. 請求項3の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、前記拘束条件付電力最小化処理部が決定した第1の重み係数を前記重み付け合成回路に与えた後で、所望波の現れるタイムスロットの受信信号に対して前記2乗誤差最小処理部が処理を行うように制御し、前記2乗誤差最小処理部が決定した第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする適応アレーアンテナ装置。
  5. 請求項1の適応アレーアンテナ装置において、前記重み係数切替手段は、所望波に対して干渉する信号が検出された場合に、所望波が現れるタイムスロットの前後に隣接するタイミングでそれぞれ現れる第1の信号及び第2の信号のレベルを検出し、第1の信号のレベル及び第2の信号のレベルが所望波の受信信号のレベルよりも小さい場合には、前記拘束条件付電力最小化処理部の動作を省略し、所望波の現れるタイムスロットの受信信号に対して前記2乗誤差最小処理部が処理を行うように制御し、前記2乗誤差最小処理部が決定した第2の重み係数を前記重み付け合成回路に与えることを特徴とする適応アレーアンテナ装置。
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