JP3849755B2 - セッコウ系構造材料、セッコウ系構造材料の製造方法、及びセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セッコウ系構造材料、及びこのセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路の路肩部や中央分離帯部には、雑草が繁茂する場合が多い。この対策としては、草刈作業を行ったり、化学的物質からなる除草剤を散布し、雑草を死滅させる方法が採用されることが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の除草対策のうち、草刈作業による方法では、根が残っている場合には、時間が経過すると再び雑草が繁茂することとなり、作業を再度、あるいは何度も行わなければならない、という問題がある。
【0004】
また、化学的物質からなる除草剤は、除草作業者の健康に対する安全性、除草剤散布箇所の土壌汚染等の問題がある。また、周囲に、道路の美観対策等のために積極的に生育させたい草花等があった場合に、それらの草花等に悪影響を与えるおそれがあり、さらに、除草剤を散布した箇所の土壌中に除草剤が残存し、その後に他の草花等を生育させること等が困難になる、という問題もあった。
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、道路路肩部等の雑草の繁茂を防止する材料、この材料を用いた道路路肩部の施工方法等を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るセッコウ系構造材料は、100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させた砂れき系素材20〜95重量%と、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO 4 ・1/2H 2 O)5〜70重量%とを混合し、粉状又は粒状にしたことを特徴とする。
【0007】
上記のセッコウ系構造材料において、好ましくは、前記砂れき系素材としては、粒径0.074〜2.0mm程度の砂、又は石粉、又は粒径2.0〜25.0mm程度のれき、若しくはこれらの適宜の混合物が用いられる。
【0008】
また、上記のセッコウ系構造材料において、好ましくは、前記混合物には、0.5〜20重量%の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が混合される。
【0009】
また、上記のセッコウ系構造材料において、好ましくは、前記混合物には、0.3〜10重量%の粉末状繊維が混合される。
【0010】
また、本発明に係るセッコウ系構造材料の製造方法は、砂れき系素材を100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させるとともに、硫酸カルシウム2水和物(CaSO4・2H2O)を100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させ硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を生成し、前記乾燥させた砂れき系素材を20〜95重量%と、前記硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を5〜70重量%混合して粉状又は粒状にしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記のセッコウ系構造材料の製造方法において、好ましくは、前記硫酸カルシウム2水和物(CaSO4・2H2O)は、燃焼後の排煙中のイオウ酸化物(SOx)を炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液に吸収させて除去する排煙脱硫工程から得られる排煙脱硫セッコウが用いられる。
【0012】
また、本発明に係るセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法は、20〜95重量%の乾燥した砂れき系素材と、5〜70重量%の粉末状又は粒状の硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を混合させたセッコウ系構造材料を、地表面上に厚さ2.0〜10cm程度に敷設して敷設層を形成することを特徴とする。
【0013】
上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記敷設層の形成後、前記敷設層の上から水を散布し前記セッコウ系構造材料を硬化させる。
【0014】
また、上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記敷設層の形成に先立ち、前記地表面を被覆部材で被覆し、前記被覆部材の上に前記敷設層を形成する。
【0015】
また、上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記水は、多数の小孔を有するジョウロ状の散布手段により雨水状に散布される。
【0016】
また、上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記敷設層の上面が流出防止部材により被覆される。
【0017】
また、上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記敷設層の上から散布する水に、エマルジョン系材料が混合される。
【0018】
また、上記のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、好ましくは、前記地表面は、道路の路肩部又は中央分離帯部、スノーシェッドの上部、鉄道の線路側部、花壇又は建築物若しくは建造物の周辺部の地表面を含む。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセッコウ系構造材料の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
(1)第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法と、このセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。図1に示すように、砂れき系素材1をコールドビン3に入れ、2水セッコウ2をコールドビン4に入れる。
【0021】
上記した砂れき系素材1としては、川砂を使用した。
【0022】
また、2水セッコウ2は、硫酸カルシウム2水和物(CaSO4・2H2O)である。この2水セッコウとしては、いわゆる「排煙脱硫セッコウ」を使用した。排煙脱硫セッコウは、イオウ(S)を含む燃料を用いる工場や火力発電所において燃料を燃焼させた後の排煙中のイオウ酸化物(SOx:主として、SO2とSO3など。)を、炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液に吸収させて除去する排煙脱硫工程から得られる粉末状のセッコウであり、「排脱セッコウ」とも略称される。この排煙脱硫セッコウは、約30%程度の水分を含んでおり、粉末状態となっている。
【0023】
次、コールドビン3、4を、フィーダ5によりロータリーキルン6に送り、砂れき系素材1と2水セッコウ2を、ロータリーキルン6の上端から投入する。
【0024】
ロータリーキルン6は、円筒形をした窯であり、水平線に対し傾斜して配置され、下端からバーナー7の高温ガスが吹き込まれて、内部が加熱され、同時に円筒部が中心軸線の周りに回転されるようになっている。このため、ロータリーキルン6の上端に投入された砂れき系素材と2水セッコウは、加熱されつつ回転されて下方へ移動し、互いに混合され、乾燥状態となる。第1実施形態においては、加熱温度(材料温度)は、160〜240°C程度とした。
【0025】
上記のようにして、ロータリーキルン6内で加熱されることにより、砂れき系素材1の水分は大部分が除去され、砂れき系素材1は乾燥状態となった。また、2水セッコウは、水分が除去され、半水セッコウとなった。これは、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)であり、焼セッコウとも呼ばれるセッコウである。
【0026】
上記のように生成された乾燥した砂れき系素材と半水セッコウの混合物は、ロータリーキルン6の下端から取り出されて運ばれ、ふるい8によって、乾燥した砂れき系素材と、半水セッコウにふるい分けが行われ、それぞれが別のホットビン9に貯留される。その後、計量機10により、乾燥した砂れき系素材と、半水セッコウは、計量され、ミキサー11によって混合される。これにより、粉状又は粒状のセッコウ系構造材料12が生成される。
【0027】
下記の表の配合(以下、「配合A」という。)は、本発明の第1実施形態であるセッコウ系構造材料のミキサー11における配合を示している。数値の単位はキログラム(kg)である。したがって、配合Aは、乾燥した砂れき系素材300kgと、半水セッコウ600kgを含んでいる。以下の他の配合についても表の数値の意味は同じように考えることとする。また、カッコ内の数値は、配合Aの全体重量900kgに対する各成分重量の百分率(重量%)を示している。
【0028】
【0029】
上記したセッコウ系構造材料12を用いて、道路の路肩部等の地表に雑草防止用の構造物を形成する場合には、地表面上に、上記生成物を厚さ約4〜5cm程度に敷設して敷設層を形成すればよい。
【0030】
このようにすれば、その後、敷設層の上に雨が降り、敷設層のセッコウ系構造材料に自然に水が付与される。敷設層のセッコウ系構造材料中に含まれる半水セッコウ(硫酸カルシウム1/2水和物:CaSO4・1/2H2O)は、水(H2O)が加えられると、水和反応を生じ、2水セッコウ(硫酸カルシウム2水和物:CaSO4・2H2O)となって硬化する。
【0031】
また、硬化した2水セッコウ(硫酸カルシウム2水和物:CaSO4・2H2O)のまわりには、砂れき系素材が分散されているから、この砂れき系素材が骨材の機能を果たすとともに、硬化した2水セッコウがバインダーの機能を果たす。したがって、水の添加により硬化した敷設層は、全体として一種のコンクリートを形成する。
【0032】
上記の硬化後の敷設層の強度を検討するため、上記敷設層にジョウロを用いてまんべんなく水を散布した。水の散布後、約30分程度で、敷設層は硬化した。
【0033】
その後、山中式土壌硬度計によって計測を行った。山中式土壌硬度計とは、図示はしていないが、先端に円錐形の貫入部が設けられ、この貫入部の後部にスプリングばねが取り付けられ、スプリングばねには指示部材が取り付けられ、スプリングばねは円筒形の目盛容器に収容されている。目盛容器には直線状の開口が設けられ、スプリングばねの移動に伴い、指示部材がこの開口に沿って移動するように構成され、開口に沿って目盛りが付けられている。このような構成により、円錐形の貫入部の尖った部分を土壌等に押し付けると、スプリングばねの縮みに伴って指示部材が開口内を移動し、この指示部材の位置の目盛りを読み取ることにより、土壌等へ貫入させる際の抵抗値(単位:ミリメートル)を計測し、この貫入抵抗値から土壌の硬度、支持力を換算するものである。
【0034】
その結果、上記のセッコウ系構造材料12を用いて形成し、水を付与して硬化させた敷設層の貫入抵抗値から求めた敷設層の支持力は、約2.0MN/m2となった。ここに、MNは、メガニュートン(106ニュートン)を表している。一般に、雑草の発芽や発根の際の押圧力は、約1MN/m2で防止できるとされているため、上記したセッコウ系構造材料12による敷設層は、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0035】
(2)第2実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第2実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法と、このセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第2実施形態のセッコウ系構造材料は、上記した第1実施形態と同様にして、図1に示すようにして、川砂により乾燥した砂れき系素材を生成し、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を生成する。
【0036】
第2実施形態のセッコウ系構造材料が、第1実施形態のセッコウ系構造材料と異なる点は、図1のミキサー11における配合が下記の表の配合(以下、「配合B」という。)となっている点である。配合Bの数値の単位はキログラム(kg)である。また、カッコ内の数値は、配合Bの全体重量1000kgに対する各成分重量の百分率(重量%)を示している。
【0037】
【0038】
この第2実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成し、水を付与して硬化させた場合、山中式土壌硬度計による敷設層の貫入抵抗値から求めた敷設層の支持力は、約3.5MN/m2となった。したがって、第2実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0039】
(3)第3実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第3実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法と、このセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第3実施形態のセッコウ系構造材料は、上記した第1実施形態と同様にして、図1に示すようにして、乾燥した砂れき系素材を生成するが、その材料として、川砂のほかに、浜砂、回収ダスト、7号砕石を使用した。
【0040】
回収ダストとは、アスファルトプラントで加熱アスファルト混合物を製造する際に、ロータリーキルンなどで加熱した骨材(砕石、砂)から発生する粉末状の物質であり、石の粉である。また、7号砕石とは、粒径が2.5mm〜5mm程度の細かい砕石である。
【0041】
第3実施形態のセッコウ系構造材料では、図1のミキサー11における配合が下記の表の配合(以下、「配合C」という。)となっている点が、上記実施形態と異なっている。配合Cの数値の単位はキログラム(kg)である。また、カッコ内の数値は、配合Cの全体重量1000kgに対する各成分重量の百分率(重量%)を示している。
【0042】
【0043】
また、上記の乾燥した砂れき系素材750kgの内訳は、以下の通りである。砂れき系素材(乾燥)の数値の単位はキログラム(kg)である。また、カッコ内の数値は、砂れき系素材(乾燥)の全体重量750kgに対する各成分の重量の百分率(重量%)を示している。
【0044】
【0045】
この第3実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成し、水を付与して硬化させた場合、山中式土壌硬度計による敷設層の貫入抵抗値から求めた敷設層の支持力は、約4.0MN/m2となった。したがって、第3実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0046】
(4)第4実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第4実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法と、このセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第4実施形態のセッコウ系構造材料は、上記した第1実施形態と同様にして、図1に示すようにして、乾燥した砂れき系素材を生成するが、その材料として、第3実施形態と同様に、川砂のほかに、浜砂、回収ダスト、7号砕石を使用した。
【0047】
第4実施形態のセッコウ系構造材料では、図1のミキサー11における配合が下記の表の配合(以下、「配合D」という。)となっている点が、上記実施形態と異なっている。配合Dの数値の単位はキログラム(kg)である。また、カッコ内の数値は、配合Dの全体重量1020kgに対する各成分重量の百分率(重量%)を示している。
【0048】
【0049】
消石灰の成分は、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)である。
【0050】
また、上記の乾燥した砂れき系素材750kgの内訳は、第3実施形態の場合と同様である。
【0051】
この第4実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成し、水を付与して硬化させた場合、山中式土壌硬度計による敷設層の貫入抵抗値から求めた敷設層の支持力は、約5.0MN/m2となった。したがって、第4実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0052】
(5)第5実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第5実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法と、このセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第5実施形態のセッコウ系構造材料は、上記した第1実施形態と同様にして、図1に示すようにして、乾燥した砂れき系素材を生成するが、その材料として、第3実施形態と同様に、川砂のほかに、浜砂、回収ダスト、7号砕石を使用した。
【0053】
第5実施形態のセッコウ系構造材料では、図1のミキサー11における配合が下記の表の配合(以下、「配合E」という。)となっている点が、上記実施形態と異なっている。配合Eの数値の単位はキログラム(kg)である。また、カッコ内の数値は、配合Eの全体重量1030kgに対する各成分重量の百分率(重量%)を示している。
【0054】
配合E
【0055】
上記の粉末状繊維としては、綿の粉を用いた。
【0056】
また、上記の乾燥した砂れき系素材750kgの内訳は、第3実施形態の場合と同様である。
【0057】
この第5実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成し、水を付与して硬化させた場合、山中式土壌硬度計による敷設層の貫入抵抗値から求めた敷設層の支持力は、約5.0MN/m2となった。したがって、第5実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0058】
また、第5実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合は、粉末状繊維が混入されていることから、粉末状繊維が、複合材料(例えば、鉄筋コンクリート)における補強部材(例えば、鉄筋)の機能を果たし、引張応力を負担する効果が期待できるため、外力等により敷設層に「ひび割れ(クラック)」が発生することを防止し、ひび割れから雑草の芽が出たり、根が伸びることを防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0059】
(6)第6実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第6実施形態であるセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第6実施形態に用いるセッコウ系構造材料は、上記した第5実施形態と同様にして製造する。
【0060】
この第6実施形態では、まず、施工する箇所の地表面上に、厚さ5cm程度の砕石路盤を形成し、よく転圧する。次に、第5実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成し、水を付与して硬化させる。
【0061】
この第6実施形態の場合も、山中式土壌硬度計による敷設層支持力は、第5実施形態の場合と同様の値を示した。したがって、第6実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0062】
また、第6実施形態の構造物の場合は、セッコウ系構造材料の敷設層の下部に砕石路盤が形成されているため、敷設層に「ひび割れ(クラック)」が発生することを防止する効果も期待できる、と考えられる。
【0063】
(7)第7実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第7実施形態であるセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第7実施形態に用いるセッコウ系構造材料は、上記した第5実施形態と同様にして製造する。
【0064】
この第7実施形態では、まず、施工する箇所の地表面上に、第5実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成した。次に、敷設層の上面に網状の部材を被せ、網状部材を構成するヒモ状部材の端部の数カ所を小さい杭状部材によって地面に固定した。その後、水を付与し、セッコウ系構造材料を硬化させた。
【0065】
この第7実施形態の場合も、山中式土壌硬度計による敷設層支持力は、第5実施形態の場合と同様の値を示した。したがって、第7実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0066】
また、第7実施形態の構造物の場合は、網状部材によりセッコウ系構造材料の敷設層の上面に網状部材が被せられているため、風や激しい雨、外力等により敷設層が侵食、流出、散逸することを防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0067】
(8)第8実施形態
本発明は、上記以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第8実施形態であるセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法を説明する。この第8実施形態に用いるセッコウ系構造材料は、上記した第5実施形態と同様にして製造する。
【0068】
この第8実施形態では、まず、施工する箇所の地表面上に、第5実施形態のセッコウ系構造材料を用いて、地表面上に厚さ約4〜5cm程度の敷設層を形成した。その後、水を付与し、セッコウ系構造材料を硬化させたが、水の中に、エマルジョン系材料を混合した。
【0069】
上記のエマルジョン系材料としては、昭和シェル石油株式会社製の「FLコート エコフロア・カラーバインダー」を使用した。この「FLコート エコフロア・カラーバインダー」は、明色アスファルト・エマルジョンであり、明色アスファルトと、乳化剤と、添加剤が混合された乳濁液である。
【0070】
この第8実施形態の場合も、山中式土壌硬度計による敷設層支持力は、第5実施形態の場合と同様の値を示した。したがって、第8実施形態のセッコウ系構造材料による敷設層の場合も、雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる、と考えられる。
【0071】
また、第8実施形態の構造物の場合は、付加する水の中にエマルジョン系材料を混合させているため、敷設層を防水し、敷設層が降雨等により侵食、流出、散逸することを防止するとともに、敷設層を補強する効果も期待できる、と考えられる。
【0072】
以下に、上記したセッコウ系構造材料、及びこのセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法の効果、利点について説明する。
【0073】
a)本発明のセッコウ系構造材料を施工箇所の地表面上に敷設して敷設層を形成すれば、何もせずに放置しても、その後の自然的な降雨により硬化する。硬化後の貫通抵抗力は、約2MN/m2程度以上の値が期待でき、施工箇所におけるその後の雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる。また、ジョウロにより、敷設層形成後に散水を行えば、約30分程度で硬化するので、施工も迅速に行うことができる。
【0074】
b)本発明のセッコウ系構造材料の硬化後の強度は、セメント強度の1/4程度である。このため、いったん敷設層を形成した箇所も、スコップ(シャベル)等により容易に掘り起こしが可能であり、敷設層の施工後に敷設層の一部に植樹等を行うことも可能である。また、多少のたわみ性も有している。
【0075】
c)本発明のセッコウ系構造材料の各成分、及び硬化後の成分は、自然環境に対し無害である。また、多く含まれるカルシウム分は、土壌に補給されて植物の栄養分となり、また土壌を改良する効果を発揮する。
【0076】
d)本発明のセッコウ系構造材料は、砂れき系素材(例えば砂)がシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)を含んでいる。このシリカに、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)が添加された場合には、水が存在する条件下では、シリカと水酸化カルシウムが、徐々に反応(ポゾラン反応)し、結合能力を有する不溶性の化合物を生成する。この不溶性化合物は、ポルトランドセメントの水和物であるC−S−Hに類似した構造を持ち、所定の硬度を有する物質である。一方、水酸化カルシウムは、空気中の二酸化炭素と反応(炭酸化反応)し、炭酸カルシウム(CaCO3)に変化する。炭酸カルシウムは、石灰石の主成分であり、所定の硬度を有する物質である。したがって、本発明のセッコウ系構造材料に消石灰を混合させた場合には、徐々に強度のある物質が生成されてくるため、小規模なひび割れが発生しても容易に復元する、という効果を期待することができる。
【0077】
e)本発明のセッコウ系構造材料に消石灰が添加された場合には、上記したようにポゾラン反応と炭酸化反応が生じ、C−S−Hに類似した不溶性化合物や炭酸カルシウムが生成する。このため、土壌中に重金属類が含まれていても、生成化合物の結晶の表面に吸着されたり、結晶内に包み込まれる形で取り込まれる。したがって、土壌を安定化させる効果がある。
【0078】
f)排煙脱硫セッコウは火力発電所や化学工場等の活動から発生する副産物であり、本発明のセッコウ系構造材料の原材料として排煙脱硫セッコウを用いれば、産業副産物のリサイクルを促進することにつながる、という効果も期待できる。
【0079】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではない。上記した各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0080】
例えば、上記した各実施形態の配合では、砂れき系素材の比率は、最小の場合が、配合Aの33.3重量%であり、最大の場合が、配合Bの95.0重量%であったが、一般には、20〜95重量%の範囲であれば、実用可能である、と考えられる。
【0081】
また、本発明における砂れき系素材としては、一般には、川砂単体、又は浜砂単体が可能である。ここに、砂(川砂、浜砂)とは、日本統一土質分類法で、砂{S}と分類されるものである。あるいは、JISA1204の土の粒度試験により測定された粒径が、0.074〜2.0mmの範囲のものを砂という。また、本発明における砂れき系素材としては、川砂単体、又は浜砂単体、又はこれらの適宜比率の混合物に、さらに石粉を混合させたものも使用可能である。石粉とは、上記した回収ダストのほか、石灰石、その他の岩石を粉砕したものも含まれる。石粉の混合比率は、砂れき系素材全体の重量に対して50重量%以下とすることが望ましい。
【0082】
また、本発明における砂れき系素材としては、川砂単体、又は浜砂単体、又はこれらの適宜比率の混合物、又は川砂と浜砂と石粉の適宜比率の混合物に、さらに比較的小さい「れき」を適宜比率で混合させたものも使用可能である。「れき」とは、JISA1204の土の粒度試験により測定された粒径が、2.0mm以上の範囲のものをいうが、本発明においては、粒径が、2.0〜25.0mmの範囲のものを対象とする。第3実施形態で使用した7号砕石の粒径は、2.5mm〜5mm程度であり、本発明における「れき」の範囲内のものである。また、本発明に用いる「れき」としては、パーライト等の軽量骨材も使用可能である。
【0083】
また、上記した各実施形態の配合では、半水セッコウ(硫酸カルシウム1/2水和物:CaSO4・1/2H2O)の比率は、最小の場合が、配合Bの5.0重量%であり、最大の場合が、配合Aの66.7重量%であったが、本発明においては、5〜70重量%の範囲であれば、実用可能である、と考えられる。
【0084】
また、上記各実施形態においては、半水セッコウは、2水セッコウ(硫酸カルシウム2水和物:CaSO4・2H2O)を加熱し、水分を蒸発させて乾燥させることにより生成した。しかし、本発明においては、一般には、半水セッコウ(硫酸カルシウム1/2水和物:CaSO4・1/2H2O)を直接用いてもよい。
【0085】
また、上記各実施形態においては、半水セッコウの原材料となる2水セッコウ(硫酸カルシウム2水和物:CaSO4・2H2O)として、排煙脱硫セッコウを使用したが、本発明においては、これは他の2水セッコウを用いてもよい。例えば、天然セッコウ鉱床から採取したセッコウ、天然岩塩鉱床中に含まれるセッコウ分を抽出して得たセッコウ、海水又は硬水中に含まれるセッコウ分を抽出して得たセッコウ、リン酸製造工程から副産物として得られるリン酸セッコウ、化学工業の工程から副産物として得られるボウ硝セッコウ等である。
【0086】
また、ロータリーキルンでの加熱温度は、上記実施形態においては、160〜240°C程度とした例について説明したが、水分の除去と、材料の変質の防止の観点から、本発明においては、100〜350°C程度の加熱温度(材料温度)であれば、適用可能である、と考えられる。
【0087】
また、上記した第4実施形態の配合Dでは、乾燥した砂れき系素材と半水セッコウの混合物に、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)を2.0重量%混合した例について説明したが、水酸化カルシウムによるポゾラン反応と炭酸化反応を生じさせる目的のためには、0.5〜20重量%の範囲で水酸化カルシウムを混合させれば実用可能である、と考えられる。また、砂れき系素材(砂等)とポゾラン反応を生じさせることを考慮すれば、上記した消石灰(水酸化カルシウム)以外のポゾラン材料を使用してもよい。例えば、フライアッシュ、シリカフューム、ケイ酸白土、ケイ藻土、火山灰等である。
【0088】
また、上記した第5実施形態の配合Eでは、乾燥した砂れき系素材と半水セッコウと消石灰の混合物に、粉末状繊維を1.0重量%混合した例について説明したが、粉末状繊維による補強効果を発揮させる目的のためには、0.3〜10重量%の範囲で粉末状繊維を混合させれば実用可能である、と考えられる。
【0089】
また、本発明における粉末状繊維としては、上記した綿粉のほか、一般には、繊維を細かく裁断したものを使用することが可能である。繊維としては、天然繊維、合成繊維、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、パルプ繊維等が使用可能である。これらのうち、天然繊維材料は、木綿、麻等の植物性天然繊維、羊毛、絹等の動物性天然繊維を含む。また、合成繊維材料は、ポリアミド繊維(例えば、登録商標「ナイロン」を有する商品など)、ポリエステル繊維(例えば、登録商標「テトロン」を有する商品など)、ポリビニルアルコール繊維(例えば、登録商標「ビニロン」を有する商品など)、アラミド繊維(例えば、登録商標「ケブラー」を有する商品など)等を含む。また、合成樹脂材料は、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、アクリル酸・ブタジエン・スチレン共重合体等の各種のものを含み、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれをも含む。金属材料とは、合金も含む。パルプ繊維は、木材チップから得られる繊維材料を含む。
【0090】
また、上記の材料のほか、セメントを混合すれば、さらに強度の向上が期待できる。しかし、セメントは、混合する量が多すぎると、セッコウ系構造材料の硬化後に掘り返したり、植樹等を行うことが困難になるため、混合比率は低く抑える必要がある。このため、混合する場合には、その混合比率は、上記した消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)の混合比率より低くすることが適当である。したがって、0.2〜5重量%程度の範囲でセメントを混合させるようにすれば実用可能である、と考えられる。。
【0091】
本発明のセッコウ系構造材料に用いるセメントとしては、一般に、各種のセメントを用いることができる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、混合セメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、超速硬セメント、アルミナセメント、膨張セメント、コロイドセメント等である。
【0092】
また、上記した各実施形態では、セッコウ系構造材料を敷設する層の厚さを地表面上で約4〜5cm程度とした例について説明したが、敷設層の厚さは、2.0〜10cm程度の範囲で適宜調節可能である。
【0093】
また、上記した各実施形態では、ジョウロを用いて敷設層の上から水を散布する例について説明したが、ジョウロ以外の他の器具であってもよい。要は、多数の小孔を有するもの、ノズル状の孔から水を噴射するもの、パイプに多数の開口を設けたものなど、水を雨水状にほぼ均一に散布可能な器具であれば、どのようなものであってもよいのである。
【0094】
また、敷設層を形成する前の段階で、転圧機(コンパクター)等を用いて地表面を転圧し平滑にするようにしてもよい。このような前処理を行えば、地表面付近の地盤が締め固められ、雑草の発芽や発根をより効果的に防止することができる。また、地表を平坦にすれば、敷設層の表面も平坦になり、ひび割れ等の発生の防止にも一定の効果がある。
【0095】
また、上記した第6実施形態では、敷設層の形成に先立ち、地表面上に厚さ5cm程度の砕石路盤を形成して被覆し、その後に敷設層を形成する例について説明したが、砕石路盤の厚さは、2.0〜10cm程度の範囲で適宜調節可能である。また、砕石路盤以外の他の部材を用いてもよい。例えば、敷設層の形成に先立ち、地表面上に紙材(古新聞紙、段ボール紙等)を敷き、その上にセッコウ系構造材料による敷設層を形成してもよい。これらの砕石路盤や紙材は、被覆部材に相当している。
【0096】
また、上記した第7実施形態では、敷設層の形成後に、敷設層の上面に網状の部材を被せ、降雨等によるセッコウ系構造材料の流出や散逸を防止する例について説明したが、網状部材を構成するヒモ状部材は、上記した各種の繊維、あるいは鋼線、ナマシ鉄線、他の金属製の線材、上記した各種の合成樹脂からなる線材等で構成することができる。また、網状部材以外の他の部材を用いてもよい。例えば、合成樹脂等からなるシート状部材に多数の開口を開けた部材などである。これらの網状部材や穴明きシート部材は、流出防止部材に相当している。
【0097】
また、上記した第8実施形態では、敷設層の形成後に散布する水の中にエマルジョン系材料として明色アスファルト・エマルジョンを混合し、防水を行ってセッコウ系構造材料の流出、散逸等を防止する例について説明したが、エマルジョン系材料としては、アスファルト以外の他の樹脂、レジン等を乳化剤、添加剤等を加えて乳濁液状としたものを用いてもよい。また、第8実施形態以外の他の方法により敷設層の防水を図ってもよい。例えば、敷設層を形成し水を付与した後、敷設層の表面に各種のコート材、例えばアスファルト乳剤等を含むコート材等を散布し、敷設層の表面に防水膜を形成するようにしてもよい。このコーティングは、部分的に行い、敷設層の表面の一部を被覆せずに残せば、その部分から雨水が地表までしみ込むため、周辺の樹木等に悪影響を生じさせることを防止することもできる。
【0098】
また、上記した各実施形態では、敷設層の施工箇所として道路の路肩部を例に挙げて説明したが、本発明の敷設層は、他の箇所に施工してもよい。例えば、道路の中央分離帯部、スノーシェッドの上部、鉄道の線路側部、花壇、又は建築物若しくは建造物の周辺部の地表面等であってもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させた砂れき系素材20〜95重量%と、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO 4 ・1/2H 2 O)5〜70重量%とを混合し、粉状又は粒状にしてセッコウ系構造材料を生成し、このセッコウ系構造材料を用いて地表に敷設層を形成し、水の添加によって硬化させるようにしたので、以下のような効果を有している。
【0100】
硬化後の貫通抵抗力は、約2MN/m2程度以上の値が期待でき、施工箇所におけるその後の雑草の発芽や発根を防止する効果が期待できる。また、ジョウロ等の器具により、敷設層形成後に散水を行えば、約30分程度で硬化するので、施工も迅速に行うことができる。
【0101】
本発明のセッコウ系構造材料の硬化後の強度は、セメント強度の1/4程度である。このため、いったん敷設層を形成した箇所も、スコップ(シャベル)等により容易に掘り起こしが可能であり、敷設層の施工後に敷設層の一部に植樹等を行うことも可能である。また、多少のたわみ性も有している。
【0102】
本発明のセッコウ系構造材料の各成分、及び硬化後の成分は、自然環境に対し無害である。また、多く含まれるカルシウム分は、土壌に補給されて植物の栄養分となり、また土壌を改良する効果を発揮する。
【0103】
本発明のセッコウ系構造材料は、砂れき系素材(例えば砂)がシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)を含んでいる。このシリカに、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)が添加された場合には、水が存在する条件下では、シリカと水酸化カルシウムが、徐々に反応(ポゾラン反応)し、結合能力を有する不溶性の化合物を生成する。この不溶性化合物は、ポルトランドセメントの水和物であるC−S−Hに類似した構造を持ち、所定の硬度を有する物質である。一方、水酸化カルシウムは、空気中の二酸化炭素と反応(炭酸化反応)し、炭酸カルシウム(CaCO3)に変化する。炭酸カルシウムは、石灰石の主成分であり、所定の硬度を有する物質である。したがって、本発明のセッコウ系構造材料に消石灰を混合させた場合には、徐々に強度のある物質が生成されてくるため、小規模なひび割れが発生しても容易に復元する、という効果がある。
【0104】
本発明のセッコウ系構造材料に消石灰が添加された場合には、上記したようにポゾラン反応と炭酸化反応が生じ、C−S−Hに類似した不溶性化合物や炭酸カルシウムが生成する。このため、土壌中に重金属類が含まれていても、生成化合物の結晶の表面に吸着されたり、結晶内に包み込まれる形で取り込まれる。したがって、土壌を安定化させる効果がある。
【0105】
排煙脱硫セッコウは火力発電所や化学工場等の活動から発生する副産物であり、本発明のセッコウ系構造材料の原材料として排煙脱硫セッコウを用いれば、産業副産物のリサイクルを促進することにつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるセッコウ系構造材料の製造方法を説明する概念図である。
【符号の説明】
1 砂れき系素材
2 セッコウ
3、4 コールドビン
5 フィーダ
6 ロータリーキルン
7 バーナー
8 ふるい
9 ホットビン
10 計量機
11 ミキサー
12 セッコウ系構造材料
Claims (13)
- 100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させた砂れき系素材20〜95重量%と、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)5〜70重量%とを混合し、粉状又は粒状にしたことを特徴とするセッコウ系構造材料。
- 請求項1記載のセッコウ系構造材料において、
前記砂れき系素材としては、粒径0.074〜2.0mm程度の砂、又は石粉、又は粒径2.0〜25.0mm程度のれき、若しくはこれらの適宜の混合物が用いられること
を特徴とするセッコウ系構造材料。 - 請求項1記載のセッコウ系構造材料において、
前記混合物には、0.5〜20重量%の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が混合されること
を特徴とするセッコウ系構造材料。 - 請求項1記載のセッコウ系構造材料において、
前記混合物には、0.3〜10重量%の粉末状繊維が混合されること
を特徴とするセッコウ系構造材料。 - 砂れき系素材を100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させるとともに、硫酸カルシウム2水和物(CaSO4・2H2O)を100〜350°Cの材料温度で加熱して乾燥させ硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を生成し、前記乾燥させた砂れき系素材を20〜95重量%と、前記硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を5〜70重量%混合して粉状又は粒状にしたことを特徴とするセッコウ系構造材料の製造方法。
- 請求項5記載のセッコウ系構造材料の製造方法において、
前記硫酸カルシウム2水和物(CaSO4・2H2O)は、燃焼後の排煙中のイオウ酸化物(SOx)を炭酸カルシウム(CaCO3)の水溶液に吸収させて除去する排煙脱硫工程から得られる排煙脱硫セッコウが用いられること
を特徴とするセッコウ系構造材料の製造方法。 - 20〜95重量%の乾燥した砂れき系素材と、5〜70重量%の粉末状又は粒状の硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を混合させたセッコウ系構造材料を、地表面上に厚さ2.0〜10cm程度に敷設して敷設層を形成することを特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。
- 請求項7記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記敷設層の形成後、前記敷設層の上から水を散布し前記セッコウ系構造材料を硬化させること
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。 - 請求項7記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記敷設層の形成に先立ち、前記地表面を被覆部材で被覆し、前記被覆部材の上に前記敷設層を形成すること
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。 - 請求項8記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記水は、散布手段により雨水状に散布されること
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。 - 請求項7記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記敷設層の上面が流出防止部材により被覆されること
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。 - 請求項8記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記敷設層の上から散布する水に、エマルジョン系材料が混合されること
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。 - 請求項7記載のセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法において、
前記地表面は、道路の路肩部又は中央分離帯部、スノーシェッドの上部、鉄道の線路側部、花壇又は建築物若しくは建造物の周辺部の地表面を含むこと
を特徴とするセッコウ系構造材料を用いた構造物の施工方法。
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