JP3849736B2 - 易酸化物質又はこれを含む組成物の包装体及び易酸化物質の安定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品、食品、化粧品等の分野において利用される、易酸化物質を長期間に亘って安定に保持することができる易酸化物質又はこれを含む組成物の包装体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
酸化を受けやすい物質は、乾燥した状態では比較的安定であっても、特に水等に溶解した溶液状態では著しく分解されやすいものが多い。
【0003】
従来、こうした易酸化物質溶液の安定化方法としては、遮光したガラス容器を用い、容器内部の空隙(以下、ヘッドスペースと呼ぶ)を窒素ガスにより置換するヘッドスペースの窒素ガス置換法や、特開昭62−138438号公報に見られるような易酸化物質溶液を酸素透過性プラスチック容器に充填、密栓し、脱酸素剤と共に酸素非透過性包囲体により密封する安定化法が提案されている。
【0004】
しかしながら、ヘッドスペースの窒素ガス置換充填法では、窒素ガス置換率を上げようとすれば充填効率が低下し、逆に少ないヘッドスペース容積を窒素ガスで置換しても十分な溶存酸素の除去ができないために安定化効果が低いという欠点があった。
【0005】
また、特開昭62−138438号公報による脱酸素剤を用いる方法は、脱酸素剤を使用することによって酸化を防止するものであるが、この方法は、容器内圧が減圧になることにより容器の変形が懸念される上、ヘッドスペースの窒素ガス置換法に比べてコストの点で割高となるという問題があった。
【0006】
従って、より有効な易酸化物質の安定化技術の開発が望まれる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低コストで効率よく易酸化物質を長期間に亘って安定して保持できる易酸化物質又はこれを含む組成物の包装体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明の第一発明は、上記目的を達成するため、易酸化物質を含む組成物を収容した酸素透過性容器を酸素非透過性包囲体で包囲して密封すると共に、上記酸素非透過性包囲体と上記酸素透過性容器との間に形成される空間(以下、インナースペースと呼ぶ)容積の50%以上を不活性ガスにより置換してなることを特徴とする易酸化物質を含む組成物の包装体を提供する。また、易酸化物質を含む組成物を収容した酸素透過性容器を酸素非透過性包囲体で包囲して密封すると共に、上記酸素非透過性包囲体と上記酸素透過性容器との間に形成された空間容積の50%以上を不活性ガスにより置換することを特徴とする組成物における易酸化物質の安定化方法を提供する。
【0009】
また、第二発明は、易酸化物質又はこれを含む組成物を、容器内部の空隙(ヘッドスペース)の容器満配量に対する容積率が4%以下となるように容器に収容してなることを特徴とする易酸化物質又はこれを含む組成物の包装体を提供する。
【0010】
上記第一発明では、例えば図1に示すように包囲体1中に、易酸化物質又はこれを含む組成物2を収容した容器3を包囲、密封する際、包囲体1内のインナースペース4の容積全体の50%以上を不活性ガスで置換することにより、インナースペース4の酸素分圧が低くなることから、容器3内のヘッドスペース5の酸素がインナースペース4へ透過し、更に、ヘッドスペース5及びインナースペース4の酸素分圧が低いことから、易酸化物質又はこれを含む組成物2中の溶存酸素も減少する。これにより、第1発明では、易酸化物質の経時での酸素による酸化が抑制され、易酸化物質が安価な方法で長期間安定に保持される。更に、容器3内のヘッドスペース5が不活性ガス置換されると、同様の経路にて易酸化物質又はこれを含む組成物中の溶存酸素が減少することにより、更に安定性が増強される。
【0011】
第二発明では、例えば図2に示すように易酸化物質又はこれを含む組成物2をヘッドスペース5の容器満配量に対する容積率が4%以下となるように酸素非透過性容器6に収容することにより、易酸化物質の溶存酸素による酸化分解に伴って易酸化物質又はこれを含む組成物2中の溶存酸素が減少し、ヘッドスペース5より酸素が易酸化物質又はこれを含む組成物へ移行する際に、ヘッドスペース5から移行する酸素の量が少なくなることから、易酸化物質又はこれを含む組成物中の溶存酸素が減少する。この結果、第二発明では、易酸化物質の酸素による酸化が抑制され、易酸化物質が安価な方法で長期間安定に保持される。更に、容器3の材質の透湿度が低い程、経時によるヘッドスペース容積率の増加が抑制され、より安定性が増強される。
【0012】
また、これらの安定化方法により安定化された易酸化物質は、上記のような作用により、易酸化物質の品質が安定に保持され、特に酸化を受け易い易酸化物質溶液などの形態でも易酸化物質が非常に酸化され難い。
【0013】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の第一発明の易酸化物質又はこれを含む組成物の包装体において、使用する易酸化物質としては、酸化分解を受け易い全ての物質を使用できるが、例えば水溶性アズレン(グアイアズレン−3−スルホン酸ナトリウム等)、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、ビタミンA類(パルミチン酸レチノール、β−カロチン等を含む)、ビタミンB2類(フラビン−アデニンジヌクレオチド等)、ビタミンB6類(塩酸ピリドキシン等)、ビタミンB12類(シアノコバラミン等)、ビタミンC類(アスコルビン酸等)、ビタミンE類(酢酸d−α−トコフェロール等)などから選ばれる1種又は2種以上が好適に使用される。
【0014】
本発明において、易酸化物質は通常この易酸化物質を含む組成物として用いられる。この組成物の形態としては、液状、ペースト状、固形状等のいずれの形態でもよいが、特に本発明は、易酸化物質が水等に溶解している、溶液、ペースト等の形態の組成物、例えば点眼剤などに対して有効に適用される。
【0015】
第一発明で用いる容器としては、易酸化物質又はこれを含む組成物を入れることができる全ての容器を使用することができるが、第一発明の目的からすると、特に酸素透過性の容器を使用する。その材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の材質からなる容器が挙げられる。酸素透過性容器としては、これらの中で特に酸素透過係数の高い材質、特に酸素透過係数が10cc/m2・24hr・atm以上のものが好ましく、具体的にはポリエチレン製のディスポーザブルタイプの点眼用容器などが安定性が高く、より好適である。
【0016】
また、包囲体としては、酸素非透過性のものを用いる。例えばアルミ箔、アルミニウムを蒸着したポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニリデンコート等の単体又は複合フィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に長期安定化には、酸素透過係数が10cc/m2・24hr・atm以下(即ち、0〜10cc/m2・24hr・atm)の酸素非透過性包囲体が望ましい。
【0017】
第一発明においては、上記易酸化物質又はこれを含む組成物を収容した酸素透過性容器を酸素非透過性包囲体で包囲して密封するが、この際、包囲体により密封されたインナースペース容積の50%以上を不活性ガスにより置換する。
【0018】
この場合、不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等のガスが挙げられる。
【0019】
また、インナースペースの不活性ガス置換率は少なくとも50%以上とする必要があり、長期安定化のためには高いほど好ましく、75%以上であることが好ましい。不活性ガス置換率が50%未満では安定化効果に劣り、本発明の目的を達成することができない。
【0020】
更に、インナースペースの容積が大きいほど、また易酸化物質又はこれを含む組成物の容量が小さいほど安定化効果は高く、インナースペースの容積が易酸化物質又はこれを含む組成物と同容積以上であることが望ましい。
【0021】
また、本発明では、上記易酸化物質又はこれを含む組成物を容器に収容する際の容器内部のヘッドスペースにおいても、インナースペースと同様に不活性ガスで置換されることが望ましく、これにより更に安定化効果を増大させることができる。
【0022】
なお、ヘッドスペースを不活性ガス置換しない場合は、ヘッドスペース容積は小さいほうが好ましく、容器内部の全容積に対して5%以下、より好ましくは4%以下、特に1%以下であることが望ましい。
【0023】
更に、包囲体による密封は完全に行う必要があり、ピンホール等が生じてはならない。この密封方法としては、ヒートシールによる方法が簡便で好適に採用されるが、これに限定されるものではない。
【0024】
第二発明は、易酸化物質又はこれを含む組成物を容器に収容するに際し、ヘッドスペースの容器満配量に対する容積率が4%以下となるように易酸化物質又はこれを含む組成物を収容するものである。
【0025】
この場合、易酸化物質又はこれを含む組成物としては、上記と同様のものを例示することができる。また、易酸化物質又はこれを含む組成物を収容、充填する容器としては、易酸化物質又はこれを含む組成物を入れることができる全ての容器を使用することができ、また、その材質は特に制限はなく、低又は非酸素透過性であってもよく、例えばガラス、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等からなる単体やこれらの複合材質の容器が挙げられる。なお、長期安定化のためには、酸素透過係数の低い材質の容器を用いることが好適であり、特に酸素透過係数が10cc/m2/24hr・atm以下のものが望ましい。このような低酸素透過係数の容器として具体的には、ガラス製容器などが例示される。
【0026】
更に、容器材質の透湿度についても低いものが好ましく、特に長期安定化のためには透湿度が10g/m2/24hr以下の材質のものが望ましい。
【0027】
第二発明では、易酸化物質又はこれを含む組成物を容器に収容するに際し、容器満配量に対するヘッドスペース容積率が4%以下、好ましくは1〜0%となるように易酸化物質又はこれを含む組成物を収容する。ヘッドスペース容積率が4%を超えると易酸化物質の安定化効果に劣り、本発明の目的を達成することができない。
【0028】
更に、易酸化物質又はこれを含む組成物を収容する容器は、易酸化物質又はこれを含む組成物を収容、充填する前に容器中を第一発明で例示したものと同様の不活性ガスで充分置換しておくことが好ましく、この不活性ガス置換により安定性をより向上させることができる。
【0029】
更に、上記の易酸化物質又はこれを含む組成物を収容した容器は、その外周にポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等からなる単体又はこれらの複合材質からなる包囲体、特に酸素非透過性包囲体を形成して密封することが好ましく、これにより更に安定化効果を高めることができる。なお、密封方法としては、ヒートシールによる方法が簡便で好適に採用されるが、これに限定されるものではない。
【0030】
このような本発明の易酸化物質又はこれを含む組成物の安定化方法により安定化された易酸化物質又はこれを含む組成物は、点眼剤等の医薬品、食品、化粧品などとして使用することができる。なお、この場合、必要に応じて任意成分を添加して調製することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の第一発明によれば、易酸化物質又はこれを含む組成物を収容した容器を包囲体で包囲し、この包囲体内のインナースペース容積の50%以上を不活性ガスで置換、密封したことにより、易酸化物質又はこれを含む組成物を長期間にわたって安定に保存することができ、しかも脱酸素剤を用いる方法に比べて非常に低コストに安定化することができ、容器変形の心配もない。
【0032】
更に、第二発明によれば、易酸化物質又はこれを含む組成物を容器に収容する際のヘッドスペース容積率を4%以下にしたことにより、容器中に易易酸化物質又はこれを含む組成物を長期間にわたって安定に保存することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0034】
〔実施例1〕
精製水にホウ酸1.0g、ホウ砂0.4g、塩化カリウム0.13g、塩化ナトリウム0.13g及び1,4−ジメチル−7−イソプロピルアズレン−3−スルホン酸ナトリウム(以下、水溶性アズレンと呼ぶ)0.02gを混合し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製した後、精製水で全量を100mlとし、無菌ろ過後、被験液(点眼剤)とした。
【0035】
この被験液16.2mlを図1に示すようにポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、窒素ガス雰囲気でヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3、不活性ガス置換率:75%)。
【0036】
〔実施例2〕
実施例1と同一組成の被験液16.2mlをポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、窒素ガス雰囲気でヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3、窒素ガス置換率:50%)。
【0037】
〔比較例1〕
実施例1と同一組成の被験液16.2mlをポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、窒素ガス雰囲気でヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3、窒素ガス置換率:40%)。
【0038】
〔比較例2〕
実施例1と同一組成の被験液16.2mlを窒素ガスにより置換したガラス製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3、窒素ガス置換率:75%)をポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、不活性ガス置換することなくヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3)。
【0039】
〔比較例3〕
実施例1と同一組成の被験液16.2mlをポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、脱酸素剤と共にヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3)。
【0040】
〔実施例3〕
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油1.5g、酢酸d−α−トコフェロール0.5g、パルミチン酸レチノール(170万国際単位)0.2gを加温融解した。これに精製水を加え、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.1gを混合溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製した後、精製水で全量を1000mlとし、無菌ろ過後、被検液とした。
【0041】
この被検液16.2mlをポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:約0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主材料とする複合フィルムの包囲体で被覆し、窒素ガス雰囲気下でヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3、窒素ガス置換率:75%)。
【0042】
〔比較例4〕
実施例3と同一組成の被験液16.2mlを窒素ガスにより置換したガラス製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3、窒素ガス置換率:75%)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、不活性ガス置換することなくヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3)。
【0043】
〔比較例5〕
実施例3と同一組成の被験液16.2mlをポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密閉したもの(ヘッドスペース容積:0.2cm3)を、ポリ塩化ビニリデンを主剤とする複合フィルムの包囲体で被覆し、脱酸素剤と共にヒートシールして密封した(インナースペース容積:約35cm3)。
【0044】
上記実施例及び比較例で得られた製剤について、易酸化物質残存率及び溶存酸素濃度の50℃、75%RH(相対湿度)における経時変化を30日と60日保存後に測定した。なお、易酸化物質濃度は、高速液体クロマトグラフィーにより易酸化物質(水溶性アズレン)濃度を定量し、その残存率は次式より算出した。易酸化物質残存率(%)=(保存後易酸化物質濃度)÷(製造直後の易酸化物質
濃度)×100
【0045】
表1の結果より、易酸化物質溶液を充填、密栓した酸素透過性容器に酸素非透過性包囲体を包囲して密封するに際し、酸素非透過性包囲体のインナースペースの窒素ガス置換率を50%以上としたもの(実施例1〜3)は、易酸化物質の安定化効果が高く、溶存酸素の低減を低コストで実現できることがわかった。これに対して、インナースペースの窒素ガス置換率が50%未満のもの(比較例1)や、ヘッドスペースを窒素ガスで置換しないもの(比較例2,4)は、十分な安定化効果が得られず、酸素非透過性包囲体で脱酸素剤と共に密封したもの(比較例3,5)は、安定化効果は高いがコストが高くなることが確認された。
【0046】
【表1】
【0047】
〔参考例1〕
精製水にホウ酸1.0g、ホウ砂0.4g、塩化カリウム0.13g、塩化ナトリウム0.13g及び1,4−ジメチル−7−イソプロピルアズレン−3−スルホン酸ナトリウム(以下、水溶性アズレンと呼ぶ)0.02gを混合し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製した後、精製水で全量を100mlとし、無菌ろ過後、被験液(点眼剤)とした。この被験液を図2に示すようにガラス製容器に満注し(ヘッドスペース容積率:0%)、密栓した。
【0048】
〔参考例2〕
参考例1と同一組成の被験液をガラス製容器にヘッドスペース容積率が2%となるよう充填し、密栓した。
【0049】
〔比較例6〕
参考例1と同一組成の被験液をガラス製容器にヘッドスペース容積率が5%となるよう充填し、密栓した。
【0050】
〔比較例7〕
参考例1と同一組成の被験液をガラス製容器にヘッドスペース容積率が10%となるよう充填し、密栓した。
【0051】
上記参考例1,2及び比較例6,7で得られた製剤を50℃で保存時における易酸化物質(水溶性アズレン)残存率の経時変化を30日、60日保存後に測定、算出した。
【0052】
表2の結果より、ヘッドスペース容積率が4%を超える比較例6,7に比べ、本発明に基づいてヘッドスペース容積率を4%以下にした参考例1,2は、易酸化物質残存率が高く、安定性に優れていることが確認された。
【0053】
【表2】
【0054】
〔参考例3〕
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油1.5g、パルミチン酸レチノール(170万国際単位)0.2gを加温融解した。これに精製水を加え、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.1gを混合溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製した後、精製水で全量を1000mlとし、無菌ろ過後、ポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密栓したもの(ヘッドスペース容積率:2%)を、ポリ塩化ビニリデンを主材料とする複合フィルムの包囲体で被覆し、ヒートシールして密封したところ、易酸化物質のパルミチン酸レチノールが安定に保持された。
【0055】
〔参考例4〕
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油1.5g、酢酸d−α−トコフェロール0.5gを加温融解した。これに精製水を加え、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム0.1gを混合溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製した後、精製水で全量を1000mlとし、無菌ろ過後、ポリエチレンテレフタレート製容器に充填、密栓したもの(ヘッドスペース容積率12%)を、ポリ塩化ビニリデンを主材料とする複合フィルムの包囲体で被覆し、窒素ガス雰囲気下でヒートシールして密封したところ、同様の易酸化物質の安定化効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一発明の安定化方法の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明の第二発明の安定化方法の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 酸素非透過性包囲体
2 易酸化物質溶液
3 酸素透過性容器
4 インナースペース
5 ヘッドスペース
6 酸素非透過性容器
Claims (5)
- 易酸化物質を含む組成物を収容した酸素透過性容器を酸素非透過性包囲体で包囲して密封すると共に、上記酸素非透過性包囲体と上記酸素透過性容器との間に形成された空間容積の50%以上を不活性ガスにより置換してなることを特徴とする易酸化物質を含む組成物の包装体。
- 容器内部の空隙を不活性ガスで充填した請求項1記載の包装体。
- 容器内部の空隙の容器満配量に対する容積率が5%以下となるように易酸化物質を含む組成物を容器に収容した請求項1記載の包装体。
- 易酸化物質を含む組成物が点眼剤である請求項1乃至3のいずれか1項記載の包装体。
- 易酸化物質を含む組成物を収容した酸素透過性容器を酸素非透過性包囲体で包囲して密封すると共に、上記酸素非透過性包囲体と上記酸素透過性容器との間に形成された空間容積の50%以上を不活性ガスにより置換することを特徴とする組成物における易酸化物質の安定化方法。
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