JP3849552B2 - 超接合半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐圧化と大電流容量化を両立させることのできる超接合半導体素子の製造方法に関し、特に並列pn接合層を備えたMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、バイポーラトランジスタまたはダイオード等の超接合半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高耐圧半導体素子は、高い降伏電圧を得るために高比抵抗のドリフト領域を主電流経路に設けるため、高耐圧のものほどこの部分の電圧降下が大きくなってオン電圧が高くなるという問題があった。この問題に対する解決法として、ドリフト層を、不純物濃度を高めたn型の領域とp型の領域とを交互に積層した並列pn層で構成し、オフ状態のときは空乏化して耐圧を負担するようにした構造の半導体装置が、たとえば米国特許第5216275号明細書などに開示されている。
【0003】
ここで、並列pn接合層とは、上述したように第1導電型(たとえば、n型)のドリフト領域と第2導電型(たとえば、p型)の仕切り領域とを交互に繰り返して接合した構造のことである。また、超接合半導体素子とは、オン状態では電流を流し、一方、オフ状態では空乏化する並列pn接合層からなるドリフト領域を備えた半導体素子のことである。
【0004】
従来より、並列pn接合層を形成する方法として、エピタキシャル成長によってトレンチ構造を埋め込む方法が公知である。しかし、この方法では、トレンチのアスペクト比が高いため、トレンチ形成時に基板に除去不能なダメージが生じるという問題点がある。また、トレンチ内を高品質のエピタキシャル層で埋め込むのは極めて困難であるなどの問題点もある。
【0005】
そこで、本発明者らは、低抵抗の半導体基板上に高抵抗の半導体層をエピタキシャル成長させながら、そのエピタキシャル成長層にn型不純物とp型不純物のイオンビームを照射して選択的にイオン注入することによって、並列pn接合層を形成する方法について、先に出願している(特開2001−168036号)。この方法によれば、並列pn接合層を容易に形成することができるという効果が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その後の発明者らの検討により、上記特開2001−168036号公報による並列pn接合層の形成方法では、ソースガスの供給によりエピタキシャル成長中のチャンバー内圧力が100〜3000Paと比較的高い、すなわち真空度が低いため、イオンビームが散乱されやすく、並列pn接合層の不純物濃度にばらつきが生じるおそれのあることが判明した。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、不純物濃度のばらつきが小さい並列pn接合層を有する超接合半導体素子を簡易に量産性よく製造することができる超接合半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の主面と第2の主面との間に、低抵抗層と、オン状態では電流が流れ、かつp型領域とn型領域とが交互に配置された構成の並列pn接合層とを備えた超接合半導体素子の製造方法において、前記低抵抗層の表面に前記低抵抗層よりも抵抗の大きい高比抵抗層をエピタキシャル成長させる工程と、前記エピタキシャル成長工程につづいて同一チャンバー内で、チャンバー内圧力がエピタキシャル成長時よりも低い状態で、前記高比抵抗層に所定の不純物をイオンビーム照射により選択的に注入する工程と、前記高比抵抗層に注入された不純物を熱処理により拡散させて前記並列pn接合層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。この発明によれば、エピタキシャル成長時のチャンバー内圧力よりも低い圧力でイオンビームが照射されるため、イオンビームの散乱が抑制され、不純物濃度のばらつきの小さい並列pn接合層が形成される。
【0009】
この発明において、前記エピタキシャル成長と前記イオンビーム照射とを繰り返しおこなった後、前記熱処理をおこなう構成としてもよい。このようにすれば、所望の厚さを有する並列pn接合層が形成される。
【0010】
また、この発明において、前記イオンビーム照射時のチャンバー内圧力を1×10-2Pa以下としてもよい。この場合には、イオンビームが散乱されにくくなり、並列pn接合層の不純物濃度のばらつきが抑制される。
【0011】
また、この発明において、前記イオンビーム照射時のイオン種をボロン、リン、またはボロンとリンの組み合わせとしてもよい。この構成によれば、たとえばボロンの注入によってp型領域が形成され、リンの注入によってn型領域が形成される。
【0012】
また、この発明において、前記イオンビーム照射時にビーム径を変化させることにより異なる幅の並列pn接合層を形成する構成としてもよい。このようにすれば、異なるピッチを有する並列pn接合層が形成され、狭いピッチの並列pn接合層では熱処理時の相互拡散によって不純物濃度が低くなり、電界が緩和されやすくなるため、この領域での耐圧が向上する。
【0013】
また、この発明において、前記イオンビームの平均自由工程を、イオンビーム銃と半導体素子間の距離の10倍以上としてもよい。この場合には、イオンビームが散乱されにくくなり、並列pn接合層の不純物濃度のばらつきが抑制される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1において用いられる枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。このエピタキシャル成長炉では、ソースガス導入口1およびソースガス排気口2を備えたチャンバー3に、ボロン照射用イオンビーム銃4およびリン照射用イオンビーム銃5を複数備えている。また、サセプタ6を加熱するために、RFコイル7がサセプタ6の直下に敷設され、エピタキシャル基板8はサセプタ6の上に設置される。
【0015】
ここで、各イオンビーム銃4,5とエピタキシャル基板8との間の距離dはイオンビームの平均自由工程λの1/10以下である。すなわち、各イオンビーム銃4,5は、λ≧10dとなる位置に設置されている。その理由は、イオンビーム中のイオン種がエピタキシャル基板8に達するまでに残留ガス分子に衝突する回数はd/λで表されるが、この衝突回数を1/10以下に低減するためである。つまり、衝突回数が小さいほどイオンビームが散乱されにくくなるため、エピタキシャル基板8に導入される不純物量がより正確になり、並列pn接合層の濃度のばらつきが抑制されるからである。換言すれば、イオンビームの衝突は、並列pn接合層の濃度ばらつきの原因となる。
【0016】
図14に、各耐圧クラス(740V、1100V、2300V、4500V)における耐圧と並列pn接合層の濃度との関係を示す。図14において、縦軸は最大耐圧BVmaxを1としたときの耐圧比であり、横軸は最大耐圧BVmaxが得られるときの濃度を1としたときの濃度比である。図14より、最大耐圧が大きくなる、すなわち高耐圧化するのに伴って、濃度のばらつきに対する耐圧低下の程度が急激になっていることがわかる。
【0017】
図15に、最大耐圧の90%および95%の耐圧を得るために許容される濃度ばらつきと最大耐圧との関係を示す。図15において、縦軸は許容濃度ばらつき[%]であり、横軸は最大耐圧[V]である。図15より、最大耐圧が大きくなるのに伴って、許容濃度ばらつきが急激に小さくなっていることがわかる。
【0018】
図15に示す通り、たとえば通常で13%の濃度ばらつきがあると仮定すると、740Vクラスでは最大耐圧の90%以上の耐圧が得られる。それに対して、2300Vクラスで耐圧を最大耐圧の95%以上にするためには濃度のばらつきを2%程度にする必要である。また、4500Vクラスでは、最大耐圧の95%以上の耐圧を得るには濃度のばらつきを1%程度に抑える必要がある。
【0019】
上述したようにイオンビームの衝突回数は濃度ばらつきの原因であり、衝突回数が1/10になれば濃度のばらつきも1/10になるため、通常の濃度ばらつき13%に対して、λ=10dにセッティングすることによって濃度ばらつきを1.3%に抑えることが可能となる。さらに、λ=100dとすれば0.13%の濃度ばらつきに抑えることが可能となる。したがって、本実施の形態ではλ≧10dである。
【0020】
ところで、イオンビームの平均自由工程λはチャンバー内圧力の影響を受ける。チャンバー内に存在する分子の密度をn[cm-3]、チャンバー内圧力をp[Torr]、絶対温度をT[K]とすると、気体運動論によればつぎの(1)式が成り立つ。
【0021】
p=1×10-19nT ・・・(1)
【0022】
また、リンの原子半径をr1[cm]、ソースガス分子の分子半径をr2[cm]とすると、平均自由工程λ[cm]はつぎの(2)式で表される。
【0023】
λ=1/(21/2π(r1+r2)2n) ・・・(2)
【0024】
上記(1)式および(2)式よりnを消去すると、つぎの(3)式が得られる。
【0025】
λ=1/(21/2π(r1+r2)2)×1×10-19T/p ・・・(3)
【0026】
ここで説明を簡単にするため、r1およびr2を1×10-8[cm]と仮定すると、つぎの(4)式が得られる。圧力の単位がPaの場合は(5)式となる。
【0027】
λ=2.25×10-4T/p ・・・(4)
λ=3.00×10-2T/p ・・・(5)
【0028】
たとえば、イオンビーム照射時のチャンバー内圧力が10-2Paの場合には、平均自由工程λは4000cmとなる。比較として、前記特開2001−168036号公報による従来技術において、チャンバー内圧力を1mTorrとすると平均自由工程λは300cmとなる。イオンビーム銃とエピタキシャル基板との間の距離dを300cmとすれば、従来はエピタキシャル基板にイオンビームが到達する以前に必ず衝突が起こることになる。
【0029】
それに対して、本実施の形態においてチャンバー内圧力を10-2Paとすれば、衝突回数は300/4000回、すなわち0.075回である。したがって、本実施の形態においてチャンバー内圧力を10-2Paとすることによって、濃度のばらつきを1/0.075=13.3倍抑えることができる。換言すれば、前記特開2001−168036号公報による従来技術による13.3%の濃度ばらつきを1%に抑えることができる。
【0030】
また、望ましくはイオンビーム照射時のチャンバー内圧力は10-3Paであるとよく、さらに望ましくは10-4Paであるとよい。その場合には、濃度ばらつきをそれぞれ0.1%および0.01%に抑えることが可能となり、事実上ばらつきがないものとすることができる。また、10-4Pa以下の圧力であれば、イオン電荷の中性化も回避される。また、最大耐圧4500V以上の高耐圧クラスにおいてもばらつきの低減が可能となる。
【0031】
つぎに、ボロンおよびリン照射用のイオンビーム銃を備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉を用いた場合の超接合基板の製造方法について説明する。図2〜図5は、図1の枚葉式のエピタキシャル成長炉による、超接合基板の製造工程を順に示す模式図である。
【0032】
まず、チャンバー3内において、ソースガス導入口1よりSiCl4などのソースガスを導入して、n型の低抵抗半導体基板よりなる低抵抗層31の上に、低濃度(1×1013cm-3程度)のn-高比抵抗層32を約8μmの厚さで成膜する(図2)。エピタキシャル成長中のチャンバー内圧力はおおむね100〜3000Paの範囲であり、特に限定しないが、たとえば本実施の形態では400Paとする。たとえばMOSFETの場合、低抵抗層31はn+ドレイン層となる。
【0033】
引きつづき、そのままの状態、すなわちチャンバー3内にエピタキシャル基板8を入れたまま、チャンバー3内のソースガスを排気口2より排気して、イオンビームが散乱しにくい圧力まで真空度を高めた後、選択的にボロンとリンのイオンビーム照射をおこない、n-高比抵抗層32の表面にボロンビーム照射領域34とリンビーム照射領域35を交互に設ける(図3)。イオンビーム照射時のチャンバー内圧力は上述したように10-2Pa以下であるのが適当であるが、本実施の形態では、イオン電荷の中性化を実質的になくすため、特に限定しないが、たとえば10-6Paとする。
【0034】
また、このとき、リンの注入量とボロンの注入量は等しいことが望ましい。これは、最終的にリンビーム照射領域35がnドリフト領域となり、ボロンビーム照射領域34がp仕切り領域となったときに、両者の空乏層の広がりが同じになるからである。また、リンビーム照射領域35およびボロンビーム照射領域34の幅は等しくすることが望ましい。本実施の形態ではリンビーム照射領域35およびボロンビーム照射領域34の幅はたとえば3μmであり、リンおよびボロンの各注入量はたとえば3.6×1013cm-2である。
【0035】
イオンビーム照射後、そのままの状態で再びチャンバー3内にソースガスを導入し、再度上述した要領でエピタキシャル成長をおこない、n-高抵抗層32を形成する。その後、再び上述した要領でチャンバー3内を減圧し、リンおよびボロンのイオンビーム照射をおこなう。このようにエピタキシャル基板8をチャンバー3内に入れたまま、エピタキシャル成長とイオンビーム照射を複数回繰り返し、並列pn接合層を所定の厚さにする。特に限定しないが、本実施の形態では、エピタキシャル成長とイオンビーム照射の工程をたとえば6回繰り返しおこなう。
【0036】
その後、基板表面に上述した要領で高比抵抗層32をエピタキシャル法により約4μm成長させる(図4)。これにより、エピタキシャル成長によって形成された熱処理前の並列pn接合層の厚さは、たとえば52μmとなる。この後、エピタキシャル基板8をチャンバー3内から取り出し、熱処理をおこない、注入された不純物を拡散させて並列pn接合層のp仕切り領域36とnドリフト領域37を形成する(図5)。
【0037】
本実施の形態では、1150℃で10時間の熱処理により、nドリフト領域37とp仕切り領域36とが接続し、各nドリフト領域37および各p仕切り領域36の幅は6μmとなり、並列pn接合層としては12μmとなる。なお、ビーム照射幅や不純物のドーズ量や熱処理時間等を変えることによって、最終的な並列pn接合層のnドリフト領域37とp仕切り領域36の条件は変更可能である。
【0038】
上述したように、実施の形態1によれば、同一チャンバー3内でエピタキシャル成長と、エピタキシャル成長時よりも低い圧力でのイオンビーム照射とを交互に繰り返しおこなうことによって、簡易に量産性よく並列pn接合層が製造される。したがって、ばらつきの小さい超接合半導体素子を簡易に量産性よく製造することができる。なお、多数のイオンビーム銃を並列に、かつ等間隔で配置するようにしても、nドリフト領域37とp仕切り領域36の幅を等しくすることができる。この場合には、イオン注入用のレジストマスクを形成する必要がない。つまり、フォトリソグラフィーをおこなわずに並列pn接合層を形成することができる。
【0039】
実施の形態2.
図6は実施の形態2において用いられる枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。このエピタキシャル成長炉では、ソースガス導入口1およびソースガス排気口2を備えたチャンバー3に、ボロン照射用イオンビーム銃4を複数備えている。リン照射用イオンビーム銃は設けられていない。また、サセプタ6を加熱するために、RFコイル7がサセプタ6の直下に敷設され、エピタキシャル基板8はサセプタ6の上に設置される。
【0040】
なお、ボロン照射用イオンビーム銃4とエピタキシャル基板8との間の距離dと、イオンビームの平均自由工程λとの関係や、イオンビーム照射時のチャンバー内圧力などは実施の形態1と同じである。したがって、説明を省略する。
【0041】
つぎに、ボロン照射用のイオンビーム銃のみを備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉を用いた場合の超接合基板の製造方法について説明する。図7〜図9は、図6の枚葉式のエピタキシャル成長炉による、超接合基板の製造工程を順に示す模式図である。
【0042】
まず、チャンバー3内において、n型の低抵抗半導体基板よりなる低抵抗層31の上に、不純物濃度が3.6×1015cm-3程度のn型半導体層33を約8μmの厚さで成膜する(図7)。エピタキシャル成長中のチャンバー内圧力はおおむね100〜3000Paの範囲である。
【0043】
引きつづき、チャンバー3内にエピタキシャル基板8を入れたまま、チャンバー3内を10-2Pa以下、たとえば10-6Paまで排気して、ボロンのイオンビーム照射によりn型半導体層33の表面にボロンビーム照射領域34を選択的に設ける(図8)。本実施の形態では、ボロンビーム照射領域34の幅はたとえば3μmであり、ボロンの注入量はたとえば1.2×1013cm-2である。
【0044】
実施の形態1と同様に、エピタキシャル基板8をチャンバー3内に入れたまま、エピタキシャル成長とイオンビーム照射を複数回繰り返し、並列pn接合層を所定の厚さにする。特に限定しないが、本実施の形態では、エピタキシャル成長とイオンビーム照射の工程をたとえば6回繰り返しおこなう。その後、基板表面に、不純物濃度が3.6×1015cm-3程度の低濃度n型半導体層33をエピタキシャル法により約4μm成長させる(図9)。
【0045】
この後、エピタキシャル基板8をチャンバー3内から取り出し、熱処理をおこない、注入されたボロンを拡散させて並列pn接合層のp仕切り領域36およびnドリフト領域37を形成する(図5)。nドリフト領域37は、エピタキシャル成長したn型半導体層33である。本実施の形態では、1150℃で10時間の熱処理により、6μm幅のnドリフト領域37と6μm幅のp仕切り領域36とが接続し、並列pn接合層としては12μmとなる。なお、ビーム照射幅や不純物のドーズ量や熱処理時間等を変えることによって、最終的な並列pn接合層のnドリフト領域37とp仕切り領域36の条件は変更可能である。
【0046】
上述したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、簡易に量産性よく並列pn接合層が製造されるので、ばらつきの小さい超接合半導体素子を簡易に量産性よく製造することができる。なお、実施の形態2の方法は、p型低抵抗半導体基板上にp型半導体層を形成し、選択的にリンを注入する場合にも適用可能である。この場合には、複数のリン照射用イオンビーム銃を備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉を用いることが有効である。
【0047】
実施の形態3.
図10は実施の形態3において用いられる枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。このエピタキシャル成長炉では、ソースガス導入口1およびソースガス排気口2を備えたチャンバー3に、ボロン照射用イオンビーム銃4とリン照射用イオンビーム銃5を各1台ずつ備えている。また、サセプタ6を加熱するために、RFコイル7がサセプタ6の直下に敷設され、エピタキシャル基板8はサセプタ6の上に設置される。
【0048】
なお、イオンビーム銃4,5とエピタキシャル基板8との間の距離dと、イオンビームの平均自由工程λとの関係や、イオンビーム照射時のチャンバー内圧力などは実施の形態1と同じである。したがって、説明を省略する。
【0049】
図10に示す構成のエピタキシャル成長炉を用いた場合には、ボロン照射用イオンビーム銃4およびリン照射用イオンビーム銃5が各1台ずつしかない。そのため、実施の形態3では、これら1台ずつのイオンビーム銃4,5を走査することにより、並列pn接合層を形成する。製造方法のその他の点については実施の形態1と同じである。実施の形態3によれば、ボロン照射用とリン照射用のイオンビーム銃4,5が1台ずつであるため、エピタキシャル成長炉のコストを低く抑えることができる。
【0050】
実施の形態4.
実施の形態4で使用されるエピタキシャル成長炉は基本的に図10に示す構成と同じである。また、イオンビーム銃4,5とエピタキシャル基板8との間の距離dと、イオンビームの平均自由工程λとの関係や、イオンビーム照射時のチャンバー内圧力などは実施の形態1と同じである。したがって、重複する説明を省略する。
【0051】
図11〜図13は、実施の形態第4にかかる製造方法による超接合基板の製造工程を順に示す模式図である。まず、チャンバー3内において、n型の低抵抗半導体基板よりなる低抵抗層31の上に、低濃度(1×1013cm-3程度)のn-高比抵抗層32を約8μmの厚さで成膜する(図11)。エピタキシャル成長中のチャンバー内圧力はおおむね100〜3000Paの範囲である。
【0052】
引きつづき、チャンバー3内にエピタキシャル基板8を入れたまま、チャンバー3内を10-2Pa以下、たとえば10-6Paまで排気して、ボロンおよびリンのイオンビーム照射をおこなう。このとき、ピッチが広い並列pn接合層を形成する領域に対しては、ビーム径を太くして走査し、一方、ピッチが狭い並列pn接合層を形成する領域に対してはビーム径を細くして走査する。
【0053】
このようにすることによって、図11に示すように、ピッチが広いボロンビーム照射領域34およびリンビーム照射領域35と、ピッチが狭いボロンビーム照射領域38およびリンビーム照射領域39が形成される。本実施の形態では、特に限定しないが、たとえばピッチが広い領域でのビーム銃の走査をビーム径3μmでおこない、狭いピッチの領域ではビーム径を1.5μmとして走査する。
【0054】
実施の形態1と同様に、エピタキシャル基板8をチャンバー3内に入れたまま、エピタキシャル成長とイオンビーム照射を複数回、たとえば6回繰り返し、並列pn接合層を所定の厚さにする。その後、基板表面に高比抵抗層32をエピタキシャル法により約4μm成長させる(図12)。そして、エピタキシャル基板8をチャンバー3内から取り出し、熱処理をおこない、注入された不純物を拡散させて幅が広い並列pn接合層のp仕切り領域36およびnドリフト領域37と、幅が狭い並列pn接合層のp仕切り領域40およびnドリフト領域41を形成する(図13)。
【0055】
実施の形態4によれば、狭いピッチの並列pn接合層では、最終的な熱処理による相互拡散によって濃度が低くなり、電界が緩和されやすくなるため、耐圧が向上する。したがって、狭いピッチの並列pn接合層を耐圧構造部などに配置することが可能となる。なお、エピタキシャル成長炉を、ボロンおよびリンのそれぞれに対してビーム径が太いイオンビーム銃とビーム径が細いイオンビーム銃とをそれぞれ1台以上ずつ備えた構成としても同様の効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、エピタキシャル成長時のチャンバー内圧力よりも低い圧力でイオンビームが照射されるため、イオンビームの散乱が抑制され、不純物濃度のばらつきの小さい並列pn接合層が形成される。したがって、ばらつきの小さい超接合半導体素子を簡易に量産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるボロンおよびリン照射用の複数のビーム銃を備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。
【図2】図1の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図3】図1の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図4】図1の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図5】図1の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2における複数のボロン照射用のビーム銃を備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。
【図7】図6の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図8】図6の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図9】図6の枚葉式のエピタキシャル成長炉により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図10】本発明の実施の形態3におけるボロン照射用のビーム銃とリン照射用のビーム銃とを各1台備えた枚葉式のエピタキシャル成長炉の断面模式図である。
【図11】本発明の実施の形態3にかかる製造方法により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3にかかる製造方法により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3にかかる製造方法により製造される超接合基板の製造段階における構成を示す断面模式図である。
【図14】耐圧クラス740V、1100V、2300V、4500Vにおける耐圧と並列pn接合層の濃度との関係を規格化して示す特性図である。
【図15】最大耐圧の90%および95%における許容濃度ばらつきと最大耐圧との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ソースガス導入口
2 ソースガス排気口
3 チャンバー
4 ボロン照射用イオンビーム銃
5 リン照射用イオンビーム銃
8 エピタキシャル基板
31 低抵抗層
32 高比抵抗層
33 n型半導体層
34,38 ボロンビーム照射領域
35,39 リンビーム照射領域
36,40 p仕切り領域
37,41 nドリフト領域
Claims (6)
- 第1の主面と第2の主面との間に、低抵抗層と、オン状態では電流が流れ、かつp型領域とn型領域とが交互に配置された構成の並列pn接合層とを備えた超接合半導体素子の製造方法において、
前記低抵抗層の表面に前記低抵抗層よりも抵抗の大きい高比抵抗層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記エピタキシャル成長工程につづいて同一チャンバー内で、チャンバー内圧力がエピタキシャル成長時よりも低い状態で、前記高比抵抗層に所定の不純物をイオンビーム照射により選択的に注入する工程と、
前記高比抵抗層に注入された不純物を熱処理により拡散させて前記並列pn接合層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする超接合半導体素子の製造方法。 - 前記エピタキシャル成長と前記イオンビーム照射とを繰り返しおこなった後、前記熱処理をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体素子の製造方法。
- 前記イオンビーム照射時のチャンバー内圧力を1×10-2Pa以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の超接合半導体素子の製造方法。
- 前記イオンビーム照射時のイオン種をボロン、リン、またはボロンとリンの組み合わせとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の超接合半導体素子の製造方法。
- 前記イオンビーム照射時にビーム径を変化させることにより異なる幅の並列pn接合層を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の超接合半導体素子の製造方法。
- 前記イオンビームの平均自由工程を、イオンビーム銃と半導体素子間の距離の10倍以上とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の超接合半導体素子の製造方法。
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