JP3849528B2 - 電子音楽装置およびプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、著作権の保護対象である楽曲データの複製または外部機器に対する送信を禁止するようにした電子音楽装置、および同外部機器に適用されるプログラムなどに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、楽曲を表す楽曲データをフレキシブルディスク、コンパクトディスクなどに格納して販売する場合、複数種類の楽曲データに対して共通に、または各楽曲データごとに、作曲者、作曲年月日、製作者、製作年月日などの著作権の保護対象であること表す著作権データを記録しておいて、著作権の保護対象である楽曲データが無断で複製されないようにしていた。また、通信回線を含む外部機器から楽曲データを取り込んだ場合には、前記のような著作権データを付加して楽曲データを記憶するようにすることも行なわれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように楽曲データに著作権データを付加しても、楽曲データの無断複製を充分に禁止できなかった。特に、電子楽器、パーソナルコンピュータなどの電子音楽装置に、著作権の保護対象である楽曲データが外部記録媒体、外部機器などから一旦取り込まれると、その編集などのために、楽曲データが無断で複製されることがあった。また、取り込んだ楽曲データに著作権データを付加する作業が面倒であるという問題もあった。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、楽曲データが著作権の保護対象であることを識別できる識別子を簡単に付加できるようにするとともに、楽曲データの無断複製をより良好に禁止されるようにした電子音楽装置、プログラムなどを提供するものである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶可能な記憶装置と、楽曲データを読み出して楽曲を再生する再生手段と、所望の楽曲データを外部記録媒体または外部機器から取り込んでそのファイル名と共に記憶装置に記憶する取り込み手段とを備えた電子音楽装置において、外部記録媒体若しくは楽曲データ中に著作権情報が記録され、または外部記録媒体若しくは楽曲データに著作権保護の対策処理がなされているかに基づいて、取り込み手段によって取り込まれた楽曲データの著作権が保護されるべきものであるか否かを判定する第1判定手段と、取り込み手段によって取り込まれた楽曲データの著作権が保護されるべきものであると第1判定手段によって判定されたとき、同楽曲データのファイル名を、著作権保護を示す所定の様式に変更して記憶装置に記憶させるファイル名変更手段とを設けたことにある。
【0006】
この特徴によれば、取り込み手段によって取り込まれた楽曲データ著作権保護されるべきものであると、第1判定手段およびファイル変更手段により、楽曲データのファイル名が自動的に所定の様式に変更される。これにより、著作権保護されるべき楽曲データとそうでない楽曲データとを簡単に識別できるようになるとともに、同識別のための識別子の付与作業も必要なくなる。そして、前記変更されたファイル名を参照するだけで楽曲データ著作権保護されるべきものであるかを判定できるので、楽曲データの複製のために著作権保護されるべき楽曲データのファイル名を表示しないようにしたり、同楽曲データの複製を禁止したり、同楽曲データの外部機器への出力を禁止したりすることにより、楽曲データに関する著作権が良好に保護されるようになる。
【0007】
また、本発明の他の特徴は記憶装置内に記憶されている楽曲データを外部記録媒体に書き込み可能な書き込み手段と、記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段によって記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であると判定された楽曲データに関しては、書き込み手段による外部記録媒体への書き込みがなされないようにする書き込み制御手段とを設けたことにある。
【0008】
これによれば、記憶装置に記憶されていて著作権保護されるべき楽曲データに関しては、第2判定手段および書き込み制御手段により、外部記録媒体への書き込みが禁止される。したがって、著作権保護されるべき楽曲データの複製が抑制されて、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、記憶装置内に記憶されている楽曲データを外部機器に出力可能な出力手段と、記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段によって記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であると判定された楽曲データに関しては、出力手段による外部機器への出力がなされないようにする出力制御手段とを設けたことにある。
【0010】
これによれば、記憶装置に記憶されていて著作権保護されるべき楽曲データに関しては、第2判定手段および出力制御手段により、外部機器への同楽曲データの出力が禁止される。したがって、著作権保護されるべき楽曲データの複製が抑制されて、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、外部機器からの指示により記憶装置に記憶されているファイル名を同外部機器に出力するとともに、同出力したファイル名のうちのいずれかのファイル名の指定を外部機器から受けて記憶装置内に記憶されていて前記指定されたファイル名に対応した楽曲データを同外部機器に出力可能な出力手段と、記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、第2判定手段によって記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す所定の様式のファイル名であると判定されなかった楽曲データのファイル名のみを抽出し、抽出したファイル名のみが外部機器におけるファイル名の指定のために外部機器に出力されるように出力手段を制御する出力制御手段とを設けたことにある。
【0012】
これによれば、記憶装置に記憶されていて著作権保護されるべき楽曲データに関しては、第2判定手段および出力制御手段により、外部機器へのそのファイル名の出力が禁止される。したがって、外部機器においては、著作権保護されるべき楽曲データのファイル名が表示されなくなり、ユーザによって同楽曲データのファイル名が指定されなくなる。その結果、著作権保護されるべき楽曲データは、外部機器へ出力されることが実質的に禁止され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶している電子音楽装置であって、著作権が保護されるべき楽曲データに関してはファイル名が所定の様式に変更されている楽曲データを記憶している電子音楽装置に対し、楽曲データの送信を要求する外部機器に適用されるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、電子音楽装置に記憶されているファイル名の送信を要求するファイル名送信要求ステップと、ファイル名の送信要求に応答して電子音楽装置から送信されたファイル名が著作権を保護すべき所定の様式であるか否かを判定する判定ステップと、電子音楽装置から送信されたファイル名のうちで、判定ステップにて著作権保護を示す所定の様式のファイル名であると判定されたファイル名の楽曲データに関しては、同楽曲データの電子音楽装置に対する送信の要求を禁止する禁止ステップとを実行させることにある。
【0014】
この他の特徴によれば、電子音楽装置に記憶されていて著作権保護されるべき楽曲データに関しては、判定ステップおよび禁止ステップにより、外部機器から電子音楽装置への楽曲データの送信要求が禁止される。その結果、著作権保護されるべき楽曲データは、電子音楽装置から外部機器へ出力されることがなくなるので、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶している電子音楽装置であって、著作権が保護されるべき楽曲データに関してはファイル名が所定の様式に変更されている楽曲データを記憶している電子音楽装置に対し、楽曲データの送信を要求する外部機器に適用されるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、電子音楽装置に記憶されているファイル名の送信を要求するファイル名送信要求ステップと、ファイル名の送信要求に応答して電子音楽装置から送信されたファイル名が著作権を保護すべき所定の様式であるか否かを判定する判定ステップと、電子音楽装置から送信されたファイル名のうちで、判定ステップにて著作権保護を示す所定の様式のファイル名でないと判定されたファイル名のみを抽出し、抽出したファイル名のみを表示器に表示する表示ステップと、表示ステップにて表示器に表示されたファイル名の中からユーザによって選択されたファイル名に対応した楽曲データの送信を電子音楽装置に要求する楽曲データ送信要求ステップとを実行させることにある。
【0016】
この他の特徴によれば、電子音楽装置に記憶されていて著作権保護されるべき楽曲データに関しては、判定ステップおよび表示ステップにより、外部機器におけるそのファイル名が表示されなくなる。したがって、外部機器において、同楽曲データのファイル名のユーザによる指定なされなくなる。その結果、著作権保護されるべき楽曲データは、外部機器に出力されることが実質的に禁止され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。
【0017】
これらの発明において、電子音楽装置および外部機器は、例えば、電子楽器、パーソナルコンピュータなどで構成される。また、記憶装置は、ROM、フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなどで構成され得る。また、外部記録媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスクなどの磁気または光記録媒体で構成され得る。また、楽曲データは、例えばファイル単位で記憶され、転送され、このファイル名に付加した特定の文字列または記号列、所定の様式に変更されたファイル名の拡張子などにより、楽曲データ著作権保護されるべきであることを識別可能とするものである。
【0018】
また、前記電子音楽装置およびプログラムの発明は、電子音楽装置と外部機器を含むシステムおよび外部機器単独にも適用され得るとともに、これらの電子音装置、外部機器およびシステムに適用される方法発明、プログラム、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体にも適用できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の電子音楽装置としての電子楽器Aおよび同電子楽器Aの周辺装置をブロック図により示している。
【0020】
この電子楽器Aは、鍵盤11、パネル操作子群12および表示器13を備えている。鍵盤11は演奏操作子としての複数の鍵からなり、各鍵の押離鍵により楽音信号の発生および停止が指示される。これらの鍵の押離鍵は、バス20に接続された検出回路14内に各鍵に対応して設けられた鍵スイッチのオン・オフによってそれぞれ検出される。また、鍵盤11には、各鍵にそれぞれ対応した複数の押鍵ランプ11aが設けられており、押鍵ランプ11aは押鍵ランプ点灯制御回路15によって点灯制御される。
【0021】
パネル操作子群12は、電子楽器Aの前面パネルに設けられていて、電子楽器Aの種々の動作を指示するために操作される。特に、本実施形態においては、楽曲データの選択、再生、取り込み、転送、コピーなどの指示のために操作される。これらのパネル操作子群12の操作は、バス20に接続された検出回路16内に各操作子に対応して設けられた操作子スイッチのオン・オフによってそれぞれ検出される。表示器13は、液晶ディスプレイまたはブラウン管装置などで構成されており、文字、符号、図形などを表示する。この表示器13の表示態様は、バス20に接続された表示制御回路17によって制御される。
【0022】
バス20には、CPU31、タイマ32、ROM33、RAM34、内部記憶装置35、外部記憶装置36、音源回路41および効果回路42が接続されている。CPU31、タイマ32、ROM33およびRAM34は、マイクロコンピュータ本体部を構成するもので、電子楽器Aの各種動作をプログラムの実行により制御する。
【0023】
ROM33には、プログラム記憶エリアおよびデータ記憶エリアが設けられている。プログラム記憶エリアには、システムプログラム、電子楽器Aの各種機能を実現するための一部のプログラムなどが記憶されている。データ記憶エリアには、図2に示すように、自動演奏によるデモンストレーションのために、エントリデータおよび楽曲を表す複数組の楽曲データが記憶されている。エントリデータは、楽曲データを構成するファイルを表すファイル名データおよび同ファイルの先頭アドレスを表す先頭アドレスデータを一組にした複数組のデータからなる。ファイル名データは、ファイル名部分(例えば、"bluesky”)とMIDIデータであることを表す拡張子(すなわち、".mid")からなる。そして、このファイル名に関する楽曲データ(楽曲ファイル)が著作権の保護対象となるものであれば、ファイル名が所定の様式に変更されている。例えば、著作権の保護対象でない場合のファイル名データが"bluesky.mid"であるのに対して、著作権の保護対象に係る楽曲データのファイル名データは"blueskyxyz.mid"のように変更されている。
【0024】
各楽曲データは、例えば図2に示すように、複数のトラック分(例えば、16トラック分)の自動演奏データからなる。各トラックの自動演奏データは、初期値データ、タイミングデータ、MIDIイベントデータおよびエンドデータからなる。初期値データは、楽音信号の音色、効果、スタイル(自動伴奏パターンの種類)、演奏テンポなどの楽音信号の各種発生態様を制御するための複数種類の制御データからなる。タイミングデータは、前後のMIDIイベントデータの発生の時間間隔を表す。MIDIイベントデータは、楽曲の進行に従った楽器の演奏イベントを表すもので、ノートオン、ノートオフ、音色、効果などに関する。
【0025】
ノートオンに関する演奏イベントデータは、例えば楽音の発生開始(押鍵)を表すノートオンデータ、発生楽音の音高(周波数)を表すノート番号データ、音量(押鍵の速さ)を表すベロシティデータ、および楽音信号形成チャンネルを表すチャンネル番号データからなる。なお、チャンネル番号データは、詳しくは後述する音源回路41の楽音信号形成チャンネルに対応する。ノートオフに関する演奏イベントデータは、楽音の発生終了(離鍵)を表すノートオフデータ、発生楽音の音高(周波数)を表すノート番号データ、および楽音信号形成チャンネルを表すチャンネル番号データからなる。なお、前記楽曲データのフォーマットはSMFフォーマットに基づくものであるが、フォーマットに関してはこれに限定されることなく、種々のフォーマットが採用される。
【0026】
また、ROM33のデータ記憶エリアには、各複数組のスタイルデータ、音色データ、効果データおよびレジストレーションデータが記憶されているとともに、その他のデータも記憶されている。スタイルデータは、マーチ、ワルツのなどの各種自動伴奏音の発生を制御するためのものである。音色データは、ピアノ、ギターなどの発生楽音の音色を制御するためのものである。効果データは、リバーブ、コーラスなど発生楽音に付与する効果を制御するためのものである。レジストレーションデータは、各一組ずつのスタイルデータ、音色データ、効果データなどを同時に指定するためのものである。
【0027】
内部記憶装置35は、本明細書では、フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなどのように電子楽器Aに予め組み込まれている書き込み可能な不揮発性メモリと、同不揮発性メモリに対するドライブユニットを含むものであり、大量のデータおよびプログラムを記憶および読み出し可能にしている。このメモリには、前記ROM33の場合と同種であるが、同ROM33の場合とは異なる、多種類のプログラム(後述する図5〜8のプログラムを含む)、図2に示すようなエントリデータ、楽曲データ、スタイルデータ、音色データ、効果データ、レジストレーションデータおよびその他のデータが、予め記憶され、または外部から取り込んで記憶されるようになっている。
【0028】
外部記憶装置36は、本明細書では、フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなどのように電子楽器Aに装着可能な種々の外部記録媒体と、同外部記録媒体に対するドライブユニットとを含むものであり、大量のデータおよびプログラムを記憶および読み出し可能にしている。これらの外部記録媒体に対して、前記ROM33の場合と同種であるが、同ROM33の場合とは異なる、多種類のプログラム、図2に示すようなエントリデータ、楽曲データ、スタイルデータ、音色データ、効果データ、レジストレーションデータおよびその他のデータが読出しおよび書き込み可能となっている。
【0029】
音源回路41は、複数の楽音信号形成チャンネルを備えている。各楽音信号形成チャンネルは、CPU31による制御のもとに供給される演奏情報(ノートオンデータ、ノートオフデータ、ノート番号データ、ベロシティデータ、チャンネル番号データなど)に基づいて楽音信号を形成する。また、各楽音信号形成チャンネルにて形成される楽音信号の音色、伴奏音信号などは、CPU31による制御のもとに、ROM33、RAM34、内部記憶装置35および外部記憶装置36に記憶された各種制御データ、ならびに後述するインターフェース回路51を介して入力された各種制御データにより制御される。
【0030】
効果回路42は、音源回路41によって生成された楽音信号に、リバーブ、コーラスなどの各種音楽的効果を付与するものである。また、この効果回路42において付与される効果も、CPU31による制御のもとに、ROM33、RAM34、内部記憶装置35および外部記憶装置36に記憶された各種効果データ、ならびに後述するインターフェース回路51を介して入力された各種効果データにより制御される。効果回路43にて効果の付与された楽音信号は、サウンドシステム43に供給される。サウンドシステム43は、アンプ、スピーカなどからなり、前記供給された楽音信号に対応した楽音を発音する。
【0031】
また、バス20には、インターフェース回路51も接続されている。インターフェース回路51は、他の電子楽器、パーソナルコンピュータなどの外部機器52から各種データを入力するとともに、外部機器52に各種データを出力する。この外部機器52を前述した電子楽器Aと同様に構成することも可能であるが、同外部機器52は、少なくとも前述したものと同様な操作子群、表示器、CPU、タイマ、ROM、RAM、内部記憶装置、外部記憶装置などからなるコンピュータ機能を備えたものであればよい。特に、本実施形態においては、フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなどの記録媒体に記録されている図8の楽曲データ要求プログラムの実行により、電子楽器Aから楽曲データを取り込むことを可能としている。また、このインターフェース回路51は、通信ネットワーク64を介して外部と接続可能となっていて、この電子楽器と外部との各種プログラムおよびデータの交信を可能としている。
【0032】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。まず、電子楽器Aの概略的動作について説明すると、図示しない電源スイッチの投入により、CPU31は、図5のメインプログラムの実行をステップM10にて開始し、ステップM12にて初期設定処理を実行する。この初期設定処理においては、表示器13、音源回路41、効果回路42、タイマ32、インターフェース回路51などが初期状態に設定される。表示器13においては、初期画面を表示する。音源回路41においては、標準的な音色の楽音信号が形成されるように設定される。効果回路42においては、標準的な効果が楽音信号に付与されるか、楽音信号に何も効果が付与されないように設定される。前記ステップM12の処理後、ステップM14〜M22からなる循環処理を実行する。
【0033】
ステップM14においては、パネル操作子群12の操作が検出される。ステップM16においては、前記パネル操作子群12の操作検出に応答して、楽曲データの入出力処理が実行される。この楽曲データの入出力処理においては、詳しくは後述する図6の楽曲データ入力ルーチン、図7の楽曲データ複製ルーチンおよび図8の楽曲データ送信ルーチンが実行される。
【0034】
ステップM18においては、前記パネル操作子群12の操作検出に応答して、自動演奏およびガイド処理が実行される。自動演奏処理においては、ユーザによって選択された一楽曲を表す楽曲データが再生される。この場合、楽曲データは、ROM33、内部記憶装置35および外部記憶装置36のいずれかに記憶され、またはインターフェース回路51を介して外部機器52もしくは通信ネットワーク53から入力した楽曲データである。この楽曲データの選択においては、ユーザがエントリデータ中のファイル名を表示器13を見ながら指定することにより行なわれる。また、楽曲データの再生においては、初期値データを読出して音源回路41および効果回路42に供給した後、タイミングデータにより表された時間の経過ごとにMIDIイベントデータを読み出して、音源回路41または効果回路42に順次供給する。
【0035】
音源回路41は、前記供給されたMIDIイベントデータに対応した楽音信号を形成して効果回路42に出力する。効果回路42は、前記供給されたMIDIイベントデータに対応した効果を楽音信号に付与して、サウンドシステム43に出力する。サウンドシステム43は、前記効果の付与された楽音信号に対応した楽音を発音する。これにより、楽曲データによって表された楽曲が再生される。
【0036】
また、ガイド処理においては、前記のように順次読み出されたMIDIイベントデータ中のノートオンおよびノートオフに関する演奏イベントデータを押鍵ランプ点灯制御回路15に順次供給する。そして、押鍵ランプ点灯制御回路15が、前記ノートオンおよびノートオフに関する演奏イベントデータに基づいて、ノート番号により表された鍵に対応した押鍵ランプ11aを順次点灯する。これにより、ユーザが押鍵すべき鍵が順次指示される。このガイド処理は、通常、自動演奏処理ルーチンと併せて行なわれ、一つのパートに属する楽音が発音されている一方で、他のパートに属する演奏鍵がユーザに提示される。
【0037】
ステップM20の押離鍵処理においては、検出回路14によって検出されてユーザによる鍵盤14の押離鍵操作を表す押離鍵データ(ノートオンおよびノートオフに関する演奏イベントデータと同じ)を音源回路41に供給する。音源回路41は、この供給された押離鍵データに対応した楽音信号を形成して、同楽音信号を効果回路42を介してサウンドシステム43に出力する。サウンドシステム43は、この楽音信号に対応した楽音を発音する。これにより、鍵盤11の演奏操作に応じた楽音が発音される。
【0038】
さらに、ステップM22においては、前記パネル操作子群12の操作検出に応答して、発生楽音の音色、効果などを制御するその他の処理が実行される。この場合、前記パネル操作子群21の操作に応じた音色データ、効果データが音源回路41、効果回路42などに供給される。これにより、発生される楽音の音色、効果などがパネル操作子群12の操作に応じて種種に変更される。
【0039】
次に、楽曲データ入力ルーチンについて詳細に説明する。このルーチンは、外部記憶装置36(具体的には、フレキシブルディスクFDまたはコンパクトディスクCD)に記憶されている楽曲データを電子楽器Aに取り込んだり、外部機器52もしくは通信ネットワーク53に接続された各種機器に記憶されている楽曲データをインターフェース回路51を介して取り込んだりするものである。この楽曲データ入力ルーチンの実行は、図6のステップM30にて開始される。この楽曲データ入力ルーチンの実行開始後、CPU31は、ステップM32にて、楽曲データの取り込み先をユーザに指定させるとともに、同取り込み先に記憶されている楽曲データの一覧を表示器13に表示する。
【0040】
この場合、CPU31は、まず表示器13にてユーザに取り込み先(例えば、外部記憶装置36、外部機器52および通信ネットワーク53に接続された各種機器など)を指定させることを促す。そして、ユーザが取り込み先を指定すると、CPU31は取り込み先に記憶されているエントリデータを入力して、同取り込み先に記憶されている全ての楽曲データのファイル名を表示器13に表示する。なお、取り込み先(例えば、外部記憶装置36、外部機器52および通信ネットワーク53に接続された各種機器など)には、図3に示すように、エントリデータおよび複数組の楽曲データが記憶されている。エントリデータおよび楽曲データのフォーマットに関しては、図2に示したとおりである。
【0041】
前記ステップM32の処理後、CPU31は、ステップM34にて、前記表示器13に表示されている複数のファイル名の中から一つもしくは複数のファイル名を選択することをユーザに促す。そして、ユーザがパネル操作子群12を操作して前記一つもしくは複数のファイル名を選択すると、CPU31は、同ステップM34にて、前記指定された一つまたは複数のファイル名に対応した楽曲データを取り込み先から入力して、RAM34に一旦記憶する。RAMに記憶された楽曲データは、例えば図4に示すとおりである。
【0042】
次に、CPU31は、ステップM36にて、楽曲データの取り込みがフレキシブルディスクFD,コンパクトディスクCDなどの記録媒体からの取り込みかを判定する。これは、楽曲データが、フレキシブルディスクFD,コンパクトディスクCDなどの記録媒体に記録されている場合には、楽曲データの配列なども含めて同記録媒体に記録されている全ての楽曲データが著作権の保護対象である可能性が高いからである。
【0043】
楽曲データの取り込みがフレキシブルディスクFD,コンパクトディスクCDなどの記録媒体からの取り込みである場合には、CPU31は、ステップM36にて「Yes」と判定して、ステップM38にて記録媒体自体が著作権の保護対象であるか否かを判定する。この場合、記録媒体に作曲者、作曲年月日、製作者、製作年月日などの著作権情報が記録されていたり、記録媒体に何らかの著作権の保護対策がなされていれば、記録媒体自体が著作権の保護対象であると判定する。言い換えれば、前記記録媒体に記録されている全ての楽曲データは著作権の保護対象であると判定する。
【0044】
そして、ステップM38にて「Yes」すなわち著作権の保護対象であると判定されると、CPU31は、ステップM42にて、前記RAM34に一旦記憶した楽曲データのファイル名を所定の様式に変更する。本実施形態では、例えば、前記RAM34に一旦記憶したファイル名データが"bluesky.mid"であれば、ファイル名部分"bluesky"の後に所定の文字列"xyz"を付加して、同ファイル名データ"bluesky.mid"を"blueskyxyz.mid"のように変更する。
【0045】
前記ステップM42に処理後、CPU31は、ステップM44にて、前記変更したファイル名データおよび前記RAM34に一旦記憶した楽曲データを内部記憶装置35(フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなど)に記憶する(図2参照)。この場合、前記変更したファイル名データと共に、楽曲データを記憶した内部記憶装置35の先頭アドレスがエントリデータとして記憶される。
【0046】
楽曲データの取り込み先がフレキシブルディスクFD,コンパクトディスクCDなどの記録媒体でない場合、CPU31は、ステップM36にて「No」と判定して、ステップM40に進む。また、ステップM38にて、「No」すなわち記録媒体自体が著作権の保護対象でないと判定された場合も、ステップM40に進む。ステップM40においては、前記取り込んだ楽曲データが著作権の保護対象であるかを判定する。この場合、楽曲データ中に作曲者、作曲年月日、製作者、製作年月日などの著作権情報が記録されていたり、楽曲データが暗号化されていたり、楽曲データ中に所定の透かし情報が含まれている場合に、楽曲データが著作権の保護対象であると判定する。
【0047】
そして、ステップM40にて「Yes」すなわち著作権の保護対象であると判定されると、CPU31は、前述したステップM42の処理により前記RAM34に一旦記憶した楽曲データのファイル名を所定の様式に変更する。そして、前述したステップM44の処理により、前記変更したファイル名データおよび前記RAM34に一旦記憶した楽曲データを内部記憶装置35(フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなど)に記憶する。
【0048】
一方、ステップM40にて「No」すなわち著作権の保護対象でないと判定されると、CPU31は、前記ステップM42の処理によるファイル名データを変更することなく、ステップM44にて、前記RAM34に一旦記憶した楽曲データおよびファイル名データを内部記憶装置35(フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなど)に記憶する。なお、この場合も、楽曲データを記憶した内部記憶装置35の先頭アドレスがエントリデータとして記憶される。
【0049】
前記ステップM44の処理後、CPU31は、ステップM46にて、新たな楽曲データの取り込みを続行する指示があったか、楽曲データの取り込みを終了する指示があったかを判定する。前記両指示ともなければ、ステップM46にてユーザの指示を待つ。新たな楽曲データの取り込み続行の指示があれば、ステップM32に戻って、前述したステップM32〜M44の処理を再度実行して、新たな楽曲データを電子楽器Aの内部記憶装置35に取り込む。一方、楽曲データの取り込み終了の指示があれば、ステップM48にて、この楽曲データ入力ルーチンの実行を終了する。
【0050】
このような楽曲データ入力ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データのファイル名データは所定の様式に自動的に変更されるので、著作権情報の入力操作などの著作権の保護のための操作の手間が省ける。
【0051】
次に、楽曲データ複製ルーチンについて詳細に説明する。このルーチンは、ROM33または内部記憶装置35(具体的には、フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクHDなど)に記憶されている楽曲データを、外部記憶装置36(具体的には、フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなど)にコピーするものである。この楽曲データ複製ルーチンの実行は、図7のステップM60にて開始される。この楽曲データ複製入力ルーチンの実行開始後、CPU31は、ステップM62にて、ROM33または内部記憶装置35に記憶されている楽曲データのファイル名を表示器31にて一覧表示する。次に、CPU31は、ステップM64にて、前記一覧表示中の一つもしくは複数のファイル(楽曲データ)の選択するように表示器31に表示して、ユーザに一つもしくは複数のファイルの選択させる。そして、ユーザが一つもしくは複数のファイルをパネル操作子群12を用いて指定すると、CPU31は同ステップM64にて前記指定されたファイル名を入力する。
【0052】
前記ステップM64の処理後、CPU31は、ステップM66にてユーザによって選択されたファイル(楽曲データ)が著作権の保護対象であるかをチェックする。このチェックにおいては、選択されたファイル名が所定の様式に変更されているかをチェックする。例えば、"blueskyxyz.mid"のように、ファイル名に所定文字列"xyz"が含まれているかをチェックする。前記ステップM66のチェックにおいて、著作権の保護対象であるとされると、CPU31は、ステップM68にて「Yes」と判定して、ステップM70に進む。ステップM70においては、CPU31は「楽曲データの複製が不能である」旨を表示器13に表示し、楽曲データを外部記憶装置36にコピーすることなく、ステップM74に進む。
【0053】
一方、前記ステップM68のチェックにおいて、著作権の保護対象でないとされると、CPU31は、ステップM68にて「No」と判定して、ステップM72に進む。ステップM72においては、CPU31は外部記憶装置36(フレキシブルディスクFD,コンパクトディスクCDなど)に選択されたファイル名に対応した楽曲データをそのファイル名データとともに書き込み、ステップM74に進む。
【0054】
ステップM74においては、CPU31は、新たな楽曲データの複製を続行する指示があったか、楽曲データの複製を終了する指示があったかを判定する。前記両指示ともなければ、ステップM74にてユーザによる指示を待つ。新たな楽曲データの複製続行の指示があれば、ステップM62に戻って、前述したステップM62〜M72の処理を再度実行して、ROM33または内部記憶装置35に記憶されている新たな楽曲データを外部記憶装置36に複製する処理を続ける。一方、楽曲データの複製終了の指示があれば、ステップM76にて、この楽曲データ入力ルーチンの実行を終了する。
【0055】
この楽曲データ複製ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データは外部記憶装置36(フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなど)に複製されないので、楽曲データの無断複製が抑制されて、楽曲データに関する著作権の保護が良好に図られる。また、著作権の保護対象であるかの判定は単にファイル名により行なわれるので、著作権の保護対象であるかの判定も簡単に行なわれる。
【0056】
次に、楽曲データ送信ルーチンについて詳細に説明する。このルーチンは、ROM33、内部記憶装置35(具体的には、フラッシュメモリEEPROM、ハードディスクなどHD)または外部記憶装置36(具体的には、フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなど)に記憶されている楽曲データを、外部機器52からの要求に応じて送信するものである。この楽曲データ送信ルーチンの実行は、外部機器52における楽曲データ要求プログラムの実行により開始される。
【0057】
ユーザが外部機器52において図8の楽曲データ要求プログラムをステップS100にて起動させると、この起動後、外部機器52は、ステップS102にて、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報の送信を電子楽器Aにインターフェース回路51を介して要求する。この要求は、ユーザが外部機器52において、電子楽器AのROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36を指定することにより行なわれる。
【0058】
この一覧情報の送信要求により、電子楽器Aにおいては、CPU31がステップM100にて楽曲データ送信ルーチンの実行を開始する。そして、ステップM102において、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報すなわちエントリデータ中の全てのファイル名データを、外部機器52に送信する。外部機器52においては、ステップS104にて、前記送信されたファイル名データを受信して、表示器にて受信したファイル名データにより表されたファイル名を表示する。また、このステップS104においては、ユーザに一つもしくは複数のファイルを選択するように表示器にて表示することにより、ユーザのファイルの選択を促す。そして、ユーザが表示器にて表示されている複数のファイル名の中から一つもしくは複数のファイルを選択すると、外部機器52はステップS106にて選択されたファイル名を電子楽器Aに送信する。
【0059】
電子楽器Aにおいては、CPU31が、ステップM104にて前記受信したファイル名によって表された楽曲データが著作権の保護対象であるかを判定する。このチェックにおいても、受信したファイル名が所定の様式に変更されているかをチェックする。例えば、"blueskyxyz.mid"のように、ファイル名に所定文字列"xyz"が含まれているかをチェックする。そして、前記ステップ104のチェックにおいて、著作権の保護対象であるとされると、CPU31は、ステップM106にて「Yes」と判定して、ステップM108に進む。ステップM108においては、「楽曲データの複製が不能である」ことを外部機器52に送信する。
【0060】
一方、前記ステップM104のチェックにおいて、著作権の保護対象でないと判定されると、CPU31は、ステップM106にて「No」と判定して、ステップM110に進む。ステップM110においては、CPU31は、前記受信したファイル名に対応した楽曲データをROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36から読み出して、外部機器52に送信する。これらのステップM108、M110の処理後、ステップM112にて楽曲データ送信ルーチンの実行を終了する。
【0061】
一方、前記ステップM108にて送信された「楽曲データを送信不能である」ことを表すデータまたはステップM110にて送信された楽曲データは、外部機器52のステップS108の処理により受信される。そして、外部機器52においては、「楽曲データを送信不能である」ことを表すデータを受信していれば、ステップS110にて「Yes」と判定して、ステップS112にて「楽曲データを送信不能である」ことを表示器に表示する。また、前記ステップM108の処理により楽曲データを受信していれば、ステップS110にて「No」と判定して、ステップS114にて受信した楽曲データをそのファイル名データと共に記憶装置に記憶する。
【0062】
前記ステップS112またはステップS114の処理後、ステップS116にて、楽曲データの送信要求を続行する指示があったか、楽曲データの送信要求を終了する指示があったかを判定する。前記両指示ともなければ、ステップS116にてユーザによる指示を待つ。楽曲データの送信要求続行の指示があれば、ステップS102に戻って、前述したステップS102〜S114の処理を再度実行して、電子楽器Aへの楽曲データの送信要求処理を続行する。一方、楽曲データの送信要求終了の指示があれば、ステップS118にて、この楽曲データ要求プログラムの実行を終了する。
【0063】
これらの楽曲データ要求プログラムおよび楽曲データ送信ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データに関しては、電子楽器Aから外部機器52に対する送信が禁止される。その結果、著作権の保護対象である楽曲データの無断複製が抑制され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。また、著作権の保護対象であるかの判定は単にファイル名により行なわれるので、著作権の保護対象であるかの判定も簡単に行なわれる。
【0064】
次に、上記図8の楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムの一部を図9のように変形した第1変形例について説明する。この場合も、ユーザは、外部機器52において図9の楽曲データ要求プログラムをステップS200から起動させると、この起動後、上記実施形態と同様に、外部機器52は、ステップS202にて、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報の送信を電子楽器Aにインターフェース回路51を介して要求する。
【0065】
この一覧情報の送信要求により、電子楽器Aにおいては、CPU31がステップM200にて楽曲データ送信ルーチンの実行を開始する。そして、ステップM202において、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報すなわちエントリデータ中の全てのファイル名データについて、著作権の保護対象である楽曲データに関するものであるかをチェックする。なお、このチェックにおいても、ファイル名が所定の様式に変更されているかをチェックする。例えば、"blueskyxyz.mid"のように、ファイル名に所定文字列"xyz"が含まれているかをチェックする。
【0066】
そして、ステップM204にて、著作権の保護対象でない楽曲データに関するファイル名データのみを抽出して外部機器52に送信する。外部機器52においては、ステップS204にて、前記送信されたファイル名データを受信して、受信したファイル名データにより表されたファイル名を表示器に表示する。また、このステップS204においては、ユーザに一つもしくは複数のファイルを選択するように表示器にて表示することにより、ユーザにファイルの選択を促す。そして、ユーザが表示器にて表示されている複数のファイル名の中から一つもしくは複数のファイルを選択すると、外部機器52はステップS206にて選択されたファイル名を電子楽器Aに送信する。
【0067】
電子楽器Aにおいては、ステップM206にて前記受信したファイル名によって表された楽曲データをROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36から読み出して、外部機器52に送信する。そして、ステップM208にて楽曲データ送信ルーチンの実行を終了する。
【0068】
一方、前記ステップM206の処理により送信された楽曲データは、外部機器52のステップS208の処理により受信される。そして、同ステップS208にて、受信した楽曲データをそのファイル名データと共に記憶装置に記憶する。次に、上記実施形態のステップ116と同様なステップS210の処理により、楽曲データの送信要求の続行または終了を判定する。送信要求続行ならば、ステップS202に戻って前述のステップS202〜S208の処理を再実行する。一方、送信要求終了ならば、ステップS212にて、この楽曲データ要求プログラムの実行を終了する。
【0069】
これらの楽曲データ要求プログラムおよび楽曲データ送信ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データに関しては、外部機器52にそのファイル名が電子楽器Aから送信されない。したがって、外部機器52においてユーザが著作権の保護対象である楽曲データを表すファイル名が表示されず、ユーザは同楽曲データを選択することがなくなるので、著作権の保護対象である楽曲データが実質的に電子楽器Aから外部機器52に送信されなくなる。その結果、著作権の保護対象である楽曲データの無断複製が抑制され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。また、著作権の保護対象であるかの判定は単にファイル名により行なわれるので、著作権の保護対象であるかの判定も簡単に行なわれる。
【0070】
次に、上記図8の楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムの一部を図10のように変形した第2変形例について説明する。この場合も、ユーザは、外部機器52において図10の楽曲データ要求プログラムをステップS300から起動させると、この起動後、外部機器52は、ステップS302にて、上記実施形態と同様に、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報の送信を電子楽器Aにインターフェース回路51を介して要求する。
【0071】
この一覧情報の送信要求により、電子楽器Aにおいては、CPU31がステップM300にて楽曲データ送信ルーチンの実行を開始する。そして、ステップM302において、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報すなわちエントリデータ中の全てのファイル名データを、外部機器52に送信する。外部機器52においては、ステップS304にて、前記送信されたファイル名データを受信して、表示器にて受信したファイル名データにより表されたファイル名を表示する。また、このステップS304においては、ユーザに一つもしくは複数のファイルを選択するように表示器にて表示することにより、ユーザにファイルの選択を促す。
【0072】
そして、ユーザが表示器にて表示されている複数のファイル名の中から一つもしくは複数のファイルを選択すると、外部機器52は、ステップS306にて前記選択されたファイル名によって表された楽曲データが著作権の保護対象であるかを判定する。このチェックにおいても、受信したファイル名が所定の様式に変更されているかをチェックする。例えば、"blueskyxyz.mid"のように、ファイル名に所定文字列"xyz"が含まれているかをチェックする。そして、前記ステップ306のチェックにおいて、著作権の保護対象であるとされると、CPU31は、ステップS308にて「Yes」と判定して、ステップS310に進む。ステップS310においては、「楽曲データの複製が不能である」ことを表示器に表示する。
【0073】
一方、前記ステップS306のチェックにおいて、著作権の保護対象でないと判定されると、CPU31は、ステップS308にて「No」と判定して、ステップS312に進む。ステップS312においては、外部機器52は、電子楽器Aに対して前記選択されたファイル名データを送信する。電子楽器Aにおいては、ステップM304にて前記送信されたファイル名データを受信して、同受信したファイル名データに対応した楽曲データをROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36から読み出して、外部機器52に送信する。そして、ステップM306にて楽曲データ送信ルーチンの実行を終了する。一方、外部機器52においては、ステップS314にて、電子楽器Aから送信された楽曲データを受信して記憶装置に記憶する。
【0074】
前記ステップS310またはステップS314の処理後、上記実施形態のステップ116と同様なステップS316の処理により、楽曲データの送信要求の続行または終了を判定する。送信要求続行ならば、ステップS302に戻って前述のステップS302〜S314の処理を再実行する。一方、送信要求終了ならば、ステップS318にて、この楽曲データ要求プログラムの実行を終了する。
【0075】
これらの楽曲データ要求プログラムおよび楽曲データ送信ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データに関しては、外部機器52から電子楽器Aに対する送信要求が禁止される。その結果、著作権の保護対象である楽曲データの無断複製が抑制され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。また、著作権の保護対象であるかの判定は単にファイル名により行なわれるので、著作権の保護対象であるかの判定も簡単に行なわれる。
【0076】
次に、上記図8の楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムの一部を図11のように変形した第3変形例について説明する。この場合も、ユーザは、外部機器52において図11の楽曲データ要求プログラムをステップS400から起動させると、この起動後、外部機器52は、ステップS402にて、上記実施形態と同様に、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報の送信を電子楽器Aにインターフェース回路51を介して要求する。
【0077】
この一覧情報の送信要求により、電子楽器Aにおいては、CPU31がステップM400にて楽曲データ送信ルーチンの実行を開始する。そして、ステップM402において、ROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36内の楽曲データの一覧情報すなわちエントリデータ中の全てのファイル名データを、外部機器52に送信する。外部機器52においては、ステップS404にて、前記送信された全てのファイル名データを受信して、同ファイル名データが著作権の保護対象である楽曲データに関するものであるかをチェックする。なお、このチェックにおいても、ファイル名が所定の様式に変更されているかをチェックする。例えば、"blueskyxyz.mid"のように、ファイル名に所定文字列"xyz"が含まれているかをチェックする。
【0078】
そして、ステップ406にて、著作権の保護対象でない楽曲データに関するファイル名データのみを抽出して表示器にて、同抽出したファイル名データにより表されたファイル名を表示する。また、このステップS406においては、ユーザに一つもしくは複数のファイルを選択するように表示器にて表示することにより、ユーザにファイルの選択を促す。そして、ユーザが表示器にて表示されている複数のファイル名の中から一つもしくは複数のファイルを選択すると、外部機器52はステップS408にて選択されたファイル名を電子楽器Aに送信する。
【0079】
電子楽器Aにおいては、ステップM404にて前記外部機器52から送信されたファイル名を受信し、同ファイル名によって指定される楽曲データをROM33、内部記憶装置35または外部記憶装置36から読み出して、外部機器52に送信する。そして、ステップM406にて楽曲データ送信ルーチンの実行を終了する。
【0080】
一方、前記ステップM406の処理により送信された楽曲データは、外部機器52のステップS410の処理により受信される。そして、同ステップS410にて、受信した楽曲データをそのファイル名データと共に記憶装置に記憶する。次に、上記実施形態のステップ116と同様なステップS412の処理により、楽曲データの送信要求の続行または終了を判定する。送信要求続行ならば、ステップS402に戻って前述のステップS402〜S410の処理を再実行する。一方、送信要求終了ならば、ステップS414にて、この楽曲データ要求プログラムの実行を終了する。
【0081】
これらの楽曲データ要求プログラムおよび楽曲データ送信ルーチンの実行により、著作権の保護対象である楽曲データに関しては、外部機器52にそのファイル名が表示されない。したがって、外部機器52において、ユーザが著作権の保護対象である楽曲データを選択することがなくなるので、著作権の保護対象である楽曲データが実質的に電子楽器Aから外部機器52に送信されなくなる。その結果、著作権の保護対象である楽曲データの無断複製が抑制され、楽曲データに関する著作権が良好に保護される。また、著作権の保護対象であるかの判定は単にファイル名により行なわれるので、著作権の保護対象であるかの判定も簡単に行なわれる。
【0082】
なお、上記実施形態においては、著作権の保護対象である楽曲データに対応したファイル名データの変更を、拡張子の前のファイル名部分に所定の文字列(例えば、"xyz")を付加するようにしたが、所定の記号(例えば、"***")を付加するようにしてもよい。また、拡張子自体を変更するようにしてもよい。例えば、元のファイル名データ"bluesky.mid"を"blueskyxyz.med"のように変更してもよい。さらに、ファイル名データの長さに制限がある場合(例えば、8文字以内)には、ファイル名部分の一部を削除して、所定の文字列、記号列を付加するようにするとよい。例えば、元のファイル名データ"bluesky.mid"を"bluesxyz.mid"または"blues***.mid"のように変更するとよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、演奏操作子としての鍵盤10を有する電子楽器Aを本発明の電子音楽装置とした例について説明したが、本発明の電子楽器として、タッチプレート、押しボタン、弦などを演奏操作子として有する種々の楽器も採用できる。また、電子楽器以外でも、楽音信号を発生可能である各種装置、例えばシーケンサ装置、パーソナルコンピュータ装置も採用できる。
【0084】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子音楽装置の一実施形態に係る電子楽器およびその周辺装置の概略ブロック図である。
【図2】 図1のROM、内部記憶装置および外部記憶装置のデータ憶エリアのフォーマットの一例を示す図である。
【図3】 図1の外部記憶装置に記憶された楽曲データに関するフォーマット図である。
【図4】 図1のRAMに記憶される楽曲データに関するフォーマット図である。
【図5】 図1の電子楽器にて実行されるメインプログラムのフローチャートである。
【図6】 図5の楽曲データの入出力処理にて実行される楽曲データ入力ルーチンのフローチャートである。
【図7】 図5の楽曲データの入出力処理にて実行される楽曲データ複製ルーチンのフローチャートである。
【図8】 図5の楽曲データの入出力処理にて実行される楽曲データ送信ルーチンおよび図1の外部機器にて実行される楽曲データ要求プログラムのフローチャートである。
【図9】 第1変形例に係る楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムのフローチャートである。
【図10】 第2変形例に係る楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムのフローチャートである。
【図11】 第3変形例に係る楽曲データ送信ルーチンおよび楽曲データ要求プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
A…電子楽器、11…鍵盤、12…パネル操作子群、13…表示器、31…CPU,33…ROM、34…RAM、35…内部記憶装置、36…外部記憶装置、41…音源回路、42…効果回路、51…インターフェース回路、52…外部機器、53…通信ネットワーク。

Claims (6)

  1. 楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶可能な記憶装置と、前記楽曲データを読み出して楽曲を再生する再生手段と、所望の楽曲データを外部記録媒体または外部機器から取り込んでそのファイル名と共に前記記憶装置に記憶する取り込み手段とを備えた電子音楽装置において、
    前記外部記録媒体若しくは前記楽曲データ中に著作権情報が記録され、または前記外部記録媒体若しくは前記楽曲データに著作権保護の対策処理がなされているかに基づいて、前記取り込み手段によって取り込まれた楽曲データの著作権が保護されるべきものであるか否かを判定する第1判定手段と、
    前記取り込み手段によって取り込まれた楽曲データの著作権が保護されるべきものであると前記第1判定手段によって判定されたとき、同楽曲データのファイル名を、著作権保護を示す所定の様式に変更して前記記憶装置に記憶させるファイル名変更手段と
    を設けたことを特徴とする電子音楽装置。
  2. 請求項1に記載の電子音楽装置において、さらに
    記記憶装置内に記憶されている楽曲データを外部記録媒体に書き込み可能な書き込み手段と、
    前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、
    前記第2判定手段によって前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であると判定された楽曲データに関しては、前記書き込み手段による前記外部記録媒体への書き込みがなされないようにする書き込み制御手段と
    を設けたことを特徴とする電子音楽装置。
  3. 請求項1に記載の電子音楽装置において、さらに
    記記憶装置内に記憶されている楽曲データを外部機器に出力可能な出力手段と、
    前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、
    前記第2判定手段によって前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であると判定された楽曲データに関しては、前記出力手段による前記外部機器への出力がなされないようにする出力制御手段と
    を設けたことを特徴とする電子音楽装置。
  4. 請求項1に記載の電子音楽装置において、さらに
    部機器からの指示により前記記憶装置に記憶されているファイル名を同外部機器に出力するとともに、同出力したファイル名のうちのいずれかのファイル名の指定を外部機器から受けて前記記憶装置内に記憶されていて前記指定されたファイル名に対応した楽曲データを同外部機器に出力可能な出力手段と、
    前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であるか否かを判定する第2判定手段と、
    前記第2判定手段によって前記記憶装置に記憶されている楽曲データのファイル名が著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であると判定されなかった楽曲データのファイル名のみを抽出し、前記抽出したファイル名のみが前記外部機器におけるファイル名の指定のために前記外部機器に出力されるように前記出力手段を制御する出力制御手段
    を設けたことを特徴とする電子音楽装置。
  5. 楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶している電子音楽装置であって、著作権が保護されるべき楽曲データに関しては前記ファイル名が所定の様式 に変更されている楽曲データを記憶している電子音楽装置に対し、前記楽曲データの送信を要求する外部機器に適用されるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、
    前記電子音楽装置に記憶されているファイル名の送信を要求するファイル名送信要求ステップと、
    前記ファイル名の送信要求に応答して前記電子音楽装置から送信されたファイル名が著作権を保護すべき前記所定の様式であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記電子音楽装置から送信されたファイル名のうちで、前記判定ステップにて著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名であると判定されたファイル名の楽曲データに関しては、同楽曲データの前記電子音楽装置に対する送信の要求を禁止する禁止ステップと
    実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  6. 楽曲を表す楽曲データをファイル単位でそのファイル名と共に記憶している電子音楽装置であって、著作権が保護されるべき楽曲データに関しては前記ファイル名が所定の様式に変更されている楽曲データを記憶している電子音楽装置に対し、前記楽曲データの送信を要求する外部機器に適用されるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、
    前記電子音楽装置に記憶されているファイル名の送信を要求するファイル名送信要求ステップと、
    前記ファイル名の送信要求に応答して前記電子音楽装置から送信されたファイル名が著作権を保護すべき前記所定の様式であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記電子音楽装置から送信されたファイル名のうちで、前記判定ステップにて著作権保護を示す前記所定の様式のファイル名でないと判定されたファイル名のみを抽出し、前記抽出したファイル名のみを表示器に表示する表示ステップと、
    前記表示ステップにて表示器に表示されたファイル名の中からユーザによって選択されたファイル名に対応した楽曲データの送信を前記電子音楽装置に要求する楽曲データ送信要求ステップと
    実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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