JP3849516B2 - 電磁流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本提案は、検出器の異常を検出する電磁流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
検出器の異常を検出する電磁流量計については特願2001−213254号にその記載がある。そこでは、絶縁劣化検出電極を別個に設けるか、若しくはドライブシールドを電極近傍までのばしてドライブシールド線を絶縁劣化検出電極としている。具体的には、図6の電磁流量計の非磁性体測定管60及び電極90の部分拡大図に示すように、絶縁物より構成される電極キャップ50にはパッキン80が係合され、電極キャップ50内には電極キャップ50と同心円の円盤であるドライブシールド電極70が組み込まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この構成では、ドライブシールド電極(或いは絶縁劣化検出電極)70が必要となり、その分の線を検出器内に配線する必要があり、検出器内の煩雑さが避けられないものであった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、絶縁劣化検出電極等を流量信号検出電極と同一にすることで、別個に診断のための配線を実装せずに、電極部の絶縁劣化を検出する電磁流量計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
測定対象となる流体が流される測定管を備え、検出器内の異常を検知する電磁流量計において、
前記検出器内の電極部の内側電極キャップと係合する前記測定管壁に前記検出器内に進入した流体が流出すための貫通穴を設けるとともに、前記検出器内の電極部の内側電極キャップと外側電極キャップの間の空間に、前記流体が流出したか否かを検出するための絶縁劣化検出電極を設けたことを特徴とする。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明によれば、検出器内の電極部の内側電極キャップと係合する前記測定管壁に貫通穴を設けているため、内側電極キャップ内に進入した流体が貫通穴を通して流れ出るため、内側電極キャップ内に流体が溜まらないようにすることが可能になる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁流量計において、前記絶縁劣化検出電極は前記流量測定電極に機械的に固定され、電気的な導通も確保するように構成したことを特徴とする
【0008】
従って、請求項2に記載の発明によれば、絶縁劣化検出電極が流体測定電極に機械的に固定されるだけでなく、電気的な導通も確保されているため、絶縁劣化情報を流量測定電極から検出でき、検出器内の配線が煩雑にならず最小限にすることができる。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電磁流量計において、前記絶縁劣化検出電極と内側電極キャップ内との間の電気容量を測定することで、絶縁劣化状態を検知できるようにしたことを特徴とする。
【0010】
従って、請求項3に記載の発明によれば、絶縁劣化状態を検知を絶縁劣化検出電極と内側電極キャップ内との間の電気容量の測定で容易に行うことが可能になる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の電磁流量計において、前記絶縁劣化検出電極は絶縁物でコーティングされ、所定の周波数により、外側電極キャップが取り付けられるネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の電気容量を測定する手段を備え、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間に流体がある場合と無い場合の容量差を検知することにより、絶縁劣化状態を検知することを特徴とする。
【0012】
従って、請求項4に記載の発明によれば、絶縁劣化検出電極を絶縁物でコーティングしてあるので、流体と金属が接することによる電気二重層容量をなくすことが可能になり、また、外側電極キャップが取り付けられるネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の電気容量を測定することができるため、外側電極キャップが取り付けられるネジ部分と絶縁劣化検出電極との間に流体がある場合と無い場合の容量差を検知することができ、容易に絶縁劣化状態を検知することが可能になる。
【0013】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、絶縁劣化状態を検知するための周波数信号と流量信号を測定するための周波数信号をフィルターで分離することを特徴とする。
【0014】
従って、請求項5に記載の発明によれば、絶縁劣化状態を検知するための周波数信号と流量信号を測定するための周波数信号は大きく異なるため、フィルターを用いることでこれらの信号を容易に分離することが可能になる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の電磁流量計において、
絶縁物でコーティングしない絶縁劣化検出電極を用い、絶縁劣化検知時に電気二重層容量を大きくして、ゼロシフト量を大きくさせる手段と、前記ゼロシフト量のトレンドを監視し、前記ゼロシフト量の大きさ及びトレンドから絶縁劣化状態を検知する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
従って、請求項6に記載の発明によれば、絶縁劣化検出電極を絶縁物でコーティングしないで、絶縁劣化検知時に電気二重層容量を大きくして、絶縁劣化状態を検出することにより、ゼロシフト量を大きくさせ、ゼロシフト量のトレンドをモニタし、特別な測定回路なしで容易に絶縁劣化診断を実現することが可能になる。
【0017】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、流量信号をサンプリングする励磁周期の前半部分で微分性ノイズの量を検出する手段を備えることを特徴とする。
【0018】
従って、請求項7に記載の発明によれば、流量信号をサンプリングする励磁周期の前半部分で微分性ノイズの量を検出するため、より大きな信号を比較することが可能になる。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、電極とアース電極との間の励磁周波数近傍の低周波領域において測定したインピーダンスから、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の電気容量を推定し、絶縁劣化検知を行う手段を備えることを特徴とする。
【0020】
従って、請求項8に記載の発明によれば、ゼロシフト量が大きくなる前に絶縁劣化状態を検出できるので、流量測定に影響を与える前の絶縁劣化検知及び診断が可能になる。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、前記低周波領域は、前記励磁周波数の偶数倍もしくは(1/偶数)倍に設定されることを特徴とする。
【0022】
従って、請求項9に記載の発明によれば、流量信号は、励磁周波数の奇数倍の高調波成分で構成され、励磁周波数の偶数倍の周波数成分は含まれないので、診断信号が流量信号に影響されることはなく、また、逆に、診断信号の周波数成分には、その周波数よりも低い周波数成分は含まれないので、流量信号が診断信号に影響を与えることはない。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、前記低周波領域は、流量サンプリング時に、サンプリング区間で絶縁劣化診断のための信号の積分値がゼロとなるように、サンプリング時間=1/(整数×絶縁劣化診断のための周波数値V)と設定されることを特徴とする。
【0024】
従って、請求項10に記載の発明によれば、診断信号は、流量信号のサンプリング時に積分して0になるので、診断信号が流量信号に影響を与えることはない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明の電磁流量計の電極部の部分拡大図である。測定対象となる流体が流される非磁性の配管(測定管)には管壁に沿ってテフロン(登録商標)、ウレタン等によるライニング1が設けられている。配管(測定管)の一部とライニング1の中央部とは窪み部1bと噛み合って固定されている。配管(測定管)の内壁は内側電極キャップ5の側壁と係合する形状をなしており、配管(測定管)の内壁と内側電極キャップ5とが係合している。また、ライニング1には孔1aが設けられ、その孔1aに流量測定電極2が組み込まれている。流量測定電極2には電極固定バネ7が設けられ、内側電極キャップ5が固定されている。
【0027】
外側電極キャップ4と内側電極キャップ5との間で絶縁劣化検出電極6を実装できるように空間を形成している。絶縁劣化検出電極6は内側電極キャップ5の上部で絶縁シート9を介して電極固定ナット10で固定されている。この絶縁劣化検出電極6は、図2に示される構造となっていて、流量測定電極2に機械的に固定されるだけでなく、電気的な導通も確保される。これにより、絶縁劣化情報を流量測定電極2から検出できるようになり、検出器内の配線を最小限にすることが可能となる。
【0028】
また、流量測定電極2の上部近傍からは信号線3が出て、外側電極キャップ4と係合している配管(測定管)に設けられた孔から変換器または端子箱へ向かうことになる。配管(測定管)に設けられた孔にはシール材11が充填してあり、シール材11が信号線3を保持している。
【0029】
さらに、内側電極キャップ5内に流体が溜まらないように、内側電極キャップ5内に進入した流体が流れ出るように、内側電極キャップ5内に貫通穴8を設けている。検出器内の絶縁劣化は、電極部からの流体の進入による場合が多い。流量測定電極2とアース電極の絶縁が劣化する前に、この流体の進入の状態をモニタできれば、流量測定が不可能となる前にメンテナンスの対応が可能となる。
【0030】
ところで、本実施の形態で用いられている絶縁劣化検出電極6では、図2(a)に示すように、導電性のプレートに絶縁物をコーティングしてある。流量測定電極2との導電を取るために、塗りつぶし部分のみコーティングしない。また、コーティング部分は、外側電極キャップの内径に円弧の形状となる。この円弧の部分が検出器の下部にくるように実装される。全ての方向に対応させるため、筒状の構造にしてもよい(図2(b)参照)。故に、絶縁劣化検出電極6は、流量測定電極2と同電位となる。この絶縁劣化検出電極6と検出器本体(アース)間の容量(絶縁劣化検出容量Cm12)を測定することで、絶縁劣化の状態を検出することが可能になる。
【0031】
図3に本発明の電磁流量計の回路図が示されている。測定管の近傍には励磁回路24からの励磁コイル22が設けられている。測定管内の電極20はバッファ31、32に接続されており、バッファ31は、差動増幅器25を介して、絶縁劣化測定回路28に接続されている。また、バッファ31、32は絶縁劣化測定回路28に接続されている。さらに、電極20はそれぞれ、二つの絶縁劣化測定信号源30に接続されている。
【0032】
図5は、励磁電流に対する検出信号の波形図である。図5中の矢印で示す部分では、微分性ノイズ(変成器成分ノイズ)の放電時定数が、絶縁劣化時に大きくなる。これは、絶縁劣化検出電極6と流体が接することで、流量測定電極2の接液部以外に、低周波で大きな二重層容量が形成されることによる。Bを示す領域でサンプリングすることで、感度のよい測定を行うことができる。Aで示す領域は、流量演算を行うために、サンプリングする部分であり、励磁区間の後半にサンプリングされる。微分性ノイズの影響をできるだけ小さくするのが目的である。
【0033】
つぎに、測定方法(その1)について説明する。図1に示す外側電極キャップ4が取り付けられるネジ部分4aは、導電性のある材料であり、アース電極と同電位となる。このネジ部分と絶縁劣化検出電極6との間に、図1の点線に示されるように、電気容量Cm(絶縁劣化検出容量12)が形成される。
【0034】
図4は本発明である電磁流量計の等価回路であり、図4に示す通り、ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間の容量Cm以外に、流体と流量測定電極2(図1)との間に生成される電気二重層容量Ceと流体抵抗Rfの直列インピーダンスが、信号線とアース間に存在する。
【0035】
しかしながら、この電気二重層容量Ceは周波数特性を持ち、数十から数百Hz以上では非常に小さな値となる。これに対し、絶縁劣化検出電極6の接液部は、樹脂もしくはセラミックなどの絶縁体でコーティングされているので、この部分には前記電気二重層容量は存在しない。故に周波数依存性が少なく、
Cm=εο・εr・S/d
εο:真空の誘電率
εr:流体の比誘電率(数十)もしくは空気の誘電率(1)
S :絶縁劣化検出電極の断面積
d :ネジ部分と絶縁劣化検出電極6との間の距離
で容量は規定される。前記電気二重層容量Cfは、電磁流量計に使われる数〜数十Hzの低周波では、この絶縁劣化検出容量Cmの値に対し非常に大きくなる。
【0036】
しかし、数十〜数百kHz以上ではネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間の容量Cm=εο・εr・S/dの方が大きくなってくるので、この周波数領域で電気容量を測定することで、ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間に流体がある場合と無い場合の容量差を検知することが可能となる。
【0037】
本実施例では、この電気容量Cmを測定する。測定方法は、図3に示すように流量信号検出ラインに、数十〜数百Hz以上の交流信号(定電圧または定電流等)を与える。この電気容量に応じた信号が、図1における流量測定電極2に現れ、図3に示すバッファ31、32で、この信号を検出する。ここで、この信号には、電気容量に応じた信号の他に、流量測定信号も含まれる。これをフィルターで分離して、数十〜数百kHz以上の高周波成分のみHPFで抽出して、A/D変換することで電気容量Cmを測定する。
【0038】
実際には、数十〜数百kHzにおいても、流体抵抗Rfの影響は無視できないので、図4に示すCmとRfの並列インピーダンスを測定することになる。今回の実施例(図3)に示した通り、定電流Ioを電極アース電極に流しこむと、図4に示すCmとRfの並列インピーダンスに応じた出力電圧Voと、IoとVoの位相差φを得られる。
【0039】
このとき、
Rf=〔(Io/Vo)・cos(φ)〕−1
Cm=〔(Io/Vo)・sin(φ)〕/(2・π・f)
ここで、fは絶縁劣化検出の周波数
なる式で、Cmを測定することができる。
【0040】
前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間に流体がある場合と無い場合では、容量値が異なり、流体が存在する場合誘電率が大きいため容量が大きくなる。故に、正常状態で測定した容量よりも大きな容量が測定されたときに、電極部の絶縁劣化の可能性があるとして、ユーザーに通知する。
【0041】
本方式によれば、電極室に水が満ち、絶縁が完全に劣化する前に、電極室内への流体の進入を検知できるので、流量測定不能となる前に、メンテナンスが可能となる。
【0042】
上記に対し、前記二重層容量を積極的に用いる方法もある。つぎに、他の測定方法(その2)について詳細に説明する。この場合、図2に示す絶縁劣化検出電極に対してコーティングは行わない。電極室内への流体の進入が無い場合、前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間には、電気二重層容量は存在しない。故に、この前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間の容量は、低周波領域では、流体と流量測定電極2(図1)との間に生成される電気二重層容量が支配的となる。
【0043】
電磁流量計における磁場の変化による変成器成分ノイズは、この電気二重層容量により遅れ要素を持ち、矩形波励磁におけるゼロシフト量に影響を与える(図5参照)。電極室内への流体の進入がある場合、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極6との間には、電気二重層容量が存在することになる。故に、流量測定電極2(図1)との間に生成される電気二重層容量に加え容量が大きくなることで、ゼロシフト量が大きくなる方向になる。故に、このゼロシフト量が許容する値を超えた場合に、絶縁劣化の可能性があるとしてアラームを出すことで、ユーザーは測定不可能となる前にメンテナンスが可能となる。
【0044】
また、本来流量信号をサンプリングする励磁周期の後半でなく、図5の点線部Bに示すように、励磁前半部で、信号をサンプリングすることで、より大きな信号を比較できるようになる。この場合、ゼロシフト量が大きくなる前に、絶縁劣化を検出できる利点があるので、流量測定に影響を与える前の絶縁劣化検知・診断が可能となる。
【0045】
このゼロシフト量による判定方法の利点は、”測定法方(その1)”で示したような、特別な容量測定回路を設けなくてもよい点で、より安価に絶縁劣化診断を実現できる。特に、2周波励磁のゼロ補正において、本方式を適用した場合、ゼロ補正値の変動により絶縁劣化の状態を判定することが可能となる。
【0046】
つぎに、前記二重層容量を積極的に用いる測定方法(その3)について詳細に説明する。この場合も、図2に示す絶縁劣化検出電極に対してコーティングを行わない。電極室内への流体の進入が無い場合、前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間には、電気二重層容量は存在しない。故に、この前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間の容量は、低周波領域では、流体と流量測定電極2(図1)との間に生成される電気二重層容量が支配的となる。
【0047】
電極室内への流体の進入がある場合、前記ネジ部分4aと絶縁劣化検出電極6との間には、電気二重層容量が存在することになる。故に、流量測定電極2(図1)との間に生成される電気二重層容量に加え容量が大きくなる。
【0048】
低周波領域におけるRf・Ce・Cmの結合インピーダンスを測定し、その値からCmを抽出してもよい。この場合、図3における絶縁劣化検出のための周波数値Vは、流量信号に影響を与えないように、励磁周波数値と異なる、励磁周波数の偶数倍もしくは(1/偶数)倍に設定される。
【0049】
これにより、流量信号は、励磁周波数の奇数倍の高調波成分で構成され、励磁周波数の偶数倍の周波数成分は含まれないので、診断信号が流量信号に影響されることはない。
【0050】
逆に、診断信号の周波数成分には、その周波数よりも低い周波数成分は含まれないので、流量信号が診断信号に影響を与えることはない。
【0051】
また、流量サンプリング時に、サンプリング区間で絶縁劣化診断のための信号の積分値がゼロとなるように、サンプリング時間=1/(整数×絶縁劣化診断のための周波数値V)と設定してもよい。
【0052】
これにより、診断信号は、流量信号のサンプリング時に積分して0になるので、診断信号が流量信号に影響を与えることはない。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、通常の電磁流量計に対し、内側電極キャップ(図1)内に進入した流体が、貫通穴を通して流れ出るようになっている。これにより、内側電極キャップ内に流体が溜まらないようにできる。
【0054】
また、この内側電極キャップと外側電極キャップの間の空間に、絶縁劣化検出電極が実装される。この絶縁劣化検出電極は、図2に示される構造となっていて、流量測定電極に機械的に固定されるだけでなく、電気的な導通も確保される。これにより、絶縁劣化情報を流量測定電極から検出できるようになり、検出器内の配線を最小限にすることが可能となる。
【0055】
さらに、絶縁劣化検出電極を絶縁物でコーティングすることで、流体を金属が接することによる電気二重層容量の影響をなくすことができ、数十〜数百Hz以上で容量を測定することで、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の容量Cm=εο・εr・S/dを測定することができる。これにより、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間に流体がある場合と無い場合の容量差を検知することが可能となる。
【0056】
また、絶縁劣化を検知するための周波数と流量信号を測定するための周波数は大きく異なるので、これらの信号をフィルターで容易に信号を分離できることも、本提案の利点である。
【0057】
さらに、絶縁劣化検出電極を絶縁物でコーティングしないで、絶縁劣化検知時に電気二重層容量を大きくして、絶縁劣化状態を検出することにより、(a)ゼロシフト量が大きくさせ、このゼロシフト量のトレンドをモニタする。これにより、特別な容量測定回路を設けなくてもよく、より安価に絶縁劣化診断を実現できる点が利点がある。(b)低周波領域でのインピーダンスを測定することで、流体導電率測定回路・付着検知回路との回路の共通化が可能となる利点がある。
【0058】
また、低周波領域は、前記励磁周波数の偶数倍もしくは(1/偶数)倍に設定することにより、流量信号は、励磁周波数の奇数倍の高調波成分で構成され、励磁周波数の偶数倍の周波数成分は含まれないので、診断信号が流量信号に影響されることはなく、また、逆に、診断信号の周波数成分には、その周波数よりも低い周波数成分は含まれないので、流量信号が診断信号に影響を与えることはない。
【0059】
また、低周波領域は、流量サンプリング時に、サンプリング区間で絶縁劣化診断のための信号の積分値がゼロとなるように、サンプリング時間=1/(整数×絶縁劣化診断のための周波数値V)と設定されるので、診断信号は、流量信号のサンプリング時に積分して0になるので、診断信号が流量信号に影響を与えることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した電磁流量計の電極部の構造を示す説明図である。
【図2】本発明を実施した電磁流量計に用いる絶縁劣化検出電極の説明図である。
(a)は絶縁劣化検出電極においてコーティング部分を示す説明図である。
(b)は筒状の構造した絶縁劣化検出電極を示す斜視図である。
【図3】本発明を実施した電磁流量計の回路図である。
【図4】本発明を実施した電磁流量計の等価回路である。
【図5】励磁電流に対する検出信号の波形図である。
【図6】従来の電磁流量計の電極部の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ライニング(テフロン(登録商標)・ウレタン等)
2 流量測定電極
3 信号線(変換器または端子箱へ)
4 外側電極キャップ
5 内側電極キャップ
6 絶縁劣化検出電極
7 電極固定バネ
8 貫通穴
9 絶縁シート
10 電極固定ナット
11 シール材
12 絶縁劣化検出容量Cm
Claims (10)
- 測定対象となる流体が流される測定管を備え、検出器内の異常を検知する電磁流量計において、
前記検出器内の電極部の内側電極キャップと係合する前記測定管壁に前記検出器内に進入した流体が流出すための貫通穴を設けるとともに、前記検出器内の電極部の内側電極キャップと外側電極キャップの間の空間に、前記流体が流出したか否かを検出するための絶縁劣化検出電極を設けたことを特徴とする電磁流量計。 - 前記絶縁劣化検出電極は前記流量測定電極に機械的に固定され、電気的な導通も確保するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電磁流量計。
- 前記絶縁劣化検出電極と内側電極キャップ内との間の電気容量を測定することで、絶縁劣化状態を検知できるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁流量計。
- 前記絶縁劣化検出電極は絶縁物でコーティングされ、所定の周波数により、外側電極キャップが取り付けられるネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の電気容量を測定する手段を備え、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間に流体がある場合と無い場合の容量差を検知することにより、絶縁劣化状態を検知することを特徴とする請求項1乃至3に記載の電磁流量計。
- 絶縁劣化状態を検知するための周波数信号と流量信号を測定するための周波数信号をフィルターで分離することを特徴とする請求項4に記載の電磁流量計。
- 絶縁物でコーティングしない絶縁劣化検出電極を用い、絶縁劣化検知時に電気二重層容量を大きくして、ゼロシフト量を大きくさせる手段と、前記ゼロシフト量のトレンドを監視し、前記ゼロシフト量の大きさ及びトレンドから絶縁劣化状態を検知する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電磁流量計。
- 流量信号をサンプリングする励磁周期の前半部分で微分性ノイズの量を検出する手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の電磁流量計。
- 電極とアース電極との間の励磁周波数の近傍の低周波領域において測定したインピーダンスから、前記ネジ部分と絶縁劣化検出電極との間の電気容量を推定し、絶縁劣化検知を行う手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の電磁流量計。
- 前記低周波領域は、前記励磁周波数の偶数倍もしくは(1/偶数)倍に設定されることを特徴とする請求項8に記載の電磁流量計。
- 前記低周波領域は、流量サンプリング時に、サンプリング区間で絶縁劣化診断のための信号の積分値がゼロとなるように、サンプリング時間=1/(整数×絶縁劣化診断のための周波数値V)と設定されることを特徴とする請求項8に記載の電磁流量計。
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