JP3849440B2 - トンネル裏込め注入材の充填確認方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トンネル裏込め注入材の充填確認方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル工事においては、覆工層の背面側に空洞部が発生することがあり、そのまま放置しておくと、崩落などの原因となる。そこで、一般的には、トンネル覆工層を形成した後に、覆工層に調査孔を穿設して、覆工層の背面側に存在する空洞部の調査を行っている。
【0003】
このような調査で、空洞部が確認されると、空洞部内にモルタルなどの硬化性の裏込め注入材を充填して、空洞部を埋めている。
【0004】
このような空洞部への裏込め注入材の充填では、施工中において、▲1▼隣接する注入孔から注入材の流出を確認する方法、▲2▼注入する注入材の注入圧の上昇(一般に、0.15〜0.2MPaと言われている)のいずれかにより、注入材の充填状態を確認し、これらの確認が行われると、注入を停止し、充填完了の基準としていた。
【0005】
また、これ以外にも充填センサや熱電対などの計測により、充填を確認する方法もある。さらに、裏込め注入材の注入硬化後に直接的な最終確認方法として、任意断面において、チェックボーリングを行い、注入材と地山との一体性を確認している。
【0006】
しかしながら、このような従来の裏込め注入材の充填確認方法には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前述した▲1▼,▲2▼の施工中の充填確認方法では、注入材が地山に到達しているかを直接確認しないので、確実性ないしは信頼性に欠ける。また、計測による確認方法は、測定機器の設置個所の確保が困難で、計測費用も高価になるという問題がある。
【0008】
さらに、チェックボーリングによる確認方法は、確実性はあるものの、施工性および経済性から、採取個所の数が限られ、注入材の充填確認の範囲が狭いという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単かつ安価で、しかも、確実に充填状態の確認が可能なトンネル裏込め注入材の充填確認方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、トンネル覆工層の背面側に空洞部が確認された際に、前記空洞部に硬化性の裏込め注入材を充填した時の、前記裏込め注入材の充填状態の確認方法において、前記空洞部の存在が確認された際に、前記トンネル覆工層に貫通形成される調査孔などの貫通孔から前記空洞部側に延設され、先端が地山に到達する透視可能な透明筒体を設置し、この後に、前記空洞部内に前記裏込め注入材を充填し、充填した前記裏込め注入材の充填状態を、前記透明筒体を介する目視観察により行うトンネル裏込め注入材の充填確認方法であって、前記透明筒体の先端に破断可能な透明テープないしは透明フィルムを装着して閉塞し、前記充填状態の確認後に、前記裏込め注入材の未充填が確認された場合、前記透明テープないしは透明フィルムを破断して、前記裏込め注入材の最終充填を行うようにした。
【0011】
このように構成したトンネル裏込め注入材の充填確認方法によれば、空洞部の調査に用いられる調査孔などの貫通孔を利用して、貫通孔から空洞部側に延設され、先端が地山に到達する透視可能な透明筒体を設置し、この後に、空洞部内に裏込め注入材を充填し、充填した裏込め注入材の充填状態を、透明筒体を介する目視観察により行うので、比較的簡単な手段により、経済的に、地山に注入材が到達しているか否かを確実に確認することができる。
【0013】
前記目視観察は、前記透明筒体内に設置するファイバスコープないしはccdカメラを介して行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかるトンネル裏込め注入材の充填確認方法の一実施例を示している。
【0015】
同図に示したトンネル裏込め注入材の充填確認方法は、トンネルの構築現場で、トンネル覆工層10の背面側に空洞部12が確認された際に、空洞部12に硬化性の裏込め注入材14を充填した時に、この裏込め注入材14の充填状態を確認するために実施される。
【0016】
山岳トンネルを構築する際には、図1に示すように、地山16が掘削され、掘削された地山掘削面18の内側にトンネル覆工層10が形成される。なお、空洞部12は、通常は、殆ど発生しないが図1には、理解を容易にするために誇張して示している。
【0017】
このトンネル覆工層10は、例えば、吹き付けコンクリート工法や、型枠を用いるコンクリートの現場打設、さらには、プレキャストコンクリートを用いる方法などにより所定厚みに形成される。
【0018】
トンネル覆工層10の背面地山16の空洞部12を調査する場合、図1に示すように、トンネル覆工層10に調査孔20が貫通形成され、トンネル覆工層10の背面側に空洞部12が、存在するか否かが調査される。
【0019】
この調査孔20は、例えば、トンネル軸方向に沿って10mピッチで設けられる。なお、空洞部12の調査は、このような調査孔20を設ける場合だけでなく、例えば、ハンマーなどにより覆工層10に打撃を加えて、その際の発生音を聞くことなどにより行われ、調査孔20を設けないで空洞部12が確認される場合には、調査孔20に相当する貫通孔を設ければ、本発明の実施に支障は、来たさない。
【0020】
調査孔20を介する調査により、トンネル覆工層10の背面側に有害な空洞部12の存在が確認されると、この空洞部12に裏込め注入材14を注入充填することになるが、本実施例の場合には、この裏込め注入材14を注入充填する前に、図2に示すように、透明筒体22が設置される。
【0021】
透明筒体22は、調査孔20の直径とほぼ同じ外径を有し、両端が開口した中空円筒形状のものであって、例えば、透明なプラスチック製であって、内方から外方への透視が可能な状態になっている。
【0022】
この透明筒体22の先端には、透明テープ24が装着されていて、先端開口を破断可能に閉塞している。なお、透明筒体22の先端開口を破断可能に閉塞する手段は、この透明テープ24を装着すること以外に、例えば、薄い透明フィルムを装着しても良いし、さらに、透明でかつ薄いプラスチックスを筒体22の先端に一体に形成しても良い。
【0023】
透明筒体22は、調査孔20内に挿入されて、空洞部12側に延設され、その先端の一部が地山掘削面18に当接するようにして、地山16に到達するように設置される。
【0024】
なお、このような状態に透明筒体22を設置するためには、筒体22の設置前に調査孔20からその上方の地山掘削面18までの距離を予め測定し、筒体22の全長を、その距離を考慮した長さに設定する。
【0025】
透明筒体22の設置が終了すると、図3に示すように、空洞部12内に裏込め注入材14の注入充填が行われる。
【0026】
裏込め注入材14は、例えば、モルタルなどの硬化性材料であって、このような裏込め注入材14の注入充填は、調査孔20に隣接する他の調査孔や、調査孔と同様にトンネル覆工層10を貫通する注入孔を穿設して、これらの孔を介して行われる。
【0027】
空洞部12内に裏込め注入材14を注入すると、注入材14は、流動しながら空洞部12内を埋める。この時、透明筒体22の先端に装着されている透明テープ24の上部側にも、裏込め注入材14が流動して介在することになる。
【0028】
ところが、透明筒体22の先端側は、裏込め注入材14の注入個所からかなり離間していて、先端と地山掘削面18との間の間隔lも小さいので、透明テープ24の上部側に裏込め注入材14が介在したとしても、圧力が殆ど作用しないので、透明テープ24がこれにより破断することはない。
【0029】
従って、空洞部12内に充填された裏込め注入材14が、透明筒体22内を通って、外部に漏出することが防止される。
【0030】
以上のようにして、空洞部12内に裏込め注入材14が注入充填され、時間の経過によりこれが硬化すると、その充填状態が透明筒体22を介する目視観察により確認される。なお、このような充填状態の確認は、注入材14が硬化した後に行えるだけでなく、例えば、裏込め注入材14の注入中にも目視観察することができる。
【0031】
この場合の目視観察は、例えば、照明用のライトを透明筒体22内に挿入して、直接的に目視観察することもできるが、照明とともにファイバースコープやccdカメラを挿入設置して、これらで撮像した画像情報をモニターに表示して目し観察を行うと、より明確な情報が得られて、充填状態をより正確に把握することができる。
【0032】
以上のように構成したトンネル裏込め注入材14の充填確認方法によれば、空洞部12の調査に用いられる調査孔20を利用して、調査孔20から空洞部12側に延設され、先端が地山に到達する透視可能な透明筒体22を設置し、この後に、空洞部12内に裏込め注入材14を充填し、充填した裏込め注入材14の充填状態を、透明筒体22を介する目視観察により行うので、比較的簡単な手段により、経済的に、地山16に注入材14が到達しているか否かを確実に確認することができる。
【0033】
そして、このような充填状態の確認で、注入材14の硬化収縮やブリーデイング,地山16からの湧水などによる注入材14の沈下,流出により、地山掘削面18と裏込め注入材14との間に空洞が生じていることが判ると、透明テープ24を破断した後に、透明筒体22の後端側から注入材14を注入して、最終充填を行う。
【0034】
このような確実な施工管理方法を採用すると、裏込め注入材14を注入するために覆工層10に穿設する注入孔の設置間隔を大きくすることも可能になり、品質の向上だけでなく、施工の合理化も可能になる。
【0035】
なお、裏込め注入材14の充填状態が確認された透明筒体22には、図3に示すように、調査孔20の開口端にキャップ26を装着して、キャップ26に螺子栓28を取付けて閉塞する。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるトンネル裏込め注入材の充填確認方法によれば、調査孔を利用することなどにより、簡単かつ安価で、しかも、確実に充填状態の確認が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトンネル裏込め注入材の充填確認方法の初期工程の断面説明図である。
【図2】図1に引き続いて行われる工程の断面説明図である。
【図3】図2に引き続いて行われる工程の断面説明図である。
【符号の説明】
10 トンネル覆工層
12 空洞部
14 裏込め注入材
16 地山
18 地山掘削面
20 調査孔
22 透明筒体
24 透明テープ
Claims (2)
- トンネル覆工層の背面側に空洞部が確認された際に、
前記空洞部に硬化性の裏込め注入材を充填した時の、前記裏込め注入材の充填状態の確認方法において、
前記空洞部の存在が確認された際に、前記トンネル覆工層に貫通形成される調査孔などの貫通孔から前記空洞部側に延設され、先端が地山に到達する透視可能な透明筒体を設置し、
この後に、前記空洞部内に前記裏込め注入材を充填し、
充填した前記裏込め注入材の充填状態を、前記透明筒体を介する目視観察により行うトンネル裏込め注入材の充填確認方法であって、
前記透明筒体の先端に破断可能な透明テープないしは透明フィルムを装着して閉塞し、
前記充填状態の確認後に、前記裏込め注入材の未充填が確認された場合、前記透明テープないしは透明フィルムを破断して、前記裏込め注入材の最終充填を行うことを特徴とするトンネル裏込め注入材の充填確認方法。 - 前記目視観察は、前記透明筒体内に設置するファイバスコープないしはccdカメラを介して行うことを特徴とする請求項1記載の裏込め注入材の充填確認方法。
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