JP3848886B2 - 吐水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐水装置に関し、詳しくは、旋回状態とされた洗浄水を所定の吐水孔から吐水する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、洗浄水の吐水形態の多様化を図るために、旋回力を有する洗浄水を吐水孔から吐水する技術が提案されている。例えば、特開2001−90155号公報では、吐水孔の下方に、洗浄水が流入する水室およびこの水室に偏心して接続された経路(以下、偏心経路という)を形成しておき、偏心経路から水室に流入した洗浄水を水室の内周壁面に沿って旋回させることにより水室内の洗浄水に吐水孔の軸心を中心とした旋回成分を付与し、水室内において旋回状態とされた洗浄水を吐水孔の出口から吐水する手法が開示されている。この手法によれば、洗浄水は、吐水孔の軸心を中心として旋回しながら、吐水孔から離れるに連れて徐々に広がった形態で吐水されるので、洗浄範囲の拡大を実現することができた。
【0003】
こうした上記の技術では、水室と吐水孔とを連通する連通流路を設け、水室において旋回状態とされた洗浄水を、連通流路に導入し、吐水孔の出口から吐水していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の構成では、連通流路に導入された旋回状態の洗浄水は連通流路を構成する管路の内壁に対して小さな角度で衝突するため、連通流路において洗浄水の大幅な減速はなされず、水室から供給された旋回状態の洗浄水をその流速を充分に弱めて吐水孔の出口から吐水することができなかった。このため、洗浄水を旋回された状態で吐水しても、この吐水によって得られるやわらかな洗浄感(以下、やわらか感という)には、一定の限界があった。
【0005】
また、上記した従来の構成では、水室において旋回の程度が異なる洗浄水を生成して吐水孔から吐水するが、この吐水の際、水室からの洗浄水は、その旋回力の強弱に拘らず、連通流路を構成する管路の内壁に対して一様に小さな角度で衝突する。このため、折角、多様な旋回力を有する洗浄水を吐水しても、吐水される洗浄水の吐水孔の軸心方向の流速(以下、吐水流速という)はほぼ同じであり、吐水される洗浄水から多様なやわらか感を得ることは困難であった。
【0006】
一方、旋回力の強弱に応じて吐水孔から吐水される洗浄水の流量(以下、吐水流量という)を変化させれば、吐水孔からの吐水流速を変えることが可能である。しかしながら、従来における吐水流量の制御手法では、一通りの断面積の吐水孔から吐水される吐水流量を変化させると、この吐水流量の変化率と同じ割合で吐水流速が変化するため、洗浄水の吐水流速を所望の値に低減するためには、この低減率と同じ割合で吐水流量を絞らなければならず、使用者に水量感の不足を感じさせてしまうことがあった。
【0007】
一般に、洗浄水の吐水流速はやわらか感に影響し、洗浄水の吐水流量は水量感に影響する。こうしたやわらか感と水量感とのバランスにより、吐水孔から吐水される洗浄水の洗浄感が決定されるが、上記した従来における吐水流量の制御手法では、吐水流速は吐水流量に依存して決定されてしまうため、吐水流量と吐水流速との比率(換言すれば、やわらか感と水量感とのバランス)はほぼ一通りに定まってしまい、多様な洗浄感を実現することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、旋回された洗浄水の吐水流速を水室よりも下流側の流路において簡単かつ確実に低減し、吐水孔から吐出される洗浄水のやわらか感を高め、多様な洗浄感を得ることを目的として、以下の構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の吐水装置は、
給水された洗浄水に旋回成分を付与する旋回付与室と、該旋回付与室において旋回状態とされた洗浄水を吐水する吐水孔と、前記旋回状態とされた洗浄水を前記旋回付与室から前記吐水孔の出口に導く連通流路とを有する吐水装置であって、
前記連通流路は、上流側から順に、前記旋回付与室に連通される一次管路と、前記吐水孔の出口を終端に備え、前記一次管路からの洗浄水を通過させる二次管路とを有し、
前記二次管路は、その上流側に、前記一次管路の終端開口および前記吐水孔の出口よりも大きな流路断面積で形成され、前記一次管路からの洗浄水を受ける受け部を備え
前記受け部は、前記二次管路の始端部側から前記吐水孔の出口方向に流路断面積を段階的に減少させる段部を有する周壁を備えることを要旨とする。
【0010】
上記構成を有する本発明の吐水装置では、旋回付与室において旋回状態とされた洗浄水は、一次管路を通って二次管路の受け部に至る。この受け部は、一次管路の終端開口および吐水孔の出口よりも大きな流路断面積で形成されている。このため、一次管路の終端開口から二次管路に向かう洗浄水は、受け部に向かって広がりながら進行し、受け部に対して大きな角度で衝突する。このような衝突により、洗浄水の流速が低減され、洗浄水の吐水流速が適当に弱められると共に、衝突による衝撃で洗浄水が細分化される。従って、吐水孔の出口から旋回状態の洗浄水が吐水される場合に、該洗浄水のやわらか感を簡単な構造で高めることができる。
【0011】
また、旋回状態とされた洗浄水は、一次管路の終端開口から受け部の流路断面積を減少させる周壁に向かって広がりながら進行し、洗浄水の広がりの度合いに応じた角度で周壁に衝突する。このような衝突により、洗浄水の流速は旋回の程度に応じて低減される。従って、旋回状態とされた洗浄水について、吐水流速を弱める程度や細分化される程度を調節することが容易となり、所望のやわらか感の洗浄水を簡単な構造で得ることができる。
【0012】
また、段部を有する周壁に洗浄水が衝突することで、吐水孔に向かう洗浄水の流速は大きく低減される。従って、吐水される洗浄水のやわらか感をより一層高めることができる。
【0013】
連通流路が一次管路の終端と受け部との間に間隙を有し、該間隙が洗浄水の吐水時に外部の大気が流入可能に構成されていることも好適である。こうすれば、受け部への衝突により流速が低減された洗浄水は、間隙内の空気を巻き込みながら吐水孔の出口に向かう。従って、旋回された洗浄水の空気の巻き込み量を増大させることが可能となる。また、洗浄水は、受け部への衝突によって細分化された状態で空気を巻き込むので、洗浄水と空気とを良好に攪拌し、洗浄水により多くの空気を混入させ、よりやわらか感を高めることができる。
【0014】
所定の指示に基づいて旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更する変更手段を備える構成とすることも望ましい。この構成によれば、一次管路の終端からの洗浄水は、付与された旋回成分の大きさに応じて広がりながら二次管路に向かい、旋回成分の大きさに応じた角度で受け部に衝突する。従って、旋回された洗浄水の吐水流速や空気の巻き込み量などを旋回力の強弱に応じて変化させることが可能となる。こうした洗浄水が吐水されることで、使用者は、洗浄範囲の広狭に応じて異なったやわらか感を得ることができる。
【0015】
ここで、洗浄水の水勢は、洗浄水の流量および流速によって、以下の式1のように定義することができる。
式1:水勢=密度×流量×流速
洗浄水の水勢の大きさは、主として洗浄強さに影響を与える。
【0016】
前記吐水孔から吐水される洗浄水の水勢を変更する所定の指示がなされたとき、第一の変更手段が旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更することも好適である。水勢を変更する所定の指示がなされたとき、旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更すれば、一次管路からの洗浄水が受け部に衝突する角度が変更され、この衝突角度の大きさに応じて吐水孔からの吐水流速が減速される。従って、所定の水勢(流量および流速)で吐水孔に向かう洗浄水につき、吐水流速の低減度合いを吐水流量とは独立に制御して吐水流量と吐水流速との比率を変化させることが可能となる。この結果、吐水される洗浄水のやわらか感と水量感とのバランスを変えることが可能となる。
【0017】
第一の変更手段を、水勢の大きさを低下方向に変更する指示がなされたとき、旋回成分の大きさを増大方向に変更する手段とすることも望ましい。旋回成分の大きさを増大方向に変更すれば、一次管路からの洗浄水が受け部に衝突する角度が大きくなり、吐水孔からの吐水流速が低減される。従って、水勢の大きさを低下する指示に基づいて吐水流量を大きく低減しなくても、吐水流速が十分に低減された洗浄水を吐水することが可能となる。このような洗浄水が吐水されることで、ある程度の水量感を確保しつつやわらか感を得ることが可能となり、低水勢時における水量感不足を補うことができる。
【0018】
一の吐水孔から、吐水流量と吐水流速との比率が異なる複数種類の洗浄水を吐水する複数の吐水モードを備え、複数の吐水モードを一の吐水モードから該一の吐水モード以外の他の吐水モードに切り換える所定の指示がなされたとき、第二の変更手段が旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更することも好ましい。こうすれば、一の吐水モードから他の吐水モードへの切り換えが、旋回付与室において付与される旋回成分の大きさの変更により実現され、こうした切り換えにより、吐水孔から吐水される洗浄水の吐水流量と吐水流速との比率が変更される。従って、やわらか感と水量感とのバランスが異なる多彩な洗浄感を簡単な構造で得ることができる。
【0019】
一の吐水モードにおいて、二次管路に干渉させることなく洗浄水を吐水し、他の吐水モードにおいて、二次管路に干渉させた上で洗浄水を吐水する構成としてもよい。こうすれば、一の吐水モードでは、二次管路内での流速低減をほとんど生じさせることなく洗浄水を吐水することが可能となり、洗浄範囲が集中的で空気の混入も少ない、力強い吐水を実現することができる。また、他の吐水モードでは、洗浄水の二次管路との干渉によって流速が充分に減速されるので、洗浄範囲が広く充分空気が混入された、やわらかい吐水を実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る吐水装置を人体の局部に向けて洗浄水を吐水する局部洗浄装置に適用した実施の形態を、以下の順序で説明する。
A.実施例
A−1.装置の全体構成
A−2.ノズルヘッドの構造
A−3.直進洗浄水および旋回洗浄水の吐水
A−4.吐水される洗浄水の物理量、および、この物理量と洗浄感との関係
A−5.連通流路COの詳細構成
A−6.連通流路COにおける洗浄水の挙動
A−7.効果
B.第1の応用例
C.第2の応用例
D.変形例
【0021】
A.実施例
A−1.装置の全体構成
以下に説明する本実施例の局部洗浄装置300は、そのノズルヘッド200の構造に特徴を有するものであるが、このノズルヘッド200の構造の詳細について説明する前に、局部洗浄装置300の全体構成について図1ないし図5を用いて説明する。図1は、本実施例の局部洗浄装置300の概略構成を表すブロック図である。図2は、局部洗浄装置300が備えるノズルヘッド200の内部構造をノズルヘッド200を透視して概略的に表した説明図である。図3は、ノズルヘッド200が装着される洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。図4は、流路・流量比切替機構71の構造を示す説明図である。図5は、流路・流量比切替機構71内のロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、局部洗浄装置300は、外部の給水源側から、給水ユニット302と熱交換ユニット304と流調弁306と洗浄ノズル308を備える。洗浄ノズル308は、ノズル駆動モータ310により、装置本体内の待機位置からお尻又はビデの各洗浄位置まで進退するよう構成されている。
【0023】
流調弁306は洗浄ノズル308の後端部に接続されている。この後端部における洗浄ノズル308内には流路・流量比切替機構71が組み込まれている。この流路・流量比切替機構71はノズル端部と一体として装着されている。また、洗浄ノズル308の先端部にはノズルヘッド200が装着されており、このノズルヘッド200にはお尻洗浄用吐水孔31,ビデ洗浄用吐水孔33が形成されている。
【0024】
局部洗浄装置300は、流調弁306で流量調整された洗浄水を、流路・流量比切替機構71を介して洗浄ノズル308に送り込み、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から後述のように吐水する。
【0025】
図1に示すように、局部洗浄装置300は電子制御装置312を備える。電子制御装置312は、お尻洗浄ボタン91や旋回量調整ボタン92a,92b、ビデ洗浄ボタン93等の操作ボタン,給水ユニット302,熱交換ユニット304,流調弁306,洗浄ノズル308,ノズル駆動モータ310のぞれぞれと、電気信号の送受信が可能に接続されている。電子制御装置312は、上記の各操作ボタンの操作に応じて、洗浄ノズル308の進退駆動、洗浄水の給水並びに止水、洗浄水の温水化、流調弁306の制御、流路・流量比切替機構71の制御等を行なう。
【0026】
給水源(水道管)から送られた洗浄水(水道水)は、給水ユニット302に導かれ、このユニットの有するストレーナでのごみ等の捕捉を経て、下流の熱交換ユニット304に至る。なお、給水ユニット302は、その管路に図示しない逆止弁、調圧のための調圧弁並びに管路開閉のための電磁弁を備える。よって、電磁弁による管路開放時を受けて、洗浄水は、調圧弁により所定圧力(1次圧:約0.098MPa{約1.0kgf/cm2 })に調圧された状態で、瞬間加熱方式の熱交換ユニット304に流入する。なお、給水ユニット302から熱交換ユニット304に至る間の管路には、リリーフ弁(図示省略)が配設されており、管路内圧力の不用意な上昇の回避が図られている。
【0027】
熱交換ユニット304は、内蔵ヒータへの通電を介して通過洗浄水を瞬間的に温水化するよう構成されている。なお、内蔵ヒータまたはその近傍に、その異常加熱を防止する図示しないバイメタルスイッチや温度ヒューズが装着されている。
【0028】
この場合、熱交換ユニット304は、流入・流出洗浄水の温度を図示しない水温センサで検出しつつ、内蔵ヒータで洗浄水を設定温度の洗浄水に温水化する。そして、このようにして温水化された洗浄水は、流調弁306により流量調整を受けた上で、流路・流量比切替機構71を介して洗浄ノズル308に送られる。なお、熱交換ユニット304には、空焚き防止のためのフロートスイッチや、洗浄ノズル側からの洗浄水逆流を防止するためのバキュームブレーカが設置されている。
【0029】
図1および図2に示すように、本実施例の局部洗浄装置300は、一つのお尻洗浄用吐水孔31から旋回洗浄水RW,直進洗浄水UWという複数の種類の洗浄水を吐水する。ここで、旋回洗浄水RWとは、お尻洗浄用吐水孔31の軸心を中心として螺旋状に旋回された状態でお尻洗浄用吐水孔31の向く方向に吐水される洗浄水をいう。直進洗浄水UWとは、お尻洗浄用吐水孔31の軸心を中心とした螺旋状の旋回状態が形成されることなく、お尻洗浄用吐水孔31の向く方向にほぼ真っ直ぐに吐水される洗浄水をいう。
【0030】
図2に示すように、旋回洗浄水RWは、旋回中心付近が中空で、お尻洗浄用吐水孔31から離れるにつれて徐々に広がった螺旋形状を有する。このような旋回洗浄水RWは、第1偏心経路222から第1渦室206に供給された洗浄水が第1渦室206の内周壁に沿って流れることにより実現される(図2における矢印Q1を参照)。即ち、第1偏心経路222からの洗浄水が略円柱形状を有する第1渦室206の内周壁に沿って供給されることにより、図2に矢印SYで示すように、洗浄水は第1渦室206内で旋回し、これにより洗浄水に旋回成分が付与される。旋回成分が付与された洗浄水は、旋回しながらエアーギャップ室204を通過してお尻洗浄用吐水孔31に向かうのである。
【0031】
このように、第1偏心経路222からの洗浄水が第1渦室206の内周壁面に沿って流入することにより第1渦室206内で旋回状態とされた洗浄水の流れを、以下、旋回流という。
【0032】
こうした螺旋形状の旋回洗浄水RWによれば、局部の広い範囲(図2における洗浄面積SMd内の範囲)を洗浄することができる。また、旋回の遠心力で洗浄水が細分化されることにより、エアーギャップ室204での空気巻き込み量は多くなり、やわらか感をもった吐水とすることができる。なお、洗浄面積SMdは、本実施例の局部洗浄装置300において、旋回洗浄水RWの旋回の程度を最大としたときの洗浄面積SMを示している。この最大の洗浄面積SMdは、後述するノズルヘッド200を装着したことによって、従来における最大洗浄面積SMcよりも拡大されている。
【0033】
一方、直進洗浄水UWは、図2に示すように、旋回洗浄水のような中空部分や広がりのない略円柱形状を有する。このような直進洗浄水UWは、軸心指向経路223からの洗浄水が、第1渦室206の軸心に向かって流れ込み、旋回されることなく略鉛直上方に進行することにより実現される(図2における矢印Q2を参照)。第1渦室206内を略鉛直上方に進行した洗浄水は、その進行力によってエアーギャップ室204を通過し、お尻洗浄用吐水孔31に向かう。
【0034】
このように軸心指向経路223から第1渦室206に流入する洗浄水に関し、以下のように用語を定義する。軸心指向経路223から第1渦室206の軸心に向かって流れ込む略水平方向への洗浄水の流れを、以下、軸心指向流という。この軸心指向流の略水平方向への流れは第1渦室206においてお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方向に変換される。こうした進行方向の変換後における上方向への洗浄水の流れを、以下、直進流という。
【0035】
こうした略円柱形状の直進洗浄水UWによれば、局部の狭い範囲(図2における洗浄面積SMa内の範囲)を強く洗浄することができる。また、エアーギャップ室204での空気巻き込み量は、旋回ありの場合より少なくなるので、空気の混入によって得られるやわらか感は小さくなる。
【0036】
次に、上記のノズルヘッド200に洗浄水を供給する洗浄ノズル308の構成について説明する。図3は洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。
【0037】
洗浄ノズル308は、円筒形の筒状部308bと、この筒状部308bの各端部に連接される先端部308aおよび後端部308cを備える。先端部308aには、図3に示すように、3つの接続管部322a,323a,324aが設けられている。各接続管部322a,323a,324aは、上記の第1偏心経路222,軸心指向経路223,第2偏心経路224(後述)の位置関係に倣って形成されている。この洗浄ノズル308の先端部308aにノズルヘッド200が水密に組み付けられる。
【0038】
図3に示すように、洗浄ノズル308の内部には、接続管部322a,接続管部323a,接続管部324aのそれぞれに連通するノズル流路322,ノズル流路323,ノズル流路324が形成されている。この3つのノズル流路322〜324は、洗浄ノズル308の内部に、筒状部308b内の各流入口322b,323b,324bから先端部308aの各接続管部322a,323a,324aまでを連通する中空部を設けることにより形成されている。なお、図3では、このノズル流路322〜324の形状を、ノズル流路324を代表例として例示している。
【0039】
洗浄ノズル308の後端部308cには、流調弁306で流量調整された洗浄水をノズル内部に供給する洗浄水供給口308dが設けられている。この洗浄水供給口308dに相対する洗浄ノズル308の内部(後端部308cから筒状部308bにかけての内部)には、図3に二点鎖線で示すように、流路・流量比切替機構71が、各流入口322b,323b,324bと密接した状態で嵌合されている。
【0040】
流路・流量比切替機構71の構造を図4に示す。図4(A)は流路・流量比切替機構71の縦断面を示す説明図である。この図4(A)では、説明の便宜上、流路・流量比切替機構71の主機能部である切替弁部475を実線で示すと共に、切替弁部475が収納される筐体(ハウジング472とOリング473)を点線で示している。また、図4(A)では、ノズル流路322〜324との配置関係を明確に理解できるように、筒状部308b内の各流入口322b,323b,324bの位置を二点鎖線で明示している。
【0041】
図4(A)に示すように、流路・流量比切替機構71の外形を構成するハウジング472は、端部に二つの係止爪(図4(A)では一つの係止爪472yのみを表わしている)を備える。この二つの係止爪は、ハウジング472を洗浄ノズル308の筒状部308b内に組み込んだ後に、後端部308cに設けられた係止溝に係止される。このようなハウジング472の後端部308cへの係止により、流路・流量比切替機構71は洗浄ノズル308と一体とされている。よって、流路・流量比切替機構71は洗浄ノズル308と共に進退する。なお、筒状部308b内に組み込まれたハウジング472と筒状部308bとの隙間はOリング473でシールされる。これにより、流路・流量比切替機構71に供給された洗浄水が後端部308cの係止爪側に進出することが防止される。
【0042】
ハウジング472の側面には所定の大きさの切欠部472aが形成されている。この切欠部472aは、ハウジング472を洗浄ノズル308の筒状部308b内に組み込んだときに洗浄ノズル308の後端部308cの洗浄水供給口308dと対向する位置に形成される。洗浄水供給口308dからの洗浄水は、切欠部472aを通ってハウジング472内の切替弁部475に供給される。
【0043】
切替弁部475は、切欠部472aから供給された洗浄水を流出すべき流路(ノズル流路322,323,324)と、複数の流路に洗浄水を流出する場合における流路間の流量比を決定する機能部である。この切替弁部475の構造を図4(A)ないし図4(C)を参照して説明する。図4(B)は流路・流量比切替機構71を図4(A)の4B−4B線で切断したときの矢視形状を表わし、図4(C)は流路・流量比切替機構71を図4(A)の4C−4C線で切断したときの矢視形状を表わしている。
【0044】
図4に示すように、切替弁部475は、ノズル流路322〜324の流入口322b〜324b側から、各流入口322b,323b,324bと連通される連通孔422,423,424を有するステータ476と、洗浄水を流出すべき流入口322b,323b,324bを切り換えるために回転し、ステータ476の各連通孔422,423,424を選択的に開放するロータ477と、このロータ477に嵌合してロータ477に回転を伝達するカップリング478とを有する。
【0045】
なお、ステータ476は、実際にはカップリング478の柱頭部478aに嵌め込まれてロータ477に当接され、ステータ476の一部がハウジング472内に収納されるが、図4(A)では、説明の便宜上、ステータ476をハウジング472内に収納する前の状態で表わしている。
【0046】
カップリング478とロータ477との間には、ロータ477をステータ476に向けて付勢するスプリング481が装着されている。また、カップリング478には、該カップリング478がハウジング472内に収納されたときにハウジング472の内周壁に密接するV字パッキン482が装着されている。
【0047】
図4(A)に示すカップリング478の凹部478bには、図示しないステッピングモータの回転軸が装着される。ステッピングモータの回転軸の回転は、凹部478bを介して、カップリング478に嵌合されたロータ477に伝達される。このように、ロータ477はステッピングモータの駆動力によって回転する。
【0048】
図4(A)に示すように、ステータ476の各連通孔422,423,424は、各流入口322b,323b,324bに対向する面(以下、流入口対向面という)においては、各流入口322b,323b,324b以降の各ノズル流路322,323,324に連通するように等分に開孔されている。この流入口対向面における各連通孔422,423,424の周囲には、各連通孔422,423,424と各流入口322b,323b,324bとの水密を保持するシール部材480が装着されている。一方、ステータ476のロータ477に当接する面(以下、ロータ当接面DPという)においては、図4(A)に示すように、各連通孔422,423,424は流入口対向面よりも小さな孔で開孔されている。
【0049】
また、図4(C)に示すように、ステータ476のロータ当接面DPにおいては、各連通孔422,423,424は互いに異なった形状で開孔されている。まず、ノズル流路323に連通される連通孔423は、所定の幅E1で開孔されて開孔面積が大きくされた部分である第一幅広部423aと、幅E1の40パーセント程度の幅E2で開孔されて開孔面積が第一幅広部423aよりも小さくされた部分である第一幅狭部423bとから構成されている。また、ノズル流路322に連通される連通孔422は、所定の幅E3で開孔されて開孔面積が大きくされた部分である第二幅広部422aと、幅E3の40パーセント程度の幅E4で開孔されて開孔面積が第二幅広部422aよりも小さくされた部分である第二幅狭部422bとから構成されている。ノズル流路324に連通される連通孔424は、略均一の幅で開孔されている。
【0050】
連通孔423と連通孔422とは、ほぼ同じ形状の幅広部と幅狭部を備え、ほぼ同じ開孔面積を有している。一方、連通孔423と連通孔422とは、ロータ477の一回転方向に対する幅広部と幅狭部の配置順序が異なっている。即ち、図4(C)においてロータ477の回転方向を矢印L方向とした場合に、連通孔423では矢印L方向に向かうにつれて第一幅広部423a,第一幅狭部423bの順に配置されているのに対し、連通孔423では矢印L方向に向かうにつれて第二幅狭部422b,第二幅広部422aの順に配置されている。
【0051】
図4(B)に示すように、ロータ477は、その回転により、ステータ476のロータ当接面DPに開孔された3個の連通孔422〜424を1〜3個の範囲で開放可能な二つの切欠477a,477bを有する。切欠477aは,切欠477bよりも大きな切り欠き面積を有する。この切欠477a,477bが連通孔422〜424と重なることにより、切欠477a,477bと連通孔422〜424とが重なり合った面積(以下、有効開孔面積Zという)分だけ、連通孔422〜424が開放される。
【0052】
ロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態の一例を図5に示す。この図5では有効開孔面積Zの部分を斜線ハッチングで示している。
【0053】
ロータ477が初期位置から約130°回転されると、図5(A)に示すように、ロータ477の切欠477aが1つの連通孔422を包含するように重なり、連通孔422が全て開放された状態となる。この結果、ノズル流路322のみに洗浄水が流入する。また、ロータ477が初期位置からロータ477が約200°回転されると、図5(B)に示すように、ロータ477の切欠477aが1つの連通孔423を包含するように重なり、連通孔423が全て開放された状態となる。この結果、ノズル流路323のみに洗浄水が流入する。
【0054】
ロータ477が初期位置から約130°〜200°未満の範囲で回転した場合には、ロータ477の切欠477aが2つの連通孔422,423に重なる。例えば、図5(C)は、ロータ477が初期位置から約145°回転されたときの様子を示しているが、この場合には、連通孔423および連通孔422が開放されている。このように2つの連通孔422,423が開放される結果、ノズル流路322,323の双方に洗浄水が流入する。
【0055】
なお、2つの連通孔422,423が開放される場合において、各連通孔422,423が開放される程度(具体的には、連通孔422と連通孔423との有効開孔面積Zの比率)はロータ477の回転角度の大きさによって異なる。本実施例における流路・流量比切替機構71は、ロータ477の回転角度を初期位置から約130°〜200°の範囲で可変することにより各連通孔422,423の有効開孔面積Zの比率を変更し、こうした変更によりノズル流路322に供給される洗浄水とノズル流路323に供給される洗浄水との流量比を調節する。こうした流量比の調節は、流調弁306において調節された一定流量の洗浄水に対して行なわれる。即ち、流路・流量比切替機構71は、流調弁306から供給された一定流量の洗浄水をノズル流路322,ノズル流路323のそれぞれにどのような配分で供給するかを決定するのである。
【0056】
ロータ477の回転角度の初期位置から約130°〜200°の範囲での変更は、上述した旋回量調整ボタン92a,92b(図1を参照)の操作に伴って段階的に行なわれる。旋回量調整ボタン92a,92bの一回の操作によるロータ477の回転角度は、カップリング478を介してロータ477に接続されたステッピングモータの回転量を調整することにより、任意の角度に定めることができる。例えば、ロータ477の回転角度を、「旋回量調整ボタン92aが操作されたときに−5°、旋回量調整ボタン92bが操作されたときに+5°」のように予め定めておけばよい。
【0057】
なお、本実施例では、ロータ477が初期位置から約130°〜200°の範囲で回転した場合(連通孔422および連通孔423の双方が開放状態とされる場合)において、連通孔422の有効開孔面積Zと連通孔423の有効開孔面積Zの総和(以下、総開孔面積ZTという)は、ロータ477がどのような角度の場合でも4〜6平方ミリメートルの範囲内の値とされており、後述する第1オリフィス207の開口面積(約0.8平方ミリメートル)よりも充分に大きな値とされている。
【0058】
A−2.ノズルヘッドの構造
次に、ノズルヘッド200の構造について図6ないし図7を参照しつつ説明する。図6はノズルヘッド200の上面ないし底面を示す説明図である。図6(A)はノズルヘッド200の上面を、図6(B)はノズルヘッド200の底面を、それぞれ表わしている。図6(C)はノズルヘッド200上面に装着される上蓋202の外面を、図6(D)はノズルヘッド200底面に装着される底部蓋210の内面(ノズルヘッド200底面と対向する面)を、それぞれ表わしている。
【0059】
図7はノズルヘッド200の側面方向からの形状を示す説明図である。図7(A)はノズルヘッド200を図6(A)の7A−7A線で切断したときの断面形状を表わし、図7(B)はノズルヘッド200を図7(A)の7B−7B線で切断したときの断面形状を表わしている。図7(C)は、ノズルヘッド200を図7(A)の矢印W方向から見たときの側面(洗浄ノズル308の先端に接続される面)を表わしている。
【0060】
まず、ノズルヘッド200内に形成されたお尻洗浄用の洗浄水の流路について説明する。図7(A)に示すように、ノズルヘッド200内には、中空部である第1渦室206が形成されている。第1渦室206は、略円筒形状の下部206bと、該下部206bの上端から第1オリフィス207やお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方に延出され、該下部206bと第1オリフィス207の始端とを連通する上部206aを備える。上部206aは、その内径が上方に行くほど狭められた略円錐形状を有しており、上部206aの内径は、第1オリフィス207の始端と連通される頂上部において最小(約1ミリメートル)となっている。
【0061】
図7(A)に示すように、上部206aの頂上部の中心N2は、下部206bの略円形である内底壁の中心N1を通る垂線N1−N2上に位置する。この垂線N1−N2が第1渦室206の軸心(以下、軸心N1−N2という)となる。
【0062】
図6および図7に示すように、第1渦室206の下部206bに形成された偏心経路用開口部206cには、第1偏心経路222の終端が接続されている。また、偏心経路用開口部206cよりも下方位置における下部206bには軸心経路用開口部206dが形成されており、この軸心経路用開口部206dに軸心指向経路223の終端が接続されている。
【0063】
軸心指向経路223の始端は、図7(C)に示すように、ノズルヘッド200が洗浄ノズル308の先端と接続される面の上方に設けられ、ノズルヘッド200の幅方向の中心線K−K上に形成されている。また、第1偏心経路222の始端は、ノズルヘッド200が洗浄ノズル308の先端と接続される面の下方に設けられ、ノズルヘッド200の幅方向の中心線K−Kから離れた位置(図7(C)で言えば向かって右寄りの位置)に形成されている。
【0064】
図6および図7に示すように、第1偏心経路222は、その始端からノズルヘッド200の先端部を指向して略水平方向に延出され、終端において第1渦室206の下部206bの偏心経路用開口部206cに接続されている。
【0065】
図7(B)に示すように、第1偏心経路222は、図6(D)に示す底部蓋210をノズルヘッド200底面に形成された凹部211に水密に装着することにより形成される。即ち、図6(D)に示すように、底部蓋210のノズルヘッド200底面と対向する面(以下、蓋上面という)には、ノズルヘッド200の底面を切り欠くことにより形成された第1偏心経路222に対応する位置に所定の高さの隆起部210aが形成されている。こうした底部蓋210を凹部211に装着すると、底部蓋210の隆起部210aが第1偏心経路222に相当する切り欠き部分に嵌め込まれる。これにより、図7(B)に示すように、隆起部210aの上面によって第1偏心経路222の底壁が形成される。この結果、第1偏心経路222は、その始端から終端までほぼ水平に延出された状態となる。
【0066】
図6(D)ないし図7(A)に示すように、底部蓋210の蓋上面における隆起部210aの近傍には、突状体230と、該突状体230と一体として形成された突出部材240が設けられている。突状体230および突出部材240は、底部蓋210と一体として、底部蓋210の蓋上面から所定の高さに突出された状態で形成されている。図7(A)に示すように、突状体230および突出部材240は、底部蓋210の凹部211への装着に伴って第1渦室206の略軸心N1−N2上の位置に立設される。
【0067】
図6(A)に示すように、第1偏心経路222の終端付近における経路は、該経路の中心を通る軌跡線Y−Yが第1渦室206の軸心を示す垂線N1−N2と交差しないように、第1渦室206に向けて延出されている。こうした第1偏心経路222の終端は、該終端における垂線N1−N2とは反対側の側壁が第1渦室206の下部206bの内周壁に沿うように接続されている。このため、第1偏心経路222の終端は、下部206bの軸心N1−N2よりも内周壁寄りの位置を指向している。このように、第1偏心経路222は、軸心N1−N2とは偏心して第1渦室206の下部206bに接続されている。
【0068】
図6および図7に示すように、軸心指向経路223は、上流側から順に、導入路223a,垂直路223b,水平路223cという3つの経路から構成される。導入路223aは、軸心指向経路223の始端からノズルヘッド200の先端部を指向して略水平方向に延出された経路である。垂直路223bは、導入路223aが第1渦室206の手前でノズルヘッド200の底部方向に湾曲された後に略鉛直下方向に延出された経路である。水平路223cは、垂直路223bがノズルヘッド200の底部において第1渦室206方向に湾曲された後に略水平方向に延出され、第1渦室206の下部206bの軸心経路用開口部206dに接続される経路である。
【0069】
図6(A)に示すように、水平路223cは、第1渦室206の下部206bの軸心経路用開口部206dに近づくにつれて流路断面積が大きくなる形状とされている。このような形状を採ることで、軸心指向経路223から下部206bに流入する洗浄水の速度が減速される。これにより、流速分布がほぼ均一な直進流が生成されるので、直進流が旋回流に混合しやすくなり、第1渦室206における旋回状態をより安定的なものにすることができる。
【0070】
図6(A)における7A−7A線は、水平路223cの終端付近における経路の中心を通る軌跡線を表わしている。図6(A)に示すように、水平路223cの終端付近における経路は、7A−7A線が第1渦室206の軸心を示す垂線N1−N2と交差するように、第1渦室206に向けて延出されており、水平路223cの終端の延長軌跡内には下部206bの軸心N1−N2が含まれる。このように、軸心指向経路223は、軸心N1−N2を指向して第1渦室206の下部206bに接続されている。
【0071】
続いて、第1渦室206よりも下流側の流路の構造について説明する。図7(A)に示すように、第1渦室206よりも下流側の流路は、上流側から順に、上部206aの頂上部に連通された管路である第1オリフィス207,エアーギャップ室204,お尻洗浄用吐水孔31内に形成された管路である第1スロート280(後述)によって構成されている。つまり、第1オリフィス207,エアーギャップ室204および第1スロート280は、第1渦室206とお尻洗浄用吐水孔31の出口を連通する流路(以下、連通流路COという)を形成している。
【0072】
第1オリフィス207は、お尻洗浄用吐水孔31と第1渦室206とをつなぐ小さな内径(約1ミリメートル)の管路である。第1オリフィス207は、管路の始端である第1渦室206の頂上部から管路の終端であるエアーギャップ室204の内底壁まで、ほぼ同径で斜め上方に延出されている。
【0073】
図7に示すように、第1オリフィス207の終端と後述する上蓋202との間には所定の間隙であるエアーギャップ室204が設けられている。このエアーギャップ室204の内底壁とノズルヘッド200底面との間には、外部の空気をエアーギャップ室204に導入する通路である外気導入通路212が設けられている。ノズルヘッド200底面の外気導入通路212は、底部蓋210を凹部211に装着することにより、底部蓋210に形成された連通孔210bと合わさる(図7(B)を参照)。これにより、ノズルヘッド200外部の空気を連通孔210bから外気導入通路212を介してエアーギャップ室204に供給可能となる。
【0074】
図7に示すように、ノズルヘッド200上面に形成された凹部205(図6(A)を参照)には、所定の厚みを有する上蓋202が装着されている。この上蓋202には、第1オリフィス207の終端と略同一軸心上にて対向する位置に、お尻洗浄用吐水孔31が穿設されている。こうした上蓋202へのお尻洗浄用吐水孔31の穿設により、お尻洗浄用吐水孔31内には洗浄水が流通する管路が形成される。この管路を、以下、第1スロート280という。
【0075】
次に、ノズルヘッド200内に形成されたビデ洗浄用の洗浄水の流路について説明する。図6ないし図7に示すように、ノズルヘッド200内には、ビデ洗浄用の洗浄水の流路として、上流側から順に、第2偏心経路224,第2渦室208,第2オリフィス209が形成されている。この第2偏心経路224,第2渦室208,第2オリフィス209は、それぞれ、前述した第1偏心経路222,第1渦室206,第1オリフィス207とほぼ同様の形態で構成されている。第2オリフィス209の終端と上蓋202との間にはエアーギャップ室204が設けられている。また、上蓋202には、第2オリフィス209の終端と略同一軸心上にて対向する位置に、お尻洗浄用吐水孔31よりもやや大径のビデ洗浄用吐水孔33が穿設されている。こうした上蓋202へのビデ洗浄用吐水孔33の穿設により、ビデ洗浄用吐水孔33内には洗浄水が流通する管路が形成される。この管路を、以下、第2スロート290という。このように、第2オリフィス209,エアーギャップ室204および第2スロート290は、第2渦室208とビデ洗浄用吐水孔33の出口を連通する流路(以下、連通流路CBという)を形成している。
【0076】
本実施例では、上記の第1渦室206や第2渦室208が、特許請求の範囲における「旋回付与室」に相当する。勿論、この第1渦室206や第2渦室208以外の形態により、特許請求の範囲における「旋回付与室」を実現することも可能である。
【0077】
また、本実施例では、上記の第1オリフィス207や第2オリフィス209が、特許請求の範囲における「一次管路」に相当する。勿論、この第1オリフィス207や第2オリフィス209以外の形態により、特許請求の範囲における「一次管路」を実現することも可能である。
【0078】
加えて、本実施例では、上記の第1スロート280や第2スロート290が、特許請求の範囲における「二次管路」に相当する。勿論、この第1スロート280や第2スロート290以外の形態により、特許請求の範囲における「二次管路」を実現することも可能である。
【0079】
A−3.直進洗浄水および旋回洗浄水の吐水
以上のように構成された局部洗浄装置300では、流調弁306から洗浄ノズル308内の流路・流量比切替機構71に供給された洗浄水は、各連通孔422,423,424から各ノズル流路322,323,324に流れ込む。開放された各連通孔422,423からノズル流路322,323に流れ込んだ洗浄水は、それぞれ、ノズルヘッド200内の第1偏心経路222,軸心指向経路223に、お尻洗浄用の洗浄水として送り込まれる。
【0080】
第1偏心経路222に送り込まれた洗浄水は、第1渦室206の偏心経路用開口部206cから下部206bの内周壁に沿って流入し、図2ないし図7に矢印SYで示すように、軸心N1−N2を中心として旋回する。このようにして第1渦室206内で旋回流とされた洗浄水は、第1オリフィス207,エアーギャップ室204,第1スロート280を順次に通過し、お尻洗浄用吐水孔31の出口から旋回洗浄水RWとして吐水される。
【0081】
軸心指向経路223に送り込まれた洗浄水は、第1渦室206の軸心経路用開口部206dから下部206bに流入し、下部206b内を軸心N1−N2に向かって略水平方向に流れる(軸心指向流)。下部206b内を流れてきた洗浄水は、下部206bの内周壁に衝突して略鉛直上方向に方向変換された後に、図2ないし図7に矢印SSで示すように、上部206aに真っ直ぐに向かう(直進流)。このように上方への進行成分を備えた洗浄水は、第1オリフィス207,エアーギャップ室204,第1スロート280を順次に通過し、お尻洗浄用吐水孔31の出口から直進洗浄水UWとして吐水される。
【0082】
例えば、図5(A)に示すような連通孔422のみが開放された状態では、ノズル流路322,第1偏心経路222のみに洗浄水が供給される。この結果、第1渦室206内において旋回流が生成され、お尻洗浄用吐水孔31の出口から、広い洗浄面積SMdを有する旋回洗浄水RW(図2を参照)が吐水される。また、図5(B)に示すような連通孔423のみが開放された状態では、ノズル流路323,軸心指向経路223のみに洗浄水が供給される。この結果、第1渦室206内において直進流が生成され、お尻洗浄用吐水孔31の出口から、狭い洗浄面積SMaを有する直進洗浄水UW(図2を参照)が吐水される。
【0083】
一方、図5(C)に示すような連通孔423および連通孔422が開放された状態では、ノズル流路322,323を通じて第1偏心経路222および軸心指向経路223の双方の経路に洗浄水が供給され、第1渦室206内において旋回流および直進流が生成される。こうした旋回流と直進流とは第1渦室206内で合流し、旋回流と直進流の流量比に応じた旋回の程度を得た流れとなる。この結果、お尻洗浄用吐水孔31の出口から、洗浄面積SMが「SMa<SM<SMd」の範囲の洗浄水(図2を参照)が吐水される。
【0084】
なお、本実施例では、旋回量調整ボタン92a,92b(図1を参照)の操作により旋回洗浄水RWに付与する旋回の程度を変更し、洗浄面積SMを「SMa≦S≦SMd」の範囲で可変することができる。こうした旋回の程度の変更は、旋回量調整ボタン92a,92bの操作量に応じて連通孔422と連通孔423との有効開孔面積Zの比率を変化させて、第1偏心経路222に供給される洗浄水と軸心指向経路223に供給される洗浄水との流量比を調節することにより実現される。
【0085】
本実施例における流路・流量比切替機構71では、ロータ477の回転角度が初期位置から約130°〜200°の範囲において、連通孔423の有効開孔面積Zを大きくすると、連通孔422の有効開孔面積Zが小さくなる。よって、ノズル流路323から軸心指向経路223に供給される洗浄水の水量が多くなると、ノズル流路322から第1偏心経路222に供給される洗浄水の水量が少なくなる。これにより、軸心指向経路223および第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度が変化する。即ち、軸心指向経路223を流れる洗浄水の速度は増加し、第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度は減少する。このため、第1渦室206においては、軸心N1−N2周りの旋回力(以下、軸心旋回力という)が小さくなり、軸心N1−N2に沿った鉛直上方向への進行力(以下、直進力という)が大きくなった洗浄水が生成される。この結果、お尻洗浄用吐水孔31から、洗浄範囲SMが洗浄範囲SMa(図2を参照)側に近付き、且つ、洗浄強さが強めの洗浄水が吐水される。
【0086】
一方、ロータ477の回転角度が初期位置から約130°〜200°の範囲において、連通孔423の有効開孔面積Zを小さくすると、連通孔422の有効開孔面積Zが大きくなる。よって、ノズル流路323から軸心指向経路223に供給される洗浄水の水量が少なくなると、ノズル流路322から第1偏心経路222に供給される洗浄水の水量が多くなり、これにより、第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度は増加し、軸心指向経路223を流れる洗浄水の速度は減少する。このため、第1渦室206においては、軸心旋回力が大きくなり、直進力が小さくなった洗浄水が生成される。この結果、お尻洗浄用吐水孔31から、洗浄範囲SMが洗浄範囲SMd(図2を参照)側に近付き、且つ、洗浄強さが弱めの洗浄水が吐水される。
【0087】
また、本実施例の局部洗浄装置300において連通孔424のみが開放されている場合には、連通孔424からノズル流路324に流れ込んだ洗浄水は、ノズルヘッド200内の第2偏心経路224にビデ洗浄用の洗浄水として送り込まれる。第2偏心経路224に送り込まれた洗浄水は、第2渦室208の内周壁に沿って流入し、第2渦室208の軸心を中心として旋回する。このようにして第2渦室208内で旋回流とされた洗浄水は、第2オリフィス209,エアーギャップ室204,第2スロート290を順次に通過し、ビデ洗浄用吐水孔33の出口から旋回した状態で吐水される。
【0088】
A−4.吐水される洗浄水の物理量、および、この物理量と洗浄感との関係
なお、本実施例では、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水される洗浄水の水勢(以下、吐水水勢Fという)の大きさを、局部洗浄装置300本体に設けられた水勢調節ボタン95a,95b(図1を参照)の操作により強弱5段階の範囲で調節することができる。即ち、水勢調節ボタン95aが1回操作されると、この操作信号を受け取った電子制御装置312は、流調弁306に弁の開度を1段階大きくするよう指示する。こうした指示により、流調弁306から流路・流量比切替機構71への単位時間当たりの供給流量が1段階増大され、吐水水勢Fが1段階強められる。また、水勢調節ボタン95bが1回操作されると、この操作信号を受け取った電子制御装置312は、流調弁306に弁の開度を1段階小さくするよう指示する。こうした指示により、流調弁306から流路・流量比切替機構71への単位時間当たりの供給流量が1段階低減され、吐水水勢Fが1段階弱められる。こうした吐水水勢Fについて設定された「1」から「5」までの水勢レベルは、水勢調節ボタン95a,95bの近傍の水勢インジケータ96に表示される。
【0089】
ここで、吐水水勢Fは吐水荷重値fに大きく影響されるので、吐水水勢Fと洗浄水の流量と流速の関係は以下の式1のように関連付けることができる。
式(1):F≒ρ・Q・V
この式(1)において、ρは、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水される洗浄水の密度であり、Qは、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から単位時間当たりに吐水される洗浄水の流量(以下、吐水流量Qという)であり、Vは、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水される洗浄水の吐水孔31,33の軸心方向の流速(以下、吐水流速Vという)である。このように、吐水水勢Fの値は、吐水流量Qの値と吐水流速Vの値によって定まる。
【0090】
吐水水勢F,吐水流量Q,吐水流速Vと洗浄感との関係について説明する。まず、吐水水勢Fは、主として洗浄強さに影響を与える。即ち、使用者は、吐水水勢Fの値が大きくなるほど局部が強く洗浄されていると感じるのである。また、吐水流量Qは、主として水量感に影響を与える。即ち、使用者は、吐水流量Qの値が大きくなるほど局部がたっぷりの水で洗浄されていると感じるのである。一方、吐水流速Vは、主としてやわらか感ないし刺激感に影響を与える。即ち、使用者は、吐水流速Vの値が大きくなるほど、局部への刺激が強くなってやわらかさが減ったと感じ、吐水流速Vの値が小さくなるほど、局部への刺激が弱くなってやわらかさが増したと感じるのである。従って、吐水される洗浄水について吐水流量Qと吐水流速Vとの比率(以下、Q/V比という)を変化させれば、水量感とやわらか感ないし刺激感とのバランスが変わり、吐水される洗浄水から多様な洗浄感を得ることができるのである。
【0091】
A−5.連通流路COの詳細構成
次に、連通流路COにおける特徴的な構成について説明する。図8は、図7(A)における第1スロート280の周辺領域を拡大して示す説明図である。図9は、図8に示したノズルヘッド200を、図8の各切断線に沿って切断したときの矢視形状を示す説明図である。
【0092】
図8に示すように、お尻洗浄用吐水孔31は、第1オリフィス207から吐出されてエアーギャップ室204を通過してきた下方からの洗浄水を受け入れる入口31aと、受け入れられた洗浄水をノズルヘッド200外部に吐出する出口31bとを備える。この入口31aと出口31bとの間に形成される管路が第1スロート280であり、入口31aは第1スロート280の始端部280aとなる。第1スロート280および第1オリフィス207は、双方の管路の中心が共に略中心線G−G上に位置するように配置されている。
【0093】
お尻洗浄用吐水孔31は、第1スロート280の管路形状が上流側と下流側とで異なる形状となるように、上蓋202に穿設されている。即ち、第1スロート280の上流側には、第1オリフィス207からの洗浄水を受ける受け部281が設けられている。この受け部281は、第1オリフィス207の終端207bよりも大きな流路断面積で形成された始端部280aと、該始端部280aにおける流路断面積を第1スロート280の下流側に向かうにつれて漸減し出口31b方向に集束する集束周壁202aによって構成されている。この集束周壁202aは略円錐台の側面形状を有する。こうした集束周壁202aにより、始端部280aにおける流路断面積は、第1スロート280の中流域に至るまで漸減される。
【0094】
図9(A),図9(B)は、それぞれ、図8の9A−9A線,9B−9B線に沿って切断したときの矢視形状を表わしている。図示するように、受け部281における始端部280aの内径は、第1オリフィス207の終端207bよりも大きな内径(約3.8ミリメートル)とされている。また、図9(C),図9(D)は、それぞれ、図8の9C−9C線,9D−9D線に沿って切断したときの矢視形状を表わしている。図示するように、受け部281の内径は、上流側に向かうにつれて漸減されており、図9(D)に示した中流域においては、約2ミリメートルとされている。
【0095】
一方、第1スロート280の中流域から出口31bにかけては、受け部281に進入した洗浄水を出口31bに案内する筒部282が設けられている。この筒部282は、第1スロート280の中流域から出口31bに至るまで、ほぼ同じ内径とし、流路断面積をほぼ一定に保持する筒形周壁202bを備える。この筒形周壁202bは略円柱の側面形状を有する。
【0096】
A−6.連通流路COにおける洗浄水の挙動
このように構成された連通流路COを洗浄水が流れる様子を図10に示した。この図10では、洗浄面積SMを「SMd>SMc>SMb>SMa」と仮定した上で、洗浄面積SMdを有する旋回洗浄水RWd,洗浄面積SMcを有する旋回洗浄水RWc,洗浄面積SMbを有する旋回洗浄水RWb,洗浄面積SMaを有する直進洗浄水UWを、それぞれ二点鎖線,一点差線,破線,長破線を用いて示している。図11は第1スロート280内における旋回洗浄水RWb,RWc,RWdの流速の変化を示す説明図である。なお、図10ないし図11に示した直進洗浄水UWおよび旋回洗浄水RWb,RWc,RWdは、いずれも、水勢レベルが「3」に設定されている状態(即ち、流調弁306から流路・流量比切替機構71への単位時間当たりの供給流量がほぼ一定の状態)でお尻洗浄用吐水孔31から吐水され、上記4種類の洗浄水UW,RWb,RWc,RWdの旋回の程度は、旋回量調整ボタン92a,92bの操作により調節されたものとする。
【0097】
まず、第1オリフィス207の終端207bから吐出された直進洗浄水UWは、図10に示すように、エアーギャップ室204を通過して第1スロート280の受け部281に進入した後、集束周壁202aや筒形周壁202bに衝突することなく出口31bから吐水される。このため、出口31bから吐出される直進洗浄水UWの流速は、第1スロート280内での衝突により終端207bから吐出された時点の流速v0よりも低減されることがなく、終端207bから吐出された時点とほぼ同じ速さに保持される。この結果、直進洗浄水UWは、高い流速を保持した状態で出口31bから吐水される。このような吐水によって、刺激の強い洗浄感を得ることができる。
【0098】
第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWbは、図10に示すように、エアーギャップ室204,第1スロート280の受け部281を通過し、筒部282に進入する。筒部282に進入した旋回洗浄水RWbは、図11に示すように、筒形周壁202bに対して小さな角度Θ1で衝突する。こうした小さな角度Θ1での衝突により旋回洗浄水RWbの速度成分は僅かに失われる(ベクトルVnbを参照)。衝突後の旋回洗浄水RWbは、旋回の最外周部を筒形周壁202bに当接させながら筒形周壁202bの形状に案内されて出口31bに向かう。このため、出口31bから吐出される旋回洗浄水RWbの流速v1は、筒形周壁202bとの衝突によって、終端207bから吐出された時点の流速v0bよりも僅かに低減される。この結果、旋回洗浄水RWbは、直進洗浄水UWよりも流速が僅かに弱められ、エジェクタ効果により空気を若干含んだ状態で出口31bから吐水され、洗浄面積SMbの範囲に広がる。このような吐水によって、直進洗浄水UWよりもやや軟らかさを持った洗浄感の吐水を得ることができる。
【0099】
第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWcは、図10に示すように、エアーギャップ室204を通過して第1スロート280の受け部281に進入する。受け部281に進入した旋回洗浄水RWcは、図11に示すように、集束周壁202aに対して角度Θ1よりも大きな角度Θ2で衝突する。こうした角度Θ2での衝突により、旋回洗浄水RWcの速度成分は旋回洗浄水RWbのときよりも大きく失われ(ベクトルVncを参照)、この結果、終端207bから吐出された時点の旋回洗浄水RWcの流速v0cが大きく低減される。このように流速が低減された旋回洗浄水RWcは、集束周壁202aに沿って筒部282に進入し、旋回の最外周部を筒形周壁202bに当接させながら筒形周壁202bの形状に案内されて出口31bに向かう。このため、出口31bから吐出される旋回洗浄水RWcの流速v2は、旋回洗浄水RWbよりも大きな角度Θ2で筒形周壁202bに衝突することにより、旋回洗浄水RWbの流速v1よりも遅くなる。この結果、旋回洗浄水RWcは、旋回洗浄水RWbよりも流速が弱められ、空気もより多く含んだ状態で出口31bから吐出され、洗浄面積SMcの範囲に広がる。このような吐水によって、旋回洗浄水RWbによる吐水よりも軟らかさを持った洗浄感の吐水を得ることができる。
【0100】
第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWdは、図10に示すように、エアーギャップ室204を通過して第1スロート280の受け部281に進入する。受け部281に進入した旋回洗浄水RWdは、図11に示すように、集束周壁202aに対して角度Θ2よりも更に大きな角度Θ3で衝突する。こうした角度Θ3での衝突により、旋回洗浄水RWdの速度成分は旋回洗浄水RWcのときよりも大きく失われ(ベクトルVndを参照)、この結果、終端207bから吐出された時点の旋回洗浄水RWdの流速v0dが更に大きく低減される。このように流速が低減された旋回洗浄水RWdは、集束周壁202aに沿って筒部282に進入し、旋回の最外周部を筒形周壁202bに当接させながら筒形周壁202bの形状に案内されて出口31bに向かう。このため、出口31bから吐出される旋回洗浄水RWdの流速v3は、旋回洗浄水RWcよりも更に大きな角度Θ3で筒形周壁202bに衝突することにより、旋回洗浄水RWbの流速v2よりも遅くなる。この結果、旋回洗浄水RWdは、旋回洗浄水RWcよりも流速が弱められ、空気も更に多く含んだ状態で出口31bから吐出され、洗浄面積SMdの範囲に広がる。このような吐水によって、旋回洗浄水RWcによる吐水よりも更に軟らかさを持った洗浄感の吐水を得ることができる。
【0101】
A−7.効果
以上説明した本実施例の局部洗浄装置300は、第1オリフィス207の終端207bと対向する位置に第1スロート280の受け部281を設け、この受け部281を、終端207bよりも大きな流路断面積の始端部280aと、該始端部280aにおける流路断面積を下流側に向かうにつれて漸減する集束周壁202aによって構成する。このため、第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWは、受け部281の集束周壁202aに向かって広がりながら進行し、集束周壁202aに対して大きな角度で衝突する(図11に示した角度Θ2,角度Θ3を参照)。このような衝突により、旋回洗浄水RWの流速が低減され、お尻洗浄用吐水孔31の出口31bから吐出される洗浄水の吐水流速が適当に弱められると共に、衝突による衝撃で洗浄水がより細分化される。従って、お尻洗浄用吐水孔31から吐水される旋回洗浄水RWのやわらか感を簡単な構造で高めることができる。
【0102】
更に、第1オリフィス207の終端207bから吐出された、広い洗浄面積を有する旋回洗浄水RW(例えば、図10における旋回洗浄水RWcや旋回洗浄水RWd)は、始端部280aにおける流路断面積を下流側に向かうにつれて漸減する集束周壁202aに、洗浄水の広がりの度合いに応じた角度で衝突する。このような衝突により、洗浄水の流速は旋回の程度に応じて低減される。従って、旋回洗浄水RWについて、吐水流速を弱める程度や細分化される程度を調節することが容易となり、所望のやわらか感の洗浄水を簡単な構造で得ることができる。
【0103】
また、本実施例の局部洗浄装置300は、第1オリフィス207の終端207bと受け部281の始端部との間に、外部の大気が流入可能に構成されたエアーギャップ室204を備える。このため、第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWは、受け部281の集束周壁202aへの衝突により洗浄水が細分化された状態で間隙内の空気を巻き込み、お尻洗浄用吐水孔31の出口31bに向かう。従って、旋回洗浄水RWの空気の巻き込み量を単なるエジェクタ効果による巻き込み量よりも増大させることが可能となる。また、第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWは、受け部281の集束周壁202aへの衝突によって細分化された状態で空気を巻き込むので、旋回洗浄水RWと空気とを良好に攪拌し、洗浄水により多くの空気を混入させることができる。
【0104】
更に、本実施例の局部洗浄装置300は、第1渦室206において付与される旋回成分の大きさを調整する手段として流路・流量比切替機構71を備え、第1オリフィス207の終端207bから旋回力の異なる旋回洗浄水RW(例えば、図11に示した旋回洗浄水RWb,RWc,RWd)を第1スロート280の受け部281に向けて吐出する。第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWは、付与された旋回成分の大きさに応じて広がりながら受け部281に向かい、旋回成分の大きさに応じた角度で受け部281の集束周壁202aに衝突する。従って、旋回洗浄水RWの吐水流速や空気の巻き込み量などを旋回力の強弱に応じて変化させることが可能となる。こうした洗浄水が吐水されることで、使用者は、洗浄範囲の広狭に応じて異なったやわらか感を得ることができる。
【0105】
また、このような旋回力の強弱の調整により、第1オリフィス207の終端207bから吐出される旋回洗浄水RWの拡散範囲を変化させたとき、集束周壁202aへの衝突角度は拡散範囲の変化に伴って連続的に変化する。例えば、図11に示した集束周壁202aに対して角度Θ3で衝突する旋回洗浄水RWdの拡散範囲を徐々に狭めていくと、集束周壁202aへの衝突角度は角度Θ3から徐々に小さくなる。従って、旋回成分の大きさを小さくしていったときに吐水流速の減速度合いを徐々に低減することが可能となり、急激な吐水流速の変化によって洗浄感が極端に変化してしまうことを防止することができる。
【0106】
B.第1の応用例
上記実施例の構成では、旋回洗浄水RWに関し、第1渦室206内で洗浄水に付与される旋回力(以下、旋回力rという)と洗浄水の吐水水勢Fとを独立に制御する構成とした(前者は旋回量調整ボタン92a,92bの操作に基づいた流路・流量比切替機構71の段階的制御、後者は水勢調整ボタン95a,95bの操作に基づいた流調弁306の段階的制御)。以下に説明する第1の応用例の局部洗浄装置700は、旋回洗浄水RWに付与される旋回力rの大きさを吐水水勢Fの設定に関連付けて制御するものである。
【0107】
図12は局部洗浄装置700の概略構成を表すブロック図である。図12に示す局部洗浄装置700は、上記実施例において図1に示した局部洗浄装置300とほぼ共通の各部を備える。図12では、この共通の各部につき、図1と同じ符号を用いて表わしている。
【0108】
一方、局部洗浄装置700は、吐水水勢Fについて「1」から「5」までの水勢レベルが設定されたときの電子制御装置712における制御内容が、上記実施例と異なっている。即ち、電子制御装置712は、水勢レベルが設定されたとき、この水勢レベルの設定値に応じて旋回力rの大きさを変更する制御を行なう。このような制御の詳細内容および手順を図13の第1制御ルーチンに示した。この第1制御ルーチンは、局部洗浄装置700への通電に伴って吐水水勢Fのデフォルト設定値(例えば、水勢レベル「3」)が電子制御装置712に読み込まれたとき、若しくは、電子制御装置712が水勢調整ボタン795a,795bの操作信号を受け取ったときに起動する。
【0109】
本ルーチンが起動されると、まず、読み込まれたデフォルト設定値若しくは水勢調整ボタン795a,795bの操作信号から、設定すべき水勢レベルを特定する処理を行なう(ステップS100)。例えば、電子制御装置712が水勢レベル「3」の状態で水勢調整ボタン795bの操作信号を1回受け取った場合には、設定すべき水勢レベルは「2」に特定される。
【0110】
次に、電子制御装置712のROMに格納された第1設定テーブルST1を参照し、ステップS100の処理で特定された水勢レベルについて、吐水流量Qの値および吐水流速Vの値を特定する処理を行なう(ステップS120)。この第1設定テーブルST1に記録された内容の一例を図14に示した。図14に示すように、第1設定テーブルST1には、各水勢レベルの設定値に対応する吐水流量Qと吐水流速Vの値の組み合わせが、グラフの形式で格納されている。このグラフを、以下、吐水特性グラフWKという。この吐水特性グラフWKに示すように、水勢レベルの設定値が「3」である場合には、吐水流量Q,吐水流速Vの値はそれぞれ「Q3」,「V3」となる。この状態から水勢レベルの設定値が「2」に変化すると、吐水流量Q,吐水流速Vの値は共に小さくなり、吐水流量Q,吐水流速Vの値はそれぞれ「Q2」,「V2」となる。
【0111】
図13に戻って説明する。ステップS120の処理の終了後、電子制御装置712のROMに格納された弁開度マップ(図示せず)を参照し、特定された吐水流量Qの値を実現する流調弁306の開度ODを求める処理を行なう(ステップS130)。
【0112】
次に、電子制御装置712のROMに格納された流量比マップMA1を参照し、特定された吐水流速Vの値を実現するロータ477の初期位置からの回転角度ANを求める処理を行なう(ステップS140)。この流量比マップMA1の内容の一例を図15に示した。この流量比マップMA1は、ステップS120において特定された吐水流量Qの値分の流量を流調弁306から流路・流量比切替機構71に供給した場合に、ステップS120において特定された値の吐水流速Vが得られたときのロータ477の回転角度ANの値を、吐水流量Qおよび吐水流速Vの値の組み合わせごとに予め規定したものである。この流量比マップMA1に示すように、吐水流量Q,吐水流速Vの値の組み合わせが「Q5,V5」,「Q4,V4」,「Q3,V3」,「Q2,V2」,「Q1,V1」である場合には、ロータ477の回転角度ANの値は、それぞれ「200°」,「175°」,「168°」,「160°」,「130°」となる。
【0113】
図13に戻って説明する。ステップS140の処理の終了後、ステップS140の処理で特定された回転角度ANを流路・流量比切替機構71に指示する処理を行なう(ステップS160)。続いて、ステップS130の処理で特定された開度ODを流調弁306に指示する処理を行ない(ステップS180)、本ルーチンを終了する。
【0114】
以上の処理において用いられる吐水特性グラフWKの特徴について説明する。図14に示すように、吐水特性グラフWKでは、吐水流速Vは、吐水流量Qの変化率とは異なる割合で変化している。このため、Q/V比の値は、「1」〜「5」までの各水勢レベルの間で異なった値とされており、水勢レベルの設定値が低下するにつれて上昇している。
【0115】
各水勢レベルにおけるQ/V比の値を図16の表に示した。なお、図16に示すQ/V比の値は、図14の吐水特性グラフWKに基づいて算出した仮想値であり、実機における値そのものではない。図16に示すように、水勢レベルの設定値が「5」で吐水流量Q,吐水流速Vの値がそれぞれ「Q5」,「V5」の場合(以下、(水勢レベル,吐水流量,吐水流速)=(5,Q5,V5)と表わす)におけるQ/V比の値は「約1.45」である。このQ/V比の値は、水勢レベルの設定値の低下に伴って上昇し、(水勢レベル,吐水流量,吐水流速)=(4,Q4,V4)の場合には「約1.55」、(水勢レベル,吐水流量,吐水流速)=(3,Q3,V3)の場合には「約1.71」、(水勢レベル,吐水流量,吐水流速)=(2,Q2,V2)の場合には「約1.91」、(水勢レベル,吐水流量,吐水流速)=(1,Q1,V1)の場合には「約2.13」という値となる。この点で、本応用例での制御に用いられる吐水特性グラフWKは、従来における水勢レベル,吐水流量,吐水流速との変化(図14に二点鎖線のグラフで図示したもの)と大きく異なる。即ち、流調弁の開度制御のみによって水勢レベルを調節する従来の手法では、吐水流速Vは吐水流量Qに依存して決定され、吐水流速Vが吐水流量Qの変化率と同じ割合で変化する。このため、図14に太い二点鎖線および細い二点鎖線で示すように、従来におけるQ/V比の値は、「1」〜「5」までの各水勢レベルの間でほぼ同じ「約1.45」という値とされている。
【0116】
このように各水勢レベルにおけるQ/V比を異ならせることは、流調弁306の開度ODによって定まる第1オリフィス207からの旋回洗浄水RWの吐出流速(図11におけるv0b〜v0dを参照)を、旋回力rの程度を変化させて吐水の拡散の程度を変化させることによって、旋回洗浄水RWの集束周壁202aへの衝突角度の大きさに応じて異なった比率で低減し、吐水流速Vの値を吐水流量Qとは無関係にコントロールすることにより実現される。即ち、既述したように、上記実施例の局部洗浄装置300では、旋回洗浄水RWの集束周壁202aへの衝突角度が大きいほど(換言すれば、旋回洗浄水RWの旋回力rが大きいほど)吐水流速Vの低減率が大きくなるという特性を有する。第1の応用例では、こうした特性を考慮して吐水特性グラフWKにおける吐水流速Vの値や流量比マップMA1におけるロータ477の回転角度ANの値を定め、水勢レベルの設定値が小さくなるほど、ロータ477の回転角度ANを小さな値としている。
【0117】
つまり、ロータ477の回転角度ANが小さくなるほど、連通孔422の有効開孔面積Fが大きくなるのでノズル流路322から第1偏心経路222に供給される洗浄水の割合が多くなり、第1渦室206において洗浄水に付与される旋回力rが大きくなる。第1渦室206から第1オリフィス207を通じて吐出される洗浄水の旋回力rが大きくなるほど、集束周壁202aへの衝突角度が大きくなり、吐水流速Vの低減率が高まる。吐水特性グラフWKにプロットされた各水勢レベルごとの吐水流速Vの値(V1〜V5)や、この各値に対応して流量比マップMA1に規定されたロータ477の回転角度ANの値(130°,160°,168°,175°,200°)は、このような旋回洗浄水RWの集束周壁202aへの衝突角度の違いによる減速効果の違いを加味して定められたものなのである。
【0118】
また、吐水特性グラフWKでは、図14に示すように、水勢レベルの設定値が小さい場合に、吐水流速Vを従来よりも小さな値とすると共に、吐水流量Qを従来よりも大きな値としている。このような水勢レベルの設定値が小さい場合における吐水流量Qの増大は、旋回洗浄水RWの集束周壁202aへの衝突による吐水流速Vの低減を可能としたことによってはじめて実現し得たものである。即ち、吐水流量Qを大きくするためには流調弁306の開度ODを大きくしなければならず、このような開度ODの増大に伴って、通常は、吐水流速Vも大きくなってしまう。ところが、上記実施例の局部洗浄装置300では、旋回洗浄水RWの集束周壁202aへの衝突によって吐水流速Vを低減することができる。従って、流調弁306の開度ODを大きくして洗浄水の流量を増加させた場合であっても、この流量の増加に伴って大きくなった旋回洗浄水RWの流速を、集束周壁202aへの衝突によってお尻洗浄用吐水孔31から吐水される前に低減することが可能となる。この結果、水勢レベルの設定値が小さい場合であっても、吐水流量Qが多めの洗浄水を小さな吐水流速Vで吐水することができる。
【0119】
以上説明した第1の応用例の局部洗浄装置700によれば、水勢調整ボタン795a,795bの操作等により洗浄水の水勢の大きさを変更する指示がなされたとき、吐水特性グラフWKや流量比マップMA1を参照し、指示された水勢の大きさに応じて第1渦室206内で洗浄水に付与される旋回力rの大きさを変更する。こうした変更により、第1オリフィス207からの旋回洗浄水RWが受け部281の集束周壁202aに衝突する角度が変更され、この衝突角度の大きさに応じて吐水孔からの吐水流速Vが増減される。従って、所定の水勢(流量および流速)で吐水孔に向かう洗浄水につき、吐水流速Vを吐水流量Rとは独立に増減制御して、水勢の大きさに応じてQ/V比を変化させることが可能となる。この結果、吐水される洗浄水のやわらか感と水量感とのバランスを水勢の大きさごとに変えることが可能となり、多彩な洗浄感の変化を実現することができる。
【0120】
また、第1の応用例では、水勢の大きさを低下方向に変更する指示がなされたとき、旋回力rの大きさを増大方向に変更する。旋回力rの大きさを増大方向に変更すれば、第1オリフィス207からの旋回洗浄水RWが受け部281の集束周壁202aに衝突する角度が大きくなり、吐水流速Vが低減される。従って、水勢調節ボタン95bの操作によって水勢の大きさを低下する指示がなされた場合に、吐水流量Qを大きく低減しなくても、吐水流速Vが十分に低減された洗浄水を吐水することが可能となる。このような洗浄水が吐水されることで、ある程度の水量感を確保しつつやわらか感を得ることが可能となり、低水勢時における水量感不足を補うことができる。
【0121】
なお、第1の応用例の局部洗浄装置700では、「1〜5」までの各水勢レベルについて、ロータ477の回転角度AN(旋回力rの大きさ)は一通りに定まるが、こうして定められた回転角度ANを、上記実施例と同様の旋回量調整ボタン92a,92bの操作によって任意の角度に調整可能としてもよい。
【0122】
また、各水勢レベルにおける吐水水勢Fの大きさは、前述した式(1)により、吐水流量Qや吐水流速Vの値等に基づいて定まるが、各水勢レベルにおける吐水流量Qや吐水流速Vの大きさを、吐水水勢Fを考慮して定めることもできる。例えば、吐水水勢Fが従来品と同じ値となるように吐水流量Qおよび吐水流速Vの値を定めれば、やわらか感と水量感とのバランス変化を、従来品と同等の洗浄強さを保ちつつ、実現することができる。
【0123】
C.第2の応用例
上記実施例の局部洗浄装置300では、お尻洗浄ボタン91の操作に基づいてお尻洗浄用吐水孔31から洗浄水を吐水し、吐水される洗浄水の旋回状態を旋回量調整ボタン92a,92bの操作に基づいて調節可能とした。以下に説明する第2の応用例の局部洗浄装置800は、お尻洗浄用の洗浄水として、旋回状態の異なる複数種類の洗浄水を吐水する複数の吐水モードを備えたことを特徴とするものである。
【0124】
図17は局部洗浄装置800の概略構成を表すブロック図である。図17に示す局部洗浄装置800は、上記実施例において図1に示した局部洗浄装置300とほぼ共通の各部を備える。図17では、この共通の各部につき、図1と同じ符号を用いて表わしている。
【0125】
一方、局部洗浄装置800は、お尻洗浄用吐水孔31からのお尻洗浄用の洗浄水の吐水を開始させるためのボタンとして、お尻洗浄ボタン91に加えて、やわらか洗浄ボタン97を備える。なお、図17では、局部洗浄装置800に旋回量調整ボタン92a,92bを設けない構成としているが、上記実施例と同様に、旋回量調整ボタン92a,92bを設ける構成としても差し支えない。
【0126】
お尻洗浄ボタン91ないしやわらか洗浄ボタン97が操作されたとき、電子制御装置812は、操作内容に応じた吐水モードを決定し、決定された吐水モードの実行を流調弁306および流路・流量比切替機構71に指示する制御を行なう。このような制御の詳細内容および手順を図18の第2制御ルーチンに示した。この第2制御ルーチンは、電子制御装置812がお尻洗浄ボタン91若しくはやわらか洗浄ボタン97の操作信号を受け取ったときに起動する。
【0127】
本ルーチンが起動されると、まず、お尻洗浄ボタン91,やわらか洗浄ボタン97のうちのいずれが操作されたかを判断する処理を行なう(ステップS200)。お尻洗浄ボタン91が操作されたと判断した場合には、電子制御装置812のROMに格納された第2設定テーブルST2を参照し、洗浄モデルAを特定する処理を行なう(ステップS220)。この洗浄モデルAに基づいてお尻洗浄用吐水孔31から洗浄水が吐水されるモードを、以下、通常吐水モードという。一方、ステップS200の処理において、やわらか洗浄ボタン97が操作されたと判断した場合には、第2設定テーブルST2を参照し、洗浄モデルBを特定する処理を行なう(ステップS230)。この洗浄モデルBに基づいてお尻洗浄用吐水孔31から洗浄水が吐水されるモードを、以下、やわらか吐水モードという。
【0128】
この第2設定テーブルST2に記録された内容の一例を図19に示した。図19に示すように、第2設定テーブルST2には、各水勢レベルの設定値に対応する吐水流量Qと吐水流速Vの値の組み合わせが、グラフの形式で格納されている。このグラフを、以下、吐水特性グラフWHという。吐水特性グラフWHは、洗浄モデルAないし洗浄モデルBの吐水流量Qの特性を示す流量特性グラフWH1、洗浄モデルAの吐水流速Vの特性を示す通常流速特性グラフWH2、洗浄モデルBの吐水流速Vの特性を示すやわらか流速特性グラフWH3という3つのグラフから構成されている。従って、前述したステップS220における洗浄モデルAの特定処理では、流量特性グラフWH1および通常流速特性グラフWH2が洗浄モデルAとして特定され、ステップS230における洗浄モデルBの特定処理では、流量特性グラフWH1およびやわらか流速特性グラフWH3が洗浄モデルBとして特定される。
【0129】
図18に戻って説明する。上記のように洗浄モデルを特定した後、水勢調整ボタン95a,95bの操作等に基づく現在の水勢レベルの設定値を読み出し(ステップS240)、該水勢レベルの場合における吐水流量Qの値および吐水流速Vの値を特定する処理を行なう(ステップS250)。この処理は、ステップS220若しくはステップS230の処理において特定された洗浄モデルについての吐水特性グラフWHを参照することにより行なわれる。例えば、通常吐水モードとしての洗浄モデルAが特定されている状態において現在の水勢レベルの設定値として「5」が読み出された場合には、この「5」という水勢レベルの値を図19に示す流量特性グラフWH1および通常流速特性グラフWH2上にプロットする。これにより、吐水流量Q,吐水流速Vの値がそれぞれ「Qa5」,「Va8」に特定される。一方、やわらか吐水モードとしての洗浄モデルBが特定されている状態において現在の水勢レベルの設定値として「5」が読み出された場合には、この「5」という水勢レベルの値を図19に示す流量特性グラフWH1およびやわらか流速特性グラフWH3上にプロットする。これにより、吐水流量Qの値が通常吐水モードの場合と同じ値である「Qa5」に特定され、吐水流速Vの値が通常吐水モードの場合よりも小さな値である「Va5」に特定される。
【0130】
ステップS250の処理の終了後、電子制御装置812のROMに格納された弁開度マップ(図示せず)を参照し、特定された吐水流量Qの値を実現する流調弁306の開度ODを求める処理を行なう(ステップS260)。次に、電子制御装置812のROMに格納された流量比マップ(図示せず)を参照し、特定された吐水流速Vの値を実現するロータ477の初期位置からの回転角度ANを求める処理を行なう(ステップS270)。この流量比マップは、ステップS250において特定された吐水流量Qの値分の流量を流調弁306から流路・流量比切替機構71に供給した場合に、ステップS250において特定された値の吐水流速Vが得られたときのロータ477の回転角度ANの値を、吐水流量Qおよび吐水流速Vの値の組み合わせごとに予め規定したものである。
【0131】
本応用例における流量比マップでは、洗浄モデルAの場合には、吐水流速Vの値の変化(図19に示したVa8〜Va4の範囲での変化)に伴って回転角度ANの値を「200°〜168°」の範囲で変化させ、洗浄モデルBの場合には、吐水流速Vの値の変化(図19に示したVa5〜Va1の範囲での変化)に伴って回転角度ANの値を「160°〜130°」の範囲で変化させる制御内容を規定している。例えば、図19に示す洗浄モデルAにおいて、吐水流量Q,吐水流速Vの値が最大の「Qa5,Va8」となる水勢レベルが「5」の場合には回転角度ANの値は「200°」となり、吐水流量Q,吐水流速Vの値が最小の「Qa1,Va4」となる水勢レベルが「1」の場合には回転角度ANの値は「168°」となる。また、図19に示す洗浄モデルBにおいて、吐水流量Q,吐水流速Vの値が最大の「Qa5,Va5」となる水勢レベルが「5」の場合には回転角度ANの値は「160°」となり、吐水流量Q,吐水流速Vの値が最小の「Qa1,Va1」となる水勢レベルが「1」の場合には回転角度ANの値は「130°」となる。
【0132】
次に、こうして特定された回転角度ANを流路・流量比切替機構71に指示する処理を行なう(ステップS280)。続いて、ステップS260の処理で特定された開度ODを流調弁306に指示する処理を行ない(ステップS290)、本ルーチンを終了する。
【0133】
こうした処理により、通常吐水モード,やわらか吐水モードでは、それぞれ、以下のような形態の洗浄水が、一つのお尻洗浄用吐水孔31から吐水される。
【0134】
(1)通常吐水モード
▲1▼ 水勢レベルの設定値が「5」の場合
この場合には、図19における流量特性グラフWH1,通常流速特性グラフWH2に示したように、吐水流量Q,吐水流速Vが、それぞれ最大の「Qa5」,「Va8」という値となる。この「Va8」という吐水流速Vの値は、ロータ477の回転角度ANを「200°」とすることによりロータ477の連通孔423を全て開放された状態とし(図5(B)を参照)、ノズル流路323,軸心指向経路223のみから第1渦室206に洗浄水を流入することによって実現される。従って、お尻洗浄用吐水孔31からは、直進洗浄水UWが、多くの吐水流量Qで、且つ、第1スロート280に干渉して流速が低減されることなく速い吐水流速Vで吐水される(図2ないし図10を参照)、こうした吐水により、たっぷりの水量感と強い刺激感を得ることができる。
【0135】
▲2▼ 水勢レベルの設定値が「4」〜「1」の場合
この場合には、図19における流量特性グラフWH1,通常流速特性グラフWH2に示したように、水勢レベルの低下に伴って、吐水流速Vは吐水流量Qよりも大きな減少率で減少する。こうした吐水流速Vの大きな率での減少は、水勢調整ボタン95bの操作に伴ってロータ477の回転角度ANを200°〜168°の範囲で変化させることにより、吐水流速Vを吐水流量Qとは独立して低減することによって実現される。即ち、ロータ477の回転角度ANを上記の範囲で変化させると、ロータ477の連通孔423の有効開孔面積Zが減少される一方、連通孔422の有効開孔面積Zが第二幅狭部422bの範囲で増加され(図5(C)を参照)、この結果、第1渦室206には、ノズル流路323,軸心指向経路223からの洗浄水に加えて、ノズル流路322,第1偏心経路222からの洗浄水が流入される。このため、第1渦室206において旋回力rを有する旋回洗浄水RWが生成され、この旋回洗浄水RWは、受け部281の集束周壁202aに衝突することにより、衝突しなかった場合よりも吐水流速Vが低減された状態で、お尻洗浄用吐水孔31から吐水される(図2ないし図10における旋回洗浄水RWcを参照)。こうした吐水により、通常のおしり洗浄に十分なやわらか感を、水量感を損なうことなく得ることができる。
【0136】
(2)やわらか吐水モード
図19において流量特性グラフWH1,やわらか流速特性グラフWH3に示したように、やわらか吐水モードでは、通常吐水モードの場合と同じ吐水流量Qで、通常吐水モードの場合よりも吐水流速Vを低減している。
【0137】
▲1▼ 水勢レベルの設定値が「5」の場合
この場合には、ロータ477の回転角度ANが、通常吐水モードにおける水勢レベルの設定値が「1」のときよりも小さな値(160°)とされている。このため、通常吐水モードにおける水勢レベルの設定値が「1」の場合と比較して、ロータ477の連通孔423の有効開孔面積Zが減少する一方、連通孔422の有効開孔面積Zが増加し、ノズル流路322,第1偏心経路222から第1渦室206への洗浄水の流入量が多くなる。このため、第1渦室206においては、通常吐水モードの場合よりも大きな旋回力rを有する旋回洗浄水RWが生成される。この旋回洗浄水RWは、通常吐水モードの場合よりも大きな角度で受け部281の集束周壁202aに衝突し、通常吐水モードの場合よりも吐水流速Vが低減された状態で、お尻洗浄用吐水孔31から吐水される。こうした吐水により、やわらか吐水モードにおいて、水勢レベルを最大とした場合においても十分なやわらか感を得ることができる。
【0138】
▲2▼ 水勢レベルの設定値が「4」〜「1」の場合
この場合には、通常吐水モードにおける上記設定値の場合と同様に、水勢レベルの低下に伴って、吐水流速Vは吐水流量Qよりも大きな減少率で減少する。こうした吐水流速Vの大きな率での減少は、水勢調整ボタン95bの操作に伴ってロータ477の回転角度ANを160°〜130°の範囲で変化させることにより、吐水流速Vを吐水流量Qとは独立して低減することによって実現される。即ち、ロータ477の回転角度ANを上記の範囲で変化させると、連通孔422の有効開孔面積Zが徐々に増加され、この結果、ノズル流路322,第1偏心経路222から第1渦室206に流入される洗浄水が徐々に増量される。このため、水勢レベルの低下に伴って、第1渦室206において生成される旋回洗浄水RWの旋回力rは徐々に大きくなり、旋回洗浄水RWが受け部281の集束周壁202aに衝突する角度が徐々に大きくなる。従って、お尻洗浄用吐水孔31から、吐水流速Vが大きく低減された旋回洗浄水RWが吐水される。こうした吐水により、洗浄水の十分な水量感を保持しつつ、やわらか感をより一層高めることが可能となり、従来では享受し得なかった洗浄感を得ることができる。
【0139】
以上説明したように、通常吐水モードおよびやわらか吐水モードでは、図19に吐水特性グラフWHで示したように、水勢レベルの低下に伴って吐水流速Vを吐水流量Qとは独立して低減することにより、吐水流速Vが、吐水流量Qの変化率とは異なる割合で変化している。このため、Q/V比の値は、通常吐水モードとやわらか吐水モードとの間で異なった値となり、各モードにおける「1」〜「5」までの各水勢レベルの間で異なった値となる。
【0140】
以上説明した第2の応用例の局部洗浄装置800によれば、通常吐水モード,やわらか吐水モードの二つのモードを備え、各モードにおいて、互いにQ/V比を異にする複数種類の洗浄水を一のお尻洗浄用吐水孔31から吐水する。通常吐水モードからやわらか吐水モードへの切り換えは、お尻洗浄ボタン91、やわらか洗浄ボタン97が操作されたとき、モード間における吐水流量Qを変化させることなく、上記各ボタン91,97の操作に応じて第1渦室206において付与される旋回力rの大きさを変更することにより実現される。従って、上記二つのモード間における洗浄水のQ/V比の変更を、吐水流量Qを変化させることなく行なうことが可能となり、やわらか感と水量感とのバランスが異なる洗浄水を吐水する二つのモードを、簡単な構造で実現することができる。
【0141】
また、第2の応用例の局部洗浄装置800によれば、通常吐水モードにおいて、直進洗浄水UWを第1スロート280に干渉させることなく吐水し、やわらか吐水モードにおいて、旋回洗浄水RWを第1スロート280の受け部281に干渉させた上で吐水する。こうすれば、直進洗浄水UWは、第1スロート280の通過による流速低減を来たすことなく吐水されるので、通常吐水モードにおいて、洗浄範囲が集中的で空気の混入も少ない、力強い吐水を実現することができる。一方、やわらか吐水モードでは、洗浄水の流速が第1スロート280を通過する際に、流路壁面への衝突により吐水が細分化されると同時に空気が混入され、かつ充分に減速されるので、洗浄範囲が広く充分空気が混入された、やわらかい吐水を実現することができる。
【0142】
なお、上記した第2の応用例では、通常吐水モード,やわらか吐水モードという二種類の吐水モードを設けたが、勿論、やわらか感と水量感とのバランスが異なる洗浄水を吐水するモードを、三つ以上設けても差し支えない。
【0143】
D.変形例
上記実施例ないし応用例の局部洗浄装置に関しては、種々の変形が可能である。以下、代表的な変形例を列挙して説明する。
【0144】
上記実施例ないし応用例では、受け部281が、第1スロート280の始端部280a側からお尻洗浄用吐水孔31の出口31b方向に流路断面積を集束する集束周壁202aを備えるように構成したが、受け部281を構成する内周壁を上記の集束周壁202a以外の他の形状で形成することも可能である。このような他の形状としては、第1オリフィス207からの旋回洗浄水RWの衝突によって旋回洗浄水RWの吐水流速Vを低減させる種々の形状を考えることができるが、本明細書では、これらの種々の形状のうちの代表的な形状を第1の変形例,第2の変形例として説明する。
【0145】
図20は、他の内周壁形状を有する受け部581を備えた第1スロート580を第1の変形例として示す説明図である。図20(A)では第1スロート580の周辺領域を拡大して示している。図20(A)に示すように、第1スロート580は、上記実施例において図8に示した第1スロート280とほぼ共通の各部を備える。図20では、この共通の各部につき、符号の十の位以下を図8と同じ数字ないし英字を用いて表わしている。
【0146】
図20(A)に示すように、受け部581の内周壁は、複数の段部502fが形成された略階段形状の段付集束周壁502aとされている。各段部502fは、第1スロート580の管路中心に向かって略水平方向に延出された水平面502faと、水平面502faの延出終端から略鉛直上方向に延出された垂直面502fbを備える。このような段部502fを拡大した様子を図20(B)に示した。こうした段付集束周壁502aにより、受け部581の流路断面積は、第1スロート580の始端部580a側からお尻洗浄用吐水孔531の出口531b方向に段階的に減少される。
【0147】
このように構成された第1スロート580によれば、第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回洗浄水RWは、エアーギャップ室204を通過して第1スロート580の受け部581に進入し、受け部581の段付集束周壁502aに衝突する。段付集束周壁502aの垂直面502fbに衝突した洗浄水は、図20(B)に太い矢印で示すように、垂直面502fbに沿って略鉛直上方向に流れた後に水平面502faに衝突する。水平面502faに衝突した洗浄水は、水平面502faに沿って略水平方向に流れ、後からきた洗浄水に押されながら筒部582に進入し、お尻洗浄用吐水孔531の出口531b方向に向かう。こうした水平面502faとの衝突により、出口531b方向に向かう洗浄水は、その流速が大きく低減されると共に微細に細分化され、この結果、より多量の空気が巻き込まれる。従って、吐水される洗浄水のやわらか感をより一層高めることができる。
【0148】
なお、図20では、受け部581の内周壁のほぼ全範囲に亘って段部502fを設けたが、受け部581の内周壁の一部の範囲にのみ段部502fを設ける構成としても差し支えない。
【0149】
また、図20(C)に示すように、上記の段部502fに替えて、第1スロート580の管路中心に向かって斜め上方向に延出された斜面502gaと、斜面502gaの延出終端から略鉛直上方向に延出された垂直面502gbとを備えた段部502gを設けてもよい。こうすれば、段付集束周壁502aの垂直面502gbに衝突した洗浄水は、斜面502gaに案内されて、出口531b方向に向かいやすくなる。従って、段付集束周壁502aに衝突した後の洗浄水をより一層スムーズに出口531bに導くことができる。
【0150】
図21は、筒形受け部681を備えた第1スロート680を第2の変形例として示す説明図である。図21に示すように、お尻洗浄用吐水孔631としての第1スロート680は、その管路形状が上流側と下流側とで異なる形状となるように上蓋602に穿設されている。即ち、第1スロート680の上流側には、第1オリフィス207よりも大きな内径の略円筒形の管路形状を有する筒形受け部681が設けられており、第1スロート280の下流側には、筒形受け部681よりも小さな内径で、かつ、第1スロート280よりも大きな内径の略円筒形の管路形状を有する筒部682が設けられている。つまり、筒形受け部681は筒部682よりも大きな流路断面積を有する。
【0151】
上記の管路形状を形成するための壁として、筒形受け部681は、略円柱の側面形状を有する第1筒形周壁602aと、第1筒形周壁602aの上端部から第1スロート680の管路中心に向かって略水平方向に延出された水平壁602cを備え、筒部682は、水平壁602cの延出終端から略鉛直上方向に延出された、略円柱の側面形状の第2筒形周壁602bを備える。
【0152】
このように構成された第1スロート680によれば、第1オリフィス207の終端207bから吐出された旋回範囲の大きな旋回洗浄水RWは、図21に太い矢印で示すように、エアーギャップ室204を通過して第1スロート680の筒形受け部681に進入し、筒形受け部681の第1筒形周壁602aに衝突する。第1筒形周壁602aに衝突した洗浄水は、第1筒形周壁602aに沿って略鉛直上方向に流れた後に水平壁602cに衝突する。水平壁602cに衝突した洗浄水は、水平壁602cに沿って略水平方向に流れ、後からきた洗浄水に押されながら筒部682に進入し、お尻洗浄用吐水孔631の出口631b方向に向かう。こうした水平壁602cとの衝突により、出口631b方向に向かう洗浄水は、その流速が低減されると共に細分化され、この結果、多量の空気が巻き込まれる。従って、吐水される洗浄水のやわらか感を高めることができる。
【0153】
なお、筒形受け部681や筒部682の管路長さや、筒形受け部681と筒部682との流路断面積の比率等は、第1スロート680から吐出される旋回洗浄水RWの旋回範囲に応じて適宜好適な値に定めることができる。また、水平壁602cの傾斜角度を調整することにより、吐水流速Vの低減度合いを調節することができる。
【0154】
上記した実施例ないし応用例では、お尻洗浄用吐水孔31と第1オリフィス207との間、ビデ洗浄用吐水孔33と第2オリフィス209との間にエアーギャップ室204を設け、空気を混入した洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水する構成としたが、このようなエアーギャップ室204を設けず、空気が混入されない洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水する構成としてもよい。このような構成を第3の変形例として図22に示す。図22ではノズルヘッド900の第1スロート980の周辺領域を拡大して示している。この第1スロート980は、上記実施例において図8に示した第1スロート280とほぼ共通の各部を備える。図22では、この共通の各部につき、符号の十の位以下を図8と同じ数字ないし英字を用いて表わしている。
【0155】
図22に示すように、第1オリフィス907の終端907bは、お尻洗浄用吐水孔931として機能する第1スロート980に直接に連通されている。第1スロート980の管路形状は、上記実施例と同様に、上流側と下流側とで異なる形状で形成されている。即ち、第1スロート980の上流側には、第1オリフィス907からの洗浄水を受ける受け部981が設けられている。この受け部981は、第1オリフィス907の終端907bよりも大きな流路断面積で形成された始端部980aと、該始端部980aにおける流路断面積を第1スロート980の下流側に向かうにつれて漸減し出口931b方向に集束する略円錐台の側面形状の集束周壁902aによって構成されている。こうした集束周壁902aにより、始端部980aにおける流路断面積は、第1スロート980の略中流域に至るまで漸減される。一方、第1スロート980の略中流域から出口931bにかけては、受け部981に進入した洗浄水を出口931bに案内する筒部982が設けられている。この筒部982は、第1スロート980の中流域から出口931bに至るまで、ほぼ一定の流路断面積で形成されている。
【0156】
このような第3の変形例の構成によれば、第1オリフィス907の終端の終端を、そのままお尻洗浄用吐水孔として用いることが可能となり、ノズルヘッド900の構造を簡略化することができる。また、第1オリフィス907の終端907bから吐出された旋回洗浄水RWは、図22に太い矢印で示すように、受け部981に向かって広がりながら進行し、集束周壁902aに対して大きな角度で衝突する。このような衝突により、旋回洗浄水RWの流速が低減され、出口931bから吐出される洗浄水の吐水流速が適当に弱められると共に、衝突による衝撃で洗浄水がより細分化される。従って、お尻洗浄用吐水孔931から吐水される旋回洗浄水RWのやわらか感を簡単な構造で高めることができる。
【0157】
以上本発明の実施例,応用例ないし変形例について説明したが、本発明は上記の実施例や応用例,変形例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記した各応用例や各変形例としての構成は、適宜選択して上記実施例に組み合わせることができる。
【0158】
また、上記の各例では、ノズルヘッドの第1渦室内に突状体および突出部材を設けたが、こうした突状体や突出部材のいずれか一方のみを設ける構成や、突状体および突出部材の双方を設けない構成としても差し支えない。
【0159】
上記の各例では、第1渦室206に洗浄水を流入する2つの流路(第1偏心経路222,軸心指向経路223)を設け、軸心指向経路223の流量Q1と第1偏心経路222の流量Q2との配分比率を変えることにより、第1渦室206において付与される旋回成分の大きさを可変とし、お尻洗浄用吐水孔31から旋回程度の異なる多様な洗浄水を吐水する構成としたが、同様の構成(二つの経路から一の渦室に洗浄水を流入する構成)を第2渦室208に採用して、ビデ洗浄用吐水孔33から旋回程度の異なる多様な洗浄水を吐水することも可能である。また、お尻洗浄用吐水孔31,ビデ洗浄用吐水孔33のうちのいずれかのみを設ける構成としてもよい。
【0160】
また、上記の各例において、流調弁306と流路・流量比切替機構71との間に波動発生ユニットを設ける構成としてもよい。この波動発生ユニットは、プランジャの往復動に伴って圧力が周期的に上下変動する脈動を引き起こし、洗浄水を脈動流の状態で下流側の流路・流量比切替機構71に流す。このような構成によれば、脈動流の状態の洗浄水がノズル流路322〜324に供給されるので、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から脈動流と旋回流とが混合された洗浄水を吐水可能となり、より一層多様な洗浄感を提供することができる。併せて、洗浄水の節水を図ることができる。
【0161】
上記の各例では、本発明を人体の局部を洗浄する局部洗浄装置に適用したが、局部洗浄装置以外の吐水装置に本発明を適用することもできる。このような吐水装置としては、例えば、人体の各部の洗浄に用いられる各種の水栓金具(例えば、シャワー装置や洗面用水栓等)などを考えることができる。このような吐水装置に本発明を適用すれば、吐水される洗浄水の旋回の程度を精緻にコントロールすることが可能となる。また、上記実施例と同様の流路・流量比切替機構を設ければ、吐水される洗浄水における旋回の程度の移り変わりを使用者に明確に認識させることが可能となり、人体に好適な洗浄感を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の局部洗浄装置300の概略構成を表すブロック図である。
【図2】局部洗浄装置300が備えるノズルヘッド200の内部構造をノズルヘッド200を透視して概略的に表した説明図である。
【図3】洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。
【図4】流路・流量比切替機構71の構造を示す説明図である。
【図5】ロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態を示す説明図である。
【図6】ノズルヘッド200の上面ないし底面を示す説明図である。
【図7】ノズルヘッド200の側面方向からの形状を示す説明図である。
【図8】図7(A)における第1スロート280の周辺領域を拡大して示す説明図である。
【図9】図8に示したノズルヘッド200を、図8の各切断線に沿って切断したときの矢視形状を示す説明図である。
【図10】連通流路COを洗浄水が流れる様子を示す説明図である。
【図11】第1スロート280内における旋回洗浄水RWb,RWc,RWdの流速の変化を示す説明図である。
【図12】第1の応用例としての局部洗浄装置700の概略構成を表すブロック図である。
【図13】第1制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】第1設定テーブルST1に記録された吐水特性グラフWKを示す説明図である。
【図15】流量比マップMA1の内容の一例を示す説明図である。
【図16】各水勢レベルにおけるQ/V比の値を示す説明図である。
【図17】第2の応用例としての局部洗浄装置800の概略構成を表すブロック図である。
【図18】第2制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】第2設定テーブルST2に記録された吐水特性グラフWHを示す説明図である。
【図20】第1の変形例を示す説明図である。
【図21】第2の変形例を示す説明図である。
【図22】第3の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
31,531,631,931…お尻洗浄用吐水孔
31a,531a,631a…入口
31b,531b,631b,931b…出口
33…ビデ洗浄用吐水孔
71…流路・流量比切替機構
91…お尻洗浄ボタン
92a,92b…旋回量調整ボタン
93…ビデ洗浄ボタン
95a,95b、795a,795b…水勢調整ボタン
96…水勢インジケータ
97…やわらか洗浄ボタン
200,900…ノズルヘッド
202,502,602,902…上蓋
202a,902a…集束周壁
202b,502b,902b…筒形周壁
204…エアーギャップ室
205…凹部
206…第1渦室
206a…上部
206b…下部
206c…偏心経路用開口部
206d…軸心経路用開口部
207,907…第1オリフィス
207b,907b…終端
208…第2渦室
208a…上部
208b…下部
209…第2オリフィス
210…底部蓋
210a…隆起部
210b…連通孔
211…凹部
212…外気導入通路
222…第1偏心経路
223…軸心指向経路
223a…導入路
223b…垂直路
223c…水平路
224…第2偏心経路
230…突状体
240…突出部材
280,580,680,980…第1スロート
280a,580a,680a,980a…始端部
281,581,681,981…受け部
282,582,682…筒部
300,700,800…局部洗浄装置
302…給水ユニット
304…熱交換ユニット
306…流調弁
308…洗浄ノズル
308a…先端部
308b…筒状部
308c…後端部
308d…洗浄水供給口
310…ノズル駆動モータ
312,712,812…電子制御装置
322,323,324…ノズル流路
322a,323a,324a…接続管部
322b,323b,324b…流入口
422,423,424…連通孔
422a…第二幅広部
422b…第二幅狭部
423a…第一幅広部
423b…第一幅狭部
472…ハウジング
472a…切欠部
472y…係止爪
475…切替弁部
476…ステータ
477…ロータ
477a,477b…切欠
478…カップリング
478a…柱頭部
478b…凹部
480…シール部材
481…スプリング
502a…段付集束周壁
502f,502g…段部
502fa…水平面
502fb,502gb…垂直面
502ga…斜面
602a…第1筒形周壁
602b…第2筒形周壁
602c…水平壁
681…筒形受け部

Claims (7)

  1. 給水された洗浄水に旋回成分を付与する旋回付与室と、該旋回付与室において旋回状態とされた洗浄水を吐水する吐水孔と、前記旋回状態とされた洗浄水を前記旋回付与室から前記吐水孔の出口に導く連通流路とを有する吐水装置であって、
    前記連通流路は、上流側から順に、前記旋回付与室に連通される一次管路と、前記吐水孔の出口を終端に備え、前記一次管路からの洗浄水を通過させる二次管路とを有し、
    前記二次管路は、その上流側に、前記一次管路の終端開口および前記吐水孔の出口よりも大きな流路断面積で形成され、前記一次管路からの洗浄水を受ける受け部を備え
    前記受け部は、前記二次管路の始端部側から前記吐水孔の出口方向に流路断面積を段階的に減少させる段部を有する周壁を備える、
    吐水装置。
  2. 請求項1に記載の吐水装置であって、
    前記連通流路は、前記一次管路の終端と前記受け部との間に間隙を有し、
    該間隙は、前記洗浄水の吐水時に外部の大気が流入可能とされている
    吐水装置。
  3. 所定の指示に基づいて前記旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更する変更手段を備えた請求項1または2に記載の吐水装置。
  4. 前記変更手段として、前記吐水孔から吐水される洗浄水の水勢を変更する所定の指示がなされたとき、前記旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更する第一の変更手段を備えた請求項に記載の吐水装置。
  5. 前記第一の変更手段は、前記水勢の大きさを低下方向に変更する指示がなされたとき、前記旋回成分の大きさを増大方向に変更する手段である請求項に記載の吐水装置。
  6. 請求項ないしのいずれかに記載の吐水装置であって、
    一の前記吐水孔から、吐水流量と吐水流速との比率が異なる複数種類の洗浄水を吐水する複数の吐水モードを備え、
    前記変更手段として、前記複数の吐水モードを一の吐水モードから該一の吐水モード以外の他の吐水モードに切り換える所定の指示がなされたとき、前記旋回付与室において付与される旋回成分の大きさを変更する第二の変更手段を備えた
    吐水装置。
  7. 前記一の吐水モードにおいて、前記二次管路に干渉させることなく洗浄水を吐水し、前記他の吐水モードにおいて、前記二次管路に干渉させた上で洗浄水を吐水する請求項に記載の吐水装置。
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