JP3845028B2 - 吐水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐水装置に関し、詳しくは、給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、洗浄水の吐水形態の多様化を図るために、旋回力を有する洗浄水を吐水孔から吐水する技術が提案されている。例えば、特開2001−90155号公報では、吐水孔の下方に、洗浄水が流入する水室およびこの水室に偏心して接続された経路(以下、偏心経路という)を形成しておき、偏心経路から水室に流入した洗浄水を水室の内周壁面に沿って旋回させることにより水室内の洗浄水に吐水孔の軸心を中心とした旋回成分を付与し、旋回成分が付与された洗浄水を吐水孔から吐水する手法が開示されている。この手法によれば、洗浄水は、吐水孔の軸心を中心として旋回しながら、吐水孔から離れるに連れて徐々に広がった形態で吐水されるので、洗浄範囲の拡大を実現することができた。
【0003】
また、上記の特開2001−90155号公報では、洗浄水の水室への流入経路として、上記の偏心経路以外に、水室の軸心を指向した経路(以下、軸心指向経路という)を設け、偏心経路から水室に流入する流量と軸心指向経路から水室に流入する流量との配分を変化させる技術が開示されている。即ち、軸心指向経路からの流入量を偏心経路からの流入量よりも多くすることにより、水室において吐水孔方向への進行力が強めで旋回の程度が小さい洗浄水が生成される。これにより、吐水孔からは、吐水孔の軸心に沿った方向への直進エネルギの大きな洗浄水が略円柱状の状態で吐水されるので、狭い範囲を強く洗浄することができる。一方、偏心経路から水室に流入する流量を軸心指向経路から水室に流入する流量よりも多くした場合には、水室において旋回の程度が大きく且つ吐水孔方向への進行力が弱めの洗浄水が生成される。これにより、吐水孔からは、吐水孔の軸心を中心とした旋回エネルギの大きな洗浄水が螺旋状に広がった状態で吐水されるので、広い範囲をソフトに洗浄することができる。このように、従来においては、偏心経路と軸心指向経路との流量配分を変化させることにより洗浄範囲の広狭と洗浄強さを調整していた。
【0004】
また、上記の技術では、軸心指向経路から略水平方向に水室に流入した洗浄水は、該水室において進行方向が略鉛直上方向に変換された後に、略鉛直上方向に位置する吐水孔に供給されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の偏心経路および水室の構成では、水室内における洗浄水の旋回は水室の内周壁面に沿った洗浄水の流動のみによって実現されるので、水室において洗浄水に付与可能な旋回力や該旋回力の付与によって生成される旋回流の整然さには、一定の限界があった。
【0006】
また、上記した従来の軸心指向経路および水室の構成では、軸心指向経路内を流れてきた洗浄水の進行方向が水室において略鉛直上方向に変換されるが、このような水室内での方向変換をガイドする部材は何ら設けられていなかった。このため、水室に流入した洗浄水が、上記方向変換の前に、水室内で互いに干渉し合ったり、水室内壁に衝突したりすることにより、水室における洗浄水の流れに乱れが生じたり、洗浄水の吐水孔方向への進行力が弱められてしまうおそれがあった。このような乱流の発生や進行力の弱まりという事態は、洗浄水の吐水状態の乱れや洗浄強さの低減を来たすことから、好ましいものではなかった。
【0007】
更に、上記した従来の手法では、偏心経路および軸心指向経路の双方の経路から水室に洗浄水が流入された場合に、双方の経路からの洗浄水が水室内で互いに干渉し合いながら合流することにより、▲1▼水室内で複雑な乱流が生じたり、▲2▼せっかく洗浄水に付与された旋回力が過度に失われたり、▲3▼軸心指向経路から水室に流入した洗浄水の吐水孔方向への進行が妨げられたりするおそれがあった。このような▲1▼〜▲3▼の事態が生じた場合には、吐水される洗浄水の拡散状態が不安定となったり、実際に吐水される洗浄水の旋回力や吐水孔方向への進行力が流量配分によって予定された程度(換言すれば、設計者が意図した旋回の程度)よりも弱くなってしまうため、更なる改良の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、吐水装置において、偏心経路,軸心指向経路の各経路から水室に流入した洗浄水に十分かつ安定した旋回力,進行力を付与し、更に、上記各経路からの洗浄水が水室において合流した際に洗浄水の旋回力,進行力が失われにくくすることにより、不要な圧力損失の増大を招くことなく、常に安定した吐水状態を得ることを目的として、以下の構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の第一の吐水装置は、
給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
該旋回付与室の内周壁に形成された開口部と、
該開口部から前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向して、前記旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように、洗浄水が流入する偏心管路と、
前記旋回付与室の内周壁から離間して、前記旋回付与室の略軸心上の位置に軸心と略平行になるように設けられた突状体と
を備えたことを要旨とする。
【0010】
上記構成を有する本発明の第一の吐水装置では、こうした突状体の存在により、旋回付与室における洗浄水の旋回半径が突状体の外壁より大きな領域だけになるため、旋回中の洗浄水に外乱の影響を受けやすい旋回速度の極低い部分がなくなるとともに、旋回付与室における洗浄水の旋回速度の分布幅も狭くなる。従って、外乱の影響を受けにくく、安定でかつ十分な旋回状態の洗浄水を得ることができる。
【0011】
本発明の第二の吐水装置は、
給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
前記旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部と、
該第一開口部から前記旋回付与室の軸心を指向し、前記旋回付与室に洗浄水を流入する軸心指向管路と、
前記旋回付与室の内周壁の前記第一開口部とは異なる位置に形成された第二開口部と、
該第二開口部から前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向し、前記旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように洗浄水を流入する偏心管路と、
前記旋回付与室の内周壁から離間して、前記旋回付与室の略軸心上の位置に軸心と略平行になるように設けられた突状体と
を備えたことを要旨とする。
【0012】
上記構成を有する本発明の第二の吐水装置では、偏心管路からの洗浄水は、旋回付与室の内周壁面に沿って流入し、該内周壁面と突状体の外周面との間を旋回する。こうした突状体の存在により、旋回中の洗浄水に外乱の影響を受けやすい旋回速度の極低い部分がなくなり、併せて、旋回付与室における洗浄水の旋回速度も速くなる。従って、外乱の影響を受けにくく、安定でかつ十分な旋回状態の吐水を得ることができる。なお、偏心管路から旋回付与室に流入した洗浄水につき、該洗浄水が旋回付与室の内周壁面に沿って旋回された後における洗浄水の流れを、以下、旋回流という。
【0013】
また、上記第一および第二の吐水装置では、突状体を旋回付与室の略軸心上の位置に設ける。このため、偏心管路からの洗浄水は、旋回付与室の軸心を旋回中心として突状体の周囲を旋回することにより、旋回付与室の軸心を中心として均一に広がった旋回流が生成される。従って、旋回力の偏りが少なく、旋回中心から均一に拡散された状態の洗浄水を吐水孔に送り込むことができる。
【0014】
突状体の外周壁を、旋回付与室の内周壁にほぼ倣った形状に形成することも望ましい。こうすれば、偏心管路から旋回付与室内に流入された洗浄水は、ほぼ同じ流路断面積の流路を旋回しながら流れるので、旋回洗浄水の流速の変動が少なくなり、旋回中に流れの乱れが生じにくくなる。従って、流れの整った洗浄水を吐水孔に送り込み、安定した拡散状態の洗浄水を吐水孔から吐水することができる。
【0015】
旋回付与室の内周壁を、略円柱の側面形状を有する下部内壁と、該下部内壁の上端から吐水孔方向に延出され、略円錐の側面形状を有する上部内壁とから構成し、突状体の外周壁を、上記のような旋回付与室の内周壁にほぼ倣った形状に形成することも好適である。こうすれば、旋回付与室内で生成された旋回流を、その流れを乱すことなく旋回半径を徐々に小さくしながら吐水孔方向に送り込むことができる。
【0016】
突状体の外周壁のうちの上部内壁に対応する外周壁である上部外壁を、該上部外壁と上部内壁との間に形成される流路の断面積が吐水孔方向に向かうにつれて漸減するように設けても差し支えない。こうすれば、洗浄水が旋回半径を徐々に小さくしながら吐水孔に向かう際の流路断面積の変化率が緩やかとなり、旋回された洗浄水を旋回付与室から吐水孔に安定して送り込むことができる。また、突状体の外周壁のうちの上部内壁に対応する外周壁である上部外壁を、該上部外壁の頂上部が旋回付与室の下部内壁の最上部よりも高い位置となるように設けた場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0017】
突状体が設けられた範囲において、突状体の外径を旋回付与室の内径の略2割から略7割とすることも好適である。こうすれば、過度な流路断面積の減少による流路抵抗の増加を招くことなく、また洗浄水に過度に強い旋回力が付与されて洗浄水の流れが乱れてしまうことを有効に防止しつつ、安定した旋回状態の吐水を得ることができる。
【0018】
第二開口部と第一開口部が、この順に、旋回付与室の軸心に沿って上下に配置されており、旋回付与室の内周壁と旋回付与室の軸心との間の領域に設けられ、第一開口部から旋回付与室に流入してきた洗浄水が衝突し、該洗浄水を前記吐水孔の位置する上方向に案内する案内部材を備える構成とすることも好適である。この構成によれば、軸心指向管路からの洗浄水は、旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部から旋回付与室に流入した後に案内部材に衝突し、この案内部材が、洗浄水の流れを吐水孔の位置する上方向に案内する。これにより、軸心指向管路から流入した洗浄水の進行方向は旋回付与室において吐水孔方向にスムーズに変換されるので、洗浄水の流れの乱れの発生を低減させることができ、旋回付与室内の洗浄水の吐水孔方向への進行力を失うことなく均一な流れを得ることができる。従って、吐水状態の安定した、洗浄強さの強い洗浄水を吐水孔から吐水することができる。なお、軸心指向管路から旋回付与室に流入した洗浄水につき、その進行方向が旋回付与室において吐水孔方向に変換された後における上方向への洗浄水の流れを、以下、直進流という。
【0019】
本発明の第三の吐水装置は、
給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
前記旋回付与室の軸心を指向し、該旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部において旋回付与室に連通される管路であり、該第一開口部から該旋回付与室に洗浄水を流入する軸心指向管路と、
前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向し、該旋回付与室の内周壁の前記第一開口部とは異なる位置に形成された第二開口部において旋回付与室に連通される管路であり、該第二開口部から該旋回付与室に該旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように洗浄水を流入する偏心管路と
を有し、
前記第二開口部と前記第一開口部が、この順に、前記旋回付与室の軸心に沿って上下に配置されており、
前記旋回付与室の内周壁と前記旋回付与室の軸心との間の領域に設けられ、前記第一開口部から前記旋回付与室に流入してきた洗浄水が衝突し、該洗浄水を前記吐水孔の位置する上方向に案内する案内部材
を備えたことを要旨とする。
【0020】
上記構成を有する本発明の第三の吐水装置では、軸心指向管路からの洗浄水は、旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部から旋回付与室に流入した後に案内部材に衝突する。この案内部材が、洗浄水の流れを吐水孔の位置する上方向に案内する。これにより、軸心指向管路から流入した洗浄水の進行方向は旋回付与室において吐水孔方向にスムーズに変換されるので、洗浄水の流れの乱れの発生を低減させることができ、旋回付与室内の洗浄水の吐水孔方向への進行力を失うことなく均一な流れを得ることができる。従って、吐水状態の安定した、洗浄強さの強い洗浄水を吐水孔から吐水することができる。
【0021】
案内部材を、軸心指向管路から旋回付与室への洗浄水の流入方向に沿って配置することも好適である。こうすれば、軸心指向管路から旋回付与室に流入した洗浄水の流れを乱すような案内部材への衝突を極力少なくすることができる。従って、洗浄水は吐水孔方向にスムーズに変換され、より安定で進行力が確保された直進流を生成することができる。
【0022】
案内部材を、第一開口部に対向する側の領域に設けてもよい。こうすれば、軸心指向管路から旋回付与室に流入した洗浄水が、旋回付与室への流入直後に案内部材に衝突することがなく、スムーズに旋回付与室へと流入するため、旋回付与室に流入してきた洗浄水の進行力を効率的に吐水孔方向に変換することができる。
【0023】
案内部材が配置される位置を、第一開口部に対向する側の領域であって、軸心指向管路の中心軸の延長軌跡線上とすることも望ましい。こうすれば、第一開口部から旋回付与室の左右の内周壁に案内されて流入した各洗浄水は、案内部材に対して両側から対称に衝突するので、旋回付与室における吐水孔方向への流れに偏りが生じにくくなる。従って、吐水孔方向に整流された状態の洗浄水を吐水孔から吐水することができる。
【0024】
案内部材を、吐水孔の位置する上方向に向かう斜面を有する構成としてもよい。こうすれば、洗浄水の進行力の吐水孔方向への変換をよりスムーズにすることができる。
【0025】
以上の吐水装置において、第一開口部が配置された旋回付与室の下方位置において該旋回付与室内を旋回する洗浄水が衝突し、該下方位置における洗浄水の旋回を抑制する旋回抑制部材を設けることも望ましい。こうすれば、旋回付与室の第一開口部付近における洗浄水の旋回は、旋回された洗浄水の旋回抑制部材への衝突によって抑制される。このため、軸心指向管路からの洗浄水は、旋回流の影響を受けることなく旋回付与室内にスムーズに流入され、吐水孔方向に流れが変換された後に旋回流と合流する。従って、偏心管路および軸心指向管路の双方の管路から旋回付与室に洗浄水が流入された場合に、双方の管路からの洗浄水の流れが旋回付与室内において不要に干渉することが防止され、各管路から流入した洗浄水について流れの妨げや乱れが生じにくくなる。この結果、流れの不要な干渉による流れの乱れの発生や、洗浄水の旋回力や進行力の減衰を有効に防止することが可能となり、旋回付与室における旋回流と直進流とのスムーズな合流を実現することができる。
【0026】
上記の吐水装置が旋回抑制部材および案内部材の双方を備える場合には、旋回抑制部材および案内部材を一の部材で構成することも好適である。こうすれば、旋回付与室における「直進流の進行力が確保された均一で安定した流れ」と「直進流と旋回流とのスムーズな合流」を一の部材で実現することが可能となり、吐水装置の構造の簡略化を図ることができる。またその分、旋回付与室の流路空間を広く取ることが可能となり、洗浄水が吐水孔に至るまでに生じる圧力損失の増加を招くことなく、構造の小型化を図ることができる。
【0027】
旋回抑制部材を、その上端が第二開口部の上端部よりも下方に位置するように旋回付与室内に設けることも好適である。こうすれば、旋回した洗浄水は、第二開口部の上端部よりも下方の位置において旋回抑制部材に衝突するので、第二開口部付近における旋回力が必要以上に低減されてしまうことがなく、十分な旋回力を備えた洗浄水を旋回付与室において生成することができる。なお、旋回抑制部材の上端の位置は、得ようとする旋回力の大きさに応じて第二開口部の上端部よりも下方の任意の位置に定めることができる。
【0028】
旋回抑制部材の上端を、第一開口部の上端部と略同一の高さに設けることも好適である。こうすれば、旋回付与室において旋回した洗浄水は第一開口部の上端部よりも下方の範囲で旋回抑制部材に衝突する。従って、軸心指向管路からの流入高さ範囲内における旋回力が確実に低減され、軸心指向管路から旋回付与室に洗浄水が流入する際に旋回付与室において流れの乱れが生じにくくなる。この結果、軸心指向管路からの洗浄水の進行方向を旋回付与室においてスムーズに上方向に変換することが可能となり、乱れのない直進流を生成することができる。
【0029】
旋回抑制部材の上端を曲面で形成することも可能である。こうすれば、洗浄水が旋回抑制部材の上端を旋回しながら通過する際に洗浄水の流れの乱れが生じにくくなる。従って、旋回付与室内における旋回流の乱れの発生を防止することが可能となり、全体として整った旋回流を維持することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係る吐水装置を人体の局部に向けて洗浄水を吐水する局部洗浄装置に適用した実施の形態を実施例に基づき説明する。なお、以下に説明する本実施例の局部洗浄装置300は、そのノズルヘッド200の構造に特徴を有するものであるが、このノズルヘッド200の構造の詳細について説明する前に、局部洗浄装置300の全体構成について図1ないし図2を用いて説明する。図1は、本実施例の局部洗浄装置300の概略構成を表すブロック図である。図2は、局部洗浄装置300が備えるノズルヘッド200の内部構造をノズルヘッド200を透視して概略的に表した説明図である。図3は、ノズルヘッド200が装着される洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。図4は、流路・流量比切替機構71の構造を示す説明図である。図5は、流路・流量比切替機構71内のロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態を示す説明図である。
【0031】
図1に示すように、局部洗浄装置300は、外部の給水源側から、給水ユニット302と熱交換ユニット304と流調弁306と洗浄ノズル308を備える。洗浄ノズル308は、ノズル駆動モータ310により、装置本体内の待機位置からお尻又はビデの各洗浄位置まで進退するよう構成されている。
【0032】
流調弁306は洗浄ノズル308の後端部に接続されている。この後端部における洗浄ノズル308内には流路・流量比切替機構71が組み込まれている。この流路・流量比切替機構71はノズル端部と一体として装着されている。また、洗浄ノズル308の先端部にはノズルヘッド200が装着されており、このノズルヘッド200にはお尻洗浄用吐水孔31,ビデ洗浄用吐水孔33が形成されている。
【0033】
局部洗浄装置300は、流調弁306で流量調整された洗浄水を、流路・流量比切替機構71を介して洗浄ノズル308に送り込み、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から後述のように吐水する。
【0034】
図1に示すように、局部洗浄装置300は電子制御装置312を備える。電子制御装置312は、お尻洗浄ボタン91や旋回量調整ボタン92a,92b、ビデ洗浄ボタン93等の操作ボタン,給水ユニット302,熱交換ユニット304,流調弁306,洗浄ノズル308,ノズル駆動モータ310のぞれぞれと、電気信号の送受信が可能に接続されている。電子制御装置312は、上記の各操作ボタンの操作に応じて、洗浄ノズル308の進退駆動、洗浄水の給水並びに止水、洗浄水の温水化、流調弁306の制御、流路・流量比切替機構71の制御等を行なう。
【0035】
給水源(水道管)から送られた洗浄水(水道水)は、給水ユニット302に導かれ、このユニットの有するストレーナでのごみ等の捕捉を経て、下流の熱交換ユニット304に至る。なお、給水ユニット302は、その管路に図示しない逆止弁、調圧のための調圧弁並びに管路開閉のための電磁弁を備える。よって、電磁弁による回路開放時を受けて、洗浄水は、調圧弁により所定圧力(1次圧:約0.098MPa{約1.0kgf/cm2 })に調圧された状態で、瞬間加熱方式の熱交換ユニット304に流入する。なお、給水ユニット302から熱交換ユニット304に至る間の管路には、リリーフ弁(図示省略)が配設されており、管路内圧力の不用意な上昇の回避が図られている。
【0036】
熱交換ユニット304は、内蔵ヒータへの通電を介して通過洗浄水を瞬間的に温水化するよう構成されている。なお、内蔵ヒータまたはその近傍に、その異常加熱を防止する図示しないバイメタルスイッチや温度ヒューズが装着されている。
【0037】
この場合、熱交換ユニット304は、流入・流出洗浄水の温度を図示しない水温センサで検出しつつ、内蔵ヒータで洗浄水を設定温度の洗浄水に温水化する。そして、このようにして温水化された洗浄水は、流調弁306により流量調整を受けた上で、流路・流量比切替機構71を介して洗浄ノズル308に送られる。なお、熱交換ユニット304には、空焚き防止のためのフロートスイッチや、洗浄ノズル側からの洗浄水逆流を防止するためのバキュームブレーカが設置されている。
【0038】
図1および図2に示すように、本実施例の局部洗浄装置300は、一つのお尻洗浄用吐水孔31から旋回洗浄水RW,直進洗浄水UWという複数の種類の洗浄水を吐水する。ここで、旋回洗浄水RWとは、お尻洗浄用吐水孔31の軸心を中心として螺旋状に旋回された状態でお尻洗浄用吐水孔31の向く方向に吐水される洗浄水をいう。直進洗浄水UWとは、お尻洗浄用吐水孔31の軸心を中心とした螺旋状の旋回状態が形成されることなく、お尻洗浄用吐水孔31の向く方向にほぼ真っ直ぐに吐水される洗浄水をいう。
【0039】
図2に示すように、旋回洗浄水RWは、旋回中心付近が中空で、お尻洗浄用吐水孔31から離れるにつれて徐々に広がった螺旋形状を有する。このような旋回洗浄水RWは、第1偏心経路222から第1渦室206に供給された洗浄水が第1渦室206の内周壁に沿って流れることにより実現される(図2における矢印Q1を参照)。即ち、第1偏心経路222からの洗浄水が略円柱形状を有する第1渦室206の内周壁に沿って供給されることにより、図2に矢印SYで示すように、洗浄水は第1渦室206内で旋回し、これにより洗浄水に旋回成分が付与される。旋回成分が付与された洗浄水は、旋回しながらエアーギャップ室204を通過してお尻洗浄用吐水孔31に向かうのである。
【0040】
このように、第1偏心経路222からの洗浄水が第1渦室206の内周壁面に沿って流入することにより第1渦室206内で旋回状態とされた洗浄水の流れを、以下、旋回流という。
【0041】
こうした螺旋形状の旋回洗浄水RWによれば、局部の広い範囲(図2における洗浄面積SMd内の範囲)をソフトに洗浄することができる。また、旋回により、エアーギャップ室204での空気巻き込み量は多くなり、また、洗浄水が適当に細分化され、十分な柔らか感をもった吐水とすることができる。なお、洗浄面積SMdは、本実施例の局部洗浄装置300において、旋回洗浄水RWの旋回の程度を最大としたときの洗浄面積SMを示している。この最大の洗浄面積SMdは、後述するノズルヘッド200を装着したことによって、従来における最大洗浄面積SMcよりも拡大されている。
【0042】
一方、直進洗浄水UWは、図2に示すように、旋回洗浄水のような中空部分や広がりのない略円柱形状を有する。このような直進洗浄水UWは、軸心指向経路223からの洗浄水が、第1渦室206の軸心に向かって流れ込み、旋回されることなく略鉛直上方に進行することにより実現される(図2における矢印Q2を参照)。第1渦室206内を略鉛直上方に進行した洗浄水は、その進行力によってエアーギャップ室204を通過し、お尻洗浄用吐水孔31に向かう。
【0043】
このように軸心指向経路223から第1渦室206に流入する洗浄水に関し、以下のように用語を定義する。軸心指向経路223から第1渦室206の軸心に向かって流れ込む略水平方向への洗浄水の流れを、以下、軸心指向流という。この軸心指向流の略水平方向への流れは第1渦室206においてお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方向に変換される。こうした進行方向の変換後における上方向への洗浄水の流れを、以下、直進流という。
【0044】
こうした略円柱形状の直進洗浄水UWによれば、局部の狭い範囲(図2における洗浄面積SMa内の範囲)を強く洗浄することができる。また、エアーギャップ室204での空気巻き込み量は、旋回ありの場合より少なくなるので、柔らか感は小さくなる。
【0045】
本実施例では、この第1渦室206,第1偏心経路222,軸心指向経路223が、それぞれ、特許請求の範囲における「旋回付与室」,「偏心管路」,「軸心指向管路」に相当する。勿論、この第1渦室206,第1偏心経路222,軸心指向経路223以外の形態により、特許請求の範囲における「旋回付与室」,「偏心管路」,「軸心指向管路」を実現することも可能である。
【0046】
本実施例では、旋回量調整ボタン92a,92b(図1を参照)の操作により旋回洗浄水RWに付与する旋回の程度を変更し、洗浄面積SMを「SMa≦S≦SMd」の範囲で可変することができる。こうした旋回の程度の変更は、第1偏心経路222および軸心指向経路223の双方から第1渦室206に洗浄水を供給し、それぞれの流量比を変化させることにより実現される(図2における矢印Q1および矢印Q2を参照)。即ち、軸心指向経路223の流量Q1と第1偏心経路222の流量Q2との配分比率を変えることにより、第1渦室206において付与される旋回成分の大きさを変えるのである。
【0047】
次に、上記のノズルヘッド200の第1偏心経路222や軸心指向経路223等に洗浄水を供給する洗浄ノズル308の構成について説明する。図3は洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。
【0048】
洗浄ノズル308は、円筒形の筒状部308bと、この筒状部308bの各端部に連接される先端部308aおよび後端部308cを備える。先端部308aには、図3に示すように、3つの接続管部322a,323a,324aが設けられている。各接続管部322a,323a,324aは、上記の第1偏心経路222,軸心指向経路223,第2偏心経路224(後述)の位置関係に倣って形成されている。この洗浄ノズル308の先端部308aにノズルヘッド200が水密に組み付けられる。
【0049】
図3に示すように、洗浄ノズル308の内部には、接続管部322a,接続管部323a,接続管部324aのそれぞれに連通するノズル流路322,ノズル流路323,ノズル流路324が形成されている。この3つのノズル流路322〜324は、洗浄ノズル308の内部に、筒状部308b内の各流入口322b,323b,324bから先端部308aの各接続管部322a,323a,324aまでを連通する中空部を設けることにより形成されている。なお、図3では、このノズル流路322〜324の形状を、ノズル流路324を代表例として例示している。
【0050】
洗浄ノズル308の後端部308cには、流調弁306で流量調整された洗浄水をノズル内部に供給する洗浄水供給口308dが設けられている。この洗浄水供給口308dに相対する洗浄ノズル308の内部(後端部308cから筒状部308bにかけての内部)には、図3に二点鎖線で示すように、流路・流量比切替機構71が、各流入口322b,323b,324bと密接した状態で嵌合されている。
【0051】
流路・流量比切替機構71の構造を図4に示す。図4(A)は流路・流量比切替機構71の縦断面を示す説明図である。この図4(A)では、説明の便宜上、流路・流量比切替機構71の主機能部である切替弁部475を実線で示すと共に、切替弁部475が収納される筐体(ハウジング472とOリング473)を点線で示している。また、図4(A)では、ノズル流路322〜324との配置関係を明確に理解できるように、筒状部308b内の各流入口322b,323b,324bの位置を二点鎖線で明示している。
【0052】
図4(A)に示すように、流路・流量比切替機構71の外形を構成するハウジング472は、端部に二つの係止爪(図4(A)では一つの係止爪472yのみを表わしている)を備える。この二つの係止爪は、ハウジング472を洗浄ノズル308の筒状部308b内に組み込んだ後に、後端部308cに設けられた係止溝に係止される。このようなハウジング472の後端部308cへの係止により、流路・流量比切替機構71は洗浄ノズル308と一体とされている。よって、流路・流量比切替機構71は洗浄ノズル308と共に進退する。なお、筒状部308b内に組み込まれたハウジング472と筒状部308bとの隙間はOリング473でシールされる。これにより、流路・流量比切替機構71に供給された洗浄水が後端部308cの係止爪側に進出することが防止される。
【0053】
ハウジング472の側面には所定の大きさの切欠部472aが形成されている。この切欠部472aは、ハウジング472を洗浄ノズル308の筒状部308b内に組み込んだときに洗浄ノズル308の後端部308cの洗浄水供給口308dと対向する位置に形成される。洗浄水供給口308dからの洗浄水は、切欠部472aを通ってハウジング472内の切替弁部475に供給される。
【0054】
切替弁部475は、切欠部472aから供給された洗浄水を流出すべき流路(ノズル流路322,323,324)と、複数の流路に洗浄水を流出する場合における流路間の流量比を決定する機能部である。この切替弁部475の構造を図4(A)ないし図4(C)を参照して説明する。図4(B)は流路・流量比切替機構71を図4(A)の4B−4B線で切断したときの矢視形状を表わし、図4(C)は流路・流量比切替機構71を図4(A)の4C−4C線で切断したときの矢視形状を表わしている。
【0055】
図4に示すように、切替弁部475は、ノズル流路322〜324の流入口322b〜324b側から、各流入口322b,323b,324bと連通される連通孔422,423,424を有するステータ476と、洗浄水を流出すべき流入口322b,323b,324bを切り換えるために回転し、ステータ476の各連通孔422,423,424を選択的に開放するロータ477と、このロータ477に嵌合してロータ477に回転を伝達するカップリング478とを有する。
【0056】
なお、ステータ476は、実際にはカップリング478の柱頭部478aに嵌め込まれてロータ477に当接され、ステータ476の一部がハウジング472内に収納されるが、図4(A)では、説明の便宜上、ステータ476をハウジング472内に収納する前の状態で表わしている。
【0057】
カップリング478とロータ477との間には、ロータ477をステータ476に向けて付勢するスプリング481が装着されている。また、カップリング478には、該カップリング478がハウジング472内に収納されたときにハウジング472の内周壁に密接するV字パッキン482が装着されている。
【0058】
図4(A)に示すカップリング478の凹部478bには、図示しないステッピングモータの回転軸が装着される。ステッピングモータの回転軸の回転は、凹部478bを介して、カップリング478に嵌合されたロータ477に伝達される。このように、ロータ477はステッピングモータの駆動力によって回転する。
【0059】
図4(A)に示すように、ステータ476の各連通孔422,423,424は、各流入口322b,323b,324bに対向する面(以下、流入口対向面という)においては、各流入口322b,323b,324b以降の各ノズル流路322,323,324に連通するように等分に開孔されている。この流入口対向面における各連通孔422,423,424の周囲には、各連通孔422,423,424と各流入口322b,323b,324bとの水密を保持するシール部材480が装着されている。一方、ステータ476のロータ477に当接する面(以下、ロータ当接面DPという)においては、図4(A)に示すように、各連通孔422,423,424は流入口対向面よりも小さな孔で開孔されている。
【0060】
また、図4(C)に示すように、ステータ476のロータ当接面DPにおいては、各連通孔422,423,424は互いに異なった形状で開孔されている。まず、軸心指向経路223と接続されたノズル流路323に連通される連通孔423は、所定の幅E1で開孔されて開孔面積が大きくされた部分である第一幅広部423aと、幅E1の40パーセント程度の幅E2で開孔されて開孔面積が第一幅広部423aよりも小さくされた部分である第一幅狭部423bとから構成されている。また、第1偏心経路222と接続されたノズル流路322に連通される連通孔422は、所定の幅E3で開孔されて開孔面積が大きくされた部分である第二幅広部422aと、幅E3の40パーセント程度の幅E4で開孔されて開孔面積が第二幅広部422aよりも小さくされた部分である第二幅狭部422bとから構成されている。第2偏心経路224と接続されたノズル流路324に連通される連通孔424は、略均一の幅で開孔されている。
【0061】
連通孔423と連通孔422とは、ほぼ同じ形状の幅広部と幅狭部を備え、ほぼ同じ開孔面積を有している。一方、連通孔423と連通孔422とは、ロータ477の一回転方向に対する幅広部と幅狭部の配置順序が異なっている。即ち、図4(C)においてロータ477の回転方向を矢印L方向とした場合に、連通孔423では矢印L方向に向かうにつれて第一幅広部423a,第一幅狭部423bの順に配置されているのに対し、連通孔423では矢印L方向に向かうにつれて第二幅狭部422b,第二幅広部422aの順に配置されている。
【0062】
図4(B)に示すように、ロータ477は、その回転により、ステータ476のロータ当接面DPに開孔された3個の連通孔422〜424を1〜3個の範囲で開放可能な二つの切欠477a,477bを有する。切欠477aは,切欠477bよりも大きな切り欠き面積を有する。この切欠477a,477bが連通孔422〜424と重なることにより、切欠477a,477bと連通孔422〜424とが重なり合った面積(以下、有効開孔面積Fという)分だけ、連通孔422〜424が開放される。
【0063】
以上のように構成された局部洗浄装置300では、流調弁306から洗浄ノズル308内の流路・流量比切替機構71に供給された洗浄水は、開放された各連通孔422,423,424から各ノズル流路322,323,324に流れ込む。ノズル流路322,323,324に流れ込んだ洗浄水は、それぞれ、ノズルヘッド200の第1偏心経路222,軸心指向経路223,第2偏心経路224に送り込まれる。
【0064】
ロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態の一例を図5に示す。この図5では有効開孔面積Fの部分を斜線ハッチングで示している。
【0065】
ロータ477が初期位置から約130°回転されると、図5(A)に示すように、ロータ477の切欠477aが1つの連通孔422を包含するように重なり、連通孔422が全て開放された状態となる。この結果、ノズル流路322のみに洗浄水が流入し、ノズル流路322に流入した洗浄水はノズルヘッド200の第1偏心経路222を通って第1渦室206に流入する。第1渦室206に流入した洗浄水には第1渦室206の内周壁によって旋回成分が付与される。これにより、第1渦室206内において旋回流が生成され、お尻洗浄用吐水孔31から、広い洗浄面積SMdを有する旋回洗浄水RW(図2を参照)が吐水される。
【0066】
なお、吐水される洗浄水の水勢の強弱は、流調弁306からの単位時間当たりの流量を増減することにより調節することができる。この流調弁306の流量調節は、局部洗浄装置300本体に設けられた水勢調節ボタン(図示せず)の操作に基づいて行なわれる。
【0067】
ロータ477が初期位置からロータ477が約200°回転されると、図5(B)に示すように、ロータ477の切欠477aが1つの連通孔423を包含するように重なり、連通孔423が全て開放された状態となる。この結果、ノズル流路323のみに洗浄水が流入し、ノズル流路323に流入した洗浄水はノズルヘッド200の軸心指向経路223を通って第1渦室206に流入する。第1渦室206に流入した洗浄水は、旋回せずに第1渦室206を真っ直ぐに上昇する。これにより、第1渦室206内において直進流が生成され、お尻洗浄用吐水孔31から、狭い洗浄面積SMaを有する直進洗浄水UW(図2を参照)が吐水される。
【0068】
ロータ477が初期位置から約130°〜200°未満の範囲で回転した場合には、ロータ477の切欠477aが2つの連通孔422,423に重なる。例えば、図5(C)は、ロータ477が初期位置から約145°回転されたときの様子を示しているが、この場合には、連通孔423および連通孔422が開放されている。このように2つの連通孔422,423が開放される結果、ノズル流路322,323の双方に洗浄水が流入する。ノズル流路322,ノズル流路323に流入した洗浄水は、それぞれ第1偏心経路222,軸心指向経路223を通って第1渦室206において合流する。これにより、第1渦室206内において旋回流および直進流が生成され、お尻洗浄用吐水孔31から、洗浄面積SMが「SMa<SM<SMd」の範囲の洗浄水(図2を参照)が吐水される。
【0069】
なお、2つの連通孔422,423が開放される場合において、各連通孔422,423が開放される程度(具体的には、連通孔422と連通孔423との有効開孔面積Fの比率)はロータ477の回転角度の大きさによって異なる。本実施例における流路・流量比切替機構71は、ロータ477の回転角度を初期位置から約130°〜200°の範囲で可変することにより各連通孔422,423の有効開孔面積Fの比率を変更し、こうした変更によりノズル流路322に供給される洗浄水とノズル流路323に供給される洗浄水との流量比を調節する。こうした流量比の調節は、流調弁306において調節された一定流量の洗浄水に対して行なわれる。即ち、流路・流量比切替機構71は、流調弁306から供給された一定流量の洗浄水をノズル流路322,ノズル流路323のそれぞれにどのような配分で供給するかを決定するのである。
【0070】
本実施例における流路・流量比切替機構71では、ロータ477の回転角度が初期位置から約130°〜200°の範囲において、連通孔423の有効開孔面積Fを大きくすると、連通孔422の有効開孔面積Fが小さくなる。よって、ノズル流路323から軸心指向経路223に供給される洗浄水の水量が多くなると、ノズル流路322から第1偏心経路222に供給される洗浄水の水量が少なくなる。これにより、軸心指向経路223および第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度が変化する。即ち、軸心指向経路223を流れる洗浄水の速度は増加し、第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度は減少する。このため、第1渦室206においては、第1渦室206の軸心周りの旋回力(以下、軸心旋回力という)が小さくなり、第1渦室206の軸心に沿った鉛直上方向への進行力(以下、直進力という)が大きくなった洗浄水が生成される。この結果、お尻洗浄用吐水孔31から、洗浄範囲SMが洗浄範囲SMa(図2を参照)側に近付き、且つ、洗浄強さが強めの洗浄水が吐水される。
【0071】
一方、ロータ477の回転角度が初期位置から約130°〜200°の範囲において、連通孔423の有効開孔面積Fを小さくすると、連通孔422の有効開孔面積Fが大きくなる。よって、ノズル流路323から軸心指向経路223に供給される洗浄水の水量が少なくなると、ノズル流路322から第1偏心経路222に供給される洗浄水の水量が多くなり、これにより、第1偏心経路222を流れる洗浄水の速度は増加し、軸心指向経路223を流れる洗浄水の速度は減少する。このため、第1渦室206においては、軸心旋回力が大きくなり、直進力が小さくなった洗浄水が生成される。この結果、お尻洗浄用吐水孔31から、洗浄範囲SMが洗浄範囲SMd(図2を参照)側に近付き、且つ、洗浄強さが弱めの洗浄水が吐水される。
【0072】
なお、本実施例では、ロータ477が初期位置から約130°〜200°の範囲で回転した場合(連通孔422および連通孔423の双方が開放状態とされる場合)において、連通孔422の有効開孔面積Fと連通孔423の有効開孔面積Fの総和(以下、総開孔面積FTという)は、ロータ477がどのような角度の場合でも4〜6平方ミリメートルの範囲内の値とされており、第1オリフィス207の開口面積(約0.8平方ミリメートル)よりも充分に大きな値とされている。
【0073】
また、本実施例では、ロータ477の回転角度の初期位置から約130°〜200°の範囲での変更は、上述した旋回量調整ボタン92a,92b(図1を参照)の操作に伴って段階的に行なわれる。旋回量調整ボタン92a,92bの一回の操作によるロータ477の回転角度は、カップリング478を介してロータ477に接続されたステッピングモータの回転量を調整することにより、任意の角度に定めることができる。例えば、ロータ477の回転角度を、「旋回量調整ボタン92aが操作されたときに−5°、旋回量調整ボタン92bが操作されたときに+5°」のように予め定めておけばよい。
【0074】
次に、ノズルヘッド200の構造について図6ないし図7を参照しつつ説明する。図6はノズルヘッド200の上面ないし底面を示す説明図である。図6(A)はノズルヘッド200の上面を、図6(B)はノズルヘッド200の底面図を、それぞれ表わしている。図6(C)はノズルヘッド200上面に装着される上蓋202の外面を、図6(D)はノズルヘッド200底面に装着される底部蓋210の内面(ノズルヘッド200底面と対向する面)を、それぞれ表わしている。
【0075】
図7はノズルヘッド200の側面を示す説明図である。図7(A)はノズルヘッド200を図6(A)の7A−7A線で切断したときの断面形状を表わし、図7(B)はノズルヘッド200を図7(A)の7B−7B線で切断したときの断面形状を表わしている。図7(C)は、ノズルヘッド200を図7(A)の矢印W方向から見たときの側面(洗浄ノズル308の先端に接続される面)を表わしている。
【0076】
図6および図7に示すように、ノズルヘッド200は、お尻洗浄用吐水孔31およびお尻洗浄用吐水孔31よりもやや大径のビデ洗浄用吐水孔33を上蓋202に有する。上蓋202は、ノズルヘッド200上面に形成された凹部205(図6(A)を参照)に装着される。なお、上蓋202は着脱自在に構成されている。従って、各吐水孔31,33の孔径が異なる上蓋を種々用意すれば、各吐水孔の孔径の組み合わせを複数選択することができる。
【0077】
図6および図7に示すように、上蓋202が装着される位置の下方には、上記の各吐水孔31,33に連通するエアーギャップ室204が形成されている。このエアーギャップ室204には、お尻洗浄用の洗浄水の通路、ビデ洗浄用の洗浄水の通路、外部の空気をエアーギャップ室204に導入する通路である外気導入通路212が連通されている。
【0078】
エアーギャップ室204に連通されるお尻洗浄用の洗浄水の通路は、図6および図7に示すように、第1オリフィス207,第1渦室206,第1偏心経路222および軸心指向経路223によって構成されている。本実施例では、第1偏心経路222と軸心指向経路223を、第1渦室206に至るまでは合流せずに第1渦室206内において初めて合流する相互に独立した経路として構成している。洗浄ノズル308からノズルヘッド200に供給されたお尻洗浄用の洗浄水は、ノズルヘッド200内の第1偏心経路222ないし軸心指向経路223を通って第1渦室206,第1オリフィス207に流入し、第1オリフィス207からエアーギャップ室204を通過してお尻洗浄用吐水孔31に向かう。
【0079】
なお、本実施例では、製造の容易性を考慮し、ノズルヘッド200の底面から第1渦室206,第1渦室206の近傍の第1偏心経路222および第1渦室206の近傍の軸心指向経路223(後述する垂直路223bと水平路223c)の形状を切り欠くことにより、第1渦室206,第1偏心経路222,垂直路223b,水平路223cを形成している(図6(B)を参照)。
【0080】
第1オリフィス207は、お尻洗浄用吐水孔31と第1渦室206とをつなぐ小径の流路であり、約0.8平方ミリメートルの開口面積を有する。図7(A)に示すように、第1オリフィス207は、流路の始端である第1渦室206の頂上部から流路の末端であるエアーギャップ室204の内底壁まで、ほぼ同径で斜め上方に延出されている。第1オリフィス207の流路の末端は、お尻洗浄用吐水孔31の下方の位置に、お尻洗浄用吐水孔31と対向する位置関係で形成されている。
【0081】
このように本実施例におけるノズルヘッド200は、お尻洗浄用吐水孔31と第1渦室206とをエアーギャップ室204や第1オリフィス207を介して連通する構成を採るが、エアーギャップ室204や第1オリフィス207を設けることなく、お尻洗浄用吐水孔31と第1渦室206を直接連通するようにすることもできる。また、第1オリフィス207の終端をお尻洗浄用吐水孔とし、お尻洗浄用吐水孔を略同一の円筒形状とすることもできる。
【0082】
図7(A)に示すように、第1オリフィス207の下方には、中空部である第1渦室206が形成されている。第1渦室206は、略円筒形状の下部206bと、該下部206bの上端から第1オリフィス207やお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方に延出され、該下部206bと第1オリフィス207の始端とを連通する上部206aを備える。上部206aは、その内径が上方に行くほど狭められた略円錐形状を有しており、上部206aの内径は、第1オリフィス207の始端と連通される頂上部において最小となっている。また、上部206aと第1オリフィス207はR形状をもって接続されている方が、洗浄水を安定した旋回状態のまま第1オリフィス207に導く上では好ましい。このR形状は微小であっても(例えばR0.2程度)上記の効果を奏することができる。このように、本実施例では、第1渦室206の内周壁は、下部206bにおいては略円柱の側面形状を有し、上部206aにおいては略円錐の側面形状を有している。
【0083】
図7(A)に示すように、上部206aの頂上部の中心N2は、下部206bの略円形である内底壁の中心N1を通る垂線N1−N2上に位置する。この垂線N1−N2が第1渦室206の軸心(以下、軸心N1−N2という)となる。
【0084】
図6および図7に示すように、第1渦室206の下部206bには、第1偏心経路222の終端が接続される偏心経路用開口部206cと、軸心指向経路223の終端が接続される軸心経路用開口部206dが形成されている。本実施例では、この偏心経路用開口部206cが特許請求の範囲における「第二開口部」に相当し、軸心経路用開口部206dが特許請求の範囲における「第一開口部」に相当する。勿論、この偏心経路用開口部206cや軸心経路用開口部206d以外の形態により、特許請求の範囲における「第二開口部」や「第一開口部」を実現することも可能である。
【0085】
軸心指向経路223の始端は、図7(C)に示すように、ノズルヘッド200が洗浄ノズル308の先端と接続される面の上方に設けられ、ノズルヘッド200の幅方向の中心線K−K上に形成されている。また、第1偏心経路222の始端は、ノズルヘッド200が洗浄ノズル308の先端と接続される面の下方に設けられ、ノズルヘッド200の幅方向の中心線K−Kから離れた位置(図7(C)で言えば向かって右寄りの位置)に形成されている。
【0086】
図6および図7に示すように、第1偏心経路222は、その始端からノズルヘッド200の先端部を指向して略水平方向に延出され、終端において第1渦室206の下部206bの偏心経路用開口部206cに接続されている。
【0087】
図7(B)に示すように、第1偏心経路222は、図6(D)に示す底部蓋210をノズルヘッド200底面に形成された凹部211に水密に装着することにより形成される。即ち、図6(D)に示すように、底部蓋210のノズルヘッド200底面と対向する面(以下、蓋上面という)には、ノズルヘッド200の底面を切り欠くことにより形成された第1偏心経路222に対応する位置に所定の高さの隆起部210aが形成されている。こうした底部蓋210を凹部211に装着すると、底部蓋210の隆起部210aが第1偏心経路222に相当する切り欠き部分に嵌め込まれる。これにより、図7(B)に示すように、隆起部210aの上面によって第1偏心経路222の底壁が形成される。この結果、第1偏心経路222は、その始端から終端までほぼ水平に延出された状態となる。
【0088】
図6(D)ないし図7(A)に示すように、底部蓋210の蓋上面における隆起部210aの近傍には、突状体230と、該突状体230と一体として形成された突出部材240が設けられている。突状体230および突出部材240は、底部蓋210と一体として、底部蓋210の蓋上面から所定の高さに突出された状態で形成されている。図7(A)に示すように、突状体230および突出部材240は、底部蓋210の凹部211への装着に伴って第1渦室206内に収納される。この突状体230と突出部材240の詳細については後述する。本実施例では、この突状体230が特許請求の範囲における「突状体」に相当し、突出部材240が特許請求の範囲における「案内部材」,「旋回抑制部材」に相当する。勿論、この突状体230と突出部材240以外の形態により、特許請求の範囲における「突状体」や「案内部材」,「旋回抑制部材」を実現することも可能である。
【0089】
なお、底部蓋210を凹部211に装着すると、ノズルヘッド200底面の外気導入通路212が底部蓋210に形成された連通孔210bと合わさる。これにより、ノズルヘッド200外部の空気を連通孔210bから外気導入通路212を介してエアーギャップ室204に供給可能となる。
【0090】
図6(A)に示すように、第1偏心経路222の終端付近における経路は、該経路の中心を通る軌跡線Y−Yが第1渦室206の軸心を示す垂線N1−N2と交差しないように、第1渦室206に向けて延出されている。こうした第1偏心経路222の終端は、該終端における垂線N1−N2とは反対側の側壁が第1渦室206の下部206bの内周壁に沿うように接続されている。このため、第1偏心経路222の終端は、下部206bの軸心N1−N2よりも内周壁寄りの位置を指向している。このように、第1偏心経路222は、軸心N1−N2とは偏心して第1渦室206の下部206bに接続されている。
【0091】
よって、第1偏心経路222から第1渦室206の下部206bの偏心経路用開口部206cに流入した洗浄水は、図2ないし図7に矢印SYで示すように、下部206bの内周壁および上部206aの傾斜内周壁に沿って軸心N1−N2を中心として旋回する。このようにして第1渦室206内で旋回流とされた洗浄水は、第1オリフィス207,エアーギャップ室204を通過し、お尻洗浄用吐水孔31から旋回洗浄水RWとして吐水される。
【0092】
図6および図7に示すように、軸心指向経路223は、上流側から順に、導入路223a,垂直路223b,水平路223cという3つの経路から構成される。導入路223aは、軸心指向経路223の始端からノズルヘッド200の先端部を指向して略水平方向に延出された経路である。垂直路223bは、導入路223aが第1渦室206の手前でノズルヘッド200の底部方向に湾曲された後に略鉛直下方向に延出された経路である。水平路223cは、垂直路223bがノズルヘッド200の底部において第1渦室206方向に湾曲された後に略水平方向に延出され、第1渦室206の下部206bの軸心経路用開口部206dに接続される経路である。
【0093】
図6(A)に示すように、水平路223cは、第1渦室206の下部206bの軸心経路用開口部206dに近づくにつれて流路断面積が大きくなる形状とされている。このような形状を採ることで、軸心指向経路223から下部206bに流入する洗浄水の速度が減速される。これにより、流速分布がほぼ均一な直進流が生成されるので、直進流が旋回流に混合しやすくなり、第1渦室206における旋回状態をより安定的なものにすることができる。
【0094】
図6(A)における7A−7A線は、水平路223cの終端付近における経路の中心を通る軌跡線を表わしている。図6(A)に示すように、水平路223cの終端付近における経路は、7A−7A線が第1渦室206の軸心を示す垂線N1−N2と交差するように、第1渦室206に向けて延出されており、水平路223cの終端の延長軌跡内には下部206bの軸心N1−N2が含まれる。このように、軸心指向経路223は、軸心N1−N2を指向して第1渦室206の下部206bに接続されている。
【0095】
よって、軸心指向経路223から軸心経路用開口部206dに流入した洗浄水は、第1渦室206の軸心N1−N2に向かって略水平方向に流れる(軸心指向流)。このため、軸心指向経路223からの洗浄水は、下部206bの内周壁に沿って旋回せず、図2および図7に矢印SSで示すように、下部206bの内周壁に衝突した後に第1オリフィス207ないしお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方向に方向変換されて上部206aに真っ直ぐに向かう(直進流)。このように上方への進行成分を備えた洗浄水は、第1オリフィス207,エアーギャップ室204を通過し、お尻洗浄用吐水孔31から直進洗浄水UWとして吐水される。
【0096】
図7(A)および図7(B)に示すように、偏心経路用開口部206c,軸心経路用開口部206dは、この順に、第1渦室206の軸心N1−N2に沿って上下に配置されている。即ち、水平方向に延出された第1偏心経路222は、下部206bの上方(上部206a寄りの方向)の側壁に形成された偏心経路用開口部206cにおいて第1渦室206に接続されている。こうした接続位置において、底部蓋210の蓋上面から第1偏心経路222の内部底壁までの高さ(底部蓋210の蓋上面から偏心経路用開口部206cの下端部までの高さ)は、高さH2とされている。一方、軸心指向経路223の水平路223cは、図7(A)に示すように、偏心経路用開口部206cよりも下方(底部蓋210寄りの方向)に位置する下部206bの側壁に形成された軸心経路用開口部206dにおいて第1渦室206に接続されている。こうした接続位置において、底部蓋210の蓋上面から水平路223cの内部天壁までの高さ(底部蓋210の蓋上面から軸心経路用開口部206dの上端部までの高さ)は、高さH2よりも小さな値の高さH1とされている。
【0097】
エアーギャップ室204に連通されるビデ洗浄用の洗浄水の通路は、第2オリフィス209,第2渦室208,第2偏心経路224によって構成されている。第2渦室208,第2偏心経路224は、図6および図7に示すように、前述した第1渦室206や第1偏心経路222とほぼ同様の形態で構成されている。
【0098】
洗浄ノズル308からノズルヘッド200に供給されたビデ洗浄用の洗浄水は、ノズルヘッド200内の第2偏心経路224を通って第2渦室208の下部208bに流入し、下部208bの内周壁および上部206aの傾斜内周壁に沿って旋回する。このようにして第2渦室208において旋回した洗浄水は、第2オリフィス209,エアーギャップ室204を通過し、ビデ洗浄用吐水孔33から旋回した状態で吐水される。
【0099】
突状体230および突出部材240の形状につき、図8ないし図10を参照しつつ説明する。図8は突状体230および突出部材240の斜視形状を示す説明図である。図9はノズルヘッド200の第1渦室206付近の縦断面を示す説明図である。図10はノズルヘッド200上方から見た第1渦室206付近の流路形状を概略的に表した説明図である。なお、図10では、説明の便宜上、突状体230および突出部材240については、ノズルヘッド200を上方から透視した状態で実線を用いて示している。
【0100】
図8および図9に示すように、突状体230は、底部蓋210の蓋上面から上方(第1オリフィス207やお尻洗浄用吐水孔31の位置する方向)に突出された略円筒形状の下部体232と、該下部体232の上端と連続して更に上方に突出された上部体231を備える。
【0101】
上部体231は、その内径が上方に行くほど狭められた略円錐形状を有しており、上部体231の外径は、第1オリフィス207近傍の頂上部231aにおいて最小となっている。このように、突状体230の外周壁は、既述した第1渦室206の内周壁の形状(下部206bにおいては略円柱形状、上部206aにおいては略円錐形状)にほぼ倣った形状で形成されている。なお、突状体230の上端である頂上部231aは曲面で形成されている。
【0102】
また、ノズルヘッド200に底部蓋210を装着した状態において、突状体230は第1渦室206の内周壁から離間した位置に設置され、該設置軸は第1渦室206の軸心N1−N2と略平行にかつ、ほぼ軸心N1−N2上の位置に配置されている。
【0103】
また、図10に示すように、突状体230の外径EDは、第1渦室206内の内径IDの約50パーセント程度とされている。
【0104】
このように突状体230を配置することにより、第1渦室206内には、上流側から順に、下部206bの内周壁と下部体232の外周壁との間、上部206aの内周壁と上部体231の外周壁との間に、第1オリフィス207に向かう洗浄水の流路が形成される。下部206bの内周壁と下部体232の外周壁との間に形成された洗浄水の流路を、以下、下部流路236といい、上部206aの内周壁と上部体231の外周壁との間に形成された洗浄水の流路を、以下、上部流路235という。
【0105】
下部流路236,上部流路235の流路断面を、それぞれ図9(B),図9(C)に示した。図9(B)は第1渦室206を図9(A)の9B−9B線で切断したときの矢視形状を表わし、図9(C)は第1渦室206を図9(A)の9C−9C線で切断したときの矢視形状を表わしている。
【0106】
これらの図からも明らかなように、下部206bおよび下部体232は、互いに相似の関係にある略円柱形状を有する。従って、下部流路236の上方向への流路断面積は、ほぼ同一とされている。
【0107】
また、上部流路235の上方向への流路断面積は下部流路236の流路断面積よりも上に行くに従い小さくなっている。
【0108】
また、更に詳細には、図9に示すように、上部体231の頂上部231aの外壁によって形成される角度Θ2は、上部206aの頂上部の内壁によって形成される角度Θ1よりも小さくされている。これにより、上部流路235の上方向への流路断面積の減少率は、第1オリフィス207やお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方向に向かうにつれて漸増されている。
【0109】
突出部材240は、図8に示すように、第1オリフィス207やお尻洗浄用吐水孔31の位置する上方向に行くにつれて断面積が狭くなる山形の立体形状を有する部材であり、所定の長さl1,所定の幅w1,所定の高さh1を有する。この突出部材240は突状体230と一体として形成されている。
【0110】
そしてまた、突出部材240は、斜め上方向に延出された2つの斜面240g,240hと、これらの2つの斜面の間に位置し略鉛直上方向に延出された端面240fをも備え、突出部材240の上端である頂上部240aは曲面で形成されている。
【0111】
突出部材240は、ノズルヘッド200に底部蓋210を装着した状態において、図9および図10に示すように、第1渦室206の内周壁と第1渦室206の軸心N1−N2との間の領域であって、軸心経路用開口部206dに対向する側の領域に配置されている。この突出部材240は、突出部材240の端面240fが下部206bの内周壁に接触する状態で配置されている。
【0112】
このように突状体230および突出部材240を配置することにより、水平路223cから第1渦室206にかけての略水平方向の流路が形成される。こうした略水平方向の流路は、図10に示すように、水平路223cの流路中心と下部206bの内底壁の中心N1を通る線分E−Eを基準として線対称の形状とされている。こうした線分E−Eによって区切られた左右(図10では上下)の流路は、各部において左右ほぼ同じ高さを有する。よって、線分E−Eによって区切られた左右各々の略水平方向の流路は、各部においてほぼ同じ断面積となっている。
【0113】
また、図9に示すように、突出部材240の高さh1は、底部蓋210の蓋上面から軸心経路用開口部206dの上端部までの高さH1よりも高く、底部蓋210の蓋上面から偏心経路用開口部206cの下端部までの高さH2よりも低い値とされている。
すなわち、突出部材240の上端である頂上部240aは、第1渦室206内での高さ方向において、偏心経路用開口部206cの下端部よりも下方に位置し、軸心経路用開口部206dの上端部よりも上方に位置する。
【0114】
以上述べてきたような形態で、突状体230および突出部材240が配置された第1渦室206に洗浄水が流入されると、洗浄水は第1渦室206内を下記のように流れる。ここで、本実施例の局部洗浄装置300は既述したように、各種の吐水モードでの吐水が可能であるため、その挙動をモデル化した形で説明する。
【0115】
まず、軸心指向経路223からの洗浄水だけが第1渦室206に流入されたときの様子を図11に示す。図11(A)は、ノズルヘッド200上方から見たときの第1渦室206付近の流路形状を概略的に表している。なお、図11(A)では、説明の便宜上、突状体230および突出部材240については、ノズルヘッド200を上方から透視した状態で実線を用いて示している。
【0116】
図11(A)に矢印U2を用いて示すように、軸心指向経路223の垂直路223bから略鉛直下方向に流れてきた洗浄水は、進行方向を略水平方向に変えて水平路223cに流れ込む。水平路223cに流れ込んだ洗浄水は、矢印U3を用いて示すように、水平路223cの流路断面積の漸増によって減速されながら、軸心経路用開口部206dを通じて第1渦室206の下部206bに流れ込む。これにより、水平路223cから下部206bの軸心N1−N2にかけての範囲に軸心指向流が生じる。
【0117】
下部206bに流れ込んだ洗浄水は、軸心N1−N2を指向して暫く下部206b内を略水平方向に進行した後、矢印U4を用いて示すように、突状体230の外周壁面に衝突して突状体230の左右(図11(A)では上下)に分岐される。こうして左右に分岐された洗浄水は、下部206bの内周壁ないし突状体230の外周壁に案内されながら略水平方向に進行する。
【0118】
こうして左右の流路を略水平方向に進行してきた洗浄水は、それぞれ、突出部材240の斜面240h,斜面240gに衝突する。ここで、左右各々の略水平方向の流路は、既述したようにその流路形状が各部において軸心指向経路223の中心軸(図10において線分E−Eで表わされる軸)に対して対称であり、かつ、ほぼ同じ断面積となっている(図10を参照)。そのため、下部206bの左右の内周壁に沿って流入した各洗浄水は、突出部材240に対して両側から対称の形でほぼ同時に到達し、斜面240h,斜面240gに衝突する。
【0119】
突出部材240の斜面240h,斜面240gに衝突した後における洗浄水の流れを図11(B)に示した。この図11(B)は、図11(A)に示した突状体230および突出部材240の周辺領域を、図11(A)の矢印C方向から透視した状態で表わしている。ここで矢印U4,U5を用いて示すように、突出部材240の左右から斜面240h,斜面240gに衝突した洗浄水は、斜面240h,斜面240gの傾斜によって斜め上方向に案内され、これにより、洗浄水の進行方向は、略水平方向から斜め上方向へとスムーズに変換される。
【0120】
そして、各斜面240h,斜面240gに沿って流れてきた洗浄水は、矢印U6を用いて示すように、突出部材240の頂上部240aを通過すると、頂上部240aの上方領域において合流して上方向に向かう。なおこの際頂上部240aは曲面とされているので、頂上部240aの折れや欠けなどが発生して流れの乱れを招く危険性が少なく、より安定した洗浄水の流れを得ることができる。
【0121】
このようにして、略水平方向に流れてきた軸心指向流は略鉛直上方向の進行力を有する直進流として、上部206aに送り込まれる。
【0122】
次に、第1偏心経路222からの洗浄水だけが第1渦室206に流入されたときの様子を図12を参照しつつ説明する。図12は、第1渦室206内を洗浄水が流れる様子を第1渦室206を透視した状態で示す説明図である。この図12では、説明の便宜上、第1渦室206の下部206bに形成された偏心経路用開口部206cおよび軸心経路用開口部206dを二点鎖線を用いて表わし、突状体230および突出部材240を実線を用いて表わしている。
【0123】
第1偏心経路222を略水平方向に流れてきた洗浄水(矢印R1を参照)は、軸心経路用開口部206dよりも上方の偏心経路用開口部206cから第1渦室206の下部206b内に流入する。下部206bの内周壁に沿って流入した洗浄水は、矢印R2を用いて示すように、下部206bの内周壁と突状体230の外周壁との間の下部流路236に流れ込み、突状体230の周囲を旋回する。
【0124】
こうした洗浄水の旋回力は、第1渦室206内に満たされている洗浄水にも伝播される(矢印R3〜R5を参照)。これにより、第1渦室206の上部206aおよび下部206bにおいて軸心N1−N2を中心とした旋回流が生成される。
【0125】
ここで、下部206bの下方に満たされている洗浄水に上記の旋回力が伝播された場合、旋回力が伝播された洗浄水は、図12に矢印R3を用いて示すように、突状体230の周囲を旋回する途中で突出部材240の斜面240gに衝突する。このような突出部材240への衝突により洗浄水の旋回力が失われる。このため、第1渦室206の下部206bの下方領域(突出部材240の頂上部240aよりも下方の領域)では旋回流が生成されない。この点については、直進流との関係において後述する。
【0126】
第1偏心経路222から第1渦室206内への洗浄水の流入が継続されると、第1渦室206内の洗浄水は、矢印R4およびR5を用いて示すように、突状体230の周囲を旋回しながら下部流路236,上部流路235を上昇し、第1オリフィス207に向かう。既述したように、下部流路236の上方向への流路断面積は、ほぼ同一とされているだけでなく、突状体230を設けることにより、外乱の影響を受けやすい旋回半径中心付近にて発生する極低速の旋回成分が除去され、安定した流速で下部流路236を旋回しながら上昇し、上部流路235に向かう。
【0127】
既述したように、上部流路235は、円錐形の内周壁を有する上部206aと円錐形の外周壁を有する上部体231との間に形成されている。このため、洗浄水の旋回中心にある空洞部分(洗浄水の存在しない部分)や洗浄水の旋回範囲(旋回部分の大きさ)は、洗浄水が上部流路235を上昇するにつれて徐々に小さくなり、旋回の回転角速度が徐々に増大していく(図12における矢印R2→矢印R4→矢印R5を参照)。また、上部流路235の流路断面積は上方向に向かうにつれて漸減されているので、上部流路235を上昇する洗浄水の流速は、第1オリフィス207に近づくにつれて徐々に速くなる。
【0128】
このように上部流路235を上昇してきた洗浄水は、突状体230の頂上部231aを越える高さまで上昇したときに、頂上部231aから剥離して第1オリフィス207に向かう。なお、頂上部231aは曲面とされているので、頂上部231aの折れや欠けなどが発生して流れの乱れを招く危険性が少なく、より安定した洗浄水の流れを得ることができる。従って、旋回力を有する洗浄水が第1オリフィス207に送り込まれる際に該洗浄水に流れの乱れが生じてしまうことを有効に防止することができる。
【0129】
次に、軸心指向経路223および第1偏心経路222の双方の経路から、洗浄水が第1渦室206に流入された場合について説明する。流路・流量比切替機構71により連通孔422と連通孔423との有効開孔面積Fの比率が調整されて、第1偏心経路222および軸心指向経路223の双方に洗浄水が供給される。
【0130】
第1偏心経路222から第1渦室206への流入によって生じた洗浄水の旋回力は、第1渦室206内に満たされている洗浄水に伝播される。ここで、既述したように、第1渦室206の下部206bの下方領域(突出部材240の頂上部240aよりも下方の領域)では、旋回力が伝播された洗浄水の突出部材240の斜面240gへの衝突により、旋回流の生成が抑制される。このため、第1渦室206内においては、突出部材240の頂上部240aよりも上方の領域において軸心N1−N2を中心とした旋回流が生成される。
【0131】
一方、軸心指向経路223からの洗浄水は、高さH1の軸心経路用開口部206d(図9を参照)から略水平方向の流れ(軸心指向流)で下部206bに流入する。こうして下部206bに流入した洗浄水は、図11において既述したように、突出部材240に衝突し、その進行方向が上方向に変換される。
【0132】
以上の過程を経て軸心指向経路223および第1偏心経路222の双方の経路から第1渦室206に流入された洗浄水の挙動について図13および図14を使用してさらに詳細に説明する。ここで、図13は軸心経路用開口部206dから流入した洗浄水が突出部材240に衝突するまでの間における第1渦室206内の洗浄水の流れを模式的に示したものであり、図14は衝突した後における第1渦室206内の洗浄水の流れを模式的に示したものである。図13,図14は、図11(A)に示した突状体230および突出部材240の周辺領域を、それぞれ、図11(A)の矢印D方向,矢印C方向から透視した状態で表わしている。
【0133】
図13および図14に示すように、第1渦室206内では、突出部材240の頂上部240aよりも上方の領域Aにおいては、前述したように旋回流が生じている(図14における矢印R2を参照)。
【0134】
これに対し、第1渦室206内の突出部材240の頂上部240aよりも下方の領域Cでは、軸心経路用開口部206dから軸心指向流として流入してきて突状体230の周りの流れは突出部材240の作用により上方向に方向変換されるため、旋回流がほとんど生じず(図14における矢印R3を参照)、第1オリフィス207に向かう直進流が生じている(図14における矢印U4,U5を参照)。
【0135】
そして領域Cで生成された直進流は、この後、図14に矢印U6で示すように進行して、突出部材240の頂上部240a近傍の領域Bで旋回流と合流することとなる。この合流により、第1渦室206内の洗浄水は直進流と旋回流とが混合された状態となる。
【0136】
この領域Bは前述した領域Aと領域Cとの間の領域であるため、旋回流と直進流の流れが持つ進行力同志が互いに影響し合う遷移状態層であるが、既述した頂上部240aの形状によって、乱れの少ない旋回流が生じている(図14における矢印R2aを参照)。これは頂上部240aを曲面形状とすることで、旋回洗浄水が頂上部240aを旋回しながら通過する際に大きな剥離が生じにくくなり、流れの乱れが生じにくくなるからである。
【0137】
混合された洗浄水は、旋回流の旋回力と直進流の上方向への進行力とによって全体として旋回しながら押し上げられ、第1オリフィス207の位置する上方向に向かう。そして、直進流と旋回流の混合比に応じた吐水状態でノズルより吐水される。
【0138】
以上説明した本実施例の局部洗浄装置300は、ノズルヘッド200の第1渦室206内に、第1渦室206の内周壁から離間して第1渦室206の軸心N1−N2と略平行に設けられた突状体230を備え、第1渦室206の内周壁に沿って第1渦室206に流入した洗浄水は突状体230の周囲を旋回する。このため、旋回中の洗浄水に外乱の影響を受けやすい旋回速度が極低速となる部分がなくなり、第1渦室206における洗浄水の旋回速度も速くなる。従って、外乱の影響を受けにくく、安定でかつ十分な旋回状態の吐水を得ることができる。図2に示した洗浄面積SMdは、こうした突状体230を備えることによって実現される。
【0139】
また、本実施例では、突状体230を第1渦室206の略軸心N1−N2上の位置に設けることにより、第1渦室206において軸心N1−N2を中心とした旋回流を生成する。従って、旋回力の偏りが少なく、旋回中心から均一に拡散された状態の洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31に送り込むことができる。
【0140】
本実施例では、突状体230の外周壁を、第1渦室206の内周壁にほぼ倣った形状に形成することにより、下部流路236の上方向への流路断面積をほぼ同一とした。従って、洗浄水が第1渦室206を旋回しながら上昇する際における洗浄水の流速の変動が少なくなり、旋回中に流れの乱れが生じにくくなる。従って、流れの整った洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31に送り込んで、安定した拡散状態の洗浄水を吐水することができる。
【0141】
また、本実施例では、突状体230の上部体231の外周壁を、第1渦室206の上部206aの内周壁にほぼ倣った円錐形状とした。従って、第1渦室206内で生成された旋回流を、その流れを乱すことなく旋回範囲を徐々に小さくしながらお尻洗浄用吐水孔31に送り込むことができる。
【0142】
本実施例では、上部流路235の流路断面積を第1オリフィス207に向かうにつれて漸減するように設ける。従って、洗浄水が旋回範囲を徐々に小さくしながら第1オリフィス207に向かう際の流路断面積の変化率が緩やかとなり、旋回された洗浄水を安定した状態で第1オリフィス207ないしお尻洗浄用吐水孔31に送り込むことができる。
【0143】
また、本実施例では、突状体230が第1渦室206内に配置されている範囲において、突状体230の外径EDを第1渦室206内の内径IDの約50パーセント程度とする。従って、第1渦室206内において過度の流路断面積の減少による流路抵抗の増加を招くことなく、また洗浄水に過度に強い旋回力が付与されて洗浄水の流れが乱れてしまうことを有効に防止しつつ安定した旋回状態の吐水を得ることができる。なお、突状体230の外径EDを第1渦室206内の内径IDの略2割から略7割の値とすれば、上記とほぼ同等の効果を得ることができる。
【0144】
本実施例の局部洗浄装置300では、ノズルヘッド200の第1渦室206内の、第1渦室206の内周壁と第1渦室206の軸心N1−N2との間の領域に突出部材240を設け、この突出部材240に軸心指向経路223から水平方向に流入してきた洗浄水を衝突させることにより、洗浄水を略鉛直上方向に案内し、洗浄水の進行方向をお尻洗浄用吐水孔31に向かう方向に変換する。このため、第1渦室206に流入した洗浄水同士の不要な衝突が回避され、第1渦室206内での洗浄水の流れの乱れや大幅な減速が防止される。よって、第1渦室206の軸心N1−N2に向かって流れてきた洗浄水の略水平方向への進行力は、略鉛直上方向の進行力に効率よく変換され、第1渦室206内の洗浄水のお尻洗浄用吐水孔31方向への進行力が確保される。従って、安定した流れで洗浄強さの強い洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31から吐水することができる。
【0145】
また、上記の方向変換は、突出部材240の斜面240g,240hを利用して行なわれるので、洗浄水の進行力の略鉛直上方向への変換をよりスムーズにすることができる。
【0146】
本実施例では、突出部材240を、第1渦室206内の軸心経路用開口部206dに対向する側の領域に配置する。従って、軸心指向経路223から第1渦室206に流入した洗浄水が、第1渦室206への流入直後に案内部材に衝突することがなく、スムーズに第1渦室206へと流入するため、第1渦室206に流入してきた洗浄水の進行力を効率的に略鉛直上方向に変換することができる。
【0147】
本実施例の局部洗浄装置300では、軸心指向経路223から第1渦室206に流入した洗浄水は、突状体230の外周壁に案内されて左右の流路に分岐され、左右の各流路から突出部材240に案内される。従って、軸心指向経路223から第1渦室206に流入した洗浄水が、突出部材240に衝突する前に下部206bの内周壁に正面から衝突し、流れの乱れを招いてしまうといった事態を回避し易くなり、進行方向が略鉛直上方向に変換される前における洗浄水の進行力を確保することができる。
【0148】
また、上記左右の各流路は各部においてほぼ同じ断面積とされているので、下部206bの左右の内周壁に沿って流入した各洗浄水は、ほぼ同じ流速で斜面240h,斜面240gに衝突する。従って、略鉛直上方向に変換された後の洗浄水の流れに偏りが生じにくくなり、整流された状態の洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31から吐水することができる。
【0149】
本実施例の局部洗浄装置300では、ノズルヘッド200の第1渦室206の内周壁に、偏心経路用開口部206cと軸心経路用開口部206dを、この順に、軸心N1−N2に沿って上下に形成すると共に、軸心経路用開口部206dが形成された第1渦室206の下方位置に、突出部材240を、第1渦室206を旋回する洗浄水と衝突する形態で設ける。このため、第1渦室206内における洗浄水の旋回は、軸心経路用開口部206dが形成された下方位置においては、旋回された洗浄水の突出部材240への衝突によって抑制される。
【0150】
従って、第1偏心経路222および軸心指向経路223の双方の経路から第1渦室206に洗浄水が流入された場合に、双方の経路からの洗浄水の第1渦室206内での不要な干渉による洗浄水の流れの妨げや乱れが生じにくくなる。この結果、第1渦室206内での不要な干渉による洗浄水の旋回力や進行力の減衰並びに乱流の発生を有効に防止することが可能となり、第1渦室206における旋回流と直進流とのスムーズな合流を実現することができる。
【0151】
例えば、第1渦室206内において軸心指向流と旋回流とが衝突することにより、軸心指向経路223からの洗浄水の水平方向の進行力が大きく減衰されてしまったり、第1渦室206内における洗浄水の流れが乱れてしまうという事態を有効に防止することができる。また、第1渦室206内において、洗浄水の進行方向が水平方向から上方向に変換された後に、直進流と旋回流とがスムーズに合流するため、安定した吐水状態を得ることができる。
【0152】
本実施例では、突出部材240の端面240fを第1渦室206の内周壁に接触させることにより、突出部材240を第1渦室206の内周壁寄りの範囲に配置する。従って、旋回外側に位置する旋回力の強い洗浄水を突出部材240に衝突させることが可能となり、旋回力を効果的に低減することができる。
【0153】
更に、本実施例では、突出部材240を第1渦室206の内周壁と第1渦室206の軸心N1−N2との間の領域に配置する(図10を参照)。従って、旋回の回転半径内の洗浄水を突出部材240に衝突させることが可能となり、旋回力を確実に低減することができる。
【0154】
また、上記実施例では、を第1渦室206内に一つの突出部材240を設けることにより、軸心経路用開口部206dから第1渦室206に流入された洗浄水の進行方向をスムーズに略鉛直上方向に変換すると共に、偏心経路用開口部206cから第1渦室206に流入された洗浄水の第1渦室206の軸心経路用開口部206d付近での旋回を抑制した。従って、第1渦室206における「直進流の進行力が確保された均一で安定した流れ」と「直進流と旋回流とのスムーズな合流」とを一の部材で実現することが可能となり、ノズルヘッド200の構造の簡略化を図ることができる。またその分、第1渦室206の流路空間を広く取ることが可能となり、洗浄水が第1オリフィス207に至るまでに生じる圧力損失の増加を招くこと無く、構造の小型化を図ることができる。
【0155】
上記実施例の局部洗浄装置300に関しては、種々の変形が可能である。以下、代表的な変形例を列挙して説明する。
【0156】
上記実施例では、第1渦室206内に突状体230および突出部材240を設けたが、突状体230および突出部材240のうち、突状体230のみを第1渦室206内に設ける構成としてもよい。このような構成によっても、第1偏心経路222からの洗浄水が第1渦室206内において洗浄水の突状体230の周囲を旋回することにより、外乱の影響を受けやすい旋回半径中心付近にて発生する極低速の旋回成分が除去され、第1渦室206における洗浄水の旋回速度が速くなる。従って、安定でかつ十分な旋回状態の洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31から吐水可能となる。
【0157】
また、第1渦室206内に突状体230が配置される位置は、上記実施例における位置に限られるものではなく、第1渦室206の内周壁から離間する他の位置に変更することができる。例えば、突状体230を、第1渦室206の軸心N1−N2から若干ずらして設けた場合であっても、第1渦室206からの洗浄水は第1渦室206の内周壁に沿って突状体230の周囲を旋回するので、上記実施例と同等の効果を得ることができる。
【0158】
第1渦室206の内壁や突状体230の外壁の形状は、上記実施例における形状に限らず、略円柱形状,略円錐形状,略角柱形状,略角錐形状等種々の形状に変更することができる。
【0159】
上記実施例において、突状体230および突出部材240のうち、突出部材240のみを第1渦室206内に設ける構成としてもよい。このような構成によっても、軸心指向経路223から第1渦室206に流入した洗浄水は、第1渦室206の内周壁に案内されて流れた後に突出部材240に衝突し、流れは上方向にスムーズに変換されるので、第1渦室206内における洗浄水同士の不要な衝突や第1渦室206に流入した洗浄水の第1渦室206の内周壁との衝突が有効に回避される。従って、上記実施例と同様に、第1渦室206内の洗浄水のお尻洗浄用吐水孔31方向への進行力を確保し、安定した吐水状態を確保することができる。
【0160】
また、第1渦室206内に突出部材240が配置される領域は、上記実施例における領域に限られるものではなく、第1渦室206の内周壁と軸心N1−N2との間の他の領域に変更することができる。また、突出部材240は、上記実施例において示した以外の種々の形状に適宜変更することができる。即ち、突出部材240を、軸心経路用開口部206dから第1渦室206に流入された洗浄水同士の不要な衝突を回避可能な位置や形状で設けたり、偏心経路用開口部206cから第1渦室206に流入された洗浄水の第1渦室206の軸心経路用開口部206d付近での旋回を抑制可能な位置や形状で設ければ、上記実施例と同等の効果を得ることができる。
【0161】
上記実施例における突出部材240を直方体形状の突出部材340に変更した構成を、一例として図15に示した。図15(A)は突出部材340の斜視形状を示す説明図であり、図15(B)は突出部材340が設けられた第1渦室206付近の流路形状を概略的に表した説明図である。なお、図15(B)では、説明の便宜上、突出部材340については、ノズルヘッド200を上方から透視した状態で実線を用いて示している。
【0162】
図15(A)に示すように、突出部材340は、図示しない底部蓋の蓋上面から所定の高さに突出された状態で形成されており、上記実施例における突出部材240と同様の長さl1,幅w1,高さh1を有する。突出部材340は、略鉛直上方向に延出された2つの幅広面340g,340hと、これらの2つの幅広面の間に位置し略鉛直上方向に延出された幅狭面340e,340fを備える。
【0163】
図15(B)に示すように、突出部材340は、その長さl1方向が軸心指向経路223の水平路223cから第1渦室206への洗浄水の流入方向U2に沿うように、幅狭面340eを軸心経路用開口部206dに向けて、水平路223cの第1渦室206方向への延長軌跡線F−F上に配置されている。
【0164】
このような構成によれば、軸心指向経路223から第1渦室206に流入した洗浄水は、幅の狭い幅狭面340eに衝突した後、突出部材340の長さ方向に沿って流れる(図15(B)における矢印UC3,矢印UC4を参照)。
【0165】
更に、突出部材340を水平路223cの第1渦室206方向への延長軌跡線上に配置することで、軸心指向経路223から第1渦室206の左右の内周壁に案内されて流入した各洗浄水は、突出部材340に対して両側から対称に衝突する(図15(B)における矢印UE3,矢印UE4を参照)。従って、略鉛直上方向への流れに偏りの少ない洗浄水を、第1オリフィス207ないしお尻洗浄用吐水孔31に供給することができる。
【0166】
なお、上記の図15に示した構成において、突出部材340の幅狭面340eにテーパを設ければ、幅狭面340eに衝突した後の洗浄水の流れをよりスムーズにすることができる。また、突出部材340を延長軌跡線F−F上以外の位置に配置した場合にも、第1渦室206内における洗浄水同士の衝突を回避することが可能である。このほか、幅広面340g,340hを相対する斜面形状にすることや、その頂点を曲面とすることもできる。
【0167】
上記実施例では、突出部材240を突状体230と一体として形成したが、勿論、突出部材240を突状体230とは別体として底部蓋210に形成することも可能である。
【0168】
また、上記実施例では、突状体230や突出部材240を底部蓋210の蓋上面に設けたが、突状体230や突出部材240を底部蓋210以外の部分に設けても差し支えない。例えば、上述した突状体230や突出部材240と同様の形状の部材を、該部材が上記と同様の位置に配置されるように、第1渦室206の内周壁に固定してもよい。この場合に、突状体230や突出部材240と同様の形状の部材をノズルヘッド200と一体として形成すれば、組み立てが必要な部品数を削減することができる。
【0169】
なお、上記した突出部材240や突出部材340の高さは、上記実施例や変形例における高さh1に限るものではなく、偏心経路用開口部206cの上端部よりも低い高さであればよい。例えば、上記実施例において突出部材240の高さを偏心経路用開口部206cの上端部よりも低くした場合には、第1渦室206内では、偏心経路用開口部206cの上端部よりも下方に突出部材240の頂上部240aが配置される。このため、偏心経路用開口部206cから第1渦室206内に流入した洗浄水は、頂上部240aよりも下方の高さ範囲においては突出部材240に衝突し、偏心経路用開口部206cの上端部と頂上部240aとの間の高さ範囲においては突出部材240に衝突することなく第1渦室206の内周壁に沿って旋回する。これにより、第1渦室206内では、頂上部240aよりも下方において旋回流の生成が抑制され、頂上部240aよりも上方において旋回流が生成される。従って、突出部材240を設けたことによって偏心経路用開口部206c付近における旋回力が必要以上に低減されてしまうことがなく、十分な旋回力を備えた洗浄水を第1渦室206において生成することができる。
【0170】
なお、突出部材240や突出部材340の高さを偏心経路用開口部206cの上端部よりもどの程度低くするかについては、得ようとする旋回力の大きさに応じて任意の位置に定めることができる。例えば、上記実施例のように、突出部材240の高さを偏心経路用開口部206cの下端部よりも低くした場合(図9におけるh1<H2の関係を参照)には、偏心経路用開口部206cから第1渦室206内に流入した洗浄水は直接に突出部材240に衝突せずに第1渦室206の内周壁に沿って旋回し、この旋回力が伝播された(第1渦室206下方に満たされている)洗浄水のみが突出部材240に衝突する。このように、上記実施例の構成によれば、偏心経路用開口部206cから流入した洗浄水が直接に突出部材240に衝突することが回避されるので、第1渦室206内で得られる旋回力を増大することができる。
【0171】
また、突出部材240や突出部材340の高さの下限値は、旋回流と軸心指向流との干渉を回避する程度に応じて任意の値に定めることができる。例えば、上記実施例のように、突出部材240の高さを軸心経路用開口部206dの上端部以上の高さとした場合には(図9におけるH1<h1の関係を参照)、第1渦室206内において、軸心指向経路223からの流入高さ範囲内における旋回力がより確実に低減され、軸心指向経路223から第1渦室206に洗浄水が流入する際に第1渦室206において流れの乱れが生じにくくなる。この結果、軸心指向経路223からの洗浄水の進行方向を第1渦室206においてより一層スムーズに上方向に変換することが可能となり、乱れの少ない直進流を生成することができる。なお、突出部材240の高さを軸心経路用開口部206dの上端部よりも低い高さとした場合であっても、軸心指向経路223からの流入高さ範囲のうちの一部の範囲内における旋回力が低減される。従って、従来よりも乱れの少ない直進流を生成することができる。
【0172】
突出部材240の高さを、軸心経路用開口部206dの上端部以上、かつ、偏心経路用開口部206cの上端部よりも低い高さとした他のノズルヘッド200Aの構成を変形例として図16に示す。図16(A)は図6(A)に対応するノズルヘッド200Aの上面図であり、図16(B)はノズルヘッド200Aを図16(B)の16B−16B線で切断したときの断面図である。ノズルヘッド200Aは、上記実施例におけるノズルヘッド200とほぼ共通の各部を備える。図16では、この共通の各部につき、上記実施例と同じ符号を用いて表わしている。この変形例の構成においても、偏心経路用開口部506c,軸心経路用開口部206dは、この順に、第1渦室206の軸心N1−N2に沿って上下に配置されている。
【0173】
一方、ノズルヘッド200Aは、底部蓋や第1偏心経路の形状,偏心経路用開口部の位置,突出部材の高さ等の点で、上記実施例におけるノズルヘッド200と異なっている。即ち、図16に示すように、ノズルヘッド200Aでは、偏心経路用開口部506cの一部(下部)と軸心経路用開口部206dとが高さ方向においてオーパーラップしている。
【0174】
また、図16(B)に示すように、水平路223cの底壁と第1偏心経路522の底壁は、共に、底部蓋510のフラットな蓋上面によって同じ高さに形成されている。一方、底部蓋510の蓋上面から水平路223cの内部天壁までの高さ(底部蓋210の蓋上面から軸心経路用開口部206dの上端部までの高さ)Ha1は、底部蓋510の蓋上面から第1偏心経路522の内部天壁までの高さ(底部蓋510の蓋上面から偏心経路用開口部506cの上端部までの高さ)Ha3よりも低い高さとされている。
【0175】
また、突出部材540は、底部蓋510の蓋上面からほぼ高さHa1分だけ突出されている。このため、図16(B)に示したような底部蓋510をノズルヘッド200A底面の凹部211に装着した状態では、突出部材540の上端である頂上部540aは、第1渦室206内での高さ方向において、偏心経路用開口部506cの下端部よりも下方であって、軸心経路用開口部206dの上端部とほぼ同じ高さに位置する。
【0176】
こうしたノズルヘッド200Aにおいて、第1偏心経路522,軸心指向経路223の双方の経路から、それぞれ偏心経路用開口部506c,軸心経路用開口部206dに洗浄水が供給されると、洗浄水は第1渦室206内を以下のように流れる。
【0177】
偏心経路用開口部506cから第1渦室206内に流入した洗浄水は、偏心経路用開口部506cの上端部と頂上部540aとの間の高さ範囲においては突出部材540に衝突することなく第1渦室206の内周壁に沿って旋回し、頂上部540aよりも下方の高さ範囲においては突出部材540に衝突する。このため、第1渦室506内では、頂上部540aよりも上方において十分な旋回流が生成されると共に、頂上部540aよりも下方において旋回流の生成が抑制され、第1渦室206内において、軸心指向経路223からの流入高さ範囲内(図16(B)における高さHa1の範囲内)における旋回力が確実に低減される。
【0178】
従って、第1偏心経路522と軸心指向経路223とを高さ方向においてオーパーラップさせた場合であっても、第1渦室206内において十分な旋回力を備えた旋回流の生成を実現しつつ、生成された旋回流と軸心指向流との干渉による流れの乱れの発生を確実に防止することができる。特に、上記変形例では、第1偏心経路522と軸心指向経路223とをオーパーラップさせた分だけノズルヘッド200Aの高さを低くすることが可能であり、ノズルヘッド200Aのコンパクト化を図ることができる。また、第1偏心経路522を形成するために底部蓋510の蓋上面を複雑な形状とする必要がないので、ノズルヘッド200Aの製造が容易となる。
【0179】
上記実施例では、突出部材240の頂上部240aを曲面で形成したが、頂上部240aを曲面以外の形状(例えば、平面等)で形成しても差し支えない。
【0180】
また、上記実施例では、突出部材240を、その端面240fが下部206bの内周壁に接触する状態で配置したが、端面240fが下部206bの内周壁に接触しない状態で突出部材240を配置する構成としてもよい。例えば、突出部材240を第1渦室206の内周壁との隙間を確保しつつ該内周壁寄りの位置に設けた場合においても、旋回外側に位置する旋回力の強い洗浄水の大半が突出部材240に衝突するので、旋回力を効果的に低減することができる。
【0181】
上記実施例では、ノズルヘッド200において、偏心経路用開口部206cの下端部を軸心経路用開口部206dの上端部よりも高い位置に設けたが(図7(A)における「H1<H2」の状態を参照)、偏心経路用開口部206cの下端部を軸心経路用開口部206dの上端部と下端部との間の位置に設け、第1偏心経路222の一部(下部)と水平路223cとを高さ方向においてオーパーラップさせるように構成してもよい。
【0182】
上記実施例では、お尻洗浄用吐水孔31と第1オリフィス207との間、ビデ洗浄用吐水孔33と第2オリフィス209との間にエアーギャップ室204を設け、空気を混入した洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水する構成としたが、このようなエアーギャップ室204を設けず、空気が混入されない洗浄水をお尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から吐水する構成としてもよい。このような構成を第2の変形例として図12に示す。このような構成によれば、第1オリフィス207の終端,第2オリフィス209の終端を、そのままお尻洗浄用吐水孔,ビデ洗浄用吐水孔として用いることが可能となり、ノズルヘッド200の構造を簡略化することができる。
【0183】
上記実施例において、流調弁306と流路・流量比切替機構71との間に波動発生ユニット70を設ける構成としてもよい。この波動発生ユニット70は、プランジャ7の往復動に伴って圧力が周期的に上下変動する脈動を引き起こし、洗浄水を脈動流の状態で下流側の流路・流量比切替機構71に流す。このような構成によれば、脈動流の状態の洗浄水がノズル流路322〜324に供給されるので、お尻洗浄用吐水孔31やビデ洗浄用吐水孔33から脈動流と旋回流とが混合された洗浄水を吐水可能となり、より一層多様な洗浄感を提供することができる。併せて、洗浄水の節水を図ることができる。
【0184】
以上本発明の実施例ないし変形例について説明したが、本発明は上記の実施例や変形例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0185】
例えば、上記実施例では、第1渦室206に洗浄水を流入する2つの流路(第1偏心経路222,軸心指向経路223)を設け、軸心指向経路223の流量Q1と第1偏心経路222の流量Q2との配分比率を変えることにより、第1渦室206において付与される旋回成分の大きさを可変とし、お尻洗浄用吐水孔31から旋回程度の異なる多様な洗浄水を吐水する構成としたが、同様の構成(二つの経路から一の渦室に洗浄水を流入する構成)を第2渦室208に採用して、ビデ洗浄用吐水孔33から旋回程度の異なる多様な洗浄水を吐水することも可能である。また、お尻洗浄用吐水孔31,ビデ洗浄用吐水孔33のうちのいずれかのみを設ける構成としてもよい。
【0186】
また、上記実施例では、本発明を人体の局部を洗浄する局部洗浄装置に適用したが、局部洗浄装置以外の吐水装置に本発明を適用することもできる。このような吐水装置としては、例えば、人体の各部の洗浄に用いられる各種の水栓金具(例えば、シャワー装置や洗面用水栓等)などを考えることができる。このような吐水装置に本発明を適用すれば、吐水される洗浄水による洗浄範囲の拡大や洗浄強さの向上、直進流と旋回流とが良好に混合された洗浄水の吐水を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の局部洗浄装置300の概略構成を表すブロック図である。
【図2】局部洗浄装置300が備えるノズルヘッド200の内部構造をノズルヘッド200を透視して概略的に表した説明図である。
【図3】洗浄ノズル308の斜視形状を示す説明図である。
【図4】流路・流量比切替機構71の構造を示す説明図である。
【図5】ロータ477が所定の角度に回転されたときの連通孔422〜424の開放状態を示す説明図である。
【図6】ノズルヘッド200の上面ないし底面を示す説明図である。
【図7】ノズルヘッド200の側面を示す説明図である。
【図8】突状体230および突出部材240の斜視形状を示す説明図である。
【図9】ノズルヘッド200の第1渦室206付近の縦断面を示す説明図である。
【図10】ノズルヘッド200上方から見たときの第1渦室206付近の流路形状を概略的に表した説明図である。
【図11】軸心指向経路223からの洗浄水が第1渦室206に流入されたときの様子を示す説明図である。
【図12】第1渦室206内を洗浄水が流れる様子を第1渦室206を透視した状態で示す説明図である。
【図13】軸心経路用開口部206dから流入した洗浄水が突出部材240に衝突するまでの間における第1渦室206内の洗浄水の流れを模式的に示す説明図である。
【図14】軸心経路用開口部206dから流入した洗浄水が突出部材240に衝突した後における第1渦室206内の洗浄水の流れを模式的に示す説明図である。
【図15】上記実施例における突出部材240を直方体形状の突出部材340に変更した構成を示す説明図である。
【図16】他のノズルヘッド200Aの構成を変形例として示す説明図である。
【符号の説明】
31…お尻洗浄用吐水孔
33…ビデ洗浄用吐水孔
70…波動発生ユニット
71…流路・流量比切替機構
91…お尻洗浄ボタン
92a,92b…旋回量調整ボタン
93…ビデ洗浄ボタン
200、200A…ノズルヘッド
202…上蓋
204…エアーギャップ室
205…凹部
206…第1渦室
206a…上部
206b…下部
206c、506c…偏心経路用開口部
206d…軸心経路用開口部
207…第1オリフィス
208…第2渦室
208a…上部
208b…下部
209…第2オリフィス
210、510…底部蓋
210a…隆起部
210b…連通孔
211…凹部
212…外気導入通路
222、522…第1偏心経路
223…軸心指向経路
223a…導入路
223b…垂直路
223c…水平路
224…第2偏心経路
230…突状体
231…上部体
231a…頂上部
232…下部体
235…上部流路
236…下部流路
240、540…突出部材
240a、540a…頂上部
240f…端面
240g,240h…斜面
300…局部洗浄装置
302…給水ユニット
304…熱交換ユニット
306…流調弁
308…洗浄ノズル
308a…先端部
308b…筒状部
308c…後端部
308d…洗浄水供給口
310…ノズル駆動モータ
312…電子制御装置
322,323,324…ノズル流路
322a,323a,324a…接続管部
322b,323b,324b…流入口
340…突出部材
340e,340f…幅狭面
340g,340h…幅広面
422,423,424…連通孔
422a…第二幅広部
422b…第二幅狭部
423a…第一幅広部
423b…第一幅狭部
410…底部蓋
430…突状体
472…ハウジング
472a…切欠部
472y…係止爪
475…切替弁部
476…ステータ
477…ロータ
477a,477b…切欠
478…カップリング
478a…柱頭部
478b…凹部
480…シール部材
481…スプリング

Claims (19)

  1. 給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
    前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
    該旋回付与室の内周壁に形成された開口部と、
    該開口部から前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向して、前記旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように、洗浄水が流入する偏心管路と、
    前記旋回付与室の内周壁から離間して、前記旋回付与室の略軸心上の位置に軸心と略平行になるように設けられた突状体と
    を備えた吐水装置。
  2. 給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
    前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
    前記旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部と、
    該第一開口部から前記旋回付与室の軸心を指向し、前記旋回付与室に洗浄水を流入する軸心指向管路と、
    前記旋回付与室の内周壁の前記第一開口部とは異なる位置に形成された第二開口部と、
    該第二開口部から前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向し、前記旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように洗浄水を流入する偏心管路と、
    前記旋回付与室の内周壁から離間して、前記旋回付与室の略軸心上の位置に軸心と略平行になるように設けられた突状体と
    を備えた吐水装置。
  3. 前記突状体の外周壁が、前記旋回付与室の内周壁にほぼ倣った形状に形成された請求項1または2に記載の吐水装置。
  4. 前記旋回付与室の内周壁が、略円柱の側面形状を有する下部内壁と、該下部内壁の上端から前記吐水孔方向に延出され、略円錐の側面形状を有する上部内壁とから構成された請求項1ないし3のいずれかに記載の吐水装置。
  5. 前記突状体の外周壁のうちの前記上部内壁に対応する外周壁である上部外壁を、該上部外壁と上部内壁との間に形成される流路の断面積が前記吐水孔方向に向かうにつれて漸減するように設けた請求項4に記載の吐水装置。
  6. 前記突状体の外周壁のうちの前記上部内壁に対応する外周壁である上部外壁を、該上部外壁の頂上部が前記旋回付与室の下部内壁の最上部よりも高い位置となるように設けた請求項4に記載の吐水装置。
  7. 前記突状体が設けられた範囲において、前記突状体の外径を前記旋回付与室の内径の略2割から略7割とした請求項1ないし6のいずれかに記載の吐水装置。
  8. 前記第二開口部と前記第一開口部が、この順に、前記旋回付与室の軸心に沿って上下に配置されており、
    前記旋回付与室の内周壁と前記旋回付与室の軸心との間の領域に設けられ、前記第一開口部から前記旋回付与室に流入してきた洗浄水が衝突し、該洗浄水を前記吐水孔の位置する上方向に案内する案内部材を備えた請求項2ないし7のいずれかに記載の吐水装置。
  9. 給水された洗浄水を所定の吐水孔から吐水する吐水装置であって、
    前記吐水孔よりも上流側に配置される水室であり、前記給水された洗浄水に前記吐水孔の軸心回りの旋回成分を付与する旋回付与室と、
    前記旋回付与室の軸心を指向し、該旋回付与室の内周壁に形成された第一開口部において旋回付与室に連通される管路であり、該第一開口部から該旋回付与室に洗浄水を流入する軸心指向管路と、
    前記旋回付与室の軸心とは偏心した位置を指向し、該旋回付与室の内周壁の前記第一開口部とは異なる位置に形成された第二開口部において旋回付与室に連通される管路であり、該第二開口部から該旋回付与室に該旋回付与室の内周壁面に沿って洗浄水が旋回するように洗浄水を流入する偏心管路と
    を有し、
    前記第二開口部と前記第一開口部が、この順に、前記旋回付与室の軸心に沿って上下に配置されており、
    前記旋回付与室の内周壁と前記旋回付与室の軸心との間の領域に設けられ、前記第一開口部から前記旋回付与室に流入してきた洗浄水が衝突し、該洗浄水を前記吐水孔の位置する上方向に案内する案内部材を備えた
    吐水装置。
  10. 前記案内部材が、前記軸心指向管路から前記旋回付与室への洗浄水の流入方向に沿って配置された請求項8または9に記載の吐水装置。
  11. 前記案内部材が、前記第一開口部に対向する側の前記領域に設けられた請求項8ないし10のいずれかに記載の吐水装置。
  12. 前記案内部材が配置される位置を、前記第一開口部に対向する側の前記領域であって、前記軸心指向管路の中心軸の延長軌跡線上とした請求項8ないし10のいずれかに記載の吐水装置。
  13. 前記案内部材が、前記吐水孔の位置する上方向に向かう斜面を有する請求項8ないし12のいずれかに記載の吐水装置。
  14. 請求項2ないし7のいずれかに記載の吐水装置であって、
    前記第一開口部が配置された旋回付与室の下方位置において該旋回付与室内を旋回する洗浄水が衝突し、該下方位置における洗浄水の旋回を抑制する旋回抑制部材を備えた
    吐水装置。
  15. 請求項8ないし13のいずれかに記載の吐水装置であって、
    前記第一開口部が配置された旋回付与室の下方位置において該旋回付与室内を旋回する洗浄水が衝突し、該下方位置における洗浄水の旋回を抑制する旋回抑制部材を備えた
    吐水装置。
  16. 前記旋回抑制部材および前記案内部材が一の部材で構成された請求項15に記載の吐水装置。
  17. 前記旋回抑制部材は、その上端が前記第二開口部の上端部よりも下方に位置するように前記旋回付与室内に設けられた請求項14ないし16のいずれかに記載の吐水装置。
  18. 前記旋回抑制部材の上端を、前記第一開口部の上端部と略同一の高さに設けた請求項17に記載の吐水装置。
  19. 請求項14ないし18のいずれかに記載の吐水装置であって、
    前記旋回抑制部材の上端が曲面で形成された
    吐水装置。
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