JP3848195B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは、特定の画像形成手段及び特定の物性を有する電子写真感光体を具備する電子写真装置用の電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やレーザープリンター等に用いられる電子写真感光体としては、安全性が高い、量産に適している、コストが安い等の利点から、有機光導電体を利用した電子写真感光体が多い。中でも、電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型の電子写真感光体は、感度の向上を図ることができるため、近年の有機電子写真感光体の主流となっている。
【0003】
一方、より高画質な画像を得るため、また、入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、画像形成のデジタル化が急速に進行している。デジタル的に画像形成を行う際には、デジタル電気信号は光信号に変換され、電子写真感光体に入力されるが、この光源としては主としてレーザー光やLED光が用いられている。現在、最も良く使用される光源の発信波長は790±20nmで、この波長域に十分な感度を有する電子写真感光体の開発が行われている。
【0004】
その中でも、フタロシアニン化合物は、合成が比較的簡単であり、長波長域に感度を示すものが多いことから、幅広く検討され、電荷発生材料として実用化されている。特に高感度を示すものとしては、オキシチタニウムフタロシアニンが挙げられ、例えば、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開平1−17066号公報、特開平3−54264号公報及び特開平3−128973号公報等に示されるように、多くの結晶形を示すものが研究されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フタロシアニン化合物を電荷発生材料として含有する電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いて画像を形成すると、フタロシアニン化合物が高感度であるがゆえに、露光により電荷発生層中に発生したキャリアが残存し易く、残存したキャリアが電子写真感光体の次回転での画像形成の際に電位変動の原因になり易いという欠点があった。特に、電子写真感光体に対して、帯電、露光、現像及び転写という一連の画像形成を行った後、次の画像形成のための帯電までに前露光等の初期化(除電)手段を持たない電子写真装置(以下、イレーズレス電子写真装置ともいう)においては、ハーフトーン画像を出力する際、電子写真感光体の1周前に形成した像が画像に現れてしまう、所謂ゴースト現象が発生し易かった。
【0006】
本発明の目的は、高感度で、初期及び繰り返し使用時でもゴーストが発生しない、画像安定性に優れたイレーズレス電子写真装置用の電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、電子写真感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、該電子写真装置は該転写手段と該帯電手段の間に除電手段を有さない電子写真装置に用いられる、支持体上にフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層及び電荷輸送層を有し、明部暗減衰率Aと暗部暗減衰率Bが下記式(1)を満足する電子写真感光体の製造方法であって、
該電荷発生層を、水を含有する電荷発生層用塗布液を塗布することによって形成する工程を有し、
該電荷発生層用塗布液が、該電荷発生層用塗布液全質量に対して該水を1質量%以上3質量%未満含有している
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
1.0≦明部暗減衰率A/暗部暗減衰率B≦1.7 (1)
A=(|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|−|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後から1秒間暗所に放置した後の表面電位|)/|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|
B=(|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|−|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後から1秒間暗所に放置した後の表面電位|)/|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、明部暗減衰率A/暗部暗減衰率Bが1.0に満たない、あるいは、1.7を超えると、ハーフトーン画像を出力した際、その前に形成した画像の履歴がゴースト現象として画面上に発生する。本発明においては、明部暗減衰率A/暗部暗減衰率Bが1.0以上、1.4以下であることが好ましい。
【0009】
本発明における、明部暗減衰率Aは、反転現像方式を採用した電子写真装置を用いた場合、電子写真感光体の1周目に、ベタ黒(全面露光、明部電位Vl)部が、2周目にベタ白(未露光、暗部電位Vd)部がある画像を出力し、電子写真感光体の2周目に帯電した直後に画像形成プロセスをOFFし、OFFした直後の電子写真感光体の表面電位とOFFして1秒間暗所に保持した後の電子写真感光体の表面電位を測定することにより求めることができる。また、暗部暗減衰率Bは、ベタ白画像(未露光、暗部電位Vd)を出力し、電子写真感光体の2周目に帯電した直後に画像形成プロセスをOFFし、OFFした直後の電子写真感光体の表面電位とOFFして1秒間暗所に保持した後の電子写真感光体の表面電位を測定することにより求めることができる。なお、表面電位を測定する際のプロセス条件は、評価される電子写真感光体が実際に搭載される電子写真装置と同様のものとする。また、ここでいう、「電子写真感光体の1周目」とは、所謂、前回転のような画像を形成する前段階のプロセスを除いた実質的な画像形成プロセスが開始されてからの1周目のことである。
【0010】
明部暗減衰率Aと暗部暗減衰率Bの関係を本発明の範囲にする手段としては、電荷輸送材料の種類の選択、電荷輸送層の厚さの調整及び各材料の配合比の調整など様々な手段が挙げられるが、他の電子写真特性に与える影響をできるだけ少なくするという観点から、本発明においては、電荷発生層の塗布質量を300mg/m2以下とすることが好ましい。より好ましくは、100〜300mg/m2であり、更に好ましくは、130〜220mg/m2である。塗布質量が300mg/m2を超えると、明部暗減衰率A/暗部暗減衰率Bが1.7より大きくなり易い。また、塗布質量が少な過ぎると、特に低温低湿環境下においてゴーストが生じ易くなったり、感度の低下や塗布ムラが生じ易くなる。
【0011】
本発明に用いられる電子写真感光体は、支持体上に感光層を有し、かかる感光層は電荷発生層及び電荷輸送層を好ましくはこの順に有している。また、必要に応じて、電子写真感光体の表面を保護するため、感光層上に保護層を設けてもよい。
【0012】
本発明で用いる支持体は、導電性を有するものであれば、いずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属あるいは合金をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅等の金属(合金)箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムまたは酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0013】
また、支持体上に、レーザービームプリンター等の露光光がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止または支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラックや金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散した溶液を用いて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0014】
本発明の電子写真感光体が有する電荷発生層は、電荷発生材料としてフタロシアニン化合物を含有するが、用いられるフタロシアニン化合物としては無金属フタロシアニンや、チタニウム、ガリウム、亜鉛、銅及びバナジウム等の金属またはその酸化物、塩化物が配位したフタロシアニン類が挙げられる。これらの中でも、より高い感度を有するという点から、オキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。
【0015】
かかるオキシチタニウムフタロシアニンは、下記構造式で示される。
【0016】
【外1】
【0017】
式中、X1、X2、X3及びX4はClまたはBrを表し、h、i、j及びkは0〜4の整数である。
【0018】
更に、本発明においては、オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°、あるいは9.6°及び27.3°に強いピークを有するものであることが好ましい。
【0019】
なお、電荷発生層中には、本発明の顕著な効果が得られる範囲で、フタロシアニン以外の電荷発生材料を併用したり、添加剤を加えてもよい。
【0020】
電荷発生層は、フタロシアニン化合物をバインダー樹脂と分散溶媒と共に分散処理した分散液を塗布し、乾燥することにより形成される。使用されるバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリアリレート樹脂等が挙げられるが、ポリビニルブチラール樹脂が分散液の安定性という点から好ましい。電荷発生層中のフタロシアニンとバインダー樹脂の割合は、質量比で10:1〜1:5、好ましくは5:1〜1:1の範囲である。
【0021】
また、分散溶媒は、テトラヒドロフラン、n−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル及び1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤等の有機溶媒が分散性やフタロシアニン化合物の結晶形の安定性から好ましい。
【0022】
上述のように、本発明においては、明部暗減衰率Aと暗部暗減衰率Bの関係を本発明の範囲にする手段として、電荷発生層の塗布質量(電荷発生層の質量=電荷発生層用塗布液の固形分質量)を300mg/m2以下、特には100〜300mg/m2、更には130〜220mg/m2とすることが好ましい。塗布質量が300mg/m2を超えると、好ましい暗減衰率が得られにくくなる。逆に、塗布質量が100mg/m2未満であると、好ましい暗減衰率が得られにくくなるばかりでなく、均一な塗工がしにくくなる。
【0023】
更に、本発明においては、上記の有機溶媒に水を混合することがより好ましい。水分量は、電荷発生層用塗布液全質量に対して、1質量%以上3質量%未満であることが好ましい。水分量が1質量%未満であると、好ましい暗減衰率が得られにくくなるばかりでなく、感度特性に対する効果が十分得られにくくなる。逆に、水分量が3質量%以上であると、好ましい暗減衰率が得られにくくなるばかりでなく、製造時において白化やムラなどの塗工欠陥が発生し易く、更には塗布液中で電荷発生材料の凝集が起こり易くなり、それを起因としたポチ状の欠陥も発生し易くなる。
【0024】
加えて、塗布液の安定性を考慮すると、水分量がフタロシアニン化合物に対して1質量%以上130質量%未満であることが好ましく、特には1質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
【0025】
水と混合するという観点からは、有機溶剤は、テトラヒドロフラン及びシクロヘキサノンであることが好ましい。
【0026】
電荷発生材料、バインダー樹脂及び溶媒を分散する方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、ホモジナイザー、超音波分散及び液衝突型高速分散機等が挙げられる。
【0027】
また、電荷発生層の厚さは、5μm以下であることが好ましいが、塗布質量に依存する。
【0028】
電荷輸送層は、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレン等の構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリン等の含窒素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物及びトリアリールアミン化合物等の電荷輸送材料をバインダー樹脂に溶解した塗布液を塗布し、乾燥することにより形成される。
【0029】
かかるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン及びポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0030】
電荷輸送層の厚さは、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0031】
また、本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能を備える下引層を設けることもできる。下引層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、アルコール可溶アミド、ポリウレタンまたはゼラチン等を塗布し、乾燥することにより形成される。
【0032】
下引層の厚さは、0.1μm〜3μmであることが好ましい。
【0033】
上述した各層用の溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ローラーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0034】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0035】
上述のように、支持体の形状としてはドラム状、シート状及びベルト状等が挙げられるが、適用される電子写真装置に最も適した形状にすることが好ましい。
【0036】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0037】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段2によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光3を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0038】
形成された静電潜像は、現像手段4によりトナー現像され、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー画像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段5との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材6に転写手段5により順次転写されていく。
【0039】
トナー画像の転写を受けた転写材6は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段7へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0040】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段8によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、繰り返し画像形成に使用される。クリーニング手段8は、独立して設けずに、次回転時の現像手段5が兼ねることもできる。
【0041】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段8の少なくとも一つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール等の案内手段10を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9とすることができる。
【0042】
また、露光光3は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0043】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メトキシプロパノール30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を、1mmφガラスビーズを用いてサンドミル装置で2時間分散して導電層用の塗布液を調製し、この塗布液をφ24mm×長さ246mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分間加熱することによって、厚さが20μmの導電層を形成した。
【0045】
次に、ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM−8000、東レ(株)社製)10部をメタノール200部に溶解した液を浸漬コーティング法で塗布し、90℃で10分間乾燥することによって、厚さが0.7μmの下引層を形成した。
【0046】
次に、電荷発生材料として、下記構造式で示され、
【0047】
【外2】
【0048】
図2に示されるCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:BX−1、積水化学(株)製)6.7部、テトラヒドロフラン285部、蒸留水を8.5部、それぞれ共に1mmφガラスビーズ400部を用いたサンドミル装置で、4時間分散した後、シクロヘキサノン400部を加えて塗布液を調製した。この塗布液を上記下引き層上に浸漬コーティング法で塗布し、90℃で10分間乾燥し、乾燥後の塗布質量が150mg/m2の電荷発生層を形成した。
【0049】
次いで、下記構造式で示されるアミン化合物を9部、
【0050】
【外3】
【0051】
下記構造式で示されるアミン化合物を1部
【0052】
【外4】
及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学製)10部をジクロロメタン40部/モノクロロベンゼン60部の混合溶液に溶解した。この溶液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、105℃で1時間熱風乾燥することによって、厚さが25μmの電荷輸送層を形成した。
【0053】
このようにして作製した電子写真感光体の暗減衰特性の評価をイレーズレス電子写真装置である、反転現像方式のレーザービームプリンター(商品名:レーザージェット1100、ヒューレットパッカード社製)を用い、暗部電位(Vd)を−580Vに、明部電位(Vl)が−150Vになるように設定し、上述のようにして行った。露光光は、波長780nmのレーザー光を用いた。
【0054】
また、電子写真感光体の表面電位を暗部電位から明部電位にするのに必要な光量を感度とした。
【0055】
ゴーストの評価は、次のように行った。上記のレーザービームプリンターを用いて、電子写真感光体の1周目に相当する部分(約75mm長)に、ベタ黒部(全面露光、Vl)とベタ白部(未露光、Vd)が、2周目以降にハーフトーン部があるA4画像を出力するように設定し、2周目のハーフトーン画像部の電子写真感光体の表面電位を初期及び1000枚連続画像出力後に測定し、2周目のハーフトーン画像部における、1周目のベタ黒部に相当する箇所と1周目のベタ白部に相当する箇所の電位差を求めた。電位差が大きければ大きいほど、ゴースト現象が著しく生じていることになる。
【0056】
これらの結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
電荷発生層の塗布質量を220mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0058】
(実施例3)
電荷発生層の塗布質量を300mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例4)
電荷発生層のバインダー樹脂を5部とし、電荷発生層の塗布質量を110mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0060】
(比較例1)
電荷発生層の塗布質量を400mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0061】
(比較例2)
電荷発生材料として、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料10部(上記化合物)、ポリビニルブチラール(商品名:BX−1、積水化学(株)製)6.7部及びシクロヘキサノン300部を1mmφガラスビーズ400部を用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル500部を加えて塗布液を調製し、塗布質量を310mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0062】
(比較例3)
電荷発生材料を下記構造式で示されるフタロシアニン化合物に代え、電荷発生層の塗布質量を400mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
【外5】
【0064】
(比較例4)
オキシチタニウムフタロシアニンを図3に示す特性X線回折の結晶型を有するものに代え、電荷発生層の塗布質量を400mg/m2に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
(比較例5)
電荷発生層の塗布質量を300mg/m2に代えた以外は比較例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
(実施例5)
φ24mm×長さ246mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、それに以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分間熱硬化することによって、厚さが15μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnO2 コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール(0.2/0.8) 20部
【0068】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部及びn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸積コーティング法で塗布し、100℃で15分間乾燥することによって、厚さが0.5μmの下引層を形成した。
【0069】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(X線回折図:図2)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学工業社製)8部及びテトラヒドロフラン:水=97:3の混合溶媒300部をψ1mmガラスビーズ400部を用いたサンドミル装置で4時間分散した後、シクロヘキサノン400部及びテトラヒドロフラン:水=97:3の混合溶媒150部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。この塗布液の水分量を測定したところ、1.6質量%であった。なお、水分量の測定はカールフィッシャ水分計(AQV−200、平沼産業社製)を用いて行った。この塗布液を浸漬コーティング法で塗布し、90℃で10分間乾燥することによって、塗布質量が300mg/m2の電荷発生層を形成した。形成された塗膜を目視にて観察したが、塗工欠陥は観察されなかった。
【0070】
次に、下記構造式で示されるアミン化合物8部、
【0071】
【外6】
【0072】
下記構造式で示されるアミン化合物1部
【0073】
【外7】
及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学製)10部をモノクロロベンゼン70部及びジクロロメタン30部の混合溶媒に溶解した。この塗料を浸漬コーティング法で塗布し、110℃で1時間乾燥することによって、厚さが24μmの電荷輸送層を形成した。
【0074】
このようにして作製した電子写真感光体の暗減衰特性、感度及びゴーストの評価を実施例1と同様にして行った。これらの結果を表2に示す。
【0075】
(実施例6)
電荷発生材料としてCuKαのX線回折におけるブラック角(2θ±0.2°)の9.6°及び27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(X線回折図:図4)を用いた以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例7)
電荷発生層用塗布液中に水を更に12部添加した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。このときの塗布液中の水分量は、2.9質量%であった。結果を表2に示す。
【0077】
(実施例8)
テトラヒドロフラン:水=97:3の混合溶媒の代わりにテトラヒドロフラン:水=98:2のものを用いて電荷発生層用塗布液を調製した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。このときの塗布液中の水分量は、1.0質量%であった。結果を表2に示す。
【0078】
(実施例9)
分散溶媒としてシクロヘキサノン300部のみを用い、分散後にテトラヒドロフラン:水=96:4の溶媒550部のみを加えて電荷発生層用塗布液を調製した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。このときの塗布液中の水分量は、2.5質量%であった。結果を表2に示す。
【0079】
(比較例6)
分散後に加える溶媒を酢酸エチル550部のみとした以外は実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0080】
(比較例7)
電荷発生材料として実施例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は比較例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0081】
(比較例8)
テトラヒドロフラン:水=96:4の混合溶媒の代わりにテトラヒドロフラン:水=99:1のものを用いて電荷発生層用塗布液を調製した以外は実施例9と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。このときの塗布液中の水分量は、0.6質量%であった。結果を表2に示す。
【0082】
(実施例10)
電荷発生層の塗布質量を110mg/m2に代えた以外は実施例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。このときの塗布液中の水分量は、2.9質量%であった。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、高感度で、初期及び繰り返し使用時でもゴーストが発生しない、画像安定性に優れたイレーズレス電子写真装置用の電子写真感光体の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【図2】 実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線回折図である。
【図3】 比較例4で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線回折図である。
【図4】 実施例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線回折図である。
Claims (2)
- 電子写真感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、該電子写真装置は該転写手段と該帯電手段の間に除電手段を有さない電子写真装置に用いられる、支持体上にフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層及び電荷輸送層を有し、明部暗減衰率Aと暗部暗減衰率Bが下記式(1)を満足する電子写真感光体の製造方法であって、
該電荷発生層を、水を含有する電荷発生層用塗布液を塗布することによって形成する工程を有し、
該電荷発生層用塗布液が、該電荷発生層用塗布液全質量に対して該水を1質量%以上3質量%未満含んでいる
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
1.0≦明部暗減衰率A/暗部暗減衰率B≦1.7 (1)
A=(|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|−|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後から1秒間暗所に放置した後の表面電位|)/|1周目の表面電位を明部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|
B=(|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位|−|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後から1秒間暗所に放置した後の表面電位|)/|1周目の表面電位を暗部電位とした電子写真感光体の2周目の帯電直後の表面電位| - 該電荷発生層用塗布液が更にテトラヒドロフラン及びシクロヘキサノンを含有している請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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