JP3847573B2 - ドライビングシミュレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被験者に車両運転時の疑似体験を行わせるドライビングシミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
運転技能訓練等の目的から、被験者に車両運転時の疑似体験を行わせるドライビングシミュレータが用いられており、このようなドライビングシミュレータの中には、被験者のコックピットにおける操作入力に応じてこのコックピットを揺動させるもの、例えば、特開2000−194253号公報に開示されたもの等がある。この公報に開示されたドライビングシミュレータは、コックピットが設置される揺動台と、この揺動台を複数のアクチュエータを介して支持する基台とを有し、コックピットにおける運転者の操作に応じて複数のアクチュエータの伸縮を制御することにより揺動台すなわちコックピットを揺動させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のドライビングシミュレータにおいて用いられていたアクチュエータは大きく、その結果、揺動台の高さが高くなってしまうという問題があった。このように揺動台の高さが高くなってしまうと、被験者のコックピットへの乗降性が悪くなってしまうという問題があった。
【0004】
したがって、本発明は、揺動台の高さを抑えることにより被験者のコックピットへの乗降性を向上させることができるドライビングシミュレータの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のドライビングシミュレータは、被験者が乗り込むコックピット(例えば実施形態におけるコックピット11)が設けられる揺動台(例えば実施形態における揺動台13)と、該揺動台を複数のアクチュエータ(例えば実施形態におけるアクチュエータ14)を介して支持する基台(例えば実施形態における基台15)とを有し、前記コックピットにおける被験者の操作に応じて前記複数のアクチュエータの伸縮を制御することにより前記揺動台を揺動させるものであって、前記アクチュエータは、スクリュシャフト(例えば実施形態におけるスクリュシャフト32)およびボールナット(例えば実施形態におけるボールナット33)を有するボールネジ(例えば実施形態におけるボールネジ34)と、前記ボールナットを保持するとともに前記スクリュシャフトを貫通可能とするモータロータ(例えば実施形態におけるモータロータ36)と、該モータロータを回転させるモータステータ(例えば実施形態におけるモータステータ37)と、前記スクリュシャフトの一端側を突出させた状態で前記モータロータおよび前記モータステータを覆うケース(例えば実施形態におけるケース38)と、前記スクリュシャフトの前記ケースから突出する部分に該スクリュシャフトと平行に設けられた軸部(例えば実施形態におけるストッパ用ネジ45)と、該軸部に設けられ、前記ケースに当接することにより前記スクリュシャフトの前記ボールナットからの抜けを防止するストッパ(例えば実施形態におけるストッパ47)とを具備し、前記軸部はネジ構造をなしており、前記ストッパはナットからなるとともに、前記軸部と前記ストッパとが螺合するように構成されていることを特徴としている。
【0006】
これにより、アクチュエータは、モータステータでモータロータを回転させることによりボールナットを回転させてスクリュシャフトを軸線方向に移動させることになり、しかも、モータロータがスクリュシャフトを貫通可能とする貫通電動モータであるため、アクチュエータの全長を短くした上でストロークを大きくとることができる。しかも、スクリュシャフトがボールナットから抜ける方向に移動した際には、スクリュシャフトと平行に設けられた軸部がスクリュシャフトとともに移動し、この軸部に設けられたストッパが、ケースに当接することによりスクリュシャフトのボールナットからの抜けを防止する。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の一実施形態のドライビングシミュレータを図面を参照して以下に説明する。
【0008】
本実施形態のドライビングシミュレータは、図1および図2に示すように、被験者が乗り込むコックピット11が内部に設けられるキャビン12と、このキャビン12の下部を構成する揺動台13を六本のアクチュエータ14を介して支持する基台15とを有するもので、コックピット11における被験者の操作入力等に応じて六本のアクチュエータ14の伸縮をそれぞれ個別に制御することにより揺動台13を含むキャビン12を揺動させるものである。
【0009】
まず、基台15について図3および図4を参照して説明する。
基台15は、図3に示すように全体として略三角形状(略正三角形)をなしており、図4に示すように鉄鋼材からなる同形状の三つの基台構成部材20が連結されて形成されるものである。すなわち、基台構成部材20は、互いに鋭角をなして交差するように配置される一対の直線状の分割辺部21と、これら分割辺部21の近接側同士を連結させる連結部22と、分割辺部21の離間側同士を連結させる連結部23とを有する形状をなしている。そして、三つの基台構成部材20を、それぞれの連結部23同士が三角形状をなし、かつそれぞれの分割辺部21が全体として略三角形状をなすようにしてボルト・ナット等の締結部材24で連結させることで図3に示すよう基台15が構成される。
【0010】
ここで、基台15には、各連結部22側に、それぞれ一対のアクチェータ支持部26が並列して設けられている。ここで、各基台側アクチュエータ支持部26は、取付用の図示せぬボルト・ナット等の締結部材が挿通される取付穴26aを複数有するもので、連結部22と分割辺部21との境界部分に配置されている。これら基台側アクチュエータ支持部26には、アクチュエータ14の一端側が連結されることになるが、基台側アクチュエータ支持部26の対をなすもの同士は、それぞれに取り付けられるアクチュエータ14の揺動による干渉を防止するために必要な最小限の距離だけ離間しており、そのため、連結部22は、若干直線状をなし、その結果、基台側アクチュエータ支持部26は略三角形の頂点位置、具体的には三角形の各辺の連結側を面取りした略三角形の頂点位置に配置されている。すなわち、一対のアクチュエータ14を基台15の頂点の一点に連結するのが好ましいが、このような連結は物理的に不可能なので、基台15への連結が物理的に可能であってしかも揺動時に一対のアクチュエータ14が互いに干渉しない最小限の距離だけ対をなす基台側アクチュエータ支持部26が離間しこれにともなって連結部22が若干直線状をなしているのである。
【0011】
そして、すべての基台側アクチュエータ支持部26に一対一でアクチュエータ14の一端側をボルト・ナット等の締結部材を用いて連結させることにより、基台15の各頂点位置となる各連結部22にそれぞれ一対すなわち二本のアクチュエータ14の一端側を連結させることになる。
【0012】
次に、アクチュエータ14について図5を参照して説明する。
アクチュエータ14は、外周面に螺旋状のボール溝31が形成されたスクリュシャフト32およびこのスクリュシャフト32が螺合されるボールナット33を有するボールネジ34と、ボールナット33を固定状態で保持するとともにスクリュシャフト32を内側に貫通可能とするモータロータ36と、このモータロータ36を磁力で回転させることによりボールナット33を回転させてボールネジ34を軸線方向に移動させるモータステータ37と、モータロータ36を回転可能に支持するとともに、スクリュシャフト32およびモータロータ36の一端側を突出させた状態でスクリュシャフト32、ボールナット33、モータロータ36およびモータステータ37等を覆うケース38とを有する貫通電動モータからなっている。
【0013】
スクリュシャフト32は、ケース38の一端側から突出しており、この突出するスクリュシャフト32の先端部には、ユニバーサルジョイント40が取り付けられている。また、ケース38におけるスクリュシャフト32の突出側に対し反対端部にも、ユニバーサルジョイント41が取り付けられている。
【0014】
スクリュシャフト32側のユニバーサルジョイント40とケース38には、ストッパ機構43が設けられている。このストッパ機構43は、ユニバーサルジョイント40のスクリュシャフト32側に側方に延出するように固定された側方延出部材44と、スクリュシャフト32と平行をなすように側方延出部材44に固定されたストッパ用ネジ(軸部)45と、ケース38のユニバーサルジョイント40側に側方延出部材44と同方向に延出するように設けられるとともにストッパ用ネジ45を軸方向移動可能に貫通させる当接部材46と、ストッパ用ネジ45の側方延出部材44に対し反対側の端部に螺合されて当接部材46に当接可能とされたナットからなるストッパ47とを有している。
【0015】
スクリュシャフト32は、ケース38内に入り込む方向に移動した場合、ケース38内の当接部材48に当接してそれ以上の移動が規制されることになり、ケース38から突出する方向に移動した場合、スクリュシャフト32と一体に移動するストッパ用ネジ45に螺合されたストッパ47が当接部材46に当接することによりそれ以上の移動が規制されることになる。すなわち、スクリュシャフト32がモータロータ36に対し貫通可能とされていることからスクリュシャフト32がモータロータ36およびボールナット33から抜け出てしまうのを、ストッパ機構43が規制するのである。なお、ストッパ47は、スクリュシャフト32がボールナット33から抜け出ることがなく、かつボールナット33から抜け出る方向に最大限ストロークできる位置で停止するように取り付けられている。
【0016】
以上から、ストッパ用ネジ45は、スクリュシャフト32のケース38から突出する部分にこのスクリュシャフト32と平行に設けられており、また、ストッパ47は、ストッパ用ネジ45に設けられケース38に当接することによりスクリュシャフト32のボールナット33からの抜けを防止する。
【0017】
このアクチュエータ14は、図2に示すように、ケース38に取り付けられたユニバーサルジョイント41が基台15の基台側アクチュエータ支持部26に連結されることになり、スクリュシャフト32側のユニバーサルジョイント40が揺動台13に連結されることになる。
【0018】
次に、揺動台13を含むキャビン12について説明する。
キャビン12は、その骨格を構成する図2に示すキャビンフレーム51とこのキャビンフレーム51にこれを覆うように取り付けられる図1に示すキャビンカバー52とを有している。
【0019】
キャビンフレーム51は、アルミニウムの押出成形材からなる上部フレーム54と、アルミニウムの押出成形材で形成される下部フレーム55に上下二分割されており、これら上部フレーム54および下部フレーム55がボルト・ナット等の図示せぬ締結部材で連結されて構成されるもので、下部フレーム55の下部が、揺動台13となっており、この揺動台13は全体として略六角形状をなしている。
【0020】
下部フレーム55は、図6および図7に示すように、五本の辺部58が一辺のみ欠落した略六角形状をなすように連結されるとともにこれらの内側に内側連結部61を有する揺動台13に、適宜の位置から上方に延出する下部支柱部60および複数の上側辺部63をさらに設けたもので、揺動台13の頂点のうち連続する三本の辺部58の端部に位置する連続する四つの頂点位置と、内側連結部61の中間所定位置とに、アクチュエータ14のスクリュシャフト32側のユニバーサルジョイント40をそれぞれボルト・ナット等の図示せぬ締結部材を用いて連結させる揺動台側アクチュエータ支持部62が設けられている。これら揺動台側アクチュエータ支持部62は、略六角形(略正六角形)の頂点位置に配置されるように設けられており、それぞれ取付用の図示せぬボルト・ナット等の締結部材が挿通される取付穴62aを複数有している。
【0021】
ここで、図2に示すように、基台15の各頂点位置である各連結部22にそれぞれ二本で一対のアクチュエータ14の一端側を連結させ、水平方向に連続する四本のアクチュエータ14の他端側をそれぞれ揺動台13の近接する頂点位置に連結させるとともに、残りの二本のアクチュエータ14の他端側をそれぞれ内側連結部61の中間所定位置に連結させる。すなわち、基台15と揺動台13との連結状態を模式的に示すと図8に示すようになっており、各連結部22にそれぞれ一対ずつ設けられた基台側アクチュエータ支持部26に、アクチュエータ14のユニバーサルジョイント41を連結し、各アクチュエータ14を対をなすもの同士が上側ほど離間するようにV字状をなすようにして、揺動台13の四つの頂点位置および内側連結部61に略六角形の頂点位置に配置されるように設けられた六カ所の揺動台側アクチュエータ支持部62にアクチュエータ14のユニバーサルジョイント40を連結させる。このようにして、基台15に対し合計六本のアクチュエータ14を介して揺動台13すなわちキャビンフレーム51を揺動可能に支持することになる。
【0022】
なお、揺動台13の五本の辺部58をすべて同じ長さとし正六角形状として、六つの頂点位置の下面に揺動台側アクチュエータ支持部62を設けても良い。このようにすると、すべてのアクチュエータ14の他端側であるユニバーサルジョイント40を揺動台13の頂点位置に連結させることになる。
【0023】
以上により、基台15はキャビンフレーム51を複数のアクチュエータ14を介して支持することになり、また複数のアクチュエータ14の伸縮が制御されることによりキャビンフレーム51が揺動する。
【0024】
上部フレーム54は、図9および図10に示すように七本の辺部65が略七角形状をなすように連結されるとともに、これらの内側に内側連結部66を有する天台部67と、この天台部67の適宜の位置から下方に延出する複数の上部支柱部68とを有するものである。
【0025】
そして、上部フレーム54の各上部支柱部68の下端連結部68aには、取付用の図示せぬボルト・ナット等の締結部材が挿通される取付穴68bが複数形成されており、下部フレーム55の上端連結部55aにも、取付用の図示せぬボルト・ナット等の締結部材が挿通される取付穴55bが複数形成されている。そして、上部フレーム54の各下端連結部68aと下部フレーム55の対応する上端連結部55aとがそれぞれ図示せぬ締結部材で連結されることで、これら上部フレーム54および下部フレーム55がキャビンフレーム51を構成する。
【0026】
この上部フレーム54には、図11に示すように、映像を投影する映像投影装置91およびこの映像投影装置91から投影された映像が映し出されるスクリーン92が所定位置に取り付けられている。ここで、映像投影装置91は、内側連結部66に設けられている。なお、上部フレーム54には、後にルームミラー93が所定位置に取り付けられることになる。このルームミラー93は、液晶モニタからなっており、映像表示を行う。
【0027】
下部フレーム55には、図1、図2および図12に示すように、被験者を収容するコックピット11を構成するインストルメントパネル71、シート72、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75、クラッチペダル76、マニュアルトランスミッション用シフトレバー77、サイドブレーキ78、両サイドミラー79がそれぞれ所定位置に取り付けられている。ここで、インストルメントパネル71には、オートマチックトランスミッション用シフトレバー81が設けられており、またシート72に着席する被験者に向けた音響を発生させるスピーカ82が設けられている。また、両サイドミラー79は、液晶モニタからなっており、映像表示を行う。
【0028】
また、下部フレーム55には、ステアリングホイール73の入力検出装置84、アクセルペダル74の入力検出装置85、ブレーキペダル75の入力検出装置86、クラッチペダル76の入力検出装置87、マニュアルトランスミッション用シフトレバー77の入力検出装置88およびオートマチックトランスミッション用シフトレバー81の入力検出装置89等がそれぞれ所定位置に取り付けられている。
【0029】
被験者が着席するシート72には、図1に示すように、その座面部95および背もたれ部96に、着席した被験者に振動を与える振動板(振動体)97がそれぞれ埋め込まれており、これら振動板97によって、シート72に着席した被験者に大気を介することなく直接振動を付与可能となっている。
【0030】
ここで、キャビン12内のコックピット11は、図2に示すように、その進行方向前方側を、連続的に配置される四本のアクチュエータ14側にして配置されており、具体的には、図7に示すように、キャビンフレーム51の揺動台13における頂点位置に設けられた四カ所の揺動台側アクチュエータ支持部62が前方側(図7において紙面右側)になるように配置されている。すなわち、辺部58に設けられた四カ所の揺動台側アクチュエータ支持部62側に、コックピット11の前部を構成する、インストルメントパネル71、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75、クラッチペダル76、ステアリングホイール73の入力検出装置84、アクセルペダル74の入力検出装置85、ブレーキペダル75の入力検出装置86およびクラッチペダル76の入力検出装置87等が設けられている。
【0031】
以上の結果、揺動台13の後部に設けられるシート72の左右側方に、揺動台13の辺部58が配置されることになり、これら辺部58側においては、両端のアクチュエータ14の間隔が広くなるため、図13に示すようにコックピット11に被験者が昇降するための昇降部100をキャビン12の横後部に設けるように、昇降部100をこれら辺部58のうちの一方に設けることで被験者の昇降時にアクチュエータ14が邪魔になることを防止する。
【0032】
なお、クラッチペダル76は、被験者によるスイッチ操作等に基づいてモータ76aを駆動することで折り畳み可能とされており、オートマチックトランスミッションを想定した模擬運転時には折り畳まれ、マニュアルトランスミッションを想定した模擬運転時には操作可能な位置に出現するようになっている。
【0033】
また、キャビンフレーム51における辺部58に設けられた四カ所の揺動台側アクチュエータ支持部62側には、図2に示すように、スクリーン92も設けられている。このスクリーン92は、図14に示すように、揺動台13が水平をなす状態で、鉛直方向に立設されるとともに、横方向に広く、しかも水平方向にのみ湾曲する曲面形状(円筒面形状)をなしている。なお、スクリーン92は、その湾曲の略中心にシート72に着席した被験者が位置するように配置されており、図15に示すように、シート72に着席した被験者の目の正面に配置されるようにその高さが設定されている。
【0034】
映像投影装置91は、運転時のドライバの視界の様子を模擬的に表現する映像を上記スクリーン92に投影するためのもので、映像を投影する汎用のプロジェクタ102と、このプロジェクタ102の直前位置に設けられこのプロジェクタ102から投影される映像を横長のスクリーン92に合わせて横方向にのみ拡大する作用を有する拡大レンズ103とを有している。この映像投影装置91は、シート72に着席した被験者の頭部の上方となる位置に設けられており、シート72に着席した被験者の頭部の真上となる位置に拡大レンズ103が設けられ、この拡大レンズ103のスクリーン92に対し反対側にプロジェクタ102が設けられている。ここで、被験者の頭部の上方に設けられるプロジェクタ102として、光軸が斜め上方に向く投影レンズ(図示略)を有し斜め上方に投影を行う汎用のものを用いているため、このプロジェクタ102を上下反転させて上部フレーム54に取り付けることで投影方向を斜め下方にし、被験者の頭部の正面に設けられるスクリーン92への投影を可能としている。
【0035】
拡大レンズ103は、上下方向には拡大作用を有さず横方向にのみ拡大作用を有するように、図16に示すように、シリンドリカルレンズ(アナモフィックレンズ)を備えている。すなわち、拡大レンズ103は、ケース105に平凸シリンドリカルレンズ(シリンドリカルレンズ)106と両凹シリンドリカルレンズ(シリンドリカルレンズ)107とを所定距離離間させ、しかも平凸シリンドリカルレンズ106の凸側が両凹シリンドリカルレンズ107に対し反対側に向くように配置することで構成されている。そして、拡大レンズ103は、平凸シリンドリカルレンズ106が前方すなわちスクリーン92側となり両凹シリンドリカルレンズ107が後方すなわちプロジェクタ102側になるように配置されることにより、これらシリンドリカルレンズ106,107でプロジェクタ102から投影される映像を横方向にのみ拡大してスクリーン92に投影する。
【0036】
ここで、拡大レンズ103の光軸方向をプロジェクタ102の投影レンズの光軸の方向に合わせており、その結果、拡大レンズ103はプロジェクタ102の全体に対し傾斜状態で配置されている。
【0037】
下部フレーム55に上部フレーム54が組み立てられて形成されるキャビンフレーム51には、これを覆うようにキャビンカバー52が取り付けられており、これらキャビンフレーム51およびキャビンカバー52と、上記コックピット11、スクリーン92および映像投影装置91等とでキャビン12が構成されている。
【0038】
次に、ドライビングシミュレータの制御装置110について図1を主に参照して説明する。
制御装置110は、メイン映像発生装置111、ルーム・サイド映像発生装置112、音響発生装置113、駆動系サーボアンプ装置114およびこれらを制御するメインコンピュータ116を有しており、メインコンピュータ116には外部表示モニタ115が接続されている。
【0039】
メイン映像発生装置111は、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力としてメインコンピュータ116において実行される制御プログラムにしたがって、車両運転時における運転者の視界に対応する映像信号を生成するもので、この映像信号で映像投影装置91のプロジェクタ102に映像を投影させることでスクリーン92に映像を表示させる。
【0040】
ルーム・サイド映像発生装置112は、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力としてメインコンピュータ116において実行される制御プログラムにしたがって、車両運転時における両サイドミラー79およびルームミラー93の像に対応する映像信号を生成するもので、この映像信号で両サイドミラー79およびルームミラー93の液晶モニタに映像を表示させる。
【0041】
音響発生装置113は、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力としてメインコンピュータ116において実行される制御プログラムにしたがって、車両運転時に運転者が受ける音響に対応する音響信号を生成するもので、この音響信号でスピーカ82を駆動し音響を大気中に発生させる。
【0042】
ここで、音響発生装置113には、他方で、ローパスフィルタ118を介してシート72の振動板97が接続されており、音響生成装置113で生成されたスピーカ82を駆動するための音響信号をそのままローパスフィルタ118を介して振動板97に供給することでこの音響信号の低周波成分のみで振動板97を駆動する。なお、ドライビングシミュレータでは、音声によるアナウンスが行われるため、ローパスフィルタ118としては、このアナウンスのための音声(人の声)によって振動板97を振動させないものが用いられ、例えば100Hzのものが用いられている。
【0043】
駆動系サーボアンプ装置114は、ステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力としてメインコンピュータ116において実行される制御プログラムにしたがって、各アクチュエータ14の伸縮を制御する。例えば、図13および図17に示すようにアクチュエータ14を縮めたり、図18および図19に示すようにアクチュエータ14を伸ばしたりする。
【0044】
以上のような構成のドライビングシミュレータの作動について説明する。
すべてのアクチュエータ14についてスクリュシャフト32の突出量を小さくすることにより、キャビン12を下降させる。このように下降したキャビン12に対し、被験者が昇降部100から乗り込んだり、降りたりする。このとき、昇降部100は、上記したようにアクチュエータ14の間隔が広い部分に設けられているため、乗り降りが容易となる。
【0045】
そして、キャビン12に乗り込んだ被験者はその内部のコックピット11におけるシート72に着席する。
ドライビングシミュレータは、被験者によるステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力として実行される制御プログラムにしたがってメイン映像発生装置111およびルーム・サイド映像発生装置112が映像信号を生成するとともに音響発生装置113が音響信号を生成する。そして、メイン映像発生装置111が生成した映像信号で映像投影装置91のプロジェクタ102がスクリーン92に映像を投影することでスクリーン92に映像を表示させるとともに、ルーム・サイド映像発生装置112が生成した映像信号で両サイドミラー79およびルームミラー93の液晶モニタに映像を表示させ、さらに、音響発生装置113が生成した音響信号でスピーカ82が音響を被験者に向け発生させる。ここで、この音響信号は、ローパスフィルタ118を介して振動板97にも出力され、音響信号のうち低周波成分でのみ振動板97が振動し被験者に振動を与える。また、ドライビングシミュレータは、被験者によるステアリングホイール73、アクセルペダル74、ブレーキペダル75等の操作入力等を入力としてメインコンピュータ116において実行される制御プログラムにしたがって、駆動系サーボアンプ装置114が各アクチュエータ14の伸縮を適宜制御することによりキャビン12を揺動させて、被験者に実際の運転時の感覚を模擬的に体感させる。
【0046】
以上に述べたドライビングシミュレータによれば、アクチュエータ14は、モータステータ37でモータロータ36を回転させることによりボールナット33を回転させてスクリュシャフト32を軸線方向に移動させることになり、しかも、モータロータ36がスクリュシャフト32を貫通可能とする貫通電動モータであるため、アクチュエータ14の全長を短くした上でストロークを大きくとることができる。したがって、揺動台13の揺動角度を確保した上で、揺動台13の高さを抑えることができ、その結果、被験者のコックピット11への乗降性を向上させることができる。
【0047】
しかも、スクリュシャフト32がボールナット33から抜ける方向に移動した際には、スクリュシャフト32と平行に設けられたストッパ用ネジ45がスクリュシャフト32とともに移動し、このストッパ用ネジ45に設けられたストッパ47が、ケース38の当接部材46に当接することによりスクリュシャフト32のボールナット33からの抜けを防止する。したがって、スクリュシャフト32を最大限ストロークさせることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のドライビングシミュレータによれば、アクチュエータは、モータステータでモータロータを回転させることによりボールナットを回転させてスクリュシャフトを軸線方向に移動させることになり、しかも、モータロータがスクリュシャフトを貫通可能とする貫通電動モータであるため、アクチュエータの全長を短くした上でストロークを大きくとることができる。したがって、揺動台の揺動角度を確保した上で、揺動台の高さを抑えることができ、その結果、被験者のコックピットへの乗降性を向上させることができる。
【0049】
しかも、スクリュシャフトがボールナットから抜ける方向に移動した際には、スクリュシャフトと平行に設けられた軸部がスクリュシャフトとともに移動し、この軸部に設けられたストッパが、ケースに当接することによりスクリュシャフトのボールナットからの抜けを防止する。したがって、スクリュシャフトを最大限ストロークさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータの全体構成を概略的に示す側面図である。
【図2】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンカバーを除いた斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータの基台を示す平面図である。
【図4】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータの基台の分解平面図である。
【図5】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのアクチュエータを示す側断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの下部フレームを示す斜視図である。
【図7】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの下部フレームを示す下面図である。
【図8】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータの基台側アクチュエータ支持部および揺動台側アクチュエータ支持部へのアクチュエータの連結関係を模式的に示す平面図である。
【図9】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの上部フレームを示す斜視図である。
【図10】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの上部フレームを示す下面図である。
【図11】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの上部フレームに各構成を配置した状態を示す斜視図である。
【図12】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのキャビンフレームの下部フレームに各構成を配置した状態を示す斜視図である。
【図13】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのアクチュエータが縮んだ状態を示す側面図である。
【図14】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのスクリーンの配置を示す平面図である。
【図15】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのスクリーンおよび映像投影装置の配置を示す側面図である。
【図16】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータの拡大レンズを示す平断面図である。
【図17】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのアクチュエータが縮んだ状態を示す正面図である。
【図18】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのアクチュエータが伸びた状態を示す側面図である。
【図19】 本発明の一実施形態のドライビングシミュレータのアクチュエータが伸びた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
11 コックピット
13 揺動台
14 アクチュエータ
15 基台
32 スクリュシャフト
33 ボールナット
34 ボールネジ
36 モータロータ
37 モータステータ
38 ケース
45 ストッパ用ネジ(軸部)
47 ストッパ
Claims (1)
- 被験者が乗り込むコックピットが設けられる揺動台と、該揺動台を複数のアクチュエータを介して支持する基台とを有し、前記コックピットにおける被験者の操作に応じて前記複数のアクチュエータの伸縮を制御することにより前記揺動台を揺動させるドライビングシミュレータにおいて、
前記アクチュエータは、
スクリュシャフトおよびボールナットを有するボールネジと、
前記ボールナットを保持するとともに前記スクリュシャフトを貫通可能とするモータロータと、
該モータロータを回転させるモータステータと、
前記スクリュシャフトの一端側を突出させた状態で前記モータロータおよび前記モータステータを覆うケースと、
前記スクリュシャフトの前記ケースから突出する部分に該スクリュシャフトと平行に設けられた軸部と、
該軸部に設けられ、前記ケースに当接することにより前記スクリュシャフトの前記ボールナットからの抜けを防止するストッパとを具備し、
前記軸部はネジ構造をなしており、前記ストッパはナットからなるとともに、前記軸部と前記ストッパとが螺合するように構成されていることを特徴とするドライビングシミュレータ。
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