JP3847410B2 - 作業車用車輪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行しながら草刈り作業や散布作業等を行う作業車用の車輪に係り、特に、傾斜地で等高線上を走行しながら、あるいは、泥濘地等の不整地を走行しながら作業を行うのに好適な作業車用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
傾斜地で等高線上を走行しながら、あるいは、泥濘地等の不整地を走行しながら草刈り作業や散布作業等を行う作業車用の車輪としては、機体のずり落ちや横滑りを生じ難く、また、泥濘地等においても沈み込み難く、地面に対して大きなグリップ力ないし推進力が得られるような構造を持つことが望まれる。
そのため、従来においては、外周部にスパイクやラグ等の突出物を設けた作業車用車輪が各種提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した如くの従来の作業車用車輪においては、スパイクやラグ等の突出物が地中に突き刺さるように潜りこんで相当量の土や藁等の堆積物を掻き出してしまうという問題があるとともに、傾斜地でのずり落ちや横滑り、あるいは、泥濘地等での沈み込み等に対する対策が未だ充分ではなく、また、地面に対するグリップ力ないし推進力をさらに向上させることが強く要望されている。
【0004】
また、作業車用車輪のうちの、回転駆動される駆動車軸を備えたもの、つまり駆動輪として用いられる作業車用車輪については、次のような問題があった。
すなわち、例えば、傾斜地(山地)を走行中に、駆動輪の回転が倒木、ブッシュ、切り株、石等によって阻害されて該駆動輪に大きな負荷が作用したとき、言い換えれば、原動機の動力が伝達されているにも関わらず、駆動輪の回転が何らかの理由で制限されるように事態が発生すると、動力伝達系の各部、つまり、変速機の出力軸、滑りが殆ど生じないチェーン式等の巻掛伝動機構のスプロケットやチェーン、駆動車軸、等が折損等の重大なダメージを受けてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、前記のような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、土や藁等の堆積物をさほど掻き出さないようにしながら、傾斜地でのずり落ちや横滑り、あるいは、泥濘地等での沈み込み等を生じ難くでき、かつ、地面に対して充分なグリップ力ないし推進力が得られるようにされた作業車用車輪を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記作業用車輪を駆動輪として用いた場合に、該駆動輪の回転が何らかの理由で制限されるように事態が発生しても、動力伝達系の各部が折損等の重大なダメージを受け難くできるようにされた作業車用車輪を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る作業車用車輪は、多数の山状部が所定角度間隔をもって形成された鋸歯状ないし星形状の外周形状を持つ左右一対の車板と、所定数の同寸法のアングル部材と、を備え、前記左右一対の車板間に、前記アングル部材が前記所定角度間隔をもって、その一端部が前記車板の外周半径よりも小なる外周半径の同心円上に位置するように配置され、互いに一体に結合されていることを特徴としている。
【0011】
この場合、好ましい態様では、前記各アングル部材は、それが最も低い位置に回転せしめられたときにおいて、鉛直線に対してそれらの両辺が共に所定角度傾斜した姿勢となるように前記一対の車板に結合される。
【0012】
かかる構成とされた本発明の作業車用車輪においても、例えば傾斜地では、左右一対の車板の外周に形成された山状部が傾斜地盤に食い込むので、傾斜地でのずり落ちや横滑りは殆ど生じない。また、車板は板状であるので、土や藁等の堆積物をさほど掻き出さない。さらに、例えば、泥濘地等の不整地では、前記車板の山状部は沈み込むが、アングル部材が地面に接触して総接地面積が増大し接地圧が低下するので、車輪の沈み込みがそこで止められるとともに、前記アングル部材は地盤に広く浅く食い込むので、地面に対して充分なグリップ力ないし推進力が確保できる。
【0013】
本発明に係る他の別の作業車用車輪は、回転駆動される駆動車軸を備えたもので、前記左右一対の車板と前記駆動車軸との間に、前記車板に所定以上の負荷が作用したとき前記駆動車軸を空転させるトルクリミッターが介装されていることを特徴としている。
【0014】
このようにされることにより、駆動輪の回転が何らかの理由で制限されるように事態が発生しても、動力伝達系の各部が折損等の重大なダメージを受け難くできる。
【0015】
なお、本発明の作業車用車輪は、あらゆる作業車に使用できるものであるが、特に、傾斜地で等高線上を走行しながら、あるいは、泥濘地等の不整地を走行しながら作業を行う作業車に好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1、図2、図3は、本発明に係る車輪の実施形態が使用された作業車の一例を示す左側面図、平面図、正面図である。
【0017】
まず、図示の作業車1を説明する。
前記作業車1は草刈り作業を行うためのもので、本体フレーム2の略中央に原動機としての4サイクル内燃エンジンからなるパワープラント3が搭載されるとともに、その後部中央下側に、本発明の一実施形態の作業車用車輪である後述する単輪の駆動後輪20が配設されている。前記本体フレーム2の後部上側には、左右のハンドル7,8が斜め後方に向けて取り付けられ、このハンドル7,8のグリップ7a,8a近傍には前記パワープラント3を制御するスロットル操作レバー11、クラッチ操作レバー12等が配設されている。
【0018】
前記パワープラント3には、作業用動力取り出し軸5(図2及び図4参照)及び走行用動力取り出し軸6(図1及び図2参照)が設けられており、前記パワープラント3の動力は前記作業用動力取り出し軸5からベルト−プーリ式巻掛伝動機構22及び動力伝達方向変換機構24を介して草刈り刃(回転式ハンマナイフ)50にその回転駆動力として伝達されるとともに、前記走行用動力取り出し軸6からテレスコピック式ユニバーサルドライブシャフト13、二段変速機14、チェーン式巻掛伝動機構16を介して前記後輪20にその回転駆動力として伝達されるようになっている。なお前記草刈り刃50の下側には、それと一体に回転するようにスライダーカップ51が取り付けられている。
【0019】
前記作業用動力取り出し軸5と前記草刈り刃50との間に介装されている前記動力伝達方向変換機構24は、図4及び図5を参照すればよくわかるように、前記本体フレーム2の前後方向に沿って配置された前後方向動力伝達軸30(その中心軸線をCとする)、及びこれに直交配置された縦方向動力伝達軸40とを備えており、前記前後方向動力伝達軸30は、その後端部が前記本体フレーム2に固定された固定ケース25内にボールベアリング31を介して回転自在に支持され、その前端部が回動ケース26にボールベアリング34を介して回転自在に支持されており、また、前記固定ケース25の前端部及び前記回動ケース26の後端部との間にも、それぞれボールベアリング32,33が介装されている。
【0020】
前記縦方向動力伝達軸40は、前記回動ケース26の下部に固定された縦ケース27内にボールベアリング41,42を介して回転自在に支持されている。
【0021】
そして、前記前後方向動力伝達軸30の後部側には、前記ベルト−プーリ式巻掛伝動機構22の出力軸22aに設けられた第一出力傘歯車27に噛合する第一入力傘歯車29が設けられ、その前部側には、前記縦方向動力伝達軸40の上端部に設けられた第二入力傘歯車39が噛合する第二出力傘歯車37が設けられており、前記縦方向動力伝達軸40の下端部に設けられた前記草刈り刃50は、前記前後方向動力伝達軸30と平行な面内で回転するようになっている。
【0022】
前記前後方向動力伝達軸30の前半部分が収納されている前記回動ケース26は、その前端部が、前記本体フレーム2にボルト45で垂下固着された支持板44に、前記前後方向動力伝達軸30と同軸に固設された支軸46にベアリング47を介して回動自在に支持されており、また、前記回動ケース26には、前記縦ケース27の他に、前記草刈り刃50を覆う概略円筒状の草刈りカバー36も固定されている。また、該草刈りカバー36の前部には、前方斜め上に突出するようにコ字状の集草パイプ枠19が配設されている。
【0023】
従って、これら回動ケース26、縦ケース27、草刈り刃50等からなる作業部35は、前記前後方向動力伝達軸30を揺動中心軸として、前記本体フレーム2に対して上下揺動自在に配設されている。
【0024】
前記作業部35の前記草刈りカバー36の前部側のセンターライン上(平面視では前記前後方向動力伝達軸30の中心軸線Cと重なる)には、図5〜図7を参照すればよくわかるように、ピボット55が垂直上向きに突設されている。このピボット55は、側面視概略「く」字形断面を有する斜板ユニット52の二重壁状基体部52Aに設けられた筒状部52Bに相対回動可能に挿通せしめられており、その上部に上下方向規制部材としてのボルト59が滑りワッシャ58を介して螺着されており、前記斜板ユニット52は、前記ピボット55により、前記草刈りカバー36と平行な面内、言い換えれば前記前後方向動力伝達軸30と平行な面内で回動可能に支持されている。
【0025】
前記斜板ユニット52の前部側には、図7を参照すればよくわかるように、前記草刈りカバー36の前端部から前方へ突出する前輪支持用コ字状フレーム56が取付金具53,53により取付固定され、このコ字状フレーム56に設けられた支軸部57,57に、本発明の一実施形態の作業車用車輪である後述する左右一対の前輪10,10が遊転自在に支持されている。言い換えれば、前記作業部35に前記前輪10,10が、前記斜板ユニット52を介して前記支軸部57,57(回動軸線O)と平行な面内で前後方向へ回動可能に支持されている。
【0026】
前記斜板ユニット52の後方側の縦面とされる斜板部52aは、前記草刈りカバー36及び前記前後方向動力伝達軸30の中心軸線Cに対して後方側に若干傾斜しており、この斜板部52aの後面側左右両端部に、前記本体フレーム2に前後方向に向けて平行に、かつ、前記中心軸線(センターライン)Cを挟んで左右対称となる位置に保持固定された二本の支持ロッド61,62の先端部から左右にそれぞれ突出して軸支された押し当て部材とされる樽形ローラ63,64が当接せしめられている。
【0027】
前記に加え、本実施形態においては、前記前輪10,10及び前記作業部35の上下揺動及び前記前輪の回転軸線Oの前後方向の向きの変化を抑えるべく、前記斜板ユニット52と本体フレーム2との間に、弾性付勢手段としての同じ強さの引張り力を有する一対のコイルスプリング71,72が、平面視で前記前後方向動力伝達軸30の中心軸線Cの左右にそれ挟んで左右対称となる位置に平行に並設されている。
【0028】
より詳細には、前記斜板ユニット52の二重壁状基体部52Aの左右両端部付近には、前記中心軸線(センターライン)Cを挟んで左右対称形の前側門形支持部材73の両縦片部が前記取付金具53,53に植立固定されており、また、前記一対の支持ロッド61,6上には、前記中心軸線(センターライン)Cを挟んで左右対称形の後側門形支持部材74の両縦片部が固設されていて、これらの前側門形支持部材73と後側門形支持部材74とを橋絡するように前記コイルスプリング71,72が張装されている。
【0029】
また、前記前輪10,10及び前記作業部35の上下揺動及び前記前輪10,10の回転軸線Oの前後方向の向きの変化を必要に応じて阻止すべく、前記支持ロッド61,62間に設けられた支持板66上に前記斜板部52aの左右方向中央に形成された係止穴52cに、前記ハンドル7に配設した操作レバー79を操作することにより、ボーデンケーブル77を介して抜き差しされるロックピン76を備えたロック機構75が配設されている。
【0030】
このような構成とされた本実施形態の前記作業車1においては、図3を参照すればよくわかるように、平地Eに対して傾斜した傾斜地Pで等高線上を走行しながら草刈り作業を行う場合には、前記操作レバー79を操作して前記ロックピン76を前記斜板部52aの係止穴52から引き抜いておくと、前記本体フレーム2に配設された前記後輪20は、前記ハンドル7,8を操作して鉛直線Gに沿うように立てられるが、前記本体フレーム2に対して前記前後方向動力伝達軸30を揺動中心軸Cとして上下揺動自在とされた一対の前記前輪10,10は、前記傾斜面Pに対して略垂直に、従って鉛直線Gに対しては傾斜した姿勢とされ、前記前輪10,10が配設された前記作業部35は、前記傾斜面Pと略平行に配置される。
【0031】
この場合、前記本体フレーム2に対する前記前輪10,10の上下揺動角度に応じて、言い換えれば、傾斜地の傾斜角度に応じて、図6を参照すればよくわかるように、前記前輪10,10及び前記作業部35側に取り付けられた前記斜板ユニット52の前記斜板部52aに対する前記本体フレーム2側に取り付けられた前記樽形ローラ63,64の当接位置が変化せしめられ、前記前輪10の回転軸線Oの向きが仮想線O' で示すように、前記前輪10,10が前進時に受ける抵抗により、傾斜地を登る方向に、何等操作を必要とせずに自動的に変化せしめられる。
【0032】
このように傾斜地において等高線上を走行しながら作業を行う場合に、前記前輪10,10の回転軸線Oの向きが傾斜地を登る方向に自動的に変化せしめられることにより、車体が下方に向かうことを自動的に防止でき、そのため、作業を効率良く、容易かつ安全に行うことができる。
なお、斜面での施回時や平地での作業時、移送時等には、前記ロック機構75を再びセットしておくと、取り扱いが容易となる。
【0033】
以上のような構成を有する前記作業車1に使用されている本発明の一実施形態の作業車用車輪である前記左右一対の前輪10,10は、同一構成のものが使用されており、それぞれ図8(A)に部分拡大図示される如くの構成となっている。すなわち、前記前輪10は、所定数(ここでは18個)の山状部10c,10c,…が所定角度α(20度)間隔をもって形成された鋸歯状ないし星形状の外周形状を持つ左右一対の鋼板製の車板10a,10aと、鋼板に切目をつけて引張拡張加工した帯状のエキスパンドメタル等の穴空き板材を、前記車板10a,10aの外周半径Raよりも小なる外周半径Rbを持つ円筒状に丸めて形成された内筒輪10bと、を備えている。
【0034】
そして、前記左右一対の車板10a,10a間に、前記内筒輪10bが前記車板10a,10aと共通の回転軸線(O)を持つように配置されて、互いに一体に結合されている。
【0035】
この場合、前記一方の車板10aの山状部10c,10c,…と他方の車板10aの山状部10c,10c,…とは側面視で重なるように対向配置されており、一つの山状部10cと隣り合う山状部10cとがなす角度βは90度とされている。
【0036】
また、前記内筒輪10bは、図8(B)に示される如くに、引張拡張加工したとき菱形状に開く切目が付けられた鋼板であるエキスパンドメタルが用いられて形成されており、その左右両端部が前記左右一対の車板10a、10aに溶接等により一体的に接合されている。
【0037】
このような構成とされた前記前輪10,10においては、例えば傾斜地では、左右一対の前記車板10a、10bの外周に形成された前記山状部10c,10c,…が傾斜地盤に食い込むので、傾斜地でのずり落ちや横滑りは殆ど生じない。また、前記車板10a,10aは板状であるので、土や藁等の堆積物をさほど掻き出さない。さらに、例えば、泥濘地等の不整地では、前記車板10a,10aの前記山状部10c,10c,…は沈み込むが、前記内筒輪10bが地面に接触して総接地面積が増大し接地圧が低下するので、前記前輪10,10の沈み込みがそこで止められるとともに、前記内筒輪10bは地盤に広く浅く食い込むので、充分なグリップ力ないし推進力が確保できる。
【0038】
また、前記作業車1に使用されている本発明の他の実施形態の作業車用車輪である前記駆動後輪20は、図9(A)、(B)にその下半部分が示されているように、多数(ここでは24個)の山状部20c,20c,…が所定角度間隔θ(15度)をもって形成された鋸歯状ないし星形状の外周形状を持つ左右一対の車板20a,20aと、所定数(ここでは前記山状部20cと同数の24個)の同寸法の山形鋼製アングル部材20b,20b,…と、前記車板20a,20aの内周部に配設された内筒20eと、この内筒20eに溶接等によりその外周端面部が接合固定された駆動側穴付き円板20f及び支承環状円板20gと、を備えている。
【0039】
そして、前記左右一対の車板20a,20a間に、前記アングル部材20b,20b,…が所定角度θ(15度)間隔をもって、その一端部20b1 が前記車板10a,10aの外周半径Rxよりも小なる外周半径Ryの同心円上(中心Q)に位置するように配置されてそれらに結合されている。
【0040】
この場合、前記各アングル部材20b,20b,…は、前記駆動後輪20が回転して最も低い位置にせしめられたときにおいて、鉛直線Gに対してそれらの両辺が共に傾斜した姿勢、ここでは、鈍角側の角度γが135度、鋭角側の角度が45度、となるように前記一対の車板20a,20aに結合されている。
【0041】
また、前記一方の車板20aの山状部20c,20c,…と他方の車板20aの山状部20c,20c,…とは側面視で重なるように対向配置されており、一つの山状部20cと隣り合う山状部20cとがなす角度εは90度とされている。
【0042】
かかる構成とされた前記後輪20においても、例えば傾斜地では、前記左右一対の車板20a、20aの外周に形成された山状部20c,20cが傾斜地盤に食い込むので、傾斜地でのずり落ちや横滑りは殆ど生じない。また、前記車板20a,20aは板状であるので、土や藁等の堆積物をさほど掻き出さない。さらに、例えば、泥濘地等の不整地では、前記車板20a,20aの山状部20c,20c,…は沈み込むが、前記アングル部材20b,20b,…が地面に接触するので、前記後輪20の沈み込みがそこで止められるとともに、前記アングル部材20b,20b,…は、その凹部を後方に向けて配設されていて地盤に確実に食い込むので、充分なグリップ力ないし推進力が得られる。
【0043】
一方、前記後輪20は、図10に示される如くに、回転駆動される駆動車軸21を備えており、前記左右一対の車板20a,20aと前記駆動車軸21との間に、前記車板20a,20aに所定以上の負荷が作用したとき前記駆動車軸21を前記後輪20に対して空転させるトルクリミッター90が介装されている。
【0044】
これを詳細に説明すると、前記パワープラント3の動力は、前記したように、前記走行用動力取り出し軸6から前記ドライブシャフト13、前記二段変速機14の出力軸14a、前記チェーン式巻掛伝動機構16を介して前記後輪20の前記駆動車軸21に伝達されるようになっており、該駆動車軸21は、前記本体フレーム2に保持された左右一対の側板17,18にベアリング82,82を介して回転自在に支持されている。前記左右一対の側板17,18における前記後輪20の中央部の左右内側には、草木や石等の異物が前記後輪20の前記内筒20eの内部に入らないようにするための保護カバー84,84が取り付けられている。
【0045】
そして、前記駆動車軸21の左端側には、前記トルクリミッター90のハブ91が止めネジ96及びキー89を介して一体回転するように外嵌固定されており、前記駆動車軸21の右端側には、前記後輪20の前記内筒20eに固定された前記支承環状円板20gに連結固定される連結円板86の中央に固着された空転スリーブ85が、相対回転自在に外嵌されている。
【0046】
前記ハブ91には、左側から順次、摩擦板92、ブッシュ93及び前記後輪20の前記内筒20eに固定された前記駆動側穴付き円板20f、摩擦板92、押圧プレート94、皿バネ95が外嵌されており、右端側には調節ボルトセット96が配設されている。
【0047】
したがって、前記トルクリミッター90においては、前記駆動側穴付き円板20fに対する前記一対の摩擦板92,92の押圧力を前記調節ボルトセット97によって設定すれば、前記後輪20(の車板20a,20a)に所定以上の負荷が作用するまでは、前記駆動側穴付き円板20fと前記摩擦板92,92との間の摩擦力により、前記後輪20と前記駆動車軸21とが一体に回転するが、前記後輪20(の車板20a,20a)に所定以上の負荷が作用すると、前記駆動側穴付き円板20fと前記摩擦板92,92との間にスリップが生じ、前記後輪20の車板20a,20aに対して前記駆動車軸21が相対的に空転する。
【0048】
このように、前記後輪20の車板20a,20aと前記駆動車軸21との間に、前記車板20a,20aに所定以上の負荷が作用したとき前記駆動車軸21を空転させる前記トルクリミッター90が介装されていることにより、前記後輪20の回転が何らかの理由で制限されるように事態が発生しても、前記した如くの動力伝達系の各部が折損等の重大なダメージを受け難くできる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。
【0050】
例えば、前記実施形態においては、作業機を草刈機として説明したが、該草刈機に限定されるものではなく、散布作業機等他の作業機にも適用できるものである。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の作業車用車輪においては、土や藁等の堆積物をさほど掻き出さないようにしながら、傾斜地でのずり落ちや横滑り、あるいは、泥濘地等での沈み込み等を生じ難くでき、かつ、地面に対して充分なグリップ力ないし推進力を得ることができる。
【0052】
また、車輪と駆動車軸との間にトルクリミッターが介装されることにより、駆動輪の回転が何らかの理由で制限されるように事態が発生しても、動力伝達系の各部が折損等の重大なダメージを受け難くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輪の実施形態が使用された作業車の一例を示す概略左側面図。
【図2】図1に示される作業車の概略平面図。
【図3】図1に示される作業車の概略正面図。
【図4】図1に示される作業車の前半分の拡大図。
【図5】図4に示される作業車の主要部を拡大して示す部分切欠拡大図。
【図6】図1に示される作業車の前部を示す拡大平面図。
【図7】図1に示される作業車の前輪の取付態様の説明に供される分解斜視図。
【図8】本発明に係る車輪の一実施形態である前輪を示し、(A)は部分拡大側面図、(B)は前輪の内筒輪に用いられたエキスパンドメタルを示す図。
【図9】本発明に係る車輪の他の実施形態である後輪の下半分を示し、(A)は断面斜視図、(B)は左側面図。
【図10】本発明に係る車輪の実施形態である後輪の横断面図。
【符号の説明】
10 前輪(作業車用車輪)
10a 車板
10b 内筒輪
10c 山状部
20 後輪(作業車用車輪)
20a 車板
20b アングル部材
20b1 一端部
20c 山状部
21 駆動車輪
α 所定角度
θ 所定角度
γ 所定角度
Ra,Rb 外周半径(前輪)
Rx,Ry 外周半径(後輪)
90 トルクリミッター
O 前輪の回転軸線
G 鉛直線
Claims (2)
- 多数の山状部(20c,20c,…)が所定角度(θ)間隔をもって形成された鋸歯状ないし星形状の外周形状を持つ左右一対の車板(20a,20a)と、所定数の同寸法のアングル部材(20b,20b,…)と、を備え、前記左右一対の車板(20a,20a)間に、前記アングル部材(20b,20b,…)が前記所定角度(θ)間隔をもって、その一端部(20b 1 )が前記車板(20a,20a)の外周半径(Rx)よりも小なる外周半径(Ry)の同心円上に位置するように配置され、互いに一体に結合され、
前記各アングル部材(20b,20b,…)は、それが最も低い位置に回転せしめられたときにおいて、鉛直線(G)に対してそれらの両辺が共に所定角度(γ)傾斜した姿勢となるように、前記一対の車板(20a,20a)に結合されていることを特徴とする作業車用車輪。 - 前記左右一対の車板(20a,20a)間に回転駆動される駆動車軸(21)を挿通し、前記一対の車板(20a,20a)と前記駆動車軸(21)との間に、前記車板(20a,20a)に所定以上の負荷が作用したとき前記駆動車軸(21)を空転させるトルクリミッター(90)が介装されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車用車輪。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11326297A JP3847410B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 作業車用車輪 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11326297A JP3847410B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 作業車用車輪 |
Publications (2)
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