JP3847287B2 - 箔工芸品の製造方法 - Google Patents

箔工芸品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3847287B2
JP3847287B2 JP2003331188A JP2003331188A JP3847287B2 JP 3847287 B2 JP3847287 B2 JP 3847287B2 JP 2003331188 A JP2003331188 A JP 2003331188A JP 2003331188 A JP2003331188 A JP 2003331188A JP 3847287 B2 JP3847287 B2 JP 3847287B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
adhesive
resin
foil
test
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003331188A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004148806A (ja
Inventor
邦子 浅野
章博 小田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HAKUICHI CO., LTD.
Original Assignee
HAKUICHI CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HAKUICHI CO., LTD. filed Critical HAKUICHI CO., LTD.
Priority to JP2003331188A priority Critical patent/JP3847287B2/ja
Publication of JP2004148806A publication Critical patent/JP2004148806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3847287B2 publication Critical patent/JP3847287B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、生分解性を有する樹脂を器物とする成形品及びその製造方法に関し、より詳細には、生分解性を有する樹脂からなる成形基体、特に工芸品又は民芸品の装飾表面を形成し、腐食、剥離、傷、薬品等に対する表面強度、各層間の接着性に優れた保護皮膜を形成した又は形成しない成形品(以下、「箔工芸品」ともいう。)に関する。
一般に工芸品、民芸品と言われる、例えば、塗り物、箔工芸品、漆器は、現在殆どがフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリスチロール(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの熱可塑性樹脂;又は木製品を器物とし、これらの器物の表面の保護及び質感の改善のために、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、メラミンアルキッド樹脂塗料を塗ったり、漆を塗布している。さらに、これらの工芸品、民芸品の意匠性をさらに高めることを目的として、上記塗装表面上に、例えば、金属箔や金属粉などの装飾が施されている。そして、装飾面の保護を目的として、それらの表面に、溶剤系のウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、メラミンアルキッド樹脂塗料を再度塗布したり、エポキシ樹脂を厚く塗装したり、エポキシアクリレート樹脂を塗布することが一般に行われている。そして、これらの工芸品、民芸品は、様々な日用品、雑貨、アクセサリー、装飾品、建材等として使用されてる。
上記の従来の製品は、装飾面の腐食、剥離、傷、薬品に対する保護等も満足できるレベルであり、使用する上では問題はない。しかしながら、これらの製品を廃棄する場合、例えば、一般ゴミ(可燃ゴミ)として処理しようとすれば、器物が上記樹脂であれば、燃焼カロリーがかなり高く、そのため炉を傷めてしまったり、さらには有毒ガス発生の原因となってしまい、環境に深刻な影響を与えてしまう。
そこで、本発明は、使用時には従来品のように優れた意匠性と従来品と同等又はそれ以上の保護強度を保ちながら、環境に悪影響を及ぼすことなく、一般ゴミとして安直に廃棄することが可能な工芸品、民芸品を製造することを目的とする。
本願請求項1に係る発明の箔工芸品の製造方法は、生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルム若しくはシートの表面に接着剤を塗布する工程と、該接着剤中の溶剤を、常温圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させ、該接着剤中の溶剤による該成形基体又はフィルム若しくはシート表面の侵食を防止する工程と、該接着剤によって、金属、金属箔、金属粉、塗料、染料(インク)、化学繊維、天然繊維、シール及び植物若しくはその部分からなる群から選択される装飾用材料を積層して成形基体又はフィルム若しくはシート表面に貼り付ける工程と、該接着剤を硬化させる工程と、無溶剤系又は水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂を塗布し、硬化させる工程と、を含むことを特徴とする。
本願請求項2に係る発明は、本願請求項1に記載の箔工芸品の製造方法において、生分解性樹脂が、化学合成系の生分解性樹脂であることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、本願請求項2に記載の箔工芸品の製造方法において、生分解性樹脂がポリ乳酸系及び脂肪族ポリエステル系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、本願請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、無溶剤系のシリコーン系コーティング材料が、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするものであることを特徴とする。
本願請求項5に係る発明は、本願請求項1〜4いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、接着剤と保護被膜を形成するコーティング材料の合計の割合が、生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルムの5重量%以下であることを特徴とする。
本願請求項6に係る発明は、本願請求項1〜5いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、得られた箔工芸品は、一次密着性試験において、保護膜のカケ、ハガレが発生せず、かつ、硬度試験において、保護膜の硬度が2H以上であることを特徴とする。
前記構成を有する本発明の成形品は、従来のフェノール樹脂、ABS樹脂、PS樹脂、木を成型基材として使用して製造された工芸品、民芸品の製品に比べ、意匠性に優れ、かつ、通常の使用に十分な表面保護強度(表面の腐食、剥離、傷、薬品などに対する抵抗性)を有し、従来の製品と遜色無く代替が可能である。
また、本発明の成形品は、廃棄時には特殊なゴミとしてではなく、微生物の多く存在する自然環境下(土壌中、水中、海水中など)で分解させることもできる。さらには、可燃ゴミとして燃焼処理しても燃焼カロリーが低く、炉を傷めることがなく、黒煙、有毒ガスを発生させることもないため、環境に悪影響を及ぼすことがない。
上記のような特性を有する本発明の成形品は、環境に対して優しい製品として、工芸品、民芸品のさらなる使用の拡大を促進するものである。
なお、本発明の第1の発明及び第2の発明は、成形基体が生分解性を有する樹脂である場合に限らず、従来用いられてきた熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる成形基体にも、適用でき、従来よりもさらに良好な接着性及び表面保護機能を発揮できることは明らかであろう。
上記のように、環境に悪影響を及ぼさずに廃棄を可能とするという目的を達成するために、先ず器物の原料として生分解性を有する樹脂を採用した。
「生分解性を有する樹脂(生分解性樹脂)」とは、自然界において、微生物が関与して、低分子化合物に分解される樹脂(高分子化合物及びその配合物)をいう。また、生分解性を有する樹脂は、一般に、酸素含有量が高く、燃焼カロリーが低いため、焼却時に炉を傷めることがなく、また有毒ガスの発生もない。
本発明者らは、生分解性を有する樹脂からなる器物(成形基体)に従来の方法で接着剤を塗布し、装飾用材料を貼り付け、さらに従来の溶剤系のコーティング材料からなる保護被膜を形成したサンプルを作製し、その品質、性能、特に、器物と装飾用材料との密着性を検討した。その結果、従来の溶剤系コーティング材料でも従来の成形品と同等の表面保護機能を与えられるものもあるが、用いる生分解性を有する樹脂の種類によっては、従来の工法を用いて保護被膜用の溶剤系コーティング材料を使用したのでは、それからなる成形基体と装飾用材料との密着性が不十分となり、装飾表面の剥がれが容易に起こる場合があることが判明した。
このような装飾表面の剥がれの原因を追求したところ、ある種の生分解性を有する樹脂(例えば、はポリ乳酸)からなる成形基体では、溶剤系の保護被膜用のコーティング材料を使用すると、その溶剤が装飾用材料、接着層を通して成形基体の表面を短時間のうちに浸食(ソルベントアタック)してしまい、その結果接着層から積層部分が剥がれてしまうことがわかった。
そこで、本発明者らは、このような溶剤に浸食されやすい生分解性を有する樹脂にも使用でき、かつ良好な表面保護機能を与えることができる保護被膜用素材を鋭意探索した結果、溶剤を使用しない、すなわち、無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂が適していることを見出し、第1の発明を完成した。
すなわち、第1の発明は、「生分解性を有する樹脂からなる成形基体の表面に接着剤を塗布して装飾用材料を積層して貼り付けた後、その上に、無溶媒系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂からなる保護被膜を形成することを特徴とする成形品」を提供するものである。
さらに、従来から使用されている溶剤系のコーティング材料を使用できる方法を見出すべく、本発明者らは、従来の工法を再検討し、溶剤に浸食されやすい生分解性を有する樹脂であっても、接着剤及びコーティング材料を塗布後、溶剤を速やかに揮発させる工程を取り入れることにより、溶剤による浸食を防止することができる新規な方法を見出し、それにより、成形基体と装飾用材料との充分な接着性を確保できる第2の発明を完成した。
すなわち、第2の発明は、「生分解性を有する樹脂からなる成形基体の表面に接着剤を塗布して装飾用材料を積層して貼り付けることを含む成形品の製造方法において、接着剤の塗布後、接着剤中の溶剤を、圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる工程を含むことを特徴とする方法」を提供するものである。
さらに、上記第2の発明において、装飾用材料の上に溶剤系のコーティング材料からなる保護皮膜を形成する場合には、「生分解性を有する樹脂からなる成形基体の表面に接着剤を塗布して装飾用材料を積層して貼り付けた後、その上に溶剤系コーティング材料からなる保護被膜を形成することを含む成形品の製造方法において、接着剤の塗布後、接着剤中の溶剤を、圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる工程、及び保護被膜用の溶剤系コーティング材料を塗布後、該溶剤系コーティング材料中の溶剤を、圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる工程を含むことを特徴とする方法」を提供する。
以下、本発明を詳細に説明するが、まず、(1)第1及び第2の発明に共通の事項について説明し、次に、(2)第1の発明に固有の事項、(2)第2の発明に固有の事項の順に説明する。
(1) 第1及び第2の発明に共通の事項
本発明の「生分解性を有する樹脂」としては、前記定義のとおり、自然界において、微生物が関与して、低分子化合物に分解される樹脂(高分子化合物及びその配合物)であれば、いずれの樹脂でも使用できる。
現在知られている生分解性を有する樹脂としては、大別して次のようなものがある。
微生物産生系 共重合ポリエステル
バイオポリエステル
天然高分子系 澱粉60%+PVA
澱粉60%+添加剤
澱粉100%
化学合成系 脂肪族ポリエステル
ポリカプロラクトン
ポリ乳酸
上記のうち、水に強い化学合成系のもの、例えば、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステルが好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
ポリ乳酸は、植物系原料であるトウモロコシなどの澱粉を乳酸発酵させて得られる乳酸を原料として、ラクチドを経由する乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって、又は乳酸を有機溶剤中で脱水反応させることによって製造される。商業的に入手可能なポリ乳酸としては、ラクティ(登録商標、株式会社島津製作所製)などがある。
脂肪族系ポリエステルは、石油系原料からなるものであり、グリコールとジカルボン酸の重縮合反応によって製造される。商業的に入手可能な脂肪族系ポリエステルとしては、ビオノーレ(登録商標、昭和高分子株式会社製)などがある。
本発明の「生分解性を有する樹脂からなる成形基体」とは、すなわち器物のことであり、その成形方法には、特に限定はなく、樹脂の特性に応じて選択すればよい。成形基体としては、射出成形により得られる種々の形状を有する成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルム又はシートが好ましく、フィルムは、使用目的により種々の厚さを有する。
本発明で用いる「接着剤」は、当業界で従来から使用されているもの、例えば、
エポキシ系接着剤などを使用することができるが、接着剤中の溶剤が生分解性を有する樹脂を浸食しやすいので、後述するように、接着剤の塗布後、速やかに溶剤を揮発させる必要がある。
本発明の「装飾用材料」は、成形品(工芸品、民芸品)を装飾する目的で用いられる全ての材料を含み、例えば、金属、金属箔、金属粉、塗料、染料(インク)、化学繊維(ポリエステル、ナイロン等)、天然繊維(麻、絹等)、シール及び植物若しくはその部分などが挙げられる。装飾用材料は、廃棄時に環境に悪影響を及ぼすことがないもの、又は悪影響を及ぼすことが少ないものが好ましい。
特に、工芸品、民芸品に用いられる高級な装飾用材料としては、金属箔として金箔、金属粉として金粉が好ましく用いられる。
シールは、すでに印刷等が施された片面に粘着面を有する積層品(紙片、フィルム等)であり、植物又はその部分とは、例えば、生花や落ち葉である。
接着剤、又は接着剤と保護皮膜のコーティング材料の合計重量の割合は、環境への影響を考慮して、生分解性を有する樹脂からなる成形基体の5重量%以下である。
また、第1及び第2の発明の成形品を、複数積層してヒートシールして積層成形品とすることもでき、上記成形品が、フィルム形状を有するものであることが好ましい。ヒートシールは、従来の方法で行うことができる。
(2) 第1の発明に固有の事項
第1の発明の「保護被膜」は、無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂から形成される。
「無溶剤系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂」とは、すなわち、溶剤を含まない100%のシリコーン系コーティング材料又は樹脂であり、「水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂」とは、分散媒として、溶剤の代わりに水を使用したシリコーン系コーティング材料又は樹脂である。
ここで、「シリコーン系コーティング材料」は、シリコーン系樹脂を形成するものであり、例えば、アルコキシシラン、ポリアルキルアルコキシシロキサン、ポリアルキルシロキサン、有機官能性シラン、ジアルキル錫化合物などを主成分とするものが挙げられ、好ましくはポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするものである。「無溶剤系の樹脂」としては、例えば、UV硬化性のウレタンアクリレートなどが挙げられる。
無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂からなる保護被膜の形成は、それぞれシリコーン系コーティング材料又は樹脂で通常採用されているコーティング方法及び硬化条件を用いることができる。
このシリコーン系コーティング材料から形成される保護皮膜は、ガラス質の被膜であり、成形品の装飾表面の腐食、剥離、傷、薬品に対する強度(抵抗性)を顕著に高めるものである。また、装飾用材料の光による変色等を防止する効果も得られる。
次に、第1の発明の成形品の製造方法について説明する。
(A)本発明の成形品の所望の形状を有する成形基体を、生分解性を有する樹脂から製造する。成形基体の製造方法は、前記のように樹脂に応じて適当な手法を用いて製造できる。
(B)上記で製造した成形基体の表面に、前記の接着剤を塗布する。このとき、成形基体の界面に対してソルベントクラックを発生させないため及び成形基体の樹脂表面の溶剤による浸食を防止するために、接着剤中の溶剤を可及的速やかに揮発させる必要がある。
接着剤中の溶剤を速やかに揮発させるための具体的な手段としては、接着剤塗布後、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の熱変形温度以下の温度で20分間程度、熱風循環炉に投入する等の通常当業界で用いられる手法による。
なお、この工程において、熱風循環炉投入の前に、後述する第2の発明の新規な工程を追加してもよく、これにより、成形基体と装飾用材料との接着性がより高められることは明らかである。
(C)溶剤を揮発させた接着剤表面に、装飾用材料を積層して貼り付ける。
例えば、装飾用材料が金属箔である場合には、上記(B)の工程によって、溶剤が揮発した後の接着剤の表面状態は、タック(ねばつき)がありながら、金属箔のしわのばしに適する状態になっているので、金属箔を積層し、圧着する。
(D)成形基体表面上に接着剤及び装飾用材料を積層したものを、生分解性を有する樹脂のガラス転移温度(TG)又は熱変形温度(HTD)以下の温度で、熱風循環炉中で加熱し、成形基体と装飾用材料が剥がれないように、接着剤を硬化反応させる。硬化反応の条件は、当業界で通常採用されているものを用いればよい。硬化反応時間も、使用する生分解性を有する樹脂、接着剤及び装飾用材料の種類並びに組み合わせによって、適宜設定する。
(E)成形基体表面上に接着剤及び装飾用材料を積層し、接着剤を硬化反応させた後の装飾用材料を貼り付けた面の上に、保護被膜用のコーティング材料を塗布し、硬化反応させる。硬化反応の条件は、成形基体の生分解性を有する樹脂の物理化学的特性を考慮しつつ、使用するコーティング材料の硬化反応に通常採用されているものを使用することができる。
第1の発明では、保護被膜を形成するコーティング材料又は樹脂は、無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂であり、ソルベントクラックや溶剤による成形基体表面の浸食の心配はないので、例えば、単に無溶剤系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂を塗布し、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の熱変形温度以下の温度でシリコーン系コーティング材料又は樹脂を硬化させればよい。また、無溶剤系の樹脂がUV硬化性樹脂である場合には、必要なUV照射を行えばよい。
第1の発明の無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂は、溶剤に浸食されやすい生分解性を有する樹脂を成形基体とする場合にも使用でき、良好な表面保護機能を発揮する。第1の発明は、当然ながら、溶剤による浸食が問題とならない生分解性を有する樹脂を用いる場合にも、従来品より優れた接着性及び表面硬度を付与できる。
(3) 第2の発明に固有の事項
第2の発明は、接着剤中の溶剤を圧縮空気を吹き付ける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる新規な工程を含む第1の態様と、装飾用材料の上に溶剤系コーティング材料からなる保護被膜を形成する場合において、接着剤中の溶剤及び保護被膜を形成する溶剤系コーティング材料中の溶剤を、圧縮空気を吹き付ける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる2つの新規な工程を含む第2の態様に分けられる。
さらに、第1の態様には、装飾用材料の上に保護被膜を形成しない場合、及び非溶剤系のコーティング材料、すなわち、第1の発明で用いる無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂によって保護被膜を形成する場合が含まれる。
第1の態様の保護被膜を形成しない場合としては、シルクスクリーンなどの手法による装飾用材料の積層のみで最終製品とするような場合が含まれる。
第2の態様では、溶媒によって成形基体を形成する生分解性を有する樹脂の塗布表面が浸食される心配はないので、特別な手法を用いることなく、保護被膜が形成できる。
第2の発明における接着剤は、前記第1の発明と同様に、従来から使用されているエポキシ系樹脂等が使用できる。
溶剤系コーティング材料としては、従来から保護被膜を形成するために使用されているものが使用できる。例えば、アクリルポリオール又はポリエステルポリオールとイソシアネートとの組み合わせを主成分とするウレタン樹脂コーティング材料、アクリル樹脂塗料、メラミンアルキッド樹脂塗料、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂塗料などが使用できる。
第2の発明における、塗布された接着剤及び溶剤系コーティング材料中の溶剤を迅速に揮発させて、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の塗布表面の浸食を防ぐには、接着剤及び溶剤系コーティング材料を塗布後、一定条件下で圧縮空気を吹き付ける。圧縮空気の吹きつけ(一般にエアブローと呼ばれる)は、溶剤を迅速に揮発させることができれば、いかなる種類の装置を用いて行ってもよい。一般には、例えば、エアーガン(スプレーガン)を用いることができる。
圧縮空気吹きつけ(エアブロー)の条件は、成形品の種類、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の種類、接着剤若しくは溶剤系コーティング材料の種類等によって異なるが、圧縮空気圧は、装飾用材料に影響のない範囲であればよく、通常5 kgf/cm2以下、好ましくは1〜3 kgf/cm2である。なお、空気圧は、コンプレッサーによる圧縮空気でスプレーガン手元の圧力である。接着剤中の溶剤を揮発させるための圧縮空気吹きつけの時間は、通常90秒、好ましくは、30〜60秒であり、保護被膜を形成するコーティング材料中の溶剤を揮発させるための圧縮空気吹きつけの時間は、通常5 分以下、好ましくは1〜3分である。なお、圧縮空気の吹きつけの空気圧と時間は、相互に関係しており、工程の効率等を考慮して、上記範囲内で適宜選択すればよい。
エアーガンを使用する場合、圧縮空気の吹き出し口から接着剤又は溶剤系コーティング材料の塗布表面までの距離は、通常10〜20cm程度であり、好ましくは15cm程度である。
圧縮空気の温度は、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の熱変形温度以下であればよく、通常は常温でよい。
従来行われていた工法では、成形基体に接着剤塗布又は溶剤系コーティング材料塗布後、熱風循環炉中で、成形基体を構成する生分解性を有する樹脂の熱変形温度以下の温度で乾燥を行っていた。成形基体は、この乾燥工程の間に接着剤又は溶剤系コーティング材料中の溶剤によって浸食(ソルベントアタック)を受けていた。
そこで、乾燥工程の前に、第2の発明の圧縮空気吹きつけ(エアブロー)工程を入れることによって、溶剤による成形基体を構成する生分解性を有する樹脂表面の浸食が防止されて成形基体と装飾用材料との接着性に著しい改善が見られ、ソルベントクラック(装飾用材料のはがれ)が起こらなくなるのである。
以下、実施例及び試験例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1:第1の発明の成形品の製造
本発明の成形品の一実施態様である生分解性箔工芸品(ネームプレート(名札))の製造例を示す。
植物が生産する澱粉を乳酸発酵して得られる乳酸を原料モノマーとして使用し、環化反応、開環重合反応によって得られる、天然資源から製造されたポリマー(ポリ乳酸:ラクティ(登録商標)、株式会社島津製作所製)を生分解性を有する樹脂として使用し、射出成形により成形基体(器物)(重量13 g)を製造した。
成形基体の表面に接着剤(エポキシ系接着剤)0.1 gを塗布し、40℃で20分間、熱風循環炉中で加熱して接着剤中の溶剤を揮発させた。
熱風循環炉での過熱が完了すると、装飾用材料である金箔を貼り付けるに際し、接着剤表面がタック(ねばつき)がありながら、箔のしわのばしに適する状態となっている。
金箔を上記状態になった接着剤表面に貼り付け、しわのない状態にした。
金箔を貼り付けたものを、40℃で60分間熱風循環炉中で加熱し、接着剤を硬化させた。
金箔の上に、無溶剤系のシリコーン系コーティング材料である、GE東芝シリコーン社製シリコーンワニス(成分:ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするシリコーンワニス)0.1 gを塗布し、常温で24時間放置し硬化させた。
得られた成形品(工芸品)に使用されている接着剤及び保護被膜用コーティング材料の割合は、1.5%であった。
試験例1:第1の発明による成形品の生分解性試験(コンポスト化試験)
実施例1で製造した成形品(ネームプレート)について、ISO DIS 14855:プラスチックの好気性条件における完全生分解性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0003847287
表1の結果から、本発明の成形品は、完全生分解性であることがわかる。
試験例2:第1の発明による成形品の生分解性を有する樹脂からなる成形基体と装飾用材料、保護皮膜との接着性試験
下記のテストピースを用いて、第1の発明の成形品の一次密着性試験及び硬度試験を行った。なお、テストピースは、試験の便宜から使用するものであるが、材料及び製法等は実際の成形品と同じであり、実際に成形品を試験したものと変わらないことは言うまでもない。
テストピースの材料及び製造方法
成形基体を構成する生分解性を有する樹脂として、ポリ乳酸(ラクティ、株式会社島津製作所製)、接着剤としてエポキシ系接着剤(製品名:エポマラックNO800AP、大豊塗料株式会社製)、そして保護皮膜形成用のコーティング材料として、テストピースNo. 1(本発明)では無溶媒系シリコーン系コーティング材料(シリコーンワニス、GE東芝シリコーン社製)を、テストピースNo. 2(比較例)では溶剤系ウレタン樹脂塗料(製品名:ストロン#800、カシュー株式会社製)を用いてテストピースを作製した。
それぞれのテストピースの製造方法は、成形基体に接着剤を塗布後、30℃で10分間、熱風循環炉中で加熱し、純金箔を貼り付けた後30℃で4時間加熱して接着剤を硬化させた。
次いで、テストピースNo. 1(本発明)では、無溶剤系シリコーン系コーティング材料を塗布し、常温で48時間放置して保護皮膜を形成した。テストピースNo. 2(比較例)では、溶剤系ウレタン樹脂塗料を塗布し、セッティングに60分をかけ、その後、30℃で2時間乾燥後、常温で48時間放置して保護被膜を形成した。
1.一次密着性試験
JIS K 5400 塗料一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.5 付着性より応用し、8.5.1 碁盤目法(剥離、密着テスト)で試験を行った。試験の便宜から試験サンプルとして用いたテストピースは、材料、作製方法その他は、実際の成形品と同じであり、実際に成形品を試験したものと変わらない。
(1)一次密着性試験方法
ア.上記表2及び3に記載のテストピースのそれぞれに、カッターナイフで1/1mmのます目を100ヶ作成する。
イ.JIS K 5400記載の碁盤目法では、1で作成したます目にセロハンテープを貼り、引っ張り試験を行って1/1mmます目の塗膜のカケ、ハガレを確認することが規定されている。しかしながら、テストピースNo. 1で使用している保護膜形成材料であるGE東芝シリコーン社製シリコーンワニスは、塗膜表面に離型性が発現するため、セロハンテープそのものが剥がれやすくなってしまい、正確な試験が実施できない。そこで、両者のテストピースについて、セロハンテープによる引っ張り試験よりもむしろさらに厳しい条件と考えられる1/1mmます目を成形基体を構成する生分解性を有する樹脂からなるプレートで削ぎ落とす方法にて塗膜のカケ、ハガレの有無を確認することにした。
ウ.テストピースの1/1mmます目面に対して45度の角度から、上記のプレートで1.00 kgの荷重をかけながら、100回削ぎ落とし、塗膜のカケ、ハガレの発生状態により、0〜10の段階で評価した。塗膜のカケ、ハガレが発生していないものを評価10とした。ここで、実用品として充分な一次密着性を有していると言えるのは評価8以上である。
(2)一次密着性試験結果
一次密着性評価
テストピースNo. 1(本発明) 10
テストピース No. 2(比較例) 0
本発明の成形品に相当する、テストピースNo. 1は、一次密着性が10と良好であり、本発明の成形品が、実用品に必要とされる充分な一次密着性を有していることがわかる。
比較例であるテストピースNo. 2では、一次密着性が0と著しく劣っている。これは、コーティング材料中の溶剤が、接着層及び金箔層を通して成形基体表面にソルベントクラックを起こさせるためと考えられる。
なお、参考までに、溶剤によるソルベントクラックの影響の少ない生分解性を有する樹脂である脂肪族系ポリエステルを成形基体とし、コーティング材料が溶剤系ウレタン樹脂塗料である場合には、無溶剤系シリコーン系コーティング材料を用いた上記テストピースNo. 1と比べて、一次密着性はやや劣っていたが、テストピースNo. 1と同じ無溶剤系シリコーン系コーティング材料を使用すれば、一次密着性がさらに改善されるだろうことは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
2.硬度試験
上記テストピースを用いて、JIS K 5400 塗膜一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.4 鉛筆引っかき値を適用し、8.4.2 手かき法(表面硬度テスト)試験を行った。
(1)硬度試験方法
ア.三菱鉛筆ユニ(三菱社製)を使用し、テストピースの塗膜面に対して45度の角度で、鉛筆の芯が折れない程度にできるだけ強く塗膜に押し付けながら、前方に均一な速さで約1cm押し出して塗面を引っかく。
イ.上記動作を5回繰り返し、5回のうち2回以上テストピースの塗面にすり傷が認められる鉛筆の濃度記号より1段階下位の濃度記号を、硬度試験結果とする。
ウ.傷硬度がH以上であれば、金属箔及び成形品表面に対して傷付きの発生を充分に防ぐことができる硬度であり、良好と評価した。
(2)硬度試験結果
硬度
テストピースNo. 1(本発明) H〜2H
テストピースNo. 2(比較例) H
いずれのテストピースもH以上の硬度が測定され、金箔及び成形品表面に対して傷付きの発生を充分に防ぐことができる硬度を有しているが、保護被膜が無溶剤系シリコーン系コーティング材料からなる、第1の発明の成形品に相当するテストピースNo. 1の保護被膜はガラス質の極めて強固なものであることがわかった。
以上のように、第1の発明の成形品は、従来の溶剤系コーティング材料を用いて保護被膜を形成した成形品に比べ、顕著に優れた一次密着性と従来品と同等以上の表面硬度を有していることが明らかとなった。
試験例3:第2の発明の圧縮空気吹きつけ条件の検討
(1)テストピースの製造
成形基体を構成する生分解性を有する樹脂、接着剤及び溶剤系ウレタン樹脂塗料として、上記実施例1で用いたのと同じものを使用し、下記表2及び3に記載の圧縮空気吹きつけ(エアブロー)条件でテストピースを製造した。
テストピース製造は、次の順序の工程で行った。
ア.成形基体表面の脱脂及び乾燥
イ.接着剤塗布
ウ.スプレーガンによる圧縮空気吹きつけ(エアブロー)(スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は15cm)
エ.熱風循環炉中での乾燥(30℃、10分)
オ.金箔の貼り付け及び圧着
カ.接着剤の硬化のための加熱(40℃、60分)
キ.保護被膜用の溶剤系ウレタン樹脂塗料の塗布
ク.スプレーガンによる圧縮空気吹きつけ(エアブロー)(スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は15cm)
ケ.熱風循環炉中での乾燥(セッティングに60分、その後40℃、2時間)
表2は、上記の工程ウの圧縮空気吹きつけ(エアブロー)条件を規定しており、表3は、工程ウの条件と工程クの条件の組み合わせ並びに工程オの金箔の貼り付けの有無を示しており、表3中の例えば、「A-1-1○」は、工程ウの条件が「A」、すなわち空気圧1 kgf/cm2で30秒で、さらに工程クの条件が「1-1」、すなわち空気圧1 kgf/cm2で1分を示している。最後の「○」は工程オで金箔の貼り付けを行ったことを示し、この「○」が無い場合は、金箔の貼り付けを行わなかったことを示している。
Figure 0003847287
Figure 0003847287
(2)塗膜性能試験
上記で作製したテストピースについて、下記の方法で一次密着性及び硬度を評価した。
1.一次密着性試験方法
ア.上記で製造したテストピースのそれぞれに、カッターナイフで1/1mmのます目を100ヶ作成する。
イ.JIS K 5400記載の碁盤目法により、アで作成したます目にセロハンテープを貼り、引っ張り試験を行って1/1mmます目の塗膜のカケ、ハガレを確認することによって一次密着性を評価した。
試験結果を下記表4に示す。表4の一次密着性試験結果欄の「10」は、上記試験によってます目が1つもカケたり、ハガレたりすることが無かったことを示す。
なお、試験した全てのテストピースで、上記試験方法による一次密着性試験結果が「10」となってしまったので、前記試験例2で採用した試験方法に従い、さらに過酷な条件で接着性を評価し、その結果を下記表4の付着性の欄の右側に記載されている「強・中・弱」によって示した。
表4中の付着性欄の評価「強・中・弱」は、次の基準による。保護皮膜を作製したテストピースの場合には、作製したます目の塗膜のカケ、ハガレが、20%未満のときを「強」、20〜70%程度のときを「中」、70%以上のときを「弱」とした。
保護皮膜を作製せず、最上層が金箔であるテストピースの場合には、作製した金箔上のます目のカケ、ハガレが、20%未満のときを「強」、20〜70%程度のときを「中」、70%以上のときを「弱」とした。
2.硬度試験
上記テストピースを用いて、JIS K 5400 塗膜一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.4 鉛筆引っかき値を適用し、8.4.2 手かき法(表面硬度テスト)試験を行い、結果を下記表4に示す。試験方法の詳細は、上記試験例2と同様である。
Figure 0003847287
表4から明らかなように、一次密着性はいずれのテストピースでも「10」であり、良好であった。このことは、新規な圧縮空気吹きつけ(エアブロー)工程を組み込むことで、接着性が強化され、従来の保護皮膜用の溶剤系コーティング材料を用いて成形品を製造できることを示している。
なお、工程ウ及びクの圧縮空気吹きつけでの空気圧が高くなればなるほど、また、圧縮空気を吹き付ける時間が長いほど一次密着性は高くなる傾向がみられる。このことから、一次密着性は、圧縮空気吹きつけの空気圧及び時間にほぼ比例して高くなるものと考えられる。
上記の試験では、工程ウでは、空気圧5 kgf/cm2、時間90秒、工程クでは、空気圧5 kgf/cm2、時間5分までしか検討しなかったが、いずれも、さらに高い空気圧及びさらに長い時間を採用することによって良好な結果がえられるものと考えられる。従って、後述する試験例4で、工程ウでは5 kgf/cm2で90秒、及び工程クでは5 kgf/cm2で5分を採用したが、これらの条件が必ずしも最適であるということではなく、臨界的な条件でもない。
硬度試験結果についても、いずれのテストピースでもH〜2Hであり、充分な実用レベルであることがわかった。
試験例4:第1及び第2の発明の成形品と従来品との塗膜性能比較試験
(1)テストピースの製造
上記実施例1で使用した接着剤、金箔を使用し、下記表5に示す条件でテストピースを製造した。圧縮空気吹きつけ(エアブロー)は、スプレーガンを使用し、スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は、15cmであった。
Figure 0003847287
表5中の*1:成形基体の素材は、それぞれ次のものを示す。
フェノール:松下電工社製、熱硬化性樹脂
ラクティ:株式会社島津製作所製、ポリ乳酸
ビオノーレ:昭和高分子社製、脂肪族ポリエステル
同様に、*2:保護皮膜形成用コーティング材料は、それぞれ次のものを示す。
ウレタン樹脂塗料:カシュー株式会社製、製品名:ストロン#800
無溶剤系シリコーン系コーティング材料:GE東芝シリコーン株式会社製、シリコーンワニス
(2)塗膜性能試験
下記表6に上記(1)で製造したテストピースi〜viiiの一次密着性試験(前記碁盤目法)及び硬度試験(鉛筆引っかき値、手かき法)の結果を示す。
Figure 0003847287
表6の結果から、一次密着性については、テストピースiiiでは「0」であり、iv及びvi(保護皮膜なし)では「10」であることから、溶剤系のコーティング材料を使用する場合には、第2の発明の圧縮空気吹きつけの工程を採用することによって、成形基体の溶剤による浸食が防止され、良好な密着性が得られることがわかる。
硬度については、当然ながら保護皮膜の形成されていないテストピースii及びviでは「3B」と硬度が低いが、本発明の成形品に相当するテストピースiv〜viiiでは、iの従来品と比べて同等以上の硬度を有していることがわかる。
なお、第1の発明の無溶剤系シリコーン系コーティング材料を用いた、第2の発明の第1の態様による成形品に相当するテストピースvは良好な一次密着性及び硬度を示し、第1の発明と第2の発明を組み合わせることができることは当然に理解できることである。
上記試験例2及び3の結果から、いずれの生分解性を有する樹脂を成形基体として使用した第1及び第2の発明の成形品も、従来品に比べ同等以上の一次密着性及び保護皮膜の硬度を有していることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルム若しくはシートの表面に接着剤を塗布する工程と、
    該接着剤中の溶剤を、常温圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させ、該接着剤中の溶剤による該成形基体又はフィルム若しくはシート表面の侵食を防止する工程と、
    該接着剤によって、金属、金属箔、金属粉、塗料、染料(インク)、化学繊維、天然繊維、シール及び植物若しくはその部分からなる群から選択される装飾用材料を積層して成形基体又はフィルム若しくはシート表面に貼り付ける工程と、
    該接着剤を硬化させる工程と、
    無溶剤系又は水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂を塗布し、硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする箔工芸品の製造方法。
  2. 生分解性樹脂が、化学合成系の生分解性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の箔工芸品の製造方法。
  3. 生分解性樹脂がポリ乳酸系及び脂肪族ポリエステル系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の箔工芸品の製造方法。
  4. 無溶剤系のシリコーン系コーティング材料が、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
  5. 接着剤と保護被膜を形成するコーティング材料の合計の割合が、生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルムの5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
  6. 得られた箔工芸品は、一次密着性試験において、保護膜のカケ、ハガレが発生せず、かつ、硬度試験において、保護膜の硬度が2H以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
JP2003331188A 2003-09-24 2003-09-24 箔工芸品の製造方法 Expired - Fee Related JP3847287B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003331188A JP3847287B2 (ja) 2003-09-24 2003-09-24 箔工芸品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003331188A JP3847287B2 (ja) 2003-09-24 2003-09-24 箔工芸品の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000203398A Division JP3545999B2 (ja) 2000-07-05 2000-07-05 箔工芸品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004148806A JP2004148806A (ja) 2004-05-27
JP3847287B2 true JP3847287B2 (ja) 2006-11-22

Family

ID=32463758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003331188A Expired - Fee Related JP3847287B2 (ja) 2003-09-24 2003-09-24 箔工芸品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3847287B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05202316A (ja) * 1991-10-24 1993-08-10 Tosoh Corp 保護コート剤
JPH06285421A (ja) * 1993-04-05 1994-10-11 Tate Tsuneo 塗装方法
JPH07278497A (ja) * 1994-04-08 1995-10-24 Daihachi Chem Ind Co Ltd 被覆用塗料組成物
JP3445831B2 (ja) * 1994-06-28 2003-09-08 ジーイー東芝シリコーン株式会社 シリコーン樹脂組成物
JP3852958B2 (ja) * 1994-07-12 2006-12-06 三井化学株式会社 乳酸系ポリマー組成物
JP3797444B2 (ja) * 1996-05-24 2006-07-19 大日本インキ化学工業株式会社 乳酸系ポリエステル組成物及びその成形物
JPH105683A (ja) * 1996-06-24 1998-01-13 Aichi Mach Ind Co Ltd 多層塗装方法
JP3909135B2 (ja) * 1997-12-25 2007-04-25 三島製紙株式会社 生分解性熱可塑性樹脂組成物のシート状成形物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004148806A (ja) 2004-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008518804A (ja) インモールドデコレーションのための耐久層組成物
JP2009511702A (ja) Uv硬化性ハイソリッド塗料組成物
JPWO2012035955A1 (ja) 装飾成形用フィルム
KR20140118796A (ko) 점착 시트
WO2005108114A2 (en) Process for the preparation of a decorated substrate
JP2010234766A (ja) 化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧板
JP3545999B2 (ja) 箔工芸品の製造方法
JP5285996B2 (ja) 化粧シート及びその製造方法
JP3847287B2 (ja) 箔工芸品の製造方法
Rolando Solvent-free adhesives
CN108148533B (zh) 一种用于膜外转印技术的热熔胶及其制备方法
JP6254476B2 (ja) 工程フィルム、積層シート、及び樹脂シートの製造方法
US20070264445A1 (en) Process for forming durable layer for in-mold decoration
JP6107217B2 (ja) 転写材
KR102606858B1 (ko) 캐리어 이형필름 및 이의 제조방법
JP5217484B2 (ja) 化粧シート
KR20100082077A (ko) 강판 코팅용 접착 수지
KR101994185B1 (ko) 데코시트용 도료 조성물 및 데코시트 제조 방법
JP5515371B2 (ja) 化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧板
CN112500689B (zh) 环保型聚酯模塑组合物及塑料板材的制作方法
JP5515370B2 (ja) 化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧板
KR200467511Y1 (ko) 친환경 데코레이션 시트
JP4810824B2 (ja) 化粧紙および化粧材
JP3330699B2 (ja) 真空成型物
JP5287437B2 (ja) 化粧シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060822

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090901

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100901

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110901

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110901

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120901

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees