JP3847287B2 - 箔工芸品の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、使用時には従来品のように優れた意匠性と従来品と同等又はそれ以上の保護強度を保ちながら、環境に悪影響を及ぼすことなく、一般ゴミとして安直に廃棄することが可能な工芸品、民芸品を製造することを目的とする。
本願請求項2に係る発明は、本願請求項1に記載の箔工芸品の製造方法において、生分解性樹脂が、化学合成系の生分解性樹脂であることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、本願請求項2に記載の箔工芸品の製造方法において、生分解性樹脂がポリ乳酸系及び脂肪族ポリエステル系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、本願請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、無溶剤系のシリコーン系コーティング材料が、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするものであることを特徴とする。
本願請求項5に係る発明は、本願請求項1〜4いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、接着剤と保護被膜を形成するコーティング材料の合計の割合が、生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルムの5重量%以下であることを特徴とする。
本願請求項6に係る発明は、本願請求項1〜5いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法において、得られた箔工芸品は、一次密着性試験において、保護膜のカケ、ハガレが発生せず、かつ、硬度試験において、保護膜の硬度が2H以上であることを特徴とする。
本発明の「生分解性を有する樹脂」としては、前記定義のとおり、自然界において、微生物が関与して、低分子化合物に分解される樹脂(高分子化合物及びその配合物)であれば、いずれの樹脂でも使用できる。
微生物産生系 共重合ポリエステル
バイオポリエステル
天然高分子系 澱粉60%+PVA
澱粉60%+添加剤
澱粉100%
化学合成系 脂肪族ポリエステル
ポリカプロラクトン
ポリ乳酸
上記のうち、水に強い化学合成系のもの、例えば、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステルが好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
エポキシ系接着剤などを使用することができるが、接着剤中の溶剤が生分解性を有する樹脂を浸食しやすいので、後述するように、接着剤の塗布後、速やかに溶剤を揮発させる必要がある。
本発明の「装飾用材料」は、成形品(工芸品、民芸品)を装飾する目的で用いられる全ての材料を含み、例えば、金属、金属箔、金属粉、塗料、染料(インク)、化学繊維(ポリエステル、ナイロン等)、天然繊維(麻、絹等)、シール及び植物若しくはその部分などが挙げられる。装飾用材料は、廃棄時に環境に悪影響を及ぼすことがないもの、又は悪影響を及ぼすことが少ないものが好ましい。
シールは、すでに印刷等が施された片面に粘着面を有する積層品(紙片、フィルム等)であり、植物又はその部分とは、例えば、生花や落ち葉である。
接着剤、又は接着剤と保護皮膜のコーティング材料の合計重量の割合は、環境への影響を考慮して、生分解性を有する樹脂からなる成形基体の5重量%以下である。
また、第1及び第2の発明の成形品を、複数積層してヒートシールして積層成形品とすることもでき、上記成形品が、フィルム形状を有するものであることが好ましい。ヒートシールは、従来の方法で行うことができる。
第1の発明の「保護被膜」は、無溶剤系若しくは水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂から形成される。
(A)本発明の成形品の所望の形状を有する成形基体を、生分解性を有する樹脂から製造する。成形基体の製造方法は、前記のように樹脂に応じて適当な手法を用いて製造できる。
例えば、装飾用材料が金属箔である場合には、上記(B)の工程によって、溶剤が揮発した後の接着剤の表面状態は、タック(ねばつき)がありながら、金属箔のしわのばしに適する状態になっているので、金属箔を積層し、圧着する。
第2の発明は、接着剤中の溶剤を圧縮空気を吹き付ける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる新規な工程を含む第1の態様と、装飾用材料の上に溶剤系コーティング材料からなる保護被膜を形成する場合において、接着剤中の溶剤及び保護被膜を形成する溶剤系コーティング材料中の溶剤を、圧縮空気を吹き付ける(エアブロー)ことによって急速に揮発させる2つの新規な工程を含む第2の態様に分けられる。
本発明の成形品の一実施態様である生分解性箔工芸品(ネームプレート(名札))の製造例を示す。
金箔を貼り付けたものを、40℃で60分間熱風循環炉中で加熱し、接着剤を硬化させた。
実施例1で製造した成形品(ネームプレート)について、ISO DIS 14855:プラスチックの好気性条件における完全生分解性の評価を行った。結果を表1に示す。
下記のテストピースを用いて、第1の発明の成形品の一次密着性試験及び硬度試験を行った。なお、テストピースは、試験の便宜から使用するものであるが、材料及び製法等は実際の成形品と同じであり、実際に成形品を試験したものと変わらないことは言うまでもない。
成形基体を構成する生分解性を有する樹脂として、ポリ乳酸(ラクティ、株式会社島津製作所製)、接着剤としてエポキシ系接着剤(製品名:エポマラックNO800AP、大豊塗料株式会社製)、そして保護皮膜形成用のコーティング材料として、テストピースNo. 1(本発明)では無溶媒系シリコーン系コーティング材料(シリコーンワニス、GE東芝シリコーン社製)を、テストピースNo. 2(比較例)では溶剤系ウレタン樹脂塗料(製品名:ストロン#800、カシュー株式会社製)を用いてテストピースを作製した。
JIS K 5400 塗料一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.5 付着性より応用し、8.5.1 碁盤目法(剥離、密着テスト)で試験を行った。試験の便宜から試験サンプルとして用いたテストピースは、材料、作製方法その他は、実際の成形品と同じであり、実際に成形品を試験したものと変わらない。
ア.上記表2及び3に記載のテストピースのそれぞれに、カッターナイフで1/1mmのます目を100ヶ作成する。
一次密着性評価
テストピースNo. 1(本発明) 10
テストピース No. 2(比較例) 0
上記テストピースを用いて、JIS K 5400 塗膜一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.4 鉛筆引っかき値を適用し、8.4.2 手かき法(表面硬度テスト)試験を行った。
ア.三菱鉛筆ユニ(三菱社製)を使用し、テストピースの塗膜面に対して45度の角度で、鉛筆の芯が折れない程度にできるだけ強く塗膜に押し付けながら、前方に均一な速さで約1cm押し出して塗面を引っかく。
硬度
テストピースNo. 1(本発明) H〜2H
テストピースNo. 2(比較例) H
(1)テストピースの製造
成形基体を構成する生分解性を有する樹脂、接着剤及び溶剤系ウレタン樹脂塗料として、上記実施例1で用いたのと同じものを使用し、下記表2及び3に記載の圧縮空気吹きつけ(エアブロー)条件でテストピースを製造した。
ア.成形基体表面の脱脂及び乾燥
イ.接着剤塗布
ウ.スプレーガンによる圧縮空気吹きつけ(エアブロー)(スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は15cm)
エ.熱風循環炉中での乾燥(30℃、10分)
オ.金箔の貼り付け及び圧着
カ.接着剤の硬化のための加熱(40℃、60分)
キ.保護被膜用の溶剤系ウレタン樹脂塗料の塗布
ク.スプレーガンによる圧縮空気吹きつけ(エアブロー)(スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は15cm)
ケ.熱風循環炉中での乾燥(セッティングに60分、その後40℃、2時間)
上記で作製したテストピースについて、下記の方法で一次密着性及び硬度を評価した。
ア.上記で製造したテストピースのそれぞれに、カッターナイフで1/1mmのます目を100ヶ作成する。
上記テストピースを用いて、JIS K 5400 塗膜一般試験方法、8. 塗膜の抵抗性に関する試験方法、8.4 鉛筆引っかき値を適用し、8.4.2 手かき法(表面硬度テスト)試験を行い、結果を下記表4に示す。試験方法の詳細は、上記試験例2と同様である。
(1)テストピースの製造
上記実施例1で使用した接着剤、金箔を使用し、下記表5に示す条件でテストピースを製造した。圧縮空気吹きつけ(エアブロー)は、スプレーガンを使用し、スプレーガンの空気吹き出し口とテストピースとの距離は、15cmであった。
フェノール:松下電工社製、熱硬化性樹脂
ラクティ:株式会社島津製作所製、ポリ乳酸
ビオノーレ:昭和高分子社製、脂肪族ポリエステル
ウレタン樹脂塗料:カシュー株式会社製、製品名:ストロン#800
無溶剤系シリコーン系コーティング材料:GE東芝シリコーン株式会社製、シリコーンワニス
下記表6に上記(1)で製造したテストピースi〜viiiの一次密着性試験(前記碁盤目法)及び硬度試験(鉛筆引っかき値、手かき法)の結果を示す。
Claims (6)
- 生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルム若しくはシートの表面に接着剤を塗布する工程と、
該接着剤中の溶剤を、常温圧縮空気を吹きつける(エアブロー)ことによって急速に揮発させ、該接着剤中の溶剤による該成形基体又はフィルム若しくはシート表面の侵食を防止する工程と、
該接着剤によって、金属、金属箔、金属粉、塗料、染料(インク)、化学繊維、天然繊維、シール及び植物若しくはその部分からなる群から選択される装飾用材料を積層して成形基体又はフィルム若しくはシート表面に貼り付ける工程と、
該接着剤を硬化させる工程と、
無溶剤系又は水系のシリコーン系コーティング材料又は樹脂を塗布し、硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする箔工芸品の製造方法。 - 生分解性樹脂が、化学合成系の生分解性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の箔工芸品の製造方法。
- 生分解性樹脂がポリ乳酸系及び脂肪族ポリエステル系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の箔工芸品の製造方法。
- 無溶剤系のシリコーン系コーティング材料が、ポリアルキルアルコキシシロキサンを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
- 接着剤と保護被膜を形成するコーティング材料の合計の割合が、生分解性樹脂からなる成形基体又は延伸若しくは押出により得られるフィルムの5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
- 得られた箔工芸品は、一次密着性試験において、保護膜のカケ、ハガレが発生せず、かつ、硬度試験において、保護膜の硬度が2H以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の箔工芸品の製造方法。
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