JP3845687B2 - ラマン・レーザー発振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラマン・レーザー発振装置に関し、さらに詳細には、ラマン媒質に励起光を入射してラマン媒質を励起し、ラマン変換により励起光の波長に応じたストークス光ならびに反ストークス光を出射するラマン・レーザー発振装置に関する。
【0002】
【発明の背景および発明が解決しようとする課題】
一般に、所定の透過性を有する出射ミラーと全反射ミラーとにより共振器を構成し、この共振器内にラマン媒質を配設し、励起光を共振器内に入射してラマン媒質を励起し、励起光の波長に応じたストークス光ならびに反ストークス光を出射するようにしたラマン・レーザー発振装置が知られている。
【0003】
こうしたラマン・レーザー発振装置においては、励起光の波長を変化させることにより、所望の波長のストークス光ならびに反ストークス光を得るようにしている。
【0004】
そして、任意の波長の励起光を発生するための励起光源として、一般には波長可変レーザーが用いられており、波長可変レーザーとしては、レーザー媒質としてTi:Al23(チタンサファイア)などの結晶を用いる固体レーザーと、レーザー媒質として色素溶液などを用いる液体レーザーとが広く用いられている。従来、こうした波長可変レーザーを所望な波長でレーザー発振させるための波長選択の手法としては、例えば、波長可変レーザー媒質を収容したレーザー共振器内に回折格子や複屈折板などを配設し、こうした回折格子や複屈折板などを機械的に回転することにより、波長可変レーザーから出射される出射光の中から所望の波長の出射光のみを取り出し、取り出した出射光を波長可変レーザーに対して反射させて増幅してレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から所望の波長のレーザー光のみを出射させるようにしていた。
【0005】
しかしながら、上記したような従来の波長選択の手法を用いた場合においては、回析格子や複屈折板などを機械的に回転させるため、励起光として出射されるレーザー光の波長可変速度を速くすることが困難であり、その結果、ストークス光ならびに反ストークス光の波長を高速で可変することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、励起光の波長可変速度を高速化し、ストークス光ならびに反ストークス光の波長を高速で可変することができるようにしたラマン・レーザー発振装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるラマン・レーザー発振装置は、波長可変レーザー発振装置から出射された出射レーザー光を励起光としてラマン媒質に入射して上記ラマン媒質を励起し、ラマン変換により上記励起光の波長に応じたストークス光ならびに反ストークス光を出射するラマン・レーザー発振装置において、上記波長可変レーザー発振装置は、対向する所定の反射率を有するミラーにより構成されるレーザー共振器と、上記レーザー共振器内に配設された所定範囲の波長域においてレーザー発振可能な波長可変レーザー結晶と、上記レーザー共振器内に配設され、上記波長可変レーザー結晶からの出射光が入射される複屈折性の光音響光学結晶と、上記光音響光学結晶に装着され、上記光音響光学結晶に進行波である音響波を入力するための音響波入力手段と、上記レーザー共振器内に配設され、上記光音響光学結晶から出射される光であって、上記光音響光学結晶に入射された光のなかで上記音響波の周波数に応じた特定波長の光が、偏光面が直交するとともに所定の方向に回折された回折光として出射されるものの回折角度の分散を補正し、上記波長可変レーザー発振装置から出射される出射レーザー光の方向性を一定にする光学素子とを有し、上記光学素子により上記光音響光学結晶から出射される所定の方向に回折された回折光のみが、上記レーザー共振器を構成する上記ミラーによって反射されて上記レーザー共振器内を往復してレーザー発振し、上記光音響光学結晶に入力する音響波の周波数の制御によりレーザー発振波長を可変制御するようにしたものである。
【0009】
また、本発明によるラマン・レーザー発振装置は、上記波長可変レーザー発振装置を構成する上記レーザー共振器内に配設され、上記光音響光学結晶に入射される上記波長可変レーザー結晶からの出射光のビーム径を拡大する拡大手段を有するようにしてもよい。
【0010】
従って、本発明によるラマン・レーザー発振装置においては、レーザー発振装置から出射される励起光たる出射レーザー光の波長選択は、光音響光学結晶へ音響波入力手段により音響波を入力することで実現できるので、レーザー発振の際の波長同調を高速に行うことができるようになって、出射レーザー光たる励起光の高速かつランダムな波長選択が可能となり、結果として、出射レーザー光たる励起光の波長可変速度を高速化することができるようになる。そして、励起光の波長可変速度の高速化に応じて、ストークス光ならびに反ストークス光の波長を高速で可変することができるようになる。
【0011】
ここで、レーザー発振装置から出射される励起光たる出射レーザー光の波長選択作用を詳しく説明するが、当該波長選択は、TeO2結晶などの複屈折性をもつ光音響光学結晶中に音響波を発生させると、当該結晶に入射された光の中で当該音響波の周波数に応じた特定波長の回折光の偏光面は、非回折光の偏光面と直交するようになるばかりでなく、当該回折光の出射角度が非回折光の出射角度と大きく異なるように偏角する点に着目してなされたものである。
【0012】
図1は、音響波による特定波長の光の偏光作用を用いた波長選択作用を示す概念図であるが、複屈折の性質を有する光音響光学結晶100中に、波長λi、角周波数ωiの入射光102を入射するものとする。さらに、光音響光学結晶100中に、周波数ωaの音響波104を与えると、回折光106が得られることになる。
【0013】
上記の光音響光学結晶100で回折される光線成分たる回折光106に対して、全反射ミラー110と所定の透過性を有する出射側ミラー112とを配置すると、全反射ミラー110と出射側ミラー112とにより両者の間を回折光106が往復するレーザー共振器が構成されることになる。
【0014】
ここで、回折光106の波長は、光音響光学結晶100中に発生される音響波104の周波数によって決定されるので、例えば、光音響光学結晶100に対してRF電源により駆動される圧電素子を添着し、RF電源により圧電素子を駆動させて当該圧電素子に歪みを生じさせることにより、当該歪みに応じた周波数の音響波104を光音響光学結晶100に入力する場合には、RF電源の周波数の制御によりレーザー波長の可変制御が可能となる。
【0015】
また、回折光106への回折効率は音響波強度により決定されるので、RF電源の入力強度の制御よりレーザー共振器の損失を制御し、ひいてはレーザー出力の可変制御が可能となる。
【0016】
しかしながら、回折角α109は、回折光106の波長に対して完全に一定ではないので、回折光106に対する全反射ミラー110の垂直反射により、レーザー共振器を構成できる波長範囲は狭く、広い波長領域でレーザー発振させるためには全反射ミラー110の配置角度を少しづつ調整しなければならないので、実用上その調整作業が煩雑になる恐れがある。このため、全反射ミラー110の配置角度を変えることなく可変波長範囲を広げるためには、何らかの手段により回折角α109のぶれを補正する必要がある。
【0017】
この回折角α109のぶれを補正する手段としては、例えば、三角プリズムなどの光の波長を分散させる光学素子を用いて、波長λ1、λ2のぶれ角Δαをもつ光線が三角プリズム通過後にほぼ平行に進行するように設定することができる。これにより、回折光106を全反射ミラー110に常時垂直に入射させることができるようになり、広波長域用のレーザー共振器を構成できる。
【0018】
また、レーザーの出力強度が上がり、レーザー共振器内の光音響光学結晶100が光損傷を受けるおそれがある時には(例えば、光音響光学結晶100としてTeO2結晶を用いた場合には、TeO2結晶の結晶損傷しきい値は、レーザー結晶や光学部品の損傷しきい値に比べて小さいので損傷を受けやすい。)、レーザー共振器内に、光音響光学結晶100に入射される光のビーム径を拡大するためのテレスコープのようなビーム拡大鏡などの拡大手段を配置して、光音響光学結晶100の損傷の可能性を低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づいて、本発明によるラマン・レーザー発振装置の実施の形態を詳細に説明するものとする。
【0020】
図2には、本発明によるラマン・レーザー発振装置の実施の形態の概略構成説明図が示されている。
【0021】
このラマン・レーザー発振装置においては、所定の透過性を有する出射側ミラー10と全反射ミラー12とにより共振器が構成されており、この共振器内にはラマン媒質として、例えば、Ba(NO32結晶14が配設されている。
【0022】
符号16は励起光源としての電気的に波長選択が可能なレーザー発振装置であり、このレーザー発振装置16から出射されたレーザー光である励起光Aは、全反射ミラー18、20により反射されて集光レンズ22に入射され、集光レンズ22によって集光された後に共振器内に入射されることになる。
【0023】
図3には、レーザー発振装置16の構成が示されており、このレーザー発振装置においては、所定の透過性を有する出射側ミラー200と全反射ミラー202とによりレーザー共振器が構成されている。
【0024】
レーザー共振器内には、波長可変レーザーとしてTi:Al23レーザー結晶204と、波長選択用の結晶として複屈折性の光音響光学結晶206とが、出射側ミラー200側から全反射ミラー202側へ向けて順次配設されている。
【0025】
そして、光音響光学結晶206には、音響波入力手段としてRF電源208により駆動される圧電素子210が添着されている。従って、RF電源208により圧電素子210を駆動させて、圧電素子210に歪みを生じさせると、この圧電素子210の歪みに基づいて、当該歪みに応じた周波数の音響波が光音響光学結晶206に入力されることになる。
【0026】
また、全反射ミラー202は、光音響光学結晶206によって所定の方向に回折された回折光Bのみを反射するように構成されている。
【0027】
圧電素子210は、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長を備えた光のみを回折させるように、光音響光学結晶206に音響波を入力するように構成されている。
【0028】
なお、Ti:Al23レーザー結晶204には、Ti:Al23レーザー結晶204を励起するための励起レーザー光Cが入射されるように構成されている。以上の構成において、レーザー発振装置16から出射された励起光AによりBa(NO32結晶14を励起すると、Ba(NO32結晶14から励起光Aの波長に応じた波長の1次ストークス光(1次反ストークス光)が出射される。
【0029】
これら1次ストークス光(1次反ストークス光)は、出射側ミラー10と全反射ミラー12とにより構成された共振器内を往復することにより増幅されて発振を生ぜしめ、出射側ミラー10から出射1次ストークス光(出射1次反ストークス光)として出射される。
【0030】
このとき、共振器内を往復する1次ストークス光(1次反ストークス光)に付随して、励起光Aの波長に応じた波長の2次ストークス光(2次反ストークス光)が発生し、出射側ミラー10から出射2次ストークス光(出射2次反ストークス光)として出射することができる。
出射される。
【0031】
この際に、励起光Aの波長を変化させることにより、所望の波長の出射1次ストークス光(出射1次反ストークス光)ならびに出射2次ストークス光(出射2次反ストークス光)のみを出射させることができる。
【0032】
ここで、レーザー発振装置16からの励起光Aの出射に関して説明すると、まず、励起レーザー光CとしてNd:YAGレーザーの第二高調波を用いてTi:Al23レーザー結晶204を励起する。また、上記した原理に基づいて、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長に応じてRF電源208の周波数を制御し、圧電素子210を駆動する。
【0033】
上記のようにすると、光音響光学結晶206に入射されたTi:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光の中で、RF電源208の周波数に応じた波長の出射光に関しては、所定の方向に回折されて回折光Bとして光音響光学結晶206から出射されることになる。こうして、光音響光学結晶206から出射された所定の方向に回折された回折光Bのみが、全反射ミラー202によって反射され、レーザー共振器内を往復することになる。
【0034】
従って、RF電源208の周波数に応じた波長の光のみが増幅されてレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から当該波長の出射レーザー光のみを励起光Aとして出射させることができる。
【0035】
このように、レーザー発振装置16からの出射レーザー光たる励起光Aの波長選択は、RF電源208の周波数を選択して、RF電源208により圧電素子210を振動させることで実現できるので、レーザー発振の際の波長同調を高速に行うことができるようになって、出射レーザー光たる励起光Aの高速かつランダムな波長選択が可能となり、結果として、出射レーザー光たる励起光Aの波長可変速度を高速化することができるようになる。そして、励起光の波長可変速度の高速化に応じて、出射ストークス光ならびに出射反ストークス光の波長を高速で可変することができるようになる。
【0036】
次に、図2および図3に示すラマン・レーザー発振装置を用いて、以下の実験条件により実験した結果について説明する。
【0037】
(実験条件)
励起光A:波長900nm〜1000nm、最大エネルギー3mJ/パルス、 パルス幅30ns〜50nsのパルス・レーザー光
出射側ミラー10:1次ストークス光の波長において90%反射
全反射ミラー12:1次ストークス光の波長において99.9%反射
図4および図5は、励起光Aの波長を変化させたときの出射1次ストークス光と出射2次ストークス光との出力と波長との関係を示すグラフである。
【0038】
これら図4および図5に示されるように、図2および図3に示すラマン・レーザー発振装置を用いると、励起光Aの波長を900nm〜1000nmに可変させると、出射1次ストークス光の波長は1000nm〜1117nmとなり、出射2次ストークス光の波長は1100nm〜1265nmとなる。
【0039】
また、励起光Aの波長を700nm〜800nmに可変させると、出射1次反ストークス光の波長は652nm〜700nmとなり、出射2次反ストークス光の波長は610nm〜655nmとなる。
【0040】
また、本発明によるラマン・レーザー装置においては、ラマン媒質としては、上記したBa(NO32結晶14の他に、水素ガスのような気体など任意のラマン媒質を用いることができ、レーザー発振装置16に用いる波長可変レーザー媒質としては、上記したTi:Al23レーザー結晶204の他に、液体レーザーなど任意の波長可変レーザー媒質を用いることができる。
【0041】
さらに、水素ガスなどの気体をラマン媒質として用いた場合には、出射側ミラー10と全反射ミラー12とにより構成される共振器を用いる代わりに、励起光Aが入射されるラマン媒質たる気体を封入したマルチ・パス・セルを用いるようにしてもよい。
【0042】
また、レーザー発振装置16の構成は、図3に示した構成に限られることなしに、以下に示す各構成を適宜選択して用いることができる。
【0043】
(レーザー発振装置16の第2の構成)
図6には、レーザー発振装置16の第2の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために、同一の符号を付して示すものとする。
【0044】
このレーザー発振装置16の第2の構成においても、図3に示す構成と同様に、所定の透過性を有する出射側ミラー200と全反射ミラー202とによりレーザー共振器が構成されている。
【0045】
レーザー共振器内には、Ti:Al23レーザー結晶204と、光音響光学結晶206と、回折光Bの分散を補正するための分散補正用プリズム212とが出射側ミラー200側から全反射ミラー202側へ向けて順次配設されており、全反射ミラー202は、分散補正用プリズム212から出射した光を反射するようになされている。
【0046】
この分散補正用プリズム212は、光音響光学結晶206から出射された回折光Bの分散を補正することにより、励起光Aたる出射レーザー光の方向性を一定にすることができる。
【0047】
さらに、図3に示す構成と同様に、圧電素子210は、励起光Aとして出射側ミラー200から出射させたい出射レーザー光の波長を備えた出射光のみを所定の方向に回折するように、光音響光学結晶206に音響波を入力するように構成されている。
【0048】
以上の構成において、励起レーザー光CとしてNd:YAGレーザーの第二高調波を用いてTi:Al23レーザー結晶204を励起する。また、上記した原理に基づいて、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長に応じてRF電源208の周波数を制御し、圧電素子210を駆動する。
【0049】
上記のようにすると、光音響光学結晶206に入射されたTi:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光の中で、RF電源208の周波数に応じた波長の出射光に関しては、所定の方向に回折されて回折光Bとして光音響光学結晶206から出射されることになる。さらに、光音響光学結晶206から所定の方向に回折されて出射された回折光Bは、分散補正用プリズム212に入射され、一定の方向に出射される。そして、分散補正用プリズム212から出射された光は、全反射ミラー202によって反射され、レーザー共振器内を往復することになる。
【0050】
従って、RF電源208の周波数に応じた波長の光のみが増幅されてレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から当該波長の出射レーザー光のみを励起光Aとして出射させることができる。
【0051】
(レーザー発振装置16の第3の構成)
図7には、レーザー発振装置16の第3の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3ならびに図6に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために、同一の符号を付して示すものとする。
【0052】
このレーザー発振装置16の第3の構成においても、図3に示す構成と同様に、所定の透過性を有する出射側ミラー200と全反射ミラー202とによりレーザー共振器が構成されている。
【0053】
レーザー共振器内には、Ti:Al23レーザー結晶204と、ビーム径調節用のテレスコープ214と、光音響光学結晶206と、分散補正用プリズム212とが出射側ミラー200側から全反射ミラー202側へ向けて順次配設されており、全反射ミラー202は、分散補正用プリズム212から出射した光を反射するようになされている。
【0054】
ここで、テレスコープ214は、光音響光学結晶206に入射される光のビーム径を所望の大きさに拡大することができるように構成されている。
【0055】
また、分散補正用プリズム212は、図6に示すレーザー発振装置16の第2の構成と同様に、光音響光学結晶206から出射された回折光Bの分散を補正することにより、励起光Aたる出射レーザー光の方向性を一定にすることができる。
【0056】
さらに、図3に示す構成と同様に、圧電素子210は、励起光Aとして出射側ミラー200から出射させたい出射レーザー光の波長を備えた出射光のみを所定の方向に回折するように、光音響光学結晶206に音響波を入力するように構成されている。
【0057】
以上の構成において、励起レーザー光CとしてNd:YAGレーザーの第二高調波を用いてTi:Al23レーザー結晶204を励起する。また、上記した原理に基づいて、出射ミラー200から出射させたい出射レーザー光の波長に応じてRF電源208の周波数を制御し、圧電素子210を駆動する。
【0058】
上記のようにすると、Ti:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光は、そのビーム径がテレスコープ214により所望の大きさに拡大されて、光音響光学結晶206に入射されることになる。
【0059】
従って、レーザーの出力強度が上がった際においても、テレスコープ214により光音響光学結晶206に入射される光のビーム径が拡大されるので、光音響光学結晶206に入射される光の光音響光学結晶206の単位面積あたりの出力強度が低下するため、光音響光学結晶206の損傷を抑止することができる。
【0060】
そして、テレスコープ214を介して光音響光学結晶206に入射されたTi:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光の中で、RF電源208の周波数に応じた波長の出射光に関しては、所定の方向に回折されて回折光Bとして光音響光学結晶206から出射されることになる。さらに、光音響光学結晶206から所定の方向に回折されて出射された回折光Bは、分散補正用プリズム212に入射され、一定の方向に出射される。そして、分散補正用プリズム212から出射された光は、全反射ミラー202によって反射され、レーザー共振器内を往復することになる。
【0061】
従って、RF電源208の周波数に応じた波長の光のみが増幅されてレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から励起光Aとして当該波長の出射レーザー光のみを出射させることができる。
【0062】
(レーザー発振装置16の第4の構成)
図8には、レーザー発振装置16の第4の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6ならびに図7に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために、同一の符号を付して示すものとする。
【0063】
このレーザー発振装置16の第4の構成は、レーザー共振器内を往復する光の光路がアルファベットの「Z」字形状になる、所謂、Zホールド型のレーザー共振器を用いており、このZホールド型のレーザー共振器は、所定の透過性を有する出射側ミラー200と全反射ミラー202とを有して構成されている。
【0064】
さらに、Zホールド型のレーザー共振器は、励起レーザー光Aを入射するとともに出射側ミラー200と全反射ミラー202との間を往復する光を反射する第1中間ミラー216と、出射側ミラー200と全反射ミラー202との間を往復する光を反射する第2中間ミラー218とを備えて構成されており、レーザー共振器内を往復する光Bの光路がアルファベットの「Z」字形状になるように配置されている。
【0065】
レーザー共振器の光路上の第1中間ミラー216と第2中間ミラー218との間には、波長可変レーザー媒質として入射光の入射端面がブルースターカットされたTi:Al23レーザー結晶204が、その入射端面が入射光の反射が0となるブルースターアングルにより配置されており、励起レーザー光Cにより縦方向同軸励起によりレーザー発振が生じるように構成されている。
【0066】
また、レーザー共振器の光路上の第2中間ミラー218と全反射ミラー202との間には、波長選択用の結晶としての複屈折の性質を有する光音響光学結晶206が配設されている。
【0067】
そして、光音響光学結晶206には、音響波入力手段として、パーソナル・コンピューター220により周波数を制御されたRF電源208により駆動される圧電素子210が添着されている。従って、パーソナル・コンピューター220の制御により任意の周波数に設定されたRF電源208により圧電素子210を駆動して、圧電素子210に歪みを生じさせると、この圧電素子210の歪みに基づいて、当該歪みに応じた周波数の音響波が光音響光学結晶206に入力されることになる。そして、光音響光学結晶206は入力された音響波に応じた光のみを回折することになる。
【0068】
従って、圧電素子210は、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長を備えた光のみを、光音響光学結晶206が所定の方向に回折した回折光Bとして出射し、レーザー発振することができるように、パーソナル・コンピューター220により光音響光学結晶206への音響波の入力が制御されることになる。
【0069】
さらに、光音響光学結晶206と全反射ミラー202との間には、回折光Bの分散を補正するための分散補正用プリズム212が配設されている。この分散補正用プリズム212を用いることにより、励起光Aたる出射レーザー光の方向性を一定にすることができる。
【0070】
そして、このレーザー発振装置16の第4の構成においては、レーザー共振器内へ励起レーザー光Cを入射するためのレーザーとして、パルス励起レーザー222を用いている。パルス励起レーザー222としては、小型の高繰り返しレーザーダイオード(LD)励起固体レーザーなどがあり、具体的には、CW−QスイッチパルスYAGレーザーや、CW−QスイッチパルスNd:YLFレーザーなどを用いることができる。
【0071】
パルス励起レーザー222によって発生された励起レーザー光Cは全反射ミラー224により全反射集光ミラー226に反射され、全反射集光ミラー226により集光されて第1中間ミラー216を介してTi:Al23レーザー結晶204を縦方向同軸励起するように入射される。
【0072】
以上の構成において、励起光Aたる出射レーザー光を得るには、パルス励起レーザー222により入射された励起レーザ光Cを用いてTi:Al23レーザー結晶204を励起する。また、上記した原理に基づいて、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長に応じて、RF電源208の周波数をパーソナル・コンピューター220により制御し、圧電素子210を振動する。
【0073】
上記のようにすると、光音響光学結晶206に入射されたTi:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光の中で、RF電源208の周波数に応じた波長の出射光に関しては、所定の方向に回折されて回折光Bとして光音響光学結晶206から出射されることになる。さらに、光音響光学結晶206から所定の方向に回折されて出射された回折光Bは、分散補正用プリズム212を介して全反射ミラー202に入射され、この全反射ミラー202によって反射されて、「Z」字形状の光路によりレーザー共振器内を往復することになる。
【0074】
従って、RF電源208の周波数に応じた波長の光のみが増幅されてレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から励起光Aとして当該波長の出射レーザー光のみを出射させることができる。
【0075】
このように、励起光Aたる出射レーザー光の波長選択は、パーソナル・コンピューター220の制御によりRF電源208の周波数を選択して、RF電源208により圧電素子210を振動させることで実現できるので、励起光Aたる出射レーザー光の高速かつランダムな波長選択が可能であり、結果として、励起光Aたる出射レーザー光の波長可変速度を高速化することができる。
【0076】
また、分散補正用プリズム212が設けられているため、回折光Bの回折角度の分散が補正されることになる。回折光Bがの回折角度の分散があるとレーザー共振器内で光の光路が変わることになり、波長可変域に制限を受けることになるが、分散補正用プリズム212を設けることにより、こうした問題点を解消することができる。
【0077】
さらに、レーザー共振器の構成をZホールド型に構成して、励起レーザー光Cを全反射集光ミラー226により集光してTi:Al23レーザー結晶204へ入射するようにしたので、励起入力強度が低いパルス励起レーザー222による励起レーザー光Cによっても、十分にレーザー発振を生じさせることができる。
(レーザー発振装置16の第5の構成)
図9には、レーザー発振装置16の第5の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7ならびに図8に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
このレーザー発振装置16の第5の構成は、レーザー共振器の構成が、所謂、Xホールド型とされている点についてのみ、図8に示すレーザー発振装置16の第4の構成と相違する。
【0079】
このレーザー発振装置16の第4の構成に用いたXホールド型のレーザー共振器においても、励起レーザー光Cは、全反射集光ミラー226により集光されてTi:Al23レーザー結晶18へ入射されるので、励起入力強度が低いパルス励起レーザー222による励起レーザー光Cによっても、十分にレーザー発振を生じさせることができる。
【0080】
しかも、このXホールド型のレーザー共振器によれば、Zホールド型のレーザー共振器に比べて、レーザー共振器の構成をコンパクトにすることができる。
【0081】
(レーザー発振装置16の第6の構成)
図10には、レーザー発振装置16の第6の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7、図8ならびに図9に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
このレーザー発振装置16の第6の構成においては、図8における全反射ミラー202を出射側ミラー200により置換するとともに、図8における出射側ミラー200および第1中間ミラー216を排除し、その代わりに励起レーザー光Cが入射される側のTi:Al23レーザー結晶204の端面に、励起レーザー光Cを入射するとともにTi:Al23レーザー結晶204から出射される光を反射する鏡面コーティング228を施した点についてのみ、図8に示すレーザー発振装置16の第4の構成と相違する。
【0083】
従って、レーザー発振装置16の第6の構成においては、鏡面コーティング228と出射側ミラー200とによりレーザー共振器が構成されることになる。
【0084】
このため、レーザー発振装置16の第6の構成によれば、図8に示すレーザー発振装置16の第4の構成ならびに図9に示すレーザー発振装置16の第5の構成よりも構成部品点数を削減することができ、装置全体を小型化することができるとともに、コスト低減を図ることができる。
【0085】
(レーザー発振装置16の第7の構成)
図11には、レーザー発振装置16の第7の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7、図8、図9ならびに図10に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0086】
このレーザー発振装置16の第7の構成においては、Ti:Al23レーザー結晶204の入射端面をブルースターカットしてブルースターアングルで配置するのではなく、Ti:Al23レーザー結晶204を垂直入射カットするとともに無反射コーティング230を施し、励起レーザー光Cが垂直に入射されるように配置した点において、図8に示すレーザー発振装置16の第4の構成と相違する。
【0087】
このように、Ti:Al23レーザー結晶204を励起レーザー光Cが垂直に入射されるように配置する場合には、ブルースターアングルに配置する場合に比べてセッティングが容易であり、角度の分散も小さく広い波長領域を得ることができる。
【0088】
(レーザー発振装置16の第8の構成)
図12には、レーザー発振装置16の第8の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7、図8、図9、図10ならびに図11に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために、同一の符号を付して示すものとする。
【0089】
このレーザー発振装置16の第8の構成は、レーザー共振器内を往復する光の光路がアルファベットの「Z」字形状になる、所謂、Zホールド型のレーザー共振器を用いており、このZホールド型のレーザー共振器は、所定の透過性(例えば、入射された光の98%反射し、2%透過する。)を有する出射側ミラー200と入射された光を全反射(100%反射)する全反射ミラー202とを有して構成されている。
【0090】
さらに、Zホールド型のレーザー共振器は、励起レーザー光Cを入射するとともに出射側ミラー200と全反射ミラー202との間を往復する光を全反射する第1中間ミラー216と、出射側ミラー200と全反射ミラー202との間を往復する光を全反射する第2中間ミラー218とを備えて構成されており、レーザー共振器内を往復する光の光路がアルファベットの「Z」字形状になるように配置されている。
【0091】
レーザー共振器の光路上の第1中間ミラー216と第2中間ミラー218との間には、波長可変レーザー媒質としてブルースターカットされたTi:Al23レーザー結晶204が、入射光の反射が0であるブルースターアングルにより配置されており、励起レーザー光Cにより縦方向同軸励起によりレーザー発振が生じるように構成されている。
【0092】
また、レーザー共振器の光路上の第2中間ミラー218と全反射ミラー202との間には、波長選択用の結晶としての複屈折の性質を有する光音響光学結晶206が配設されている。
【0093】
そして、光音響光学結晶206には、音響波入力手段として、パーソナル・コンピューター220により周波数を制御されたRF電源208により駆動される圧電素子210が添着されている。従って、パーソナル・コンピューター220の制御により任意の周波数に設定されたRF電源208により圧電素子210を駆動して、圧電素子210に歪みを生じさせると、この圧電素子210の歪みに基づいて、当該歪みに応じた周波数の音響波が光音響光学結晶206に入力されることになる。そして、光音響光学結晶206は入力された音響波に応じた光のみを回折することになる。
【0094】
従って、圧電素子210は、出射側ミラー200から励起光Aとして出射させたい出射レーザー光の波長を備えた光のみを、光音響光学結晶206が所定の方向に回折した回折光Bとして出射し、レーザー発振することができるように、パーソナル・コンピューター220により光音響光学結晶20への音響波の入力が制御されることになる。
【0095】
さらに、光音響光学結晶206と全反射ミラー202との間には、回折光Bの分散を補正するための分散補正用プリズム212が配設されている。この分散補正用プリズム212を用いることにより、励起光Aたる出射レーザー光の方向性を一定にすることができる。
【0096】
そして、このレーザー発振装置16の第8の構成においては、レーザー共振器内へ励起レーザー光Cを入射するためのレーザーとして、連続発振レーザー(CW−レーザー)232を用いている。CW−レーザー232としては、具体的には、連続発振Arイオン・レーザー(CW−Arイオン・レーザー)などを用いることができる。
【0097】
また、波長可変レーザー媒質としてTi:Al23レーザー結晶204の代わりに、LiSAFレーザー結晶、LiCAFレーザー結晶などを用いた場合には、Nd:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YUO4などの固体レーザーの第2高調波をCW−レーザー232として用いることができる。
【0098】
CW−レーザー232によって発生された励起レーザー光Cは全反射ミラー224により全反射集光ミラー226に反射され、全反射集光ミラー226により集光されて第1中間ミラー216を介してTi:Al23レーザー結晶204を縦方向同軸励起するように入射される。
【0099】
ここで、励起レーザー光Cとしてレーザー共振器内に入射される、CW−レーザー232のパワーの低い連続発振レーザー光によってレーザー発振を生じさせるために、光音響光学結晶206から出射される回折光Bの回折効率のできるだけ高い光音響光学結晶206を用いる必要がある。
【0100】
以上の構成において、励起光Aたる出射レーザー光を得るには、CW−レーザー232により入射された励起レーザ光Cを用いてTi:Al23レーザー結晶204を励起する。また、上記した原理に基づいて、出射側ミラー200から出射させたい励起光Aたる出射レーザー光の波長に応じて、RF電源208の周波数をパーソナル・コンピューター220により制御し、圧電素子210を振動する。
【0101】
上記のようにすると、光音響光学結晶206に入射されたTi:Al23レーザー結晶204から出射された広範囲の波長帯域の出射光の中で、RF電源208の周波数に応じた波長の出射光に関しては、所定の方向に回折されて回折光Bとして光音響光学結晶206から出射されることになる。さらに、光音響光学結晶206から所定の方向に回折されて出射された回折光Bは、分散補正用プリズム212を介して全反射ミラー202に入射され、この全反射ミラー202によって反射されて、「Z」字形状の光路によりレーザー共振器内を往復することになる。
【0102】
従って、RF電源208の周波数に応じた波長の光のみが増幅されてレーザー発振を生ぜしめ、レーザー共振器から励起光Aとして当該波長の出射レーザー光のみを出射させることができる。
【0103】
このように、励起光Aたる出射レーザー光の波長選択は、パーソナル・コンピューター220の制御によりRF電源208の周波数を選択して、RF電源208により圧電素子210を振動させることで実現できるので、レーザー発振の際の波長同調を高速に行うことができるようになって、励起光Aたる出射レーザー光の高速かつランダムな波長選択が可能となり、結果として、励起光Aたる出射レーザー光の波長可変速度を高速化することができる。
【0104】
また、分散補正用プリズム212が設けられているため、回折光Bの分散が補正されることになる。回折光Bが分散されるとレーザー共振器内で光の光路が変わることになり、波長可変域に制限を受けることになるが、分散補正用プリズム212を設けることにより、こうした問題点を解消することができる。さらに、それと同時に、波長同調時に起きる励起光Aたる出射レーザー光の出射方向の変動も補正することができる。
【0105】
さらに、レーザー共振器の構成をZホールド型に構成して、励起レーザー光Cを全反射集光ミラー226により集光してTi:Al23レーザー結晶204へ入射するようにしたので、パワーの低いCW−レーザー232による励起レーザー光Cによっても、十分にレーザー発振を生じさせることができる。
【0106】
(レーザー発振装置16の第9の構成)
図13には、レーザー発振装置16の第9の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7、図8、図9、図10、図11ならびに図12に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0107】
このレーザー発振装置16の第9の構成は、Ti:Al23レーザー結晶204をブルースターカットしてブルースターアングルで配置するのではなく、Ti:Al23レーザー結晶204を垂直入射カットするとともに無反射コーティング230を施し、励起レーザー光Cが垂直に入射されるように配置した点において、図12に示すレーザー発振装置16の第8の構成と相違する。
【0108】
このように、Ti:Al23レーザー結晶204を励起レーザー光Cが垂直に入射されるように配置する場合には、ブルースターアングルに配置する場合に比べてセッティングが容易であり、角度の分散も小さく広い波長領域を得ることができる。
【0109】
(レーザー発振装置16の第10の構成)
図14には、レーザー発振装置16の第10の構成の概略構成説明図が示されている。なお、図3、図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12ならびに図13に示した構成と同一の構成に関しては、理解を容易にするために同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0110】
このレーザー発振装置16の第10の構成は、図12における出射側ミラー200を100%反射の全反射ミラー234により置換し、非回折光Dを励起光Aたる出射レーザー光として出射するようにした点について、図12に示すレーザー発振装置16の第8の構成と相違する。
【0111】
このレーザー発振装置16の第10の構成によれば、透過性の出射側ミラー200を用いることがないでので、図12に示すレーザー発振装置16の第8の構成と比べて、レーザー共振器による光の損失を低減させることができ、光音響光学結晶206から出射される回折光Bと非回折光Dとの割合は、例えば、回折光Bが98%であり、非回折光Dが2%であるように設定することができるようになり、回折光Bの割合を小さくすることができる。従って、図12に示すレーザー発振装置16の第8の構成よりも、光音響光学結晶206や分散補正用プリズム212のセッティング、パーソナル・コンピューター220を用いたRF電源208による圧電素子210の制御などの余裕度を向上することができる。
【0112】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、励起光の波長可変速度を高速化することができ、その結果、ストークス光ならびに反ストークス光の波長を高速で可変することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】音響波による特定波長の光の回折作用を用いた波長選択作用を示す概念図である。
【図2】本発明によるラマン・レーザー発振装置の実施の形態の概略構成説明図である。
【図3】レーザー発振装置の第1の構成の概略構成説明図である。
【図4】励起光の波長を変化させたときの出射1次ストークス光と出射2次ストークス光との出力と波長との関係を示すグラフである。
【図5】励起光の波長を変化させたときの出射1次反ストークス光と出射2次反ストークス光との出力と波長との関係を示すグラフである。
【図6】レーザー発振装置の第2の構成の概略構成説明図である。
【図7】レーザー発振装置の第3の構成の概略構成説明図である。
【図8】レーザー発振装置の第4の構成の概略構成説明図である。
【図9】レーザー発振装置の第5の構成の概略構成説明図である。
【図10】レーザー発振装置の第6の構成の概略構成説明図である。
【図11】レーザー発振装置の第7の構成の概略構成説明図である。
【図12】レーザー発振装置の第8の構成の概略構成説明図である。
【図13】レーザー発振装置の第9の構成の概略構成説明図である。
【図14】レーザー発振装置の第10の構成の概略構成説明図である。
【符号の説明】
10 出射側ミラー
12 全反射ミラー
14 Ba(NO32結晶
16 レーザー発振装置
18 全反射ミラー
20 全反射ミラー
22 集光レンズ
100 光音響光学結晶
102 入射光
104 音響波
106 回折光
108 非回折光
109 回折角α
110 全反射ミラー
112 出射側ミラー
200 出射側ミラー
202 全反射ミラー
204 Ti:Al23レーザー結晶
206 光音響光学結晶
208 RF電源
210 圧電素子
212 分散補正用プリズム
214 テレスコープ

Claims (2)

  1. 波長可変レーザー発振装置から出射された出射レーザー光を励起光としてラマン媒質に入射して前記ラマン媒質を励起し、ラマン変換により前記励起光の波長に応じたストークス光ならびに反ストークス光を出射するラマン・レーザー発振装置において、
    前記波長可変レーザー発振装置は、
    対向する所定の反射率を有するミラーにより構成されるレーザー共振器と、
    前記レーザー共振器内に配設された所定範囲の波長域においてレーザー発振可能な波長可変レーザー結晶と、
    前記レーザー共振器内に配設され、前記波長可変レーザー結晶からの出射光が入射される複屈折性の光音響光学結晶と、
    前記光音響光学結晶に装着され、前記光音響光学結晶に進行波である音響波を入力するための音響波入力手段と、
    前記レーザー共振器内に配設され、前記光音響光学結晶から出射される光であって、前記光音響光学結晶に入射された光のなかで前記音響波の周波数に応じた特定波長の光が、偏光面が直交するとともに所定の方向に回折された回折光として出射されるものの回折角度の分散を補正し、前記波長可変レーザー発振装置から出射される出射レーザー光の方向性を一定にする光学素子と
    を有し、
    前記光学素子により前記光音響光学結晶から出射される所定の方向に回折された回折光のみが、前記レーザー共振器を構成する前記ミラーによって反射されて前記レーザー共振器内を往復してレーザー発振し、
    前記光音響光学結晶に入力する音響波の周波数の制御によりレーザー発振波長を可変制御する
    ことを特徴とするラマン・レーザー発振装置。
  2. 請求項1に記載のラマン・レーザー発振装置において、
    前記波長可変レーザー発振装置を構成する前記レーザー共振器内に配設され、前記光音響光学結晶に入射される前記波長可変レーザー結晶からの出射光のビーム径を拡大する拡大手段と
    を有することを特徴とするラマン・レーザー発振装置。
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